Coolier - 新生・東方創想話

薄れゆく記憶とあの人の笑顔

2011/07/14 07:28:13
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 なんだ、花見なんていいながら結局いつもの飲み会と変わらないじゃないか。
 杯片手に周囲の状況を眺め、早苗は苦笑いしながら思った。
 
 数日前に魔理沙があちこちに宣伝して回った博麗神社でのお花見は毎年のことながら大盛況だった。
 満月に淡く照らし出された枝垂桜の下、こちらでは魔女たちがえらく真剣な顔でメイドのミニスカートのめくれない原理について小難しく議論し、あちらではほろ酔い上機嫌の毘沙門天代理と里の守護者がにやにやしながら半人前の庭師の恋路を冷やかしている。
 花びらのひとひら揺れる杯を愛おしそうに眺める一角鬼が一人静かに飲んでいるのは、彼女の元に転がる酒瓶の山と潰されて転がる天狗・河童が人を寄せ付けないせい。
 目元をほんのり朱に染めた紅の姉妹は瀟洒な従者を魅了してやまず、そのおぼつかなくなった手元を門番が苦笑いしながら助けている。

 普段どおりの宴の雰囲気に心地よく浸る。
 早苗はこの空気が好きだった。
 様々な種族・派閥のものたちが、昨日の小競り合いも弾幕ごっこの勝ち負けも、強いも弱いも妖も人も気にすることなく、皆がこの楽しさを謳歌している。
 全てを受け入れる残酷な理想郷の、少なくともここは掛け値なしにすばらしいと思える部分だった。
 
 ここへ来たばかりの時はよさのわからなかったアルコールも、最近では楽しく飲めるようになってきた。
 紅白の巫女に言わせればまだまだ自分は人と場の雰囲気に酔っているに過ぎないらしいが、早苗にとってみればこれで十分。
 火照ったからだがこんなにも気持ちよくて、交わす言葉の一つ一つがこんなにも楽しくて、そして何よりここにいる皆がこんなにも愛おしいのだから。


 ふと、普段とは少し違った情景が目に留まる。
 今早苗がいるのが宴会の為に敷かれたござの端、その反対端の更に向こう、ござのしかれていない木の根元に独り座って杯を傾けるうさぎが一羽。
 人目のつかない暗い所、空を仰いでぼんやりしている萎れ耳の寂しくゆれるのが妙に気になった。

 特別騒がしくはないが、愛想のよさと真面目さで皆から愛されている印象のある彼女は、普段なら宴の中心で騒ぎに巻き込まれているか、そうでなくとも誰かと談笑しているはずの人物だ。
 その月兎がこうしてわざわざ喧騒を離れているのはきっと意図してのこと。
 誰かと楽しく飲むような気分ではないのだろう。
 しかしさらさらと揺れる紫髪の横顔は、誰かに話しかけて欲しげにも見える。


 ……。
 一瞬の逡巡の後、早苗は立ち上がった。
 履物をつっかけてあまり目立たないようござを回り込みつつ鈴仙の元へむかう。
 外の世界なら空気を読めだのなんだのと言われるかも知れない。
 独りの鈴仙に皆気づいてあえて触れないでいるだけなのかもしれない。
 一人でいたい鈴仙にとってはただの邪魔になるかもしれない。
 それでも早苗は今にも泣き出しそうな顔で天を仰ぐ鈴仙を放っておきたくはなかった。

 こちらの世界に来てたくさんの強い者と出会った。
 妖怪にも人間にも、何度も負けた。
 周囲の期待に怯えて現人神を演じ続けていた自分にはない奔放な強さに心底打ちのめされ、そして憧れた。
 ここに来る前の自分の浮き草然とした生き方を恥じ、それを変えようと、彼女らのように強く美しく生きようと思った。
 先日紅白の巫女に笑いながら言われた「あんたも大分染まってきたわね」という言葉、真意はともかく素直に嬉しかった。
 そうだ、周りの目ばかり気にして怯える現人神はもういない。
 ここにいるのは己の意思で行動する1個の人間、東風谷早苗だ。
 守る意義なき空気なぞ、私が叩き壊してやる。


