Coolier - 新生・東方創想話

Coward Insensitive

2011/10/06 21:16:16
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御一読あれ注意書き


前作【Contrainess Jealousy】の続きとなります
さとり×パルスィ でも薄い
口調や性格の崩壊及び過去捏造
とにかく薄いです、大事な事です
甘くも無いです。これも大事な事です

それではブラウザバックかスクロールバーダウン


























燃える程 寒かった
凍える程 熱かった

どちらがどちらなんて結局はさしたる違いも無くて、ただ燃え尽きそうな程寒い水底だけが私の棺桶だった
全てを燃やし尽して灰にして 全てを凍らせて止めてしまうしか、その時の私は考える事しかできなかった






何かが私を呼んでいた

おめでとう おめでとう 馬鹿な奴め

祝福と呪殺の声がワンワンと響き渡っている

けらけらけらけらあはははははけらけらけらけらけらけらけらけらははははあはははあはははは

幸せと不幸
裏切りと信頼

それも、私にはさしたる違いは無いものだった
どちらも等しくくだらない、くだらなすぎて反吐が出る

だから私はあっさりと、初めて人間を殺した

















[孤独な土蜘蛛と陰気な鬼]

「んで?パルちゃんはそのままさとりちゃんに何もしなかったわけ?」
「ぶふぅっ!?」

人が飲み物を飲んでいるときにいきなりそんなことを言うんじゃない、そういった常識をこいつらはどうにも縦穴のどこかに落っことしてきたとしか思えない。遠慮容赦無くこっちの気道に飲み物を詰まらせようとしてきやがる、妖怪の身とはいえ相当苦しいんだぞ。
えげつない攻撃をぽへっと仕掛けてくるこいつは自分が飼っている病原菌に脳味噌のどこかをやられたとしか思えない、私は主に思考回路だと踏んでいるのだが。

黒谷ヤマメ、こいつの名前だ、まごう事無く正真正銘純度100%こいつの名前だ、それはこいつが私に対して一つも嘘をついていなければの話だが、私には判別できないのでその自称の名前で呼んでいる。
なにせこいつは嘘つきで、他人を騙しては「へ?私がいつ嘘をついたの?」と惚けている様な奴だ、その言葉の真偽すらも判別できない程の嘘つきなので彼女の言葉が果たして嘘なのかそうでないのかは付き合いが程よく長くなった今でも判別することができない。恐らくそれを分かる事が出来るのはさとりぐらいしかいないだろう。
からかう事、ばら撒く事、引っ掛ける事、彼女がやる事をあげていったらきりが無いだろうからここら辺で糾弾はやめておくことにしよう。
兎に角、私がいきなりそんな説明を考えて現実逃避してしまう程ヤマメの言った事は唐突で荒唐無稽でどこをどう絡めてばらして分解すればそんな結論が出るのか分からない様な答えだった。

「パルちゃん、そう言うのを据え膳喰わねば男の恥って言うんだよ?知らない?」
「あんたは私が女だって言う事を知らないのかしら?」
「えっ?そうなの?」
「うん、いい加減はっ倒されるかここらで大人しく退散するか選びなさい」
「じゃあ手の届かない範囲に逃げてからからかう」

地底に住んでいる奴らと言うのはどうしてこうも厄介な性格の奴が跋扈しているのか、それはここが地上の塵溜めと言っても過言ではない様な所だからな。そんな性格の奴らが居ても何ら不自然ではないしそんな性格でなければこの地底ではやっていけないのだ。
だが、そいつらが、そんな奴らの中でも指折りの厄介な奴らがなぜ私の周囲に集まるのかはとんとわからない、しかも私が一番苦手な詮索好きにして誰かをからかったり誰かの迷惑を顧みなかったり妬む心さえ持っていないようなあっぴろげで底なしに明るい奴らが集まるのか、それについては答えを言える者はどこにもいないだろう、誰か私に教えてくれ、誰にも無理だろうけど。

「だってさー、パルちゃん全然オンナノコらしいところないじゃん、着る物食べる物好きな物嫌いな物住む場所趣味仕事其の他諸々それっぽいところないし。あ、和菓子好きな所忘れていた。ともかくパルちゃんはオンナノコっぽくないのね」

おのれ、こっちが黙っているのを良い事に好き勝手言う、確かに体型的には溢れる嫉妬と言うのはあるもののこっちだって多少なりとも女らしくしとるぞ。
そう言おうと思った私はいきなり後ろから頭をぐわしと掴まれてそのままわしわしと乱暴に撫でられることとなった、後ろを見なくともこんな傍若無人にして妬ましいほど快活な声がどんな厄介な奴かは嫌になるほど分かっている、正直痛い。

「同意だ、パルっこは全然女らしくない」
「…その言葉は絶対あんたには言われたくなかったわ」
「あれま、勇儀じゃん、いつの間に居たの?」
「いやさ、橋に向かって歩いていたら何だか面白そうな話が聞こえてきたから走って来たのよ」
「…その結果あんな地面に抉る様な溝ができたと」
「いやー、最近走り込んで無いから思いっきり走っちゃったよ」

どう見ても半端じゃない溝の深さとその全長を見ながら無意識に唾を飲み込んだ、どう“軽く”走り込めばあんな小規模天災レベルの溝ができるんだ。しかしこの脳筋常時酔っ払い妖怪に聞いたところで「いやさ、ただ走っただけだよ」とか言うに決まってるし、そんな答えを聞いたところで何の参考にもならないのは分かりきった事なので黙っている事にした、知らない方が良い事もあるのだ。それにしても頭が痛い。

「…勇儀、そろそろ痛いから撫でるの止めてほしいんだけど」
「おりょ?パルっこ痛いのかい?こりゃあしまったな、手加減して子猫を撫でる程度でやってたんだが」

勇儀が普段撫でている子猫と言うのはどうやら馬鹿でかい虎レベルの猫なのだろう、そうでなければこの痛さの理由が付けられない、単に私が打たれ弱いのかもしれないがそうとは考えづらい、なにせ気を抜いてたら首がぽろっと行きそうな程ぐりぐりやられてたし、私が知っている子猫レベルじゃころっと逝ってしまうだろう。こいつは手加減と言うものを知らないのか手加減できないのか、どちらにせよその力は妬ましい事極まりない。
大体手加減したと言っているがこいつが手加減の概念を知っているのかすらも怪しいし酒を飲んでいる今現在は理解していても体が理解していない可能性だってあるのだ。

「あはは~、パルちゃん不機嫌そうな顔だ」
「おっ?どうした?また撫でてほしいのか?」
「…あんたらは…」

返事するのすらだるい、どうして私の周りには奇人変人が、世の中一般に出回るそれにさらに輪をかけた奇人変人が選り取り見取り手取り足取り出てくるのか、あれか、私の先祖が何かしたのか、もしかして子孫代々まで祟っちゃるって話か。何をしてしまったんだ私の先祖は。
兎も角、その理由が何であれ、私が精神的に苦労しているという現実には変わらないが。
こんなことが日常茶飯事なので私の精神疲労度は高めツモ、地霊殿の連中も付いて裏ドラどん、数え役満級だ。

