ひゅうとつむじ風が巻き起こって、私の行く手を阻む。
ぶつからないように軌道を逸らして、旋回しながら地上へ降りていく。
「……よっと」
地上に降りた私を追って、つむじ風の方も付いてくる。
まあ、なんの事無い、『侵入者』を追い返しに来た、ただの天狗である。
もっとも、『侵入』しているつもりなんか全然無いんだけどね。単に恋人に会いに来てるだけで。
でも天狗達に言わせるとそうもいかないらしいのよね。少なくとも建前上は。
全く面倒な連中よね。
でも、こうやって会ってしまえば、こっちのもの。
さあ文……って、あれ?
「毎度毎度ご苦労様です」
「……んー? 文は居ないの?」
「文は所用ですぐには来れません」
風の中から現れたのは、思って居た天狗とは大分違っていた。
髪は黒じゃなくて白だし、文はこんな仰々しい剣や盾なんか持ってないし、こんな犬っぽい耳は無いし。有ったら一日中触り倒してるわ。
えっと、椛だったかしら。よく文と一緒に居るから、何となくは覚えてるんだけど。
「なので『応援』が来るまでは私がお相手します」
「……また面倒なことやってのね」
「あなたが文に会いに来なければ済む話です」
「それは出来ない相談だわ」
大体事情は飲み込めた。
私から文に会いに行く時は、『侵入者』の私を文が追い返しに来るという建前になっているんだけど、その文がすぐには来れない。
なので、代理で彼女が場を持たせに来たと言うことらしい。
本当に面倒な連中よね。
「期待はしてませんよ」
呆れた顔で、諦めたように。
ちょっと腹立つわね。
「で、その『応援』とやらはいつくるの?」
あんたの辛気くさい顔をずっと見てるなんて勘弁して貰いたいんだけど。
「すぐに来るなら、私がこうして出てきたりはしませんよ」
うんざりしたように吐き捨てられる。
いつかみたいに霊撃でぶっ飛ばしてあげましようか?
「全く、こんなに山に押しかけて来るのは初めてですよ」
「悪かったわね」
「今までの文様の恋人はもっと大人しかったんですけどねぇ」
「……文の恋人ー?」
地雷ね。って頭で思う前に体が反応していた。
居ない訳が無いとは思ってたけど、実際に居たと言われると、気になってしまう。
聞いても後悔するだけなのはわかってるけど、聞かずには居られないのが人間なのよね。
「ええ。昔から人間好きで何人も女作ってますね。相手が死んでしばらくしたら、また次の相手を感じに」
「ふーん……」
「でも、山まで押しかけて来たのはあなたが初めてですよ」
「普通の人間に山は危ないものね」
何人も……ね。
へぇ……私にも嫉妬なんて感情有ったのね。自分でも驚きだわ。
まあ、もう死んでる人間に嫉妬しても仕方ないんだけどね。
「山が危なくない人間こそ来て欲しくないのですが」
「だから、それは出来ない相談よ」
口を尖らせると、やれやれと肩をすくめる。
「山には山のやり方があるって事は覚えておいてくださいよ」
「はいはい」
だからこうやって待ってあげてるんじゃない。
「さて、そろそろ『応援』が来るようですので、私は退散しますね」
「ん」
私には何も見えないんだけど。
でも、もう行っちゃったわね……。
信じて待つしかないわね。
「あや……」
ぼーっと空を見上げてみても文の姿はまだ見えない。
ひとまず木陰に腰を下ろして、枝の隙間から覗く青空を見つめる。
「山には山のやり方……ね」
文……恋人が死んだら次の相手を探すのも『山のやり方』だって言うの?
