心地よい日差しに当たり、今日はどんな格好で寝てやろうかと考えているのか
湖のほとりにある紅魔館の門番、紅美鈴である。
んーっとノビをし、考えをまとめようとしていると
何者かが向かってくる気配を感じた。
「おや?あれは・・・魔理沙さんですね・・・」
「事前許可無しなので、侵入者扱いなんですよねー。いやだなぁ」
高速で向かってくるのは通称白黒、霧雨魔理沙である
「めーりん!今日も立ちはだかるか!いつものようにノビとけ!」
「マスタアァアァアアア!スパァアアアアク!!!!」
魔理沙から放たれた大きな閃光は紅美鈴を襲う
が
偶然か必然か奇跡か
この時、たまたま落ちていた握りこぶしほどの石が巻き込まれた
美鈴は前方のみ集中してガードしており
背後からの攻撃は無防備に近い状態となっていた。
放たれた閃光は美鈴を巻き込み消えていく
巻き込まれた石には恐ろしいくらいの横回転がかかっており
そう、ブーメランのように返ってくるのだ
そしてなんとか耐えきった美鈴の無防備の後頭部に
スコーン
マスパを耐えた美鈴であったが、無防備の後頭部に石が当たり美鈴は倒れこんでしまう。
「おいおい、石が頭に当たるとか不幸だな。大丈夫か?」
無言でむくりと起き上がった美鈴
そこにはいつものにこやかな表情はなく、無表情であり、冷たい目をした美鈴がいた
「ありゃ・・・怒ってるか・・・?ごめんな・・・?でも侵入するぜ!」
美鈴は自分の手をグーパーグーパーしブツブツ何かを言っている
「ん?どうしたー?本当に大丈夫かー?」
「・・・ここは、紅魔館か、私は紅美鈴。そうだ。紅魔館の門番だ」
「今まで私は何を?・・・無意識状態が続いてしまったのか?しかし・・・ん?」
視界の中に魔理沙がうつる
「?お前はダレだ?こんな所で何をしている?」
「えっ?記憶喪失か?美鈴、永遠亭に行った方がいいぜ。じゃ、お大事にな」
門をくぐろうとする魔理沙の襟をつかむ
「どこへ行くのだ」
「いや、いつものように図書館だよ!!なんだよ!」
「約束事はとりつけているのか」
「はぁ?いつもの事だからいいじゃねーか!しつこいぜ!」
襟をつかんだまま持ち上げる
「わわ!な、何するんだ!はなせよ!」
「気の抜けた侵入者だ。」
ポイっと門の外へ放り出す
魔理沙は地面に叩きつけられた
「いってぇなぁ!このやろう!!!」
魔理沙は弾幕をはり、美鈴に打つ
直撃するが、美鈴はダメージを受けていない
「あれ?」
「このような少女も侵入してくるとは世も末だ」
一瞬のうちに魔理沙の正面に入り込み、一撃を叩きこんだ
「・・・!」
魔理沙は飛ばされそのまま木に直撃する
いきなり受けた腹部への強烈な一撃
ドス黒い血を吐きながらうずくまる魔理沙
「・・・しぶといな。」
「ぅ・・・あ・・・あああああ!!!!!」
恐怖のあまり叫ぶ、叫ぶ、しかし周りには魔理沙と美鈴の2人しかいない
泣き叫ぶ、命だけはと
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ!」
叫び声を聞いて紅魔館からメイド長の十六夜咲夜が走ってくる
魔理沙の声だからだろうかその後を追ってパチュリーも珍しく走ってきた
「えっ・・・大丈夫?なんで?!え?魔理沙!」
変わり果てた魔理沙を見て咲夜は青ざめた
「うぁ、うわあああああ!!!!」
魔理沙は誰がいるのかが判断できないようだった。
ガタガタと大きく震え、錯乱している
魔理沙を見て絶句したパチュリーだが、すぐさま小悪魔を緊急召喚
「?およびですか?パチュリー様・・・ああ!ま、魔理沙さん!!!」
パチュリーは小悪魔に魔理沙を永遠亭にすぐ連れて行くように指示
言うが早いか小悪魔は魔理沙をかついで飛び立とうとした
「ちょっと」
それを美鈴が止める
ここで初めて美鈴の様子がおかしいことに気が付く
「侵入者は排除しないと」
小悪魔がかかえた魔理沙に美鈴が飛びかかる
が
美鈴は確かに魔理沙に飛びかかったはずだが逆の方向へと飛び出していた
咲夜が時を止め、美鈴の進行方向を変えたのだ
「ぬ?」
その隙に超スピードで飛び去る小悪魔
これは追いつくのは難しそうだと思い諦める
「パチュリー様、如何なさいましたか?お外までいらして」
「何をって、そんな事より魔理沙はなんであんな大けがを?」
冷静を装いパチュリーは美鈴に説明を求めた
美鈴が魔理沙を襲ったのは十中八九間違いないだろう。
「なんでって、私が侵入者を排除してたんじゃないですか。変なこと聞くんですね」
パチュリーは背中がぞくりとした感覚を覚えた。
久しぶりの感覚だ
そして、今の美鈴がどうなのかが分かった瞬間である
「美鈴、なんであんなことするのよ!!!魔理沙を殺そうとでもしたの!?何考えてるの!?」
咲夜が美鈴にくってかかかる。
「?侵入者だから当たり前だと思いますが。それより、そのメイド服をお召しになったお嬢様はどちら様で?」
「だ、誰だってあんた!」
「ヤメなさい。咲夜」
「ぱ、パチュリー様!?」
いつもならボーっと見ているか既に館へ戻っているのだが今日は違った
いつになく真剣な表情をし、冷や汗をかきながら咲夜を制止、美鈴へ指令を与えた
「美鈴、御苦労さま。この子の事は後で説明するわ」
「引き続き番をお願いね」
「承知致しました」
「ああ、それと、侵入者はなるべくダメージを与えないようにし」
「拘束することを第一にしなさい」
「ふむ。少し難しいですな。」
「そうね、まぁ今日何かありそうな感じがするのよね」
「殺しちゃったら、黒幕がわからなくなるじゃない?それは避けたいのよね」
「なるほど、承知しました。」
冷静に指示を出しているが、背中は汗でべったりである
「咲夜、戻るわよ」
「え、あ、あの」
「早くしなさい!!!!」
パチュリーが怒鳴る。今まで怒鳴ることなかったので咲夜はびっくりだ
館に入り、ふぅっと一息つくパチュリー。
「う、うまくいってよかった・・・」
「あの、パチュリー様・・・?」
「ごめんね。怒鳴ってしまって。至急レミィを起こしてきて頂戴。私は食堂にいるから呼んできて。」
「わかりました」
・・・
しばらくして紅魔館の食堂に
レミリア
フランドール
パチュリー
咲夜
が揃った
「眠いんだけど・・・どうしたの・・・顔面蒼白じゃない。図書館にGの群れでも発生したの?」
完全に寝起きのレミリア。目を細めながらボリボリ頭を掻いている
「それならどんなにいいか・・・」
「レミィ、よく聞きなさい。美鈴の【あの頃の人格】が出てきちゃってるわ」
目を大きく開けガタッと立ち上がるレミリア
「なんですって・・・」
「被害者は、魔理沙よ。恐らく内臓をやられているわ。永遠亭の医者を信じるなら命に別状はないだろうけど」
「あと、ショックで精神状態がよくない状態になったみたい」
「なんてこと・・・」
「えっと、話が読めないんだけど?お姉様?」
話をぶった切ったのはフランドール、レミリアの妹である
「あ、ああ、そうね。フランは当時はアレだったもんね・・・」
