「あれ、咲夜? 何やってるの?」
紅魔館の廊下を暇そうに歩いていたフランドール・スカーレットが、メイド長の十六夜咲夜が何かを持っているのに気が付いて声を掛けた。
「あぁ、妹様。これは笹と言うまして、七夕に使い物なのです」
「七夕?」
聞きなれない言葉にフランは首を傾げる。
「私も詳しくは分かりませんけど、七月七日に、この笹にお願い事を書くと言う風習が、外の世界にはあるのだそうです」
咲夜は簡単に説明してあげると、フランはキラキラと目を輝かせる。今まで地下に閉じ込められていたフランにとって、面白そうな事であるからだ。
「願いって、どんな願いでも良いの?」
「はい、良いみたいですよ」
咲夜は笑顔で答えてあげると、笹と一緒に持っていた小さい長方形の色紙を、フランに数枚渡した。
「この短冊と言う紙にお願い事を書いて下さい。皆さんのが出来ましたら、一緒に吊るしますので」
「うん、分かった。ありがとう、咲夜」
フランは手を振りながら廊下を走っていく。咲夜もフランを見送ってから、自分の仕事に戻る。
「それでパチェ。結局、七夕って何か教えて」
紅魔館の一角にあるヴワル魔法図書館にやってきたフランは、ここの主であるパチュリー・ノーレッジに訊いてみた。
「咲夜からそれなりの事を聞いたのではないの?」
「咲夜に詳しい事を聞くより、パチェに聞いた方が良いかなと思って。パチェ、物知りだし……ちょっと知ったかぶりだけど」
「知ったかぶりとか言うなぁ!」
自分の知識を知ったかぶりだと言われて怒るパチュリー。
「ぱ、パチュリー様! 抑えて、抑えて下さい!」
パチュリーの怒りを抑えようとするパチュリーの使い魔である小悪魔。
「まったく……七夕の事よね」
どうにか落ち着いたパチュリーを見て、フランは笑顔で首を縦に振る。
「七夕と言うのはね、本来はちょっとした悲しい物語なのよ。天帝の娘である織姫と、働き者の彦星と言う男が結婚したまでは良いが、結婚してから全く働かなくなってしまった事で天帝様に怒られて、天の川を隔てて二人を引き離してしまったの。そして一年に一度の七月七日だけ二人が会う事が許されたの」
「ふ~ん……でも、それと短冊にお願いするのと関係があるの?」
「二人がその日に会える様に願いをかけて、それが叶うと言う事で、人々はそれにお願い事をするという風習を作ったのよ」
「そうなんだ……でも、一年に一度しか会えないなんて、ちょっとロマンチックだけどね」
そう言ってフランは微笑む。昔の自分は姉のレミリア・スカーレットと数年に一度しか会えるかどうか分からなかったからだ。もっとも、今はもう大丈夫である。
「だけど、妹様。注意しておきたい事があるのですけど」
「何?」
「願い事と言いましても、一年に一度しか会えない織姫と彦星に因んで作られた風習です。ですから、書かれた願い事は一年に一回しか願いを叶えてもらえないという事になりますので、その辺りをご注意してください」
「えっ? そうなの? 何だ……」
フランは口を尖らせる。何でも叶うと言うからには、本当に何でもと思っていたからだ。
「だから、あそこに書いてある事は決して書かない様にね」
パチュリーが指差した方を見ると、咲夜が持ってきた笹を、小悪魔が笹に短冊を付けている所である。そして、その中にとても目立っている短冊が一枚ある。金色に光っていて、他の短冊よりもかなり大きな短冊でこう書かれてある。
『カリスマ・カムバック! BYレミリア』
「お。お姉様……」
フランは我が姉の情けない物を見てしまい、溜め息を吐く。
「ね、分かったでしょう? 恥を曝す様なものだからちゃんと考えておいて下さいね」
「うん、分かった。でもその前に、ちょっと見てくるね」
