「ふう、ちょっと休憩」
ここは妖怪の山。
厄神、鍵山雛はそう言って木陰に座り込んだ。
「まあまあ集まったってところね」
幻想郷中から厄を集めてまわるのが雛のおつとめである。
今日も数刻集めて回って、一休み。
すると
「ん?何かしら?」
がさがさ、と近くの茂みから音がした。何かいる。
山の動物か、妖怪か、ひょっとして迷い人か。
「何が出てくるのかな~」
興味津々に茂みの方を見ていると
「うらめしや~!」
「え?」
紫の傘を持った少女が大声をあげて出てきた。
しかし、何なのだろう。裏飯屋?お腹でもすいたのだろうか。
「あれ…?びっくりしないの…?」
少女は左右色違いの瞳でじっと見つめてくる。
どうやら驚いてほしかったらしい。うらめしや…ああ、そういう事か。
そんなことを考えながら
「全然」
「うぐっ」
首を横に振る雛の返答に、ショックを受けたようだ。
「う、うらめしや~!」
半泣きでもう一度叫ぶ。ヤケクソであるが、全く意味が無い。
そもそも一回目の時点で、茂みに隠れていることがバレているのだからしょうがない。
「え~っと…」
どう対応すればいいのか、雛が困っていると
「あー!小傘さん!」
「げ!早苗!?」
早苗と呼ばれた少女が向こうの方から走ってくる。
あ、頂上の神社の…雛がそんなことを考えていると、こっちまでやってきて
「茄子みたいな傘がいると思ったら、何やってんですか小傘さん…!」
「うわ!?ざ、ざなえ…ぐ、ぐるじ…」
早苗が、小傘と呼ばれた少女に怒気のこもった声で熱い抱擁。(締め技ともいう)
やりすぎると死ぬかもしれないが、この一方的な抱擁はしばらく続いた。
「はあ…苦しかった…」
「で、何してたんです?」
ようやく解放されてほっとする小傘。そんな小傘を早苗はじっと睨む。
「この人間を驚かそうとしてて」
「この人間って…」
小傘が雛の方を指差すと、早苗は呆れて
「神様相手に何失礼なことしてるんですか!あと指差すな!」
「へ?ってぎゃああ…」
もう一度熱い抱擁。さっきより力が入ってるかもしれない。
「え、えーっと…つまり、どういうことかしら?」
そんな二人のやり取りに呆然とする雛。
「あ、も、申し訳ありません!ほら、小傘さんも謝りなさい!」
「うぐぐ…ご、ごめんなさい…」
はっと我に返った早苗は、抱擁を解いて雛に頭を下げる。さらに小傘の頭を押し込んで頭を下げさせる。
「この妖怪は人を驚かしてお腹を満たすので、あなたを人間と勘違いして驚かそうとしたみたいです。大変失礼しました!」
「べ、別にいいのよ。害があったわけじゃないし、驚かなかったし」
「がんっ!」
頭を下げながら説明する早苗、それを必死にフォローする雛。
そのフォローは、小傘にとってはダメージになるわけであるが。
「まったく、神様を人間と間違えるなんて…神社に来なさい!お説教です!」
「えー!?」
早苗が小傘を引っ張っていこうとしたとき
―ぷちっ
「え?きゃ!?」
「きゃあ!?」
突然早苗の草履の鼻緒が切れて、ばたっと転んでしまった。小傘も引っ張られて一緒に転んだ。
「ああ!わたしが厄の神様だから厄が移っちゃったのね!ごめんなさい、すぐ回収するわ」
慌てて雛はしゃがみ込んで、二人にまとわりつく厄を集める。
「お、お願いします。いたた…」
「もう!わちきまで巻き込まないでよ!」
「ふ、不可抗力ですよ!それとキャラづくりやめてください」
「な、何をー!」
「何ですか!」
やいのやいの騒ぐ二人の様子に、雛は厄を集めながらふふっと笑って
「あなたたちって仲がいい友達なのね」
「「友達ぃ!?」」
二人はそろって声をあげた。
「違うよ!早苗は永遠の好敵手だよ!」
「違います!小傘さんは永遠の三下です!」