「後咲夜も知ってるわけないわね。」
「じゃぁ改めて説明するわね」
今からかなり昔の話
紅魔館が幻想郷にくる少し前のお話
吸血鬼がいることから血のように赤い館 紅魔館と呼ばれる一方
侵入者は容赦なく肉塊にされるという、血ぬられた門を守る悪魔のような門番がいるから 紅魔館
と呼ばれている時期があった。
「いわゆる、殺人マシーンのような感じね。それが昔の美鈴」
「そんな・・・」
サボって寝てたりするけどいつもニコニコして笑顔がかわいくって
お花が大好きな美鈴のイメージしかなかった咲夜はショックを受けたようだ
「ふぅん、で元に戻す方法は?」
「命がけであの性格を封印したのよ」
「ふぅん。実力行使ってヤツね。じゃぁ私がいけばいいじゃない」
席を立ったフランだったが
「ヤメなさい!!!!!」
今までにないレミリアの恫喝に驚くフラン
「お、おねぇさま・・・?」
「・・・危険だわ。実の妹を危険な目にあわせたくないの。」
「またまた。大丈夫だって!」
そう言うが早いかフランは飛び去っていった
「あああ、フラン!!!」
「もー、おねーさま邪魔しないで!」
フランは足止め用の弾幕を張り、門へ
・・・
「や、めーりん」
「・・・?どちら様で?」
「そういえば私の事しらないんだったよね」
「館の関係者の方ですか?」
「レミリア・スカーレットの妹でフランドール・スカーレットって言います」
「!お嬢様の・・・これはこれはご丁寧にどうも」
「私ね。私の知ってる美鈴が好きよ?」
「今の美鈴は嫌いよ?」
「仰っている事がよくわかりませんが」
「さっさと封印されちゃいなさいよ。」
「ふう、いん・・・?封印、私を、ああ、そうかそうかそうだった」
「全部思い出しました。きっかけってすごいですね」
「・・・裏切ったあなた達を許さない」
フランは咄嗟に間合いを置き、戦闘態勢に入る
フランは右手に燃え盛る巨大な剣を出現させ身構えた
「美鈴!ごめんね!痛いよ!」
「禁忌「レーヴァテイン」」
・・・
「フラン!!!!」
「お、ね・・・さ・・・ま」
足止め弾幕を越えてやってきたがそこには
ボロボロになり変わり果てた妹が倒れていた
「レミリア・スカーレット」
「美鈴っ・・・!」
「死んでもらいますよ。」
睨みあう両者
とそこへ
「おーい。お前等喧嘩するのはいいけど他人に迷惑をかけるのはヤメんかああああ!」
「罰としてお賽銭箱にいっぱいのお金と半年間の3食提供を求める」
空気が読めていない紅白巫女が空から飛んできた
「魔理沙かわいそうに。あの子トラウマになっちゃったじゃない」
「霊夢・・・今忙しいから後にして。ってか空気読みなさいよ」
「まぁ、大変そうだし手伝ってあげるわよ」
「なんなんだ今日は。おい、そこの腋巫女。邪魔をするな」
「腋巫女だぁ!?・・・生まれてきてごめんなさいって言わせてあげる」
霊夢は青筋を出して手をゴキゴキさせている。
「霊夢待ちなさい!フランを瀕死に追い込めるのよ!?あなたでも無理よ!」
「へぇ。だから?」
「いや、何で分かんないの?いくらあなたでも無理って言ってるの!」
「あのさぁ、私ってフランなんか雑魚同然の実力を持ってるのよ?」
「まぁ、ヘタすればルーミアやチルノよりも弱くなる時はあるけどね!!あはははは!!!」
「発言がおかしいわよ。永遠亭に行った方がいいんじゃない?」
「大丈夫大丈夫。まかせなさい」
美鈴はめんどくさそうな顔をしている
「レミリア、あんた私が指示したら美鈴に横から思いっきり、あの、なんだっけ、今度煮る?」
「は?何を煮るのよ」
「ほら、あったじゃない。槍。グンと煮る」
「グングニル」
「そうそうそれそれ。それで思いっきり串刺しにしちゃってね」
「は?」
「いくわよー」
「 夢 想 天 生 」
霊夢の体が透きとおり、無数の弾幕が美鈴を襲う
「甘く見られたもんだ。こんなもので怯むとでも思っているのか!!」
美鈴は弾幕内をつっきり霊夢の目の前へ
「でかい口叩く割には大したことないな!!」
すかさず美鈴は霊夢へ一撃を叩きこむ
が
「な、なに!?」
無残にも美鈴の攻撃は霊夢に当たらない。すり抜けてしまったのだ
「こ、こんな事が!」
そのひるんだ一瞬、四方八方から飛んできた弾幕が美鈴に直撃
「レミリア!」
「おりゃ!」
渾身、ではないがそれなりの威力のグングニルを投擲
見事美鈴に命中
そしてそこに最後の弾幕群が美鈴に直撃する
弾幕が引き起こした砂埃がなくなると
あれれれ~?美鈴が2人いるよぉ?
「はー。疲れた。じゃ、私は休憩休憩。さくやーおやつちょうだい」
「後は自分自身が解決しなさい。」
そう言うと霊夢は座り込んでしまった
ついていけない咲夜は苦笑いである
「ちょ、ちょっと霊夢!意味分かんないんだけど!」
レミリアは混乱している
「お嬢様、これは自分の油断が生んだ異変です。自分で解決させてください」
「は・・?」
この時美鈴が2人いることに気が付いたレミリア
どちらも美鈴である
一方は少し目がつりあがり殺意しか出てきていない美鈴
もう一方は真剣な顔をしているのだが、いつもの美鈴らしい
「ね、霊夢。美鈴が2人いるような気がするんだけど私目がおかしくなったのかな?」
「あなたの目は正常です。」
「何?これ何?どうなってんの?どんな原理?ねぇ霊夢?」
「ご都合主義ってヤツよ。何も考えないでスルーすればいいと思うわ」
「さくやー私にもおやつー。後見学するからテーブルをここへ」
考えるのをヤメたようだ
「かしこまりました。」
どんな状況でも動じない瀟洒なメイド長だが、苦笑いが止まらない。
「自分と同じ姿かたちをしているのを見るのは気持ちが悪い」
「私もそうです!」
「相手にならん。毎日ダラダラ過ごして腑抜けたヤツに負けるわけがない」
「まさか私に勝てるとでも思っているのですか?」
「当たり前だろう。」
「そうですか!じゃぁその考え、一瞬で変わることになります!」
美鈴が先制攻撃するが、あっさり避けられ反撃にあい被弾
「弱い!弱すぎるぞ!」
「ま、まだまだ!私はやれらはしない!お嬢様を守る義務がある!」
「お前はアイツが私にした行為を知っているのかっ!」
「私は忠誠を誓った!」
「どんな汚れた仕事だろうが遂行した!」
「女子供関係なく、主を守る為に殺めた!」
「もちろん辛かったさ!それでも私は心を鬼にして・・・殺した!」
「自分の主を守る為!自分の心を犠牲にしてまで!」
「必要がなくなれば捨てられた!」
「『もうあなたは必要ない』」
「この一言が!どんだけ辛かったか・・・!」
「なんでお前なんだ!なんで私じゃないんだ!」
「消えてなくなれ!」
もう一人の美鈴は泣きながら強烈な攻撃を連発し
美鈴は黙ってすべての攻撃を受け止めた。
軽い気持ちで見ていたレミリアだったが
もう一人の美鈴の気持ちを理解したのか、だんだん俯くようになっていた
霊夢はうまそうに煎餅を食らっており、レミリアの変化に気がつくわけでもない
