紅美鈴気付く
天気の良い昼下がり。湖畔に建つ赤いお屋敷の門の前で美鈴は考え事をしていた。
お嬢様が幻想郷を赤い霧で覆って異変を起こして数ヶ月。
博麗の巫女と白黒の魔女の子がお屋敷に殴りこみに来て数ヶ月。
お屋敷内で大暴れしている妹様を止めに例の二人が来て数ヶ月。
「はぁ、あの子達に毎回侵入されてるじゃん」
特にあの魔女の子には何度侵入された事か・・・
「番も出来ない門番なんていらないわ」
昨日の夕食後、咲夜がボソッと言っていた言葉が脳裏に浮かんできた。
「私、このままじゃクビだ・・・はは・・・」
青ざめた顔でボソッと呟いた
門を守る以外で私にしか出来ないような事を見つけないと!
「特技、太極拳!」
・・・ダメかぁ
よし、今日の夜に咲夜さんにメイドとして働きたいと頼んでみよう。
いつも人手が足りなくて忙しいって言ってるし。きっと喜んでくれるはず!
夕食は美鈴の好きな時間である。
長い食卓を紅魔館の住人達が囲み、食事をする。それだけの事なのだが美鈴にとっては家族団らんの時間みたいなもので、心地よい日差しの中でする転寝の次に好きな時間である。
私のような門番やメイド妖精までも一緒の食卓に着かせてくれるお嬢様は意外と心優しいのだ。
その心優しいお嬢様。今日は、里の外れにある神社に遊びに行ってきたので上機嫌。
「パチェ、聞いてよ!霊夢ったら何て言ったと思う?」
赤い塊を頬張りながら喋るレミリア。
その様子を見て行儀が悪いと注意をする咲夜。
注意をしつつも笑顔の耐えない彼女を見て美鈴は思う。
今日の咲夜さんは上機嫌だ!と
メイドとして働かして欲しいと言うなら食事が終わった後がチャンス。
食べるのが一番遅いパチュリーが食事を終えると紅魔館の夕食は終わる。
レミリアは自室へパチュリーは図書館へと帰っていく。
その後はメイド妖精たちがバタバタと後片付けを始める。
メイド妖精達に指示を出しながら食後のお茶を用意する咲夜。
咲夜の淹れた紅茶は驚くほど美味しい。
紅茶を飲みながらふらっと咲夜の横に座る美鈴
「咲夜さん、紅茶今日も美味しいです。ご馳走様でした。」
「私もこんな美味しい紅茶入れられるようになりたいなーなんちゃって・・・」
ジト目で美鈴を見つめる咲夜
「何?」
「いえ、私も咲夜さんみたいにメイドとして働いてみたいなー・・・」
厳しい顔になった咲夜が
「美鈴、良い?うちは只でさえ人手が足りないのよ?」
「ハイ!だからこそ私がメイドとしてお手伝いを!」
意気揚々と美鈴が答える。
呆れた顔をした昨夜
「あなたに足を引っ張られたら仕事が終わらなくなるの。」
「はっきり言ってあなたには無理よ。サボる時間なんてないわ」
「大人しく真面目に門番や庭の見回りをしなさい!」
ピシッと言われ
「ハイ、すいませんでした。」
即答してしまう美鈴であった。
しょんぼりしながら自室に帰った美鈴。
はぁ、やっぱり私じゃ無理だったかぁ
咲夜さんみたいに気が利くタイプじゃないし、お上品じゃないもんなぁ
がっかりしながらその日は眠りについた。
紅美鈴と本と空回り
翌日。
朝日が昇る頃に門番としての仕事が始まる。
メイドになるのは諦めて今日は真面目に門番するぞー!
冬も近づき、肌寒い朝。体を温める為に太極拳をする美鈴。
無心で独特の型を決めていると後ろから声をかけられた。
「私にも教えてください。」
振り返るとそこには綺麗な髪をなびかせながら小悪魔が立っていた。
予想外の人物の登場で驚く美鈴
「小悪魔さん、珍しいですね!どうしたんですか?太極拳に興味があったんですか?」
「いえ!」
きっぱりと言われ少しがっかりしながらも理由を尋ねてみた。
・・・
「なるほど。図書館での仕事は意外と体力を使うんですね。」
「ハイ、パチュリー様はお体が弱いですから、重い本や遠くにある本は私が代わりに取って差し上げるんですよ。しかも片付けが出来ない方ですからもう大忙しで・・・」
その話を聞いた美鈴は閃いた。
片付けは私も苦手だけど重たい本を運んだりするくらいなら私にも出来る!
そう考えると小悪魔の手を取り
「私に手伝わせてください!」
「あの広い図書館で小悪魔さん一人じゃ大変でしょ?重たい本でも本棚でも私に任せてくれればあっという間に運べますよ!」
「さすがに本棚を運ぶ事は無いですけど美鈴さんが手伝ってくれるなら心強いです。」
若干勢いに負けた小悪魔が言った。
その日の夕方。
小悪魔と一所に図書館に向かう美鈴。
「失礼しまーす!今日から私も小悪魔さんと一緒にここで働きます!」
「うるさい。」
突然の大声にイラッとしたしたパチュリー。
「あぁ、すいません。図書館では静かに。でしたね。気をつけます。」
「早速ですが何か運ぶものは?」
「美鈴、門番はどうしたのよ?また咲夜に叱られるわよ?」
「大丈夫ですよ。代わりの妖精に番をしてもらっていますから。」
自分の代わりが妖精に勤まると証明しているこの子の頭は大丈夫じゃないわね
口には出さなかったパチュリーであった。
「まぁ、いいわ、静かにしてて。」
「はい・・・」
気合が空回りして拍子抜けをしてしまった美鈴
椅子に座り小悪魔の仕事ぶりを見ていた。
せっせと動き回り、それでいて音を立てずに、主の指示通りに本を持ってくる。
あれ?思ったより大変かも・・・
少し焦りながら小悪魔に声をかける。
「わ、私も手伝います。」
「え、じゃあはい、これを120番の棚に戻してください。」
「それが終わったら142番の棚から水の魔道書を探してきてください。」
「ちょっと、美鈴。これじゃないわ。水の魔道書の22巻を持ってきて。」
「え、はい。少々お待ちを!」
はっきり言って魔道書の文字なんて読めない美鈴には区別が付かない。
あたふたしている美鈴に図書館の主が言う。
「もう、いいわ。美鈴。あなたは私の周りにある読み終わった本を片付けてくれるかしら?」
少しイライラしながら言い放つパチュリー。
常人の数十倍の速さで本を読み終えるパチュリー。さらには読みたいページを読んでしまえば用済みになる本もある。30分もすれば彼女の周りには本の壁が出来上がる。
只でさえ広い図書館。しかも本とは無縁の美鈴が数冊の本を元の棚しまって戻ってくる頃には、本の壁はより高く、より厚くなっている。
「このままじゃ片付けが追いつかない・・・」
自然と駆け足になる美鈴
「あまり埃を立てたらダメですよ。」
と小悪魔。
「あぁ、パチュリー様って喘息持ちか。すいませんでした・・・」
駆け足はダメ。遅くてもダメ
よし、それなら!
