魔法の森の木々達はすっかり秋に向けての衣替えを完了させた様子で風に揺られていた。
昼時に簡単な食事を済ませた僕は、気分転換でもしようかと思って外出する事にした。
簡単に支度を整え、外に出て扉に錠をかけてから森の中へ足を踏み入れる。
森特有の涼しさが僕の心を洗い流してくれるようでいい気分だった。
基本的に僕は外出を好まない。
しかしずっと家の中に籠りっぱなしというのもいただけないと思う。
僕は人妖であるから運動不足が健康面に直接影響するわけではないが、やはりたまにはこうして散歩をしたい。
もちろん、まったく外出をしないというわけではない。
無縁塚に行くことは良くあることだし、ウチに良く来る客とも言えない奴らに強制連行される日もある。
だが、基本的に無縁塚に行く時は道具を拾いに行く時、つまり仕事の時だ。
たまにはそういう事を考えず、気ままに辺りをさまよって歩く。
誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われた散歩というものを僕はしてみたくなったのである。
無縁塚は道具屋の自分にとってはまさに宝の山であるが、お世辞にも気分が晴れるような所とはいえない。
であるから、今日は少し方向を変えて霧の湖方面へ向かっていた。
ぶらぶらと特に何も考えずに歩き続け、もうそろそろ森を抜けようかという時になって僕は足を止めた。
人の声が聞こえたような気がしたからだ。
「ん……?」
一瞬辺りを見回すが、特に誰もいない。
気のせいかとおもってまた歩き出そうとした時、また声が聞こえてきた。
「ハッ・・・!ヤッ・・・!」
女性の声のように聞こえる。
何か鋭い声を飛ばしているようだが、なんと言ってるのか分からない。何かのかけ声だろうか?
好奇心に駆られた僕は目を閉じて耳を澄まし、声が聞こえてくる方角を確かめようとした。
……どうも自分の前方、右斜めの方から聞こえてくるようだ。
いっちょう、声の主が何をしているか確認してやろう。
野次馬根性を発揮した僕はその声の方向へ向かって足を向けた。
声を頼りにして歩みを進めていくうちに声はどんどん大きくなっていった。
「ハッ!ハイッ!ハイッ!ヤァッ!!」
武術の訓練か何かだろうか?
僕は考えを巡らせながら声を辿って前進していく。
茂みを両手でかき分けつつも進んでいったら、急に視界が開けた。
どうやらそこだけ茂みがなくなってちょっとした広場のようになっていたのだった。
同時に頭上を覆っていた木々がなくなり、空から太陽のまぶしいひかりをもろに食らった僕は思わず顔を顰めた。
そして手をかざして日光を視界から遮ってからそこに居た人物を確かめた。
予想した通り、そこにいたのは女性だった。
こちらに背を向けて空手のような徒手空拳の修行に気を吐いていた。
赤くて長い綺麗な髪をした女性で、よくよく見ると見慣れない妙な格好をしている。
あれは…中華服?いや、チャイナドレスというんだったかな。
緑色のそれを纏っている上、彼女がかぶっている帽子もまた緑色だった。
こちらに気づいた様子のない彼女に僕は声をかけてみた。
「やあ、こんにちわ。こんなところで何を──」
「ハイヤーーーーーーーッッッッ!!!!」
「ぎゃおっ!?」
無礼にも背後から声をかけてしまった僕は吹き飛ばされた。
それが空拳の型の締めだったのか、単にいきなり声をかけられた事に驚いたのかは分からない。
彼女は振り向き様に掛け声と共に何かを撃ち出し、僕はそれを正面から食らってしまった。
そのまま数メートルは飛ばされて頭と体をしたたかに木に打ち付けてしまい、全身から力が抜けてゆくのを感じた。
こちらに駆け寄る女性の姿と慌てたような声を最後に、僕の視界は暗闇に落ちていった。
……なにか冷たいものが僕の顔に当たる。
しっとりと濡れていてなにやら気持ちよかった。
うぅ、とうめき声を上げて僕は薄目を開いた。
「あ、良かった。気がつかれましたか」
正面に誰かの顔があった。
僕の顔を逆さまな状態で見下ろしてくる。声の主は目の前の者らしい。
なんだか頭の中にもやがかかったようではっきりしない。
僕はどうやら地面に横たわっているようだ。何かを頭の下に置いて枕にしているらしい。
顔に当たっているのはどうも濡らした手ぬぐいだったようだ。
「無理して起きたりしたらダメですよ。安静にしておかないと」
「…ここは?」
「魔法の森のはずれです。少し歩けば霧の湖ですよ」
「…そうか。僕は…どうなったんだ?」
「私が弾き飛ばしてしまって…ごめんなさい」
段々思い出してきた。
そうだ、僕は森の中を歩いていたんだ。そして誰かに声を掛けようとして…その誰かに吹き飛ばされた。
無理も無いか。女性にいきなり背後から声を掛けるというのはちと考え無しだったかな。
僕は自分のしたことを反省し、そして目の前に居る人物が僕が声を掛けようとした相手だったことに気がついた。
「…君が介抱してくれたのか。手間をかけさせてすまなかったね」
「いえ、とんでもないです。貴方を攻撃した私が悪いんですし、せめてこれくらいは」
「いやいや、無遠慮に声を掛けた僕が悪いんだ。さぞ驚いたことだったろうね」
「それは…まぁ、はい」
僕から見て逆さまの状態になった彼女が遠慮がちに頷く。やはり驚いたんだな。
次からちゃんと気をつけるようにしなくては…。相手が相手なら死ぬかもしれない。僕が。
と、ここまで考えてからふと違和感に思い当たった。
僕が横たわっているのはともかくとして、何故彼女は真上から逆さまの状態で見下ろしてくるんだ?
