Coolier - 新生・東方創想話

君と見る月は

2011/09/12 23:36:05
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妖夢は困惑した。
なぜなら今宵行うはずの月見と称した宴会が、もう終わってしまったのだから。




 「君と見る月は」





「あらあら、もうみんな寝ちゃったのね~」
「幽々子様。あなたの仕業ですか?」
「ん~どうして~」
「お屋敷のお酒を飲んで、みんな寝てしまったじゃないですか」
「うんそうよ。薬師から買った(胡蝶夢丸)の効果を強化したのを溶かしたお酒よ」
「一応聞きます。なぜこんなことを?」


私は微笑みながら答える。


「さて、なぜでしょう?」
「…私にはわかりかねます」
「いいわ。こっちへいらっしゃい」


私は屋敷の裏手の桜の前に連れて行った。あの妖忌が「西行妖のつぎに美しい桜」と褒めたものである。


「さて妖夢。これを覚えているかしら?」
「…これは」
「そう。桜点」


あの春雪異変のときの、ほんの少しの残り。


「これは桜点のなかでもとても霊力が強いもの。そう、季節外れに桜を一つ、短い間開花させるくらいね」
「…ということは」
「そう。季節外れの桜を、二人で見ましょう」
「はい」
「お茶は用意してあるわ」
「…すみません」
「いいのよ」


パァァァと。


桜が、秋の夜に舞う。
普段は見られない、まさに奇跡の光景。

まんまるの月を背景に、桜が舞う。

それはそれは、とても幻想的な光景だった。

「幽々子様」
「なぁに?」

「………ありがとうございます」
「うふふ。きにいってもらえて嬉しいわ」

「あのぅ…幽々子様」
「…わかってる。また来年も、ね」
「はい!大好きです幽々子様!」



来年は、雪でも降らせてみようかしら。雲の合間に見える、十五夜の月と雪、そして桜。


でも。


それより、愛する妖夢と月を見られることが、一番幸せだ。
そして、そんな私たち二人がいるこの光景は、
きっと、一番幻想的な光景なのだ。










こんなに月が美しいのだから。
そっと窓を開けて、秋の澄んだ空気をすいながら。










 「今宵は、月を眺めてみませんか?」
なぜこんなに短いかって?
1.ついさっき思いついたから。
2.日付が変わりそうだったから。
3.こんなに月が綺麗だから。

4.読み終わったら、ぜひ窓を開けて、十五夜を見てほしいから。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
(前作の続きはもうすぐだします)
裁縫嫌い
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コメント



0.360簡易評価
3.80奇声を発する程度の能力削除
凄く幻想的な雰囲気がありました
後、今日夜に外へ出かけたら月が驚くほど輝いていてマジで感動した
11.70Ash削除
手遅れだった……
でも貴方の文章で満足しました。
綺麗な小説をありがとうございます。
12.70とーなす削除
読むのが遅すぎた感。
でもいつか、月の綺麗な夜に、このSSを思い出して月を眺めてみたいと思います。