「…………」
「お~い?パルちゃーん?起きてるぅ~?」
「いやさ、死んでるかもしれん」
「そりゃ大変だぁ!すぐにお医者さんを呼ばないと!」
「いや待て、その前にパルっこの秘蔵菓子が戸棚にあったはずだ、まずはそいつをゆっくりと食ってから行こうじゃないか」
「それは妙案、では早速」
「…あんたら…いい加減にしなさい…」
「あ、生きてた」
「知ってたけどね」

厄介な連中に対する一番の対処法は無視を決め込む事だと言う事は分かっている、そしていつもそれを心掛けて実行しているつもりだ、だがそんな事で引っ込む様なら地底の住民はやっていられないぜ!とでも言いたいかのようにこいつらはこちらに話しかけてくる。
理由も無く話しかけられる身としてはたまった物では無い、折角橋で何も考えなくていい時間を満喫していたら急に上から降って来がしら「今日は地上で雨の気配がするぜパルちゃん!」とか言いながらそのまま落ちて行ってこっちの胆を潰すわ旧都で買い物をしていると「おうパルっこ!飲むぞ!」とか言われていきなり宴会にもつれ込んで気がつくと死屍累々酔っぱらい死体山脈の上に居るわ時々スカートの中身を覗こうとしてくるわ。
そう言えばいきなり首筋を舐められたりいきなりうなじのあたりをくんくんと嗅がれたりいきなり背中に乗っかってきたりする奴がいるのだが未だに犯人が分からない、振り向くと姿が見えないのだ。あれはもしかするとこのどちらかが原因なのか、事実次第では鉄拳制裁もありうる話だ、どちらも軽く避けたり喰らっても平気だったりしそうだが、妬ましい。

「パルちゃんパルちゃん、この地底のファッションリーダーことヤマメちゃんが直々にプロデュースしてあげようか?きっと女の子っぽくなれるよ!」
「おう任せろ!必ずパルっこを特攻服の似合う女らしくしてやる!」
「勇儀、あなたひょっとしなくても相当飲んでるでしょ?一回永眠してみる?」
「そいつは良い考えだなパルっこ!」

ああ面倒くせえ、この酔っ払い果てしなく面倒くせえ、これは話が繋がらないってレベルじゃなく向こうが話を創り上げてるレベルだ。善意で行ってる悪行と同じぐらい面倒くさい。
ヤマメはヤマメでけらけら笑ってるし、どうしてこうもこいつらはマイペースで自分勝手で自由奔放で自己主張が激しいのだろうか。こいつらの所為で私の地底ライフは全く疲れっぱなしだ。





ここに来たときは
もっと静かで
もっと暗くて
もっと寒いと思ってたのに

どこまでも上へ上へと続く闇を見ながら落ち着けると思っていたのに
どこまでも静かで暗いこの場所でただ静かに泣けると思っていたのに





…頭痛がする、今日は気分が何となく悪いから、後で薬を飲んで寝ようか、こいつらが静かにしてくれるかは分からないけれどもそれぐらいの気遣いの心くらいはあると信じよう。ひょっとするとそれすら無いかもしれないが、その時はその時だ、実力行使でも何でもしてやろう。

「んで、嫉妬に定評のある橋姫さん」
「もしくは、鈍感な事に定評のある橋姫さん」
「残りは最近金欠な事に定評のある橋姫さん」
「ついでに和菓子が好きな橋姫さん」
「ああ、そうだあとは…」
「煩い少し黙れ虫と酔っ払いが」

おっと失敗、ついつい本音が出てしまった
意外に思われるかもしれないが普段私は本音をストレートに言った事が殆ど無い。
全く真反対のことを言うか、思っても無いことを言うか、少し薄めて言うかのどれかだ、隠す事によって不満が溜まり、それもまた嫉妬の一つとなる。それに言いたい事を全て行ってしまったらそこには何も残らないのだ、嫉妬は私の本音では無く本能に近いし。
さとりはその事に関して非常に気持ちの悪い物を見るかのような目でこちらを見るがそんな事は関係ない、これは私の規則であり、生き方であり、生きざまだ、他人にとやかく言われる筋合いはない。
ふいと目の前にいる二人を見るとお互いに目を合わせながら「…やべぇな、やりすぎたか」「まだ行けると思ったんだけどね」とか言ってた、五寸釘で脳天かち割ってやろうか。

「それにしてもだ、パルちゃんは本当ににぶちんだねぇ」
「据え膳食わないとは流石橋姫だ、話が違ぇや!」

二人は呆れたようなどこか面白い物を見るような目で見てくる、そんなに私が何もしなかったことが珍しいのか、どこが面白いと言うのか。

「一緒に風呂入って飯食って同じ布団で寝るとなりゃあそりゃもうあとはやる事と言ったら一つに決まってるだろう」
「勇儀さんよう、こいつはやっちまったほうがよくねえかい?」



そう言いながら笑う二人を、私はどこか冷めた目をしてみていた。
頭が痛い、目の前の馬鹿騒ぎを見ていたせいもあるがどうにも頭が痛い。
ずきずきと締め付けるように痛むのだ、あんまり痛いせいで目の前が霞んで見える程に痛いのだ。





ああ、今日はどうにも調子が悪い
調子だけでなく気分も何もかもが悪い、厄日だ
どうにも悪い、なにもかもが悪い
あんまりにも悪いから、今日は誰かを××しようか





ふいとそこまで考えて私はぼうっと霞がかった頭で愕然とした
一体何を考えているのだ、ここにはそんな人間なぞ居ないと言うのに、なぜ私はまた古腐った感情を想起しているのだ。

「パルっこ、なに考えてるんだ」

ぼうっとした意識でいると外側から声が聞こえた、この声は勇儀だろうか。
さっきとは打って変わってなぜか心配そうな声色だったが。
問題無い、そう言おうとして全然大丈夫では無い事に気がついた、意識が今にも断絶しそうな程に痛む。

「…頭が痛いわ」
「…家まで送って行くか?」
「いいわ、この距離なら自分で帰れる」
「そうか」

話したら痛みが僅かに引いたのか、目の前の霞が取れてきた
勇儀はヤマメを呼んで旧都の方に向かうようだ、私を気遣っての事だろうが折角気遣ってくれるなら此処には来ないでほしい、また頭が痛む。




ずるずると足を引きずりながら家の方へと向かう
ああ、今日はやはり厄日だ、そう感じた私の背中に誰かが声をかけた気がした。













―――――パルちゃん、大丈夫だと思う?

―――――妖怪は頭痛程度ではくたばらんよ

―――――まあそうだけどさ、それにしても何も思ってないんだね、さとりの事、嫌いなのかな、どうでもいいけど

―――――…パルスィはさとりの事は気に入ってるよ、間違いなく

―――――へー…で、じゃあなんで何も思ってない様に振る舞うのさ

―――――ぞりゃあ実際何も思ってないからさ

―――――なにそれ

―――――パルスィがパルスィ故に、まあ私らが出る幕は無いだろうな

―――――ふーん、で次はどこ行く?

―――――さとりの所でも行くか、飯奢って貰えるかも

―――――あ、丁度昼頃だしね、賛成!