危機を覚えた美鈴は本の壁の一番下に手を入れ持ち上げた。
持ち上げたと同時に一番上に積まれていた本たちがバサバサと落下しパチュリーの頭上に落下した。
「むきゅー」
パチュリーから奇声が発せられた。
その様子を見ていた小悪魔はパニック状態。
顔面蒼白の美鈴
やっばい・・
「パ、パチュリー様―?」
「美鈴っ!」
怒りに震えるパチュリーは、さっと符を取り出す。
「すいません!」
「あっ!スペルカードは無しです!ちょ!」
ピチューン
怒れる日符を喰らい、図書館を追い出された美鈴であった。
紅美鈴と主の思惑
数日後
美鈴は浮かない顔をして紅魔館の門の前に立っていた。
あー、ろくに門も守れないし、他に活かせる特技も無い私はきっとクビになるだろうなぁ
こないだもお嬢様のお気に入りのティーカップを割ったメイド妖精がクビになってたし・・・
「はぁ・・・」
下を向いてうなだれる美鈴。
その時、ポンっと頭を叩かれる。
ハッと我に返り身構えるとそこにはレミリアが立っていた。
「コラ、主が帰ってきたというのに、挨拶もしないなんて良い度胸ね?」
「お、お嬢様!お帰りなさいませ!」
「って出かけてらしたんですね。」
「えぇ、寝ているあなたの横を通らせてもらったわ。」
うぐぅ・・・
ぐさりと刺さりそうな言葉が美鈴を攻撃した。
「す、すいません。」
「まぁいいわ。この紅魔館に攻め込もうなんて妖怪この辺りはいるわけもないし、一日中門を守っているだけじゃ暇で眠りたくもなるわよね?」
答えにくい質問をされ困る美鈴。
オロオロしているとレミリアが続けた。
「美鈴。咲夜とパチェから聞いたわ。」
「門番以外の仕事がしたいんですって?」
よっしゃ!
心の中でガッツポーズをする。
さすがお嬢様。仕える者の心情をよく理解されている。
「はい!私の能力を活かせる仕事をしてもっとお嬢様に貢献したいと考えていたんですよ。」
「いやぁ、さすがはお嬢様です!」
「そう。ならアナタにぴったりの仕事があるわ。」
「本当ですか!」
嬉しそうに答える美鈴。
「えぇ。きっと美鈴にも気に入ってもらえるはずよ。やりたい?」
「やります!やります!」
あまりの嬉しさにレミリアに抱きつく美鈴。
「ほ、ほら、分かったから離れなさい。」
予想外の反応をされ少し照れるレミリア。
「詳しい話は夕食後。私の部屋で話すわ。それまでしっかり番をしていなさい。」
「りょーかいですっ!」
大げさに敬礼をしてレミリアを見送る美鈴。
自室の窓から門番を見るレミリアに咲夜が声をかける。
「しかし、宜しいのですか?お嬢様?」
「問題ないわ。仕える者のやる気を出させるのも主の仕事よ。」
「そうかもしれませんが・・・」
「もーうるさいわね。あなたが言い出したことでしょ?美鈴のサボリ癖を何とかしたいって。」
「咲夜は口を出さないで。」
ぷくっと口を膨らませふて腐れるレミリア。
「わかりました。」
「それではお食事のご用意が出来ましたので参りましょう。」
食堂へ向かう二人。
食事が済み、レミリアに声をかけられる美鈴。
待ってました!と言わんばかりに主に駆け寄り。
「お嬢様、仕事の内容は何ですかっ?」
「そう焦らない。さっきも言ったとおり私の部屋で話すわ。着いてきなさい。」
心躍らせレミリアについて歩く美鈴。
彫刻の刻まれた大きな扉を開け自室に美鈴を招き入れるレミリア。
「まぁ、そこの椅子にでも座りなさい。」
言われるとおりに腰掛ける美鈴。
先に口を開いたのはレミリアだった。
「美鈴。あなた、体力に自信は?」
「あります!太極拳で鍛えたこの体の丈夫さはお嬢様も承知ですよね?」
「そうね。この屋敷で私たち姉妹の次に丈夫なのは間違いなくあなたね。」
「いい?これからあなたに任せる仕事は体力が何よりも大事よ。」
「はいっ!」
自然と言葉に力が入る美鈴。
「でその仕事内容は何ですか?」
「フランの遊び相手よ。」
思考がぶっ飛び、言葉を理解するのに時間がかかる美鈴。
「え、えぇぇぇ!」
「む、無理無理、無理です!」
「私なんかすぐに殺されてしまいます!」
「あら、体力には自信があるんでしょ?出来ないの?」
「いや、何で急に妹様の遊び相手なんて・・・」
「前に一度、地下から出て大騒ぎになったでしょ?」
「あの後フランに聞いたのよ。」
「遊んでくれる相手が欲しいって。」
「魔理沙はたまにしか来ないし、そもそもスカーレット家のお嬢様を野良魔法使いと遊ばせるなんて教育上良くないわ。」
「咲夜は忙しそうだし、喘息持ちのパチェには任せられないし・・・」
「頼れるのは美鈴、あなただけ。」
甘い声を出すレミリア。
お、お嬢様が私を頼ってる・・・
キター!
「分かりました!どこまでやれるかわかりませんが、紅美鈴、妹様の遊び相手として精一杯がんばります!」
「よろしい。」
「じゃあ、早速明日から頼むわね。」
「はい!」
主に頼られた事で上機嫌の美鈴。自室に戻り明日に備え準備をしていた。
月明かりが差し込む窓辺のテーブルで空を見ながら紅茶を飲むレミリアに咲夜が話しかける。
「本当によろしいのですか?あの子死ぬかもしれませよ?」
「大丈夫よ。美鈴はああ見えて結構頑丈なのよ?咲夜より頑丈よ。」
「・・・一応私は人間ですし。」
「もちろん、美鈴にフランの遊び相手が務まるとは思っていないわ。」
「他に出来る事がないと分かれば美鈴もまじめに門番をするようになるはずよ。」
「そんな事まで考えていらしたんですね。私はてっきりいつもの思いつきかと思ってましたわ。」
そう、咲夜とパチュリーから美鈴が他の仕事をしたがっていると聞かされていたレミリアは考えていた。門番として真面目に働かせるにはどうすれば良いのかを。
正直、この辺りに紅魔館に攻め込もうなど考える輩はいない。レミリアの力に畏怖の念を抱かせるからである。恐ろしいはずの紅魔館。しかしその門で居眠りをする門番。恐怖感半減である。なんとかして美鈴に門番として真面目に働いてもらいたいのがレミリアの本音だった。
レミリアの本心など知るはずもない美鈴は期待と不安で一杯になりながら眠りについた。
紅美鈴と妹様と
翌日。
「あーやっぱり怖い・・・」
そう呟きながら地下室への階段を恐る恐る下りる美鈴。
いや、でもお嬢様の期待に応えるため頑張らないと!
