幻想郷の冬。
冷たい木枯らしが吹きすさび、人々は寒さを堪えて家路に急ぐ。
時刻は夕方、日の入りまで後一時間程といったところか。
どこまでも広がる茜色に染まる空。
人影のない人里へと通じる道にそびえる、一本の楠の枝に一人の妖精が腰掛けていた。
青い髪と、それを束ねる青いリボン。
身に纏うのは青い長袖のワンピースと、全体的に青い影、氷精チルノ。
太い枝に腰を降ろし、両足を宙でプラプラとさせ、その手には白紙の紙が握りながら、寒さなど微塵も感じぬままにかれこれ一時間ほどその場に留まっていた。
「んー………」
唸り、手元の紙を親の仇とばかりに睨みつけるチルノ。
その紙は、一片10ミリほどの小さな正方形が所狭しと敷き詰められており、紙質は異様に薄く風になびいてピラピラする、いわゆる作文用紙だった。
時期は暮れも迫る師走。
その字の如く、人里の寺子屋にて教鞭をとる上白沢慧音もまた年末年始に向けて何かと野暮用が増える。
そのため、明日から寺子屋は、いわゆる冬休みに突入することになったのだった。
しかしそこは教師である慧音。
しばらく無い授業の代わりにと、宿題をもっさりと出していた。
そして、そのうちの一つが今チルノが握っている紙、作文であったのだが―――
「………何、書けばいいんだろ」
作文というのは勿論ある決められたテーマに沿って文章を綴るものである。
だが困ったことにチルノは、その今回の作文のテーマを理解する事ができていなかった。
どうしたものか、と既に数時間悩み続けており、困った、と深い溜息を吐いた。
「はぁー………けーね忙しそうだったし………」
本来、分からない事は教師に聞けばいい。
だが、「先生、年末の警備についてですがー」「先生、初詣は守矢と博霊どっちに行けばー」「先生、一緒に除夜の鐘を煩悩の数だけ突きませんかー?」等とあれやこれやを尋ねにくる村人に囲まれた寺子屋の教師は、授業終了後すぐ慌ただしく何処かへと消えていった為、聞くことが出来なかった。
似つかわない溜息を吐きながら、チルノは白紙の紙を見つめる。
このままでは宿題が終わらない。
正直に話せば許してくれるかもしれないが、下手をすれば煩悩の数だけ頭突きが叩き込まれかねない―――その可能性が頭によぎれば、チルノはブルッ、と身を震わせる。
背筋に走る冷たいものと己の命の危機を感じ、何がなんでも完成させなくては、という思いに否が応にも駆られた。
「………よしっ!」
宿題は自分一人でやるもの―――普段から慧音が口をすっぱくして言っており、それこそが今までチルノが一人で悩み続けた理由だった。
だが、その宿題自体の意味が分からないなら仕方ない。
何とか一人で解決しようと孤独になれる場所で考え続けていたチルノだったが、遂に諦め、傍らに置いておいた手提げ袋に作文用紙を仕舞えば、一声、自らを鼓舞するように声を上げる。
慧音が駄目なら他の誰かに聞きけばいいじゃない、と立ち上がり決意した―――ところに近づく影。
「何が『よしっ!』なのですか?チルノさん」
「―――え? あ、文!」
翼を羽ばたかせ、夕焼けの空からゆっくりと降下してきたのはチルノの恋人でもある鴉天狗の射命丸文。
和風模様が入った白いシャツに黒いスカートといういつもの服装に加え、すみれ色のマフラー首に巻き、首からは愛用のカメラを下げている。
笑顔で手を振りながら、バサバサ、と羽を動かしてゆっくりと並び立つように木の枝に着地した文にチルノは目を輝かせた。
「どうも、チルノさん。今日も元気でしたか?」
「うん!あたいはいつでも元気だよ! ……あれ、でも文?今日何か大事な用事があったんじゃなかったの……?」
きょとん、とチルノは首を傾げて尋ねる。
年末年始は基本的に何処も忙しい。
それは天狗の社会でも同じ事であり、河童との技術交流の取り決めや各部署への予算の割り振り、来年の標語決め等の会議が連日行われており、文もそれに強制参加させられていたのだった。
会えることは単純に嬉しいが、仕事はどうしたのかと、恋人を不思議そうに見つめるチルノ。
ああ、それですか……と文は少し疲れた表情で笑い、パタパタと掌で顔へと風を送りながら答える。
