※はじめに
この作品は、だいぶ前に投稿した拙作のSS、『新世紀フランゲリオン』全話と、
最近まで投稿していた『ウルトララン』全話を読んでる方向けのSSです。多分。
全部読んで無い人でも、ある程度楽しめるようにも出来ています。多分。
全然読んでない人も、雰囲気で楽しめると思います。多分。
上記二つの作品の元ネタを知らない人も、そもそも展開自体が滅茶苦茶なので、
その滅茶苦茶加減をそこそこ楽しめると思います。多分。
また、作中でどんな理不尽なことが起こっても、とりあえず笑い飛ばす程度の
心の余裕を持っていただくと、大変ありがたいです。
あと、部屋を明るくして、目に悪くない程度の距離からご覧下さい。
それでは、はじまりはじまり。
これは、ある紅魔館でのお話。
ひょんなことから『汎用妹型決戦兵器 フランゲリオン』に乗ることになってしまった
門番中国こと紅美鈴は、今日も今日とて訓練を受けていた。
美鈴「はぁ、もう・・・。何がなんだか・・・。」
どういう原理で動いているのか、そもそも人型、
妹型、即ちフランドール型にする必要があるのか。
いやそれより、何で操縦者が自分なのか、私は門番では無かったのか。
私の名前は紅美鈴では無かったのか・・・、とにかく、疑問は尽きない。
しかし、お嬢様の命令である以上、乗らなければ即、死である。
咲夜『はい、今日はこれまで。』
紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。
フランゲリオン隊の指揮は、彼女がとっている。
咲夜は、訓練の終了を勧告した。
咲夜『二人とも、司令室までまで戻ってくるように。以上、通信終わり。』
美鈴「了解です。」
紅魔館の地下に造られた司令室。
鉄張りの部屋の内部には、館外の様子を見ることの出来る画面(外の世界で言うところのモニター)、
離れた場所に自分の声を送ることの出来る装置、フランゲリオンのコントロール装置など、
見たことあるようで見たこと無い、そんなモノが沢山有るのだ。
美鈴「ふえ~、疲れた~・・・・。」
藍「やれやれ。割の良い働き口とは言え、楽じゃないわ・・・。」
美鈴と一緒に咲夜の元へ歩いて来てるのは、八雲藍。
主人がアレな八雲家における生活苦を何とかするため、咲夜に誘われて
フランゲリオン弐号機の操縦者としてのバイトに精を出している。
咲夜「お疲れ様。後は、自由にしていいわよ。」
美鈴「お疲れ様です~。」
藍「お疲れさん。」
自由にしていいとは言っても、美鈴は門番の仕事もしなきゃいけないわけだが。
レミリア「そっちは順調?」
咲夜「ええ。二人とも、そこそこ好調のようですわ。」
唐突に現れたのは、紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
フランゲリオン隊においては、最高司令官として君臨している。
当然と言えば、当然か。
パチュリー「こっちは、零号機の修理が完了したわ。」
司令官のお友達にして、フランゲリオン零号機操者、パチュリー・ノーレッジ。
試作型であるフランゲリオン零号機は、操者本人に似てか、結構壊れやすい。
咲夜「では、漸く三体が揃ったわけですか。」
レミリア「これで、ここの防備は万全よ。」
咲夜「まぁ、最早我々の前に、そこまで強い敵が現れるとも思えませんけど。」
紅魔館防衛のために配備された、三体のフランゲリオン。
その戦績は目覚しいもので、初号機、弐号機それぞれ、紅魔館に近づいた妖怪を撃破。
三度来襲した霧雨魔理沙を、二度撃退し、三度目には捕獲することに成功している。
魔理沙「よう。魔理沙だぜ、暇してるぜ、In地下牢。」
また、その汎用性から、魔界潜入という任務も遂げている。
春の陽気に誘われた八雲紫相手には些か分が悪かったようだが、結果的には撃退している。
フランドール「暇だな~。参号機があったらなぁ。」
レミリア「自分で壊しておいて、文句言わない。」
フランドール「完璧に壊したのはあいつなのに~。」
フランゲリオンのモデルとなった、お嬢様の妹、フランドール・スカーレット。
彼女は玩具として参号機を与えられていたが、操縦桿を壊した挙句に暴走させてしまったのだ。
それを止めに入った初号機が、参号機をぶっ壊した、ということである。
レミリア「お前は部屋で大人しくしてなさい。」
フランドール「は~い。」
彼女が出てくれば、どんなトラブルが起こってもおかしくは無い。
と、思ったかどうかは知らないが、レミリアはフランドールを部屋に帰す。
レミリア「あいつが出てくれば、館の修理もロクに進まないからよ。」
咲夜「誰に言ってるんですか。」
実は紅魔館は、表向きは正常だが、結構危ない状態なのである。
それもこれも、凶悪な某紅白が攻めてきたからである。
わけの分からない力で紅魔館の窓ガラスを吹っ飛ばした後、
フランゲリオン隊をこっ酷い目に遭わせたのだ。
幸い、初号機が中国四千年の歴史的能力を発動させて追い返したが、被害は甚大。
もし今、よっぽどの奴にでも攻められたら、それはもう大変なことになるだろう。
咲夜「・・・・ん?」
レミリア「どうかした?」
咲夜「あ、いえ。・・・ただ、変な違和感を感じただけですわ。」
レミリア「あ~、そう。」
変だから違和感と言うのではあろうが、お嬢様はそんな細かいことは気にしないことにした。
そんなこと気にしていたら、
うい~ん!
うい~ん!
咲夜「!」
レミリア「ん?」
警報が鳴るのである。
咲夜「いや、鳴ってるし。」
レミリア「誰に言ってるの。」
うい~ん!
うい~ん!
藍「おおっ!何だ何だ?」
美鈴「警報?一体何が!?」
パチュリー「・・・五月蝿いのが来たのね。」
警報は、館内全体に響き渡る。
当然、現紅魔館在住の彼女らの耳にも、その煩わしい音は入ってくる。
咲夜『フランゲリオン隊に、お嬢様の名において勅命!第一種戦闘態勢で待機せよ!
これは演習ではない!繰り返す!第一種戦闘態勢にて待機!』
警報とともに聞こえて来るのは、現場監督たる咲夜からの指令。
美鈴「第一種?」
藍「勅命って・・・。お嬢様が出すもんじゃないでしょ。」
パチュリー「要約すると、フランゲリオンに乗って待機してなさいってことよ。」
美鈴「あ、そういうことですか。・・・って!」
藍「よし!仕事だ仕事だ。」
美鈴「私の第一種戦闘態勢は門の前で侵入者を防ぐことであってその・・・。」
藍「往生際が悪いぞ!」
パチュリー「いくわよ。」
美鈴「う~・・・。」
最早、自分が門番であるってことを忘れられてるんじゃないか。
そう思いつつ、美鈴は『フランゲリオン隊における』第一種戦闘態勢に入った。
一方司令室は、緊迫した雰囲気に包まれていた、と思いたい。
咲夜「危険度、特A級!」
レミリア「特A・・・。最も危険と判断されるA級を越える危険度・・・。」
咲夜「説明の程、ありがとうございます。」
レミリア「まさか、アレが!」
咲夜「対象を捉えました。画面に出します!」
大画面に、敵の姿が映る。
咲夜「こ、これは!」
咲夜は、敵の姿に驚愕してみた!
霊夢「ケヒ、ケヒヒヒヒ・・・・。」
紅魔館を滅茶苦茶にした張本人、
凶暴な紅白こと、博麗霊夢が現れたのだ。
レミリア「うわ、出た。」
咲夜「あんた、生きてたの?」
霊夢『ケヒヒ・・・。紅魔館を滅ぼすまで、私は死ぬわけにはいかないのよね・・・。』
フランゲリオンによる戦闘の最中、博麗神社は壊滅的被害を受けた。
何が何だか分からないうちに戦闘に巻き込まれ、挙句に神社を破壊された霊夢は、
その怒りの矛先を当然の如く紅魔館へ向けたのだ!
神社に住むと言われる悪霊の力を借りて邪悪に染まり、博麗に伝わる陰陽玉の力を解き放ち、
さらにお払い棒二本で攻撃力が二倍になった(と思われる)霊夢は、最強にして最凶の巫女!
