Coolier - 新生・東方創想話

美しき夜 残酷な朝

2005/05/31 09:19:41
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今宵、美しき夜が始まる。

夜は我らが吸血鬼の世界…。

太陽の出ている時は館の中に居るが、出ていなければこっちのものだ。

私は館を出る。

ああ、月が綺麗だ。

今宵は紅き月。

紅月夜だ。

体が熱い。

体の奥から力が溢れ出る。

熱が迸る。

血が欲しい。

欲しい。

衝動が抑えられない。

人でも襲ってくるか。

今宵、私は空を翔る。

空を切り裂く。

羽根が蠢く。

羽根に力を入れ、さらに加速する。

それはもう、流星のように。

周りの風景が残像する。

しかし、私には良く見える。

月が。

大地が。

光が。

家が。

そして…人が。

私は地表へ降りた。

人々が私を見て…

恐怖する。

対峙する。

闘おうとする。

家族を護ろうとする。

逃げる。

私は一歩前に出る。

人は下がる。

なにやら私に文句をいっている奴がいる。

私は向かってきた人を、殺す。

あはは、血だ。

血だ。

私は人から臓器を取り出す。

臓器だ。

私は手の中でまだ動いている物を見る。

食料だ。

私はそれを貪る。

もはや人では無くなったそれを貪る。

それを見て他の人は…

恐怖の余り、足が竦む。

怒りに我を忘れて私に向かってくる。

どうしようもないと、泣く。

私は笑う。

笑い続ける。

そして、人を殺す。

一人。

また一人。

人を殺す。

そして、臓器を取り出す。

私は食料を得る。

それを貪る。

力が湧き出る。

笑う。

笑う。

笑う。

そろそろ、時間か。

私は残った人の恐怖する顔を見ながら…

紅魔館へ戻った。

笑う。

生き残った人は恐怖する。

今宵の惨劇。

周りに転がる人と呼ばれない物。

そして、一人という………孤独感。

私は………笑った。

残った人の事を思う。

再び笑う。

紅き月が私に言う。

吸血鬼は絶対なる者。

そんな事は既に承知している。

まだ衝動が襲ってくる。

しかし、陽に当たれば吸血鬼といえど、死に至る。

私は衝動を抑える。

私は帰路に飛ぶ。

我が館に着いた。

親友が話してくる。

今日の出来事を簡潔に話す。

親友はクスリと笑う。

私らしいというらしい。

まったく、良くわからない奴だ。

100年近くも書庫に篭って。

挨拶をして分かれる。

私は部屋に戻る。

朝日が昇ってくる。

ああ、また残酷な朝が始まる。

しかし、夜はまた来る。

美しき夜。

そして、私は眠りにつく。

美しき夜が再びやって来るまで………。

その時、また美しき血の花が人の居る所に咲くだろう。
レミリア様の心の内を書いてみました。
だから、台詞が一切ありません。

文のみで伝えるのは大変な事だ。

精進します。
カシス
[email protected]
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コメント



0.790簡易評価
4.-10名前が無い程度の能力削除
レミリア様はこんなことをするお方では・・・あるわけですが。
しかしながらそれを形にするならば、うんと納得させていただきたい!ただそれだけ。
5.30名前が無い程度の能力削除
私は霊夢と出会う前の彼女は普通に"こう"であったと考えていました。
「首一つ落ちていない」
この彼女の科白があったこそ、その後の邂逅が特別なものになったのだと思いますが。はてさて。
6.60名前が無い程度の能力削除
咲夜に会う前は以外とこうだったのかもしれませんね… 血を吸って人を殺したことはないけど、戯れに人を殺す事はあったのかも。 結構好みの文体です。
13.50沙門削除
 アーカードみたいなレミリア様。別の意味でスカーレットデビルですね。
スラブ圏系の吸血鬼は、人食いする様な事、うろ覚えですが読んだ気がするので今回の話は良いと思います。
17.50名前を間違われる程度の能力削除
これは良いレミリア様ですね
最後のパチェが、一味効かせてて良かったと思います。
33.-20名前が無い程度の能力削除
レミリア様がやっけに大食漢でいらっしゃることで。
少なくても、血はそんなにとらないような。
取り出したばかりの臓器って、血まみれですよね