「つい先ほど終わったんですよ、つまらない山の会議が。気分転換に空を飛んでいたら、チルノさんを見つけたというわけです」
飄々と答える文だが、半分嘘である。
定刻を回った為に会議が終了したのは事実であるが、その後、空を飛んだのは、二歩進んで三歩下がる会議自体と妖精を恋人としている文への奇異の目に対する嫌気から荒みそうな心をチルノの姿を見て癒そうと考えた為だった。
だが、そんな事は微塵も考えていないチルノは、それで会えたのだからなんと幸運なのだろう、と自然と笑顔になる。
「そうなんだ!文、お疲れさま!」
「いえいえ、ありがとうございます」
労いの言葉に文はお礼を言いつつ可愛い恋人の頭を優しく撫で、チルノはその感覚に、えへへ、と笑いながらうっとり、と気持ちよさそうに目を細めた。
そんな様子を見て、ああ癒される……!と小さく呟く文を、チルノはしばらく見詰めていたが、ふと心に疑問が過ぎると、ねぇねぇ、と撫でている腕の袖を引く。
「かいぎ、って何するの?」
「はぁ~………ぇ? そうですねー……寺子屋の授業よりもずっと長い時間椅子に座り続けてつまらない話をずっと聞き続けます」
「つまらないの?」
「ええ、それはもう……いきなり議題から外れて、これまで何度となく聞かされ続けてきた800年くらい昔の話し出されましてもねー……」
気の抜けたような癒しの表情から一変、先ほどの惨状を思い起こしたのか、何処か遠いところを見る文。
ぶつぶつ、と思わず愚痴を零す様子に、チルノはきょとん、と首を傾げ
「……つまり、どういうこと?」
「まぁ、早い話がとっても辛かったってことです、はい」
「辛いのにやらなくちゃいけないの?」
「そうですね……今更ですし、自分の使命は全うするだけですよ」
そっかー、と話の内容は半分ほどだけ理解したチルノは、笑顔を浮かべ、精一杯背伸びで文の頭へと手を伸ばし―――
―――撫で撫で。
「文は偉いねっ!」
「! ……ふふふ」
傍から見ると心温まるとも滑稽とも取れる状態であるが、突然の言葉と頭を撫でられる感触に文は一瞬驚きに目を丸くし、どこか懐かしむように優しく笑いだした。
チルノとしては、もっと驚いてくれても良いのに……と思いつつ、楽しそうに笑う恋人を不思議そうに見上げる。
「? どうしたの?」
「いえ、懐かしいなーと思いましてね……」
「? 頭撫でられることが?」
「いえ、違いますよ~」
「?? 変な文……」
クエスチョンマークを頭の上で乱舞させつつ、撫でていた手を降ろし、不思議そうに呟くチルノ。
とりあえず、どうにも自分の良くわからない事を懐かしむ恋人の様子に、なんだか一人置いていかれるような思いに、むー……と不服そうに眉を顰める。
実際は、かつて同じようなやり取りをしただけなのだが、昔の話だから覚えてるわけない、と文は人知れず苦笑を浮かべ、このまま不機嫌になってしまいそうな恋人の気を逸らす為に、それより、と話題を変える。
「チルノさんこそどうしたんですか? 先ほど、気合いをいれてるようでしたけど」
「! そうだった! あたい分からない事があったから誰かに聞きに行こうと思ってたんだった!」
思い出した、とばかりにぽん、とチルノは手を叩く。
しかしその様子に、おや?と文が不思議そうに首をかしげた。
「あれ?でも今日寺子屋の授業の日でしたよね? その時、慧音さんに聞かなかったんですか?」
「けーね、忙しそうだったの」
ああ、それなら仕方ないですねー、と呟く文を、ねえねえ、とチルノが下からのぞき込みながら尋ねる。
「文に聞いてもいい?」
「ええ、私に答えられることなら―――」
言掛け、いや待て、と文は考える。
基本的にチルノの思考は文の斜め上を行く。
もし「赤ちゃんってどうやったら出来るの?」とか聞かれたらどう対処すべきか―――
「? 文?だめ?」
「あ、ちょっと待ってくださいチルノさん。 今ベストアンサーを探してます」
確かそういう事の最初の教え方は―――?と、額に手を当てて必死に考える恋人の思いなどチルノに分かるはずもないが、待ってください、と言うことは答えられないわけではないのだろう、と考え、大人しく待っていた。
(―――コウノトリがキャベツを収穫して落下傘させる。うん、これだ!)