フランゲリオン隊が迎撃の為出撃したが、霊夢には全く歯が立たなかったのだ。
レミリア「咲夜、今戦うのは得策でないわ。何とかならないかしら?」
咲夜「そうですね・・・。何とか交渉してみましょう。」
咲夜は、少し考えた後、説得に入った。
咲夜「まぁ、いいから。お茶でも飲んで行きなさいな。」
霊夢『あんたらをぶっ潰した後、ゆっくりいただくことにするケヒ。』
レミリア「餌付け失敗・・・。」
咲夜「フンドシの店主さんも待ってるわ。」
霊夢『そんな気持ち悪いもん、見たくないケヒ。』
レミリア「色仕掛けも失敗か・・・。」
咲夜「話し合いは無駄・・・ってこと?」
霊夢『そういうこと。さぁ、覚悟するケヒ!』
話は通じそうにも無い。
とうとう語尾まで怪しくしつつ、霊夢は臨戦態勢に入った。
レミリア「止む無し・・・、ね。」
咲夜「フランゲリオン隊、出撃!」
咲夜は、待機中の三人に指示を出した。
出撃の刻だ。
美鈴「そんな~!あんなのどうしろって言うんですか~!?」
咲夜『前は、あっさり勝てたじゃない。今度も何とかしなさい!』
美鈴「無茶言わないで!前は何起こったのか分からないんですよ私!」
咲夜『問答無用!さっさと逝って来い!』
地下の格納庫から、一気に地上へ上げられるフランゲリオン。
このとき操縦席には、多大なGがかかる。
ごぉぉぉぉぉおおおお!!
美鈴「ぐえええええ・・・・!!」
それでも、操縦者が戦闘前に潰れる事は無い親切設計である。
とにかくフランゲリオン三体は、ものの数秒で地上に姿を現した。
霊夢「ケヒヒ。でっかいだけの、木偶の坊が出てきたわね・・・。」
視界に入ってきたそれに気付き、尚も不適な笑みを浮かべる霊夢。
美鈴「あうう・・・。何度やっても、これには慣れないよなぁ・・・。」
藍「軟弱だなあ。」
パチュリー「本当。体力テストのカリキュラムでも組んだ方がいいのかもね。」
美鈴「何で、二人は何とも無いの・・・?」
その辺、非常に不思議ではあるのだが、気にしている暇は無い。
何故なら目の前には、最強にして最凶な巫女が、
今にも攻撃を仕掛けて来ようとしているからだ。
咲夜『相手は強敵よ。よって、新兵器の使用を許可するわ。』
美鈴「!」
藍「新兵器?」
美鈴「聞いてないんですけど。」
パチュリー「秘密にしてただけよ。」
何時の間にそんなものが開発されていたのかはともかく、
どうやら新しい武器が支給されるようだ。
咲夜『新兵器の威力は絶大なものよ。』
美鈴「絶大・・・、ですか?」
咲夜『今から射出するわ。受け取って頂戴。』
美鈴「は、はい!」
咲夜はそう言うと、レミリアの方を向いた。
咲夜『お嬢様、準備はよろしいですか?』
レミリア『あ~、あ~、んん~。よし、いいわよ。』
喉の調子を整えたレミリアは、大きく叫んだ!
レミリア「こほん・・・。フランゲリオン新兵器!発動、承・認!!」
咲夜「了解!ライフル、ソード、ハンマー、セイフティーデバイス、リリーヴ!!」
ガチャン!
咲夜も何事か叫びながら、これまた何時の間にか設置されていたレバーを押した。
ボシュン!!
地下から何かが、外に向かって飛び出した!
その何か、即ち新兵器は、三体のフランゲリオンに向かって行く。
ガシッ!
零号機、弐号機、初号機と、それぞれ新兵器を受け取った!
その兵器とは!
パチュリー「スターボウ・ライフル!」
弾速を自由自在に操ることが出来る銃、スターボウ・ライフル!
藍「レーヴァテイン・ソード!」
触れれば燃える灼熱の剣、レーヴァテイン・ソード!
美鈴「ピコピコハンマー!・・・・・・・・・え゛?」
当たれば音が鳴る、ピコピコハンマー、略してピコハン!
いずれも強力無比!
紅魔館が誇る秘密兵器が持つに相応しいモノだ!
美鈴「何で私だけこんなショボい兵器なんですか!?」
咲夜『使っても無いうちからショボいとか言うな。使ってから文句言いなさい!』
美鈴「!」
約一名、納得してない様子だが、
そんな約一名に、咲夜が一喝した!
美鈴「(た、確かに、見た目と名前はアレだけど、本当は凄い武器なのかも・・・!)」
美鈴は納得したようだ。
パチュリー「私が牽制するから、二人は隙を見て突っ込んで頂戴。」
藍「心得た。」
美鈴「了解!」
新兵器を得て、フランゲリオン隊の士気は上がる。
ダダダダダダ!!
零号機のライフルが火を吹いた!
霊夢「ととととと。ケヒヒ、そんな弾、当たってはやれないケヒ!」
藍「レーヴァテイン、一文字斬り!」
霊夢「ケヒ!?」
ぶんッ!
弐号機が斬りかかった。
霊夢は弐号機の斬撃を、間一髪の所で避けた。
霊夢「危ないわね!服が燃えたらどうするのよ。」
美鈴「もらったぁぁあああ!!」
隙を見極めた美鈴が、ハンマーを振り下ろす!
霊夢「しまっ・・・!」
流石の霊夢も、この奇襲は避けれない!
初号機の一撃が、霊夢にヒットした!!
ピコッ!
美鈴「・・・・・・・・・・・・へ?」
藍「あ、あれ・・・?」
霊夢「・・・・・。」
ヒットし、軽い音が鳴った。
霊夢は、ぜんぜんまったく、なんとも無い。
いや、そもそもピコハンとは言え、フランゲリオンサイズだから大きさもそれなりである。
そんなもんに叩かれれば、普通は気絶するはずだが・・・。
せめて脳震盪くらい、と思い、
ピコッ!
霊夢「・・・・。」
もう一回叩いてみた。
やっぱり軽い音が鳴るだけである。
ダメージは無いっぽい。
ピコッ!
ピコッ!
ピコッ!
何回か叩いてみたが、やっぱり軽い音が・・・。
霊夢「舐めるなケヒ~~~~~!!」
ごおおおおお!!
美鈴「うわぁあああ!」
霊夢の起こした衝撃波で、初号機は吹っ飛ばされた!
霊夢「何発も叩いたりして、満足したかしら?じゃあ次は、こっちの番ケヒ。」
何度もピコハンで叩かれて、霊夢は大層ご立腹の様子だ。
美鈴「ぜ、全然駄目じゃないですか~!」
咲夜『全然駄目だったそうですよ、お嬢様。』
レミリア『おかしいわねぇ。・・・・・・・あ、それ、参号機用のじゃない?』
咲夜『参号機用・・・。ああ、つまり玩具だったと!』
レミリア『そうそう。あいつ用のアレなんか、ソレで十分だって前に話したじゃない。』
咲夜『これはこれは。私としたことが、うっかりしてましたわ。』
レミリア『ほんと、咲夜ってばドジっ娘よねぇ。あはははは。』
咲夜『もう、意地悪言わないでください。』
美鈴「ドジとかで済ますなぁ~~~~!!」
どど~ん!
美鈴「!」
霊夢「ケヒヒ。」
藍「あいたたたた・・・。」
漫才してる間に、弐号機が霊夢の攻撃を受け、手傷を負った。
がちゃがちゃ
藍「・・・や、やばい!」
中にある色んな物をいじっても、弐号機は動かない。
藍「動け!動けぇ!」
紫「駄目っぽいわねぇ。そことここの機器がイカれてるわ。」
藍「そんな・・・。」
霊夢「ケヒ。まずはあんたからね。」
藍「!」
霊夢は、弐号機を標的とした。
このままではやられると、焦る藍。
パチュリー「不味いわね。」
美鈴「やらせない!」
初号機が霊夢に攻撃を仕掛けた。
無論、ピコハンは捨てている。
同時に、パチュリーの銃も火を噴いた!
霊夢「邪魔するなケヒ!陰陽玉、出るケヒ!」
霊夢が叫ぶと、二つの陰陽玉が妙な動きを見せた。
そして、弐号機に向かって弾を放った!
ガガガガガ!!