―――――じゃあ走って行くから背中に乗りな

―――――…走るのはやめた方が良いと思うよ















[人気者の元覚妖怪]

「へえー…、じゃあさ、お姉ちゃんはパルさんをそのままのこのこと帰しちゃったんだ」
「はい、そうですが何か問題でもありますか?」
「……………………」
「……………………」
「……………へたれ」
「ぶふぅっ!?」

なんでこちらが一番言われたくないことを言うんでしょう、そしてなぜそれが分かるんでしょう、ピンポイントで。そもそもなぜこいしはパルスィが地霊殿を訪問したことを知っているのでしょう、こいしの事ですからもしかしたら、もしかすると、考えたくない事ですが。

「うん、お姉ちゃんがパルさんに抱きついたまま一晩中眠ってパルさんよりも早くに起きて証拠隠滅を図った所まで全部余すところなく見ていたから安心して?」
「すみません、今すぐ首吊って来ます」

グッドバイマイライフ、グッドバイこいし、そしてパルスィ、お空も勇儀さんもさようなら、私は転生して新しい生活を送る事にします、遺言は私の机の引き出しの中のキュートなアザトース人形の中に入れておきますから見てください、私の遺灰は地上にでも流してくださいお願いします。
そこまで考えながら走り去ろうとした私をこいしが引き止めた、思いっきり走り始めた私の腕を思いっきりい強く引っ張ると言う荒業を使って、おかげでこちらは足が滑って転んで腰が相当痛い。

「お姉ちゃん、頭冷やしなよ。私はパルさんに言うつもりは無いしもしお姉ちゃんがそんなことしたらパルさんが悲しむよ」

パルスィが 悲しむ
一瞬だけ納得してしまったがそんな事は万に一つも無いだろう、パルスィに限っては私に対して悲しんだりなにか思う所が無いと思う。
なにせパルスィは私の事を何一つとして考えていないのだから。
いつ、どこでパルスィの心を見ても彼女の心の中に私は居ないのだ、私は彼女に何をしても彼女は私の事をちっとも見ていないのだ。
その事に気がついたのは初めて彼女と話をした時で、その時は覚妖怪の事を考えないようにしているのかと思ってたけれどもその後も、その後も後も、彼女は私を意識したことは一度も無いのだ。
例え私と話していても何をしていても彼女は私を意識してはいないのだと言うのにどうして悲しむのだろうか、どこに悲しむ理由があると言うのだろうか。

「ああ、やっぱりお姉ちゃんは馬鹿なんだね、一生懸命考えている様でさっぱり何も考えてない、何も分かっちゃいない」

こいしがふふっと笑いながら辛辣な言葉を口にする、表情と言っていることが一致していないのはいつもの事だが、その言葉は随分と刺さる。
一生懸命考えている様で実は何も考えていない、もしくは考えているが答えが見つからない、この二つは根本的な所で同じだと言いたいのだろうか。答えにたどり着けないならばそれまでの過程は無駄で、無いのと同じだとと言うのか。それとも私が無意識のうちにそれを考えるのを避けていると指摘しているのか。
目の前のこいしは相変らず表情の見えない笑顔を見せたまま沈黙していて到底私の疑問に答えるつもりは無いらしかった、疑問だけ与えて答えは見せないと言うのは世の中にはよくある話だけれども、私は答えを最初に見てしまうタイプなのだ。
こいしはなにか思索していた様だけれど、私が何も言わないのを見ると「いや、そんな難しい事じゃないんだよ」と続けた。

「お姉ちゃんが居なくなったらパルさんはすっからかんの心でまずは悲しむのさ、悲しんで、悲しんで、すっからかんなのになぜか悲しいからパルさんは混乱するだろうね、なにせ清々しい事にすっからかんなもんだから冷静に考えて何で悲しんでいるのかわからないままに悲しむだろう」

ここでこいしは一旦薔薇の装飾が施されたカップに口をつけ、中身の紅茶を少し啜った。
この茶葉は私が趣味で育てている物をペットが摘み取り、お空の核の力の余剰エネルギーを利用し蒸しあげて作った物だ、長年やってるせいで今ではそんじょそこらの茶屋で取り扱っている物より美味しく仕上がるようになってしまった。
うん、美味しい。そう言ってこいしはことりとカップを机に置く。

「思い悩んだ末にどう転ぶかは分からないけど、その結果辿り着くのは碌な結末では無い事は確かだね、だってお姉ちゃんもパルさんも碌な妖怪じゃないもの、碌な妖怪じゃないのがどうして碌な結末に行き着くんだか」

碌な妖怪じゃない、そう言ってこいしはパリパリとクッキーを食べた。つられるようにして私も口にする。
クッキーはお燐が焼いたもので、ミントの香りがするそれはお燐の自信作だった。紅茶の香り高い匂いとゆったりとした味わいの中にかすかにミントの清涼感が加わった。

「碌な妖怪じゃない、ですか」
「うん、地上に居る奴らもそうだけど地底に居る奴らはもっと碌でも無い妖怪しかいないよ、でもそれは悪口じゃないの」

いつの間にかこいしは紅茶も何もかもを食べ終わってしまっていた、今はぺろぺろとクッキーの残り滓を舐めている。

「例えば」
「例えば?」
「例えば嫉妬の果てに鬼と化した娘、例えば心を読める妖怪、例えば腕力に任せて動く者、例えば病を撒き散らす蜘蛛、そして誰にも認知されない何か」

こんな奴らを碌でもない以外何と言うのさ、けろりとした顔でこいしは問うた。
確かに碌でもない、地上から追放されるのにはそれなりの訳があるし、地上から降りてくるのにも何かしらの理由があるからだ。それは一貫して「碌でもない」、その一言に帰結されるのだろう。

「まあ、大抵の者は碌でもないんだけどね。それが良いんだよ、碌でもない者ほど醜くて、穢れていて、でも隠さないのは強さであり、それが本当の美しさなんだね」

そう言った意味では地上には無意味なもので溢れてるよ、見ていても何も面白くないものがいろいろある。そう言ったこいしは中空と仰いだきり黙りこくってしまった
地底の者は汚い、利用できれば利用するし不意打ち騙し討ち闇討ち何でもござれ、裏切り権謀術数は当たり前の時代に生きて来た者も多数存在する。
汚い、私がそう言う妖怪の心を読んで思った事はそれ一つきりだ、ただ汚い。
けれどもそう言う妖怪は紛れも無く図太く、自分の為に生きていた、少なくとも生きたいから策をめぐらし、生きたいがゆえに裏切りを繰り返してきたのだから。
少なくともそう言う輩は地上が綺麗すぎたんだろう、綺麗すぎて、明るすぎて身を焼かれてしまったんだろう。
碌でもなく、汚く、ただ生きる為に生きてゆく
つまり地底に居る者の存在はその他だ一点に帰結し、そこから始まるのだ。





じゃあ 私は?
臆病に 生きる事から目をそむけている私は?