フランは準備をしている小悪魔の所に行った。
「ねぇ、リトル? これって、お姉様以外のもあるの?」
レミリアの短冊以外にも飾っているのを見て、フランは小悪魔に訊いてみた。
「そうですよ。咲夜さんや美鈴さんのもありますよ。もちろん、私とパチュリー様のも」
「見ても良い?」
「良いですよ」
小悪魔から許可を貰って、フランは笹に飾ってある短冊を見て回る。妖精メイド達のもあり、『ケーキをたくさん食べられますように』とか、『お仕事が上手く出来るようになりたい』とか、『紅白や黒白に倒されないように』など、色々なお願い事が書かれていました。
「ん?」
フランは笹の奥に一枚の短冊を見つけた。
『れみりあをたおせますように』
「……誰? どこの妖精メイドかな?」
色々ツッコミを入れたい所があるが、下剋上する気満々の妖精メイドがいる事に少しだけ面白いと思ったフラン。
「さて、咲夜とかのも見てみるか」
フランは短冊の中から咲夜と美鈴、パチュリーや小悪魔の短冊を探す。
「咲夜のは……あった。えぇと、何々? 『お嬢様の願いが叶いますように』か。流石咲夜だね」
主を想うその心は正にメイドの鑑であるとフランは納得する。しかし、フランは見逃さなかった。咲夜が書いた短冊には人の目では決して見えないぐらいの字が書いてある事に。
『次回作、自機として復活出来ますように』
それを見たフランは、ちょっとだけ涙を流して、見なかった事にしようと考える。
「きっと叶うよ。ファイトだよ、咲夜……」
心からエールを送ったフランは次の短冊を探す。
「あ、これは美鈴だね。『東方人気投票、今度こそ上位に上がれますように』……潰すぞ、コルァ……」
門番にちょっとキレかけるフラン。そして、キュッと能力を使って、美鈴の短冊をバラバラにしてしまった。
「さて、次は……おっ? パチェの発け……ん?」
フランは隠れていたパチュリーの短冊を発見した。しかし、魔法陣しか書かれていなかった。恐らくこれは魔法陣で文字を隠しているのだ。
「そいや!」
フランは人差し指で魔法陣を壊した。この程度なら、フランの破壊能力でちょちょいのちょいらしい。
「えぇと……『こあを(ピー)したり、(ピー)して(ピー)したい』……」(『ピー』の部分は、訳あって削除させてもらいました)
フランは見てはいけないものを見てしまった。顔を真っ赤にして、そっと元に戻してあげた。
「ぱ、パチェとリトルって、そんな関係だったんだ……知らなかった……」
小悪魔をそっと見てみると、鼻歌をしながら作業をしている。
「んっ? どうかされましたか、フランお嬢様?」
自分に視線を向けているフランに気付いて声を掛ける小悪魔。しかし、先程の短冊の内容を見たフランは頬を少しだけ赤めて、何でもないよと告げる。小悪魔は少しだけ首を傾げてから自分の仕事に戻った。
「さてと、次は……あ、リトルの見つけた」
気を取り直して小悪魔の短冊を発見して、先程の事を忘れようと思って確認する。
『紅魔館の皆さんが、ずっと元気でいてくれますように』
小悪魔らしいと言えば、らしいのだけど……
「いつも思うのだけど、リトルって本当に悪魔なのかな? もしかして、悪魔のフリをした天使って言われても納得出来るよね。んっ? 裏に何か書いている」
よく分からなかったが、小悪魔の短冊の裏に何か書いてあった。
『本作で、もう一度出演出来ますように……してくれなかったら……クスクス……』
「怖っ! り、リトル、怖すぎっ!」
「えっ? 私がどうかしましたか?」
「う、ううん、何でもない、何でもないよ」
「そうですか……」
また首を傾げて自分の仕事に戻る小悪魔を見送るフラン。吸血鬼で幻想郷のデストロイヤーとも言われているフランでさえ、あの文字には恐怖を感じた。だって、所々に血の様な紅い点が付いているのだから。