 鈴仙の細い肩を前にするとやっぱり気が引ける気がして、決意がしぼんでしまう前に早苗は声をかけた。

「あの、ご一緒してもよろしいですか? 」

 普段どおりの声を出せたのは自分が強くなれたからか、それとも偏に酒のせいか。
 鈴仙は拒絶するでも歓迎するでもなく、あいまいな微笑み方をした。

「ああ、あなたね。どうぞ 」

 そう言えば、個人的に話をするのは初めてかもしれない。
 ここに至ってそんなことに気づいたが、それが大した障害になるわけでもない。
 適当な話題を振っておく。

「桜、きれいですね。あんまり見てる人もいませんけど」

「そうね。みんな楽しそうで何よりだわ 」
 
 口調に棘のあるわけではない。
 しかしほのかに上気した頬に浮かぶ表情は明るくない。
 上の空な様子の鈴仙の視線の先を追ってみて、先程から彼女がどうして夜空ばかりを見上げているのかわかった。

「お月様もきれいですね。私、月明かりで見る夜桜がこんなに綺麗だったなんて初めて知りました 」

「そうね、きれい。……ねえ、確かあなた外の世界から来たのよね 」

 月を眺めてばかりいた寂しげな紅い瞳が自分を見つめているのに気づいて、何故か気持ちが焦るのを感じた。

「え、ええ。外ではそうそう明かりの全くない場所ってありませんから、私月明かりがこんなに明るいものなんだって知りませんでした 」

「そう……」

 静かな口調でそれだけ言うと、感傷的な視線はまた月へと戻った。
 やはりわざわざ独りでいるところに押しかけたのは失敗だったかと思い始めた頃、この日初めて鈴仙の方から口火を切った。

「……ねえ、あなたは元いた場所に帰りたいって思うことはある? 」

 遠くを見つめ続ける思いつめた横顔を見て、なぜ鈴仙が望月を見上げてはため息ばかりついているのか、やっと合点がいった。
 うーん。
 やっぱり、声かけたのは失敗だった……?





 昨夜、夢を見た。
 月にいた頃の夢だった。
 豊姫様や同僚の玉兎に囲まれて、私は笑っていた。
 隣にいたのは月で最も親しかった兎。
 やさしい女性(ひと)だった。
 臆病者の私のことを妹のように気にかけてくれていた。
 戦争が、殺し合いをするのが嫌だという私が逃げ出す時にこっそり手を貸してくれた。

 名前は憶えている。
 確か――×××××。
 とても親しかった。
 本当に大切な人。
 なのに、彼女の顔を私は思い出せない。
 思い出せずぼやけたその顔を私は直視出来ない。
 あの人が私の名をやさしく呼ぶ。
 私は――



 夢から覚めた時はまだ西の空にほんの少しだけ足りない月が佇んでいた。
 私は捨ててきた故郷を見上げ、一人声も立てずに泣いた。
 レイセン、レイセン、と私を呼ぶその声が耳に残って離れない。
 慈しみのこもったやさしい声が私を責めるはずはないけれど。
 
 忘れるのが怖かった。
 去り際に、もう会えないからと目に涙をためて見つめた親友の顔がもうわからない。
 堪えきれずにこぼれてしまった私の涙を拭ってくれたあの人が、どんな顔をしていたのか思い出せない。
 いつか私を呼ぶこの声も、月からの通信の雑音の中に埋もれてゆく。

 忘れたくない。
 忘れたくない。
 二度と戻れないのはわかっていた。
 もう会えないのも覚悟していた。
 私にはもう、覚えていることぐらいしかできないのに……
 いつか忘れてしまうのならせめて、もう一度だけ……