若干の混乱状態で出した謎の答えに文自身は満足し
「お待たせしました、チルノさん! さあ、何ですか―――?」
どんとこい自然現象、準備は万端と言わんばかりに笑みを浮かべ、ぽん、と胸を叩く文。
ようやく待て、の状態が解かれたチルノは、うん、と一つ頷き―――
「あのね、文。 夢って何?」
「…………お?夢、ですか?」
レタスじゃダメなのキャベツなの、と脳内で何ども繰り返したイメトレが完全に的を外した瞬間だった。
予想外、とばかりに文は、ぽかん、とチルノを見つめる。
「えーと………何でですか?」
いそいそ、と文はしゃがみ込んで視線を合わせながら考える。
夢とは何か、と聞いたからには夢の意味を知らないと言うということだろう―――。
将来的な目標のほうか、それとも眠りの際に見る夢なのか、それによって答え方も変わるというものである。
とにもかくにも、何を求めての質問かが分からずに、チルノ自身に問いただした。
「えっとね、けーねがね?しばらく授業できないから、って宿題もっさり出したの」
「もっさりですか」
「うん、もっさり」
これくらい、とチルノは両手でもっさり加減を表現する。
「それでね?作文で『将来の夢について書いてくるように』って言われたの」
「おおう、なるほど……それで夢だったんですね」
「うん、そう! ねぇ、文?夢ってなぁに?」
きょとん、と首を傾げるチルノを見て、文は、ふむ……と顎に手を当てる。
基本的に死の概念が無い妖精にとって、将来について思うということは実質意味を成さない。
一般的な妖精にとって、目標や目的といったものは、ある瞬間にふっ、と浮かぶものであり持続させるものではないのだ。
チルノが一般的な妖精か、となれば答えは否であるが妖精としての文化(?)に生きてきた彼女にとって、「夢」という言葉自体の概念が理解できなかったのだろう、と文は思った。
なんと説明したものか、と逡巡したのち、一言一言確かめるように喋り始める。
「夢……そうですね、将来的な目標や目的……つまりどういう風になりたいか、という思いの事ですね」
「えっと……つまり大きくなったら、なりたいことってこと……?」
「ええ、それも夢ですね」
しゃがんだまま視線の近いチルノの頭を、文は、良くできました、と一撫でする。
撫でられ、えへへ!と嬉しそうに破顔するチルノを見つつ、文は続ける。
「後は、たとえば普通じゃ簡単に手に入らないものが欲しい!というのも夢といえますね」
「そうなんだ! ふーん…………じゃあ、文は?」
「へ?」
「文の一番の夢って、なーに?」
己の夢。
それを尋ねられた文は、そうですね……と呟き困ったような苦笑を浮かべる。
久しく意識して夢を思い描いていなかったな、と文は思う。
例えば新聞の売り上げのトップをとる、というのも夢だろう。
もしくは、チルノとのこんな日常が続くことを願うことも夢といえる。
また、仲違いをして悠久の時が流れたあの天狗との和解も―――
「チルノさんと出会う前、ですが………何よりも大事な物を無くしてしまったことがありました。 昔は、それを何が何でも取り戻したいと強く思っていましたので………それが、一番の夢だったかもしれないですね」
そして、何よりも大切だった、と文が思えた事を思い出せば寂しそうに溜息を吐いた。
それを取り戻したいと願ったのが、一番の夢だったのだろう―――と。
「………文、大丈夫…………?」
そんな文の寂しさを機敏に感じたのか、深くは尋ねないまま、どこかしおらしくチルノが尋ねる。
ええ、と答えつつ文は彼女の背中に手を回し、軽い力で抱き寄せて大切そうに背中を撫でれば、おどけたように片目を閉じて笑う。
「勿論寂しくはありますけどね? でも、今ではそれも私の中で思い出になりましたし、それに今大事な物は一つだけですからねー」
突然の出来事にチルノはされるがまま、わぷっ、と文の肩口に顔を埋めたが、文が言わんとする言葉の意味に気が付けばすぐにえへへ、と笑い出す。
「あたいも文が大切だよ!」
「ふふふ、ええ、知っていますとも」
抱き寄せた背中をゆっくりと離しながら、お見通しですよ、と笑い、ところで、と文は改めてチルノを見詰める。
「それより、チルノさん? チルノさんの夢は決まりましたか?」
本題であるのは宿題であり、その作文のテーマであるチルノの『夢』だ。
文はまだ、そのチルノの『夢』を聞いていない。
きっとあれだろうなー、と文には思い当たる事があったがやはりここは聞くべきだろう、と尋ねた。
「うん! 目標なんだよね? えっとね―――最強!」
「ああ……やっぱりそれですか」
拳を空に突き上げながら満面の笑みで宣言するチルノを見て、くすり、と文は笑みを零す。
チルノが最強に執着しているのは、彼女とある程度交友のある人々にとっては周知の事実であったが―――
(……あれ? そういえば……)
だが、ふと文は疑問を感じた。
そもそも何故チルノは最強を目指すのか―――と。