藍「だああぁあ!」
紫「アーマード陰陽玉ね。また珍妙なもの出して来ちゃって。」
霊夢の分身として、敵と戦うアーマード陰陽玉。
霊夢本人に加えて、そんなものが出てきたのだ。
ますます窮地に立たされるフランゲリオン隊。
霊夢「あいつの始末はこれに任せて・・・。ケヒ。あんたらの相手は私よ。」
ゴキゴキと拳を鳴らして、まだ動ける二体へ向かう霊夢。
藍の弐号機は、アーマード陰陽玉から集中砲火を浴びている。
藍「うう・・・。何とか・・・何とかしなければ・・・!」
紫「ところで、呼んだ?」
藍「呼んでませんけど・・・・・・・って!?」
何時の間にやら操縦席に、八雲紫が居た。
藍「紫様!何時の間に!」
紫「さっきから居たわ。」
藍「いやそれより、何しに来たんですか!」
紫「ん~、これ以上霊夢が、邪悪に染まるのは色々都合が悪くてねえ。」
藍「じゃあ、早く何とかしてくださいよ!」
紫「でも面倒くさい。」
藍「そんなこと言わないでくださいよ~。」
紫「大体、何のために藍が居ると思ってるの?」
藍「・・・平時の雑用の為、かと。」
紫「大体正解。じゃ、何とかしなさい。」
藍「これの何処が平時で雑用なんですか~!」
どか~ん!
藍「くっ!」
操縦席が揺れる。
弐号機のHPも、だいぶ減ってきたようだ。
藍「HPて何?」
紫「撃沈間近って意味よ。ほら、早く何とかしないと。」
藍「何ともならないから困ってるんですよ~!」
こんなときでも、紫は胡散臭いと言われる笑顔を崩さない。
紫「慌てないの。何のために私が、ここに居ると思ってるの?」
藍「私をからかいに来たんでしょう?も~。」
紫「八割正解。」
藍「ほら~。・・・って、後の二割は?」
紫「お前にね。不思議な力を与えに来たのよ。」
藍「不思議な・・・?」
紫「えいっ!」
紫は、藍の眼前に手をかざした。
藍「う・・・・!」
その手により、藍の視界が遮られた。
が、次の瞬間である。
藍「!!こ、このビジョンは・・・一体・・・!」
紫「全ては無関係。しかし密接に関係する。」
藍の脳裏に、不思議な映像が浮かんだ。
藍「巨大な・・・・妖怪・・・紅白・・・・不死人・・・・私!?」
紫「そんな関係すら、幻想郷は受け入れるのよ。くわばらくわばら。」
藍「魔理沙・・・・・魔理沙よ・・・・、私は・・・・。」
魔理沙「呼んだか?」
藍「うわっ!何だ、何時の間に?」
紅魔館の地下牢に閉じ込められているはずの霧雨魔理沙が、唐突に姿を現した。
魔理沙「事情は、さっき紫から聞いたような気がするぜ。さ、変身だ。」
藍「変身?」
魔理沙「行くぜ!」
藍「行くって・・・わぁッ!」
バタン!
魔理沙は勢いよく操縦席の出口を開け、藍を掴んで外へ飛び出した。
そして懐から一枚のスペルカードを取り出すと、それを天高く掲げた!
ぴか~~~~~~!!!
霊夢「ケ・・・?」
美鈴「う!?」
パチュリー「・・・眩しいわね。」
辺りは激しい光に包まれ、誰もが一瞬視界を奪われた。
その一瞬の後、光の発生源であろうその場所を見る一同。
そこで、彼女らが見たモノ、それは・・・!
藍「ヘアッ!」
巨大化した、八雲藍であった。
その体長は、フランゲリオンに匹敵する程度の大きさだ。
霊夢「ケヒ!」
美鈴「ええ~~~!!?」
パチュリー「何よコレ?」
現場は騒然となった。
レミリア「うわぁ、おっきい。」
咲夜「あ、あれは・・・ウルトララン!」
※説明しよう!
霧雨魔理沙は八雲藍と魂を共有することにより、変身能力を得る。
変身後の姿は巨大化した八雲藍、即ち、ウルトラランとなるのである!
レミリア「ウルトララン?咲夜、あれ知ってるの?」
咲夜「あ~、いえ。それとなくそんな名前が浮かんだだけですわ。」
レミリア「そのネーミングは、どうかと思うけど。」
咲夜「う~ん、私が付けた覚えも無いんですが・・・。」
咲夜は、突然現れたウルトラランの姿、突然浮かんだその名前に、
妙な疑問を覚えた。
咲夜「(・・・変ね。見た覚えが無いのに、有るような気がする・・・。)」
デジャヴってやつかしら?
何て咲夜が思っている間に、状況が一変した!
ウルトララン「デアッ!」
ぱこーん! ぱこーん!
霊夢「・・・陰陽玉が!」
ウルトラランは、弐号機を攻撃していたアーマード陰陽玉を、一撃で叩き落した。
霊夢「ちょっとはやるみたいじゃない。ケヒ、ケヒ、ケヒヒヒ・・・・。」
ウルトララン「ヘアッ!」
どこ~ん!
霊夢「ケヒ~!」
ケヒケヒ笑っていた霊夢に、ウルトラランのパンチが炸裂!
霊夢は遠くにぶっ飛ばされた!
どど~ん・・・・
遠くで、爆音とも取れる音が聞こえた。
霊夢は、結構な衝撃で大地に叩きつけられたらしい。
美鈴「やった!」
ウルトララン「ヘア!」
ウルトラランの一撃で、霊夢は追い返された!
これで終わったと思い、ほっとする現場。
そして、司令室では。
レミリア「・・・何なのよ、あのデタラメな力は。」
咲夜「(あんなに強かったかしら・・・いやいや。気にするのはそこじゃなくて。)」
紫「次元を越え、色々な物を捨て、無視して生まれた式の戦士。」
咲夜「あら、紫。」
紫「ちょっとくらい強くなくちゃ、呼んだ意味が無いわ。」
レミリア「咲夜、警備が手薄になってたようね。」
咲夜「じゃ、三人を戻しますね。」
紫「あらあら、そんなことしていいのかしら?」
レミリア「あ~?」
咲夜「どういう意味よ?」
紫「すぐに分かるわよ。ここは幻想郷だから。」
何時の間にやら、紫が混じっていた。
意味有り気なことを言い放つ紫。
霊夢「いたたたた・・・、油断したわね。」
一方、ウルトラランのパンチで吹っ飛ばされた霊夢。
わけの分からない力を与えられている霊夢は、この程度では死なない。
いや、普段も死にそうに無いが。
?『霊夢・・・霊夢・・・。』
霊夢「ケヒ?」
何者かが、霊夢に呼びかける。
?『あの力、あんたにも与えてあげるわ。』
霊夢「いらないケヒ。」
?『あいつらに仕返しするんだろ?遠慮するなって。』
霊夢「いや、遠慮してないケヒ。」
?『あはははは。霊夢が遠慮するなんて。明日はドラゴンメテオでも降って来るかねぇ。』
霊夢「あんたも大概失礼ケヒね。」
謎の声の人物は、マイペースと言うか自分勝手だ。
?『よし!あいつらを倒す為だ。本気で行くよ!』
霊夢「ケヒ?」
ゴロゴロゴロゴロ・・・・
突然、霊夢の真上に雷雲が発生した。
かなり禍々しいし不吉だし縁起が悪い。
霊夢「な、何よケヒ?」
ずどどどどどど~~~~~ん!!!
霊夢「ケヒャアアアァァアアア~~~~~~~~~!!!!!」
霊夢に容赦なく雷が降り注いだ!
霊夢はこの世の生き物とは思えない、奇妙な叫び声をあげた。
ウルトララン「?」
パチュリー「?」
美鈴「ん?」
何事かが起こったことに気付く三人。
レミリア「あっちの方ね。何かが居るわ。」
咲夜「ちょっと見てみましょう。」
咲夜はそっちの方向の映像を出させた。
そこに映っていたのは・・・。
咲夜「あ、あれは・・・!」
咲夜は、またまた驚愕した!