それが気になって顔を少し動かして辺りにきょろきょろと視線を巡らせる。
そして顔を正面に戻し、不思議そうに僕を覗き込んでくる彼女と視線を合わせてからようやく分かった。
膝枕されている。この娘に。
それに気づいて慌てて上半身を起こそうとしたが、相手に遮られて押し戻されてしまった。
「ダメですよ、まだ起きたら。頭を打ったんですから大事を取らないと」
「いや…だが、この状況は君に申し訳なくて」
「大丈夫ですよ。私、体力が自慢ですから」
「し、しかし」
「いいから寝ててください」
反論しようとしたが、彼女の言葉と頭の痛みによって叶わなかった。
ああ、まだ頭がガンガンする。よほど強く打ち付けてしまったようだ。
確かに無理に動いてしまっては悪化するかもしれない。
ここはお言葉に甘えて素直に体を預けるとしておくのが吉だろう。
「すまないね。名前も知らない初対面の君にこんなことを…」
「いいんですよ。貴方をここに放っておくわけにもいきませんし」
「優しいな、君は」
「そうですか?普通のことだと思いますけど」
「僕が悪者だとは思わないのかい?体力を取り戻したら君に襲いかかるかもしれないぞ」
「ん~…あなたはそんなことをするような人には見えませんし……それに……」
途中で言い淀んでから彼女はゆっくりと言葉を紡いだ。
「多分、貴方が襲いかかってきても余裕で勝てますから」
「………なるほど」
ぐうの音も出なかった。
そもそも彼女に一撃でのされてしまったのだから彼女に勝てる道理などない。
さっきの様子を見たところ武道を修めているようだし、僕など天地がひっくり返っても敵わないだろう。
そういえば、さっきの僕を吹き飛ばした攻撃はなんだったのかな。
僕が先ほどの記憶を回顧していると、彼女は続けて喋りかけてきた。
「美鈴です」
「ん?」
「私の名前。紅美鈴っていうんですよ」
「あ…ああ、そうなのか。これはすまない。僕の名前は森近霖之助だ」
「あれ、ということは、貴方が噂の香霖堂さん?」
唐突な自己紹介に僕も応じてやると、彼女は目をくりくりさせて聞き返してきた。
相手が自分の名前と店の名を知っていたことに僕は少なからず驚いた。
「知ってるのかい?」
「たまに咲夜さんが話してくれます。ほら、紅魔館ってご存知ですよね?私、あそこの門番なんですよ」
「なんと、そうだったのか……」
香霖堂に時折訪れる十六夜咲夜。僕の店の数少ないまともな常連客だ。
彼女は完全で瀟洒な従者として吸血鬼のレミリア・スカーレットに仕えている。
彼女が僕の店に来るのも大抵は彼女の主の命令によるのだが、その彼女達が暮らす場所がかの紅魔館である。
まさか目の前の相手があそこの関係者だとは思いもよらなかった。
「咲夜は…僕のことを普段なんと言っているのかな」
「ええと……き、聞きたいですか?」
「…とりあえずは聞かせてくれ」
「偏屈軟弱石頭」
「…………」
なんともはや、僕も知らない所でとんでもない評価を頂いていたものだ。
偏屈軟弱石頭とはなんというかもう、形容しがたい。彼女は何か僕に恨みでもあるのだろうか?