 日が昇る頃にはそんな郷愁も落ち着いて、いつも通りの生活に戻った。
 いつも通り師匠の下で仕事をして、いつも通りてゐのいたずらを叱り、姫様のお散歩にお供した。
 日の照らす間は昨夜のことをうまく忘れて永遠亭のうどんげに戻れた気でいた。

 それでも、夜になって月を見たら再び気持ちがぶり返した。
 アルコールのせいでもあるかもしれない。
 変に感傷的な気分で皆と騒げるはずも無い。
 邪魔にならないよう、隅で一人手酌をしながら月を眺めた。
 いや違う。
 見たくて見ていたわけじゃない。
 耳の奥に響く声に吸い寄せられるように、視線が満月に縫い付けられている。
 淡い光を降らす自分の故郷から、どうしても目が離せない。
 ……帰りたいのか?
 
 忘れたくない。
 どうやっても忘れてしまうならせめて、もう一度だけ会いたい……
 二度とあの場所には帰れないと、知っているけれど。



 離れたところで一人で飲んでいたのは、声をかけられたくなかったから。
 でも本当に一人で居たければ適当な理由をつけて帰ればよかった。
 本当は誰かに話したかったのかもしれない。
 慰めも励ましもせずに、ただ聞いてもらいたかったのかもしれない。
 少なくとも不意に掛けられた声に抱いた感情は、邪魔された不快感だけではなかった。

「あの、ご一緒してもよろしいですか?」

 確か山の神社の巫女だったか。
 仕事以外ではあまり話したことは無い。
 別に大して親しくもないのに、なぜこのタイミングで話しかけてくるのがこの人間なんだろう。
 とてもじゃないがこんなもやもやした気持ちを話せるような相手じゃない。
 人当たりの良さそうな笑顔が、今は能天気にしか見えない。
 胸のそこにふつふつと沸き始めた苛立ちを悟られないよう、適当に話を合わせた。


 ああ、でもこの人間は確か……
 ふと頭の片隅に湧いた記憶が、考える前に口から言葉になって出ていた。

「……ねえ、あなた外の世界から来たのよね」

 私は何をしているんだろう。
 この子にこんな話をしても仕方ないのに。

「……ねぇ、あなたは元いた場所に帰りたいって思うことはある?」

 顔見知り程度の相手にこんなこと聞いて何になる。
 きっとこの子も困ってる。
 駄目だ、さっさと気持ちを切り替えて、せっかく話しかけてくれたこの子と普通の話をしなきゃ。

「あ、ごめんね? 何でもないから今のは忘れて――」

「ありません」

 その一言は思わず私の視線を月から剥がした。
 この日初めて正面から見たその少女は、芯のある光を瞳に灯してこちらをしっかりと見据えていた。




 鈴仙は問いかけるなりまた月を見つめて黙り込んでしまった。
 困ったな。
 悲壮感に満ちた鈴仙の横顔を眺めながら胸中でつぶやく。
 元いた場所、か……。
 月ほど遠くはないけれど、もう戻ることのない故郷。
 自分が生まれて育った小さな町での思い出を、早苗は少しだけ思い出す。
 風祝としてでなく、一人の少女としての思い出。

 ひどく断片的な記憶が、頭の中のスクリーンに映し出されては一瞬で消えてゆく。
 小学校、友達が出来ず毎日本を読んで過ごしたある日、都会から転校してきた派手な女の子がやさしく手を引いてくれた。
 中学校、親友と一緒に入った部活動、何度も退部したいと思ったのに、引退の日にはみんなと一緒になって大泣きしていた。
 高校で初めて出来た好きな人、二人でした文化祭の実行委員、結局思いは伝えられなかった。
 遠くへ行くからもう会えなくなると親友に告げた日、二人で抱き合い泣きながら変わらぬ友情を誓い合った。
 高校生活最後の日、片思いの人に告げられた想いに、止まらない涙を流しながらただただ謝り続けた。
 旅立つその夜に父母と流した静かな涙、最後に泣き笑いで交わした「おやすみ」の挨拶……。
 