霊夢「ケェェェェエエエ~~~~~ヒィィィイイイイ~~~~!!!」
そこに映っていたのは、巨大化した博麗霊夢。
咲夜「二色蓮花獣・・・レッドアンドホワイトキング・・・!」
またの名を、二色蓮花獣(にいるれんかじゅう)レッドアンドホワイトキング。
レミリア「にいる?レッドアンド?咲夜、やっぱりそのネーミングセンスはアレだわ。」
咲夜「そうは申されましても・・・。」
レミリア「で、あれもあんたの差し金?」
紫「ここはネバーランドね。素敵。」
レミリア「幻想郷じゃなかったの?」
咲夜「お嬢様、こいつは放っておいた方がいいですわ。」
レミリア「そうみたいね・・・。で、アレは強いの?」
咲夜「ウルトラランの3倍くらいか、それ以上。まぁとにかく、反則的に強いですわ。」
レミリア「じゃあ、駄目っぽいわね。」
咲夜「う~ん。」
長いのでR&Wキングと表記されるその怪獣は、ウルトラランの攻撃をモノともせず、
逆にウルトラランをコテンパンに打ち倒した最凶の怪獣である。
ウルトララン「ウ・・・!」
美鈴「な、な、な・・・・!?」
パチュリー「非常識ね。ええと、巨大な巫女のやっつけ方は・・・。」
現場には、コテンパンに倒されたことのあるウルトラランと、ウルトラランより劣るフランゲリオン2体。
どう考えても、紅魔館側が劣勢である。
ウルトラランは戦慄し、美鈴は混乱した。
パチュリーは冷静に本を読んでいるが、そう都合よくやっつけ方が載ってるはずも無い。
R&Wキング「ケヒャアアア!!」
ウルトララン「!」
R&Wキングが、ウルトラランに襲いかかった!
どかぁっ!!
ウルトララン「グハッ!」
R&Wキング「ケ~~~!!」
バキャ!
ウルトララン「ギャア!」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ~!」
ウルトラランは手も足も出すことが出来ない。
成す術も無く、やられて逝く。
美鈴「う、動けない・・・!こいつ、強い・・・・!」
パチュリー「・・・・・う~ん。」
その強さを前に、初号機と零号機も身動きが出来ない。
下手に手を出したら、やられるだけである。
咲夜「く、このままでは・・・。」
ビー! ビー!
突然、部屋の装置が音を発した。
レミリア「何?」
咲夜「レーダーに反応?」
レミリア「あれは・・・。」
お嬢様が、何かに気付いた。
咲夜「あれって言うのは・・・・あれは!」
咲夜も、それに気付いた。
美鈴「あれって・・・、えぇ~~~~!!」
ウルトララン「ブフッ!」
パチュリー「・・・フランゲリオンが、ひい、ふう、みい・・・・10体。」
現場でも、それに気付いたようだ。
レミリア「量産型フランゲリオン!何でここに・・・?」
咲夜「量産型・・・?」
量産型フランゲリオンが、紅魔館に現れたのだ。
これは、何処かしらで極秘裏に開発が進められていた代物ではあるのだが。
レミリア「量産機が10体。弐号機は死んでるから、初号機と零号機の都合12体。」
咲夜「まさに12人の妹。素晴らしいですわ。」
レミリア「パチェ。量産機のコントロールは任せるわ。お願いね。」
パチュリー「わかったわ。」
ツーと言えばスリーと答えるような二人の間には、細かい説明は要らないらしい。
パチュリーが量産機のコントロールを預かったかと思えば、10機の量産型フランゲリオンは、
R&Wキングの方を向いた。
美鈴「これなら勝てる!」
ウルトララン「ヘアッ!」
パチュリー「量産機、行きなさい!」
量産機が一斉に、R&Wキングに襲い掛かった!
美鈴「わ、私も!」
ここぞとばかりに美鈴の初号機も、R&Wキングに攻撃を仕掛けた!
R&Wキング「ケヒ~~~~♪ケヒッ♪ケヒッ♪」
R&Wキングは、不思議な踊りを踊りはじめた。
紫「MPが減りそうな踊りねえ。」
レミリア「MPって何?」
紫「スペルが使えなくなるって意味よ。」
咲夜「スペル・・・・いけない、あれは!」
咲夜が何かに気付いた!
咲夜『パチュリー様!すぐに奴から離れてください!あの技は・・・・!』
パチュリー「技・・・・!」
パチュリーも、その得体の知れない踊りに気付いたようだが、遅かった。
R&Wキング「ケヒュルルルルルァァァァァァ!!!」
ごぉぉぉぉおおおおおおお!!!
パチュリー「しまっ・・・!」
美鈴「わぁぁぁぁあああああ!!」
どっかあああぁぁぁ~~~~~~~ん!!
放たれたその技は、『神技・八方鬼縛陣』!!
自分の周囲に強力な結界を張るその奥義によって、
10体の量産機は爆散し、塵と消えてしまった。
レミリア『パチェ!・・・えっと・・・確か・・・美鈴!』
咲夜『何てこと・・・・。』
幸いと言うか、コントロールの為に後方に居た零号機と、
やや遅れて飛び出した初号機は、無事であった。
しかし、初号機も零号機も動かない。
レミリア「12機のフランゲリオンが全滅!?3分もたたずに・・・化け物か・・・。」
咲夜「お嬢様。その台詞は・・・その・・・・。」
パチュリー『小物っぽいから止めといた方がいいわ。』
レミリア「パチェ、無事?』
パチュリー『私はね。・・・でも、零号機はもう動けないわね。脱出するわ。』
レミリア「気をつけてね。咲夜、初号機は?」
咲夜「中国率0%・・・初号機、反応無し・・・!」
ちなみに中国率とは、初号機のみに搭載された数値で、操者である美鈴の中国率を
表しているのだが、それが何の役に立つのかと言えば、別に何も無い。
が、どうやら美鈴の様子(生か死か、起きてるか寝てるか)を確かめることには、使えるようだ。
咲夜「美鈴、どうしたの!返事をしなさい!メイリン!メイリーーーン!!」
咲夜は、某コードネーム蛇の人を呼ぶように美鈴を呼んだ。
しかし初号機からの、美鈴からの返事は無い。
咲夜「・・・紅美鈴、殉職、と。南無。」
レミリア「まぁ、それだけ名前呼んでやれば、成仏するんじゃないかしら?」
咲夜「今成仏されても、困るんですけどねえ。」
紫「そうねえ。今から大変なことになるって言うのに。」
レミリア「あ~?」
咲夜「大変って?」
テンコー! テンコー!
ウルトララン「!?」
ウルトラランが、変な音を発し始めた。
いや、正確にはウルトラランの尻尾から、その音が発生しているようだ。
紫「ほら、大変。」
レミリア「何よ、この変な音は。」
咲夜「これは・・・。」
※説明しよう!
巨大化した八雲藍ことウルトラランは、その巨大化の代償として精神が不安定になり、
変身から三分経つと理性を失い、たまらなく『スッパテンコー』をしたくなってしまうのだ!
九つの尻尾からのテンコー音は、その一分前、スッパテンコーの予兆である!危うし、ウルトララン!!
咲夜「・・・だ、そうです。」
レミリア「ふうん・・・。って、何で咲夜はそんなこと知ってるのかしら?」
咲夜「いや、別に私が語ったわけではないんですが。まぁとにかく、大変なことになりましたわね。」
そう、こんな公衆の面前でスッパテンコーなどという痴態を曝した日には、
方々から、やれ変態だやれテンコーだなんだ言われたり、
いやそれよりも、橙や紫になんと言われるやら分からない。
ウルトララン「アワワ・・・・。」
慌てるウルトララン。
R&Wキング「ケヒッ!」
バキッ!
ウルトララン「ギャアァ!」
R&Wキングは、容赦なくウルトラランに攻撃を加える!
既にウルトラランは、戦意を喪失している。
おまけに逃げようにも、その実力差のせいで、逃げることすら出来ない。
咲夜「く、このままでは・・・。」
レミリア「さっきも言ったよね、その台詞。」
咲夜「こう言ったら、奇跡的な何かが起こるんですよ。」
レミリア「そんな身も蓋も無いような迷信、信じてるの?」
咲夜「いいえ。それより紫。そろそろあんたの出番じゃないかしら?」
紫「あら、何でそう思うの?」
咲夜「何でって・・・・。さあ?」
レミリア「今日の咲夜は抜けてるわねぇ。ネジ一本くらい。」
紫「残念だけど、私の出番は無いわ。あ、でもネジの一本くらいなら拾っておいてあげるわよ。」
咲夜「どういうこと?ああ、ネジのことじゃないから。」
戦えるモノ既に無く、危機に陥る紅魔館!
このままでは、紅魔館は破壊されてしまう!
どうなる、紅魔館!
どうなる、ウルトララン!
立ち上がれ、ちゅ・・・紅美鈴!