「や、やっぱりリトルは悪魔だ。うん、悪魔だね……天使がこんな事を思わないよね。あは、あははは……」
先程の言葉を撤回したフラン。まぁ、誰でもそう思いますよね。
さて、他のも全て見てきたフランですが、まだ自分がどんな事を書くのかが決まらない。
「悩むなぁ……」
「あら、フラン。まだ書いてなかったの?」
すると、フランの姉にして紅魔館の主(仮)でもあるレミリア・スカーレットが現れた。
「(仮)ってなんじゃ!? (仮)って!?」
気にしない、気にしない……
「お姉様、地の文にツッコミを入れちゃダメなんだよ。ここは流してあげないと」
「うっ、ちょっと納得出来ないけど、まぁ良しとしておくわ。それで、フランの願い事はないのかい?」
「う~ん……まだ考え中だよ」
「そんなもの、ぱっぱと書いちゃいなさいよ。何でも良いのだから。何なら、たくさん書けば良いじゃない」
「良くないよ。一年に一回しか叶えられない願いなんだから、願い事は一つにしないと。それに、願いを叶えられるように、自分も努力をしないといけないんだよ」
「な、何だってぇぇぇぇ~~!?」
背景に雷が落ちたかの様な驚きを見せるレミリア。フランが今までこんな風に努力をしようなどと考えた事があっただろうか。否、そんな事など全く考えなかった。
「流石です、妹様!」
すると、咲夜がハンカチを目に当てて涙を拭く。
「立派な意見だよ、妹様」
パチュリーがフランの頭を撫でてあげる。
「凄く感動しました、フランお嬢様」
小悪魔は拍手をしている。
「素晴らしいです、妹さ……あべしっ!」ピチューン
門番の紅美鈴がフランの手を握ってあげた瞬間、ピチュられました。さっきの短冊の願い、まだ根に持っているみたいです。
「本当、どこかの吸血鬼さんにも聞かせてあげたい言葉だよね、レミィ?」
「あははは……何を仰っていますかな、パチュリーさん。このレミリア・スカーレット。願い事は一つにしていますよ」
「いや、あのデカいのはどうかしらね」
未だに目立っているレミリアの短冊。しかも、さっきよりもバージョンアップしています。短冊の端にライトが取り付けていまして、ピカピカと光っています。
「あ、あれは、わ、私じゃないわよ! リトルが勝手に付けたのよ! 全く、リトルったら」
「人の使い魔の所為にしてるんじゃないわよ。あんたが取り付けろと言ったんでしょう」
騒ぐレミリアとパチュリー。
「よし! 出来た!」
そんな中、フランは漸く書き終わって、短冊を笹に括り付ける。
「何を書かれたのですか、妹様?」
「えへへ……秘密だよ」
咲夜の質問に答えなかったフランは、今も言い合っているレミリアとパチュリーに抱きついた。
「ちょっ、フラン!?」
「えへへ……お姉様、パチェ……大好きだよ」
笑顔でそう言ったフランを見て、レミリアとパチュリーは顔を真っ赤になっていった。
「咲夜さん。フランお嬢様は一体、何を書いたのでしょうか?」
「さぁ、それは聞かないであげましょう」
「そうですね」
咲夜と小悪魔はフラン達のいる所に向かった。笹に飾ってある短冊達。その中には、こう書いてある物があった。
『みんなの事が、これからも大好きになれる様に頑張れますように。フランドール・スカーレット』
(了)
紅魔館の廊下を暇そうに歩いていたフランドール・スカーレットが、メイド長の十六夜咲夜が何かを持っているのに気が付いて声を掛けた。
「あぁ、妹様。これは笹と言うまして、七夕に使い物なのです」
「七夕?」
聞きなれない言葉にフランは首を傾げる。
「私も詳しくは分かりませんけど、七月七日に、この笹にお願い事を書くと言う風習が、外の世界にはあるのだそうです」