少し顔を赤くして、息ぴったりに答える。そしてまた、う~っと睨みあう。
そんな微笑ましい光景にまたふふっと笑って
「はい、厄は取り終わったわ。もう大丈夫よ」
「あ、ありがとうございます。では失礼します。ほら行きますよ小傘さん!お説教です!」
「うーやっぱりお説教かあ…あ、じゃあね!さっきはごめんなさい」
「神様に向かって馴れ馴れしいですよ!」
「べ、別にいいじゃない!わちきの勝手でしょ!」
「だからキャラをつくるな~!」
またわいわい言いあいながら二人は歩いて行った。
やっぱり仲がいいじゃないか、お互い素直じゃないな。雛はそんなことを思いながら
「じゃあね~気を付けてね~」
手を振って二人を見送った。
二人が見えなくなると、ふうっと空を仰いで
「それにしても…」
「ねえにとり、わたしって神様っぽくないのかな?」
「どうしたの突然?」
厄を集め終わった黄昏時、雛はにとりの家に遊びに来た。厄を集める日はいつもそうしている。場合によっては泊っていく。以前雛が、まるで通い妻ね、と言ったらにとりはすごく照れた。
ともあれ、そこで今日あったことを話した。
小傘という妖怪に、人間と間違われて驚かそうとされた。驚かなかったけど。
「ぶっ、あはははははは!」
雛の話を聞くや否や、にとりは大声で笑った。
「わ、笑わないでよ」
「だ、だって…神様なのに…人間とまち…あはははははは!」
笑いを堪えようとするが堪え切れず、思わず笑ってしまう。
そんなにとりの様子を見て、雛は少しむすっとした。
「確かに、にとりと一緒にいて神様っぽい扱いをされたことなんてないけど」
「ははははは……ふぅ、じゃあ何~?雛はわたしに崇められたいの~?」
「そ、そんなことないわよ!」
ようやく笑いをおさえこんで、にとりはいじわるそうにニヤッとわらって聞いた。雛は首をぶんぶん振って強く否定する。
いつもどんな時も何をしていても、にとりは親しく接してくれる。崇められるなんてよそよそしいのは嫌だ。ただ…
「ただ、ひと目見て神かどうか分からないっていうのは、何かこう、威厳がなぁ~」
「でも早苗はすぐに神様って分かったんでしょ?」
それは確かにそうである。そうであるのだが、
早苗は守矢神社の風祝、いつも神様と一緒にいるのだから、分かって当然だろう。
その旨をにとりに言うと
「なるほどね。でも威厳か~…なら二つ名でも決めて箔をつけてみる?それで文に頼んでその二つ名を広めてもらうとか」
「二つ名…」
雛はう~ん、と考え込んで
「二つ名とは違うかもしれないけど『触らぬ神に祟りなし』って言葉、知ってる?」
「下手に関わらない方が身のためって言葉だよね?」
「そうね。神は強い力をもっているから、触れると大きな禍を招くかもしれない。神はきまぐれ、人間の味方をするかもしれないし、しないかもしれない。ならば関わるな。そんな教訓からでた人間たちの格言ね」
「でもそれがどういう関係があるの?」
首をかしげてにとりは尋ねた。盟友たちの格言が何かヒントになるのだろうか。
「わたしは厄を集める神だから、そういう意味では人間の味方。でも近づくと厄が移るから、そういう意味では味方じゃない。なんかぴったりかな~って思って」
「なるほど…」
「例えば『触らぬ雛に厄はなし』とか、畏れおおいって感じで」
「う~ん…」
ちょっと安直すぎるかもしれないが、いい線いってるだろう。雛はそう考えていたが、それにひきかえ、にとりの反応は芳しくない。
「どうかな?」
「いいとは思うんだけど、ちょっと引っかかる所がな~」
やっぱり何か気にかかるところがあるらしい。
「何が引っかかるの?」
「『触らぬ雛に厄はなし』ってことは、雛に触れちゃいけませんってことだよね?」