 決していい出来事だけではない。
 当たり前だ。
 それでも断言できる。
 自分は幸せな日々を送っていた。

 一瞬で胸中を駆け抜けた幸福な過去を思い、自問する。
 帰りたい?
 こんなところ、来なければよかった?
 ……そんなの、考えるまでもない。

 
「ありません」

 鈴仙と目を合わせている影響か。
 鈴仙の周りに父が、母が、親友が、好きだった人達が月明かりの下で楽しそうに笑っている。
 大好きなやさしい笑顔でこちらの名前を呼ぶ。
 それでも、早苗は揺るがない。

「もちろん、二度と会えない親友が恋しくて涙を流す日もあります。外の世界に残してきた人のこと、忘れた日はありません。会えることならもう一度会いたい。でも、それでも――」

 鈴仙の紅い瞳の更に向こう、亡霊姫とおいしそうにお酒を飲んでいる赤い巫女、満面の笑みでメイドのスカートをめくろうとする白黒魔法使い、それを察知し魔法使いをナイフで小突く呆れ顔のメイド、彼女らの心底楽しそうな顔が見える。

「私は自分の選択を後悔した日はありません。この幻想郷で、外の世界では決して会えなかった人達と出会えました。それは私の人生を変えてくれるほどの出会い。この幻想郷のみんなと会って、私はなりたい自分を見つけることが出来ました」

 そして敬愛する二柱がいる。
 軍神は馬鹿でかい杯をもって大笑いしながら鬼と飲み比べをしている。
 祟り神はさとり妖怪やねずみのダウザーと何かたくらんでいる顔で談笑している。
 お二人のこんなに生き生きとした顔、外の世界では見たことない。

「私は身勝手に色々なものを投げ出したひどい女です。ずっと一緒にいようっていう親友との約束も破って、幸せになれる筈だった男の子の大切な想いまで無下にして、両親には成長した娘の姿も孫の顔も見せることが出来なくて……。本当に、自分勝手……。私が流した以上の涙を、きっと残してきた人達は流しているんだって思うと胸が苦しくなります。それでも――ううん、だからこそ私は絶対に後悔だけはしないんです。私が帰りたいなんて考えたら、私のわがままな願いを聞き届けてくれた人達の決意と涙を無駄にしてしまうじゃないですか。大切な人達が涙を呑んで許してくれたわがままなんだから、どこまでも貫いてやるんです、意地でもね 」

 こちらを見つめる鈴仙の瞳からは表情が読めない。
 相手の求めているような答えを返せたのかどうか正直自信がなかったが、かまわない。
 鈴仙がゆっくりと口を開く。

「私も、同じ決意をしてここへ来たはずなのに……今は、忘れることが恐ろしい。あなたは、会えないことで忘れてしまうのが怖くないの?」

 ささやくような鈴仙の声はか細くて、泣いているのかと思えるくらい震えていた。
 
「……実は私も片想いの相手だったあの人の顔とか名前とか、最近思い出せないんですよね」

 えへへ、とごまかすように笑う。
 ふるえる瞳でこちらを見つめる鈴仙のことを、早苗もやさしく見つめる。

「大切な人の記憶が薄れないよう精一杯努力はしますけど、私はドジでバカだからいつか全部忘れてしまうかもしれない。でも、大丈夫。大切な人達、あの人達がいたから今の私があるんです。彼らに助けられ、笑いあい、共に涙を流す中で、今の私'らしさ'が形作られた。たとえ何もかも忘れてしまっても、一緒に過ごした時間は私の中に生き続けます。私が、私らしくある限り 」