「さあ、どうなんでしょうね」

思わず呟く
時々私は生きているか死んでいるか分からなくなる時が有る、どうしようもなく足がすくんで動けなくなった時や、昔の事を思い出した時に生きている事があやふやになって、本当に自分が生きているのかすらも分からなくなる時が幾度も幾晩もあった。

―――くだらないわね

そんな時に思い出す事といえば決まっていて、その度に思い出しているもんだから今では思い出そうとしなくても時々ふっと浮かんで来るようになってしまったが。
ふいと皿の方に手を伸ばすとそこにクッキーは無かった、ただガラス張りの机の上には真白いお盆だけが机の上にちょこんと乗せられているだけだった。

皿の上にもクッキーは無し
カップの中にも紅茶は無し

お燐におかわりを用意させましょうか、そう言おうとした私をこいしはいや、いいよと手を振って遮った。
いつの間にこいしは私の心を読めるようになったのでしょう。

「ほら、また悪い癖だよ」
「悪い癖?」
「行動を先読みされたからって心が読めるわけじゃないよ、すぐそういう思考に陥っちゃうのがお姉ちゃんの悪い所だね、視野も思考も狭い狭い」
「はあ、すみません」
「そんなんじゃいつまで経っても気付けないね」
「はい?気付く?」
「いやいや、これはお姉ちゃん自身の問題だから弱虫のこいしちゃんは大人しく退散しなければならないのです」

どうやら本当にこいしは行ってしまうようで立ち上がってパンパンと膝を叩いた。
どこへ行くは分からない、何を考えているかもわからない。

「お姉ちゃん、気心の知れた仲っていうのは相手が何も言わなくても何を考えているか分かるものなんだよ」

だがこいしは私の妹なのだろう、それだけはどこまでも確かな事だった。

「あ、そうだ、良いこと教えてあげる」
「うん?なんでしょう?」
「いやね、お姉ちゃんなんだかんだ言ってパルさんと話したいんでしょ?だから恋のキューピットたるこのこいしちゃんが一肌脱いであげようと思ってね」
「ははあ、ありがとうと言っておきます」

もっと感謝しても良いんだよ~?とにぱっと笑ったこいしの表情には、やはりなにも付いていなかった。クッキーの残り滓も、紅茶も、表情も。
笑うような表情を見せるようになっただけでもましだが、それにしてもひどいありさまだ。
そんな事を考えていたからだろうか、不意に聞きたい事がひょっこりと出て来た。

「こいし、あなたは私の事をどう思いますか?」

こいしは暫くの間考え込んでいた
その時間が答えを考えるため物なのか、もしかしたらその問いの意味を考えているのかは私には分からなかったが、ともかく暫くの一瞬後、こいしは思いついたかのようにすらすらと口を開いた。

「臆病で、軟弱で、打たれ弱くて、逃げ腰で、へたれで、友達の少なさに掛けては憐れみすら覚える程で、吃驚するほど体力も根性も無くて、とにかく良い所が無い私のお姉ちゃん」

その答えは殆どが私の期待したものでは無くて、望みもしなかったものだけど。僅かに、僅かばかりに私が欲しかった答えで、だから私はそれで満足してしまう事にした。

「そうですか」
「ん、そうだよ。それ以上でもそれ以下でもない、ただそれだけの簡単な答え」
「安心しましたよ、少なくとも私はまだあなたにお姉ちゃんと認識してもらっているようですし」

最低限の満足、底辺の喜び、臆病者の典型的な思考回路
ただ、それだけでいいと言うのは果たして幸せな物の考えなのか、それともやはり虚しい思考に過ぎないのかは分からないけど、私はいつもそうやって満足してきた。
現状維持、無変化、無痛、無感情、痛み分けでも無い引き分け、不戦勝、または不戦敗
それだけで満足してきた私は、果たして進めるのかは分からないが。
こいしはいつの間にか居なくなってしまっていた、恐らくは地上にでも遊びに行ったのだろう。
ふと思うのだが、こいしが地霊殿にあまり長く居ないのはひょっとすると私があまりにも魅力も何もないからではないだろうか、そんな臆病だからこいしは興味を持たないのではないだろうか。

「まあ、どうでも良い話ですが」

自分がどう考えて、どう行動して、それがどんな影響を及ぼすなんて私にとってすれば極めてどうでも良い事に過ぎないのだが。
他人に興味を持たれようが、他人に疎まれようが、他人に排斥されようが、他人に好かれようが、私にとっては極めて凄まじく果てしなく何ともなくどうでもよすぎる事なのだし。
他人から受ける傷には強く
自分から攻撃している事には気付かず
でもいつの間にやら致命傷になりうるほどの傷を抱えていて
なぜ傷ついたかはは勿論、傷ついた事にすら気がつかず
さとり妖怪と言うのは他人に聡く、自分に疎いものなのだ。













―――――それだから駄目なんだよね、お姉ちゃんったら本当になにも考えていないね

―――――ああ、こいし様、いらっしゃったなら言ってくれればいいのに

―――――言ったよ?お燐は無意識に聞いていたけど

―――――こいし様?それは聞いたことになりませんからね?

―――――ばれたか

―――――ばれるも何もないでしょう、それよりも今日はどんな用事でいらっしゃったので?

―――――……お燐ってしっかりしているようで実はお姉ちゃんと似てるよね

―――――あたいとさとり様が似ている?はてな、どういう事でしょう

―――――『自分で考えな』それだけ、本当に似ているね、どこか抜けてるところも、それと…

―――――それと?

―――――ああ、答えを言っちゃうところだった、危ない危ない

―――――教えて下さいよ

―――――お燐ってパズルの過程に重きを置く?それとも完成した時の達成感の為にやる?

―――――過程ですね、考えてると楽しいですよ?

―――――私はね、パズルをどんな手を使ってでも解いてしまって、その時の解放感が欲しいのよ

――――……?どういう事でしょう?

――――つまり、私はどんな強引な手を使ってでも良いから良い結果を最後に残したいって事よ















[誰からも好かれる覚妖怪]

勇儀とヤマメが去った後、橋はいつもの様な閑散とした表情を取り戻した。
なぜならば、そんな言葉が必要ないくらいにその理由は分かりきった事なのだが、この橋には話す妖怪が一体一匹一人たりともいないからである。

暇だ
実に暇だ
ああ、暇だ
暇過ぎる程に
嫌になる程暇だ

どれだけ暇を集めれば暇は潰れるのだろうと、そんな与太事を考えてしまうぐらいに橋の上は暇に満ち溢れていた、欄干の上にも、橋のたもとにも、何もかもどこもかしこもに暇がつもっていた。
あるいは、私の体の隅々までが暇で満ち溢れていて、私自身が暇でできてしまっているのではないかと思えるぐらいに暇だった。
あるいは、この世界そのものが暇と言う時間だけで作られていて、私はたった今そこから抜け出してしまったのではないかとも思えるくらいには暇だった。
つまり私は、暇を持て余していた、どうしようもなく。

「………あ――――…暇だ……」

いつものことながら、私はこの時間がどうしようもなく好きであり、同じように苦手だった。
誰とも話さなくていいから好きだ、気を使う事はこの上ない苦痛だ
誰とも話す事が出来ないのは苦痛だ、暇を持て余すのはこの上ない苦痛だ
財布を開いても橋姫の給料、それも結構な浪費癖のある橋姫の財布の中身ともなると中味が心細い、高給料の奴らは妬ましい。
そう言えば、さとりが地霊殿で働く事を進めていたっけ、あの時は冗談じゃないと思ったが今考えるとなかなか魅力的な条件じゃないか。大変だけど暇は潰れるし、高給料をもらえる、しかし問題はあの姉妹ね、あれさえ何とかなればいいんだけど。
そんな事を考えてしまった、だから私がもし地霊殿で働く事があればそれはこのどうしようもない暇が原因だ、ただの気の迷いだ。
いっその事、突然上から隕石でも落ちてきてくれないかしら、それで何か一悶着あったり。
そんなとんでもない事を考えるようになるほどには暇だった


