「藍。らーん、ちょっといいかしら」
良かろうが良くなかろうが構まいもしないくせに、八雲紫はいつもそうやって式神を呼びつける。割烹着姿で台所格闘を繰り広げている式神の都合などどこに吹く風。
「はい、少々お待ちください。いま……」
「あれはどこやったかしらね」
「紫様、いま火を使ってますので…」
「ねぇ、あれを片したのはあなただったわよね、藍?」
「で、ですからいま…」
「らーん、声は聞こえど姿は見えずなんてやってないで早くいらっしゃい」
「あーぅ」
とまぁ、このような具合である。
昼下がりの光は薄くたなびく雲を透かして降りてくる。幻想郷の際<きわ>、そのもっとも辺境にあるここに快晴の空などありはしない、とでも言うように空は晴れとも曇りとも言えない色をして古びた屋敷の上に広がっていた。
その家の中。どこかしら現代くささのある(なにせ冷蔵庫とかあるのだ)台所で屋敷の主につかえる式神とその式神の式神が右往左往している。
「ああ、仕方ない! 橙、ちょっと頼むぞ」
「はーい! ……って、藍さま、私これのやり方知らないっ」
「あ、そうか。えー…っとだな」
なんとか対処法をひねり出そうとしたところに、
「ら~ん」
主の声が飛び込んできた。心持ち楽しむようなトーンを帯びている。それは藍にとっては危険信号だった。主が楽しそうにするときは何かろくでもないことを考えていると決まっているからだ。
「火事にしなきゃ良い!」
とりもなおさず、それだけ言い置いて藍は主の方へと駆け走る。その見事な九尾を引っ張られるような不安をなんとかねじ切って、ようやくたどり着いたところは土蔵の前だった。開け放たれた扉の中からは、時折何かを探るような音が聞こえる。
「紫さ───」
中にいるであろう主に声をかけようとすると、
「来たわね」
「……どわぁ!」
後ろからの声に藍は思わず飛びのいた。焦っていたので心臓に悪い。振り返ってみれば一体なにをあわてているのかしら、という顔をして紫がこちらを窺っていた。やはり式神の都合などどこに吹く風。
「ゆ、紫様。なぜにわざわざ後ろに回るのですか!?」
「あら、ちゃんとあなたの前にいるじゃないの」
「それは私が振り返ったからではないですか」
「そうよ? だから回ったのはあなたということになるでしょう」
くるりと日傘が揺れる。その光と影の間で、八雲紫は満足げに微笑んでいた。なだらかなウェーブのかかった金髪を指先でいじりながら、まるで深窓の令嬢のように。そしてまた果てしない胡散臭さとともに。
「それで、ご用件は何でしょうか」
袖の中で拳を包む礼をしつつ、心の中でため息を押し隠しつつ、藍はそのように切り出した。帽子の中で耳が垂れてきているのを感じる。……ああ、このまま変な“寝癖”がついたらいやだなぁ。
そう思わずにはいられない藍である。
◇ ◆ ◇
実を言うと、もともと八雲邸に土蔵はなかった。それまでは家の中と離れのスペースで充分に足りていたのだが、このところ主がやたら物を増やすので業を煮やした式神の進言により設置されたのである。その陳情沙汰について語るなら枚挙の暇<いとま>が無い。そういういわくつきの土蔵である。
ちなみにこの土蔵。土蔵とはいうがそれはあくまで住人たちの認識であり、正しくは物置と言った方がいい。というか、物置そのものである。
高さ二メートル十四センチ、幅三メートル十八センチ、奥行二メートル十センチ、軽量合金を構造材に用いた幻想郷の“外”で使われている物置。持ち込んだのは当然紫で、必要性を作り出した張本人のくせして「喜びなさい藍。聞くところによればこれは象が乗っても壊れないそうよ」と言ったものだ。「なんでも良いですからあまり物を増やさないでください」と言い返したくとも返せない藍である。
