Coolier - 新生・東方創想話

フランちゃんご乱心にっ

2011/08/14 06:49:14
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月が昇れば狂気も昇る
今宵は紅き満月の夜
月が昇り、悪魔の姉妹が踊りだす
そんな時間までもうすこし
悪魔の妹は地下に一人佇んでいた




時間はわからない。
日付もわからない。
何も、わからない。
私が知っているのは、このお部屋だけ。
特になにがあるわけでもない。ベッド、テーブル、おにんぎょう。
あとはなぁんにもない。
お外があるのは知っている。
でも出してはくれないの。
このお部屋にひとりだけ。
泣いても、怒っても、もちろん笑っても。

私はひとり   ヒトリ   1人
     ヒトリ  一人   独り!!!

でも生きてる。
何年生きてるんだっけ。
忘れちゃったけど生きてる。
生きてるのは何も私が吸血鬼で、生命力が高いから、ってわけじゃない。
咲夜がいつもご飯を持ってきてくれる。
……いや置いてくれるのほうが正しいかな
パチュリーが本を読んでくれる。
……私は本で見るお外じゃイヤなの。本物がいいの。
美鈴がお話をしてくれる。
……私から話をしには行けないなんて、窮屈だよ。
お姉さまは、月に一度しか顔を会わせないよね。
……私のこと嫌い?ねぇお姉さま…ねぇ……
例え私の心が満たされなくとも、生きてはいける。
そんな生活を過ごしてきた。
心が動いてなかった今までは、本当に生きていたの?と問われたら、きっと私は困っちゃう。
でも生きてはいけるんだよ。
最近、おもしろい人間達にあうまでは、実際生きてこられた。
ほら、夢、見るよね?
夢、だと思ってるものが、本当の世界。今いるところが、嘘。
こう言われたら人は、何を言っているんだ。って言うけどさ。
夢の世界にいる時間の方が長くて、今いる世界の時間が短かったら、きっと夢を本当だと思うんじゃないかな?
夢の世界での記憶は連続してなくて、今の世界は連続してるから、今が本当って思う?
でも元々、本当の世界は連続してなくて、嘘は連続してる。って認識してたら、逆になっちゃわない?
私はそうだった。
私はいつも広い草原で、ちょうちょを追いかけてた。
こんな狭い、つまらないお部屋は夢だ。って思ってた。
だから生きてこられた。
でも、こっちの世界にも楽しいことはあるんだって、お外には楽しいもの、楽しい人がいるんだって、知っちゃったから。
もう生きていけないの。
もう我慢なんてできないの。
お外に出る。
お外にでたら、お姉さまはきっと怒る。すごく怒る。
でも知らない。あんな奴知らない。
あいつは自分だけ好きに暮らして、楽しんで、私だけのけものにする。
私が楽しもうとすると邪魔をする。
なんで?
ずるいよ     ずるいよ     ずるいよ     ズルイヨ    ズルイヨ     
     ずるいよ     ずるいよ     ズルイヨ     ズルイヨ   ズルイヨ……
……よし、行こう。私。 
体育座りで、膝に埋めていた顔を起した私は、ドアを見る。
「パチュリーの結界か……面倒だけど壊すっきゃないよね」
私は吸血鬼の中でも魔法、こと魔力に関しては長けている方だ。
といっても、比べる対象はあいつしか知らないけど。
三人まで分身を創ることができるし、変化、武器創造、なんでも来いだ。
「行くよ。みんな」
三人の自分に話しかける。
作戦は一つ。力押し。
どこかの黒白のごとく力押し。
「こんな結界、きゅっとして、ドカーン!よ」
殴る。殴る。
例をあげるなら、悪さをして物置に閉じ込められた子供が、出してと喚くように。
だせ  だせ  だせ  だせ  ダセ  ダセ  ダセ  ダセ
  だせ  だせ  だせ  だせ  ダセ  ダセ  ダセ  ダセェ!!
掛け声とともに。四人で殴る。結界はもうボロボロ。開くのも時間の問題だ。
月が昇るまで、あと数秒……