だが、そんな私の与太事を聞いてしまうのが天というものだった
私はそれをすっかりさっぱり忘れていた
そんな事は、すでに経験していたと言うのに 私はまた忘れていた


ふと天を蒼くと、そこに青空は無くて、代わりにただ岩盤の黒い影があった。
それまでは分かるのだが、私がその方向を向いた訳はその方向から声が聞こえてきた気がしたからだ。
―――キスメか、ヤマメか
落ちて来るとしたらそのどちらかだろう、私を脅かす為にその二人は良く落ちてくるのだ。
ここまで聞いたならばただの馴れ合いかと思うだろうが事はそう単純では無く、二人は完全に私に対する加減を忘れているらしくてスピードを落とさないまま降って来るのだ、当たったら当然死ぬだろう事は間違いないスピードで。
大抵は外してくれるのだが念のためもある、上から降ってくる物体の位置とスピードから落下地点を予測しそのすぐ傍に立つ、いつも驚かされるから今日は驚かせ返してやろう、降って来た瞬間に住ん止めしてやるのだ、驚くに違いない。
薄い笑いを浮かべながら構えを取る、準備万端、いつでも驚かせられる体制。



しかし私は、やっぱり忘れていたのだ
それがこの世で最も意地が悪い類のものである事に
天が、望む展開をみすみす渡す訳が無いと言う事に



「パルスィ、相変らず無愛想な顔してへぶぁっ!?」

降って来たのはヤマメでもキスメでもなくさとりだった
私は寸止めのつもりで構えていた体勢から何の躊躇も容赦も無く一気に腕を振りぬいた
見事なモーションで放たれた腰だめパンチは凄まじいスピードで落下してきたさとりの顔面をこれまた見事なタイミングで真正面から射抜いた。

「…………………………あ…………やべっ……」

さとりはそのまま奇妙奇怪な唸り声をあげたまま私とは反対方向に転がって行ってしまった。

「…やっべぇ………死んだかな?」

死んだかな?とはいかさか急にして失敬にして急ぎ過ぎた台詞に見えるが仕方がない、あのスピードとあのタイミングの良さなら絶命しかねない。
死んでないと良いけどと思いながら私はさとりが転がって行った方向に駆けて行った
あわよくばあの性格がショックで直ってくれればいいのにとも思いながら。















[誰にでも優しい橋姫]

「まったくもって、 酷いとは思いませんか?」
「さとりの顔が見えたので驚きと反射神経がつい反応してしまった、なので私は悪くないが反省はしている、またやるかは分からない」
「答えてくれないんですね」
「あんたの顔を見ると急に殴りたくなるのは何故かしら?私の性格が悪いのかしら?それともいつも悪戯無理難題無茶苦茶我儘支離滅裂事猥談し放題やり放題言い放題しまくっているあなたが悪いのかしら?」
「それはパルスィの性格が悪いんでしょう」
「よくもまあぬけぬけと言えるわね、またしばいてやろうかしら」
「勘弁してください」

駄目だった、やはりこいつの性格は一夕一朝一撃一瞬では変わらないのか。
そもそもあの一撃を喰らってから平然と立ち上がるこいつは何だ「パルスィからの愛の一撃ですね」とかセクハラもいい加減な事を平然と放ちながら。
転がった衝撃で服装が汚れているのは置いておいて、それ以外さとりは何の怪我もしていない、どういう事だ、覚妖怪は貧弱だったんじゃないのか。

「そこは美少女パワーでカバーです」
「はぁん?なにパワーだって?」
「美少女☆パワーです」
「どこにその美少女が?」
「いえ、ここに」
「えっ」
「えっ」

美少女(笑)だか美少女(笑)☆パワーだか何だか知らないけどさとりは平気の平左としている、何だか知らないけどその呑気さが妬ましい。
ともかくさとりが来たと言う事は何かしらの用事を持ってきたと判断する、その何かしらだ堪らなく恐ろしい、こいつの持って来る用事というのはいつも私の頭痛の種となっている程だ。まあ、それが如何なる厄介な代物かは知らないけれどそれ程厄介な物でないことを祈るばかり、それしかできないと言うのも現状だが。

――――あなたは、おかしな妖怪ですね ひょっとすると私が知ってる中で極めつけかもしれません

――――はあ…そりゃどうも

いつかの閻魔との会話が思い起こされる
「そんなに愚痴ばっかりなら、なんでさとりと付き合っているのか」そう聞かれたから「さあ?何ででしょうね」と答えた時の答え。
その時の閻魔の顔は、ひどくその時の彼女の心を映し出していた、元々閻魔に裏表はないがその時は特に言いたいことが伝わった。
訳が分からない だろう、どうせ
非効率的、非合理的、非感情的、閻魔の目にはそう映ったのだろう
馬鹿だなぁ、そう思う。そんな事や言い表せない中だって世の中にはあり過ぎる程なのに、色々な欲望やら感情やらが入り混じって、そう言う複雑怪奇な関係の方が多いだろうに、そもそも閻魔なんて言うのはそう言った関係にこそ聡い筈なのに。
そう言えば地獄のスリム化なんてものにはそこの所が関係していた気がする、スリム化、合理化。
まあ、そんな所にだけしか目がいかない奴はもっと重要な所が分からないだろう、そう思っている。
ともかく、いずれにせよ、私はどんな厄介な用事でもとりあえずは受けてしまうのだ。
その後でどんなに苦労しようが、どんな苦労があると分かっていようが。
勿論こんな性格を恨むことはあるけど、理由も分からないけれども、それで良いと思っている自分がいる、そうしてそんな自分がいる限り、私はこの腐れ縁ともいえない関係を続けるのだろう。

「んで?用事はなんなのよ」
「ああ、そうですね、用事、そう、用事です」

ん?こいつにしてはいやに躊躇っているな、いつもならはきはきと元気よく陰湿陰気なことを言ってくる癖して今日ばかりは何をためらっているんだか。
そんな心を呼んだのか、さとりは意を決したような表情を取った。

「パルスィ」
「ほいな」
「あのですね」
「はいな」
「ちょっと、教えてもらいたい事があるのですが」
「はい?」

そうしてそれから放たれたさとりの『用事』は、私が知り得る中で最も簡単で最も厄介で最も難解な代物だった。















[或る人畜無害な妖怪の屋敷での話]

メメタァ


凄まじいのか凄まじくないのかよく分からないような効果音があがり、図書室でこいしと話していたフランは吹き飛んだ
因みにこいしは波紋使いでは無いのでフランの後ろにある椅子が真っ二つにへし折れるという事態には陥らない、こいしが波紋カッターをしようとしてもそれで鼻へのダメージを喰らうのはさとりぐらいだろう

フランは吸血鬼である、同時に箱入り娘でもあり、更に言ってしまえば合法的な幼女でもある、決して筋骨隆々としていないし時を止められないがそれは従者の仕事なので何の問題も無い
従ってフランは貧弱な肉体を持つこいしの攻撃をもろに顔面に食らって「ふげぇっ!」と言いながら椅子ごと後ろに倒れる程度で済んだ。
しかしこいしはそのままフランの方へとダッシュで駆けよりその胸倉をいきなり掴みあげる


