机に向かい、サラサラとペンを進める椛。
そこにはこう書かれていた。
「これで、戦争ごっこしようよ。」
そう、始まりはあの言葉からだった。
~森~
深くて暗い森の中、光を求めて走る青い妖精が1匹。名前はチルノ。
その手には拳銃。
しかし、後ろから忍び寄る者に全ての弾丸を使いきってしまい、すでにホールドオープン状態(弾切れ)であった。
「はぁっ.........はぁっ.........はぁっ」
普段は飛びながら移動しているせいか、陸路になると体力の減りも早く、すぐに息切れを起こす。
だが、必死に何かから逃れるように直ぐさま走り出す。
「はぁっ.........はぁっ.........あっ!」
横っ腹がジンジンと痛み、まともに呼吸すら出来なくなっている状態になりながら、ようやく森の出口らしき光を見つけた。
「やった、これで逃げれ.........」
と、思って目を横にそらした矢先だった。
暗闇に紛れていた黒い塊のような物が横から凄い勢いで迫ってくるのがわかった。
「ひぃぃっ!!!」
必死に光に向かって逃げようとしたが、直ぐさま一切の闇が目の前を支配する。
チルノは、尻餅をついた。
立ち上がろうとした。
が、立ち上がれない。
目の前に銃口があるから。
黒い塊の中から突き出た銃口。
それが少しずつ小さくなり、中から昔からの深い付き合いである彼女が現れた。
「ル.........ルーミア....ちゃん.........」
「..................」
ルーミアの右手に引き金、左手でポンプアクションの所を持ち、無表情のまま畏怖とした表情を見せるチルノにショットガンの銃口を突きつけていた。
足の震えが止まらない。
涙も出てきた。
だけど、ルーミアの表情に変化はなかった。
どうして?
さっきまで一緒にいたのに。
冗談とか言い合ってたのに。
いつものメンバーで、笑い合ってたのに!!
手にしていた拳銃に力が籠る。
「何.........で」
恐怖で抑制されたチルノの感情が、まるで吹っ切れたかのように露になる。
「何でこんな.........っ!あたいたちが殺し合うような真似をしなきゃならないの!?」
「...................」
その言葉は、自分が生き残る為に出した言い訳なのか、ルーミアを元に戻そうとする為に発した心からの叫びなのかはわからなかった。ただ、いつものように返事をして欲しかったのかもしれない。
友達だから。
かけがえの無い、幻想郷で信頼し合っていた心の友だから。
「あたいたち、友達だよっ.........こんなのって.........あっちゃだめだよ.........おかしいよ.........」
「...........................友達」
ルーミアの口から言葉が出る。それにすぐさま反応するチルノ。
「そう、友達だよっ!!」
「..................友達、なのかー」
突きつけられた銃口が下を向く。
チルノの涙で濡れた表情に少し笑みが戻る。
が
「今は、敵」
ルーミア、引き金を引く。
表情が黒い笑みに変わるのと同時だった。
放たれた弾丸は顔面に着弾。
チルノは後方に数m吹き飛び、地面に仰向けに倒れた。
ルーミア、倒れたチルノに近づき、頭部を集中的にゼロ距離で追撃をする。
1発。
2発。
3発と。
響き渡る銃声。ガシャンと音を立てるフォアエンド。地面に落ちるショットシェル。
そして残りの1発を腹部に向かって射撃した。
そして装填していた5発の弾丸を撃ち、ただぼぅっと立ち尽くすルーミア。
チルノのその撃たれた様を見て、ルーミアの口元が緩む。
「....ふっ..ふふふふふ......アーーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!」
そして大きな声で、ルーミアは笑った。
生き物を殺すっ!!!虫とかチンケなものじゃないっ!!!
その新しい快楽に目覚め、理性を忘れ、新たな新境地に足を踏み入れた事に感謝するかのように、ただただ笑った。
経験が自らを変えると言うがまさに今、彼女は変わった。ルーミアは、もう戻れない。
ただただ、欲望を満たすが為に殺戮を行う悪の道を彼女は歩む事になるのだっ!!!
