――Ⅰ――
ねばつく泥に足掻く蛙を見て、わたし/私/はあれをわたしだと思った。
足掻けば足掻くほど足をとられて抜け出せなくなる、けれど蛙はそれを知らない。
纏わり付く泥を払いもう一度雨水に満ちる清浄な世界へ戻ろうと、ただ、足掻く。
けれど蛙は、抜け出せない。
蛙はこれまで、泥に溺れたことがなかったから。
培う経験以外に、逃れる知る術が無いからだ。
けれどどの道――――知ったところで、どうにもならないのだけれど。
鏡写しのロールシャッハ
――1――
是非曲直庁から送られてきた、大量の資料。
ともすれば目を逸らしたくなる書類の束に、私は万感の思いをため息に換えて、吐き出した。
旧地獄の管理は、書類仕事以外にも山のように仕事がある。
だというのにこんなに仕事を出されたら、手が回らなくなってしまうじゃないか。
「お燐は気まぐれ、お空は……仕事が増える」
お燐は真面目だ。
けれど、猫なのだ。どうしても、猫なのだ。
インクの瓶が転がりでもしたら、最後。
書類の色が一色に変わるまで、遊び尽くす。
「あの閻魔も、人使いが荒いわね」
どうしても、独り言が増える。
執務室に重なる書類からは、どうせ意識を逸らせないのだ。
だったら、適度に力を抜きつつやるしかない。
「こんなものまで、持ってきた癖に」
そう、やたら仰々しい黒塗りの箱を取り出した。
妙に肌触りの良いこの箱だけで、私の少ない給料が吹き飛びそうだ。
そんな仰々しい箱に入ったモノは、とてもではないが仰々しいモノには見えなかった。
封を解き、箱を開ける。
立ちこめる香の匂いに、送り主の感性を疑った。
どうやったら、私の神経を逆なでするような、胡散臭い匂いを選抜できるのか。
「地上の管理者も、わからないわね」
中に入っているのは、長方形の紙だった。
どんな素材なのか、決して折れも破れもしない。
丈夫で、そして“まっさらな神秘”の込められた、不可思議な紙。
新しい“ルール”――――“スペルカードルール”に、欠かせないもの。
まずは自分で実演。
そんなことをしなくても、新しい“遊び”に興味を持った妖怪たちが、嬉々として広げてくれた。
もちろんこれから、ある程度歪んで広まっているであろうルールを調整する必要はある。
けれど、よくルールが解っていない妖怪を探すことで、時間の短縮にはなった。
おかげで今やるべき事と言えば、この山のような書類整理と。
それから……妹に、このルールを教えるということだ。
「それが一番、大変なのだけれど」
私、古明地さとりには妹がいる。
もう世界にどれほど残っているのか、おそらく私たちで最後であろう“覚り”妖怪。
人の心が読める故に嫌われて、そうして人妖から迫害されてきた種族。
そんな“覚り”妖怪の姉妹、その妹が古明地こいし。
私のたった一人の妹で、たったひとりの同胞でなくなってしまった子。
「なんにしても、探し出さないと」
心を閉ざし、無意識で生きるようになった妹。
何時でも何処でも無意識である彼女を捜すのは、骨だった。
執務室の仰々しい安楽椅子から身体を起こし、散々似合わないとお燐に心で言われた黒のロングコートを羽織る。
決してお燐からそう思われて悔しいから着続けている、などではなく、単純にこれ以外にコートを持っていないのだ。
廊下にたむろするペットたちに手を振りながら、玄関端に立てかけられていた傘を手に取る。
ぱんっと広げられた唐紅の傘は、地底に降り注ぐ雨を弾いて、たんたんと小気味の良い音を反響させた。
「ふぅ」
地霊殿から一歩出て見上げると、空には大地が広がっていた。
旧地獄後、地底奥深くのこの場所には、当然ながら空がない。
あるのはただ、土色の天蓋のみ。
水たまりを避けながら、歩いて行く。
目的地があるのなら飛んだ方が早いのだろうが、居るのかも解らない妖怪を探すのなら、歩いた方が良い。
どうせなら風情ごと楽しめた方が、私の休憩時間としてもちょうど良いことだろう。
結果的にはと続くけれども、書類からは目を逸らして来てしまった。
だったらこの時間は、私のリフレッシュの為に使いたい。
「――……♪~♪」