厳重な結界を開ける鍵を使い薄暗い地下室に入る美鈴。
薄暗い部屋の奥から幼い声が響く。
「誰?」
額に滲む冷や汗を拭き応える。
「妹様、私です。美鈴です。今日から妹様の遊び相手に任命されました。」
「あはっ、美鈴が遊んでくれるの?」
「最近、魔理沙も遊びに来てくれないから暇だったんだ!」
嬉しそうに羽をパタパタさせ美鈴に駆け寄るフランドール。その幼い容姿のせいで少し恐怖心が和らいだ。
「弾幕ごっこ?それとも何か壊す?」
「お、お絵かきなんてどうですか?」
「意外と楽しいかもしれませんよ?」
極力フランドールの能力を使わせない遊びをすればなんとかなると考えていた美鈴。だが甘かった。
「じゃあ私の弾幕よけられたらお絵かきでもいいわ。」
悪意の無い殺意を感じた美鈴は高く飛び上がる。
フランドールから放たれた弾幕は美鈴の立っていた場所を文字通り粉々にした。
「ちょっと待ってください。妹様ぁ!」
美鈴の願いは無視され次々と弾幕が飛んでくる。
全力で逃げる美鈴。
「あはは、意外とやるじゃない!」
「これは避けられるかしら?」
キャッキャと無邪気に喜ぶフランドールは符を取り出し唱える。
「クランベリートラップ!」
部屋の壁に沿うように魔方陣が無数の光の弾を生成していく。
「ひっ!ちょ、妹様ぁぁ!」
光の弾たちは部屋の中心に密集し離れていく。死に物狂いで避ける美鈴。
何とか避けきった・・・
その時背中に激痛が走る。
先程とは違う色をした光の弾がまた生成され部屋の中心に密集していたのだ。
激痛に負けその場に倒れる美鈴。
倒れこむ美鈴を心配する様子もなく早く起き上がるよう指示を出すフランドール。
「美鈴、まだ終わりじゃないよ。今度は美鈴の番。」
「手加減したら許さないからねー」
「は、はい」
それから一時間ほど命がけの弾幕ごっこは続いたのだった。
倒れこむ美鈴。
美鈴の横に座るフランドール。
「弾幕ごっこも飽きたわ。」
「ねぇ、いつまで倒れてるのよ。次の遊びをしましょうよ?」
「い、妹様、もう少し休ませてください。」
そんな事を言ったら永眠させられそうな気がした美鈴はとっさに
「お、お昼寝しましょう。誰かと一緒にお昼寝するのも悪くないですよ。」
・・・
無言のフランドール
はい、私の人生詰んだ。
心で思いながら恐る恐るフランドールを見上げる美鈴。
「分かった。じゃあ昼寝終わったらまた弾幕ごっこね」
そういって美鈴の横に寝転がるフランドール。
妹様が寝たらこのまま逃げよう。
やっぱり私には無理だ。大人しく真面目に門番してる方がお似合いね。
そんな事を思いながらスースーと寝息を立てるフランドールを見る。
「大人しく寝ていれば天使のような顔だなぁ」
ぼそりと美鈴。
きゅっと手の袖を捕まれる。
「あはは、逃げられないじゃん。」
「私も寝て体力回復しないと。」
そう言い眠りについた美鈴であった。
目を覚ますと咲夜が昼食の用意をしていた。
「あれ、咲夜さん。いらしてたんですか?」
「あなた、本当によく寝るのね」
笑いながら言う咲夜。
「お昼、ここに置いておくから妹様が目を覚ましたら一緒に食べてあげてね。」
「はい。」
そういうと咲夜は足早に立ち去った。
逃げそびれた・・・
逃げるのは諦めよう。それにお嬢様が期待してくれてるんだ。
頑張らないと!
そう思いながら大きなあくびをするとフランドールが目を覚ます。
「おはよう。美鈴。」
目をこすりながらフランドールがむくりと起き上がる
「おはようございます。一緒にお昼寝どうでした?」
覚悟を決めた美鈴はフランドールに問いかける。
「うん。いつもより良く眠れた気がするわ。」
「それは良かったです。」
「お昼ごはんが用意してありますから一緒に食べましょう。」
「うん、お腹すいたー」
「そういえば誰かと一緒にご飯食べるのも初めてだ。」
嬉しそうに食卓に向かうフランドール。
「早く食べようよー」
食卓をパンパン叩きながら美鈴をせかす。
「はいはい、今行きますね。」
「あ、ダメですよ。妹様。」
「食べる前はいただきます。しないと。」
きょとんとするフランドールが言う。
「いただきます?」
「ご飯を食べる前のマナーです。」
と得意げに美鈴が答える。
急に大人しくなるフランドール。
そして大声で
「美鈴!マナー教えて!」
「え?」
意外な言葉が出てきて驚く美鈴。
「前ね、お姉さまに言われたの。」
「マナーのないあなたを外に出すわけにはいかないわ。って」
「だからマナー教えて!」
「そうすればお姉さまは私を外に出してくれる。一緒に遊んでくれる。」
「そ、そうですね。私でよければお教えしますよ。」
「ありがとう!美鈴。」
嬉しそうに食事を始めたフランドールを見て美鈴も食事を始めた。
食後
マナー教室を開催しようと思った美鈴はフランドールの弾幕教室の生徒になっていた。
「妹様、マナー教室はいつやらせてもらえるんですか?はぁはぁ」
迫り来る弾幕を必死に避けながらフランドールに質問する美鈴。
「美鈴が私の弾幕全部避けたらよ。」
フランドールの思考がまったく読めない美鈴だった。
その日は結局ボロボロになるまで弾幕を避け続けた。
それから2週間。美鈴はレミリアの期待に応えるために毎日フランドールのところに通っていた。
いや、いつしか芽生えていたフランドールへの特別な感情の為だった。
きっかけはフランドールの一言だった。
「美鈴みたいなお姉さまだったら良かったのに・・・」
その時、美鈴の中にあるフランドールへの恐怖は完全に消え去った。
こんな可愛い妹がいる毎日が幸せだった。
妹様の為になにかしてあげたい。そう思うようになっていた。
ある日、弾幕ごっこに飽きたフランドールがボソッと呟いた。
「美鈴みたいなお姉さまもいいけどやっぱり本物のお姉さまとも遊びたい。」
「あ、別に美鈴の事が嫌いになったわけじゃないの」
「毎日遊んでくれて、色々教えてくれる美鈴は大好きだよ。」
「でもやっぱりお姉さまとも遊んでみたい。」
「妹様・・・血の繋がった姉妹ですから、そう思うのが普通ですよ。」
すこし寂しい気持ちになったがフランドールが普通の感情を抱けるようになった事に対して美鈴は感動していた。
「わかりました。」
「今度お嬢様に私からお願いしてみます。」
ぱっと明るい笑顔になったフランドールは美鈴に抱きつく。
「うぐぅぅ、妹様、力入れすぎです・・・」
翌日。遅めの朝食を済ませ外出しようとするレミリアの前に美鈴が現れた。
「あら、美鈴。フランの遊び相手、よくやっているそうね。」
「ありがとうございます。お嬢様。」
「あの、今日はお時間ありますか?」
恐る恐るたずねる美鈴。
「あるわ。神社に遊びに行く時間が。」
とレミリア。
「少しでいいので妹様と遊んであげてください。」
「聞こえなかったのかしら?」
少しムッとして答えるレミリア。