咲夜は簡単に説明してあげると、フランはキラキラと目を輝かせる。今まで地下に閉じ込められていたフランにとって、面白そうな事であるからだ。
「願いって、どんな願いでも良いの?」
「はい、良いみたいですよ」
咲夜は笑顔で答えてあげると、笹と一緒に持っていた小さい長方形の色紙を、フランに数枚渡した。
「この短冊と言う紙にお願い事を書いて下さい。皆さんのが出来ましたら、一緒に吊るしますので」
「うん、分かった。ありがとう、咲夜」
フランは手を振りながら廊下を走っていく。咲夜もフランを見送ってから、自分の仕事に戻る。
「それでパチェ。結局、七夕って何か教えて」
紅魔館の一角にあるヴワル魔法図書館にやってきたフランは、ここの主であるパチュリー・ノーレッジに訊いてみた。
「咲夜からそれなりの事を聞いたのではないの?」
「咲夜に詳しい事を聞くより、パチェに聞いた方が良いかなと思って。パチェ、物知りだし……ちょっと知ったかぶりだけど」
「知ったかぶりとか言うなぁ!」
自分の知識を知ったかぶりだと言われて怒るパチュリー。
「ぱ、パチュリー様! 抑えて、抑えて下さい!」
パチュリーの怒りを抑えようとするパチュリーの使い魔である小悪魔。
「まったく……七夕の事よね」
どうにか落ち着いたパチュリーを見て、フランは笑顔で首を縦に振る。
「七夕と言うのはね、本来はちょっとした悲しい物語なのよ。天帝の娘である織姫と、働き者の彦星と言う男が結婚したまでは良いが、結婚してから全く働かなくなってしまった事で天帝様に怒られて、天の川を隔てて二人を引き離してしまったの。そして一年に一度の七月七日だけ二人が会う事が許されたの」
「ふ~ん……でも、それと短冊にお願いするのと関係があるの?」
「二人がその日に会える様に願いをかけて、それが叶うと言う事で、人々はそれにお願い事をするという風習を作ったのよ」
「そうなんだ……でも、一年に一度しか会えないなんて、ちょっとロマンチックだけどね」
そう言ってフランは微笑む。昔の自分は姉のレミリア・スカーレットと数年に一度しか会えるかどうか分からなかったからだ。もっとも、今はもう大丈夫である。
「だけど、妹様。注意しておきたい事があるのですけど」
「何?」
「願い事と言いましても、一年に一度しか会えない織姫と彦星に因んで作られた風習です。ですから、書かれた願い事は一年に一回しか願いを叶えてもらえないという事になりますので、その辺りをご注意してください」
「えっ? そうなの? 何だ……」
フランは口を尖らせる。何でも叶うと言うからには、本当に何でもと思っていたからだ。
「だから、あそこに書いてある事は決して書かない様にね」
パチュリーが指差した方を見ると、咲夜が持ってきた笹を、小悪魔が笹に短冊を付けている所である。そして、その中にとても目立っている短冊が一枚ある。金色に光っていて、他の短冊よりもかなり大きな短冊でこう書かれてある。
『カリスマ・カムバック! BYレミリア』
「お。お姉様……」
フランは我が姉の情けない物を見てしまい、溜め息を吐く。
「ね、分かったでしょう? 恥を曝す様なものだからちゃんと考えておいて下さいね」
「うん、分かった。でもその前に、ちょっと見てくるね」
フランは準備をしている小悪魔の所に行った。
「ねぇ、リトル? これって、お姉様以外のもあるの?」
レミリアの短冊以外にも飾っているのを見て、フランは小悪魔に訊いてみた。
「そうですよ。咲夜さんや美鈴さんのもありますよ。もちろん、私とパチュリー様のも」
「見ても良い?」
「良いですよ」