昔、耳にした歌を、口ずさむ。
何時、何処で、どのように聞いたのか思い出せない。
もしかしたら、“誰かの内側”から聞こえた歌かも、知れないのだから。
「……♪…♪~♪――」
三拍子から、どうなったか。
思い出しながら適当に歌っていると、見知った姿が視界に現れた。
無意識から顔を覗かせたのであろう、私の妹、こいしだった。
「ねぇ、それなんの歌?」
「さぁ、覚えてないわ」
「ふぅん」
それきりこいしは、黙り込む。
その顔には、変わらず笑顔が張り付いていた。
心から笑っているのか、違うのか。
私にそれは、判断できない。
「ならいいや」
「ちょっと待ちなさい」
「なぁに?」
早速消えようとしたこいしを、引き止める。
私が珍しく引き止めたことに興味を持ったのか、こいしは足を止めた。
「あなたに伝えておかなければならないことがあるの」
「私に?珍しいね」
唐紅の傘を、こいしに渡す。
雨に濡れたままにしておくことなんて、出来そうになかったから。
そうするとこいしは、躊躇うことなくそれを自分に差した。
人に気を使うことはしない。
けれどだから、こいしらしい。
「実はね――」
掻い摘んで、説明していく。
新たに、地上の妖怪から言い含められた内容。
命名決闘法などとも呼ばれるそれを、丁寧に伝わりやすいように。
「――というルールを、覚えて欲しいの」
言い切ると、こいしは変わらず笑顔を浮かべていた。
表層意識から落ちだした表情なのか、深層意識からこぼれ落ちた表情なのか。
判別することの出来ない笑みからの返事は、ない。
「面倒ね」
「面倒でも覚えなさい」
彼女の表情が変わらないから、だから私はもう一言付け加える。
そろそろ寒くなってきたし、帰って温泉に入りたい。
雨に濡れたままでは、私が身体を悪くしてしまいそうだ。
「これによって、地底も変わるかも知れないわ」
何気ない、一言だった。
本当に変わるなんて、あまり考えていない。
けれど、このルールは、確かに新しい風の到来を予感させるモノだった。
だから、本当に何気ない言葉――だったのに。
「地底が、変わる?」
ほんの僅かに震える声を、耳で感じ取った。
耳でしか感じ取れないから、繰り返しリピートするには心許ない。
そんな、小さくて儚くて、切ない声。
「こいし?」
思わず目を瞠る。
雨で煙る視界に、ほんの僅かに映った顔。
笑顔の中に、慟哭を潜ませたような、そんな引きつった笑み。
「なに?」
「え、ぁ」
だがそれも、ほんの一瞬のことだった。
また、こいしの顔には、何も変わらない笑みが浮かんでいる。
邪気がないのを無邪気と呼ぶのなら、彼女の喜色のない笑顔をなんと呼べばいいのか。
答えに詰まった次の瞬間には、こいしの姿は、もうなかった。
「今の、は?」
白昼の、夢だったのか。
いや、夢心地にすら潜り込める私が、この程度の判別が付かないはずがない。
だったら、あの歪んだ笑みは――確かに、こいしのものだった。
「くしゅんっ……いけない」
長く雨の下に居すぎたか。
背筋を伝う寒気に、肌を粟立たせる。
とにかく一度帰って温泉にでも入らないと、長すぎる休憩時間をとることになってしまう。
あの頭の固い閻魔様に怒られるのは、御免だ。
もちろん悪い方ではないのだが、説教一つにしても長すぎる。
精神に依存する妖怪相手ですら、心の芯を鯖折りしに来るのだ。
水たまりで転んでしまうことの無いように走り、すぐに気がついて空を飛ぶ。
私も案外疲れているようだ。ここ最近のことを考えれば、疲れない方がおかしいのだけれど。
中間管理職は、仕事が多すぎる。
地霊殿が見えてくると、そのまま玄関に降り立つ。
すると気がついたペットが、慌ててタオルを取りに行ってくれた。
これで、エントランスを掃除させることもなく入ることが出来る。
「さとり様、タオルですっ」
「ありがとう、お燐」
「いいえ!」
表裏一体。
心と言葉、二つを一緒に放ってくれる。
これがどんなに心地よいことなのか、ペットたちは知らずとも行ってくれるのだ。
長年一緒に居るお燐とお空に限っては、知っていてやってくれていそうな……いや、お空はどうだろう?