さて、本気で何かを探そうと思ったらまずしなければならないのは片付けである。おおよそ物置のような閉鎖空間ならなおのことで、藍がまずやったのは中に入って見渡せるスペースを作ることだった。
「……この中には無いようですね」
外に運び出した道具の数々を前に藍が言った。最近暑くなってきたので汗が出る。無意識に額を伝う雫を払っていた。
ここに入れてある物は拾ったけれど使われなかったものか、用途が限定されてなおかつ場所を取る物ばかりだ。ひときわ大きいのは平面転写印刷装置で、面倒くさがり屋の紫にはもってこいと思われたのだが結局使用されることなくお蔵入りしたものである。
当時「呪符などを作るのに便利ではないでしょうか?」と言った藍に、紫は意味ありげに笑って「そんなにたくさんはいらないわ」と筆を走らせた。
「だったら墨も自分ですってください」
「それは間に合っているからいいのよ」
「どういうことです?」
首をかしげる式神に、あらゆる境界を操るすきま妖怪は金色の瞳を細め、
夢はうたかた 空の影
果てぬ幻 とこしえに……
連なる言の葉 結い合いて
木霊絶えず とほかみに……
詠うように言って、「それは無いからこそあるのよ」と微笑むだけだった。
そのときは、あまり手をかけすぎると強力すぎる符になってしまうからだろうと納得しておいたのものの、真意のほどはいまもわからない。
同じように使わない物を処分せず取っておく真意もわからないが、物事に頓着しないわりに、物への執着は意外と強いのかもと思う今日この頃の藍だった。
「どこにしまったのかしらね……」
日傘をたたんで空間の隙間に差し込み、紫は物置の中を覗き込んだ。もともとが放棄された物だったので異様に埃っぽい。
結局のところ、藍が片付けたと思っていたのは紫の思い違いだった。探し物は彼女自身がすきま越しに放り込んでいたようなのだ。
「気をつけてくださいね。大分がたが来ているみたいですから」
汚れをいとう気持ち半分、面倒くさがり半分といった風情で揺れているお尻に藍は注意した。注視しそうになったのだがなんとか注意にした。
「ん~、仕方ない」
やがて諦めがついたのか、紫は中に入って本格的にがさごそやりはじめる。どこかの誰かさんに似て適当なところはとことん適当な彼女らしく、時折どっけんがらがらと投げても壊れないようなものが転がり出てくる。その都度、錆が目立つ壁板がぎしぎし軋み、藍はやれやれと肩をすくめた。
……まぁ、紫様のことだから大丈夫だろう。
そう思った矢先。
「あ、これかしら」
という声が聞こえ、見つかりましたかと藍が尋ねようと扉に掛けた刹那───、
バキン
果てしなく不吉な音が響いた。
「あ」
と言う間もあればこそ、どっけんがらがらどころでは済まない勢いで質量の暴力が外から中へ───。
あれはきっと×字にかませておいた補強材が折れたのだ、という藍の思考さえ飲み込んで。きょとんとした妙に可愛らしい紫の顔、その残像さえも巻き込んで。内<なか>と“外<そと>”双方の道具が詰まった土蔵は崩壊した。
◇ ◆ ◇
「……紫様」
自分がこぼした呟きで我に返る。
視界はクリアだ。
巻き上がっていた土煙もおさまり、目の前にはがれきとガラクタの山がある。どうやら物置は完全に潰れてしまったらしい。紫の姿は見えない。
おそらく待っていれば後ろにでも現われるのだろう。そう思って藍はしばし待つ。一、二ぃ、と心の中で数え───
「ゆか──……」
振り向いた先にはしかし、誰もいない。
「いや、紫様のことだ。二度同じ手は使わないだろう」
時間差攻撃(ちょっと違う)なんていかにもやりそうなこと、藍はふたたびタイミングを計る。一、二ぃ、と心の中で数え───
「!」
飛び退くがしかし、足下は何事も無い。
「………は、ははは、紫様も相変わらず意地が悪い! 良いでしょう。でも一日二度はやらせませんよ」