と、言う風に見えなくもなかった。
ルーミア、笑いすぎて腹筋を痛めたのか散弾銃を持ってない左手で腹を抑える。
というより、彼女が大爆笑してる要因はチルノにあった。
「アーッハッハッハッハッハッハァっ........び....びしょ.....びしょぬれなのかーー」
結論から言うと、チルノは死んでない。
全身ずぶ濡れ状態で気絶していた。
エロいっっ!!!
ルーミア、床に転がり手をバンバン地面に叩き付けながら大爆笑している。
すると、足下に何かが転がってくる。
拾う。
「ハッハッハーーーーあっ...............あああああわわわわわわわぁぁぁぁっっ!!」
手榴弾だった。
爆発に巻き込まれ大量の水しぶきと共に舞い飛ぶルーミア。
後、チルノ。ルーミアと散るの。
そして近くの草むらからひょこっと出てきた2人の影。
リグルと大妖精だった。
「やった!大ちゃん見てた!?」
「何で手榴弾投げるの!?にとりさんから絶対使ったら駄目だから、絶対だからね!!って念押して言われたでしょ!?」
「そういうのをねフラグって言うのさっ!!」
リグル、親指立ててドヤ顔。
「ええぇぇ...........」
「よおぉっし、大ちゃん!!ルーミアちゃんもやっつけたし、ここはリグル1番隊隊長のこのリグルについてこーーーーいっ!!他の2人もやっつけるよっ!!」
「ええぇぇ...........リグルちゃん.........ええぇぇ......」
大妖精を置き去りにするかのようにショットガン両手に勢い良く飛び出すリグル。
すると
リグル、突然その場に仰向けに倒れる。
額には大量の水が。
「え!?ええええぇぇぇぇっ!?何で!?」
オロオロする大妖精を離れた草むらからライフルスコープでのぞき、狙いを定める夜雀のミスティア。それを見守る化け猫の橙。するとミスティアが言う。
「ねぇ、橙」
「な、何ですか?」
「隊長ってさ、歩く死亡フラグだと思わない?」
「......え?ふらぐ...?」
「いや、わかんないならいいのよ」
そう言って、ミスティアはライフルの引き金を引いた。
~妖怪の山~
山の麓でバカルテット+αが先日、経験した話をにとりから聞いた。
「いやぁ... でもですよ?」
「ん?」
何かを思いだした椛が言う。
「あの水鉄砲、どうやって作ったんですか?水鉄砲って言ったら竹で作られたああいうのしか.....」
「あぁ、USPコンパクトとM1897とPSG1の事かい?」
「ガチじゃないですか」
「あれ結構大変なんだよ。聞きたい?」
「い、いいです.........でも」
「でも?」
「普通、水の弾があんな高速で飛んできたら本物の弾と同じくらい危険じゃないんですか?それに水がいつまでも同じ形を保ってるとは思えませんし、現実的にあんなごっつい銃が水鉄砲って色々と無理が........」
「細けぇこたぁ良いんだよ。その辺は夢とロマンで補えや、わんわんおコラ」
「わんわんじゃありませんっ!!白狼っ!白狼天狗ですっ!!」
と、言った矢先にヒラヒラとポスターらしき物が舞い降りてきた。
拾ってみると、でっかく「妖怪の山の河童主催『大・水戦争』参加者募集中!!」
小さく「爽やかに乱れ舞え、幻想郷の乙女達!!優勝商品もあるよ!!」
更に小さく「ポロリこいや」
「そういうのなんですか、これ......」
上空を見上げると、文さんが凄い勢いでポスターをまき散らしてたのが判った。
ここで椛がにとりに聞く。
「でも、なんでこんな企画を?」
「ん?それはねぇ、わたしが文さんに言ったんだ」
にとり、いつも背負っているリュックから拳銃を取り出して言う。
「これで、戦争ごっこしようよ..........って」
私は、この言葉が招いた全ての出来事をここに記す。
続く
……あ、あと、あとがきが矛盾してますよ。
~を糧に頑張ります!とかいいながらも 笑 って何でしょうか?
初投稿で長編を書くのは如何な物かと思いますが、頑張って下さいね。
何はともあれ初投稿おめでとうございます。