何か彼女に恨みを買うようなことをしただろうか……。
それにしても、美鈴と名乗る彼女は結構正直者のようだ。もう少しオブラートに包んでくれても良いものを。
僕のテンションが目に見えて落ちたのを見て取ったか、美鈴が慌ててフォローを入れてきた。
「で、でもそのあとに『だけど結構良い男かも』って言ってましたよ!」
「全然嬉しくないよ」
「いや、ホントに。咲夜さんって意外と照れ屋だから…素直に褒められないんですよ、多分」
さっきのような罵詈雑言は照れ屋だからという理由ですましていいのだろうか。
いや、ひょっとしたら魔理沙が咲夜に吹き込んだのかもしれないな。
あいつならこれくらいは言い兼ねないぞ。そうだそうに違いない。そう思っておこう。
適当に魔理沙に罪を擦り付けて現実逃避をしたところで僕は別の話題を振ってみた。
「君は門番なんだろう?こんなところに居て良いのかね」
「今日は珍しく休暇を頂いたので…少し修行をしようかと思って、森に」
「休みの日にわざわざ森で稽古か……真面目なんだな、君は」
「いえ、そんな。武道を修める者には一日たりとも修行を怠っていい日などないのです」
「それはスゴい。もし僕だったら三日坊主で終わりそうだな」
「あはは、それじゃ全然だめですよー」
可笑しそうに美鈴が笑った。
結構明るい性格の娘なのかな、とちらりと思った。
「さっきの僕への攻撃…あれはなんだったのかな」
「あれは…なんといいますか、気合です」
「き、気合なのか」
「ええと、気功術の一種でして……私は気を使う程度の能力を持っているんですよ」
「なるほど、気功か…」
気功術とは大陸に古くから伝わる体術のことである。
気とは生命エネルギーそのものであり、万物に等しく宿るものだ。
僕はもちろん、生きとし生けるものには全て気功が循環している。気を持たない人間や妖怪などこの世に居ないのだ。
もっとも、それを使いこなせるかどうかは別であるが。
どうやら彼女はそれを自由自在に扱う能力を持っているということらしい。
色々詳しく説明すると分類がややこしくなるので省くが、恐らくさっきのは内気功だと思われる。
内気功、もしくは内功とは呼吸と意識を使用して体内で気を練り上げる技術のことだ。
これを行うことにより体力、持久力、回復力などが格段に向上するという素晴らしいものであるらしい。
これを体術と組み合わせると、その威力は飛躍的なまでに高まるという。
「さっきは普通に体術と気功の訓練をしていたんですけど、いきなり声をかけられたからびっくりしちゃって…」
「とっさに練り上げていた気功を撃ち出してしまったということか」
「はい、どうもすみません」
「なに、繰り返すようだがこちらが悪いんだ。君が気に病むことはないよ」
「ありがとうございます。そう言って頂けるとこっちもなんだか楽ですね」
それきり会話が途絶えた。
空にある雲がゆっくりと流れ、さわさわと風が木々達の間を駆け抜ける音がする。
僕たちの頭上を鳥のさえずりが通り過ぎて行った。
その間も僕は美鈴の膝枕に頭を預けたままである。
会話があるうちはさほど気にもならなくなっていたが、会話が途切れると俄然それが気になり始めた。
そもそも会って間もない女性に膝枕をしてもらうこの状況というのは如何なものか。
なにやら気恥ずかしい思いがこみ上げてきて何か会話の糸口を見つけようと思っていると、美鈴が暢気そうにつぶやいた。
「なんか楽しいですね~」
「……あぁ?」
思わず間抜けが声が出てしまった事は否めない。
良い機会だったのでこれに乗じて体を起こして胡座を組み美鈴に向き直った。
「あ、もう大丈夫なんですか?」
「ああ、頭の痛みもだいぶ引いてきたよ。世話になったね」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「この手ぬぐいは僕が持ち帰って洗濯させてもらうよ。今度紅魔館へ返しに行くから」
「あ、ありがとうございます。私ってあまり門番の仕事休めないんで助かります」
美鈴が帽子の上から頭を掻いた。
水気を落として軽くする為に為に手ぬぐいを絞りながら僕は話の続きを促した。
「それで、何が楽しいんだって?」
「いや、森の中で風が吹いて鳥が鳴いてるって、なんだかとっても和みません?」
「……まあ、確かに」
「私って男の人とこんな感じでのんびりすることってあんまりないから、結構新鮮な気分です」
美鈴ののほほんとした口調にほだされたのか僕は脱力して笑ってしまった。
「こんな男と一緒に居たって、何も面白くはないだろう?」
「いえいえ、そんなことないですよ。森近さんって話に聞くよりかはだいぶ話しやすい人ですし」
「……そりゃああの言われようじゃね」
先ほど聞いた咲夜の僕に対する評価を思い出して僕はブルーな気持ちになった。
いやいや、あれは魔理沙が吹き込んだんだ。そう思わないとやってられない。
あまり幸せでない気分を吹き飛ばしてしまうように僕は続けた。
「そうそう、僕の名を呼ぶ時は名字は使わずに霖之助と呼んでくれ。そっちのが慣れてる」
「あれ、そうなんですか?初対面で下の名前で呼ぶのもどうかと思ったんですけど」
「もし気になるんなら屋号で呼んでもらっても構わないがね」
「ん~…それだとなんだか素っ気ないんで、霖之助さんって呼ぶことにしますね」
そうしてくれ、と僕が言うと美鈴は微笑んで頷いた。
その微笑みがなんだかあまりにも綺麗で、僕は何故か目線をそらしてしまった。
「霖之助さんって古道具屋でしたよね?なんでそれを始めようと思ったんですか?」
「道具が好きでね。僕の能力も道具に関係している。趣味と実益を兼ねてるのさ」
「へええ~~」