「お願いです。妹様がお嬢様と遊びたがっているんです。」
「今日は神社ではなく地下室に来てください。」
レミリアはイラっとして美鈴の頬を叩く。
「退きなさい。従者が主の道を邪魔するなんて許さないわよ。」
「退きません。」
覚悟を決めた美鈴は言った。
「妹様の所にっ」
言いかけた言葉が体内で砕けた。
みぞおちに重い拳を喰らった。
倒れそうな激痛に耐え美鈴は踏ん張った。
「お嬢様お願いです。」
「妹様がそんなに嫌いですか?」
「いいわ、あなたを殺してから考えてあげる。」
完全にキレたレミリアは手に巨大な槍を呼び寄せた。
目を開けると自室のベッドの上だった。
横を向くとそこには咲夜がいた。
「目を覚ましたようね。」
「お嬢様をなだめるの大変だったのよ。」
と呆れた声で咲夜が言う。
「なんであそこまでお嬢様を怒らせたのよ」
「妹様と約束したんです。」
「妹様と?」
「はい。お嬢様と遊びたいと仰ってたので、今度お嬢様を地下室にお連れするって。」
「そう」
「あ、今何時ですか?」
「今夕方の4時よ。どうかしたの?」
「はい、妹様の所にいかないと・・・痛っ」
「丈夫なあなたでも無茶よ。死に掛けてたんだから。パチュリー様の回復魔法で生き延びたようなものよ。妹様に会いに行ったら間違いなく殺されるわ。」
「大丈夫ですよ。今の妹様なら。」
「それに、毎日遊びに行くって約束してるんです。」
「急にこなくなったら妹様が寂しい思いをするじゃないですか。」
「今まで長い間一人ぼっちだったんです。もう一人にはさせたくないんです。」
必死な美鈴をみて咲夜が言う。
「あなた、変わったわね。」
「そうですか?そうかもしれないですね。」
「最初はお嬢様に認めてもらいたくて必死に妹様の所に通っていたんですけど、気付いたら妹様の為に何かしたいって思うようになってて。」
「妹さまも紅魔館に住む家族ですからね」
「私のような低級な妖怪が紅魔館の皆様と家族だなんて思うなんて調子乗りすぎですかね?はは」
「そんなことないわ。貴方も私も、お嬢様もパチュリー様も妹様もみんな紅魔館に住む家族よ。」
「行ってあげなさい。妹様の所。ワガママな家主様には私から言って置くわ。」
体を引きずるようにフランドールの元へ向かう美鈴。
その夜。
レミリアの自室。
「咲夜までそんな事言うの?」
眉間にしわをよせ咲夜を睨む。
「お嬢様、良いじゃないですか?たまには妹様の様子を見に行くくらい。」
笑顔でそして力強く言う咲夜
「うー分かったわよ。明日、目が覚めて気分が良かったら考えてあげる。」
少し釈然としないが咲夜の言う事にはなぜか逆らえないレミリアは渋々地下室に行く事を了承した。
翌日、昼過ぎに目を覚ましたレミリア。
「しょうがないわね。」
咲夜を呼び地下室に向かったレミリアは目を疑った。
薄暗くあちこち壊れているはずの地下室が綺麗にライトアップされ、綺麗に掃除してあった。
何よりも目を引いたのは美鈴と一緒になって部屋の掃除をしている自分の妹の姿だった。
「あーお姉さま!」
「あははっ美鈴の言った通り本当に来てくれた!」
「フラン、どうしたのかしら?貴方が部屋を綺麗にするなんて。」
「うん、美鈴が教えてくれたんだよ!」
「壁を壊しちゃダメとか、いただきますとか。マナーとか」
「お姉さまは綺麗な部屋が好きだから綺麗にすれば遊びに来てくれるって」
「そ、そう。」
気がふれていて、力が強く、ありとあらゆる物を破壊するだけの妹はもういないのか?
正直実の妹に恐怖を抱く事すらあった。その結果幽閉するという選択肢を選んだ訳だが。
いったい美鈴はどんな手品を使ったのか。
腕に抱きつき
「ねぇねぇ、お姉さま、弾幕ごっこする?トランプにする?」
とフランドール
か、可愛い
ちょっと頬を染めるレミリア。
「せっかく綺麗になった部屋を汚すのはよくないわ。」
「トランプにしましょう。」
「咲夜、美鈴、二人で遊べるゲームは少ないから貴方達も参加しなさい。」
結局夕食の時間まで4人でトランプをして、そのまま地下室で4人で夕食を食べた。
フランドールがはしゃぎ疲れ寝てしまうとレミリアは美鈴に昨日の件を謝罪した。
「美鈴、その、悪かったわ。昨日はちょっとやりすぎたわ。」
「いえ、私のほうこそ出すぎた真似をしてしまい。」
「いいのよ。私たちは家族なんだから。」
照れくさそうに言うレミリア。
「そ、それで、フランにどんな魔法をかけたのよ?まるで別人よ?」
「妹様のワガママを聞いて、一緒にお昼寝して一緒にご飯を食べて、パチュリー様から借りてきた物語を読んであげて、弾幕ごっこに付き合ってあげて、まぁ弾幕ごっこは一回も勝てなかったですけどね、あはは」
「そう。」
とレミリア。
「私は優秀な従者を持っていたのね。」
「私に500年間出来なかったことを数週間でやってしまうんですもの。」
「お嬢様が出来なかったことですか?」
きょとんとした美鈴が尋ねる。
「ええ、私は500年間、妹と向き合うことをしなかった。理解の出来ない妹に恐怖すら抱いた時期もあったわ。」
「でも貴方のおかげで妹と向き合う事が出来そうよ。」
「ありがとう、美鈴。」
目に大量の涙を溜めレミリアの言葉を聞いていた美鈴。
「美鈴、貴方を正式に妹の遊び相手に任命するわ。そして門番にも復帰してもらうわ。」
「え、妹様の遊び相手は嬉しいんですが、門番兼任ですか?」
肩を落とす美鈴。
「えぇ、メイド妖精に門番をやらせていたんだけど、メイドの手が足りなくて困ると咲夜に言われてね。」
「うぅわかりました。」
それから数日後。フランドールは地下室から自由に出歩く許可を得て紅魔館の中を自由に歩き回っていた。
「これからお姉さまと紅茶を飲もうっと。それから門番をしてる美鈴のところに差し入れを持って行ってあげるんだ。」
そんな事を考えていると外から咲夜の怒声が聞こえてきた。
「美鈴!また門番サボって昼寝だなんていい度胸ね?」
「ひ、咲夜さん!」
「違うんです!今日は妹様の所で一仕事終えた後だからしょうがないんです!」
「何開き直ってるのよ!」
そんなやり取りをみていた姉妹は仲良く微笑んでいた。
天気の良い昼下がり。湖畔に建つ赤いお屋敷の門の前で美鈴は考え事をしていた。
お嬢様が幻想郷を赤い霧で覆って異変を起こして数ヶ月。
博麗の巫女と白黒の魔女の子がお屋敷に殴りこみに来て数ヶ月。
お屋敷内で大暴れしている妹様を止めに例の二人が来て数ヶ月。
「はぁ、あの子達に毎回侵入されてるじゃん」
特にあの魔女の子には何度侵入された事か・・・
「番も出来ない門番なんていらないわ」
昨日の夕食後、咲夜がボソッと言っていた言葉が脳裏に浮かんできた。
「私、このままじゃクビだ・・・はは・・・」
青ざめた顔でボソッと呟いた
門を守る以外で私にしか出来ないような事を見つけないと!