「そうなるわね」
「…じゃあ、これも駄目?」
「!!?」
そう言うと、にとりは雛の方へ体を寄せて、抱きついた。
なるほど確かに「触らぬ雛」にこんなことはできない。
雛はというと、突然の大胆行動に顔を真っ赤にしてしまった。
「そ、そうね!こういうのが出来なくなったら困るから『触らぬ雛』っていうのは駄目ね!」
思わず早口になってしまう。
「じゃあどうする?」
抱きついたまま、にとりは雛に尋ねる。
身長は雛の方が頭一個分高い。見上げる形で雛の顔をまじまじと見つめる。
碧い両目に見つめられて、雛のボルテージはぐんぐん上がる。
「そ、そうね、考えても埒が明かないから、もうやめにしましょう」
「それでいいの?」
「ええ!」
そう、神様としての威厳なんてもういい。今目の前ににとりがいて、ぎゅっと抱きしめてくれる。それだけで十分だ。
これ以上何かを望めば、欲張りすぎで罰が当たるかもしれない。
そんなことより…
「ねえ、もう暗いし、今日にとりの家に泊っていってもいい?」
「あ、いつのまにか外暗くなってるね。いいよ~」
気付けば日が落ちて、外は薄暗い。しかしそれは建前にすぎない。
にとりに抱きつかれて気持ちの昂った雛にとって、このまま帰るなんてありえない、あってはならない。「場合によっては泊っていく」のである。今がその場合だ!
「ふふふ♪」
「何か雛、うれしそうだね」
「ええ、とっても♪」
雛も片手をにとりの背中にまわし、もう一方の手で頭を撫でる。
「触らぬ雛」の心と体に触れたにとり。果たしてそこから出てくるのは祟りか、厄か、それとも…
「雛がうれしそうに笑ってると、何だかこっちも楽しくなってくる♪」
「あらそう、うふふ♪」
とりあえず、二人は満面の笑顔だった。
ここは妖怪の山。
厄神、鍵山雛はそう言って木陰に座り込んだ。
「まあまあ集まったってところね」
幻想郷中から厄を集めてまわるのが雛のおつとめである。
今日も数刻集めて回って、一休み。
すると
「ん?何かしら?」
がさがさ、と近くの茂みから音がした。何かいる。
山の動物か、妖怪か、ひょっとして迷い人か。
「何が出てくるのかな~」
興味津々に茂みの方を見ていると
「うらめしや~!」
「え?」
紫の傘を持った少女が大声をあげて出てきた。
しかし、何なのだろう。裏飯屋?お腹でもすいたのだろうか。
「あれ…?びっくりしないの…?」
少女は左右色違いの瞳でじっと見つめてくる。
どうやら驚いてほしかったらしい。うらめしや…ああ、そういう事か。
そんなことを考えながら
「全然」
「うぐっ」
首を横に振る雛の返答に、ショックを受けたようだ。
「う、うらめしや~!」
半泣きでもう一度叫ぶ。ヤケクソであるが、全く意味が無い。
そもそも一回目の時点で、茂みに隠れていることがバレているのだからしょうがない。
「え~っと…」
どう対応すればいいのか、雛が困っていると
「あー!小傘さん!」
「げ!早苗!?」
早苗と呼ばれた少女が向こうの方から走ってくる。
あ、頂上の神社の…雛がそんなことを考えていると、こっちまでやってきて
「茄子みたいな傘がいると思ったら、何やってんですか小傘さん…!」
「うわ!?ざ、ざなえ…ぐ、ぐるじ…」
早苗が、小傘と呼ばれた少女に怒気のこもった声で熱い抱擁。(締め技ともいう)
やりすぎると死ぬかもしれないが、この一方的な抱擁はしばらく続いた。
「はあ…苦しかった…」
「で、何してたんです?」
ようやく解放されてほっとする小傘。そんな小傘を早苗はじっと睨む。
「この人間を驚かそうとしてて」
「この人間って…」
小傘が雛の方を指差すと、早苗は呆れて
「神様相手に何失礼なことしてるんですか!あと指差すな!」