美鈴がこくこくと納得したように頷いた。
先ほどの笑顔といい、表情がころころと変わる娘なんだな。見ていて飽きない。
その様子がなんだか面白くて、僕は森の木々のもとに様々な蘊蓄を披露することにした。
次から次へと流れ出る僕の言葉に彼女は可笑しそうに笑ったり目を丸くして驚いたり相づちを入れたりしてくれた。
自分の話にここまで真剣に聞き入ってくれるのが嬉しくて、僕は時間を忘れて話すことに熱中してしまった。
「さて……すっかり話し込んでしまったようだ。もうそろそろ夕暮れだよ」
「あ、もうそんな時間ですか。なんだかあっという間でしたね~」
僕が我にかえって辺りを見回す頃にはすっかり夕焼け小焼けな時間帯となっていた。
美鈴も時が経つのも忘れて僕の話に聞き入っていたようでキョロキョロと周囲を眺めていた。
僕が立ち上がって手を差し伸べると美鈴は素直にそれを掴んで立ち上がった。
「なんだかすまなかったね。修行の邪魔をしたみたいになってしまった」
「いや、私も楽しかったですし、たまにはこういう日があってもいいですね」
「おやおや、一日たりとも修行は休めないんじゃなかったのかい?」
「霖之助さんが乱入して来なかったらちゃんと一日しっかりやってましたけどねぇ」
「ぐ……」
なじるように言われて言葉に詰まってしまう。正論であるが故に何も言えない。
言い返すことが出来ない僕の様子をみて美鈴は快活に笑った。
「あはは、冗談ですよぅ。別に恨んだりとかしてませんから」
「そう言ってくれるとありがたいよ」
僕は安堵の溜め息をついて苦笑した。
「さて、そろそろ帰らなくては。君は紅魔館に帰るのかな」
「はい。そこに住み込みで勤めてますから」
「そうか。それだと僕とは反対方向になるね。僕はあっちの方向だ」
「そうなんですか。それじゃここでお別れですね。さようなら、霖之助さん」
「ああ、また会おう、美鈴」
美鈴に別れの挨拶をして僕たちはお互いに踵を返した。
久々に充実した一日だったような気がする。
何を為したわけでもなかったが、こうした日もたまには悪くないものだ。
と、元来た道へ戻ろうと茂みへ入ろうとした時に後ろから声がかかった。
「霖之助さん!」
僕はその声が聞こえた方向を振り返る。
僕とは真逆の方向に歩いていた美鈴が同じく茂みに入ろうかという辺りでこちらに向かって立っていた。
そして大きく手を振ってから彼女は叫んだ。
「また面白いお話聞かせてくださいね!」
どこまでも底抜けに明るいその言葉に僕は笑みをこぼした。
そして両足の踵をきちっと揃え、慇懃に礼をしながらこう返してやった。
「その際は是非我が香霖堂をご贔屓に」
あれから、香霖堂に常連客が一人増えた。
仕事は大丈夫なのかと聞くと、なんと彼女は自分の主に直談判して週に一度の休暇を頂く約束を取り付けたらしい。
ただし、仕事の日は居眠りしてサボらずにキチンと仕事をこなすことが条件だそうだ。
君は居眠りをする門番だったのか、と僕が笑うと彼女は恥ずかしそうに俯き、それから小さな声で肯定の意を述べた。
彼女は一週間に一度僕の店に訪れる。
僕はお茶を淹れて彼女を歓迎し、彼女はそれを美味しそうに飲む。
僕の話に聞き入り、相づちを打ったりころころ変わる表情で様々な反応を見せてくれる。
そして帰る時には僕の店の品を一品、購入して帰っていってくれるのだ。
彼女と話をする時間が何より楽しいものに思え、僕は彼女が店を訪れる日を心待ちにするようになった。
そして、今日は一週間に一度のその日。
僕はちょっぴり高級なお茶を淹れて彼女が来るのを待つ。
ドアのカウベルがちりんと鳴った。僕は読んでいた本にしおりを挟んで閉じ、入り口の方に目を向ける。
そこには緑色のチャイナドレスに身を包み、そして緑色の帽子を被った女性が立っていた。
彼女は足取りも軽く僕のカウンターへ近付き、そしてうきうきとした嬉しそうな声で言葉を発した。
「こんにちは、霖之助さん。今日も貴方の面白いお話をたっくさん聞かせてくださいね!」
昼時に簡単な食事を済ませた僕は、気分転換でもしようかと思って外出する事にした。
簡単に支度を整え、外に出て扉に錠をかけてから森の中へ足を踏み入れる。
森特有の涼しさが僕の心を洗い流してくれるようでいい気分だった。
基本的に僕は外出を好まない。
しかしずっと家の中に籠りっぱなしというのもいただけないと思う。
僕は人妖であるから運動不足が健康面に直接影響するわけではないが、やはりたまにはこうして散歩をしたい。
もちろん、まったく外出をしないというわけではない。
無縁塚に行くことは良くあることだし、ウチに良く来る客とも言えない奴らに強制連行される日もある。
だが、基本的に無縁塚に行く時は道具を拾いに行く時、つまり仕事の時だ。
たまにはそういう事を考えず、気ままに辺りをさまよって歩く。
誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われた散歩というものを僕はしてみたくなったのである。
無縁塚は道具屋の自分にとってはまさに宝の山であるが、お世辞にも気分が晴れるような所とはいえない。
であるから、今日は少し方向を変えて霧の湖方面へ向かっていた。
ぶらぶらと特に何も考えずに歩き続け、もうそろそろ森を抜けようかという時になって僕は足を止めた。
人の声が聞こえたような気がしたからだ。
「ん……?」
一瞬辺りを見回すが、特に誰もいない。
気のせいかとおもってまた歩き出そうとした時、また声が聞こえてきた。
「ハッ・・・!ヤッ・・・!」
女性の声のように聞こえる。
何か鋭い声を飛ばしているようだが、なんと言ってるのか分からない。何かのかけ声だろうか?