えっへん、と胸を張るチルノへ「チルノさんチルノさん」と声をかける。
「そういえば、チルノさんが最強を目指す理由って何なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?? んーと、ほら! あたいが最強になれば誰も妖精をバカにしないでしょ?」
「妖精を馬鹿に、ですか……」
妖精は幻想郷内での立ち位置は低い。
それはひとえに基本的に何度でも蘇るという性質であり、それが故に多くの妖精が深い思考をしない為だ。
「つまり、チルノさんは最強を目指す事で妖精の地位の向上を目指しているんですか?」
誰も妖精を馬鹿にしない、という事はつまりそういう事だろう。
チルノが誰かに馬鹿にされたのかもしれない―――その可能性は確かにあった。
だが、子供らしいプライドを持っているチルノが自身を馬鹿だ、という事をそう簡単に認めるとは思えない。
馬鹿にされたくないが故に最強を目指すという受動的な行動原理は、文には考えにくいことだったし、もしその理由ならば「妖精を馬鹿に」ではなく「あたいを馬鹿に」と言うであろう。
そしてなにより、いまいち文には納得がいかなかった。
チルノはその無鉄砲さの割には周囲に気を配る。
だから、そういった妖精という種族全体の為に何かを成すということも不思議ではないと言えば不思議ではないのだが―――
(なんというか、らしくないですね……)
なんとなく、文は心の何処かにその答えに疑問を感じた。
如何に特異とはいえチルノも妖精である。
その思考原理は基本的に己がしたいことをする為の行動である。
故に、「妖精のためなのか?」という疑問形でチルノに尋ねた。
だが文の視線にチルノは、うーん…と声を出し悩んだ後に、一つ大きく頷いた。
「―――うん。 それはついでっ!」
「おや? ついで、ですか?」
はて、と文は首を傾げた。
だとするなら一体何が理由なのだろうか―――と文はチルノを見詰め続ける。
答えを求めるようなその視線に気付いた、チルノは
「―――文には内緒だよっ!」
えへへっ!と悪戯な笑みを浮かべた。
「え?!な、何でですか?!」
驚いたのは文だった。
素直という事は悪戯でもない限り隠し事はしない、という事だ。
そのため、今までそれ以外の事についてチルノが文に隠し事をしてきたことはなかったし、真面目な話題であれば一番の相談相手であった―――だが
「内緒ったらないしょーっ!」
「い、いやほら!隠し事は良くないですよ、チルノさん!?」
内心、夢の意味を語ってくれないチルノに若干傷つきつつ慌てて手を伸ばすが、チルノはその手から逃れるように、ふわり、と手提げ袋を持って空へと飛んでいく。
手の届かない場所へと行ってしまったチルノの行動にますます理解が出来ない文は、ええええええ?!と慌てて翼を広げてチルノの後を追おうとし―――
「あのね、文!」
「はい?!」
くるり、と宙に浮かんだまま体全体で振り返ると、後ろ手に手を組んでチルノは満面の笑顔を浮かべた。
「あたい頑張るからねっ!」
茜に紺が混じり始めた夕暮れを背景に、氷精の澄んだ声と笑顔が映える。
何処か幻想的なその光景に、今まさに飛び立たんとした文は目を奪われた―――
「いや、チルノさん、何を頑張るんですか?!まだ答えてもらってませんよ?! 私は騙されませんよ!」
「えー、文、しつこいっ!」
「ぬぐぁっ?! く、で、でも!そこまで言って置きながら言い逃げは卑怯ですよ?! 教えて下さいよっ!!」
「あははっ! やだー!」
が、我を取り戻し再び翼を羽ばたかせ、急いで空へと舞う。
しつこい、という言葉に一瞬たじろいだが、そこはブン屋の本分。
気になることには徹底的である―――勿論本気で嫌がられるようであるなら折れるのは文であるが。
だが、気まぐれなチルノは追ってくる文へ、くるり、と再び背を向けて空を目指す。
どこか楽しそうに夕焼けの空へと飛び出した妖精を追って、置いてかれまいと鴉は飛ぶ。
突如として始まった鬼ごっこ。
楽しそうな笑い声は空が漆黒に染まるその瞬間まで絶える事はなかった―――。
冷たい木枯らしが吹きすさび、人々は寒さを堪えて家路に急ぐ。
時刻は夕方、日の入りまで後一時間程といったところか。
どこまでも広がる茜色に染まる空。
人影のない人里へと通じる道にそびえる、一本の楠の枝に一人の妖精が腰掛けていた。
青い髪と、それを束ねる青いリボン。
身に纏うのは青い長袖のワンピースと、全体的に青い影、氷精チルノ。
太い枝に腰を降ろし、両足を宙でプラプラとさせ、その手には白紙の紙が握りながら、寒さなど微塵も感じぬままにかれこれ一時間ほどその場に留まっていた。
「んー………」
唸り、手元の紙を親の仇とばかりに睨みつけるチルノ。
その紙は、一片10ミリほどの小さな正方形が所狭しと敷き詰められており、紙質は異様に薄く風になびいてピラピラする、いわゆる作文用紙だった。