 そう、あの人の優しい笑顔を見て、自分も笑顔で人を元気にしてあげられる人になりたいと思った。
 あの人の笑顔に元気をもらったから、だから今も目の前の泣きそうな兎に微笑んでいる。
 たとえ好きになったあの人の笑顔を思い出せなくても、いつか見たその笑顔が私のことを突き動かす。


 鈴仙の紅い瞳が大きく揺れて、たまっていた涙があふれた。
 早苗はあの人のようにやさしい笑顔で手を伸ばした。






 どうしてだろう。
 どうしてこの人間はこんなにも強いのだろう。
 私にとって怖くて仕方ないことを、どうしてこんなに穏やかな顔で話せるのだろう。

 自分を見つめるやさしい笑顔を見ていたら、堪えていた涙がこぼれ出した。
 人前――しかもこんなに知った顔が集まっている場で、絶対に涙など見せるものかと思っていたのに、あふれ出したら止まらなかった。
 どうしてこんなに涙が流れ出てくるのだろう。
 皆が見てるかもしれない。
 早く止めないと。
 揺れる視界の中で、青い巫女が私に手を伸ばすのが見える。
 
「鈴仙さんは、多分真面目すぎるんですね。いいんですよ、もっと気楽に考えて。たとえ一度忘れてしまっても、ちょっとした拍子に思い出して『こんなこともあったな』って思えればいじゃないですか 」

 巫女が私の涙を優しく拭う。
 早く止めたいのに、どうしても涙があふれてくる。
 揺れる視界の中で微笑む巫女を見ていると、ごちゃごちゃに混ざったなんだかよくわからない感情があふれてくる。

 そうだ、確かあの時も。
 あの人はこうして優しく笑ってた……。
 思い出せる。
 忘れてしまっても、きっと思い出せる。
 共に過ごした時間は、私の中に確かに残っているのだから。




 山の巫女は私が落ち着くまで涙を拭ってくれていた。
 その間ずっとやさしく微笑んで。
 頬に残った最後の涙を自分で拭いながら、私も微笑んでみた。
 満面の笑顔とまでは行かなくても、感謝を伝えられるくらいには笑うことが出来た。

 この人と話せてよかった。
 きっとこれからも私は苦悩するのだろうけど、少しだけ楽になれた気がする。
 ほとんど面識はないようなものだったから実は名前すら知らないのだけど、これを機会に仲良くなれるといい。 

「あの、話聞いてくれて本当にありがとう。私――」

 ――ばさぁっ
 布のはためく音が私の謝辞を遮る。
 事態は一瞬で把握できた。
 満面の笑みをたたえた魔理沙が後ろから忍び寄って、山の巫女のスカートを思いっきりめくっていた。

「うん。やはり物理的にめくれないのはメイドのスカートに限られた話か 」

 既に相当酔っ払って上機嫌そうな白黒魔法使いが顎に手を当てて、満足そうにわけのわからない考察をぶっている。
 
「ちょっ、魔理沙さん! なにするんですか! 私達今真面目なお話をですね――」

「よぉ、うどんげ。どうしたんだ? 目赤いぜ、いつも通りだな 」

「無視しないでください! 」

「ん? まあなんだ、魔学の進歩に犠牲はつき物だ。だからその身を学問の発展に捧げられたこと、誇りに思っていいぜ、早苗 」

 スカートを両手で押さえつつ顔を真っ赤にして涙目で騒ぐ巫女と、やたらいい顔で親指なんぞを立てている酔っ払った顔の赤い魔理沙。
 そうか、この巫女の名前は早苗っていうのか。
 正面からでも一瞬見えた下着はブルーのストライプ……。
 うん、早苗とは仲良くなれそうだ。
 二人の馬鹿なやり取りを見て、私も思わず笑みがこぼれた。
 きっとそれは心底楽しそうな、満面の笑みだったと思う。