好奇心に駆られた僕は目を閉じて耳を澄まし、声が聞こえてくる方角を確かめようとした。
……どうも自分の前方、右斜めの方から聞こえてくるようだ。
いっちょう、声の主が何をしているか確認してやろう。
野次馬根性を発揮した僕はその声の方向へ向かって足を向けた。
声を頼りにして歩みを進めていくうちに声はどんどん大きくなっていった。
「ハッ!ハイッ!ハイッ!ヤァッ!!」
武術の訓練か何かだろうか?
僕は考えを巡らせながら声を辿って前進していく。
茂みを両手でかき分けつつも進んでいったら、急に視界が開けた。
どうやらそこだけ茂みがなくなってちょっとした広場のようになっていたのだった。
同時に頭上を覆っていた木々がなくなり、空から太陽のまぶしいひかりをもろに食らった僕は思わず顔を顰めた。
そして手をかざして日光を視界から遮ってからそこに居た人物を確かめた。
予想した通り、そこにいたのは女性だった。
こちらに背を向けて空手のような徒手空拳の修行に気を吐いていた。
赤くて長い綺麗な髪をした女性で、よくよく見ると見慣れない妙な格好をしている。
あれは…中華服?いや、チャイナドレスというんだったかな。
緑色のそれを纏っている上、彼女がかぶっている帽子もまた緑色だった。
こちらに気づいた様子のない彼女に僕は声をかけてみた。
「やあ、こんにちわ。こんなところで何を──」
「ハイヤーーーーーーーッッッッ!!!!」
「ぎゃおっ!?」
無礼にも背後から声をかけてしまった僕は吹き飛ばされた。
それが空拳の型の締めだったのか、単にいきなり声をかけられた事に驚いたのかは分からない。
彼女は振り向き様に掛け声と共に何かを撃ち出し、僕はそれを正面から食らってしまった。
そのまま数メートルは飛ばされて頭と体をしたたかに木に打ち付けてしまい、全身から力が抜けてゆくのを感じた。
こちらに駆け寄る女性の姿と慌てたような声を最後に、僕の視界は暗闇に落ちていった。
……なにか冷たいものが僕の顔に当たる。
しっとりと濡れていてなにやら気持ちよかった。
うぅ、とうめき声を上げて僕は薄目を開いた。
「あ、良かった。気がつかれましたか」
正面に誰かの顔があった。
僕の顔を逆さまな状態で見下ろしてくる。声の主は目の前の者らしい。
なんだか頭の中にもやがかかったようではっきりしない。
僕はどうやら地面に横たわっているようだ。何かを頭の下に置いて枕にしているらしい。
顔に当たっているのはどうも濡らした手ぬぐいだったようだ。
「無理して起きたりしたらダメですよ。安静にしておかないと」
「…ここは?」
「魔法の森のはずれです。少し歩けば霧の湖ですよ」
「…そうか。僕は…どうなったんだ?」
「私が弾き飛ばしてしまって…ごめんなさい」
段々思い出してきた。
そうだ、僕は森の中を歩いていたんだ。そして誰かに声を掛けようとして…その誰かに吹き飛ばされた。
無理も無いか。女性にいきなり背後から声を掛けるというのはちと考え無しだったかな。
僕は自分のしたことを反省し、そして目の前に居る人物が僕が声を掛けようとした相手だったことに気がついた。
「…君が介抱してくれたのか。手間をかけさせてすまなかったね」
「いえ、とんでもないです。貴方を攻撃した私が悪いんですし、せめてこれくらいは」
「いやいや、無遠慮に声を掛けた僕が悪いんだ。さぞ驚いたことだったろうね」
「それは…まぁ、はい」
僕から見て逆さまの状態になった彼女が遠慮がちに頷く。やはり驚いたんだな。
次からちゃんと気をつけるようにしなくては…。相手が相手なら死ぬかもしれない。僕が。
と、ここまで考えてからふと違和感に思い当たった。
僕が横たわっているのはともかくとして、何故彼女は真上から逆さまの状態で見下ろしてくるんだ?