「あややや。こんな所に居ましたか」
「ん……」
仰向けに寝転がった木陰が濃くなって、顔を上げれば、人を喰った笑顔がそこに有った。
やっと来たのね。遅いわよ。
「すみません、遅くなりました。ちょっと抜けれない会議が有りまして」
「……別に」
こっちが押しかけてるわけだし、少しぐらいは待つわよ。
『山のやり方』に付き合って。
「なんだか元気が有りませんけど」
「いつもこんなもんよ」
「そうですか」
「そうよ」
上半身を起こして、ぶっきらぼうに答えていると、スッと彼女がしゃがんで視線を合わせてくる。
「椛に何か言われました?」
「……何も」
びくりと体が強張った。
こちらを見つめる赤い瞳に何もかも見透かされているような気がして、ぷいと目を逸らす。
何か言われたとしか思えない反応に、自分でも心の中で苦笑する。
「なら良いんですけど」
だけど彼女はあまり気にした様子はなくて、私の隣に腰を下ろす。
並んでるのがちょっと気恥ずかしくて、後ろに体を倒すと、彼女も同じように寝転がる。
むわっと草の匂いが立ち上って、そこに混ざる彼女の微かな香りが私の心をくすぐる。
「ねぇ、文」
「なんですか、霊夢さん」
「私が死んだらまた新しい人探す?」
ちょっと沈黙があって。
「やっぱり、椛に何か言われたんでしょう?」
起き上がって顔を覗き込みながら、またその名前を出す。
またびくりと体が強張った。
「良いから答えてよ」
隠せた気がしない動揺をなんとか誤魔化そうと、語気を強める。
彼女は何か言いたそうな顔をしていたけど、私だって引き下がれない。
結局折れたのは彼女の方。
私の視界から消えて、とさっと隣に横たわる。
「それ、どういう答えを期待してるんですか?」
わがままな恋人への愚痴をこぼすみたいに言う。
っていうか、そのものよね、これ。
「あんたがどう答えるかよ」
本人に愚痴った罰として、一番対処に困る返しで追い詰めてあげる。
地雷はそんなに置いてないつもりだから頑張りなさい。
「ふむ……」
カサリと草がなって、彼女が黙り込む。
横目で盗み見ると、いつになく真剣な横顔が目の前に。
「っ――」
とくんと心臓が高鳴った。
どぎまぎしながらぎこちない動きで視線を戻す。
不意にこういう顔をするから、文はずるい。本当にずるい。
「そうですね」
まだドキドキがおさまらない横で彼女が口を開いた。
ちょっと待って。と思っているうちに、彼女の赤い瞳に見つめられていて、もう何も言えなくなってしまう。
「一生霊夢さんのことを愛しますよ」
一瞬時間が止まったみたいに感じた。
ワンテンポ遅れて文の言葉が入って来て、じわじわ体温が上がってくる。
「そ。ありがと」
ちょっと声が震えた気がした。
顔も多分赤いんだろう。見えないけど、そんな気がする。
体がすごく熱い。
……って、なんであんたはそんな平気な顔してられるのよ。
この程度は言い慣れてるってことなの!?
「顔近い」
「ああ、すみません」
パッと彼女が飛び退く。
彼女の顔が見えなくなるのはちょっと名残惜しいけど、あのままだと私が保ちそうになかった。
また隣に寝転がったのを音と気配で確認してから大きく息を吸って深呼吸。
息を吐くと、緊張がすーっと抜けて頭の中がクリアになっていく。
隣からクスクス笑い声が聞こえるのが、ちょっとしゃくだけど。
「……何よ」
「いえ、別に」
横目で睨むと、笑いながら視線を向けて、
「可愛かったですよ?」
平然とそんな事を言ってのける。
「バカ言ってんじゃないわよ」
絡んだ視線を解いて、枝越しの空を見上げる。
なんでこんなのにドキドキしなきゃいけないのよ……っ。
っていうか、さっきのだって全然答えになってないじゃない。
結局次の人探すかどうかには答えてないし。
曖昧に誤魔化して傷付けないように。ってことなの?
それが『山のやり方』? あんたの答え?
だったら私にも考えがあるわ。
「文……」
「な、なんでしょう?」
起き上がって彼女の上に覆い被さって。
……これ、やる方も恥ずかしいわね。
やっぱり、文は何度もこういう事やってるのよね。
私の知らない所で。
「私も、一生文のことを愛するわ」
人間止めて、あんたの一生分ね。
あんたの答え通りにはしてあげるわ。
でも、あんたの思い通りにはさせないわよ?
「あ、ありがとうございま、す?」
ぎこちなく文が答える。
頬を赤らめて、少し視線を泳がせて。
もしかて、さっきの私もこんな顔をしてたのかしら。
だったらあの文の反応も分かるわね。
これは可愛すぎるわ。
「……っていうか、何ですかこの流れ?!結婚式でも始まるんですか?!」
「始める?」
「始めます?」
結婚……私と文が?
考えたこと無かったけど……ちょっと良いかもね。
結婚したら当然一緒に暮らすんだから、こんな面倒な事せずに、堂々と会えるもの。
あ……でも、どっちがお嫁さんなのかしら?