大きすぎるノック音
こんなに叩いているのに、返事はない。いや、していない。
かわいそうだ、とは思うけれど、開けるわけにはいかない。
「はじまりましたか……結界ももう持たないでしょうね。次は私の番。決してお通しするわけにはいきません、ね」
美鈴は月が昇り切ったのを肌で感じ、覚悟を決めた。
轟音。館中に響く破壊音。そして聞こえる歓喜の声。
「あっはぁ!開いた開いた!もうおてて真っ赤だよぉ。みんなありがとね。少し休んでていいよ」
四人の妹様が一人へ重なる。
「妹様。こんな夜遅くにどこへ行かれるのですか」
「あら美鈴。こんな夜遅くにって、あたかも夜出かけるのが不自然みたいに言うけど、私は夜行性よ?」
あなたが出かけることに問題があるのですが、とは言わない。
「そうでしたね、あはは……ですが、ここをお通しするわけにはいきません」
「……なんで?」
「お嬢様に仰せつかっているからです。もっとも、そうでなくともお通し致しませんが」
「ふーん。やっぱりね。やっぱりみんなで私の邪魔をするんだ。私が楽しいことするのを邪魔するんだ。私が生きるのを邪魔するんだ。」
「私は妹様が生きることを邪魔する気はありませんし、妹様にはより生活を楽しんでいただきたいと考えております」
「じゃあ通しなさいよ」
「それでも、だめなのです」
もう私は、妹様の絶望したお顔を見たくないのです。ただじゃれていただけなのに、ただ愛し合っていただけなのに、その能力ゆえ、壊してしまった。あの思いを、もう二度とさせたくはないのです。
「結局邪魔するんじゃない。何がだめなのさ。なんでだめなのさ。全然わかんない」
「その理由は何度もお嬢様がお話になっているはずです。それでも、お嬢様がだめというのならば、妹様にはまだすこしお早いのでしょう」
「は?何?あの、私が狂っているから、私は恐ろしい能力を持っているから、ってやつ?私は別に遊びに行くだけで、殺戮に行くわけではないし?そもそもその私を閉じ込めているあんたたちはなんなのって話。結局私にいじわるしたいだけじゃない。知らないわ。そんなの。それにあいつがだめって言ったら、なんなの?知ったことじゃないわ」
「……そんな悲しいことを言わないでください。お嬢様は、レミリア様はフラン様のたった一人のお姉さんじゃないですか」
「月に一度顔を合わせるかどうかの奴を姉と呼ぶのもね」
「妹様にお辛い思いを、寂しい思いをさせていることはわかっているつもりです。……いえ、わかってはいないのかもしれません。ですが、私はあなたのために、妹様のことだけを考えて、それでもここをお守りいたします」
「……あっそ。じゃあいいよ。邪魔者は黙らせるだけ。コンテニューはさせてあげないよ!」
「紅魔館が門番、紅美鈴!命に代えても、後退はしない!」



力量差は圧倒的
吸血鬼は反則的
気持ちでは、気持ちにしか勝てない
力に勝つには、力しかない
中華小娘は踏ん張った
気を失うその時まで、一歩たりとも悪魔の妹を進ませなかったそうだ



私は何をしてたんだっけ。
ああ、お外に出たかったんだ。
そしたら美鈴が邪魔して、……どうしたんだっけ。
邪魔した美鈴を黙らせようと思って、それから…それから…
あんま覚えてないや……そんなに興奮してたのかな…
そうだ、美鈴…美鈴!
「嘘…これ…死ん…」
血の気が引く。
血にまみれた美鈴が倒れている。
腹部を貫かれているようだ。誰に?私に。
「私…私…美鈴を殺すつもりなんか…やだ…美鈴!」
肩を揺する、揺する。
返事はない。
「ごめん…ごめんね…美鈴ごめんね」
泣いていた。涙が出ていた。自分がやったことなのに、何を言っているんだと思われるかもしれないけど、すごくつらい。止まらない。どうしよう。美鈴。好きだよ美鈴。嫌だよ死んじゃ。嫌だよ。
「ん…ん」