「へ?ってぎゃああ…」
もう一度熱い抱擁。さっきより力が入ってるかもしれない。
「え、えーっと…つまり、どういうことかしら?」
そんな二人のやり取りに呆然とする雛。
「あ、も、申し訳ありません!ほら、小傘さんも謝りなさい!」
「うぐぐ…ご、ごめんなさい…」
はっと我に返った早苗は、抱擁を解いて雛に頭を下げる。さらに小傘の頭を押し込んで頭を下げさせる。
「この妖怪は人を驚かしてお腹を満たすので、あなたを人間と勘違いして驚かそうとしたみたいです。大変失礼しました!」
「べ、別にいいのよ。害があったわけじゃないし、驚かなかったし」
「がんっ!」
頭を下げながら説明する早苗、それを必死にフォローする雛。
そのフォローは、小傘にとってはダメージになるわけであるが。
「まったく、神様を人間と間違えるなんて…神社に来なさい!お説教です!」
「えー!?」
早苗が小傘を引っ張っていこうとしたとき
―ぷちっ
「え?きゃ!?」
「きゃあ!?」
突然早苗の草履の鼻緒が切れて、ばたっと転んでしまった。小傘も引っ張られて一緒に転んだ。
「ああ!わたしが厄の神様だから厄が移っちゃったのね!ごめんなさい、すぐ回収するわ」
慌てて雛はしゃがみ込んで、二人にまとわりつく厄を集める。
「お、お願いします。いたた…」
「もう!わちきまで巻き込まないでよ!」
「ふ、不可抗力ですよ!それとキャラづくりやめてください」
「な、何をー!」
「何ですか!」
やいのやいの騒ぐ二人の様子に、雛は厄を集めながらふふっと笑って
「あなたたちって仲がいい友達なのね」
「「友達ぃ!?」」
二人はそろって声をあげた。
「違うよ!早苗は永遠の好敵手だよ!」
「違います!小傘さんは永遠の三下です!」
少し顔を赤くして、息ぴったりに答える。そしてまた、う~っと睨みあう。
そんな微笑ましい光景にまたふふっと笑って
「はい、厄は取り終わったわ。もう大丈夫よ」
「あ、ありがとうございます。では失礼します。ほら行きますよ小傘さん!お説教です!」
「うーやっぱりお説教かあ…あ、じゃあね!さっきはごめんなさい」
「神様に向かって馴れ馴れしいですよ!」
「べ、別にいいじゃない!わちきの勝手でしょ!」
「だからキャラをつくるな~!」
またわいわい言いあいながら二人は歩いて行った。
やっぱり仲がいいじゃないか、お互い素直じゃないな。雛はそんなことを思いながら
「じゃあね~気を付けてね~」
手を振って二人を見送った。
二人が見えなくなると、ふうっと空を仰いで
「それにしても…」
「ねえにとり、わたしって神様っぽくないのかな?」
「どうしたの突然?」
厄を集め終わった黄昏時、雛はにとりの家に遊びに来た。厄を集める日はいつもそうしている。場合によっては泊っていく。以前雛が、まるで通い妻ね、と言ったらにとりはすごく照れた。
ともあれ、そこで今日あったことを話した。
小傘という妖怪に、人間と間違われて驚かそうとされた。驚かなかったけど。
「ぶっ、あはははははは!」
雛の話を聞くや否や、にとりは大声で笑った。
「わ、笑わないでよ」
「だ、だって…神様なのに…人間とまち…あはははははは!」
笑いを堪えようとするが堪え切れず、思わず笑ってしまう。
そんなにとりの様子を見て、雛は少しむすっとした。
「確かに、にとりと一緒にいて神様っぽい扱いをされたことなんてないけど」
「ははははは……ふぅ、じゃあ何~?雛はわたしに崇められたいの~?」
「そ、そんなことないわよ!」
ようやく笑いをおさえこんで、にとりはいじわるそうにニヤッとわらって聞いた。雛は首をぶんぶん振って強く否定する。
いつもどんな時も何をしていても、にとりは親しく接してくれる。崇められるなんてよそよそしいのは嫌だ。ただ…