時期は暮れも迫る師走。
その字の如く、人里の寺子屋にて教鞭をとる上白沢慧音もまた年末年始に向けて何かと野暮用が増える。
そのため、明日から寺子屋は、いわゆる冬休みに突入することになったのだった。
しかしそこは教師である慧音。
しばらく無い授業の代わりにと、宿題をもっさりと出していた。
そして、そのうちの一つが今チルノが握っている紙、作文であったのだが―――
「………何、書けばいいんだろ」
作文というのは勿論ある決められたテーマに沿って文章を綴るものである。
だが困ったことにチルノは、その今回の作文のテーマを理解する事ができていなかった。
どうしたものか、と既に数時間悩み続けており、困った、と深い溜息を吐いた。
「はぁー………けーね忙しそうだったし………」
本来、分からない事は教師に聞けばいい。
だが、「先生、年末の警備についてですがー」「先生、初詣は守矢と博霊どっちに行けばー」「先生、一緒に除夜の鐘を煩悩の数だけ突きませんかー?」等とあれやこれやを尋ねにくる村人に囲まれた寺子屋の教師は、授業終了後すぐ慌ただしく何処かへと消えていった為、聞くことが出来なかった。
似つかわない溜息を吐きながら、チルノは白紙の紙を見つめる。
このままでは宿題が終わらない。
正直に話せば許してくれるかもしれないが、下手をすれば煩悩の数だけ頭突きが叩き込まれかねない―――その可能性が頭によぎれば、チルノはブルッ、と身を震わせる。
背筋に走る冷たいものと己の命の危機を感じ、何がなんでも完成させなくては、という思いに否が応にも駆られた。
「………よしっ!」
宿題は自分一人でやるもの―――普段から慧音が口をすっぱくして言っており、それこそが今までチルノが一人で悩み続けた理由だった。
だが、その宿題自体の意味が分からないなら仕方ない。
何とか一人で解決しようと孤独になれる場所で考え続けていたチルノだったが、遂に諦め、傍らに置いておいた手提げ袋に作文用紙を仕舞えば、一声、自らを鼓舞するように声を上げる。
慧音が駄目なら他の誰かに聞きけばいいじゃない、と立ち上がり決意した―――ところに近づく影。
「何が『よしっ!』なのですか?チルノさん」
「―――え? あ、文!」
翼を羽ばたかせ、夕焼けの空からゆっくりと降下してきたのはチルノの恋人でもある鴉天狗の射命丸文。
和風模様が入った白いシャツに黒いスカートといういつもの服装に加え、すみれ色のマフラー首に巻き、首からは愛用のカメラを下げている。
笑顔で手を振りながら、バサバサ、と羽を動かしてゆっくりと並び立つように木の枝に着地した文にチルノは目を輝かせた。
「どうも、チルノさん。今日も元気でしたか?」
「うん!あたいはいつでも元気だよ! ……あれ、でも文?今日何か大事な用事があったんじゃなかったの……?」
きょとん、とチルノは首を傾げて尋ねる。
年末年始は基本的に何処も忙しい。
それは天狗の社会でも同じ事であり、河童との技術交流の取り決めや各部署への予算の割り振り、来年の標語決め等の会議が連日行われており、文もそれに強制参加させられていたのだった。
会えることは単純に嬉しいが、仕事はどうしたのかと、恋人を不思議そうに見つめるチルノ。
ああ、それですか……と文は少し疲れた表情で笑い、パタパタと掌で顔へと風を送りながら答える。
「つい先ほど終わったんですよ、つまらない山の会議が。気分転換に空を飛んでいたら、チルノさんを見つけたというわけです」
飄々と答える文だが、半分嘘である。
定刻を回った為に会議が終了したのは事実であるが、その後、空を飛んだのは、二歩進んで三歩下がる会議自体と妖精を恋人としている文への奇異の目に対する嫌気から荒みそうな心をチルノの姿を見て癒そうと考えた為だった。
だが、そんな事は微塵も考えていないチルノは、それで会えたのだからなんと幸運なのだろう、と自然と笑顔になる。
「そうなんだ!文、お疲れさま!」
「いえいえ、ありがとうございます」
労いの言葉に文はお礼を言いつつ可愛い恋人の頭を優しく撫で、チルノはその感覚に、えへへ、と笑いながらうっとり、と気持ちよさそうに目を細めた。
そんな様子を見て、ああ癒される……!と小さく呟く文を、チルノはしばらく見詰めていたが、ふと心に疑問が過ぎると、ねぇねぇ、と撫でている腕の袖を引く。
「かいぎ、って何するの?」
「はぁ~………ぇ? そうですねー……寺子屋の授業よりもずっと長い時間椅子に座り続けてつまらない話をずっと聞き続けます」
「つまらないの?」
「ええ、それはもう……いきなり議題から外れて、これまで何度となく聞かされ続けてきた800年くらい昔の話し出されましてもねー……」
気の抜けたような癒しの表情から一変、先ほどの惨状を思い起こしたのか、何処か遠いところを見る文。
ぶつぶつ、と思わず愚痴を零す様子に、チルノはきょとん、と首を傾げ
「……つまり、どういうこと?」