紫「ほら、出番無かった。ええと、ネジは・・・。」
後半へ続く
この作品は、だいぶ前に投稿した拙作のSS、『新世紀フランゲリオン』全話と、
最近まで投稿していた『ウルトララン』全話を読んでる方向けのSSです。多分。
全部読んで無い人でも、ある程度楽しめるようにも出来ています。多分。
全然読んでない人も、雰囲気で楽しめると思います。多分。
上記二つの作品の元ネタを知らない人も、そもそも展開自体が滅茶苦茶なので、
その滅茶苦茶加減をそこそこ楽しめると思います。多分。
また、作中でどんな理不尽なことが起こっても、とりあえず笑い飛ばす程度の
心の余裕を持っていただくと、大変ありがたいです。
あと、部屋を明るくして、目に悪くない程度の距離からご覧下さい。
それでは、はじまりはじまり。
これは、ある紅魔館でのお話。
ひょんなことから『汎用妹型決戦兵器 フランゲリオン』に乗ることになってしまった
門番中国こと紅美鈴は、今日も今日とて訓練を受けていた。
美鈴「はぁ、もう・・・。何がなんだか・・・。」
どういう原理で動いているのか、そもそも人型、
妹型、即ちフランドール型にする必要があるのか。
いやそれより、何で操縦者が自分なのか、私は門番では無かったのか。
私の名前は紅美鈴では無かったのか・・・、とにかく、疑問は尽きない。
しかし、お嬢様の命令である以上、乗らなければ即、死である。
咲夜『はい、今日はこれまで。』
紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。
フランゲリオン隊の指揮は、彼女がとっている。
咲夜は、訓練の終了を勧告した。
咲夜『二人とも、司令室までまで戻ってくるように。以上、通信終わり。』
美鈴「了解です。」
紅魔館の地下に造られた司令室。
鉄張りの部屋の内部には、館外の様子を見ることの出来る画面(外の世界で言うところのモニター)、
離れた場所に自分の声を送ることの出来る装置、フランゲリオンのコントロール装置など、
見たことあるようで見たこと無い、そんなモノが沢山有るのだ。
美鈴「ふえ~、疲れた~・・・・。」
藍「やれやれ。割の良い働き口とは言え、楽じゃないわ・・・。」
美鈴と一緒に咲夜の元へ歩いて来てるのは、八雲藍。
主人がアレな八雲家における生活苦を何とかするため、咲夜に誘われて
フランゲリオン弐号機の操縦者としてのバイトに精を出している。
咲夜「お疲れ様。後は、自由にしていいわよ。」
美鈴「お疲れ様です~。」
藍「お疲れさん。」
自由にしていいとは言っても、美鈴は門番の仕事もしなきゃいけないわけだが。
レミリア「そっちは順調?」
咲夜「ええ。二人とも、そこそこ好調のようですわ。」
唐突に現れたのは、紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
フランゲリオン隊においては、最高司令官として君臨している。
当然と言えば、当然か。
パチュリー「こっちは、零号機の修理が完了したわ。」
司令官のお友達にして、フランゲリオン零号機操者、パチュリー・ノーレッジ。
試作型であるフランゲリオン零号機は、操者本人に似てか、結構壊れやすい。
咲夜「では、漸く三体が揃ったわけですか。」
レミリア「これで、ここの防備は万全よ。」
咲夜「まぁ、最早我々の前に、そこまで強い敵が現れるとも思えませんけど。」
紅魔館防衛のために配備された、三体のフランゲリオン。
その戦績は目覚しいもので、初号機、弐号機それぞれ、紅魔館に近づいた妖怪を撃破。
三度来襲した霧雨魔理沙を、二度撃退し、三度目には捕獲することに成功している。
魔理沙「よう。魔理沙だぜ、暇してるぜ、In地下牢。」
また、その汎用性から、魔界潜入という任務も遂げている。
春の陽気に誘われた八雲紫相手には些か分が悪かったようだが、結果的には撃退している。
フランドール「暇だな~。参号機があったらなぁ。」
レミリア「自分で壊しておいて、文句言わない。」
フランドール「完璧に壊したのはあいつなのに~。」
フランゲリオンのモデルとなった、お嬢様の妹、フランドール・スカーレット。
彼女は玩具として参号機を与えられていたが、操縦桿を壊した挙句に暴走させてしまったのだ。
それを止めに入った初号機が、参号機をぶっ壊した、ということである。
レミリア「お前は部屋で大人しくしてなさい。」
フランドール「は~い。」
彼女が出てくれば、どんなトラブルが起こってもおかしくは無い。
と、思ったかどうかは知らないが、レミリアはフランドールを部屋に帰す。
レミリア「あいつが出てくれば、館の修理もロクに進まないからよ。」
咲夜「誰に言ってるんですか。」
実は紅魔館は、表向きは正常だが、結構危ない状態なのである。
それもこれも、凶悪な某紅白が攻めてきたからである。
わけの分からない力で紅魔館の窓ガラスを吹っ飛ばした後、
フランゲリオン隊をこっ酷い目に遭わせたのだ。
幸い、初号機が中国四千年の歴史的能力を発動させて追い返したが、被害は甚大。
もし今、よっぽどの奴にでも攻められたら、それはもう大変なことになるだろう。
咲夜「・・・・ん?」
レミリア「どうかした?」
咲夜「あ、いえ。・・・ただ、変な違和感を感じただけですわ。」
レミリア「あ~、そう。」
変だから違和感と言うのではあろうが、お嬢様はそんな細かいことは気にしないことにした。
そんなこと気にしていたら、
うい~ん!
うい~ん!
咲夜「!」
レミリア「ん?」
警報が鳴るのである。
咲夜「いや、鳴ってるし。」
レミリア「誰に言ってるの。」
うい~ん!
うい~ん!
藍「おおっ!何だ何だ?」
美鈴「警報?一体何が!?」
パチュリー「・・・五月蝿いのが来たのね。」
警報は、館内全体に響き渡る。
当然、現紅魔館在住の彼女らの耳にも、その煩わしい音は入ってくる。
咲夜『フランゲリオン隊に、お嬢様の名において勅命!第一種戦闘態勢で待機せよ!
これは演習ではない!繰り返す!第一種戦闘態勢にて待機!』
警報とともに聞こえて来るのは、現場監督たる咲夜からの指令。
美鈴「第一種?」
藍「勅命って・・・。お嬢様が出すもんじゃないでしょ。」
パチュリー「要約すると、フランゲリオンに乗って待機してなさいってことよ。」
美鈴「あ、そういうことですか。・・・って!」
藍「よし!仕事だ仕事だ。」
美鈴「私の第一種戦闘態勢は門の前で侵入者を防ぐことであってその・・・。」
藍「往生際が悪いぞ!」
パチュリー「いくわよ。」
美鈴「う~・・・。」
最早、自分が門番であるってことを忘れられてるんじゃないか。
そう思いつつ、美鈴は『フランゲリオン隊における』第一種戦闘態勢に入った。
一方司令室は、緊迫した雰囲気に包まれていた、と思いたい。
咲夜「危険度、特A級!」
レミリア「特A・・・。最も危険と判断されるA級を越える危険度・・・。」
咲夜「説明の程、ありがとうございます。」
レミリア「まさか、アレが!」
咲夜「対象を捉えました。画面に出します!」
大画面に、敵の姿が映る。
咲夜「こ、これは!」
咲夜は、敵の姿に驚愕してみた!
霊夢「ケヒ、ケヒヒヒヒ・・・・。」
紅魔館を滅茶苦茶にした張本人、
凶暴な紅白こと、博麗霊夢が現れたのだ。
レミリア「うわ、出た。」
咲夜「あんた、生きてたの?」
霊夢『ケヒヒ・・・。紅魔館を滅ぼすまで、私は死ぬわけにはいかないのよね・・・。』
フランゲリオンによる戦闘の最中、博麗神社は壊滅的被害を受けた。
何が何だか分からないうちに戦闘に巻き込まれ、挙句に神社を破壊された霊夢は、
その怒りの矛先を当然の如く紅魔館へ向けたのだ!
神社に住むと言われる悪霊の力を借りて邪悪に染まり、博麗に伝わる陰陽玉の力を解き放ち、
さらにお払い棒二本で攻撃力が二倍になった(と思われる)霊夢は、最強にして最凶の巫女!