不自然な笑いは動揺を誤魔化すため。藍は慌てず騒がず息を整え、“やがてくるはずの”ろくでもない登場に備える。そう、いつだってそうなのだ。紫様はかき回したり攪乱したり攪拌したり……全部同じか、とにかくそういうのが大好きな「それなりに困ったちゃん」なのだから。
そうなのだから、きっと……もうすぐ。三度<みたび>、藍は鼓動を数える。心なしか早くなっているのは気のせいだろう。そう思って、一、二ぃ───
振り仰いだその先、空には主の姿はなく。
「………………ぁ、」
藍は声にならない声を漏らしている自分に気付かない。
ゆっくり、落ちてくる。
あれを見間違えるはずもない。絶対に、間違えようがない。だってほんのり明るい曇り空から落ちてくるそれは、いつも紫が持っている淡い桃色の日傘なのだから。
「あ……、」
いまさらのように気づく。扉の破片が何かの冗談のように手の中に残っていた。業務上過失致死という言葉がよぎるのは何故だろう。
「紫様! ちょっ…何をふざけてらっしゃるんですかっ。聞こえていますよね? “そこ”にいらっしゃるんですよね?」
残骸を投げ捨てた手が宙を掻く。八雲を名乗るようになってから身につけた境界に干渉する術を用いて、本家本元と比べたら戯れにも等しいそれで。
「紫様、紫様、紫様、紫様、紫様、紫様っ……」
主の名を呼びながら見えない“すきま”探り続け、ついにはがれきの山につかみかかっていく。そこは式神の呪法によって鬼神を付与された妖狐の力、重い鉄板や道具と道具の残骸を難なく掻き分けていく。
されど求める手は宙を掠めるばかり、不意に目の前を白い影がよぎる。藍は空っぽの手の平をぶら下げて呆然とつぶやいた。
「紫さま……」
その言葉に答えるように日傘が舞い落ちる。震える手で捕まえて、割烹着姿の式神はその場に立ち尽くした。
「……紫さ、ま、ほんとに悪い冗談はよしてください。ちょっとくらい無理な注文だって聞いてあげますから。寝苦しいときは仰いであげます。寒いからって橙を湯たんぽにしてもすねません。肩だって揉んであげますし、今日みたいに突然呼ばれた腹いせに後でこっそり料理に辛子をたらしたりしませんから、」
「あら、藍ったらそんなことしてたの」
まるで、あの博麗の巫女のような暢気な声。振り返えると、橙を従えた紫が立っていた。妖怪相手に使う表現ではないかもしれないが、五体満足な姿でそこにいる。でも、その口元に果てしなく不吉な感じがするのはなぜだろう。
「ゆ、紫様。ごご、ご無事でしたか」
「それは当然じゃない。あなたもわかりきっていたでしょう?」
「え、ええ。それは……はい」
ちょっとドキッとしましたが。ついにヤキが回ったんじゃないかと……。
「でもその割にはずいぶん心配していたみたいじゃない。あら心配してくれたことは嬉しいのよ、それは本当。もしかしてまさかヤキが回ったとでも思ったの? 寝込みすぎて気が抜けたとでも?」
ひと息に、しかし決して早口にならないペースでそう語り、紫は「やあね、粕汁かなにかじゃあないんだから」と笑みを深くした。口にしなかった言葉どころか、無意識の中まで見透かされそうな笑み。
「まあ……いいわ。いろいろサービスしてもらえるみたいだから」
そこで一方的に会話を打ち切り、紫は自分にしがみつくようにしている猫又の化身に視線を向けた。
「藍さまぁ」
その声とべそかいた顔を見て、藍は台所がどんな惨状に見舞われたか悟る。すきま妖怪の式は、天を仰ぐ代わりにため息をひとつ。帽子の中の耳がどうなっているかは考えるまでも無い。
◇ ◆ ◇
全てを終わらせた頃には、とっぷり日が暮れていた。