「まぁ、早い話がとっても辛かったってことです、はい」
「辛いのにやらなくちゃいけないの?」
「そうですね……今更ですし、自分の使命は全うするだけですよ」
そっかー、と話の内容は半分ほどだけ理解したチルノは、笑顔を浮かべ、精一杯背伸びで文の頭へと手を伸ばし―――
―――撫で撫で。
「文は偉いねっ!」
「! ……ふふふ」
傍から見ると心温まるとも滑稽とも取れる状態であるが、突然の言葉と頭を撫でられる感触に文は一瞬驚きに目を丸くし、どこか懐かしむように優しく笑いだした。
チルノとしては、もっと驚いてくれても良いのに……と思いつつ、楽しそうに笑う恋人を不思議そうに見上げる。
「? どうしたの?」
「いえ、懐かしいなーと思いましてね……」
「? 頭撫でられることが?」
「いえ、違いますよ~」
「?? 変な文……」
クエスチョンマークを頭の上で乱舞させつつ、撫でていた手を降ろし、不思議そうに呟くチルノ。
とりあえず、どうにも自分の良くわからない事を懐かしむ恋人の様子に、なんだか一人置いていかれるような思いに、むー……と不服そうに眉を顰める。
実際は、かつて同じようなやり取りをしただけなのだが、昔の話だから覚えてるわけない、と文は人知れず苦笑を浮かべ、このまま不機嫌になってしまいそうな恋人の気を逸らす為に、それより、と話題を変える。
「チルノさんこそどうしたんですか? 先ほど、気合いをいれてるようでしたけど」
「! そうだった! あたい分からない事があったから誰かに聞きに行こうと思ってたんだった!」
思い出した、とばかりにぽん、とチルノは手を叩く。
しかしその様子に、おや?と文が不思議そうに首をかしげた。
「あれ?でも今日寺子屋の授業の日でしたよね? その時、慧音さんに聞かなかったんですか?」
「けーね、忙しそうだったの」
ああ、それなら仕方ないですねー、と呟く文を、ねえねえ、とチルノが下からのぞき込みながら尋ねる。
「文に聞いてもいい?」
「ええ、私に答えられることなら―――」
言掛け、いや待て、と文は考える。
基本的にチルノの思考は文の斜め上を行く。
もし「赤ちゃんってどうやったら出来るの?」とか聞かれたらどう対処すべきか―――
「? 文?だめ?」
「あ、ちょっと待ってくださいチルノさん。 今ベストアンサーを探してます」
確かそういう事の最初の教え方は―――?と、額に手を当てて必死に考える恋人の思いなどチルノに分かるはずもないが、待ってください、と言うことは答えられないわけではないのだろう、と考え、大人しく待っていた。
(―――コウノトリがキャベツを収穫して落下傘させる。うん、これだ!)
若干の混乱状態で出した謎の答えに文自身は満足し
「お待たせしました、チルノさん! さあ、何ですか―――?」
どんとこい自然現象、準備は万端と言わんばかりに笑みを浮かべ、ぽん、と胸を叩く文。
ようやく待て、の状態が解かれたチルノは、うん、と一つ頷き―――
「あのね、文。 夢って何?」
「…………お?夢、ですか?」
レタスじゃダメなのキャベツなの、と脳内で何ども繰り返したイメトレが完全に的を外した瞬間だった。
予想外、とばかりに文は、ぽかん、とチルノを見つめる。
「えーと………何でですか?」
いそいそ、と文はしゃがみ込んで視線を合わせながら考える。
夢とは何か、と聞いたからには夢の意味を知らないと言うということだろう―――。
将来的な目標のほうか、それとも眠りの際に見る夢なのか、それによって答え方も変わるというものである。
とにもかくにも、何を求めての質問かが分からずに、チルノ自身に問いただした。
「えっとね、けーねがね?しばらく授業できないから、って宿題もっさり出したの」
「もっさりですか」
「うん、もっさり」
これくらい、とチルノは両手でもっさり加減を表現する。
「それでね?作文で『将来の夢について書いてくるように』って言われたの」
「おおう、なるほど……それで夢だったんですね」
「うん、そう! ねぇ、文?夢ってなぁに?」
きょとん、と首を傾げるチルノを見て、文は、ふむ……と顎に手を当てる。
基本的に死の概念が無い妖精にとって、将来について思うということは実質意味を成さない。
一般的な妖精にとって、目標や目的といったものは、ある瞬間にふっ、と浮かぶものであり持続させるものではないのだ。
チルノが一般的な妖精か、となれば答えは否であるが妖精としての文化(?)に生きてきた彼女にとって、「夢」という言葉自体の概念が理解できなかったのだろう、と文は思った。
なんと説明したものか、と逡巡したのち、一言一言確かめるように喋り始める。
「夢……そうですね、将来的な目標や目的……つまりどういう風になりたいか、という思いの事ですね」
「えっと……つまり大きくなったら、なりたいことってこと……?」
「ええ、それも夢ですね」
しゃがんだまま視線の近いチルノの頭を、文は、良くできました、と一撫でする。