「お前は殺めた事はあるか?ないだろう!私の苦しみなど理解できるわけない!」
「くたばれ!!!」
七色に光る光線が美鈴を襲う
避けようと思えば、避けれた、だけど美鈴は避けず防御姿勢を取る
光線が消え、美鈴は倒れ込んだ
「美鈴!」
レミリアは立ち上がり2人の元に向かった
「もう、死んだだろうな。次はお前の番だ」
「私の首がほしいのね?」
「首はいらんが死ねばそれでよい」
「それで気が済むのね?」
「そうだ」
「家族を守れなかった主に生きる資格なんてないわ」
レミリアはもう一人の美鈴に近づいた
「殺しなさい」
「お嬢様!!!」
咲夜が時間を止めレミリアに近づき引きとめる
「咲夜、ごめんなさい」
不意にレミリアが咲夜に一撃をくらわす
「が、・・・お、おじょうさま・・・?」
咲夜はその場に倒れ込みレミリアはまたもう一人の美鈴へ近づく
「邪魔者は今もういないわ」
「あそこの巫女がくるんじゃないか」
「別に味方でも敵でもなんでもないわ。」
「私はあんた達の揉め事にこれ以上介入しない」
「ただし、その後この幻想郷に害をもたらすならば、慈悲なく排除する」
と言うだけで、じっと見ている
煎餅を咀嚼しながら
「今まで世話になった礼を込めて、一撃で殺す」
「どうぞ」
レミリアは目をつぶった
が
いつまでたっても痛みもないので、おかしいと思い目をあけると
目の前には赤い髪がなびいていた
渾身の突きを美鈴が防いでいたのだ
「お嬢様を、守ると、いったでしょう。私はまだ死んでません。」
「美鈴!」
「き、貴様!」
「・・・あなたの気持ち、受け止めました・・・本当に・・・辛かったんですね・・・」
じっともう一人の美鈴を真剣な眼差しで見つつも
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「分かった風に言うな・・・!」
「分かります!弾幕には気持ちがこもってました!体も心も痛くて痛くてたまりません!」
「・・・今まで辛かったですね。解決策を見つけましょうと言いたい所ですが!」
「あなたは私の大事な友人を傷つけた!」
「あなたは私の、命より大切なお嬢様を殺めようとしている!」
「その罪は今償っていただきます!」
「最後に一言だけ。あなたが今私に触れられた事、後悔してください」
「彩符「極彩颱風」」
「お前、当たるとでも思っているの・・・?え?か、体が・・・!?」
「私は気を操る事ができます!」
「気の流れを変えてやることで思い通りに動かす事ができます!」
「あなたと私が同じだとすると」
「自分のように操る事は容易いと思いませんか?」
美鈴は、ニカッっといい笑顔を見せた
「なっ」
全弾命中
弱った所をまた気を使い拘束
決着がついた
「えっと、美鈴・・・よくやってくれた・・・ありがとう・・・」
色んな思いが、レミリアの判断を迷わせていた。
ただの殺人マシーンだと思っていたが、実は違ったのだ
自分の為に一生懸命になりすぎただけだったのだ。
しかし、ここまでやらかしたのだ。主として白黒つけなければいけない
「こいつの処分だが・・・」
と、レミリアが話始めようとした瞬間美鈴が話を遮った
「あの、このまま紅魔館に2人でいるってのはダメ・・・でしょうか?」
「!!えっ、でもこいつは・・・フランと魔理沙を半殺しにしたんだぞ・・・」
「そ、それは、いや、直接この人に謝罪してもらわないといけないと思います」
「もう、いいよ。ありがとう。だが取り返しのつかない事をしたんだ」
「死ぬ覚悟は、できている。」
「お前は優しい心と良い仲間をもったんだな。私の事は気にする必要はない」
「でも・・・」
「自分と同じ格好したヤツが死ぬ瞬間を見るのがイヤならお前の知らない所で知らない内に死ぬようにするよ」
「うう・・・」
「私も、お前のように生きたかったよ」
美鈴の気持ちもわかるし、そもそも、過去の行いが間違いだった事は理解している
だが、立場上そうも言ってられない
魔理沙や美鈴にも被害がおよんでいる以上、軽い理由で生かす事もできない
「おねーさまー」
と元気よく飛んできたのはフランである
「フ、フラン!?もう大丈夫なの?」
「いや、吸血鬼だし。へっちゃらだよ!」
「それにこの美鈴を置いておくのは賛成なんだけど」
「え・・・?」
「ちょっとおねーさま。私が本気でやってガチで負けたとでも思ってるの?ププー」
「もっと遊びたい!!」
レミリアはピンときた
これは殺さずにすむ言い訳にはなる。
「(この流れなら言える。好きだ。結婚しよう!・・・いや、誰に言うんだよ)」
現実問題フランの相手をするのは命がけである。
むしろくじ引きでやってたくらいだ。死のくじ引きを
しかし、この案通りならもうくじ引きはない
つまり、平和に過ごせるのだ
「まったく・・・」
「フラン!」
「何?」
「今の言葉、えっと、この美鈴を置いておく発言は」
「戯言でもなんでもなく」
「【スカーレット家の次女として】の発言か?」
きょとん、とした顔をしたフランであったが
すぐさま理解したようで、ニコっとよい笑顔を見せ
「そんなわけないじゃん。」
レミリアはずっこけそうになった
いや、1,2歩つんのめった。
「あのねぇ・・・真面目にできないの?」
「一回やってみたかったんだ!」
満面の笑みであったが、スッっと何かが降りてきたかのように真面目な顔をし
「私、スカーレット家の次女、フランドール・スカーレットは」
「本件の主犯である紅美鈴の殺害による解決方法を却下し」
「このまま生存の後、償いをさせる方法での解決を行うよう申し出ます。」
「レミリア・スカーレット。本件についての最終判断を求めます。」
「紅美鈴」
「はい「はい?」」
ややこしいなぁと思い、もう一人の美鈴を指差した
「本件によるスカーレット家の判断を申しつける。」
「長女、次女共に、主犯である紅美鈴の殺害による解決を却下し」
「生きて罪を償う解決方法を採用」
「本日よりで紅魔館の一員として『改めて』仕える事を命じる」
「え?」
予想外の展開に美鈴は何がどうなっているのか理解ができなかった。
「紅美鈴にはこれを拒否する権利も、ある」
「拒否する場合は即刻この場から立ち去り、以後接近を禁ずる事になる。」
レミリアは言いにくそうにもじもじしていたのだが
真面目な表情に変え、口を開いた
「えっと、あなたにはどうしても伝えなくてはいけない事がある。」
「あなたに辛い思いをさせてしまい、申し訳なかった。許してほしい」
「当時はまだ、あなたという人格を否定する事しかできなかった。浅はかだった。」
「罪滅ぼしまではいかないだろうが、こんな形で受け入れさせてもらえないだろうか。」
「まぁ、あの、仕えろっていったけど、その、みんな家族みたいなもんだから」
「一応ね、体裁を保つ意味だから、深くは考えないでほしい」
「私を許してくれ。この通りだ」
レミリアは精いっぱい頭を下げた。
全員目を疑った。こいつ偽物じゃね?って思うくらいだった。