小悪魔から許可を貰って、フランは笹に飾ってある短冊を見て回る。妖精メイド達のもあり、『ケーキをたくさん食べられますように』とか、『お仕事が上手く出来るようになりたい』とか、『紅白や黒白に倒されないように』など、色々なお願い事が書かれていました。
「ん?」
フランは笹の奥に一枚の短冊を見つけた。
『れみりあをたおせますように』
「……誰? どこの妖精メイドかな?」
色々ツッコミを入れたい所があるが、下剋上する気満々の妖精メイドがいる事に少しだけ面白いと思ったフラン。
「さて、咲夜とかのも見てみるか」
フランは短冊の中から咲夜と美鈴、パチュリーや小悪魔の短冊を探す。
「咲夜のは……あった。えぇと、何々? 『お嬢様の願いが叶いますように』か。流石咲夜だね」
主を想うその心は正にメイドの鑑であるとフランは納得する。しかし、フランは見逃さなかった。咲夜が書いた短冊には人の目では決して見えないぐらいの字が書いてある事に。
『次回作、自機として復活出来ますように』
それを見たフランは、ちょっとだけ涙を流して、見なかった事にしようと考える。
「きっと叶うよ。ファイトだよ、咲夜……」
心からエールを送ったフランは次の短冊を探す。
「あ、これは美鈴だね。『東方人気投票、今度こそ上位に上がれますように』……潰すぞ、コルァ……」
門番にちょっとキレかけるフラン。そして、キュッと能力を使って、美鈴の短冊をバラバラにしてしまった。
「さて、次は……おっ? パチェの発け……ん?」
フランは隠れていたパチュリーの短冊を発見した。しかし、魔法陣しか書かれていなかった。恐らくこれは魔法陣で文字を隠しているのだ。
「そいや!」
フランは人差し指で魔法陣を壊した。この程度なら、フランの破壊能力でちょちょいのちょいらしい。
「えぇと……『こあを(ピー)したり、(ピー)して(ピー)したい』……」(『ピー』の部分は、訳あって削除させてもらいました)
フランは見てはいけないものを見てしまった。顔を真っ赤にして、そっと元に戻してあげた。
「ぱ、パチェとリトルって、そんな関係だったんだ……知らなかった……」
小悪魔をそっと見てみると、鼻歌をしながら作業をしている。
「んっ? どうかされましたか、フランお嬢様?」
自分に視線を向けているフランに気付いて声を掛ける小悪魔。しかし、先程の短冊の内容を見たフランは頬を少しだけ赤めて、何でもないよと告げる。小悪魔は少しだけ首を傾げてから自分の仕事に戻った。
「さてと、次は……あ、リトルの見つけた」
気を取り直して小悪魔の短冊を発見して、先程の事を忘れようと思って確認する。
『紅魔館の皆さんが、ずっと元気でいてくれますように』
小悪魔らしいと言えば、らしいのだけど……
「いつも思うのだけど、リトルって本当に悪魔なのかな? もしかして、悪魔のフリをした天使って言われても納得出来るよね。んっ? 裏に何か書いている」
よく分からなかったが、小悪魔の短冊の裏に何か書いてあった。
『本作で、もう一度出演出来ますように……してくれなかったら……クスクス……』
「怖っ! り、リトル、怖すぎっ!」
「えっ? 私がどうかしましたか?」
「う、ううん、何でもない、何でもないよ」
「そうですか……」
また首を傾げて自分の仕事に戻る小悪魔を見送るフラン。吸血鬼で幻想郷のデストロイヤーとも言われているフランでさえ、あの文字には恐怖を感じた。だって、所々に血の様な紅い点が付いているのだから。
「や、やっぱりリトルは悪魔だ。うん、悪魔だね……天使がこんな事を思わないよね。あは、あははは……」
先程の言葉を撤回したフラン。まぁ、誰でもそう思いますよね。
さて、他のも全て見てきたフランですが、まだ自分がどんな事を書くのかが決まらない。
「悩むなぁ……」
「あら、フラン。まだ書いてなかったの?」