フランゲリオン隊が迎撃の為出撃したが、霊夢には全く歯が立たなかったのだ。
レミリア「咲夜、今戦うのは得策でないわ。何とかならないかしら?」
咲夜「そうですね・・・。何とか交渉してみましょう。」
咲夜は、少し考えた後、説得に入った。
咲夜「まぁ、いいから。お茶でも飲んで行きなさいな。」
霊夢『あんたらをぶっ潰した後、ゆっくりいただくことにするケヒ。』
レミリア「餌付け失敗・・・。」
咲夜「フンドシの店主さんも待ってるわ。」
霊夢『そんな気持ち悪いもん、見たくないケヒ。』
レミリア「色仕掛けも失敗か・・・。」
咲夜「話し合いは無駄・・・ってこと?」
霊夢『そういうこと。さぁ、覚悟するケヒ!』
話は通じそうにも無い。
とうとう語尾まで怪しくしつつ、霊夢は臨戦態勢に入った。
レミリア「止む無し・・・、ね。」
咲夜「フランゲリオン隊、出撃!」
咲夜は、待機中の三人に指示を出した。
出撃の刻だ。
美鈴「そんな~!あんなのどうしろって言うんですか~!?」
咲夜『前は、あっさり勝てたじゃない。今度も何とかしなさい!』
美鈴「無茶言わないで!前は何起こったのか分からないんですよ私!」
咲夜『問答無用!さっさと逝って来い!』
地下の格納庫から、一気に地上へ上げられるフランゲリオン。
このとき操縦席には、多大なGがかかる。
ごぉぉぉぉぉおおおお!!
美鈴「ぐえええええ・・・・!!」
それでも、操縦者が戦闘前に潰れる事は無い親切設計である。
とにかくフランゲリオン三体は、ものの数秒で地上に姿を現した。
霊夢「ケヒヒ。でっかいだけの、木偶の坊が出てきたわね・・・。」
視界に入ってきたそれに気付き、尚も不適な笑みを浮かべる霊夢。
美鈴「あうう・・・。何度やっても、これには慣れないよなぁ・・・。」
藍「軟弱だなあ。」
パチュリー「本当。体力テストのカリキュラムでも組んだ方がいいのかもね。」
美鈴「何で、二人は何とも無いの・・・?」
その辺、非常に不思議ではあるのだが、気にしている暇は無い。
何故なら目の前には、最強にして最凶な巫女が、
今にも攻撃を仕掛けて来ようとしているからだ。
咲夜『相手は強敵よ。よって、新兵器の使用を許可するわ。』
美鈴「!」
藍「新兵器?」
美鈴「聞いてないんですけど。」
パチュリー「秘密にしてただけよ。」
何時の間にそんなものが開発されていたのかはともかく、
どうやら新しい武器が支給されるようだ。
咲夜『新兵器の威力は絶大なものよ。』
美鈴「絶大・・・、ですか?」
咲夜『今から射出するわ。受け取って頂戴。』
美鈴「は、はい!」
咲夜はそう言うと、レミリアの方を向いた。
咲夜『お嬢様、準備はよろしいですか?』
レミリア『あ~、あ~、んん~。よし、いいわよ。』
喉の調子を整えたレミリアは、大きく叫んだ!
レミリア「こほん・・・。フランゲリオン新兵器!発動、承・認!!」
咲夜「了解!ライフル、ソード、ハンマー、セイフティーデバイス、リリーヴ!!」
ガチャン!
咲夜も何事か叫びながら、これまた何時の間にか設置されていたレバーを押した。
ボシュン!!
地下から何かが、外に向かって飛び出した!
その何か、即ち新兵器は、三体のフランゲリオンに向かって行く。
ガシッ!
零号機、弐号機、初号機と、それぞれ新兵器を受け取った!
その兵器とは!
パチュリー「スターボウ・ライフル!」
弾速を自由自在に操ることが出来る銃、スターボウ・ライフル!
藍「レーヴァテイン・ソード!」
触れれば燃える灼熱の剣、レーヴァテイン・ソード!
美鈴「ピコピコハンマー!・・・・・・・・・え゛?」
当たれば音が鳴る、ピコピコハンマー、略してピコハン!
いずれも強力無比!
紅魔館が誇る秘密兵器が持つに相応しいモノだ!
美鈴「何で私だけこんなショボい兵器なんですか!?」
咲夜『使っても無いうちからショボいとか言うな。使ってから文句言いなさい!』
美鈴「!」
約一名、納得してない様子だが、
そんな約一名に、咲夜が一喝した!
美鈴「(た、確かに、見た目と名前はアレだけど、本当は凄い武器なのかも・・・!)」
美鈴は納得したようだ。
パチュリー「私が牽制するから、二人は隙を見て突っ込んで頂戴。」
藍「心得た。」
美鈴「了解!」
新兵器を得て、フランゲリオン隊の士気は上がる。
ダダダダダダ!!
零号機のライフルが火を吹いた!
霊夢「ととととと。ケヒヒ、そんな弾、当たってはやれないケヒ!」
藍「レーヴァテイン、一文字斬り!」
霊夢「ケヒ!?」
ぶんッ!
弐号機が斬りかかった。
霊夢は弐号機の斬撃を、間一髪の所で避けた。
霊夢「危ないわね!服が燃えたらどうするのよ。」
美鈴「もらったぁぁあああ!!」
隙を見極めた美鈴が、ハンマーを振り下ろす!
霊夢「しまっ・・・!」
流石の霊夢も、この奇襲は避けれない!
初号機の一撃が、霊夢にヒットした!!
ピコッ!
美鈴「・・・・・・・・・・・・へ?」
藍「あ、あれ・・・?」
霊夢「・・・・・。」
ヒットし、軽い音が鳴った。
霊夢は、ぜんぜんまったく、なんとも無い。
いや、そもそもピコハンとは言え、フランゲリオンサイズだから大きさもそれなりである。
そんなもんに叩かれれば、普通は気絶するはずだが・・・。
せめて脳震盪くらい、と思い、
ピコッ!
霊夢「・・・・。」
もう一回叩いてみた。
やっぱり軽い音が鳴るだけである。
ダメージは無いっぽい。
ピコッ!
ピコッ!
ピコッ!
何回か叩いてみたが、やっぱり軽い音が・・・。
霊夢「舐めるなケヒ~~~~~!!」
ごおおおおお!!
美鈴「うわぁあああ!」
霊夢の起こした衝撃波で、初号機は吹っ飛ばされた!
霊夢「何発も叩いたりして、満足したかしら?じゃあ次は、こっちの番ケヒ。」
何度もピコハンで叩かれて、霊夢は大層ご立腹の様子だ。
美鈴「ぜ、全然駄目じゃないですか~!」
咲夜『全然駄目だったそうですよ、お嬢様。』
レミリア『おかしいわねぇ。・・・・・・・あ、それ、参号機用のじゃない?』
咲夜『参号機用・・・。ああ、つまり玩具だったと!』
レミリア『そうそう。あいつ用のアレなんか、ソレで十分だって前に話したじゃない。』
咲夜『これはこれは。私としたことが、うっかりしてましたわ。』
レミリア『ほんと、咲夜ってばドジっ娘よねぇ。あはははは。』
咲夜『もう、意地悪言わないでください。』
美鈴「ドジとかで済ますなぁ~~~~!!」
どど~ん!
美鈴「!」
霊夢「ケヒヒ。」
藍「あいたたたた・・・。」
漫才してる間に、弐号機が霊夢の攻撃を受け、手傷を負った。
がちゃがちゃ
藍「・・・や、やばい!」
中にある色んな物をいじっても、弐号機は動かない。
藍「動け!動けぇ!」
紫「駄目っぽいわねぇ。そことここの機器がイカれてるわ。」
藍「そんな・・・。」
霊夢「ケヒ。まずはあんたからね。」
藍「!」
霊夢は、弐号機を標的とした。
このままではやられると、焦る藍。
パチュリー「不味いわね。」
美鈴「やらせない!」
初号機が霊夢に攻撃を仕掛けた。
無論、ピコハンは捨てている。
同時に、パチュリーの銃も火を噴いた!
霊夢「邪魔するなケヒ!陰陽玉、出るケヒ!」
霊夢が叫ぶと、二つの陰陽玉が妙な動きを見せた。
そして、弐号機に向かって弾を放った!
ガガガガガ!!