「ただ、ひと目見て神かどうか分からないっていうのは、何かこう、威厳がなぁ~」
「でも早苗はすぐに神様って分かったんでしょ?」
それは確かにそうである。そうであるのだが、
早苗は守矢神社の風祝、いつも神様と一緒にいるのだから、分かって当然だろう。
その旨をにとりに言うと
「なるほどね。でも威厳か~…なら二つ名でも決めて箔をつけてみる?それで文に頼んでその二つ名を広めてもらうとか」
「二つ名…」
雛はう~ん、と考え込んで
「二つ名とは違うかもしれないけど『触らぬ神に祟りなし』って言葉、知ってる?」
「下手に関わらない方が身のためって言葉だよね?」
「そうね。神は強い力をもっているから、触れると大きな禍を招くかもしれない。神はきまぐれ、人間の味方をするかもしれないし、しないかもしれない。ならば関わるな。そんな教訓からでた人間たちの格言ね」
「でもそれがどういう関係があるの?」
首をかしげてにとりは尋ねた。盟友たちの格言が何かヒントになるのだろうか。
「わたしは厄を集める神だから、そういう意味では人間の味方。でも近づくと厄が移るから、そういう意味では味方じゃない。なんかぴったりかな~って思って」
「なるほど…」
「例えば『触らぬ雛に厄はなし』とか、畏れおおいって感じで」
「う~ん…」
ちょっと安直すぎるかもしれないが、いい線いってるだろう。雛はそう考えていたが、それにひきかえ、にとりの反応は芳しくない。
「どうかな?」
「いいとは思うんだけど、ちょっと引っかかる所がな~」
やっぱり何か気にかかるところがあるらしい。
「何が引っかかるの?」
「『触らぬ雛に厄はなし』ってことは、雛に触れちゃいけませんってことだよね?」
「そうなるわね」
「…じゃあ、これも駄目?」
「!!?」
そう言うと、にとりは雛の方へ体を寄せて、抱きついた。
なるほど確かに「触らぬ雛」にこんなことはできない。
雛はというと、突然の大胆行動に顔を真っ赤にしてしまった。
「そ、そうね!こういうのが出来なくなったら困るから『触らぬ雛』っていうのは駄目ね!」
思わず早口になってしまう。
「じゃあどうする?」
抱きついたまま、にとりは雛に尋ねる。
身長は雛の方が頭一個分高い。見上げる形で雛の顔をまじまじと見つめる。
碧い両目に見つめられて、雛のボルテージはぐんぐん上がる。
「そ、そうね、考えても埒が明かないから、もうやめにしましょう」
「それでいいの?」
「ええ!」
そう、神様としての威厳なんてもういい。今目の前ににとりがいて、ぎゅっと抱きしめてくれる。それだけで十分だ。
これ以上何かを望めば、欲張りすぎで罰が当たるかもしれない。
そんなことより…
「ねえ、もう暗いし、今日にとりの家に泊っていってもいい?」
「あ、いつのまにか外暗くなってるね。いいよ~」
気付けば日が落ちて、外は薄暗い。しかしそれは建前にすぎない。
にとりに抱きつかれて気持ちの昂った雛にとって、このまま帰るなんてありえない、あってはならない。「場合によっては泊っていく」のである。今がその場合だ!
「ふふふ♪」
「何か雛、うれしそうだね」
「ええ、とっても♪」
雛も片手をにとりの背中にまわし、もう一方の手で頭を撫でる。
「触らぬ雛」の心と体に触れたにとり。果たしてそこから出てくるのは祟りか、厄か、それとも…
「雛がうれしそうに笑ってると、何だかこっちも楽しくなってくる♪」
「あらそう、うふふ♪」
とりあえず、二人は満面の笑顔だった。
甘くて良かったです
リグチル…
にと雛はいいものですね
実際のところ、人と神を外見で見分けるポイントって何なんでしょうね?
良いいちゃいちゃっぷりでした。ごちそうさま。