「特技、太極拳!」
・・・ダメかぁ
よし、今日の夜に咲夜さんにメイドとして働きたいと頼んでみよう。
いつも人手が足りなくて忙しいって言ってるし。きっと喜んでくれるはず!
夕食は美鈴の好きな時間である。
長い食卓を紅魔館の住人達が囲み、食事をする。それだけの事なのだが美鈴にとっては家族団らんの時間みたいなもので、心地よい日差しの中でする転寝の次に好きな時間である。
私のような門番やメイド妖精までも一緒の食卓に着かせてくれるお嬢様は意外と心優しいのだ。
その心優しいお嬢様。今日は、里の外れにある神社に遊びに行ってきたので上機嫌。
「パチェ、聞いてよ!霊夢ったら何て言ったと思う?」
赤い塊を頬張りながら喋るレミリア。
その様子を見て行儀が悪いと注意をする咲夜。
注意をしつつも笑顔の耐えない彼女を見て美鈴は思う。
今日の咲夜さんは上機嫌だ!と
メイドとして働かして欲しいと言うなら食事が終わった後がチャンス。
食べるのが一番遅いパチュリーが食事を終えると紅魔館の夕食は終わる。
レミリアは自室へパチュリーは図書館へと帰っていく。
その後はメイド妖精たちがバタバタと後片付けを始める。
メイド妖精達に指示を出しながら食後のお茶を用意する咲夜。
咲夜の淹れた紅茶は驚くほど美味しい。
紅茶を飲みながらふらっと咲夜の横に座る美鈴
「咲夜さん、紅茶今日も美味しいです。ご馳走様でした。」
「私もこんな美味しい紅茶入れられるようになりたいなーなんちゃって・・・」
ジト目で美鈴を見つめる咲夜
「何?」
「いえ、私も咲夜さんみたいにメイドとして働いてみたいなー・・・」
厳しい顔になった咲夜が
「美鈴、良い?うちは只でさえ人手が足りないのよ?」
「ハイ!だからこそ私がメイドとしてお手伝いを!」
意気揚々と美鈴が答える。
呆れた顔をした昨夜
「あなたに足を引っ張られたら仕事が終わらなくなるの。」
「はっきり言ってあなたには無理よ。サボる時間なんてないわ」
「大人しく真面目に門番や庭の見回りをしなさい!」
ピシッと言われ
「ハイ、すいませんでした。」
即答してしまう美鈴であった。
しょんぼりしながら自室に帰った美鈴。
はぁ、やっぱり私じゃ無理だったかぁ
咲夜さんみたいに気が利くタイプじゃないし、お上品じゃないもんなぁ
がっかりしながらその日は眠りについた。
紅美鈴と本と空回り
翌日。
朝日が昇る頃に門番としての仕事が始まる。
メイドになるのは諦めて今日は真面目に門番するぞー!
冬も近づき、肌寒い朝。体を温める為に太極拳をする美鈴。
無心で独特の型を決めていると後ろから声をかけられた。
「私にも教えてください。」
振り返るとそこには綺麗な髪をなびかせながら小悪魔が立っていた。
予想外の人物の登場で驚く美鈴
「小悪魔さん、珍しいですね!どうしたんですか?太極拳に興味があったんですか?」
「いえ!」
きっぱりと言われ少しがっかりしながらも理由を尋ねてみた。
・・・
「なるほど。図書館での仕事は意外と体力を使うんですね。」
「ハイ、パチュリー様はお体が弱いですから、重い本や遠くにある本は私が代わりに取って差し上げるんですよ。しかも片付けが出来ない方ですからもう大忙しで・・・」
その話を聞いた美鈴は閃いた。
片付けは私も苦手だけど重たい本を運んだりするくらいなら私にも出来る!
そう考えると小悪魔の手を取り
「私に手伝わせてください!」
「あの広い図書館で小悪魔さん一人じゃ大変でしょ?重たい本でも本棚でも私に任せてくれればあっという間に運べますよ!」
「さすがに本棚を運ぶ事は無いですけど美鈴さんが手伝ってくれるなら心強いです。」
若干勢いに負けた小悪魔が言った。
その日の夕方。
小悪魔と一所に図書館に向かう美鈴。
「失礼しまーす!今日から私も小悪魔さんと一緒にここで働きます!」
「うるさい。」
突然の大声にイラッとしたしたパチュリー。
「あぁ、すいません。図書館では静かに。でしたね。気をつけます。」
「早速ですが何か運ぶものは?」
「美鈴、門番はどうしたのよ?また咲夜に叱られるわよ?」
「大丈夫ですよ。代わりの妖精に番をしてもらっていますから。」
自分の代わりが妖精に勤まると証明しているこの子の頭は大丈夫じゃないわね
口には出さなかったパチュリーであった。
「まぁ、いいわ、静かにしてて。」
「はい・・・」
気合が空回りして拍子抜けをしてしまった美鈴
椅子に座り小悪魔の仕事ぶりを見ていた。
せっせと動き回り、それでいて音を立てずに、主の指示通りに本を持ってくる。
あれ?思ったより大変かも・・・
少し焦りながら小悪魔に声をかける。
「わ、私も手伝います。」
「え、じゃあはい、これを120番の棚に戻してください。」
「それが終わったら142番の棚から水の魔道書を探してきてください。」
「ちょっと、美鈴。これじゃないわ。水の魔道書の22巻を持ってきて。」
「え、はい。少々お待ちを!」
はっきり言って魔道書の文字なんて読めない美鈴には区別が付かない。
あたふたしている美鈴に図書館の主が言う。
「もう、いいわ。美鈴。あなたは私の周りにある読み終わった本を片付けてくれるかしら?」
少しイライラしながら言い放つパチュリー。
常人の数十倍の速さで本を読み終えるパチュリー。さらには読みたいページを読んでしまえば用済みになる本もある。30分もすれば彼女の周りには本の壁が出来上がる。
只でさえ広い図書館。しかも本とは無縁の美鈴が数冊の本を元の棚しまって戻ってくる頃には、本の壁はより高く、より厚くなっている。
「このままじゃ片付けが追いつかない・・・」
自然と駆け足になる美鈴
「あまり埃を立てたらダメですよ。」
と小悪魔。
「あぁ、パチュリー様って喘息持ちか。すいませんでした・・・」
駆け足はダメ。遅くてもダメ
よし、それなら!
