Coolier - 新生・東方創想話

こーりんと魔理沙は色々と気が合う友達だと思う。

2005/05/23 07:01:38
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「こ~り~~ん、邪魔しに来たぜ~?」
「…なんだ、魔理沙か。」
夕焼けが美しく輝く中、魔理沙は箒にまたがり香霖堂にやって来た。ふわり、と箒から飛び降り、まるで自分の家に入るようにずかずかと香霖堂のカウンターの内側に入り、置いてあった椅子に腰掛ける。
「まったく、こんな儲からない商いをやって、どうやって生計立てようってんだ?」
近くにに置いてあった野球ボールを手に取り、珍しそうに眺めたり弄繰り回す。
「おい、一応それも売り物なんだ、あまり汚さないでくれよ。」
「なんだ、私は汚れの原因か?ほらよ。」
不機嫌そうに頬を膨らませ、霖之助に野球ボールを手首の動きだけで投げ渡す。
「で、今日は何のようだ?また魔道書の立ち読みか?」
ぱしっ、と野球ボールを手の平でキャッチし、カウンターの上にトンと置いた。魔理沙は椅子から飛び降り、
「いや、珍しい蒐集品を探しに、な。パチュリーとかアリスから蒐集し続けるのも二人に悪いし。」
「僕ならいいのか。まあいい、見合った分の金か物を貰うから。」
霖之助はカウンターの後ろにひっそりと佇むドアに手を掛けた。魔理沙はまってましたとばかりに、開いたドアの中に入っていく。霜之助も魔理沙が中に入ったのを確認すると、自らもその部屋へ入っていった。

「お~い、こーりん真っ暗だ~。」
「ちょっと待ってろ、今電気つける。」

パチッ。

「お~。いつもながら便利だな、このマジックアイテム。」
「いつもながら言ってるだろ、これは魔法じゃないって。」

部屋の中には、所狭しと『珍しいもの』が並んでいた。しかも、幻想郷内だけのものではない。どういう入手経路か知らないが、結界の向こう側の品物もあるのだ。

「…おいこーりん、これは何だ?」
今魔理沙が興味心身なのは、一般的な『ラジオ』。所帯じみた道具も、彼女にとっては未知の道具なのだ。
「ああ、この前新入荷した、ラヂヲという音や声を奏でる道具だ。幻想郷広しといえども持っているの は僕くらいだと思うぞ。」
「…いま実際に聞けるのか!?」
ラジオについたスイッチ…魔理沙にはただの突起物としか認識できないものを弄くりながら、興奮に満ちた声で霖之助に問いかける。
「ん?まあ可能だが。」
「じゃあ聞こう!!今すぐ聞こう!!!」
「あ~わかったわかった。わかったからラヂヲを振り回すな。」
強引にラジオを魔理沙の手から引ったくり、もとあった棚に戻す。横では魔理沙が「早く早く」とせがむ様に、上目遣いでどうにもやり過ごせない視線を送ってくる。
「じゃあ、とりあえず流すけど…」

カチッ。

ザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………

スイッチを入れると共に、辺りに耳障りなノイズ音が響き渡った。
「うわっ、何だこれ!?」
おっかなびっくり、そろそろと近づいてつんつんとラジオをつつく。そんな魔理沙をみて苦笑しながら
霖之助は、
「ダイヤルを合わせないと駄目なんだよ。」
幾つもある突起物のうちの一つを、手馴れた手つきで回していく。
「ほぉ~~、いいなこれ、いいなこれぇ~~。」
興味心身で霖之助の手つきを覗き込む魔理沙を無視し、更にダイヤルを回し続ける。そして、
「あっ!?今何か声が聞こえたっ!!」
「む?行き過ぎてしまったか。」
ダイヤルを少し戻し、合った。

『みすちーの幻想郷らじおの時間です~~。』

突然流れた知り合いの名前に、魔理沙は困惑の色を隠せない。
「…何だこれ?」
「さあ。」

『お送りするのは私みすちーことミスティア・ローレライ、放送は隙間ラジオから~~。』

とめどなくラジオから溢れる声に、いちいち突っ込みを入れる魔理沙。
「隙間ラジオ!?」
「まあ、紫も物好きだからなあ…」

『え~、記念すべき第一回の今日は、私、みすちーの難体験をお送りしま~~す。』

目をきらきら輝かせているのは、このラジオが本当に音を奏でるからか、それとも番組が第一回からなのか。
「第一回なんだ!?」
「魔理沙、ちょっと落ち着いて聞いてくれ。」
「ちぇっ、わかったよ。」