女の子同士だとちょっと困るわね。
「健やかなる時も?」
「病める時も?」
「愛することを?」
「誓います?」
「誓いなさいよ」
「ちょっと待ってください。なんで宣誓することになってるんですか!?」
何よ。途中までノリノリだったのに。
疑問形だったけど。
「じゃあ『愛します』ってのは嘘なのね」
「そ、そうじゃないですけど……ああっ、分かりましたっ。誓います! 博麗霊夢を愛すると誓います!」
ちょっと涙目になりながら、彼女が誓いを立てて
「私も……射命丸文を愛すると誓うわ」
応えて私も誓いを立てる。
なんだかくすぐったいやり取りね。
これを人前でやるなんて、色々吹っ切らないと難しそうだわ。
「誓いの口付け?」
「する?」
「するんですか?」
「するわよ」
支えの腕を曲げて、そっと顔を寄せて。
『待って!?』とか『心の準備がっ』とか喚く煩い口を塞ぐ。
あんたは私だけ見てればいいの。
この私が、あんたの一生に追いついて。
それで、あんたを一生愛してあげるんだから。
「……ねぇ、霊夢さん」
「なぁに?」
「私たちが結婚するとしたら、どっちが婿になるんでしょうか?」
「んー……そうだわ、文」
「なんです?」
「私が婿になるから、文には次代の博麗の巫女を産んで欲しいわ」
「っ――え、えっと……次代の巫女が卵から生まれて良いならっ」
ぶつからないように軌道を逸らして、旋回しながら地上へ降りていく。
「……よっと」
地上に降りた私を追って、つむじ風の方も付いてくる。
まあ、なんの事無い、『侵入者』を追い返しに来た、ただの天狗である。
もっとも、『侵入』しているつもりなんか全然無いんだけどね。単に恋人に会いに来てるだけで。
でも天狗達に言わせるとそうもいかないらしいのよね。少なくとも建前上は。
全く面倒な連中よね。
でも、こうやって会ってしまえば、こっちのもの。
さあ文……って、あれ?
「毎度毎度ご苦労様です」
「……んー? 文は居ないの?」
「文は所用ですぐには来れません」
風の中から現れたのは、思って居た天狗とは大分違っていた。
髪は黒じゃなくて白だし、文はこんな仰々しい剣や盾なんか持ってないし、こんな犬っぽい耳は無いし。有ったら一日中触り倒してるわ。
えっと、椛だったかしら。よく文と一緒に居るから、何となくは覚えてるんだけど。
「なので『応援』が来るまでは私がお相手します」
「……また面倒なことやってのね」
「あなたが文に会いに来なければ済む話です」
「それは出来ない相談だわ」
大体事情は飲み込めた。
私から文に会いに行く時は、『侵入者』の私を文が追い返しに来るという建前になっているんだけど、その文がすぐには来れない。
なので、代理で彼女が場を持たせに来たと言うことらしい。
本当に面倒な連中よね。
「期待はしてませんよ」
呆れた顔で、諦めたように。
ちょっと腹立つわね。
「で、その『応援』とやらはいつくるの?」
あんたの辛気くさい顔をずっと見てるなんて勘弁して貰いたいんだけど。
「すぐに来るなら、私がこうして出てきたりはしませんよ」
うんざりしたように吐き捨てられる。
いつかみたいに霊撃でぶっ飛ばしてあげましようか?
「全く、こんなに山に押しかけて来るのは初めてですよ」
「悪かったわね」
「今までの文様の恋人はもっと大人しかったんですけどねぇ」
「……文の恋人ー?」
地雷ね。って頭で思う前に体が反応していた。
居ない訳が無いとは思ってたけど、実際に居たと言われると、気になってしまう。
聞いても後悔するだけなのはわかってるけど、聞かずには居られないのが人間なのよね。
「ええ。昔から人間好きで何人も女作ってますね。相手が死んでしばらくしたら、また次の相手を感じに」
「ふーん……」
「でも、山まで押しかけて来たのはあなたが初めてですよ」
「普通の人間に山は危ないものね」
何人も……ね。
へぇ……私にも嫉妬なんて感情有ったのね。自分でも驚きだわ。
まあ、もう死んでる人間に嫉妬しても仕方ないんだけどね。
「山が危なくない人間こそ来て欲しくないのですが」
「だから、それは出来ない相談よ」
口を尖らせると、やれやれと肩をすくめる。
「山には山のやり方があるって事は覚えておいてくださいよ」
「はいはい」
だからこうやって待ってあげてるんじゃない。
「さて、そろそろ『応援』が来るようですので、私は退散しますね」
「ん」
私には何も見えないんだけど。
でも、もう行っちゃったわね……。
信じて待つしかないわね。
「あや……」
ぼーっと空を見上げてみても文の姿はまだ見えない。
ひとまず木陰に腰を下ろして、枝の隙間から覗く青空を見つめる。
「山には山のやり方……ね」
文……恋人が死んだら次の相手を探すのも『山のやり方』だって言うの?