危機を覚えた美鈴は本の壁の一番下に手を入れ持ち上げた。
持ち上げたと同時に一番上に積まれていた本たちがバサバサと落下しパチュリーの頭上に落下した。
「むきゅー」
パチュリーから奇声が発せられた。
その様子を見ていた小悪魔はパニック状態。
顔面蒼白の美鈴
やっばい・・
「パ、パチュリー様―?」
「美鈴っ!」
怒りに震えるパチュリーは、さっと符を取り出す。
「すいません!」
「あっ!スペルカードは無しです!ちょ!」
ピチューン
怒れる日符を喰らい、図書館を追い出された美鈴であった。
紅美鈴と主の思惑
数日後
美鈴は浮かない顔をして紅魔館の門の前に立っていた。
あー、ろくに門も守れないし、他に活かせる特技も無い私はきっとクビになるだろうなぁ
こないだもお嬢様のお気に入りのティーカップを割ったメイド妖精がクビになってたし・・・
「はぁ・・・」
下を向いてうなだれる美鈴。
その時、ポンっと頭を叩かれる。
ハッと我に返り身構えるとそこにはレミリアが立っていた。
「コラ、主が帰ってきたというのに、挨拶もしないなんて良い度胸ね?」
「お、お嬢様!お帰りなさいませ!」
「って出かけてらしたんですね。」
「えぇ、寝ているあなたの横を通らせてもらったわ。」
うぐぅ・・・
ぐさりと刺さりそうな言葉が美鈴を攻撃した。
「す、すいません。」
「まぁいいわ。この紅魔館に攻め込もうなんて妖怪この辺りはいるわけもないし、一日中門を守っているだけじゃ暇で眠りたくもなるわよね?」
答えにくい質問をされ困る美鈴。
オロオロしているとレミリアが続けた。
「美鈴。咲夜とパチェから聞いたわ。」
「門番以外の仕事がしたいんですって?」
よっしゃ!
心の中でガッツポーズをする。
さすがお嬢様。仕える者の心情をよく理解されている。
「はい!私の能力を活かせる仕事をしてもっとお嬢様に貢献したいと考えていたんですよ。」
「いやぁ、さすがはお嬢様です!」
「そう。ならアナタにぴったりの仕事があるわ。」
「本当ですか!」
嬉しそうに答える美鈴。
「えぇ。きっと美鈴にも気に入ってもらえるはずよ。やりたい?」
「やります!やります!」
あまりの嬉しさにレミリアに抱きつく美鈴。
「ほ、ほら、分かったから離れなさい。」
予想外の反応をされ少し照れるレミリア。
「詳しい話は夕食後。私の部屋で話すわ。それまでしっかり番をしていなさい。」
「りょーかいですっ!」
大げさに敬礼をしてレミリアを見送る美鈴。
自室の窓から門番を見るレミリアに咲夜が声をかける。
「しかし、宜しいのですか?お嬢様?」
「問題ないわ。仕える者のやる気を出させるのも主の仕事よ。」
「そうかもしれませんが・・・」
「もーうるさいわね。あなたが言い出したことでしょ?美鈴のサボリ癖を何とかしたいって。」
「咲夜は口を出さないで。」
ぷくっと口を膨らませふて腐れるレミリア。
「わかりました。」
「それではお食事のご用意が出来ましたので参りましょう。」
食堂へ向かう二人。
食事が済み、レミリアに声をかけられる美鈴。
待ってました!と言わんばかりに主に駆け寄り。
「お嬢様、仕事の内容は何ですかっ?」
「そう焦らない。さっきも言ったとおり私の部屋で話すわ。着いてきなさい。」
心躍らせレミリアについて歩く美鈴。
彫刻の刻まれた大きな扉を開け自室に美鈴を招き入れるレミリア。
「まぁ、そこの椅子にでも座りなさい。」
言われるとおりに腰掛ける美鈴。
先に口を開いたのはレミリアだった。
「美鈴。あなた、体力に自信は?」
「あります!太極拳で鍛えたこの体の丈夫さはお嬢様も承知ですよね?」
「そうね。この屋敷で私たち姉妹の次に丈夫なのは間違いなくあなたね。」
「いい?これからあなたに任せる仕事は体力が何よりも大事よ。」
「はいっ!」
自然と言葉に力が入る美鈴。
「でその仕事内容は何ですか?」
「フランの遊び相手よ。」
思考がぶっ飛び、言葉を理解するのに時間がかかる美鈴。
「え、えぇぇぇ!」
「む、無理無理、無理です!」
「私なんかすぐに殺されてしまいます!」
「あら、体力には自信があるんでしょ?出来ないの?」
「いや、何で急に妹様の遊び相手なんて・・・」
「前に一度、地下から出て大騒ぎになったでしょ?」
「あの後フランに聞いたのよ。」
「遊んでくれる相手が欲しいって。」
「魔理沙はたまにしか来ないし、そもそもスカーレット家のお嬢様を野良魔法使いと遊ばせるなんて教育上良くないわ。」
「咲夜は忙しそうだし、喘息持ちのパチェには任せられないし・・・」
「頼れるのは美鈴、あなただけ。」
甘い声を出すレミリア。
お、お嬢様が私を頼ってる・・・
キター!
「分かりました!どこまでやれるかわかりませんが、紅美鈴、妹様の遊び相手として精一杯がんばります!」
「よろしい。」
「じゃあ、早速明日から頼むわね。」
「はい!」
主に頼られた事で上機嫌の美鈴。自室に戻り明日に備え準備をしていた。
月明かりが差し込む窓辺のテーブルで空を見ながら紅茶を飲むレミリアに咲夜が話しかける。
「本当によろしいのですか?あの子死ぬかもしれませよ?」
「大丈夫よ。美鈴はああ見えて結構頑丈なのよ?咲夜より頑丈よ。」
「・・・一応私は人間ですし。」
「もちろん、美鈴にフランの遊び相手が務まるとは思っていないわ。」
「他に出来る事がないと分かれば美鈴もまじめに門番をするようになるはずよ。」
「そんな事まで考えていらしたんですね。私はてっきりいつもの思いつきかと思ってましたわ。」
そう、咲夜とパチュリーから美鈴が他の仕事をしたがっていると聞かされていたレミリアは考えていた。門番として真面目に働かせるにはどうすれば良いのかを。
正直、この辺りに紅魔館に攻め込もうなど考える輩はいない。レミリアの力に畏怖の念を抱かせるからである。恐ろしいはずの紅魔館。しかしその門で居眠りをする門番。恐怖感半減である。なんとかして美鈴に門番として真面目に働いてもらいたいのがレミリアの本音だった。
レミリアの本心など知るはずもない美鈴は期待と不安で一杯になりながら眠りについた。
紅美鈴と妹様と
翌日。
「あーやっぱり怖い・・・」
そう呟きながら地下室への階段を恐る恐る下りる美鈴。
いや、でもお嬢様の期待に応えるため頑張らないと!