 
 そうだな、もう少し気楽に生きてみようか。
 ちょっとくらい忘れてしまっても、きっとまたすぐ思い出せる。
 そんなこと気にするよりいつも笑ってないと、月にいるあの人もきっと心配してしまう。
 そんな決意と共に、今は私に背を向けて魔理沙にお説教をし始めた早苗のスカートに、私も手を伸ばしてみた。
――ばさぁっ


大多数の方はじめまして。
それ以外の方再びお会いできて嬉しい限りです。

早苗さんは強い子であると信じてます。
鈴仙も早苗も本当は後悔がないわけではないだろうけど、今を強く楽しく生きて欲しいです。
そして私はいつか鈴仙さんの泣かないで済む話を書きたいです。
読了ありがとうございました。
ご意見・ご批評・ご感想・ご指摘などなどお待ちしております。
うさぎつね
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コメント



0.1310簡易評価
6.90コチドリ削除
>たとえ一度忘れてしまっても、ちょっとした拍子に思い出して『こんなこともあったな』って思えればいじゃないですか

まさしく。早苗さんは良いこと言った、良いこと言ったよコレ!
思い出は消えない、どっかで沈殿している。かき混ぜりゃ表面に浮いてくるよ、たとえ断片でもさ。
そう考えて生きてる方が精神衛生上大変宜しいと自分も思うわけです。

激しく同意な作者様の物語なのですが、一つだけ譲れないポイントが。

〝――ばさぁっ〟で拝める早苗さんの絶景はブルーのボーダーであるべきでしょ、常識的に考えて。
7.無評価コチドリ削除
二つほど

>私にはもう、覚えていることぐらいしかでいないのに…… →できないのに……?
>アルコールのせいだもあるかもしれない →アルコールのせいでも?
8.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
9.90名前が無い程度の能力削除
かっこいい早苗さんが見られてよかったです。
10.100奇声を発する程度の能力削除
相変わらず綺麗な雰囲気で良かったです
11.80名前が無い程度の能力削除
ブルーのソトライプか、素晴らしい。
16.100名前が無い程度の能力削除
だが、本当に忘れ去られてしまうのはどっちかな……?
26.100名前が無い程度の能力削除
これが幻想入りした少女の強さか。
30.無評価うさぎつね削除
読んでくださった皆様、評価くださった皆様、コメントくださった皆様ありがとうございます。
その一つ一つからとてつもない力をいただいております。

6.7.コチドリ様
ご指摘ありがとうございます。
とても助かります。
誤字修正いたしました。
ただ、ストライプについては調べたところ、
元々ボーダーとは「ボーダーストライプ」の略だそうで、
「ストライプ」自体は縦横斜め関係なく縞模様全般を指すそうです。
(現代では横がボーダー縦がストライプの使い分けが一般的だそうですが)
ですので、ご指摘くださったところ誠に申し訳ないのですが、
「ブルーのストライプ」という語感を大事にしたいのでこの箇所はこのままでご勘弁ください。

8.名前のない程度の能力様
ありがとうございます。
お口に合ったようで幸いです。

9.名前のない程度の能力様
ありがとうございます。
個人的には早苗さんは格好いい子だと思ってます。

10.奇声を発する程度の能力様
ありがとうございます。
空気感には気を使っているのでその点評価していただき幸いです。

11.名前がない程度の能力
ありがとうございます。
青の縞パンはジャスティス!

16.名前がない程度の能力様
そうですね。
多分彼女達もそれをわかっているからこそせめて自分だけでも忘れたくなかったのだと思います。

26.名前がない程度の能力様
書きたかった部分をずばり言い当ててくださってありがとうございます。
目的をもって幻想入りするにはやっぱり強さが必要だと思います。
35.70名前が無い程度の能力削除
しんみりしちゃいますね。早苗が強くて明るく、そんな彼女が見る幻想郷がとても素晴らしいもので良かった。
36.90名前が無い程度の能力削除
早苗は強い子。
鈴仙も、境遇はちょっと違えどきっと克服できる!