いきなりの事態に緊迫する図書館

泥棒による被害総額を計算する小悪魔

それを見ながら溜息を吐く咲夜

パチュリーにジャーマンスープレックスを決めるアリス

吐血するパチュリー

昼間なので寝ているレミリア

昼間なので寝ている美鈴


「てめぇっ『今』なに言いやがったっ!」
「いいぜっ!もう一回言ってやるっ!」


凄い気迫のこいしに対してフランも負けずに言い返す、心なしか二人ともやけに顔が濃い

「てめーは『自分の服の解れも姉さんに言いだせねえへたれだ』って言ったんだよっ!」
「なにを言うだーっ!許さん!」




修羅場の始めはただ単にこいしがいつもの様にふらふらと図書館に来たことから始まる
紅魔館の図書館にこいしが行くのは割合よくある事だ、美鈴はこいしを見つけられないので阻むことができないしパチュリーも騒ぐ訳では無いのでこいしには基本的には寛容だ、レミリアもフランの良い遊び相手となると思っているので黙認していた。

いつもの様なこいしとフランのおしゃべり、だがここでフランが何気なく放った一言がこいしをプッツンさせた

「こいしってさー、いつも自分の服の補修とか自分でやってるのね、もしかして言い出せないの?」

その瞬間フランの視界からこいしの姿が消えた
どこへ行った?フランがそう思うまでも無くこいしはフランの正面に姿を現わしフランの顔面を殴っていたっ!

ドギャァァァン フランはそのまま仰向けに倒れ冒頭へと話は戻る




「いいかフラン…私がへたれでもレモンでもへちまでもねぇってことお前には教えてやる…」

はぁはぁと荒い息を吐きながらこいしが更に詰め寄る、どうやらなれない急発進の所為で息切れしているようだ。

「私が自分で服を直すのは!」






「お姉ちゃんがあまりにも不器用過ぎて服の補修すらもできないからだぁーっ!」





その瞬間図書館内の時が止まった、決してこの館のメイドの所為では無く寧ろあんまりな発言に空間が凍結したと言っても過言ではない。

「あ、うん…うん…ごめん」

凍結したせいで頭が冷えたのかフランの口調は元に戻っていて、寧ろ若干返答に困っている様な事をしどろもどろに呟くように言っていた、ついでに若干濃い雰囲気になっていた輪郭も元通りになった、筋肉質な幼女は好きですか?

「流石の私でもそれは引くわ」
「そうだよね」

なぜかミケランジェロの彫刻のようなポーズを取っていた咲夜がその体勢のまま二人近づいてこう言い放った、このメイドは割と不真面目で態度がでかい、こいしは咲夜の第一印象としてそんなイメージを持っていたので特に躊躇うことは無くそう返した、傍から見れば実に可笑しい構図である、常識的な意味で。

「てめーは少し黙ってろや」パチュリーはそう言いたかったが生憎アリスにお返しのパロスペシャルを決めている最中だし今日は喘息の調子が悪いので大人しくその言葉を飲み込んで黙っている事にした。

「それにしても、ねえ」
「一つの館の主たるお方が裁縫すらできないとは」
「そうそう――――ん?」

館の主の必要最低限スキルに裁縫なんて家庭的なものがあったのか、こいしは思い出そうとしたが何分頭が空っぽだから思い出す事が出来なかった、それでも若干納得できなかったのでそうだったのかもしれない、その程度にしておくことにした。

「それにしてもフランのお姉ちゃんは裁縫なんてできるの?」
「あ……………うん、できる……かな?できる……よねぇ……」

フランは今日に目を遊ばせてしどろもどろになり始めた、レミリアの事をあまり知らないのはよく分かる、なにせフランとレミリアの行動時間帯と行動範囲はあまりにも大きく違っているからだ。
それにしてもそこまで信用が無いとは、一体全体あの姉は妹にどれだけ信用されていないんだ。
こいしはそう思ったが言うのも憚られるので大人しく飲み込んでおくことにした。

「できませんよ」

そう思っていた矢先、自重しないメイド長がそう高らかに宣言した。もはやメイドとして成り立っていない気がするがこの幻想郷では常識に捕われてはいけない、ここは図書館だから大声を出してもいけないが。

「できない?」
「お嬢様はいつも召し物を森の人形使いに任せっきりにしています、それもドレスから下着までなんでも、補修作業は私とそれ専用の妖精メイドが担当しておりますし、恐らくご自分でやられた経験は無いかと」

お前はメイドだろう、主人のプライベートな事をそう簡単に言ってしまってもいいのか。
フランはそう言いかけたがなにせここは図書館である、大声を出してはいけない。そこでフランも飲み込んでしまう事にした。

こいしはそう言えばさっきこのメイドは館の主が裁縫スキル云々と言っていなかったっけとか思ったがどうせ聞いたところで碌な言葉は帰ってきまいと半ば諦めるようにして飲み込んだ。

フランとこいし無意識に意思疎通をしあい、お互いの家族について溜息を吐く様な感覚と同時に一種の同族といえるお互いを慰め合った。

そのままいい感じに静まり返って雨上がりのコンクリートの様な湿った空気に耐えかねて、こいしはすぐに帰って来てしまった。















[針と糸共依存]

ちくちく

「と、言う事がありましてですね」

ちくちく

「へぇ…それで『あんな空気は二度と味わいたくないからせめてできるようになりなさい』とかさんざ言われたけど教えてくれそうな奴が身近にいなくて私を頼って来た、と。」
「……………………」

ちくちく

「あんたね、いつもお燐に任せっぱなしだからそんな事になるのよ、あんたはとんだ怠け者だけどせめて自分の事ぐらいは自分でできるようにしなさいって」
「……………………………」

ちくちくちくちく

「そもそもね、お燐に頼ればいいじゃない。あの子は家事でも何でも優秀よ?わざわざこんな辺境にある橋まで飛んでこなくとも地霊殿の快適な空間で練習もできてあんたの貧弱な体にも優しいじゃない」
「………………………………………」

ちく ちく ちく

「どうせ『お燐はこの練習を起点にいつもの怠け癖とかやいのやいの言われそうで嫌だからパルスィにしましょう』とかそんな理由だろうけどさ」
「…………………………………………………」

ちく       ちく

「あんたそう言う逃避癖やらなんやらがあるから駄目なのよ、もっと精神面を鍛えないと、あんたはただでさえ貧弱なんだからこれ以上怠けでさぼって弱くなってどうするつもりなのよ」
「すみませんごめんなさい許して下さいもう勘弁してください」

あれまあ、何だか知らないけれどさとりが机に突っ伏して許しを乞い始めた。なんでだろう、私分かんない、言ってた言葉が辛辣だった所為かそれとも考えていることがもっと辛辣だった所為か。どうせ机に顔を伏せているさとりに聞いたところで「それはあなたが一番わかってるんでしょう」あれま、言われちゃった。

「相も変わらずえぐい事を考えてますね」
「そう?」
「心を読み慣れている覚妖怪をここまでグロッキー状態にする事がどれだけ凄い事か分かります?」
「精神面で鍛えられてるって事?じゃあ何でこいしの文句がぶっ刺さったり厄介なお燐を避けようとする訳?鍛えられてるんでしょ?」
「うぐぅふっ」