失敗に加え、水をかぶったらしく式が外れてすっかり弱気になった橙をどうにかなだめ、報告を聞いてみればあやうく火事まで行くところだったらしい。火を止めても水をかけても鍋から吹いた火柱が消えず、おおよそ火事の二歩手前まで来たところ、唐突に現れた紫が対処してくれたという。どうやら物置から台所にすり抜けて崩壊の難を逃れていたようだ。
どこか引っ掛かる物を感じつつも、藍は「紫様にご迷惑を……」と詫び「私を呼んでくれてよかったのだぞ」と橙を慰めた。すると式の式は「でも藍さま、紫さまのお仕事していたから」と言い募り、激しく感じ入ってしまったすきま妖怪の式神であった。
「でもまあ、大事無くてよかったわ」
「はい」
物置は崩しても笑顔は崩す積もりない、とでも言うようにしている紫に藍はほっとしたような気持ちでうなずいた。
「それで、物は見つかったのですか?」
「? ──ああ、見つかったわ。割と無事に。ところで、藍。私そろそろ朝餉を戴きたいのだけど、いいかしら?」
「ええっとですね。さきほど紫様からお聞きした状況ですと、直ぐにと言うわけにはちょっと……」
太陽が中天を過ぎて朝餉もないものだが、幾度となく過ごしてきたいつものことなので、それについては何も言わない。
「ええ、それはわかっているわ。それはもちろん」
「はい、ですから…」
「よろしくね」
「あの……それはやはり“あれ”の始末もでしょうか?」
主の言葉に込められているものを即座に読み取ったが、藍はあえて訊いていた。ついでにずっと持ちっぱなしだった日傘を手渡す。式神の問いはまったく無駄なものなのであるが、紫は微塵も気にした様子はなく。受け取った日傘をゆったりとしぐさで開くと、やはり満面の笑みでこう言った。
「それは、もちろん」
そのようなわけだから藍は多忙を極めた。式神を働かせつつその式神の式神を着替えさせてやっているすきま妖怪を複雑な気持ちで見つつ、超特急で朝餉という名の昼食を作り、汗とそれ以外の水分をほんの少し流しながら瓦礫とゴミとガラクタを片付け、疲れた体を引きずって縁側に辿り着いたころにはすっかり暗くなっていていたのだった。
「ああ……、夕食の支度をしないと」
つぶやく声にも力は無い。八雲紫は、あらゆる意味で幻想郷に二人といない仕えがいのある主だが同時に式使いの荒いところがある。いつもでは無いにしても荒いときはとことん荒い。それもいわゆる八つ当たりといった風でなく、ふとした瞬間にそうなるのである。基準は全くわからない。もっとも、今回みたいにいろいろ重なった末ということもあるけど。
「はぁ。労を惜しむつもりは無いが……」
聞くところによれば、幻想郷の境にある神社では花見が終わってもなお連日のように宴会が開かれているという。それと全く関係ないのは重々承知だが、こんなことやっている自分がなんとなく虚しいような気がしてしまう。
片や宵の口から大宴会、片や宵の口まで重労働……。
「ここでぼやいても仕方ないか、」
立ち上がってもう一度埃を払ったときだ。
「藍さま~」
橙が駆けてきた。心なしか頬が上気している。息を切らしている様子はないので、走ってきた所為ではなさそうだ。
「どうしたんだ、橙?」
「こっちこっちっ」
「と、急に引っ張るんじゃない。……一体どうしたんだ?」
「いいからいいから~」
式を打ちなおしてから間もないせいか、それとも藍が疲れているせいか、橙は容易く引っ張っていく。
「こっちだよ」
連れてこられた先は居間だった。障子を開ける。
「あ、」
畳敷きの部屋には大きめのちゃぶ台。その上にはどこに出しても恥ずかしくないような料理が並んでいた。冷やっこに焼き魚、ほうれん草と山芋のおひたしに油揚げとゴボウの煮付け、その他諸々。飾ったところはないけれど、間違いなくそれは御馳走だった。
「あら、来たわね。お疲れさま」
紫が台所から出てきた。エプロン姿が割と似合う。その手に“お釜とおひつが一緒になった道具”を持っていた。炊飯器と呼ばれるそれは、冷蔵庫と並んで彼女が拾った中でも“使える”道具の筆頭である。