「あややや。こんな所に居ましたか」
「ん……」
仰向けに寝転がった木陰が濃くなって、顔を上げれば、人を喰った笑顔がそこに有った。
やっと来たのね。遅いわよ。
「すみません、遅くなりました。ちょっと抜けれない会議が有りまして」
「……別に」
こっちが押しかけてるわけだし、少しぐらいは待つわよ。
『山のやり方』に付き合って。
「なんだか元気が有りませんけど」
「いつもこんなもんよ」
「そうですか」
「そうよ」
上半身を起こして、ぶっきらぼうに答えていると、スッと彼女がしゃがんで視線を合わせてくる。
「椛に何か言われました?」
「……何も」
びくりと体が強張った。
こちらを見つめる赤い瞳に何もかも見透かされているような気がして、ぷいと目を逸らす。
何か言われたとしか思えない反応に、自分でも心の中で苦笑する。
「なら良いんですけど」
だけど彼女はあまり気にした様子はなくて、私の隣に腰を下ろす。
並んでるのがちょっと気恥ずかしくて、後ろに体を倒すと、彼女も同じように寝転がる。
むわっと草の匂いが立ち上って、そこに混ざる彼女の微かな香りが私の心をくすぐる。
「ねぇ、文」
「なんですか、霊夢さん」
「私が死んだらまた新しい人探す?」
ちょっと沈黙があって。
「やっぱり、椛に何か言われたんでしょう?」
起き上がって顔を覗き込みながら、またその名前を出す。
またびくりと体が強張った。
「良いから答えてよ」
隠せた気がしない動揺をなんとか誤魔化そうと、語気を強める。
彼女は何か言いたそうな顔をしていたけど、私だって引き下がれない。
結局折れたのは彼女の方。
私の視界から消えて、とさっと隣に横たわる。
「それ、どういう答えを期待してるんですか?」
わがままな恋人への愚痴をこぼすみたいに言う。
っていうか、そのものよね、これ。
「あんたがどう答えるかよ」
本人に愚痴った罰として、一番対処に困る返しで追い詰めてあげる。
地雷はそんなに置いてないつもりだから頑張りなさい。
「ふむ……」
カサリと草がなって、彼女が黙り込む。
横目で盗み見ると、いつになく真剣な横顔が目の前に。
「っ――」
とくんと心臓が高鳴った。
どぎまぎしながらぎこちない動きで視線を戻す。
不意にこういう顔をするから、文はずるい。本当にずるい。
「そうですね」
まだドキドキがおさまらない横で彼女が口を開いた。
ちょっと待って。と思っているうちに、彼女の赤い瞳に見つめられていて、もう何も言えなくなってしまう。
「一生霊夢さんのことを愛しますよ」
一瞬時間が止まったみたいに感じた。
ワンテンポ遅れて文の言葉が入って来て、じわじわ体温が上がってくる。
「そ。ありがと」
ちょっと声が震えた気がした。
顔も多分赤いんだろう。見えないけど、そんな気がする。
体がすごく熱い。
……って、なんであんたはそんな平気な顔してられるのよ。
この程度は言い慣れてるってことなの!?
「顔近い」
「ああ、すみません」
パッと彼女が飛び退く。
彼女の顔が見えなくなるのはちょっと名残惜しいけど、あのままだと私が保ちそうになかった。
また隣に寝転がったのを音と気配で確認してから大きく息を吸って深呼吸。
息を吐くと、緊張がすーっと抜けて頭の中がクリアになっていく。
隣からクスクス笑い声が聞こえるのが、ちょっとしゃくだけど。
「……何よ」
「いえ、別に」
横目で睨むと、笑いながら視線を向けて、
「可愛かったですよ?」
平然とそんな事を言ってのける。
「バカ言ってんじゃないわよ」
絡んだ視線を解いて、枝越しの空を見上げる。
なんでこんなのにドキドキしなきゃいけないのよ……っ。
っていうか、さっきのだって全然答えになってないじゃない。
結局次の人探すかどうかには答えてないし。
曖昧に誤魔化して傷付けないように。ってことなの?