あらららら、また何も言わなくなってしまった、本当に弱いと思う、絶対鍛えていないと思う、こいつはさぼり魔だから。
こいつが私に言いつけた用事は「裁縫を教えてください」だった、なんのこっちゃと思っていたがとりあえずさとりが用意した布と糸と針使って手始めに枕カバーを教える事にした。
枕カバーの理由は簡単、構造が作りやすいし物が大きいので練習量も申し分ないし小物を作るよりも持ちやすく、荒い所があってもすぐわかる、まさに練習としては申し分ないしそんなとんでもなく間違える事も無い、そう思っていた。

「………へたくそ」
「うぐぅっ」

結論から言ってしまおう、こいつはへたくそだ、それもとんでもなく。
私は最初放っておいて作らせてから間違っている点の指導並びに指摘をしてやればいいと思っていた。
そこで10分程台所に行って茶を沸かした後居間に戻ってみるとさとりは座布団を枕にして眠っていた。
私は即座にござと縄を用意してさとり入り簀巻を作り上げ川に投げ込もうかと思ったのだがさとりは生憎準備をしている最中に起き上がってしまった、心を読んだのかは知らないが運の良い奴め。
驚いた事に針穴に糸が通らないので途中で飽きて頬り投げてしまったそうだ、どんだけ飽きっぽいんだこいつは、そして裁縫以前に集中力も致命的な程に欠如している、それについてぐちぐちと考えていたらまた泣きそうになり始めた、お前は子供か、見た目から言って子供か。

「子供じゃありませんって」
「教えてくれと頼んでおいていざ教えようとしたらふて寝する奴のどこが大人か」
「ぐうっ」

さっきからこいつは反論か呻き声しか上げていない気がするのは気のせいだろう、その原因が大抵私だと言うのも大抵は気のせいだろう、そう言う事にしておく。
そしてさとりがこっちの方を不満げに見ているのも勿論気のせいだろう。

「気のせいではありませんよ」
「そうね」
「パルスィ、ちょっとこっちの話の利いてくれません?」
「そうね」
「……ひょっとして怒ってます」
「そうね」
「……………………………………」
「……………………………………」
「外道少女マジカル☆パルス…」
「そうね」

妙なことを言い始めたからとりあえず口を塞いでおいた、手でだが。
ついでに鼻も塞いでおいたからさとりが目を白黒させながらむぐむぐ暴れているが仕方がない、ついでに気絶してくれれば文句ない。

「むーっ!むーっ!」

さとりが何か言っているが私は心を読めないので知らない。
それにしても息が続かなくなってきたのか暴れたからなのか分からないが頬をうっすらと赤く染めて息を荒げているさとりを見ているとなんだか変てこな気分になる、あれか、エロいな。
これ以上やると本気で気絶してしまうしこいつのエロい表情などこれ以上見たくないので手を離してやろうとした時、手にぬろおん、と何かが当たって滑る感覚がした。うえ、気持ち悪い、そう私が一瞬怯んだ隙にさとりはするりと抜けだした。

「ちょっと、なにしてるのよ」
「パルスィの手の平ペロペロ」

なにがペロペロだ













さっさと用事を終わらせてしまいたいので結果的に手取り足取り教える事になってしまった、果てしなくだるいがこれが一番手っ取り早い。
さとりの後ろから、さとりの腕を支えて一つ一つの作業を教え込んでゆく。

「ほれ、糸はこうやって結んで端っこを作る」
「こうですか」
「こうです」

もっとも、幸いにして教え始めればさとりは一切の文句も言わないし覚えも早いから問題ないのだが。
いつもの姿からは想像できないような表情で裁縫の練習をしているさとりを見ているとなんだか変てこな気持ちになる、何で私がさとりとつるんでいるのかを考えているときに感じる感覚、言い表せないけれど、端的に言ってしまえばもどかしさ、焦燥のような感覚。
なぜそんな場違いな感覚を覚えるのかは私には分からない、私が分からないのだからさとりにだって分からないだろう。だから今は気にもしないでおいている。

今は、
そう、あくまで今は、だ
それはこの得体のしれない感情の正体を確かめてしまったら終わりを告げる時間だ
それはまるでまだ一度も開けられていないし中身を誰も知らない箱だ
嫌悪が入っているのかもしれない、興味が入っているのかもしれない、不安が入っているのかもしれない、あるいは、もしかすると猫かもしれない。
どれにせよどんなのにせよ、開けてしまったが最後だ、戻れないだろうと言う予感がする。
だからこそ私は、その事を考えないようにしているのに

「……どうしました?」
「あ…ああ、なんでもないわよ」

それを開けてしまって、すっきりしたいと思っている自分がいる
永遠にその箱の封を解きたくない、捨ててしまいたいと思っている自分がいる
その結果として私は箱を開けないで、それでも手元に置いたままにしている、ひどく曖昧で優柔不断な判断、臆病さの表れ。
自分を恥じるつもりは無い、私はただエピメーテウスの妻になりたくないだけなのだ。

「…………っつ!」

ふと、手元のさとりの腕が震えた、少し痛そうな声からすると針を指に刺してしまったらしい。
しまった、考え事に気を取られ過ぎたか、さとりの人差し指に赤い血が玉を作っている。

「ああ、大丈夫?」

さとりに一応は声をかける
人間でもこの程度の怪我は平気なもんだから妖怪の身となるといかに貧弱な覚妖怪でもこの程度平気の平左だろう、私はそう思っていた。
だがさとりは、赤が僅かに滴る指をじいっと見つめて沈黙していたきりだった。
ただ、血を流す指を何も言わずに見つめる姿はあまりにも不気味だった。











「…そう言えば、自分の血を見るのは久しぶりでした」

ふいと、思った言葉がぼそっと口から出てくる、恐らく近くにいるパルスィにさえも聞こえないであろう大きさの言葉。
思い出すのは迫害と煩悶の記憶、今となっては気にもしないがお世辞にもいい記憶とは言えない過去
逃げて、ただひたすらに逃げて、追いつかれたら殺して、血塗れになりながらまた逃げて
どこへ行くのかわからない、どこへ向かうのかわからない、終わりがあるのかも定かでは無い
生傷が絶えなかったし、死んだと思わせる為に血で追っ手を撒いたこともあった、そのまま冷たい冬の川に入って凍え死にかけた、どんなことをしてでも生きようと、生き抜こうとした。
こいしにも同じように傷があって、私以上に傷ついて、その結果ああなってしまったわっけだし。私はあの時の事をもはや気にもしていないがその事を今も悔やんでいる訳で、今回こいしにこの事を吹っ掛けられてパルスィに習いに行ったのも、それが理由だったりする。



――――なに、くだらない事でうじうじしてんだか



声が 聞こえた気がした。

「おーい、さとり?どうしたの?」

雰囲気は違うけれど、昔と変わらない声が聞こえた、そんな気がした。
彼女はもう覚えていないけれども、私は今も覚えている。











暫くぼうっとしていたさとりだが、私が声をかけているとふいと反応を返した

「……うん?」
「うん?じゃないわよ、急にぼーっとして、絆創膏貼るわよ?」

さとりは相変らず呆けた顔をしていたが、私のその言葉にようやく自分が怪我をしていたことを思い出したらしかった。

「あ、ええ、ありがとうございます」
「ん、別にいいけど、なにかあった?」
「いえ、なにも」

ノータイムでそう返してきた、その事に多少の違和感を覚えたがさとりの深い所は中々読み辛いし、読んだ所でどうせまともな事は考えていないだろうから放っておくことにした。