「紫様、これは?」
当惑しきって尋ねる藍に、紫はわずかに微笑んだ。ごく自然な感じのする微笑み。
「たまには良いでしょう? あなたは忙しかったみたいだし、私は暇だったし。そうそ、橙が料理を教えてあげるついででもあったわね」
でもそれは一瞬のことで、
「──それとも私の料理では不安なのかしら?」
悲しげに瞳が伏せられた。
「いいえ、滅相もありません!」
手と首とついでに尻尾まで振って藍は主の言葉を否定する。予想もしてなかったことに驚いただけなのですよ。
そしてもちろんそれは杞憂で、紫は小さな声で笑い、
「悪い冗談よ、ごめんなさいね」
片目をつぶってみせた。
「あ、それと藍」
「はい?」
「例の虫除けはあなたの部屋に置いておいたから、あとは自分でやりなさいな」
「え!?」
藍は再び驚く。土蔵を引っかき回し、最後には崩壊させて捜し出したのは外の世界の虫除けの機械。なんでも虫が苦手な音を発する仕組みらしい。去年拾って一応夏の間は使っていたものの、あってもなくても変わらないことがわかりお蔵入りとなったわけだ。紫の寝所にはちょっとした結界が張ってあるので、本来虫など気にすることはないのである。
それに、結界は境であっても壁ではないから入ってくるやつは入ってくるのである。
「ほら、最近暑くなってやたら虫が増えて仕方がないと言っていたのは誰だったかしら? 橙も寝苦しそうで可哀相だとも」
「では紫様、わざわざその為に探してくだすったのですか?」
「そうよ」
おかしい? とでも言うように紫が答える。気付かないところで気遣って貰っていたというのは複雑だが素直に嬉しい。藍が言葉無く感動に浸っていると、橙が急かすように袖を引っ張った。
「藍さま~、せっかくのお料理が冷めちゃうよ」
「あ、そうだな」
「それじゃあ、おいそれと手を洗ってきなさいな。んー、そうね。着替えてくるならそれも良いわ。急がなくても良いけどなるべく早くに」
「は、はい、わかりました」
それだけ言って、藍は踵を返す。その後を「お着替え手伝います~」という声をドップラー効果で残しながら橙が追いかける。ぱたぱたと廊下を鳴らす音が遠ざかっていく様を聞き届けて、紫はくすりと笑った。
◇ ◆ ◇
春過ぎて、夜にも初夏の匂いがただよい始めている。
流れる雲はさよの風に乗り、かかる月はほの明るい光を帯びて輝いていた。
いくたびも重ねてきた歳月そのものであるように、とどまらない時の姿であるように、満ちては欠け、欠けては満ちてきた白い光。
その姿を眺めながら紫はふと思う。
幻想郷の大気に溶けている幽かな伊吹。果たしてそれに気付いているモノは、この空の下にいるかしら。
「……まだ、もう少しは無理かしらね」
つぶやいて視線を戻す。ちょっとした宴と言えるのに酒が無いのは、そのうちたんまり呑めるだろうからだ。もっともそんな事情を知っているのは紫だけなのだけど。
しばらくは日常のままで良いと思う。春以来、起きている時間が増えた自分が式たちと日常を過ごすのも乙だろう。そのうち、しっかり働いてもらうときがくるだろうし。
再びぱたぱたと言う足音が聞こえてきた。式と、式の式が駆けてくる姿が目に浮かぶ。それはそうだ。だって、目指す食卓には二人の好物ばかりが並んでいるのだから。
「ゆっくり急ぎなさいな」
紫はもう一度くすりと笑った。近付いてくる足音とどこかにいるちょっと困った友人のことを思って。
夢集う、まぼろしの宴まではまだまだちょっと。
初夏を迎える幻想郷の夜のこと。
少し感動すら覚えました。。
次回も期待しております♪
それにしてもほのぼのとしていて良かったです。
楽しく読ませていただきました。
こう言うノホホンとしたお話、大好きです。
イナ○物置~~。