咲夜はうずくまりながらもこの様子を見ていた
「(うう、お嬢様の腹パン痛いです・・・ああ、むしろご褒美かもしれ、イタタタ)」
「(それにしてもお嬢様も妹様も流石ですわ。カッコよすぎます。)」
「(これでこそ主!神々しい!私はその方々に仕えられるメイド長として今、幸せをかみしめてます。イタタタ)」
頭を下げた時、咲夜が目に入った。
鼻血を垂れ流しながらニヤニヤしている咲夜を見てしまい。見なかった事に、いや
居なかった事にしようとレミリアは思った。
霊夢はあまりの光景に目を見開いて煎餅を地面に落した。
落とした事すら気がついていない
次の瞬間、霊夢はレミリアに襲いかかった
「ちょ!れ、霊夢!何すんのよ!空気読めっていってるでしょ!!!」
「に、偽物!偽物!」
「何が偽物か!!!ばかたれ!」
「私の知ってるレミリアはそんな事言わない!」
「わ、私だって反省して謝るくらいできるわ!!」
「私の知っているレミリアなら」
「この負け犬が。しょうがなく下僕にしてあげるわ。」
「過去の話?はぁ?何昔の事ほじくり返してるの?バカなの?死ぬの?」
「敗者は敗者らしくはいつくばりなさい!」
「って言うもん!」
「言うか!!!流石にそこまで外道じゃないわ!」
「この偽悪魔め!!!」
空中で弾幕ごっこである。ごっこというか、戦争と言うか
霧異変の時よりもすごい争いである。
「あんなお嬢様初めて見ました。私もビックリです。私からもお願いします。一緒にここで生活しませんか?」
「後、お嬢様が言った言葉で」
「「家族を守れなかった主に生きる資格なんてないわ」」
「これ、家族=あなたって意味なんですよ?」
「そんなわけ、無いだろう・・・」
「そうですって!ねー!?おじょうさまー!?」
「!!!」
レミリアはハッとして赤面した。そしてその瞬間被弾してピチュった。
「あはは。負けちゃいましたね。お嬢様。」
拘束をとき、美鈴は晴れやかな笑顔と共にもう一人の美鈴に手を差し伸べた
もう一人の美鈴は無言で手を掴み返す。
もうぐしゃぐしゃに泣いてしまっていたが、生まれてきて一番の笑顔で答えた
「ありがとう・・・お世話に、なります。」
・・・
後日、紅魔館
「めーりん」
「「はーい」」
「2人そろってる時はややこしいわね・・・」
「咲夜、紙とペン持ってきて」
「おまちくだsおまたせしました」
「別にまってないわ。」
紙に文字を書いて渡す。
「よし。これでどうかしら」
紙には鈴美と書かれていた
「わたし達の字の逆ですね」
「両方共 美鈴 だからね。改名はするつもりはないけど」
「まぁ、あだ名みたいな感じかしら」
もう一人の美鈴に紙を渡した
「で、読み方は?」
「すずみ よ」
「ブフォッ」
盛大に吹いてしまったのは咲夜である。
とんでもないネーミングセンスにうっかりである
「めいりんの逆だからりんめいとかじゃないんですか?」
「はぁ?何そのセンスありえないわよ。美鈴」
「ププッ」
笑いを我慢して、でも我慢できなくて
俯いてプルプルしている咲夜の顔は真っ赤である
しかしこの読み方は後ほどフランにバッサリと却下され
めーりん と りんめー が生まれた
----------------霊夢のごはん
数日後、博霊神社
一応解決の大きな功績をたたえ、要望を飲む事にした紅魔館側は
説明の為、咲夜を博霊神社に向かわせた。
「ごーはん、ごーはんとおさいせーん」バンバン
「うるさいわよ。まず、礼金の話ですが」
「明日あなたが起きたらサーセン箱がいっぱいになっているようにするわ」
「で、食事の話は」
「ご飯はお嬢様達が食べてるようなメニューでお届けしますわ」
「主と同じご飯とか贅沢ですね。あ、血とか入ってないのでご安心を」
「ま、マジで!?」
「ええ、嘘偽りありません。以上。忙しいので帰るわね」
咲夜が消えるように帰って行った(実際消えたけど)
霊夢は鼻の下をのばしてだらしない顔をしている
「ぐふ、うふふふふぃ。」
次の日の朝
テーブルの上にご飯の用意がされ、ホコリよけにとふろしきのようなものがかけてある。
これはきっと朝ごはんに違いない。
「朝はパンかしら、ご飯かしら・・・おかずが何品?うふ、うふふふ」
テーブルの前で小躍りをし、お茶を用意して
「さぁ!最高の朝食よ!姿を見せなさい!」
バッっとふろしきをどけて霊夢は固まった
テーブルの上には小さなお椀がひとつ。
お椀には味噌汁がぶっかけてあるご飯が入っていた
時間がたっているのか味噌汁はすべて米が吸ってしまい汁気はない
どこからか風が吹いてきてふろしきがパタパタとなびいた。
茫然とする霊夢だが、お椀のしたにメモと写真が
「ははーん、ちょっと時間がなくてちょっとまって!って事ね!きっとそうよ!」
既に巫女の勘からこれが朝食と確信してしまっていたのだが
万が一の可能性に賭け、メモと写真を確認した
『お嬢様と同じメニューですよ』
写真には味噌汁かけご飯をイヤそうに食べているレミリアが
「吸血鬼が写真に写るかはおいといて」
「量まで同じかよ」
それは子供用のちいさなお椀でした。
ブツブツ言いながら完食
お楽しみタイムのお賽銭箱チェックである
「紙幣でいっぱい?いやまさかでも、500円でいっぱい?うへへ。」
「あの箱だから1円でもそれなりの金額が・・・ぐふふふ」
「すぇーの!」
がばっっと開けた賽銭箱を見て霊夢は泣きながら中身をまさぐってぶっ倒れた
そう
子供銀行と書いてある貨幣ばかりだったのだ
ハッと我に返った霊夢が再度賽銭箱を確認
やはり子供銀行だ。
あのメイドのすっぽんぽんの写真とって天狗に売りつけて金にするかと思っていたが
またしてもメモを見つけた
『賽銭箱はいやがらせです。本当の謝礼は敷地内のどこかにありますので見つけてください』
必死になって自分の家を荒らしたしかしどこにもそれらしきものは見つからなかった
「はぁ、もういいわ。あそこの館全員ではだか祭ね。」
と青筋を出していると、外が騒がしい
「あややややや!!!」
なんだ烏天狗かと思い外に出ると、鳥居の上で一番高価な紙幣の束を両手に持ってワタワタしている
「あやぁあああ!!!!」
烏天狗を殺す勢いで近づき、紙幣を強奪
と、いつもより鳥居が高い事に気が付き調べた
そこには鳥居と同じ色の箱が設置されており、その中に大量の紙幣が入っているのを確認!
「きたわああああ!!!!」
「あややや。すごいお金ですねぇ。どこから奪ってきたんですか?あやや!?」
霊夢はお札を使い文を拘束
「別に盗んでないわ。これは報酬よ。」
「は、はぁ、で、なんで私拘束されてるんですか?」
「この事を他言するとどうなるか教えてやろう」
「は、え?れ、霊夢さん?あの、そんな表情できるんですね?あ、あは、あはは・・・」
「あやややややぁああああ!やめてくださああああああい!!!」
とりあえず文にはこの事は他言しませんとサインさせ解放
ホクホク顔で戻っていくらあるのかを数えていると・・・?