タオルを受け取って、髪を拭く。
水気を完全に落とすと、お燐に着替えを頼んで温泉へ足を向けた。
娯楽の少ない地底の、娯楽の少ない地霊殿。
そんなここの楽しみと言えば、温泉くらいなものだった。
「こいし、か」
脱衣所で服を脱ぎながら零れたのは、そんな言葉だった。
服を畳んで、浴室に入り、身体を流す。
湯気の立つお湯は、私の身体を簡単に温めた。
「あの子は……」
私の妹は、あんなに笑顔の多い子だったか。
いや、それ以前に、あんな性格だったか。
どうして“そう”なったのか、知ってはいる。
けれどそれでも、疑問の心が胸で淀むのだ。
淀んで、淀んで、私を縛る。
「本当に、“こいし”なんだろうか」
一度溢れ出てしまった疑問は、声に出した途端に止められなくなった。
私の中で、聞け、聞け、と無形の化け物が牙を鳴らすのだ。
別人じゃないのか。
入れ替わっているんじゃないのか。
古明地さとりの大切な妹は、あの日に、――だんじゃないのか。
「私は、どうしたい?どうしたら、いいの?」
浴槽の中で、膝を抱える。
熱に浮かされた頭は、私に答えを提示してくれない。
どんなに考えても、答えは出そうになかった――。
――Ⅱ――
揚力のない空に放たれた鳥は、無残に羽を散らしながらも羽ばたくのだろうか。
それとも、飛べない現実を受け入れて、足を進化させて翼を退化させるのだろうか。
後者を正答だとするのなら、それはあまりに残酷なことだ。
他で補ってしまった鳥は、二度と大空へは舞い戻れないのだから。
そうね……あなたがわたしの話を聞けているのか解らない。
けれどそれでも、一つの話をしよう。
飛べなくなった、鳥の話を。
飛ぶことすらも忘れてしまった、哀れな哀れな鳥の話を。
わたしの一番最初の記憶は、姉に手を引かれているシーンから始まる。
優しげな笑みで、柔らかな手で、傷だらけの身体で、わたしの髪を梳く。
その姿が、わたしは忘れられない。
沢山の同胞が居た。
仲の良い同胞は、一人も居なかった。
沢山の同胞が在った。
今でも生き残っている同胞は、姉だけだ。
両親、と言って良いのか解らない。
種族が途絶えないように、それだけのために覚り妖怪は子を作る。
けれど心の読める存在に愛情を抱くことが出来ない彼らは、産んだ子供が一人で立ち上がれるようになると、さっさと捨ててしまう。
そういった意味で、二人目が立てるまで姉も育てたわたしの両親は、奇特な妖怪だったのだろう。
彼らのおかげで、わたしと姉は二人で居ることが出来たのだから。
もっともその両親のことなど、わたしは欠片も覚えていないのだけれど。
『お姉ちゃん』――これから、どうなるの?
『どうしたの?』――大丈夫よ。きっと、なんとかしてみせるから。
声と、心。
二つに響く、優しい声。
姉は、頼りになる人だった。
幼い外見だけれど、誰よりも強い“覚り”妖怪だった。
読もうが読まれまいが、折れることなく心を保つ。
覚り妖怪の“天才”――それが、わたし/私/の姉、古明地さとりだった。
わたしはあまり身体が丈夫でなかったから、よく姉が負ぶってくれた。
わたしがあまり笑わなかったから、自分が笑顔で居ることで、わたしを軽くしてくれた。
幸福だったのだと、思う。
それくらいは、わたし/私/にもわかるでしょう?
わたし/私/は確かに、あの日々に幸福を見いだしてきた。
そこに嘘偽りはなくて、そこに疑りはなくて、ただそこには渇望が潜んでいた。
覚りだと知られれば、迫害される。
石を投げられ、刃で斬りつけられ、妖怪には爪と霊力を向けられた。
だから、色んな場所を、姉と二人で転々とするしかなかった。
この辺りは、わたしの記憶にもあるでしょう?
……うん、そう、だから、語っているの。
私は幸福よ。
あのひとが、側にいるんだもの。
話がずれたね。
そう、わたしは渇望していたの。
渇いて、渇いて、渇いて、望んでいた。
立ち寄った先。
楽しげに話す子供たち。
仲睦まじい夫婦。
老いてなお笑顔を絶やさない、老人。
こんなにも満たされているのに。
こんなにも幸福であるはずなのに。
こんなにも、こんなにも、恵まれていたのに。
私は――――羨ましかった。
――2――
執務室に重なった書類を、纏めて送付する。
山のようにあった書類も、たった一晩ですっきりと片付いた。
――頭にこびりついた疑念を払う為に、集中しすぎたのだ。
「ふぅ」
首を回すと、小気味の良い音が聞こえた。
ついで背筋を伸ばすと、肩胛骨からも音が響く。
まるでお燐みたいだ、なんて思いながら、私は机の上に突っ伏した。
「はぁ……どうしようかしら」
こいしは、今どうしているのだろう。
もう、寂しくて泣いたりはしないだろう。
あの時のこいしは、もう居ないのだから。
『たった二人だけの世界なんて、わたしは耐えられない!』
「っ」
思い出が、フラッシュバックする。
脳髄にズキンと響く、痛みの残滓。
あの日の顔がちらついて、離れようとしてくれない。