藍「だああぁあ!」
紫「アーマード陰陽玉ね。また珍妙なもの出して来ちゃって。」
霊夢の分身として、敵と戦うアーマード陰陽玉。
霊夢本人に加えて、そんなものが出てきたのだ。
ますます窮地に立たされるフランゲリオン隊。
霊夢「あいつの始末はこれに任せて・・・。ケヒ。あんたらの相手は私よ。」
ゴキゴキと拳を鳴らして、まだ動ける二体へ向かう霊夢。
藍の弐号機は、アーマード陰陽玉から集中砲火を浴びている。
藍「うう・・・。何とか・・・何とかしなければ・・・!」
紫「ところで、呼んだ?」
藍「呼んでませんけど・・・・・・・って!?」
何時の間にやら操縦席に、八雲紫が居た。
藍「紫様!何時の間に!」
紫「さっきから居たわ。」
藍「いやそれより、何しに来たんですか!」
紫「ん~、これ以上霊夢が、邪悪に染まるのは色々都合が悪くてねえ。」
藍「じゃあ、早く何とかしてくださいよ!」
紫「でも面倒くさい。」
藍「そんなこと言わないでくださいよ~。」
紫「大体、何のために藍が居ると思ってるの?」
藍「・・・平時の雑用の為、かと。」
紫「大体正解。じゃ、何とかしなさい。」
藍「これの何処が平時で雑用なんですか~!」
どか~ん!
藍「くっ!」
操縦席が揺れる。
弐号機のHPも、だいぶ減ってきたようだ。
藍「HPて何?」
紫「撃沈間近って意味よ。ほら、早く何とかしないと。」
藍「何ともならないから困ってるんですよ~!」
こんなときでも、紫は胡散臭いと言われる笑顔を崩さない。
紫「慌てないの。何のために私が、ここに居ると思ってるの?」
藍「私をからかいに来たんでしょう?も~。」
紫「八割正解。」
藍「ほら~。・・・って、後の二割は?」
紫「お前にね。不思議な力を与えに来たのよ。」
藍「不思議な・・・?」
紫「えいっ!」
紫は、藍の眼前に手をかざした。
藍「う・・・・!」
その手により、藍の視界が遮られた。
が、次の瞬間である。
藍「!!こ、このビジョンは・・・一体・・・!」
紫「全ては無関係。しかし密接に関係する。」
藍の脳裏に、不思議な映像が浮かんだ。
藍「巨大な・・・・妖怪・・・紅白・・・・不死人・・・・私!?」
紫「そんな関係すら、幻想郷は受け入れるのよ。くわばらくわばら。」
藍「魔理沙・・・・・魔理沙よ・・・・、私は・・・・。」
魔理沙「呼んだか?」
藍「うわっ!何だ、何時の間に?」
紅魔館の地下牢に閉じ込められているはずの霧雨魔理沙が、唐突に姿を現した。
魔理沙「事情は、さっき紫から聞いたような気がするぜ。さ、変身だ。」
藍「変身?」
魔理沙「行くぜ!」
藍「行くって・・・わぁッ!」
バタン!
魔理沙は勢いよく操縦席の出口を開け、藍を掴んで外へ飛び出した。
そして懐から一枚のスペルカードを取り出すと、それを天高く掲げた!
ぴか~~~~~~!!!
霊夢「ケ・・・?」
美鈴「う!?」
パチュリー「・・・眩しいわね。」
辺りは激しい光に包まれ、誰もが一瞬視界を奪われた。
その一瞬の後、光の発生源であろうその場所を見る一同。
そこで、彼女らが見たモノ、それは・・・!
藍「ヘアッ!」
巨大化した、八雲藍であった。
その体長は、フランゲリオンに匹敵する程度の大きさだ。
霊夢「ケヒ!」
美鈴「ええ~~~!!?」
パチュリー「何よコレ?」
現場は騒然となった。
レミリア「うわぁ、おっきい。」
咲夜「あ、あれは・・・ウルトララン!」
※説明しよう!
霧雨魔理沙は八雲藍と魂を共有することにより、変身能力を得る。
変身後の姿は巨大化した八雲藍、即ち、ウルトラランとなるのである!
レミリア「ウルトララン?咲夜、あれ知ってるの?」
咲夜「あ~、いえ。それとなくそんな名前が浮かんだだけですわ。」
レミリア「そのネーミングは、どうかと思うけど。」
咲夜「う~ん、私が付けた覚えも無いんですが・・・。」
咲夜は、突然現れたウルトラランの姿、突然浮かんだその名前に、
妙な疑問を覚えた。
咲夜「(・・・変ね。見た覚えが無いのに、有るような気がする・・・。)」
デジャヴってやつかしら?
何て咲夜が思っている間に、状況が一変した!
ウルトララン「デアッ!」
ぱこーん! ぱこーん!
霊夢「・・・陰陽玉が!」
ウルトラランは、弐号機を攻撃していたアーマード陰陽玉を、一撃で叩き落した。
霊夢「ちょっとはやるみたいじゃない。ケヒ、ケヒ、ケヒヒヒ・・・・。」
ウルトララン「ヘアッ!」
どこ~ん!
霊夢「ケヒ~!」
ケヒケヒ笑っていた霊夢に、ウルトラランのパンチが炸裂!
霊夢は遠くにぶっ飛ばされた!
どど~ん・・・・
遠くで、爆音とも取れる音が聞こえた。
霊夢は、結構な衝撃で大地に叩きつけられたらしい。
美鈴「やった!」
ウルトララン「ヘア!」
ウルトラランの一撃で、霊夢は追い返された!
これで終わったと思い、ほっとする現場。
そして、司令室では。
レミリア「・・・何なのよ、あのデタラメな力は。」
咲夜「(あんなに強かったかしら・・・いやいや。気にするのはそこじゃなくて。)」
紫「次元を越え、色々な物を捨て、無視して生まれた式の戦士。」
咲夜「あら、紫。」
紫「ちょっとくらい強くなくちゃ、呼んだ意味が無いわ。」
レミリア「咲夜、警備が手薄になってたようね。」
咲夜「じゃ、三人を戻しますね。」
紫「あらあら、そんなことしていいのかしら?」
レミリア「あ~?」
咲夜「どういう意味よ?」
紫「すぐに分かるわよ。ここは幻想郷だから。」
何時の間にやら、紫が混じっていた。
意味有り気なことを言い放つ紫。
霊夢「いたたたた・・・、油断したわね。」
一方、ウルトラランのパンチで吹っ飛ばされた霊夢。
わけの分からない力を与えられている霊夢は、この程度では死なない。
いや、普段も死にそうに無いが。
?『霊夢・・・霊夢・・・。』
霊夢「ケヒ?」
何者かが、霊夢に呼びかける。
?『あの力、あんたにも与えてあげるわ。』
霊夢「いらないケヒ。」
?『あいつらに仕返しするんだろ?遠慮するなって。』
霊夢「いや、遠慮してないケヒ。」
?『あはははは。霊夢が遠慮するなんて。明日はドラゴンメテオでも降って来るかねぇ。』
霊夢「あんたも大概失礼ケヒね。」
謎の声の人物は、マイペースと言うか自分勝手だ。
?『よし!あいつらを倒す為だ。本気で行くよ!』
霊夢「ケヒ?」
ゴロゴロゴロゴロ・・・・
突然、霊夢の真上に雷雲が発生した。
かなり禍々しいし不吉だし縁起が悪い。
霊夢「な、何よケヒ?」
ずどどどどどど~~~~~ん!!!
霊夢「ケヒャアアアァァアアア~~~~~~~~~!!!!!」
霊夢に容赦なく雷が降り注いだ!
霊夢はこの世の生き物とは思えない、奇妙な叫び声をあげた。
ウルトララン「?」
パチュリー「?」
美鈴「ん?」
何事かが起こったことに気付く三人。
レミリア「あっちの方ね。何かが居るわ。」
咲夜「ちょっと見てみましょう。」
咲夜はそっちの方向の映像を出させた。
そこに映っていたのは・・・。
咲夜「あ、あれは・・・!」
咲夜は、またまた驚愕した!