撫でられ、えへへ!と嬉しそうに破顔するチルノを見つつ、文は続ける。
「後は、たとえば普通じゃ簡単に手に入らないものが欲しい!というのも夢といえますね」
「そうなんだ! ふーん…………じゃあ、文は?」
「へ?」
「文の一番の夢って、なーに?」
己の夢。
それを尋ねられた文は、そうですね……と呟き困ったような苦笑を浮かべる。
久しく意識して夢を思い描いていなかったな、と文は思う。
例えば新聞の売り上げのトップをとる、というのも夢だろう。
もしくは、チルノとのこんな日常が続くことを願うことも夢といえる。
また、仲違いをして悠久の時が流れたあの天狗との和解も―――
「チルノさんと出会う前、ですが………何よりも大事な物を無くしてしまったことがありました。 昔は、それを何が何でも取り戻したいと強く思っていましたので………それが、一番の夢だったかもしれないですね」
そして、何よりも大切だった、と文が思えた事を思い出せば寂しそうに溜息を吐いた。
それを取り戻したいと願ったのが、一番の夢だったのだろう―――と。
「………文、大丈夫…………?」
そんな文の寂しさを機敏に感じたのか、深くは尋ねないまま、どこかしおらしくチルノが尋ねる。
ええ、と答えつつ文は彼女の背中に手を回し、軽い力で抱き寄せて大切そうに背中を撫でれば、おどけたように片目を閉じて笑う。
「勿論寂しくはありますけどね? でも、今ではそれも私の中で思い出になりましたし、それに今大事な物は一つだけですからねー」
突然の出来事にチルノはされるがまま、わぷっ、と文の肩口に顔を埋めたが、文が言わんとする言葉の意味に気が付けばすぐにえへへ、と笑い出す。
「あたいも文が大切だよ!」
「ふふふ、ええ、知っていますとも」
抱き寄せた背中をゆっくりと離しながら、お見通しですよ、と笑い、ところで、と文は改めてチルノを見詰める。
「それより、チルノさん? チルノさんの夢は決まりましたか?」
本題であるのは宿題であり、その作文のテーマであるチルノの『夢』だ。
文はまだ、そのチルノの『夢』を聞いていない。
きっとあれだろうなー、と文には思い当たる事があったがやはりここは聞くべきだろう、と尋ねた。
「うん! 目標なんだよね? えっとね―――最強!」
「ああ……やっぱりそれですか」
拳を空に突き上げながら満面の笑みで宣言するチルノを見て、くすり、と文は笑みを零す。
チルノが最強に執着しているのは、彼女とある程度交友のある人々にとっては周知の事実であったが―――
(……あれ? そういえば……)
だが、ふと文は疑問を感じた。
そもそも何故チルノは最強を目指すのか―――と。
えっへん、と胸を張るチルノへ「チルノさんチルノさん」と声をかける。
「そういえば、チルノさんが最強を目指す理由って何なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?? んーと、ほら! あたいが最強になれば誰も妖精をバカにしないでしょ?」
「妖精を馬鹿に、ですか……」
妖精は幻想郷内での立ち位置は低い。
それはひとえに基本的に何度でも蘇るという性質であり、それが故に多くの妖精が深い思考をしない為だ。
「つまり、チルノさんは最強を目指す事で妖精の地位の向上を目指しているんですか?」
誰も妖精を馬鹿にしない、という事はつまりそういう事だろう。
チルノが誰かに馬鹿にされたのかもしれない―――その可能性は確かにあった。
だが、子供らしいプライドを持っているチルノが自身を馬鹿だ、という事をそう簡単に認めるとは思えない。
馬鹿にされたくないが故に最強を目指すという受動的な行動原理は、文には考えにくいことだったし、もしその理由ならば「妖精を馬鹿に」ではなく「あたいを馬鹿に」と言うであろう。
そしてなにより、いまいち文には納得がいかなかった。
チルノはその無鉄砲さの割には周囲に気を配る。
だから、そういった妖精という種族全体の為に何かを成すということも不思議ではないと言えば不思議ではないのだが―――
(なんというか、らしくないですね……)
なんとなく、文は心の何処かにその答えに疑問を感じた。
如何に特異とはいえチルノも妖精である。
その思考原理は基本的に己がしたいことをする為の行動である。
故に、「妖精のためなのか?」という疑問形でチルノに尋ねた。
だが文の視線にチルノは、うーん…と声を出し悩んだ後に、一つ大きく頷いた。
「―――うん。 それはついでっ!」
「おや? ついで、ですか?」
はて、と文は首を傾げた。
だとするなら一体何が理由なのだろうか―――と文はチルノを見詰め続ける。
答えを求めるようなその視線に気付いた、チルノは
「―――文には内緒だよっ!」
えへへっ!と悪戯な笑みを浮かべた。
「え?!な、何でですか?!」
驚いたのは文だった。
素直という事は悪戯でもない限り隠し事はしない、という事だ。