「こんな気分じゃ、だめね」
立ち上がって、大きく息を吐く。
肺から、心から、全部が全部吐き出すように。
「散歩にでも――」
『――ちょっと、お散歩』
「なん、で……今になって、また」
どうして。
どうして今頃、思い出すのか。
どうして、封印されたままで、いさせてくれないのか。
理由なんか、解っている。
あの雨の日、私の掛けた何気ない一言が、こいしを揺らした。
私は結局、あの子の幸福を取り上げることしか、できないのだろうか。
私はこいしに、あんな表情をして欲しくない、だけなのに。
「だったら、やることは決まっている」
執務室を出て、歩いて行く。
雨は未だ上がらず、ステンドグラスの向こう側を灰色に染め上げていた。
地底に降る雨も、雲は灰色だ。時折見えるその向こう側は、何時も変わらず土色なのだけれど。
「こいし」
呼び掛けてみる。
返事はない……なら、この辺りにはいないのだろうか。
ふと呼び掛けて居たら、それはそれで驚いてしまうのだけれど。
「だめね、あの子のことばかり考えている」
お燐やお空、他のペットたちのことも考えてあげないと。
きっと、「どうしてこいし様ばっかり!」って、拗ねてしまうから。
「呼んだ?」
「っ」
不意打ちだった。
跳ね上がりそうになった肩を、弾んだ胸と一緒に抑える。
なるべき平然とした体を装って、ただ、振り向いた。
「おはよう、こいし」
「うん、おはよう」
笑顔だ。
何時もと変わらない、とは言えないけれど。
「疲れてるの?」
「ううん。そんなことないよ」
前よりも、“上手に”笑えていない。
まるで、そう、“あの時”のように、歪な笑みだった。
『あ、ハハはハ、ねぇ、お姉ちゃん』
額に、指を置く。
眉間を解すように、ただただ。
過去の残滓を、忘却の彼方へ。
あの時とは違う。
だって今は、彼女の揺れに見えないから。
私の目の前にいるこいしは、揺れてなんかいない。
なら私には…………なにが見えて、いるんだろうか。
「どうしたの?」
「徹夜明けなの」
「ふぅん」
ワンテンポごとに、表情が行ったり来たりしている。
歪なモノから、普段の張り付いたような笑みへ。
ただただ、前後して襲う衝動の波紋。
そこにこいしの自覚があるようには見えず。
そこにこいしの感情が在るようには思えなかった。
「なにもないなら、行くね」
「ええ、気をつけて。呼び止めてしまって、ごめんなさい」
「はーい」
瞬きをしたら、その刹那にはこいしの姿がなかった。
露と消えた妹の姿、彼女とこれ以上言葉を交わさないで、済んだ。
そのことに、どこか安心している自分が居て――嫌悪感を、覚える。
「大切だと嘯いておいて、これか……冗談にもならないわ」
結局私は、どうしたいのだろう。
心の奥底では、変わらず疼痛に締め付けられている。
だというのに、こいしのことに、積極的になれない。
だって、幸福そうだったじゃないか。
いつもいつも、泣きはらして暮らしていた。
ただただ、渇きを訴えて、弱々しく叫んでいた。
そんなこいしが今、笑っている。
そんなこいしが、笑えているのなら。
間違っている――これで正解。
辛そうだった――今は幸せそうだ。
泣いていたから――あんなに笑顔で。
第三の目は、答えてくれない。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐると、ただ行き交う思考が煩わしい。
からからと渇いた喉を潤わす為に、リビングへ行く。
誰かペットに頼んで、水でも持ってきて貰おう。
そう、足を動かす。鎖で縛り付けられているように、重く重く重い足を。
お燐に水を頼み、リビングのソファーに深く腰を落とす。
見上げた天井は高く、ステンドグラスから差し込む光で虹色に見える。
そういえば、本物の虹なんて、もう何年も見ていない。
「さとり様」
盆の上にガラスのコップを乗せて、お燐が戻ってきた。
赤い三つ編みがゆらりと揺れて、陽炎のように残滓を浮かべる。
心配そうに落ちた眉を見ると、だらしなくしているのが申し訳なく思えた。
「お水ですよ」――大丈夫ですか?
「ありがとう、お燐。私は大丈夫」
コップを掴んで、唇に当てる。
傾けると冷やされた水が流れ込み、嚥下する音が耳に届いた。
渇いた喉は水を吸収することで潤い、心なしか気も楽になる。
私はどれだけ、抱え込んでいたのだろうか。
「あの、さとり様」――何か悩みがあるんですか?
「……そう、ね」
普段なら、肯定せずに誤魔化していたことだろう。
けれど、水を飲んで少し気が抜けたのか、私が弱っていたのか。
記憶に振り回されるほど、弱くはないつもりだったのだけれど。
「悩んでいるのかも、しれないわ」
悩んでいるとしたら、なにに悩んでいるのだろう。
私はどんな悩み事を抱えているのだろう。
こいしとの接し方が解らない?
こいしにどんな目を向けて良いのか解らない?
こいしの悩みを打ち明けて貰えないのが辛い?
こいしのことを理解できないのが……恨めしい?