呻いた。まだ生きてる!
「良かった…良かったよ…」
いや、良くないよ。このままじゃどっちにしてもやばいよ。
そうだパチュリー。パチュリーを呼んで回復の魔法を……



響く
コツ、コツ
長い廊下に響く足音
迫る足音
悪魔の足音
我こそが主であると、我こそが夜の帝王であると、そう言わんばかりの大きな羽を携えた悪魔が
すぐ目の前に
外にでたいフランちゃんとかっこいい美鈴が書きたかった。
後悔なんて、あるわけない。
次はようやくレミフラ
はたしてフランちゃんはレミリアとプリンを食べれるのでしょうか。
ってなところで今回は終わり。
暇があったら続き書きたいですね。
ds
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コメント



0.820簡易評価
2.70奇声を発する程度の能力削除
こういう終わらせ方も面白いですね
10.70名前が無い程度の能力削除
後書きを読むまでシリーズ物だと気づきませんでした
15.100ほっしー削除
あ、これ続くのか、楽しみにしています。
16.90名前が無い程度の能力削除
なんかすっきりしないけれど、続くようで一安心
17.70稲荷寿司削除
うん、前回よりも読みやすいです。妹様の狂気もいい感じで滲んでますし。
ただ、個人的な感想としては中国と妹様の戦闘シーンをはしょり過ぎだったかな、と。もう少し膨らませて欲しかった。


幾つか気になった所をば。
「最近、おもしろい人間達にあうまでは、実際生きてこられた。」→「あう」は漢字の方が良いかと。(変換ミス?)

「私が生きるのを邪魔するんだ。」→カギ括弧の前に句点が。お気をつけ下さい。

「私は別に遊びに行くだけで、殺戮に行くわけではないし?」→これの台詞にクエスチョンマークは要らないかと。

後は、「…」は一つだけで使うのはあまり宜しくないです。一つと二つで台詞の間に差をつけようとなさっているのでしょうが、読んでいて違和感があります。ですから、やはり「……」で統一するのが一般的でしょうし、そうして欲しいです。

そして、台詞の応酬が連続し過ぎです。最低でも五回に一回ぐらいのペースでキャラの表情の描写を入れるとよりキャラが生きて、話が鮮明になります。

最後に、何人称の文なのかをはっきりさせて下さい。三人称文で進んでいたかと思えば妹様視点になったり、かと思えば中国視点になったりして、それが読みにくい原因の一つになっています。シーン毎に変えるのはまだ構いませんが、一つのシーンでコロコロ変えるのはマズイです。心中の声なんかは()で括るのがよくある手法なので、参考程度に申しておきます。

批判ばかりになってしまいましたが、書こうとしているもの自体は割とワタクシの好みなので、頑張って精進して下さい。貴方の成長を期待して待っております。
18.無評価ds削除
ご拝読のほど、ありがとうございます。
一応四部構成を考えていてるので、あと二作ほど……
諸所改善を考え、次作を書き始めます。
21.80名前が無い程度の能力削除
レスにレスするようで悪いけど、殺戮云々のは?があったほうがフランの狂気を引き立ててこのままのが好きかなぁ

ミスなのかはわからないけど
22.70名前が無い程度の能力削除
背水の陣ってなもんですね。短いながらも、かっこよさをがっつり見ました。
何気にお嬢様の威厳もひしひしと伝わってきたり。続編に期待します。

重箱の隅を突付くようなものですが、「ご拝読」はちょっと適切ではないと思います。
使うなら「ご覧になる」「お読みになる」といったところでしょうか。
お気持ちも分かりますが、そう肩肘を張らなくてもいいとは思います。
28.無評価名前が無い程度の能力削除
これシリーズ物だったんですか!
他のも見てきます