一番上だけ本物の紙幣であとはまた偽物のお金でした。
人の顔部分がレミリアだったりパチュリーだったり・・・
「ぐぬぬ・・・本物がある分、文句言いにくいわね・・・クソッ・・・」
「お、霊夢お金もってんな!酒買おう!おつまみも!じゃ、いってくる!」
突然萃香が現れ現金をすべて持っていってしまった
「す、すいかああああああ!!!!」
その夜、博霊神社で無料の宴会が行われ大いににぎわった。
目が虚ろな霊夢はヤケになって酒を飲み倒れるように寝た
朝、目を覚ました霊夢を待っていたのは
宴会予算オーバー分の請求書であった
湖のほとりにある紅魔館の門番、紅美鈴である。
んーっとノビをし、考えをまとめようとしていると
何者かが向かってくる気配を感じた。
「おや?あれは・・・魔理沙さんですね・・・」
「事前許可無しなので、侵入者扱いなんですよねー。いやだなぁ」
高速で向かってくるのは通称白黒、霧雨魔理沙である
「めーりん!今日も立ちはだかるか!いつものようにノビとけ!」
「マスタアァアァアアア!スパァアアアアク!!!!」
魔理沙から放たれた大きな閃光は紅美鈴を襲う
が
偶然か必然か奇跡か
この時、たまたま落ちていた握りこぶしほどの石が巻き込まれた
美鈴は前方のみ集中してガードしており
背後からの攻撃は無防備に近い状態となっていた。
放たれた閃光は美鈴を巻き込み消えていく
巻き込まれた石には恐ろしいくらいの横回転がかかっており
そう、ブーメランのように返ってくるのだ
そしてなんとか耐えきった美鈴の無防備の後頭部に
スコーン
マスパを耐えた美鈴であったが、無防備の後頭部に石が当たり美鈴は倒れこんでしまう。
「おいおい、石が頭に当たるとか不幸だな。大丈夫か?」
無言でむくりと起き上がった美鈴
そこにはいつものにこやかな表情はなく、無表情であり、冷たい目をした美鈴がいた
「ありゃ・・・怒ってるか・・・?ごめんな・・・?でも侵入するぜ!」
美鈴は自分の手をグーパーグーパーしブツブツ何かを言っている
「ん?どうしたー?本当に大丈夫かー?」
「・・・ここは、紅魔館か、私は紅美鈴。そうだ。紅魔館の門番だ」
「今まで私は何を?・・・無意識状態が続いてしまったのか?しかし・・・ん?」
視界の中に魔理沙がうつる
「?お前はダレだ?こんな所で何をしている?」
「えっ?記憶喪失か?美鈴、永遠亭に行った方がいいぜ。じゃ、お大事にな」
門をくぐろうとする魔理沙の襟をつかむ
「どこへ行くのだ」
「いや、いつものように図書館だよ!!なんだよ!」
「約束事はとりつけているのか」
「はぁ?いつもの事だからいいじゃねーか!しつこいぜ!」
襟をつかんだまま持ち上げる
「わわ!な、何するんだ!はなせよ!」
「気の抜けた侵入者だ。」
ポイっと門の外へ放り出す
魔理沙は地面に叩きつけられた
「いってぇなぁ!このやろう!!!」
魔理沙は弾幕をはり、美鈴に打つ
直撃するが、美鈴はダメージを受けていない
「あれ?」
「このような少女も侵入してくるとは世も末だ」
一瞬のうちに魔理沙の正面に入り込み、一撃を叩きこんだ
「・・・!」
魔理沙は飛ばされそのまま木に直撃する
いきなり受けた腹部への強烈な一撃
ドス黒い血を吐きながらうずくまる魔理沙
「・・・しぶといな。」
「ぅ・・・あ・・・あああああ!!!!!」
恐怖のあまり叫ぶ、叫ぶ、しかし周りには魔理沙と美鈴の2人しかいない
泣き叫ぶ、命だけはと
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ!」
叫び声を聞いて紅魔館からメイド長の十六夜咲夜が走ってくる
魔理沙の声だからだろうかその後を追ってパチュリーも珍しく走ってきた
「えっ・・・大丈夫?なんで?!え?魔理沙!」
変わり果てた魔理沙を見て咲夜は青ざめた
「うぁ、うわあああああ!!!!」
魔理沙は誰がいるのかが判断できないようだった。
ガタガタと大きく震え、錯乱している
魔理沙を見て絶句したパチュリーだが、すぐさま小悪魔を緊急召喚
「?およびですか?パチュリー様・・・ああ!ま、魔理沙さん!!!」
パチュリーは小悪魔に魔理沙を永遠亭にすぐ連れて行くように指示
言うが早いか小悪魔は魔理沙をかついで飛び立とうとした
「ちょっと」
それを美鈴が止める
ここで初めて美鈴の様子がおかしいことに気が付く
「侵入者は排除しないと」
小悪魔がかかえた魔理沙に美鈴が飛びかかる
が
美鈴は確かに魔理沙に飛びかかったはずだが逆の方向へと飛び出していた
咲夜が時を止め、美鈴の進行方向を変えたのだ
「ぬ?」
その隙に超スピードで飛び去る小悪魔
これは追いつくのは難しそうだと思い諦める
「パチュリー様、如何なさいましたか?お外までいらして」
「何をって、そんな事より魔理沙はなんであんな大けがを?」
冷静を装いパチュリーは美鈴に説明を求めた
美鈴が魔理沙を襲ったのは十中八九間違いないだろう。
「なんでって、私が侵入者を排除してたんじゃないですか。変なこと聞くんですね」
パチュリーは背中がぞくりとした感覚を覚えた。
久しぶりの感覚だ
そして、今の美鈴がどうなのかが分かった瞬間である
「美鈴、なんであんなことするのよ!!!魔理沙を殺そうとでもしたの!?何考えてるの!?」
咲夜が美鈴にくってかかかる。
「?侵入者だから当たり前だと思いますが。それより、そのメイド服をお召しになったお嬢様はどちら様で?」
「だ、誰だってあんた!」
「ヤメなさい。咲夜」
「ぱ、パチュリー様!?」
いつもならボーっと見ているか既に館へ戻っているのだが今日は違った
いつになく真剣な表情をし、冷や汗をかきながら咲夜を制止、美鈴へ指令を与えた
「美鈴、御苦労さま。この子の事は後で説明するわ」
「引き続き番をお願いね」
「承知致しました」
「ああ、それと、侵入者はなるべくダメージを与えないようにし」
「拘束することを第一にしなさい」
「ふむ。少し難しいですな。」
「そうね、まぁ今日何かありそうな感じがするのよね」
「殺しちゃったら、黒幕がわからなくなるじゃない?それは避けたいのよね」
「なるほど、承知しました。」
冷静に指示を出しているが、背中は汗でべったりである
「咲夜、戻るわよ」
「え、あ、あの」
「早くしなさい!!!!」
パチュリーが怒鳴る。今まで怒鳴ることなかったので咲夜はびっくりだ
館に入り、ふぅっと一息つくパチュリー。
「う、うまくいってよかった・・・」
「あの、パチュリー様・・・?」
「ごめんね。怒鳴ってしまって。至急レミィを起こしてきて頂戴。私は食堂にいるから呼んできて。」
「わかりました」
・・・
しばらくして紅魔館の食堂に
レミリア
フランドール
パチュリー
咲夜
が揃った
「眠いんだけど・・・どうしたの・・・顔面蒼白じゃない。図書館にGの群れでも発生したの?」
完全に寝起きのレミリア。目を細めながらボリボリ頭を掻いている
「それならどんなにいいか・・・」
「レミィ、よく聞きなさい。美鈴の【あの頃の人格】が出てきちゃってるわ」
目を大きく開けガタッと立ち上がるレミリア
「なんですって・・・」
「被害者は、魔理沙よ。恐らく内臓をやられているわ。永遠亭の医者を信じるなら命に別状はないだろうけど」
「あと、ショックで精神状態がよくない状態になったみたい」