そのため、今までそれ以外の事についてチルノが文に隠し事をしてきたことはなかったし、真面目な話題であれば一番の相談相手であった―――だが
「内緒ったらないしょーっ!」
「い、いやほら!隠し事は良くないですよ、チルノさん!?」
内心、夢の意味を語ってくれないチルノに若干傷つきつつ慌てて手を伸ばすが、チルノはその手から逃れるように、ふわり、と手提げ袋を持って空へと飛んでいく。
手の届かない場所へと行ってしまったチルノの行動にますます理解が出来ない文は、ええええええ?!と慌てて翼を広げてチルノの後を追おうとし―――
「あのね、文!」
「はい?!」
くるり、と宙に浮かんだまま体全体で振り返ると、後ろ手に手を組んでチルノは満面の笑顔を浮かべた。
「あたい頑張るからねっ!」
茜に紺が混じり始めた夕暮れを背景に、氷精の澄んだ声と笑顔が映える。
何処か幻想的なその光景に、今まさに飛び立たんとした文は目を奪われた―――
「いや、チルノさん、何を頑張るんですか?!まだ答えてもらってませんよ?! 私は騙されませんよ!」
「えー、文、しつこいっ!」
「ぬぐぁっ?! く、で、でも!そこまで言って置きながら言い逃げは卑怯ですよ?! 教えて下さいよっ!!」
「あははっ! やだー!」
が、我を取り戻し再び翼を羽ばたかせ、急いで空へと舞う。
しつこい、という言葉に一瞬たじろいだが、そこはブン屋の本分。
気になることには徹底的である―――勿論本気で嫌がられるようであるなら折れるのは文であるが。
だが、気まぐれなチルノは追ってくる文へ、くるり、と再び背を向けて空を目指す。
どこか楽しそうに夕焼けの空へと飛び出した妖精を追って、置いてかれまいと鴉は飛ぶ。
突如として始まった鬼ごっこ。
楽しそうな笑い声は空が漆黒に染まるその瞬間まで絶える事はなかった―――。
お遊びほどのスピードで空を舞いながら、氷精は、考える。
大好きな鴉は天狗であるが故、妖精たる自分と恋人でいるために馬鹿にされる。
それは妖精が一般的に、多くの者にとって取るに足らない存在だからだ、と。
鴉が天狗を辞める事はないだろう。
ならば―――己が最強になれば良い。
もしも、妖精である己が誰よりも強くなれば、誰も妖精を馬鹿にしなくなる。
そうなれば、大好きな恋人もまた、誰からも馬鹿にされなくなる――――
背後から迫ってきているバサバサ、という音を聞きながら氷精は想う。
恐らくこの事を告げれば、恋人は何を馬鹿なことを、と呆れ顔で笑うのだろう。
それでも、己が為に恋人が馬鹿にされるのは我慢ならない―――と。
何時の日か、なんの憂いもなく大好きな隣に立つ。
そんな『夢』を心に描きながら、いずれ捕まると分かっている鬼ごっこに興じる。
元より、幻想郷最速である恋人に勝てる訳がないと、妖精には分かっている。
だから先ほどから言い訳を考えていたが、聡明な天狗に中途半端な嘘は通じない。
抱きついたら誤魔化せるかな?―――そんな事を思う背中に、そっと手が触れた。
大好きな鴉は天狗であるが故、妖精たる自分と恋人でいるために馬鹿にされる。
それは妖精が一般的に、多くの者にとって取るに足らない存在だからだ、と。
鴉が天狗を辞める事はないだろう。
ならば―――己が最強になれば良い。
もしも、妖精である己が誰よりも強くなれば、誰も妖精を馬鹿にしなくなる。
そうなれば、大好きな恋人もまた、誰からも馬鹿にされなくなる――――
背後から迫ってきているバサバサ、という音を聞きながら氷精は想う。
恐らくこの事を告げれば、恋人は何を馬鹿なことを、と呆れ顔で笑うのだろう。
それでも、己が為に恋人が馬鹿にされるのは我慢ならない―――と。
何時の日か、なんの憂いもなく大好きな隣に立つ。
そんな『夢』を心に描きながら、いずれ捕まると分かっている鬼ごっこに興じる。
元より、幻想郷最速である恋人に勝てる訳がないと、妖精には分かっている。
だから先ほどから言い訳を考えていたが、聡明な天狗に中途半端な嘘は通じない。
抱きついたら誤魔化せるかな?―――そんな事を思う背中に、そっと手が触れた。
ほんと、相思相愛だなぁ、この二人。
後、後書きwwww
文の為に頑張るチルノちゃんかわいいよ!
最強にこだわる理由をラスト見る前に思い至ったあたり、氏の文チルに染まったなぁと思いましたw
可愛すぎるから仕方ないね。
いえ、十分甘かったですよ。ごちそうさまです。
あぁ、文チルだなぁ……
恋人のために最強になるって恰好良いじゃないですか
周囲公認の仲と言うのでなく、一部から疎まれているという状況も中々
前作も読んできまっす
あwwとwwがwwきww
チルノは良い子。
夏→秋→冬と読んできましたが段々と面白くなってきている気がします。
ちょくちょく伏線が見えてきました。
文のことを全部覚えているチルノが覚えていない昔の事ですとか。
大切なものですとか。
この二人、ある意味最強だわ