「違う」
「さとり様?」
それは違う。
私は、もっと違うことが引っかかっている。
なのにそれが、頭から出てこないのだ。
「あの、さとり様」
「お燐?」
盆を胸に抱いて、お燐はぎゅっと口を噤む。
言葉では発さずに、ただ目で、態度で、心で、私に思いを伝えようとしていた。
「――――」――さとり様が苦しむ所は、あたい、見たくないです。
「お燐……」
目の端に涙を溜めて、それでもなお強くことばを繰り返す。
私は自分がどんな状態だったのかも、理解していなかった。
「雨に濡れて帰ってきて」――全然、話も聞こえていないみたいで。
「執務室に閉じこもって」――声をかけても、一心不乱で、届かなくて。
「急に水が飲みたいって」――でも、水を飲んでも、あたいでは癒せているように見えなくて。
ああ、心が聞こえる。
信頼する、愛する家族の言葉が、強く伝わってくる。
「さとり様……あたいでは、さとり様の力にはなれませんか?」
家族を心配させて、なにを悩む。
大切な人を心配させて、誰を心配できる。
「心が読めているというのに、こんなにも私の視野は狭かったのね」
こいしと、向き合えばいい。
こうしてお燐が、心の全てで伝えてくれたように、私もそうすればいい。
ああ、そうだ、私は怖かったんだ。
新しく生まれ変わったこいしが、笑えていた。
そのこいしを否定して、こいしが今度こそ壊れていなくなってしまうことが。
こいしを拒絶してしまうかも知れなくて、それがどうしようもなく――怖かった。
「ふふ、莫迦みたい。……私はただ、真実から目を逸らしていたに過ぎないのね」
力が沸いてくる。
心が読めない相手だった。
それがたまたま、大切な家族だった。
だったら、心を読む以外の手段で、向き合えばいい。
目を見て。
口に出し。
心を震わせ。
全部が全部伝えてみせればいい。
「ありがとう、お燐」
「え?」
「解決しそう、よ」
「本当ですか!?」
「ええ」
微笑んでみせると、お燐は飛び上がって喜んでくれた。
彼女もろくに眠れなかったのか、よくよくみると元気がない。
そんな単純なことも、解ってあげられなかったなんて。
「本当にありがとう、今日は、もう休んでいて」
「あー、はいっ!ちょっと寝てきますー」
やはり疲れていたのだろう。
お燐は猫になると、そのままソファーで丸くなった。
私はその上にタオルケットを乗せると、その場を立ち去る。
さて、まずは――こいし捜しだ。
――Ⅲ――
卵の中に居るモノは、なにを考えているのだろう。
早く生まれたい?
早くこの時間を終えたい?
ただ、眠っているだけ?
きっとそれは、どれも違う。
卵の中にいるモノは、考えることを拒んでいる。
殻を飛び出した自分の姿が、醜悪なモノであるかも知れない。
そんな未来は考えたくないからだ。
けれどもし、その殻を破らずに覗く者が現れたら?
それはきっと、卵が最も恐れる相手。
だから全力で排除しようと考える。
卵は同じ卵たちで集まって、孤独になりたいのだから。
あなたの揺らぎはわたしの揺らぎ。
隙を見せるはずがないあなたが見せた隙は、私のモノだったんだろうね。
わたし/私/だから、必要以上に感じ取ってしまった。
でもね、護ってくれるのは嬉しい。
だって、そう望んだのは他ならぬわたし/私/だから。
けれど、やっぱり逃げてばかりじゃ……ダメだから。
「これがわたしと/私/の原初。忘れているのなら、思い出して」
想起される。
わたしと/私/の、始まりと終わり。
全部が全部の始発の終着点。
「いっしょに思い出そう?思い出して、今度こそ――」
光が満ちる。
緑色の光り、ピンクの光、ああ、もう、わからない光。
幾重にも、幾重にも、久遠に繋がり広がる熱帯。
熱いね/熱い/そう。
気持ち良いの?/あは/笑えるのって、いいな。
さ、行こう?/うん/うん。
遡り。
遡り。
遡り。
思い出す。
わたしの半生は、波乱に満ちていた。
人は心の内側をさらけ出されることを恐れる。
けれど誰しもが、自分以外の他人の心を読みたいと、少なからず思っている。
難しい試験。
読めない商談。
敵国の宰相の頭。
全部が全部、知っていたいもの。
決して諦められない、無形の欲望。
『いたぞ』
『捕まえろ』
『逃がすな』
『なんとしても』
『俺たち/私たち/が、誰よりも!』
黒い影が、群れを成して襲ってくる。
何度も何度も何度も絡みつく、黒い泥。
手の形をとって絡みつき、口の形をとって噛みつき、目の形を取って見つける。
そんな昏闇のような世界で、わたしは姉の手に引かれて、いつも逃げていた。
苦しかった。
だって、欲望がわたしを締め付けるから。
鎖のように、足枷のように、楔のように。
わたしの意思も叫びも痛みも涙も怒りも悲しみもッ――――全部が全部、鉄の処女に封じ込めようとする。
「いい、こいし。ぜったいに人間に近づいては駄目」
「うん……」
「今は解らなくても良い。わかるまで、私が護ってあげるから」
姉はいつもこうだった。
どうして、全ての人間と近づいては駄目なのか。
それがどうしても理解できなかった。
理解できなくて、わたしは――間違った答えに、手を出した。