「なんてこと・・・」
「えっと、話が読めないんだけど?お姉様?」
話をぶった切ったのはフランドール、レミリアの妹である
「あ、ああ、そうね。フランは当時はアレだったもんね・・・」
「後咲夜も知ってるわけないわね。」
「じゃぁ改めて説明するわね」
今からかなり昔の話
紅魔館が幻想郷にくる少し前のお話
吸血鬼がいることから血のように赤い館 紅魔館と呼ばれる一方
侵入者は容赦なく肉塊にされるという、血ぬられた門を守る悪魔のような門番がいるから 紅魔館
と呼ばれている時期があった。
「いわゆる、殺人マシーンのような感じね。それが昔の美鈴」
「そんな・・・」
サボって寝てたりするけどいつもニコニコして笑顔がかわいくって
お花が大好きな美鈴のイメージしかなかった咲夜はショックを受けたようだ
「ふぅん、で元に戻す方法は?」
「命がけであの性格を封印したのよ」
「ふぅん。実力行使ってヤツね。じゃぁ私がいけばいいじゃない」
席を立ったフランだったが
「ヤメなさい!!!!!」
今までにないレミリアの恫喝に驚くフラン
「お、おねぇさま・・・?」
「・・・危険だわ。実の妹を危険な目にあわせたくないの。」
「またまた。大丈夫だって!」
そう言うが早いかフランは飛び去っていった
「あああ、フラン!!!」
「もー、おねーさま邪魔しないで!」
フランは足止め用の弾幕を張り、門へ
・・・
「や、めーりん」
「・・・?どちら様で?」
「そういえば私の事しらないんだったよね」
「館の関係者の方ですか?」
「レミリア・スカーレットの妹でフランドール・スカーレットって言います」
「!お嬢様の・・・これはこれはご丁寧にどうも」
「私ね。私の知ってる美鈴が好きよ?」
「今の美鈴は嫌いよ?」
「仰っている事がよくわかりませんが」
「さっさと封印されちゃいなさいよ。」
「ふう、いん・・・?封印、私を、ああ、そうかそうかそうだった」
「全部思い出しました。きっかけってすごいですね」
「・・・裏切ったあなた達を許さない」
フランは咄嗟に間合いを置き、戦闘態勢に入る
フランは右手に燃え盛る巨大な剣を出現させ身構えた
「美鈴!ごめんね!痛いよ!」
「禁忌「レーヴァテイン」」
・・・
「フラン!!!!」
「お、ね・・・さ・・・ま」
足止め弾幕を越えてやってきたがそこには
ボロボロになり変わり果てた妹が倒れていた
「レミリア・スカーレット」
「美鈴っ・・・!」
「死んでもらいますよ。」
睨みあう両者
とそこへ
「おーい。お前等喧嘩するのはいいけど他人に迷惑をかけるのはヤメんかああああ!」
「罰としてお賽銭箱にいっぱいのお金と半年間の3食提供を求める」
空気が読めていない紅白巫女が空から飛んできた
「魔理沙かわいそうに。あの子トラウマになっちゃったじゃない」
「霊夢・・・今忙しいから後にして。ってか空気読みなさいよ」
「まぁ、大変そうだし手伝ってあげるわよ」
「なんなんだ今日は。おい、そこの腋巫女。邪魔をするな」
「腋巫女だぁ!?・・・生まれてきてごめんなさいって言わせてあげる」
霊夢は青筋を出して手をゴキゴキさせている。
「霊夢待ちなさい!フランを瀕死に追い込めるのよ!?あなたでも無理よ!」
「へぇ。だから?」
「いや、何で分かんないの?いくらあなたでも無理って言ってるの!」
「あのさぁ、私ってフランなんか雑魚同然の実力を持ってるのよ?」
「まぁ、ヘタすればルーミアやチルノよりも弱くなる時はあるけどね!!あはははは!!!」
「発言がおかしいわよ。永遠亭に行った方がいいんじゃない?」
「大丈夫大丈夫。まかせなさい」
美鈴はめんどくさそうな顔をしている
「レミリア、あんた私が指示したら美鈴に横から思いっきり、あの、なんだっけ、今度煮る?」
「は?何を煮るのよ」
「ほら、あったじゃない。槍。グンと煮る」
「グングニル」
「そうそうそれそれ。それで思いっきり串刺しにしちゃってね」
「は?」
「いくわよー」
「 夢 想 天 生 」
霊夢の体が透きとおり、無数の弾幕が美鈴を襲う
「甘く見られたもんだ。こんなもので怯むとでも思っているのか!!」
美鈴は弾幕内をつっきり霊夢の目の前へ
「でかい口叩く割には大したことないな!!」
すかさず美鈴は霊夢へ一撃を叩きこむ
が
「な、なに!?」
無残にも美鈴の攻撃は霊夢に当たらない。すり抜けてしまったのだ
「こ、こんな事が!」
そのひるんだ一瞬、四方八方から飛んできた弾幕が美鈴に直撃
「レミリア!」
「おりゃ!」
渾身、ではないがそれなりの威力のグングニルを投擲
見事美鈴に命中
そしてそこに最後の弾幕群が美鈴に直撃する
弾幕が引き起こした砂埃がなくなると
あれれれ~?美鈴が2人いるよぉ?
「はー。疲れた。じゃ、私は休憩休憩。さくやーおやつちょうだい」
「後は自分自身が解決しなさい。」
そう言うと霊夢は座り込んでしまった
ついていけない咲夜は苦笑いである
「ちょ、ちょっと霊夢!意味分かんないんだけど!」
レミリアは混乱している
「お嬢様、これは自分の油断が生んだ異変です。自分で解決させてください」
「は・・?」
この時美鈴が2人いることに気が付いたレミリア
どちらも美鈴である
一方は少し目がつりあがり殺意しか出てきていない美鈴
もう一方は真剣な顔をしているのだが、いつもの美鈴らしい
「ね、霊夢。美鈴が2人いるような気がするんだけど私目がおかしくなったのかな?」
「あなたの目は正常です。」
「何?これ何?どうなってんの?どんな原理?ねぇ霊夢?」
「ご都合主義ってヤツよ。何も考えないでスルーすればいいと思うわ」
「さくやー私にもおやつー。後見学するからテーブルをここへ」
考えるのをヤメたようだ
「かしこまりました。」
どんな状況でも動じない瀟洒なメイド長だが、苦笑いが止まらない。
「自分と同じ姿かたちをしているのを見るのは気持ちが悪い」
「私もそうです!」
「相手にならん。毎日ダラダラ過ごして腑抜けたヤツに負けるわけがない」
「まさか私に勝てるとでも思っているのですか?」
「当たり前だろう。」
「そうですか!じゃぁその考え、一瞬で変わることになります!」
美鈴が先制攻撃するが、あっさり避けられ反撃にあい被弾
「弱い!弱すぎるぞ!」
「ま、まだまだ!私はやれらはしない!お嬢様を守る義務がある!」
「お前はアイツが私にした行為を知っているのかっ!」
「私は忠誠を誓った!」
「どんな汚れた仕事だろうが遂行した!」
「女子供関係なく、主を守る為に殺めた!」
「もちろん辛かったさ!それでも私は心を鬼にして・・・殺した!」
「自分の主を守る為!自分の心を犠牲にしてまで!」
「必要がなくなれば捨てられた!」
「『もうあなたは必要ない』」
「この一言が!どんだけ辛かったか・・・!」
「なんでお前なんだ!なんで私じゃないんだ!」
「消えてなくなれ!」
もう一人の美鈴は泣きながら強烈な攻撃を連発し
美鈴は黙ってすべての攻撃を受け止めた。
軽い気持ちで見ていたレミリアだったが
もう一人の美鈴の気持ちを理解したのか、だんだん俯くようになっていた
霊夢はうまそうに煎餅を食らっており、レミリアの変化に気がつくわけでもない
「お前は殺めた事はあるか?ないだろう!私の苦しみなど理解できるわけない!」