それが『山のやり方』? あんたの答え?
だったら私にも考えがあるわ。
「文……」
「な、なんでしょう?」
起き上がって彼女の上に覆い被さって。
……これ、やる方も恥ずかしいわね。
やっぱり、文は何度もこういう事やってるのよね。
私の知らない所で。
「私も、一生文のことを愛するわ」
人間止めて、あんたの一生分ね。
あんたの答え通りにはしてあげるわ。
でも、あんたの思い通りにはさせないわよ?
「あ、ありがとうございま、す?」
ぎこちなく文が答える。
頬を赤らめて、少し視線を泳がせて。
もしかて、さっきの私もこんな顔をしてたのかしら。
だったらあの文の反応も分かるわね。
これは可愛すぎるわ。
「……っていうか、何ですかこの流れ?!結婚式でも始まるんですか?!」
「始める?」
「始めます?」
結婚……私と文が?
考えたこと無かったけど……ちょっと良いかもね。
結婚したら当然一緒に暮らすんだから、こんな面倒な事せずに、堂々と会えるもの。
あ……でも、どっちがお嫁さんなのかしら?
女の子同士だとちょっと困るわね。
「健やかなる時も?」
「病める時も?」
「愛することを?」
「誓います?」
「誓いなさいよ」
「ちょっと待ってください。なんで宣誓することになってるんですか!?」
何よ。途中までノリノリだったのに。
疑問形だったけど。
「じゃあ『愛します』ってのは嘘なのね」
「そ、そうじゃないですけど……ああっ、分かりましたっ。誓います! 博麗霊夢を愛すると誓います!」
ちょっと涙目になりながら、彼女が誓いを立てて
「私も……射命丸文を愛すると誓うわ」
応えて私も誓いを立てる。
なんだかくすぐったいやり取りね。
これを人前でやるなんて、色々吹っ切らないと難しそうだわ。
「誓いの口付け?」
「する?」
「するんですか?」
「するわよ」
支えの腕を曲げて、そっと顔を寄せて。
『待って!?』とか『心の準備がっ』とか喚く煩い口を塞ぐ。
あんたは私だけ見てればいいの。
この私が、あんたの一生に追いついて。
それで、あんたを一生愛してあげるんだから。
「……ねぇ、霊夢さん」
「なぁに?」
「私たちが結婚するとしたら、どっちが婿になるんでしょうか?」
「んー……そうだわ、文」
「なんです?」
「私が婿になるから、文には次代の博麗の巫女を産んで欲しいわ」
「っ――え、えっと……次代の巫女が卵から生まれて良いならっ」
個人的には文が婿
良い甘さのお話でした
ちゅっちゅ;
}
for(;;){
printf("ちゅっちゅ");
}
return 0;
}
あとポインタもエロい
次代の巫女が卵から生まれて何が問題なのでしょうか。いいえ、問題であるはずがないっ!
あやれいむで寿命ネタって珍しいような。
口調やら考え方は強気なわりに、文のことを想ったり文を目の前にしたりすると至って普通な乙女な感じになったりする霊夢が可愛いです。
文に昔恋人が居たことに驚き。でも文は霊夢が生まれる前から生きているわけだから、それも当然といえば当然なのですよね。
単にあやれいむがキャッキャウフフするだけではなく、前半は文未登場で代わりに椛が登場することで文に会えない霊夢の恋心を増幅させ、さらに椛の口から文の昔の恋人のことを語らせることで霊夢の嫉妬心を煽る、これらのことによって後半の展開がより深いものになっている。良い構成ですね。
答え通りにはするけど、思い通りにはならない。この言葉遊びみたいな言い回しが面白いです。
結婚式の宣誓がなぜか洋風なのも、和風なようでいてわりとなんでもありな幻想郷らしくていいです。
怒ったり拗ねたり嫉妬したり文の横顔に見とれたり、ドギマギしている霊夢の心情がしっかり伝わってきました。
どっちが婿でも私は受け付けます
卵生巫女がいてもいいよね