それが気になって顔を少し動かして辺りにきょろきょろと視線を巡らせる。
そして顔を正面に戻し、不思議そうに僕を覗き込んでくる彼女と視線を合わせてからようやく分かった。
膝枕されている。この娘に。
それに気づいて慌てて上半身を起こそうとしたが、相手に遮られて押し戻されてしまった。
「ダメですよ、まだ起きたら。頭を打ったんですから大事を取らないと」
「いや…だが、この状況は君に申し訳なくて」
「大丈夫ですよ。私、体力が自慢ですから」
「し、しかし」
「いいから寝ててください」
反論しようとしたが、彼女の言葉と頭の痛みによって叶わなかった。
ああ、まだ頭がガンガンする。よほど強く打ち付けてしまったようだ。
確かに無理に動いてしまっては悪化するかもしれない。
ここはお言葉に甘えて素直に体を預けるとしておくのが吉だろう。
「すまないね。名前も知らない初対面の君にこんなことを…」
「いいんですよ。貴方をここに放っておくわけにもいきませんし」
「優しいな、君は」
「そうですか?普通のことだと思いますけど」
「僕が悪者だとは思わないのかい?体力を取り戻したら君に襲いかかるかもしれないぞ」
「ん~…あなたはそんなことをするような人には見えませんし……それに……」
途中で言い淀んでから彼女はゆっくりと言葉を紡いだ。
「多分、貴方が襲いかかってきても余裕で勝てますから」
「………なるほど」
ぐうの音も出なかった。
そもそも彼女に一撃でのされてしまったのだから彼女に勝てる道理などない。
さっきの様子を見たところ武道を修めているようだし、僕など天地がひっくり返っても敵わないだろう。
そういえば、さっきの僕を吹き飛ばした攻撃はなんだったのかな。
僕が先ほどの記憶を回顧していると、彼女は続けて喋りかけてきた。
「美鈴です」
「ん?」
「私の名前。紅美鈴っていうんですよ」
「あ…ああ、そうなのか。これはすまない。僕の名前は森近霖之助だ」
「あれ、ということは、貴方が噂の香霖堂さん?」
唐突な自己紹介に僕も応じてやると、彼女は目をくりくりさせて聞き返してきた。
相手が自分の名前と店の名を知っていたことに僕は少なからず驚いた。
「知ってるのかい?」
「たまに咲夜さんが話してくれます。ほら、紅魔館ってご存知ですよね?私、あそこの門番なんですよ」
「なんと、そうだったのか……」
香霖堂に時折訪れる十六夜咲夜。僕の店の数少ないまともな常連客だ。
彼女は完全で瀟洒な従者として吸血鬼のレミリア・スカーレットに仕えている。
彼女が僕の店に来るのも大抵は彼女の主の命令によるのだが、その彼女達が暮らす場所がかの紅魔館である。
まさか目の前の相手があそこの関係者だとは思いもよらなかった。
「咲夜は…僕のことを普段なんと言っているのかな」
「ええと……き、聞きたいですか?」
「…とりあえずは聞かせてくれ」
「偏屈軟弱石頭」
「…………」
なんともはや、僕も知らない所でとんでもない評価を頂いていたものだ。
偏屈軟弱石頭とはなんというかもう、形容しがたい。彼女は何か僕に恨みでもあるのだろうか?