「きっとお姉ちゃんは、私が傷つくのを恐れているんだ。心を読めることが知られて、罵倒されることが」
それは間違いではなかった。
けれど、正解でもなかった。
自分で理解せねばならないそれを知る前に、わたしは――持って生まれた才能に、頼った。
覚り妖怪の“目”は、絶対だ。
どんな手を使っても、抜け出せるものでは無い。
逆に、どうしたって読まないで居られることは、できない。
けれど私には、才能があった。
覚り妖怪なのに――僅かに目を閉じることが出来るという、特技が。
無意識に居られるようにする能力ではない。
ただ、閉じるだけ。それは自分を人間にするのと、ほとんど変わらない。
「ねぇあなた、一緒に遊ばない?」
そうしてわたしは、隠れ家の近くにいた少女に声をかけた。
池の畔で遊んでいた、黒い髪の少女。
わたしはその少女を傷つけないように、遊んだ。
山に木苺。
川に小魚。
木に葉桜。
風に季節。
幸福だった。
これまでに感じたことの無いほどに、幸せだった。
けれどある日、それは起こってしまった。
「こいし、瞳を閉じてどこへ行くの?」
「――ちょっと、お散歩」
厳しい声だった。
ずっと食料調達や、見張りなどをしていてくれていた姉。
その時のわたしは心が幼くて、そんなことにも気がつかなかった。
「どこ、と聞いたの」
「ともだちの、ところ」
「友達?……まさか、あなた!」
わたしの手を掴もうとした姉を、躱した。
それだけで鋭い瞳で私を見てきて、それが怖くて、いやだった。
「人間は危険だって、言ったでしょう?すぐに、逃げるわよ」
「……だ」
それは、精一杯の抵抗だった。
生まれた頃から、楽しいことなんてなにもなくて。
そんな中で、唯一見つけた楽しいことが、それだった。
友達と、遊ぶことだった。
「やだ!」
「え……こい、し?」
わたしは我慢することが出来なかった。
わたしと姉だけの世界が、我慢できなかった。
わたしは、選択したんだ。
「たった二人だけの世界なんて、わたしは耐えられない!」
わたしを大切にしてくれる、たったひとりの大切ではなくて。
「わたしは、わたしが選ぶ世界で生きたいんだ!」
呆然とする姉を置いて、走った。
得られるかも知れない、そんな大切。
可能性が低くても、諦めなければいいと思った。
だって、こんなに苦労してきたんだ。
走って。
走って。
転んで。
走って。
気がつけば、あの池の畔に来ていた。
あまりに混乱していたせいか、わたしは第三の目を開いてしまっていた。
けれど、大丈夫、あの子は、友達だから。
『こいしちゃん!』――やった。やっと。
――だからそんなものは幻想に過ぎないなんて、知りもしなかった。
――だってわたしの負ってきた苦労なんて、全て被ってくれていた姉に比べたら、些細なことで。
――そんな些細なことを、世界の苦労の全てだなんて、思い込んでいたから。
「え?なにが……」
『そこまでだ、妖怪!』――生け捕りだ、これで叶う!
数人の男たちが、僅かな時間でわたしを取り囲んでいた。
破戒僧だったのか、下卑た笑みを浮かべながらも、強い法力を携えていて。
恐ろしくて、強くて、穢れた人間たちだった。
「え、だって、――ちゃん?」
法力に追い立てられて、それでもまだ信じていたくて。
それでもわたしが初めて自分の手で掴み取った世界は――。
『……』――早く退治されないかな?あんな妖怪、ずっと気持ちが悪いって思ってたんだ。
――なによりも、残酷だった。
侮蔑に満ちた表情。
あんなに楽しそうな笑顔の下で、信頼しきったわたしに、ずっとそんなことを考えていた。
読まなかったから。
読まなかったから。
読もうとさえ、しなかったから。
覚り妖怪の本分を果たさないわたしに、世界は牙を剥いた。
「あ」
なにかが、壊れるのを感じた。
辛い世界で生きてきたはずなのに、わたしの心はたったそれだけのことで砕け散った。
目の前の人間達が憎いとか、そんなものは全部、意識から弾きたかった。
「いらない、要らない、イラナイ!!」
こんなものがあるから。
だから、わたしは、苦しんだ。
だからわたしは目を閉じた。
覚り妖怪の証である目を、生まれ持った能力で、完璧に閉ざした。
それはわたしが、覚り妖怪でなくなるなんて――その程度で終わるはずのない行為だなんて、思いもしなかった。
「こいしから、離れなさい!」
『もう一匹!?』
姉の放つ光が、人間達の頭に当たる。
たったそれだけのことで、彼らは涙を流して蹲った。
催眠にほとんど時間をかげず、全てを行う“覚り”の天才。
その力を前に、立てるモノなんかいなかった。
「あ、ハハはハ、ねぇ、お姉ちゃん」
「こいし……大丈夫、大丈夫だから、あなたのともだちは殺さないから、逃げましょう?」
わたしの心が、読めない。
そのことに、姉は、血が滲むほどに唇を噛んだ。
それから、わたしの想いから少し外れたことを言って、その場から走り去った。
言いたかった。
ごめんね、ありがとう。
それだけを、伝えたかった。
けれど、覚り妖怪としての器官を閉じた私に残るのは、意識の内側を守護する存在だった。
意識から外れた無意識は、わたしが器官を閉じたことで表層に出て来た。
わかった?