「くたばれ!!!」
七色に光る光線が美鈴を襲う
避けようと思えば、避けれた、だけど美鈴は避けず防御姿勢を取る
光線が消え、美鈴は倒れ込んだ
「美鈴!」
レミリアは立ち上がり2人の元に向かった
「もう、死んだだろうな。次はお前の番だ」
「私の首がほしいのね?」
「首はいらんが死ねばそれでよい」
「それで気が済むのね?」
「そうだ」
「家族を守れなかった主に生きる資格なんてないわ」
レミリアはもう一人の美鈴に近づいた
「殺しなさい」
「お嬢様!!!」
咲夜が時間を止めレミリアに近づき引きとめる
「咲夜、ごめんなさい」
不意にレミリアが咲夜に一撃をくらわす
「が、・・・お、おじょうさま・・・?」
咲夜はその場に倒れ込みレミリアはまたもう一人の美鈴へ近づく
「邪魔者は今もういないわ」
「あそこの巫女がくるんじゃないか」
「別に味方でも敵でもなんでもないわ。」
「私はあんた達の揉め事にこれ以上介入しない」
「ただし、その後この幻想郷に害をもたらすならば、慈悲なく排除する」
と言うだけで、じっと見ている
煎餅を咀嚼しながら
「今まで世話になった礼を込めて、一撃で殺す」
「どうぞ」
レミリアは目をつぶった
が
いつまでたっても痛みもないので、おかしいと思い目をあけると
目の前には赤い髪がなびいていた
渾身の突きを美鈴が防いでいたのだ
「お嬢様を、守ると、いったでしょう。私はまだ死んでません。」
「美鈴!」
「き、貴様!」
「・・・あなたの気持ち、受け止めました・・・本当に・・・辛かったんですね・・・」
じっともう一人の美鈴を真剣な眼差しで見つつも
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「分かった風に言うな・・・!」
「分かります!弾幕には気持ちがこもってました!体も心も痛くて痛くてたまりません!」
「・・・今まで辛かったですね。解決策を見つけましょうと言いたい所ですが!」
「あなたは私の大事な友人を傷つけた!」
「あなたは私の、命より大切なお嬢様を殺めようとしている!」
「その罪は今償っていただきます!」
「最後に一言だけ。あなたが今私に触れられた事、後悔してください」
「彩符「極彩颱風」」
「お前、当たるとでも思っているの・・・?え?か、体が・・・!?」
「私は気を操る事ができます!」
「気の流れを変えてやることで思い通りに動かす事ができます!」
「あなたと私が同じだとすると」
「自分のように操る事は容易いと思いませんか?」
美鈴は、ニカッっといい笑顔を見せた
「なっ」
全弾命中
弱った所をまた気を使い拘束
決着がついた
「えっと、美鈴・・・よくやってくれた・・・ありがとう・・・」
色んな思いが、レミリアの判断を迷わせていた。
ただの殺人マシーンだと思っていたが、実は違ったのだ
自分の為に一生懸命になりすぎただけだったのだ。
しかし、ここまでやらかしたのだ。主として白黒つけなければいけない
「こいつの処分だが・・・」
と、レミリアが話始めようとした瞬間美鈴が話を遮った
「あの、このまま紅魔館に2人でいるってのはダメ・・・でしょうか?」
「!!えっ、でもこいつは・・・フランと魔理沙を半殺しにしたんだぞ・・・」
「そ、それは、いや、直接この人に謝罪してもらわないといけないと思います」
「もう、いいよ。ありがとう。だが取り返しのつかない事をしたんだ」
「死ぬ覚悟は、できている。」
「お前は優しい心と良い仲間をもったんだな。私の事は気にする必要はない」
「でも・・・」
「自分と同じ格好したヤツが死ぬ瞬間を見るのがイヤならお前の知らない所で知らない内に死ぬようにするよ」
「うう・・・」
「私も、お前のように生きたかったよ」
美鈴の気持ちもわかるし、そもそも、過去の行いが間違いだった事は理解している
だが、立場上そうも言ってられない
魔理沙や美鈴にも被害がおよんでいる以上、軽い理由で生かす事もできない
「おねーさまー」
と元気よく飛んできたのはフランである
「フ、フラン!?もう大丈夫なの?」
「いや、吸血鬼だし。へっちゃらだよ!」
「それにこの美鈴を置いておくのは賛成なんだけど」
「え・・・?」
「ちょっとおねーさま。私が本気でやってガチで負けたとでも思ってるの?ププー」
「もっと遊びたい!!」
レミリアはピンときた
これは殺さずにすむ言い訳にはなる。
「(この流れなら言える。好きだ。結婚しよう!・・・いや、誰に言うんだよ)」
現実問題フランの相手をするのは命がけである。
むしろくじ引きでやってたくらいだ。死のくじ引きを
しかし、この案通りならもうくじ引きはない
つまり、平和に過ごせるのだ
「まったく・・・」
「フラン!」
「何?」
「今の言葉、えっと、この美鈴を置いておく発言は」
「戯言でもなんでもなく」
「【スカーレット家の次女として】の発言か?」
きょとん、とした顔をしたフランであったが
すぐさま理解したようで、ニコっとよい笑顔を見せ
「そんなわけないじゃん。」
レミリアはずっこけそうになった
いや、1,2歩つんのめった。
「あのねぇ・・・真面目にできないの?」
「一回やってみたかったんだ!」
満面の笑みであったが、スッっと何かが降りてきたかのように真面目な顔をし
「私、スカーレット家の次女、フランドール・スカーレットは」
「本件の主犯である紅美鈴の殺害による解決方法を却下し」
「このまま生存の後、償いをさせる方法での解決を行うよう申し出ます。」
「レミリア・スカーレット。本件についての最終判断を求めます。」
「紅美鈴」
「はい「はい?」」
ややこしいなぁと思い、もう一人の美鈴を指差した
「本件によるスカーレット家の判断を申しつける。」
「長女、次女共に、主犯である紅美鈴の殺害による解決を却下し」
「生きて罪を償う解決方法を採用」
「本日よりで紅魔館の一員として『改めて』仕える事を命じる」
「え?」
予想外の展開に美鈴は何がどうなっているのか理解ができなかった。
「紅美鈴にはこれを拒否する権利も、ある」
「拒否する場合は即刻この場から立ち去り、以後接近を禁ずる事になる。」
レミリアは言いにくそうにもじもじしていたのだが
真面目な表情に変え、口を開いた
「えっと、あなたにはどうしても伝えなくてはいけない事がある。」
「あなたに辛い思いをさせてしまい、申し訳なかった。許してほしい」
「当時はまだ、あなたという人格を否定する事しかできなかった。浅はかだった。」
「罪滅ぼしまではいかないだろうが、こんな形で受け入れさせてもらえないだろうか。」
「まぁ、あの、仕えろっていったけど、その、みんな家族みたいなもんだから」
「一応ね、体裁を保つ意味だから、深くは考えないでほしい」
「私を許してくれ。この通りだ」
レミリアは精いっぱい頭を下げた。
全員目を疑った。こいつ偽物じゃね?って思うくらいだった。
咲夜はうずくまりながらもこの様子を見ていた
「(うう、お嬢様の腹パン痛いです・・・ああ、むしろご褒美かもしれ、イタタタ)」
「(それにしてもお嬢様も妹様も流石ですわ。カッコよすぎます。)」
「(これでこそ主!神々しい!私はその方々に仕えられるメイド長として今、幸せをかみしめてます。イタタタ)」
頭を下げた時、咲夜が目に入った。