厳重な結界を開ける鍵を使い薄暗い地下室に入る美鈴。
薄暗い部屋の奥から幼い声が響く。
「誰?」
額に滲む冷や汗を拭き応える。
「妹様、私です。美鈴です。今日から妹様の遊び相手に任命されました。」
「あはっ、美鈴が遊んでくれるの?」
「最近、魔理沙も遊びに来てくれないから暇だったんだ!」
嬉しそうに羽をパタパタさせ美鈴に駆け寄るフランドール。その幼い容姿のせいで少し恐怖心が和らいだ。
「弾幕ごっこ?それとも何か壊す?」
「お、お絵かきなんてどうですか?」
「意外と楽しいかもしれませんよ?」
極力フランドールの能力を使わせない遊びをすればなんとかなると考えていた美鈴。だが甘かった。
「じゃあ私の弾幕よけられたらお絵かきでもいいわ。」
悪意の無い殺意を感じた美鈴は高く飛び上がる。
フランドールから放たれた弾幕は美鈴の立っていた場所を文字通り粉々にした。
「ちょっと待ってください。妹様ぁ!」
美鈴の願いは無視され次々と弾幕が飛んでくる。
全力で逃げる美鈴。
「あはは、意外とやるじゃない!」
「これは避けられるかしら?」
キャッキャと無邪気に喜ぶフランドールは符を取り出し唱える。
「クランベリートラップ!」
部屋の壁に沿うように魔方陣が無数の光の弾を生成していく。
「ひっ!ちょ、妹様ぁぁ!」
光の弾たちは部屋の中心に密集し離れていく。死に物狂いで避ける美鈴。
何とか避けきった・・・
その時背中に激痛が走る。
先程とは違う色をした光の弾がまた生成され部屋の中心に密集していたのだ。
激痛に負けその場に倒れる美鈴。
倒れこむ美鈴を心配する様子もなく早く起き上がるよう指示を出すフランドール。
「美鈴、まだ終わりじゃないよ。今度は美鈴の番。」
「手加減したら許さないからねー」
「は、はい」
それから一時間ほど命がけの弾幕ごっこは続いたのだった。
倒れこむ美鈴。
美鈴の横に座るフランドール。
「弾幕ごっこも飽きたわ。」
「ねぇ、いつまで倒れてるのよ。次の遊びをしましょうよ?」
「い、妹様、もう少し休ませてください。」
そんな事を言ったら永眠させられそうな気がした美鈴はとっさに
「お、お昼寝しましょう。誰かと一緒にお昼寝するのも悪くないですよ。」
・・・
無言のフランドール
はい、私の人生詰んだ。
心で思いながら恐る恐るフランドールを見上げる美鈴。
「分かった。じゃあ昼寝終わったらまた弾幕ごっこね」
そういって美鈴の横に寝転がるフランドール。
妹様が寝たらこのまま逃げよう。
やっぱり私には無理だ。大人しく真面目に門番してる方がお似合いね。
そんな事を思いながらスースーと寝息を立てるフランドールを見る。
「大人しく寝ていれば天使のような顔だなぁ」
ぼそりと美鈴。
きゅっと手の袖を捕まれる。
「あはは、逃げられないじゃん。」
「私も寝て体力回復しないと。」
そう言い眠りについた美鈴であった。
目を覚ますと咲夜が昼食の用意をしていた。
「あれ、咲夜さん。いらしてたんですか?」
「あなた、本当によく寝るのね」
笑いながら言う咲夜。
「お昼、ここに置いておくから妹様が目を覚ましたら一緒に食べてあげてね。」
「はい。」
そういうと咲夜は足早に立ち去った。
逃げそびれた・・・
逃げるのは諦めよう。それにお嬢様が期待してくれてるんだ。
頑張らないと!
そう思いながら大きなあくびをするとフランドールが目を覚ます。
「おはよう。美鈴。」
目をこすりながらフランドールがむくりと起き上がる
「おはようございます。一緒にお昼寝どうでした?」
覚悟を決めた美鈴はフランドールに問いかける。
「うん。いつもより良く眠れた気がするわ。」
「それは良かったです。」
「お昼ごはんが用意してありますから一緒に食べましょう。」
「うん、お腹すいたー」
「そういえば誰かと一緒にご飯食べるのも初めてだ。」
嬉しそうに食卓に向かうフランドール。
「早く食べようよー」
食卓をパンパン叩きながら美鈴をせかす。
「はいはい、今行きますね。」
「あ、ダメですよ。妹様。」
「食べる前はいただきます。しないと。」
きょとんとするフランドールが言う。
「いただきます?」
「ご飯を食べる前のマナーです。」
と得意げに美鈴が答える。
急に大人しくなるフランドール。
そして大声で
「美鈴!マナー教えて!」
「え?」
意外な言葉が出てきて驚く美鈴。
「前ね、お姉さまに言われたの。」
「マナーのないあなたを外に出すわけにはいかないわ。って」
「だからマナー教えて!」
「そうすればお姉さまは私を外に出してくれる。一緒に遊んでくれる。」
「そ、そうですね。私でよければお教えしますよ。」
「ありがとう!美鈴。」
嬉しそうに食事を始めたフランドールを見て美鈴も食事を始めた。
食後
マナー教室を開催しようと思った美鈴はフランドールの弾幕教室の生徒になっていた。
「妹様、マナー教室はいつやらせてもらえるんですか?はぁはぁ」
迫り来る弾幕を必死に避けながらフランドールに質問する美鈴。
「美鈴が私の弾幕全部避けたらよ。」
フランドールの思考がまったく読めない美鈴だった。
その日は結局ボロボロになるまで弾幕を避け続けた。
それから2週間。美鈴はレミリアの期待に応えるために毎日フランドールのところに通っていた。
いや、いつしか芽生えていたフランドールへの特別な感情の為だった。
きっかけはフランドールの一言だった。
「美鈴みたいなお姉さまだったら良かったのに・・・」
その時、美鈴の中にあるフランドールへの恐怖は完全に消え去った。
こんな可愛い妹がいる毎日が幸せだった。
妹様の為になにかしてあげたい。そう思うようになっていた。
ある日、弾幕ごっこに飽きたフランドールがボソッと呟いた。
「美鈴みたいなお姉さまもいいけどやっぱり本物のお姉さまとも遊びたい。」
「あ、別に美鈴の事が嫌いになったわけじゃないの」
「毎日遊んでくれて、色々教えてくれる美鈴は大好きだよ。」
「でもやっぱりお姉さまとも遊んでみたい。」
「妹様・・・血の繋がった姉妹ですから、そう思うのが普通ですよ。」
すこし寂しい気持ちになったがフランドールが普通の感情を抱けるようになった事に対して美鈴は感動していた。
「わかりました。」
「今度お嬢様に私からお願いしてみます。」
ぱっと明るい笑顔になったフランドールは美鈴に抱きつく。
「うぐぅぅ、妹様、力入れすぎです・・・」
翌日。遅めの朝食を済ませ外出しようとするレミリアの前に美鈴が現れた。
「あら、美鈴。フランの遊び相手、よくやっているそうね。」
「ありがとうございます。お嬢様。」
「あの、今日はお時間ありますか?」
恐る恐るたずねる美鈴。
「あるわ。神社に遊びに行く時間が。」
とレミリア。
「少しでいいので妹様と遊んであげてください。」
「聞こえなかったのかしら?」
少しムッとして答えるレミリア。
「お願いです。妹様がお嬢様と遊びたがっているんです。」
「今日は神社ではなく地下室に来てください。」
レミリアはイラっとして美鈴の頬を叩く。
「退きなさい。従者が主の道を邪魔するなんて許さないわよ。」