何か彼女に恨みを買うようなことをしただろうか……。
それにしても、美鈴と名乗る彼女は結構正直者のようだ。もう少しオブラートに包んでくれても良いものを。
僕のテンションが目に見えて落ちたのを見て取ったか、美鈴が慌ててフォローを入れてきた。
「で、でもそのあとに『だけど結構良い男かも』って言ってましたよ!」
「全然嬉しくないよ」
「いや、ホントに。咲夜さんって意外と照れ屋だから…素直に褒められないんですよ、多分」
さっきのような罵詈雑言は照れ屋だからという理由ですましていいのだろうか。
いや、ひょっとしたら魔理沙が咲夜に吹き込んだのかもしれないな。
あいつならこれくらいは言い兼ねないぞ。そうだそうに違いない。そう思っておこう。
適当に魔理沙に罪を擦り付けて現実逃避をしたところで僕は別の話題を振ってみた。
「君は門番なんだろう?こんなところに居て良いのかね」
「今日は珍しく休暇を頂いたので…少し修行をしようかと思って、森に」
「休みの日にわざわざ森で稽古か……真面目なんだな、君は」
「いえ、そんな。武道を修める者には一日たりとも修行を怠っていい日などないのです」
「それはスゴい。もし僕だったら三日坊主で終わりそうだな」
「あはは、それじゃ全然だめですよー」
可笑しそうに美鈴が笑った。
結構明るい性格の娘なのかな、とちらりと思った。
「さっきの僕への攻撃…あれはなんだったのかな」
「あれは…なんといいますか、気合です」
「き、気合なのか」
「ええと、気功術の一種でして……私は気を使う程度の能力を持っているんですよ」
「なるほど、気功か…」
気功術とは大陸に古くから伝わる体術のことである。
気とは生命エネルギーそのものであり、万物に等しく宿るものだ。
僕はもちろん、生きとし生けるものには全て気功が循環している。気を持たない人間や妖怪などこの世に居ないのだ。
もっとも、それを使いこなせるかどうかは別であるが。
どうやら彼女はそれを自由自在に扱う能力を持っているということらしい。
色々詳しく説明すると分類がややこしくなるので省くが、恐らくさっきのは内気功だと思われる。
内気功、もしくは内功とは呼吸と意識を使用して体内で気を練り上げる技術のことだ。
これを行うことにより体力、持久力、回復力などが格段に向上するという素晴らしいものであるらしい。
これを体術と組み合わせると、その威力は飛躍的なまでに高まるという。
「さっきは普通に体術と気功の訓練をしていたんですけど、いきなり声をかけられたからびっくりしちゃって…」
「とっさに練り上げていた気功を撃ち出してしまったということか」
「はい、どうもすみません」
「なに、繰り返すようだがこちらが悪いんだ。君が気に病むことはないよ」
「ありがとうございます。そう言って頂けるとこっちもなんだか楽ですね」
それきり会話が途絶えた。
空にある雲がゆっくりと流れ、さわさわと風が木々達の間を駆け抜ける音がする。
僕たちの頭上を鳥のさえずりが通り過ぎて行った。
その間も僕は美鈴の膝枕に頭を預けたままである。
会話があるうちはさほど気にもならなくなっていたが、会話が途切れると俄然それが気になり始めた。
そもそも会って間もない女性に膝枕をしてもらうこの状況というのは如何なものか。
なにやら気恥ずかしい思いがこみ上げてきて何か会話の糸口を見つけようと思っていると、美鈴が暢気そうにつぶやいた。
「なんか楽しいですね~」
「……あぁ?」
思わず間抜けが声が出てしまった事は否めない。
良い機会だったのでこれに乗じて体を起こして胡座を組み美鈴に向き直った。
「あ、もう大丈夫なんですか?」
「ああ、頭の痛みもだいぶ引いてきたよ。世話になったね」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「この手ぬぐいは僕が持ち帰って洗濯させてもらうよ。今度紅魔館へ返しに行くから」
「あ、ありがとうございます。私ってあまり門番の仕事休めないんで助かります」
美鈴が帽子の上から頭を掻いた。
水気を落として軽くする為に為に手ぬぐいを絞りながら僕は話の続きを促した。
「それで、何が楽しいんだって?」
「いや、森の中で風が吹いて鳥が鳴いてるって、なんだかとっても和みません?」
「……まあ、確かに」
「私って男の人とこんな感じでのんびりすることってあんまりないから、結構新鮮な気分です」
美鈴ののほほんとした口調にほだされたのか僕は脱力して笑ってしまった。
「こんな男と一緒に居たって、何も面白くはないだろう?」
「いえいえ、そんなことないですよ。森近さんって話に聞くよりかはだいぶ話しやすい人ですし」
「……そりゃああの言われようじゃね」
先ほど聞いた咲夜の僕に対する評価を思い出して僕はブルーな気持ちになった。
いやいや、あれは魔理沙が吹き込んだんだ。そう思わないとやってられない。
あまり幸せでない気分を吹き飛ばしてしまうように僕は続けた。
「そうそう、僕の名を呼ぶ時は名字は使わずに霖之助と呼んでくれ。そっちのが慣れてる」
「あれ、そうなんですか?初対面で下の名前で呼ぶのもどうかと思ったんですけど」