鼻血を垂れ流しながらニヤニヤしている咲夜を見てしまい。見なかった事に、いや
居なかった事にしようとレミリアは思った。
霊夢はあまりの光景に目を見開いて煎餅を地面に落した。
落とした事すら気がついていない
次の瞬間、霊夢はレミリアに襲いかかった
「ちょ!れ、霊夢!何すんのよ!空気読めっていってるでしょ!!!」
「に、偽物!偽物!」
「何が偽物か!!!ばかたれ!」
「私の知ってるレミリアはそんな事言わない!」
「わ、私だって反省して謝るくらいできるわ!!」
「私の知っているレミリアなら」
「この負け犬が。しょうがなく下僕にしてあげるわ。」
「過去の話?はぁ?何昔の事ほじくり返してるの?バカなの?死ぬの?」
「敗者は敗者らしくはいつくばりなさい!」
「って言うもん!」
「言うか!!!流石にそこまで外道じゃないわ!」
「この偽悪魔め!!!」
空中で弾幕ごっこである。ごっこというか、戦争と言うか
霧異変の時よりもすごい争いである。
「あんなお嬢様初めて見ました。私もビックリです。私からもお願いします。一緒にここで生活しませんか?」
「後、お嬢様が言った言葉で」
「「家族を守れなかった主に生きる資格なんてないわ」」
「これ、家族=あなたって意味なんですよ?」
「そんなわけ、無いだろう・・・」
「そうですって!ねー!?おじょうさまー!?」
「!!!」
レミリアはハッとして赤面した。そしてその瞬間被弾してピチュった。
「あはは。負けちゃいましたね。お嬢様。」
拘束をとき、美鈴は晴れやかな笑顔と共にもう一人の美鈴に手を差し伸べた
もう一人の美鈴は無言で手を掴み返す。
もうぐしゃぐしゃに泣いてしまっていたが、生まれてきて一番の笑顔で答えた
「ありがとう・・・お世話に、なります。」
・・・
後日、紅魔館
「めーりん」
「「はーい」」
「2人そろってる時はややこしいわね・・・」
「咲夜、紙とペン持ってきて」
「おまちくだsおまたせしました」
「別にまってないわ。」
紙に文字を書いて渡す。
「よし。これでどうかしら」
紙には鈴美と書かれていた
「わたし達の字の逆ですね」
「両方共 美鈴 だからね。改名はするつもりはないけど」
「まぁ、あだ名みたいな感じかしら」
もう一人の美鈴に紙を渡した
「で、読み方は?」
「すずみ よ」
「ブフォッ」
盛大に吹いてしまったのは咲夜である。
とんでもないネーミングセンスにうっかりである
「めいりんの逆だからりんめいとかじゃないんですか?」
「はぁ?何そのセンスありえないわよ。美鈴」
「ププッ」
笑いを我慢して、でも我慢できなくて
俯いてプルプルしている咲夜の顔は真っ赤である
しかしこの読み方は後ほどフランにバッサリと却下され
めーりん と りんめー が生まれた
----------------霊夢のごはん
数日後、博霊神社
一応解決の大きな功績をたたえ、要望を飲む事にした紅魔館側は
説明の為、咲夜を博霊神社に向かわせた。
「ごーはん、ごーはんとおさいせーん」バンバン
「うるさいわよ。まず、礼金の話ですが」
「明日あなたが起きたらサーセン箱がいっぱいになっているようにするわ」
「で、食事の話は」
「ご飯はお嬢様達が食べてるようなメニューでお届けしますわ」
「主と同じご飯とか贅沢ですね。あ、血とか入ってないのでご安心を」
「ま、マジで!?」
「ええ、嘘偽りありません。以上。忙しいので帰るわね」
咲夜が消えるように帰って行った(実際消えたけど)
霊夢は鼻の下をのばしてだらしない顔をしている
「ぐふ、うふふふふぃ。」
次の日の朝
テーブルの上にご飯の用意がされ、ホコリよけにとふろしきのようなものがかけてある。
これはきっと朝ごはんに違いない。
「朝はパンかしら、ご飯かしら・・・おかずが何品?うふ、うふふふ」
テーブルの前で小躍りをし、お茶を用意して
「さぁ!最高の朝食よ!姿を見せなさい!」
バッっとふろしきをどけて霊夢は固まった
テーブルの上には小さなお椀がひとつ。
お椀には味噌汁がぶっかけてあるご飯が入っていた
時間がたっているのか味噌汁はすべて米が吸ってしまい汁気はない
どこからか風が吹いてきてふろしきがパタパタとなびいた。
茫然とする霊夢だが、お椀のしたにメモと写真が
「ははーん、ちょっと時間がなくてちょっとまって!って事ね!きっとそうよ!」
既に巫女の勘からこれが朝食と確信してしまっていたのだが
万が一の可能性に賭け、メモと写真を確認した
『お嬢様と同じメニューですよ』
写真には味噌汁かけご飯をイヤそうに食べているレミリアが
「吸血鬼が写真に写るかはおいといて」
「量まで同じかよ」
それは子供用のちいさなお椀でした。
ブツブツ言いながら完食
お楽しみタイムのお賽銭箱チェックである
「紙幣でいっぱい?いやまさかでも、500円でいっぱい?うへへ。」
「あの箱だから1円でもそれなりの金額が・・・ぐふふふ」
「すぇーの!」
がばっっと開けた賽銭箱を見て霊夢は泣きながら中身をまさぐってぶっ倒れた
そう
子供銀行と書いてある貨幣ばかりだったのだ
ハッと我に返った霊夢が再度賽銭箱を確認
やはり子供銀行だ。
あのメイドのすっぽんぽんの写真とって天狗に売りつけて金にするかと思っていたが
またしてもメモを見つけた
『賽銭箱はいやがらせです。本当の謝礼は敷地内のどこかにありますので見つけてください』
必死になって自分の家を荒らしたしかしどこにもそれらしきものは見つからなかった
「はぁ、もういいわ。あそこの館全員ではだか祭ね。」
と青筋を出していると、外が騒がしい
「あややややや!!!」
なんだ烏天狗かと思い外に出ると、鳥居の上で一番高価な紙幣の束を両手に持ってワタワタしている
「あやぁあああ!!!!」
烏天狗を殺す勢いで近づき、紙幣を強奪
と、いつもより鳥居が高い事に気が付き調べた
そこには鳥居と同じ色の箱が設置されており、その中に大量の紙幣が入っているのを確認!
「きたわああああ!!!!」
「あややや。すごいお金ですねぇ。どこから奪ってきたんですか?あやや!?」
霊夢はお札を使い文を拘束
「別に盗んでないわ。これは報酬よ。」
「は、はぁ、で、なんで私拘束されてるんですか?」
「この事を他言するとどうなるか教えてやろう」
「は、え?れ、霊夢さん?あの、そんな表情できるんですね?あ、あは、あはは・・・」
「あやややややぁああああ!やめてくださああああああい!!!」
とりあえず文にはこの事は他言しませんとサインさせ解放
ホクホク顔で戻っていくらあるのかを数えていると・・・?
一番上だけ本物の紙幣であとはまた偽物のお金でした。
人の顔部分がレミリアだったりパチュリーだったり・・・
「ぐぬぬ・・・本物がある分、文句言いにくいわね・・・クソッ・・・」
「お、霊夢お金もってんな!酒買おう!おつまみも!じゃ、いってくる!」
突然萃香が現れ現金をすべて持っていってしまった
「す、すいかああああああ!!!!」
その夜、博霊神社で無料の宴会が行われ大いににぎわった。
目が虚ろな霊夢はヤケになって酒を飲み倒れるように寝た
朝、目を覚ました霊夢を待っていたのは
宴会予算オーバー分の請求書であった
もうちょっと分かりやすく書くといいかも知れない。
とはいっても初投稿ならこんなもんか? 乙
面白かったです。