霊夢「ケェェェェエエエ~~~~~ヒィィィイイイイ~~~~!!!」
そこに映っていたのは、巨大化した博麗霊夢。
咲夜「二色蓮花獣・・・レッドアンドホワイトキング・・・!」
またの名を、二色蓮花獣(にいるれんかじゅう)レッドアンドホワイトキング。
レミリア「にいる?レッドアンド?咲夜、やっぱりそのネーミングセンスはアレだわ。」
咲夜「そうは申されましても・・・。」
レミリア「で、あれもあんたの差し金?」
紫「ここはネバーランドね。素敵。」
レミリア「幻想郷じゃなかったの?」
咲夜「お嬢様、こいつは放っておいた方がいいですわ。」
レミリア「そうみたいね・・・。で、アレは強いの?」
咲夜「ウルトラランの3倍くらいか、それ以上。まぁとにかく、反則的に強いですわ。」
レミリア「じゃあ、駄目っぽいわね。」
咲夜「う~ん。」
長いのでR&Wキングと表記されるその怪獣は、ウルトラランの攻撃をモノともせず、
逆にウルトラランをコテンパンに打ち倒した最凶の怪獣である。
ウルトララン「ウ・・・!」
美鈴「な、な、な・・・・!?」
パチュリー「非常識ね。ええと、巨大な巫女のやっつけ方は・・・。」
現場には、コテンパンに倒されたことのあるウルトラランと、ウルトラランより劣るフランゲリオン2体。
どう考えても、紅魔館側が劣勢である。
ウルトラランは戦慄し、美鈴は混乱した。
パチュリーは冷静に本を読んでいるが、そう都合よくやっつけ方が載ってるはずも無い。
R&Wキング「ケヒャアアア!!」
ウルトララン「!」
R&Wキングが、ウルトラランに襲いかかった!
どかぁっ!!
ウルトララン「グハッ!」
R&Wキング「ケ~~~!!」
バキャ!
ウルトララン「ギャア!」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ~!」
ウルトラランは手も足も出すことが出来ない。
成す術も無く、やられて逝く。
美鈴「う、動けない・・・!こいつ、強い・・・・!」
パチュリー「・・・・・う~ん。」
その強さを前に、初号機と零号機も身動きが出来ない。
下手に手を出したら、やられるだけである。
咲夜「く、このままでは・・・。」
ビー! ビー!
突然、部屋の装置が音を発した。
レミリア「何?」
咲夜「レーダーに反応?」
レミリア「あれは・・・。」
お嬢様が、何かに気付いた。
咲夜「あれって言うのは・・・・あれは!」
咲夜も、それに気付いた。
美鈴「あれって・・・、えぇ~~~~!!」
ウルトララン「ブフッ!」
パチュリー「・・・フランゲリオンが、ひい、ふう、みい・・・・10体。」
現場でも、それに気付いたようだ。
レミリア「量産型フランゲリオン!何でここに・・・?」
咲夜「量産型・・・?」
量産型フランゲリオンが、紅魔館に現れたのだ。
これは、何処かしらで極秘裏に開発が進められていた代物ではあるのだが。
レミリア「量産機が10体。弐号機は死んでるから、初号機と零号機の都合12体。」
咲夜「まさに12人の妹。素晴らしいですわ。」
レミリア「パチェ。量産機のコントロールは任せるわ。お願いね。」
パチュリー「わかったわ。」
ツーと言えばスリーと答えるような二人の間には、細かい説明は要らないらしい。
パチュリーが量産機のコントロールを預かったかと思えば、10機の量産型フランゲリオンは、
R&Wキングの方を向いた。
美鈴「これなら勝てる!」
ウルトララン「ヘアッ!」
パチュリー「量産機、行きなさい!」
量産機が一斉に、R&Wキングに襲い掛かった!
美鈴「わ、私も!」
ここぞとばかりに美鈴の初号機も、R&Wキングに攻撃を仕掛けた!
R&Wキング「ケヒ~~~~♪ケヒッ♪ケヒッ♪」
R&Wキングは、不思議な踊りを踊りはじめた。
紫「MPが減りそうな踊りねえ。」
レミリア「MPって何?」
紫「スペルが使えなくなるって意味よ。」
咲夜「スペル・・・・いけない、あれは!」
咲夜が何かに気付いた!
咲夜『パチュリー様!すぐに奴から離れてください!あの技は・・・・!』
パチュリー「技・・・・!」
パチュリーも、その得体の知れない踊りに気付いたようだが、遅かった。
R&Wキング「ケヒュルルルルルァァァァァァ!!!」
ごぉぉぉぉおおおおおおお!!!
パチュリー「しまっ・・・!」
美鈴「わぁぁぁぁあああああ!!」
どっかあああぁぁぁ~~~~~~~ん!!
放たれたその技は、『神技・八方鬼縛陣』!!
自分の周囲に強力な結界を張るその奥義によって、
10体の量産機は爆散し、塵と消えてしまった。
レミリア『パチェ!・・・えっと・・・確か・・・美鈴!』
咲夜『何てこと・・・・。』
幸いと言うか、コントロールの為に後方に居た零号機と、
やや遅れて飛び出した初号機は、無事であった。
しかし、初号機も零号機も動かない。
レミリア「12機のフランゲリオンが全滅!?3分もたたずに・・・化け物か・・・。」
咲夜「お嬢様。その台詞は・・・その・・・・。」
パチュリー『小物っぽいから止めといた方がいいわ。』
レミリア「パチェ、無事?』
パチュリー『私はね。・・・でも、零号機はもう動けないわね。脱出するわ。』
レミリア「気をつけてね。咲夜、初号機は?」
咲夜「中国率0%・・・初号機、反応無し・・・!」
ちなみに中国率とは、初号機のみに搭載された数値で、操者である美鈴の中国率を
表しているのだが、それが何の役に立つのかと言えば、別に何も無い。
が、どうやら美鈴の様子(生か死か、起きてるか寝てるか)を確かめることには、使えるようだ。
咲夜「美鈴、どうしたの!返事をしなさい!メイリン!メイリーーーン!!」
咲夜は、某コードネーム蛇の人を呼ぶように美鈴を呼んだ。
しかし初号機からの、美鈴からの返事は無い。
咲夜「・・・紅美鈴、殉職、と。南無。」
レミリア「まぁ、それだけ名前呼んでやれば、成仏するんじゃないかしら?」
咲夜「今成仏されても、困るんですけどねえ。」
紫「そうねえ。今から大変なことになるって言うのに。」
レミリア「あ~?」
咲夜「大変って?」
テンコー! テンコー!
ウルトララン「!?」
ウルトラランが、変な音を発し始めた。
いや、正確にはウルトラランの尻尾から、その音が発生しているようだ。
紫「ほら、大変。」
レミリア「何よ、この変な音は。」
咲夜「これは・・・。」
※説明しよう!
巨大化した八雲藍ことウルトラランは、その巨大化の代償として精神が不安定になり、
変身から三分経つと理性を失い、たまらなく『スッパテンコー』をしたくなってしまうのだ!
九つの尻尾からのテンコー音は、その一分前、スッパテンコーの予兆である!危うし、ウルトララン!!
咲夜「・・・だ、そうです。」
レミリア「ふうん・・・。って、何で咲夜はそんなこと知ってるのかしら?」
咲夜「いや、別に私が語ったわけではないんですが。まぁとにかく、大変なことになりましたわね。」
そう、こんな公衆の面前でスッパテンコーなどという痴態を曝した日には、
方々から、やれ変態だやれテンコーだなんだ言われたり、
いやそれよりも、橙や紫になんと言われるやら分からない。
ウルトララン「アワワ・・・・。」
慌てるウルトララン。
R&Wキング「ケヒッ!」
バキッ!
ウルトララン「ギャアァ!」
R&Wキングは、容赦なくウルトラランに攻撃を加える!
既にウルトラランは、戦意を喪失している。
おまけに逃げようにも、その実力差のせいで、逃げることすら出来ない。
咲夜「く、このままでは・・・。」
レミリア「さっきも言ったよね、その台詞。」
咲夜「こう言ったら、奇跡的な何かが起こるんですよ。」
レミリア「そんな身も蓋も無いような迷信、信じてるの?」
咲夜「いいえ。それより紫。そろそろあんたの出番じゃないかしら?」
紫「あら、何でそう思うの?」
咲夜「何でって・・・・。さあ?」
レミリア「今日の咲夜は抜けてるわねぇ。ネジ一本くらい。」
紫「残念だけど、私の出番は無いわ。あ、でもネジの一本くらいなら拾っておいてあげるわよ。」
咲夜「どういうこと?ああ、ネジのことじゃないから。」
戦えるモノ既に無く、危機に陥る紅魔館!
このままでは、紅魔館は破壊されてしまう!
どうなる、紅魔館!
どうなる、ウルトララン!
立ち上がれ、ちゅ・・・紅美鈴!
紫「ほら、出番無かった。ええと、ネジは・・・。」
後半へ続く
笑死にしてしまいそうです。。
後半も期待してます♪
本当にウルトラランと美鈴の乗ったフランゲリオンで勝てるのかものすごく不安なんですが・・・。
ともあれ、後半楽しみにしてます。