「もし気になるんなら屋号で呼んでもらっても構わないがね」
「ん~…それだとなんだか素っ気ないんで、霖之助さんって呼ぶことにしますね」
そうしてくれ、と僕が言うと美鈴は微笑んで頷いた。
その微笑みがなんだかあまりにも綺麗で、僕は何故か目線をそらしてしまった。
「霖之助さんって古道具屋でしたよね?なんでそれを始めようと思ったんですか?」
「道具が好きでね。僕の能力も道具に関係している。趣味と実益を兼ねてるのさ」
「へええ~~」
美鈴がこくこくと納得したように頷いた。
先ほどの笑顔といい、表情がころころと変わる娘なんだな。見ていて飽きない。
その様子がなんだか面白くて、僕は森の木々のもとに様々な蘊蓄を披露することにした。
次から次へと流れ出る僕の言葉に彼女は可笑しそうに笑ったり目を丸くして驚いたり相づちを入れたりしてくれた。
自分の話にここまで真剣に聞き入ってくれるのが嬉しくて、僕は時間を忘れて話すことに熱中してしまった。
「さて……すっかり話し込んでしまったようだ。もうそろそろ夕暮れだよ」
「あ、もうそんな時間ですか。なんだかあっという間でしたね~」
僕が我にかえって辺りを見回す頃にはすっかり夕焼け小焼けな時間帯となっていた。
美鈴も時が経つのも忘れて僕の話に聞き入っていたようでキョロキョロと周囲を眺めていた。
僕が立ち上がって手を差し伸べると美鈴は素直にそれを掴んで立ち上がった。
「なんだかすまなかったね。修行の邪魔をしたみたいになってしまった」
「いや、私も楽しかったですし、たまにはこういう日があってもいいですね」
「おやおや、一日たりとも修行は休めないんじゃなかったのかい?」
「霖之助さんが乱入して来なかったらちゃんと一日しっかりやってましたけどねぇ」
「ぐ……」
なじるように言われて言葉に詰まってしまう。正論であるが故に何も言えない。
言い返すことが出来ない僕の様子をみて美鈴は快活に笑った。
「あはは、冗談ですよぅ。別に恨んだりとかしてませんから」
「そう言ってくれるとありがたいよ」
僕は安堵の溜め息をついて苦笑した。
「さて、そろそろ帰らなくては。君は紅魔館に帰るのかな」
「はい。そこに住み込みで勤めてますから」
「そうか。それだと僕とは反対方向になるね。僕はあっちの方向だ」
「そうなんですか。それじゃここでお別れですね。さようなら、霖之助さん」
「ああ、また会おう、美鈴」
美鈴に別れの挨拶をして僕たちはお互いに踵を返した。
久々に充実した一日だったような気がする。
何を為したわけでもなかったが、こうした日もたまには悪くないものだ。
と、元来た道へ戻ろうと茂みへ入ろうとした時に後ろから声がかかった。
「霖之助さん!」
僕はその声が聞こえた方向を振り返る。
僕とは真逆の方向に歩いていた美鈴が同じく茂みに入ろうかという辺りでこちらに向かって立っていた。
そして大きく手を振ってから彼女は叫んだ。
「また面白いお話聞かせてくださいね!」
どこまでも底抜けに明るいその言葉に僕は笑みをこぼした。
そして両足の踵をきちっと揃え、慇懃に礼をしながらこう返してやった。
「その際は是非我が香霖堂をご贔屓に」
あれから、香霖堂に常連客が一人増えた。
仕事は大丈夫なのかと聞くと、なんと彼女は自分の主に直談判して週に一度の休暇を頂く約束を取り付けたらしい。
ただし、仕事の日は居眠りしてサボらずにキチンと仕事をこなすことが条件だそうだ。
君は居眠りをする門番だったのか、と僕が笑うと彼女は恥ずかしそうに俯き、それから小さな声で肯定の意を述べた。
彼女は一週間に一度僕の店に訪れる。
僕はお茶を淹れて彼女を歓迎し、彼女はそれを美味しそうに飲む。
僕の話に聞き入り、相づちを打ったりころころ変わる表情で様々な反応を見せてくれる。
そして帰る時には僕の店の品を一品、購入して帰っていってくれるのだ。
彼女と話をする時間が何より楽しいものに思え、僕は彼女が店を訪れる日を心待ちにするようになった。
そして、今日は一週間に一度のその日。
僕はちょっぴり高級なお茶を淹れて彼女が来るのを待つ。
ドアのカウベルがちりんと鳴った。僕は読んでいた本にしおりを挟んで閉じ、入り口の方に目を向ける。
そこには緑色のチャイナドレスに身を包み、そして緑色の帽子を被った女性が立っていた。
彼女は足取りも軽く僕のカウンターへ近付き、そしてうきうきとした嬉しそうな声で言葉を発した。
「こんにちは、霖之助さん。今日も貴方の面白いお話をたっくさん聞かせてくださいね!」
特に印象に残ったシーンもなく、だからどうしたの? って最後に聞きたくなる。
もうちょっと美鈴らしい惚けが欲しかったかな。
これからの作品にも期待しています。
それに中身も和やかで良い作品だと思います。
新作だぁ!!
と思ってたら気が付いたら読み終えていました!
今回もほのぼのと読みやすかったです!
美鈴がちょっと素直すぎる気もするけど、霖之助の付き合い相手がみんな今までひねくれすぎなんだろう。
相手がこれくらいまっすぐ向き合ってくるならさすがの霖之助も丸くなりますよ。
普通だけど、その普通さこそがいい話だと思う。
良作でございました。
楽しく読ませて頂きました。。