「……失礼な事を考えてますね」
「自分の普段の行動を思い出してみたら?」
「うぐうっ」

さっき見た表情は気のせいだったのか
私の目の前にいる妖怪はやはり、いつものさとりだった。















[何も恐れない二人]

さとりはもう少しで基本的な技術を覚えそうなので急いで指に絆創膏を貼って仕上げてしまう事にする。

「人間の男の子にとって絆創膏なり包帯なりは勲章だそうです」
「ははあ」
「パルスィはそう言った事は考えないのですか?」

橋姫は黙ってラリアット、へぶしと妙な声をあげてさとりは倒れた。

「口より先に手を動かしなさい?OK?」
「イエスイエス…アイムハングリー」
「家に行って飯を食うかここで拳骨を食うかどちらかを選びなさい」
「すみません教えてください」
「よろしい」

再びさとりの後ろからさとりの手を取って教え始めたのだが、しばらくするとさとりはまた「ああ、そうです」とか言い出した。

「パルスィ、あなたは私の後ろに立って私の手を掴んでいますね?」
「そうだけど」
「そのまま腕を組むと私を後ろから抱きしめている体勢になります」
「………やって欲しいの?」
「へ?」

あんまりくだらないことを言いだすもんだから思わずさとりの言う通り後ろから抱きしめてやった、ただしさとりを思いっきり締め上げるような体勢で。

「あいたたたたたたたた」
「これで良いのかしら?」
「勘弁してくださいたたたたた」
「妖怪ならこれぐらい大丈夫でしょう?」
「肋骨が 肋骨がみしみし言ってます」
「気のせい気のせい」

あんまりやり過ぎると本当に折れかねないので一分程で開放してやった、と言っても多少緩めただけだが。さとりはげほげほと咳き込んでいる。

「パルスィ、一つだけいいですか」
「なによ」
「意外と胸あるんですね」
「…………………………」
「妬まし」
ギリギリギリギリギリギリギリ
「あたたたたたたたたたた」

今度と言う今度は容赦しない。









そんなこんなで大抵教えられることは教えてしまった為、さとりは帰ることになった。

「お礼に今度は家に誘いますよ、パーティをやる予定なので」
「ははあ、パーティなんてあんたも随分と積極的になったのね」

前はそんなことしないで地霊殿の快適な部屋の中静かに本を読んでいる様な奴だったのに、そう言おうとしたが言い過ぎかな、と思ったので言わないでおいた。なににせよさとりの事だ、私がいちいち口出しする由も無いだろう。
さとりは何か言いたげだったが「じゃあ、さようなら」と踵を返して行ってしまった。



このまま、さとりが普通に地上に出れるまでに成長して、皆が通るあの穴を使ったとしたら、ここにはもう誰も居なくなってしまうだろう、勇儀はまとめ役としての仕事が立て込んでいるし、ヤマメはほら、あの性格だから旧都にいる事も多いしここを利用する事と言ったら通行か、気の迷いで一言二言かわすだけだし、キスメはよく分からないが、こいしはいつ来るか分からないし。

静かになるな、本当の静寂に、私が望んでいたはずの

――――本当に?

誰かが私に呟いた

――――本当に、それで良いと思ってるの?

さあ、どうだろう。私は橋守としての役目に従い、ここで待つのみだ、それ以上でもそれ以下でもない、ただそれだけの存在。



さとりは、さっきよりも小さくなってしまった。今はピンク色がゆらゆらと揺れているのが見えるのみだ。
それが僅かにぼやけて見えたのは、果たして私の気の所為なのだろうか。











.
「うん?裁縫?勿論できるわよ?ま、主としての一種のステイタスってやつね。咲夜?そんな大量の汗流してどうしたの?」







驚くべきことに続きました
驚くことに続きます
作者吃驚仰天

質疑応答コーナー

Q.なんで続いたんだ
A.前回があまりにも中途半端過ぎたのです

Q.中途半端とはどういう事だ
A.濃度不足

Q.その割には今回も薄いがどういう事だ
A.仕様です

Q.そこのところ次回は大丈夫なのか
A.精進です

Q.ちなみにパルスィは胸が大きい派か
A.Yes sir!









でも次回は別のを投稿予定です

2011/10/10 コメント返信

>>奇声を発する程度の能力さん
私は大きい事は良い事だと思うんです
次回はもっと濃度が高くなります、きっと、きっと

>>3さん
二人の関係性は最終話付近で書きたいと思います
紅魔館は腹筋を狩りに現れました、特に咲夜さんは書いていたら勝手に暴走しました、作者悪くない

>>君の瞳にレモン汁さん
だめえええええええええ!瞳にレモン汁染みちゃううううう!…すみません
咲夜さんは機会があれば出てきます、無くても勝手に出てきます、主人を押しのけて

>>8さん
腐れ縁で密かな共依存、お互いがいるとそれだけでいい、認めないけど
それでも変わっていく関係、楽しみにしてくださるととても嬉しいです

>>13さん
パルさんはこの話だと人妻、ならば口が悪いけど面倒見溢れるパルさんでも行ける!と思いまして
期待されると作者は走りだします、どこへ向かうかは誰にもわかりません

>>15さん
ありがとうございます!

2011/10/25 リンク先変更 コメント返信

>>フェッサーさん
いい子なパルちゃんも捨てがたいけどパルちゃんはちょっと暗い一面があってもいいとあたい信じてる
続きを期待されると作者は無差別に爆発します、危険物取扱注意法只今発令中
ふふふ、果たしてそのクッションがある状態で背骨破壊ができるかうわなにをするやめ

2011/10/29 コメント返信

>>とーなすさん
個人的にパルスィとさとりの身長はそんなに低くないイメージがあるのでバランス良い範囲で
この他にもさとり様がの胸ぺちゃんことは言えない程あったりします、異論は認める
私は大きい事は良い事だ理論を提唱します
次回はあの肩ならぬあの方が出ますがキャラが咲夜さん並に崩壊中



それでは

かしこ
芒野探険隊
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コメント



0.1060簡易評価
2.90奇声を発する程度の能力削除
とても面白くて、次回が楽しみです
そして私は勿論大きい派
3.100名前が無い程度の能力削除
あいかわらずの鈍感パルスィさんとへたれさとりん堪能しました。
あと紅魔組に腹筋を完全にやられました
6.100君の瞳にレモン汁削除
咲夜さんお疲れ様。
8.100名前が無い程度の能力削除
今の二人の関係もいいけど、これからどうなるかが凄い楽しみです。
13.100名前が無い程度の能力削除
パルスィブリーカー……新しいな

こいつはいいさとパルだ 次も期待してるぜ
15.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
22.100フェッサー削除
パルっこの内なるダークな過去とか想いとかが気になってグアァァァ!
本音を隠してるのか気づいてないのか自身でも分かってないパルスィの話が大好物なので、続きが気になりまする!お待ちしておりまする!

…あぁ…胸の大きいパルスィにブリーカーをされたいです…。
23.100とーなす削除
前作の前書きで、「体格が違う」って何ぞやと思ったけど……おっぱいか、おっぱいのことなのか!
私はパルスィは微乳であって欲しい派でした。
鈍感パルスィとへたれさとりの縮まりそうで縮まらない距離感にやきもきの続編でした。次回も期待。