「退きません。」
覚悟を決めた美鈴は言った。
「妹様の所にっ」
言いかけた言葉が体内で砕けた。
みぞおちに重い拳を喰らった。
倒れそうな激痛に耐え美鈴は踏ん張った。
「お嬢様お願いです。」
「妹様がそんなに嫌いですか?」
「いいわ、あなたを殺してから考えてあげる。」
完全にキレたレミリアは手に巨大な槍を呼び寄せた。
目を開けると自室のベッドの上だった。
横を向くとそこには咲夜がいた。
「目を覚ましたようね。」
「お嬢様をなだめるの大変だったのよ。」
と呆れた声で咲夜が言う。
「なんであそこまでお嬢様を怒らせたのよ」
「妹様と約束したんです。」
「妹様と?」
「はい。お嬢様と遊びたいと仰ってたので、今度お嬢様を地下室にお連れするって。」
「そう」
「あ、今何時ですか?」
「今夕方の4時よ。どうかしたの?」
「はい、妹様の所にいかないと・・・痛っ」
「丈夫なあなたでも無茶よ。死に掛けてたんだから。パチュリー様の回復魔法で生き延びたようなものよ。妹様に会いに行ったら間違いなく殺されるわ。」
「大丈夫ですよ。今の妹様なら。」
「それに、毎日遊びに行くって約束してるんです。」
「急にこなくなったら妹様が寂しい思いをするじゃないですか。」
「今まで長い間一人ぼっちだったんです。もう一人にはさせたくないんです。」
必死な美鈴をみて咲夜が言う。
「あなた、変わったわね。」
「そうですか?そうかもしれないですね。」
「最初はお嬢様に認めてもらいたくて必死に妹様の所に通っていたんですけど、気付いたら妹様の為に何かしたいって思うようになってて。」
「妹さまも紅魔館に住む家族ですからね」
「私のような低級な妖怪が紅魔館の皆様と家族だなんて思うなんて調子乗りすぎですかね?はは」
「そんなことないわ。貴方も私も、お嬢様もパチュリー様も妹様もみんな紅魔館に住む家族よ。」
「行ってあげなさい。妹様の所。ワガママな家主様には私から言って置くわ。」
体を引きずるようにフランドールの元へ向かう美鈴。
その夜。
レミリアの自室。
「咲夜までそんな事言うの?」
眉間にしわをよせ咲夜を睨む。
「お嬢様、良いじゃないですか?たまには妹様の様子を見に行くくらい。」
笑顔でそして力強く言う咲夜
「うー分かったわよ。明日、目が覚めて気分が良かったら考えてあげる。」
少し釈然としないが咲夜の言う事にはなぜか逆らえないレミリアは渋々地下室に行く事を了承した。
翌日、昼過ぎに目を覚ましたレミリア。
「しょうがないわね。」
咲夜を呼び地下室に向かったレミリアは目を疑った。
薄暗くあちこち壊れているはずの地下室が綺麗にライトアップされ、綺麗に掃除してあった。
何よりも目を引いたのは美鈴と一緒になって部屋の掃除をしている自分の妹の姿だった。
「あーお姉さま!」
「あははっ美鈴の言った通り本当に来てくれた!」
「フラン、どうしたのかしら?貴方が部屋を綺麗にするなんて。」
「うん、美鈴が教えてくれたんだよ!」
「壁を壊しちゃダメとか、いただきますとか。マナーとか」
「お姉さまは綺麗な部屋が好きだから綺麗にすれば遊びに来てくれるって」
「そ、そう。」
気がふれていて、力が強く、ありとあらゆる物を破壊するだけの妹はもういないのか?
正直実の妹に恐怖を抱く事すらあった。その結果幽閉するという選択肢を選んだ訳だが。
いったい美鈴はどんな手品を使ったのか。
腕に抱きつき
「ねぇねぇ、お姉さま、弾幕ごっこする?トランプにする?」
とフランドール
か、可愛い
ちょっと頬を染めるレミリア。
「せっかく綺麗になった部屋を汚すのはよくないわ。」
「トランプにしましょう。」
「咲夜、美鈴、二人で遊べるゲームは少ないから貴方達も参加しなさい。」
結局夕食の時間まで4人でトランプをして、そのまま地下室で4人で夕食を食べた。
フランドールがはしゃぎ疲れ寝てしまうとレミリアは美鈴に昨日の件を謝罪した。
「美鈴、その、悪かったわ。昨日はちょっとやりすぎたわ。」
「いえ、私のほうこそ出すぎた真似をしてしまい。」
「いいのよ。私たちは家族なんだから。」
照れくさそうに言うレミリア。
「そ、それで、フランにどんな魔法をかけたのよ?まるで別人よ?」
「妹様のワガママを聞いて、一緒にお昼寝して一緒にご飯を食べて、パチュリー様から借りてきた物語を読んであげて、弾幕ごっこに付き合ってあげて、まぁ弾幕ごっこは一回も勝てなかったですけどね、あはは」
「そう。」
とレミリア。
「私は優秀な従者を持っていたのね。」
「私に500年間出来なかったことを数週間でやってしまうんですもの。」
「お嬢様が出来なかったことですか?」
きょとんとした美鈴が尋ねる。
「ええ、私は500年間、妹と向き合うことをしなかった。理解の出来ない妹に恐怖すら抱いた時期もあったわ。」
「でも貴方のおかげで妹と向き合う事が出来そうよ。」
「ありがとう、美鈴。」
目に大量の涙を溜めレミリアの言葉を聞いていた美鈴。
「美鈴、貴方を正式に妹の遊び相手に任命するわ。そして門番にも復帰してもらうわ。」
「え、妹様の遊び相手は嬉しいんですが、門番兼任ですか?」
肩を落とす美鈴。
「えぇ、メイド妖精に門番をやらせていたんだけど、メイドの手が足りなくて困ると咲夜に言われてね。」
「うぅわかりました。」
それから数日後。フランドールは地下室から自由に出歩く許可を得て紅魔館の中を自由に歩き回っていた。
「これからお姉さまと紅茶を飲もうっと。それから門番をしてる美鈴のところに差し入れを持って行ってあげるんだ。」
そんな事を考えていると外から咲夜の怒声が聞こえてきた。
「美鈴!また門番サボって昼寝だなんていい度胸ね?」
「ひ、咲夜さん!」
「違うんです!今日は妹様の所で一仕事終えた後だからしょうがないんです!」
「何開き直ってるのよ!」
そんなやり取りをみていた姉妹は仲良く微笑んでいた。
でももう少し一貫したストーリーが欲しいかも
もう少し細部に肉付けしてやれれば、とても良くなると思う。
なんというかな。淡々としすぎているように感じるんだ。
地の文が、味も何もない客観的事実の描写にとどまってしまっている、というのがまずいのかな。
弾幕のあたりとか、もっとゴチャゴチャと描けると思うよ。
と、まぁ、ROM専から言われても困るね。ごめんよ。おもしろかった。
今後も投稿するつもりなのでまた読んで頂けたら嬉しいです。
でもそれ以上に人を惹き付けるストーリーがある
上から目線ですまないがこれからの成長が楽しみだぜ
かなりサッパリした文章という感じがしたので、次回があるのなら少し贅肉を付けてみてはどうでしょうか
・めーさくモノやレミ咲モノにありがちな流れ方
以上の2点が気になります
テンポは良いので次も応援してます
皆さんから貰った課題をクリアできるよう頑張ってみます。
展開はありがちながら、丁寧に書かれていて良かった。
アッサリしているように感じたのは何でだろ。心理描写が少なめだから?
次回作、期待しています。
でも最初だったらこんなもの?
その家族を殺そうとしといてこの台詞すごい安っぽい。