これが、あなたが忘れていた、あなたの真実。
あなたはわたしを護る存在で、それでも確かにわたし/私/なの。
わたしはお姉ちゃん、とそう呼ぶ資格をあなたにあげた。
わたしには、その資格がないから。
だからあなたは、姉をお姉ちゃんと呼んでいる。
でもあなたは、まだわたしを護る気でいる。
矛盾している?
うん、わかってる。
でもさ、わたしは/私/だから、だから幸福を願っているの。
わたしを護ろうとしなくて良い。
私のおかげで、/わたし/は自分を護れるようになったから。
わたしはまだ、出てこられたりはしないだろうけれど、でも。
あなたはあなたの幸せを掴んで、こいし。
――3――
こいしに会いたい。
こいしに会って、話がしたい。
地底の縦穴。
地獄の旧都。
灼熱地獄跡。
地霊殿中庭。
走って、走って、転んで、走って。
辿り漬いた先は、地霊殿のテラスだった。
地獄の土色の天蓋を覆い尽くす、偽りの雨雲。
その下で、こいしは両手を広げていた。
もう、恐れて逃げたりはしない。
もう、彼女の幸福を逃したりはしない。
もう、こいしに後悔させたりなんか、しない。
「こんなところに居たのね、こいし」
「ぁ……お姉ちゃん?」
振り向いたこいしは、顔の左右で別々の表情を浮かべていた。
朗らかな花のような、右側の顔。
如何なる感情も込められていない、左側の顔。
それは見ている私に合わせて姿を変えでもしているのか、歪んだり戻ったりと忙しない。
見る者の心理によってその姿を変える、ロールシャッハテストのようだった。
「ねぇ、こいし」
「なぁに?お姉ちゃん」
こいしに近づいて、彼女の手を掴む。
するとこいしは、僅かに驚いて、首を傾げた。
「あなたの“本当”を、私に教えて」
「私はいつも本当だよ?本当だから、ホントウなんだもの」
それだけ言って、こいしはまた、私から離れようとする。
無意識を操る力で、私の意識から外れようとしているのだろう。
でも、それは許さない。私はこいしを、掴んでいるのだから。
無意識で逃げる?
意識から外れる?
だったら、彼女を思う力で――――無意識を、意識で凌駕すればいい!
「あ、あれ?」
「私は、こいしのことが大切なの」
「え?あれ?」
戸惑うこいしに、畳みかける。
ほんの僅かでも、抜け出させる気なんてない。
ただただ、掴んで離さない。
「ずっと一緒に過ごしてきて、ずっとあなたを大切に思っていたの」
「お姉ちゃん?」
戸惑い。
「いた、じゃなくて、いる、ね。ごめんなさい」
「あ、そうじゃなくて、その」
戸惑い。
それから、不安。
こいしの心を、掴む。
もう、離さないように。
「たとえこいしがどんな人格だろうと、私はこいしが大好きよ」
「ぁ」
目を、覗き込む。
こいしの手を掴んでいた、私の手。
左手だけを外して、ふと、虚空を掴んだ。
私の意識が、訴えかけるのだ。
ここにも――こいしが、いるって。
『あ、うそ』
誰かの声が聞こえた。
大切なひとの声が聞こえた。
そう思ったときには――世界が、重なっていた。
私の両目が映すのは、左右両方で呆然としたこいし。
全てを凌駕した私の第三の目が映すのは――ここではない、どこかの風景だった。
入り口が鎖で固定された鳥籠。
ひたすらまっさらでなにもない空間。
なのに地面には、ペンキで青空が塗りたくられていた。
第三の目。
その先にいるのは、二人のこいし。
笑顔を絶やさない右のこいしと、諦念の表情を浮かべた左のこいし。
彼女たちが、私が目を逸らし続けてきたこいし。
なら私は、今度こそその瞳を覗き込もう。
もう、間違えないように――。
――Ⅳ――
猫は寂しがり屋だ。
寂しがり屋で、我が儘だ。
自由であることを望みながら、人の温もりを求める。
人の温もりを求めながら、自由奔放であることを求める。
その二つが同居していることを嫌がりながらも、猫はその二つを手放さない。
それは、その二つを切り離したら、猫は自分が猫じゃなくなることを知っているからだ。
ねぇ、私/わたし/。
あなたはずっとわたし/私/の声から意識を逸らし続けてきた。
けれど、今はどう?
わたしたちが忘れることの叶わないひとを前に、目を逸らし続けていられる?