すると、フランの姉にして紅魔館の主(仮)でもあるレミリア・スカーレットが現れた。
「(仮)ってなんじゃ!? (仮)って!?」
気にしない、気にしない……
「お姉様、地の文にツッコミを入れちゃダメなんだよ。ここは流してあげないと」
「うっ、ちょっと納得出来ないけど、まぁ良しとしておくわ。それで、フランの願い事はないのかい?」
「う~ん……まだ考え中だよ」
「そんなもの、ぱっぱと書いちゃいなさいよ。何でも良いのだから。何なら、たくさん書けば良いじゃない」
「良くないよ。一年に一回しか叶えられない願いなんだから、願い事は一つにしないと。それに、願いを叶えられるように、自分も努力をしないといけないんだよ」
「な、何だってぇぇぇぇ~~!?」
背景に雷が落ちたかの様な驚きを見せるレミリア。フランが今までこんな風に努力をしようなどと考えた事があっただろうか。否、そんな事など全く考えなかった。
「流石です、妹様!」
すると、咲夜がハンカチを目に当てて涙を拭く。
「立派な意見だよ、妹様」
パチュリーがフランの頭を撫でてあげる。
「凄く感動しました、フランお嬢様」
小悪魔は拍手をしている。
「素晴らしいです、妹さ……あべしっ!」ピチューン
門番の紅美鈴がフランの手を握ってあげた瞬間、ピチュられました。さっきの短冊の願い、まだ根に持っているみたいです。
「本当、どこかの吸血鬼さんにも聞かせてあげたい言葉だよね、レミィ?」
「あははは……何を仰っていますかな、パチュリーさん。このレミリア・スカーレット。願い事は一つにしていますよ」
「いや、あのデカいのはどうかしらね」
未だに目立っているレミリアの短冊。しかも、さっきよりもバージョンアップしています。短冊の端にライトが取り付けていまして、ピカピカと光っています。
「あ、あれは、わ、私じゃないわよ! リトルが勝手に付けたのよ! 全く、リトルったら」
「人の使い魔の所為にしてるんじゃないわよ。あんたが取り付けろと言ったんでしょう」
騒ぐレミリアとパチュリー。
「よし! 出来た!」
そんな中、フランは漸く書き終わって、短冊を笹に括り付ける。
「何を書かれたのですか、妹様?」
「えへへ……秘密だよ」
咲夜の質問に答えなかったフランは、今も言い合っているレミリアとパチュリーに抱きついた。
「ちょっ、フラン!?」
「えへへ……お姉様、パチェ……大好きだよ」
笑顔でそう言ったフランを見て、レミリアとパチュリーは顔を真っ赤になっていった。
「咲夜さん。フランお嬢様は一体、何を書いたのでしょうか?」
「さぁ、それは聞かないであげましょう」
「そうですね」
咲夜と小悪魔はフラン達のいる所に向かった。笹に飾ってある短冊達。その中には、こう書いてある物があった。
『みんなの事が、これからも大好きになれる様に頑張れますように。フランドール・スカーレット』
(了)
咲夜さんの願いが叶いますように
流石キチガイフランドールだな
レミリアの短冊みたいに「それは呆れる」って事もしていないし、フランの順位が圧倒的に低いからかと思えば美鈴より上だし。
もしも二人が親密で、咲夜がレミリアに対する願いを書いてるのに美鈴は自分についてしか書いて無い事に怒ったとかなら、まだ納得出来たかもしれません。
こういうノリのネタを使う時は配慮しまくった方がいいかもな
自分の好きなキャラの扱いが悪いと、本気で激昂する層がいるから気をつけよう
俺個人としては、多少無茶をしてでも楽しい作品にしようという気概は好きだぜ
これからも頑張ってくれ
元々1人だけ一切登場させず、タグにも書かれずなんだから美鈴いじめの為の作品ってわかるだろうに
内容も美鈴をいじめればネタに成るって典型的な物だしな