『一昨日の出来事でした。この先ぐだぐだ喋り(書き)続けるのでご注意ください~。

私が空中を散歩しながら例のごとく歌を歌っていると、とある幽霊さんが出てきました。察しのいい皆さんならわかりますよね、ええそうです。西行寺幽々子さんですよ~。私はもう必死になってその場から逃げ出しました。何でって?そりゃあ、あの人…いや、幽霊さんはどうしても私を食べるつもりなんですから。でも、無駄でした。すぐに回り込まれて、「覚悟はいいかしら、ミステ…鶏肉?」とか言われちゃいました。もちろん、ブラインドナイトバードとかで応戦しましたけど、所詮永夜抄二面ボス程度が妖々夢ラスボスに敵う訳無いんですよ。十秒くらいでもう降参だったかな?とにかく、そのときは死を覚悟しました。でも、そこで死んでたら私は今ここにいないんですね。死んでないって事はそのとき何かがあったって事。救世主かと思いました。突然目の前で月光が閉じたんです!!信じられますか?
紅魔郷一面ボスが、妖々夢ラスボスを追っ払っちゃったんですよ!?ルーミアを本気でカッコいいと思いました。でも、私はもっと大切なことを二つも忘れてたんです。一つは、ルーミアも私を食べようとしてたことを。それと、「閉じた」って事は、ルーミアが、
「EX化してるぅぅぅ~~~~~!?!?」
「なんだって~~~!!」
ゲフンゲフン、申し訳アリマセン。とにかく、それ以降は地獄絵図でした。いや、そこまで残酷な訳じゃないんですけどね、とにかく大変でした。でも何とかリボンを結びなおしましたよ。どうやったかって?そりゃ鳥目にして後ろから羽交い絞めにしてです。え、如何わしい事してないかって?いやいや、変な事言わないで下さい。…脱線してますね、話題を戻します。リボンさえ結びなおせば、後はただの一面ボス対二面ボスです。こうして辛くも私は今まで生き残ってるわけです。』

「…ミスティアも苦労してんだな。」
「僕の苦労に比べたら軽いもんさ。」
「どんな苦労してんだよ。」
「そりゃあ、お前らに商品盗まれないようにする苦労さ。」

『それでは本日の特別ゲスト、無名の門番、中国さんです~。今日はなにやら自分の名前について熱弁してくれるそうです、楽しみですね~、それではどうぞ~。』

「…紅魔館の門番の名前ってさぁ、『くれないみすず』だよなぁ?」
「『ほんみりん』かもな。」

『ガチャッ。え~、それではもんばんさ…ってあれ?あれええええええ!?ちょ、ちょっと待って~~!なんで幽々子さんとルーミアが入ってくるの~~!?』

「お?なんか面白い展開になってきたぞ?」
「向こうは地獄絵図×2だがな。」

『今日こそ逃がさないわよ、鶏肉ぅ~~?』
『みすちー、大人しく 食 べ ら れ て !!』
『いやぁ~~~~~~!!や~~~~め~~~~て~~~~!!』
『あっ、逃げた!!』
『お任せあれ!!闇符[ディマーケイション~ルナティック]!!』
『きゃ~~~!!』
『『捕まえた~~!』』
『ぐすん、……チン………チン……』
『じゃあルーミア、私胸肉頂くから。』
『あ~、ずる~い!!私だってみすちーの胸肉食べたい~~!!』
『え~、それじゃあじゃんけんしましょ?勝ったら胸肉。負けたら…そうね、腿肉とか?』
『いや~~、物騒以上にこれなんかヤダァ~~~!!』
『『じゃんけんぽん!!』』
『やった!!私の勝ち!!』
『あらら…負けちゃったわ。まあでも、腿肉食べられるし、いっか。で、ルーミア、どっちから先に食べる?』
『私っ!!』
『うふふ、いいわよ。思う存分弄って…げふんげふん、間違った、……こういう場合なんていうのかしらね?』
『わからな~い♪でもいいわ~~、だってみすちー食べれるもん♪』
『とりあえず、引ん剥きますか。』
『さんせ~~!』
『きゃ~~!?た、助けて~~~~~~!!』

ザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………

「ていうかさ、まず年齢制限だろ、これは。」
「ほう。何故に。」
「いや、だってほらさ、いろいろ想像できちゃうじゃんか。」
「それは妄想っていうんだよ。」

『大変ご迷惑をおかけしました。次回よりこの番組の司会者はりぐるんとかちるのんとか、そこら辺の方々にお願いしたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。』

「お、何か終わったっぽいな。」
カチッ、とラジオのスイッチを切り、背筋を伸ばした。自然と欠伸が出てくる。
「でさぁ、こーりんはあの後どうなったと思う?」
「何が?みすちーの話か?」
ラジオを持っていた布で丁寧に拭き、再び元の棚に戻す。頭ごなしにそう言うと、
「違う。あの場面の展開。」
目の前に魔理沙の顔があった。
「う~ん、そうだなあ…妹紅が乱入してフジヤマヴォルケイノとか。」
「いや、むしろ慧音だろ。角で掘る。なんてったって掘来人だもんな。」
「もしかしたらリリーかも。『春を伝えに来ましたっ!!』とかな。」
「春といったらやっぱし霊夢だろ。頭の中が春景色だから。」

二人は、話がのり過ぎて、夢中になりすぎて、真後ろに迫っている恐怖に気づけなかった。

「あ~~ん~~た~~た~~ちぃ~~~~~…」

ばっ、と二人が同時に振り向くと、そこに仁王立ちになっていたのは、博麗霊夢、その人だった。
「げっ、霊夢これには訳がってかいつからそこにいた!?」
「ラヂヲつけたところ、かな。魔理沙、香霖、覚悟はできてるんでしょうね?」
「つまり全部か!!ていうかできてないぞ僕は!!!」
霊夢は懐から一枚の札を取り出す。そして、
「ちょっと反省してきなさい!!霊符[夢想封印]!!!」
爆発音と共に、魔理沙と霖之助はぶっ飛ばされた。
「空でも飛べば、ちょっとは冷めるでしょ。」
腕組みをし、天井に開いた大きな穴を見上げながら霊夢は独り言のようにそういった。
「ねえ、ミスティア。」
真後ろに隠れていた、夜雀の怪に。優しく、包み込むように。

――――――――――――――――――――――

「ぐぇっ!!」
「でぇっ!!」
折り重なるように霖之助と魔理沙が落ちた場所は、二人にも全く把握しきれない森の中。もう夜の帳が下りており、空には満天の星空が広がっていた。
「なあ、香霖。」
「何だよ。」
二人とも仰向けに寝転がって空を見上げる。
「あとでさ、あのラヂヲ売ってくれ。」
「…毎度ありっ……!」
どうやらこの二人に懲りる、という言葉は無いようだ。        終
もはや覚えている方もいらっしゃらないかと思うほど久しぶりです、雪羅奈界です。
いつになっても馬鹿ばっかりやっています。ま~た意味のわからぬネタを投稿してしまいました、お許しください。m(_ _)m
それはともかく、香霜と魔理沙は気が合うと思うのです。妄想120%ですが、こうした日常風景を綴れたので楽しかったです。二人でよからぬ事を考え、霊夢にぶっ飛ばされる。SSのできはどうとしてですが。
それでは、こんな駄文を最後まで読んでくださいまして本当にありがとうございます。感謝感激の嵐です。また機会がありましたら後書きでお会いしましょう。

追記…5月24日ご指摘あった誤字を訂正。無為さん、ご指摘ありがとうございます。
雪羅奈界
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コメント



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22.40無為削除
みすちーは食われ、こーりんは吹っ飛ぶ。
これぞ幻想郷の日常風景・・・と、言いたい所ですが
「香霜」じゃなくて「香霖」っスよ~
26.無評価上泉 涼削除
 懲りないからこそ、こーりんと魔理沙なんだろうなぁ、とか思ったり。
 それと、
>「ねえ、ミスティア。」
 この霊夢の台詞で何故かミスティアに喰いかかろうとする霊夢の姿が幻視されてしまった私は、霊夢像が歪みきっているのかも知れません。いやむしろ食われキャラとしてのミスティア像が確立され過ぎているからなのか。