これが最後のチャンスよ。
わたし/私/!気張って。
それからあのひとに、砕かれなさい!
――4――
左右僅かに違いながら、呆然とした表情で佇むこいしを、抱き締める。
すると、第三の目で見る世界でも、私はこいしを抱き締めていた。
「もう、離したりなんかしない」
「お姉ちゃん」――『だめ、だよ』
戸惑いが、悲しみが、喜びが。
全部が全部溢れ出て、私の心を埋め尽くす。
埋め尽くして、溢れようとする想いを、捉える。
無意識のこいしは、ただ形のない幸福を求めている。
ただそこにいるだけで得られる幸福を、望んでいる。
意識のこいしは、掴み取れる幸福を求めている。
手を伸ばして掴めば、何時でも自分に引き寄せられる幸福を。
「もっと、我が儘になりなさい」
「私は我が儘だよ」――『わたしは、なにもかも貰ってる』
そうじゃない。
あなたが欲しいと言ったのは、ただの一度切り。
壊れてしまう前の、ほんの僅かに前の一瞬。
「『だから、もういいの。わたし/私/は……』」
「どうして、どちらかしか幸福が掴めないの?」
「『え?』」
かき抱くように、抱き締める。
こぼれ落ちた熱は、私の涙。
涙が雨水と混ざり、こいしの左側から流れる涙と溶け合った。
「私には、あなたがそういっているように聞こえるわ」
「『だって、それは』」
重なる声。
連なる音。
思いと想い。
「こいしだったこいしも、こいしを護るこいしも」
抱き締める力を、強くする。
「どちらかが違うなんて事はない。どちらも、変わることなんか在るはずがない」
心だけでは足りない。
言葉だけでも足りない。
「『わたし/私/は、お姉ちゃんと居て、いいの?幸せになって、いいの?』」
だから全部を使って、想いを、届ける!
「当たり前でしょう?あなたたちは、大切な大切な、私の妹の――“こいし”なのだから」
鳥籠に、罅が入る。
世界が砕け散り、外の世界へ弾かれて、こいしが私を抱き返した。
左右とも揃った、泣き顔で。
「ごめん、なさい、ごめんなさい!ごめんなさい、お姉ちゃん!」
「いいの。いいから、だから――――おかえり、こいし」
「うん、うんっ、うんっ!ただいま、お姉ちゃんっ!!……ありがとうっ」
雨に煙る、地霊殿のテラス。
その中で、私たちはただ声を掛け合う。
何十年も前の別れ、その結末を取り戻す為に。
私たちはただただ、互いの名前を呼び続けた――。
――5――
スペルカードルール。
私/わたし/はそれの導入によって、変化が舞い込むことを恐れた。
停滞していると信じ続けてきたから、己を保てていたのに、と。
けれどそれによって生まれた無意識の隙は、新しいルールではなく一番近い人によって切り拓かれた。
あれから少し経ってから起こった異変。
それによって、わたし/私/の交友範囲はぐっと広がった。
友達と呼べるか微妙だけれど、巫女や魔法使いと親交を持てた。
わたしの悩みなんか霞んで無くなってしまうほどに鮮烈で。
私の無意識なんか吹き飛んでしまうほどに強烈だった。
「お姉ちゃん、地上に行ってきます!」
「あんまり頻繁に行って、怒られないようにね?」
「“私”がお姉ちゃんも一緒に!って。わたしも賛成だけど」
「えっ」
わたし/私/はこれから、変わっていく。
今は未だ姉の前でしか、わたしの姿を見せられないけれど。
けれどいつか、変わっていく事だろう。
「ほら、早く!お燐とお空は先に行ってるよ!」
「ええっ!?……いないと思ったら、そう」
何があっても変わることのない――――たったひとつの“ほんとう”を、見つけたのだから。
「ほら、お姉ちゃん!」
「はぁ、もう――――しょうがないわね」
――だから、きっと大丈夫だよ。
――了――
はたまたさとりこいしで精神合体説、なんぞという妄想を繰り広げながら拝読していました。
ラストで妄想は妄想だと判明し、めでたしめでたし。やったね古明地! などと思いながら後書きへ。
ウォイ! なにこれナンナノコレ、つーかなにがなんだかわからないのこれ!
まっこと覚り妖怪の精神ははかりしれないものでごわす。
わかるのは俺がこの作品を好きだってこと位だ。
ただ話が若干走りすぎなように感じるのと、コチドリさんが指摘されてるように誤字、表現の不自然さが目について読みづらいかも。勿体無いです
高速道路をかっ飛ばすようなものじゃなくて、こう、
見ず知らずの住宅街を縫って、ようやく活路を見出すような。
とくにこだわっている訳ではないのですが、同時進行で練っている長編にもう少し時間を掛けてみます。
ご意見、ありがとうございます。コメント返しはまだかかってしまいそうですが、後ほど。
あとがきから察するに、こいしは三重人格なのかな?
たしかにあなたの練りに練った長編は見て見たいものだ