Coolier - 新生・東方創想話

ゆるげどもよもやぬけじのかなめいし(前半)

2011/06/24 21:22:38
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博麗神社
梅雨入り真近
快晴
昼下がり

拝殿の奥、一段高くなった本殿に向かって左右には、奥から手前に、木に布を張った簡素な椅子が並ぶ。
右側の列に腰掛けるのは、手前から聖白蓮、伊吹萃香、八雲紫、古明地さとり、博麗霊夢。
左側に並ぶのは、同じく手前から西行寺幽々子、蓬莱山輝夜、レミリア・スカーレット、洩矢諏訪子、八坂神奈子。
拝殿にも所狭しと椅子が並べられ、本殿にいる各勢力の従者や関係者を中心に、その数二十余名。藤原妹紅、上白沢慧音、風見幽香など、勢力に属していない有力者も顔を連ねる。その間を忙しなく写真撮影をしながら動き回るのは烏天狗の射命丸文。どこで用意したのか取材、と書かれた腕章を左上腕部に付けている。その拝殿の真ん中は人が通るための通路を作り、左右に別れている。

時間まで、あとしばし。

「よくもまあ、これだけの面子を集めたものね。いくら貴方でも、さすがに苦労したのではなくて?」
「ん?いや全部ってわけじゃないさ。むしろ私が集めた方が少ないよ。あんまり関わり合いが無いからって言ってた竹林の連中とか、昼だから外出渋ってた吸血鬼とかぐらいかな。あと幽香と紫もだね。」
「私は最初から来るつもりだったわよ?」
「いや、紫のことだから昼寝して寝過ごしでもしないか心配でさ。」
「まあ、心外ですこと…。」

紫の隣に座るさとりが二人の会話を聞いてクスッと笑みをこぼす。

「それにしたって、よく集まったものよ。彼女には悪いけど、そこまでの人望があるとは思えないですわ。」
「酷い言い様だな?。ま、否定はしないけどさ。基本的にみんなヒマしてるから、いい暇つぶしじゃない?あとは招待状の文面かな?紫にも渡したじゃん、招待状。」
「私は心から楽しみにして参りました!何せこの様な催し、滅多に見られるものではありません!きっとよい勉強になるでしょう。」

瞳をキラキラ輝かせながら、聖白蓮が話に割り込んでくる。本当に心から楽しみにしているのはさとりでなくともよくわかる。というか、ちょっと萃香も引いてしまうくらいのテンションである。

「ま、まあ、さすが仏門の徒っていったところかな。それだけ期待してもらえれば、あいつもやり甲斐があるってもんさ。」
「あ、でも私は破戒僧ですけどね!」
「ああ、そうかいそうかい(うう、絡み辛いなこの坊さん…)。」
「ああ萃香、招待状ってこれのことね。」

助け舟とばかり、紫が隙間から招待状を取り出す。

「そういえば私、まだ文面ちゃんと読んでなかったのよね。」
「じゃあどうやって来たのさ?」
「無論、式に任せて。どれ…
来る○月△日、□の刻より、博麗神社にて地鎮祈願の神楽奉納を行います。つきましてはご多忙の折とは存じ上げますが、是非ご観覧頂きますよう、心よりお願い申し上げます。
なお、その後におきましては当方主催の元、ささやかながら宴会を予定しておりますので、どうぞそちらも併せてご参加くださいませ。
発起人 ーーー」

ートンッ
ートンッ
ートンッ

前触れなく、太鼓の音が殿内に響き渡る。とはいえ普通の太鼓とはまるで違う、高くて澄んだ音。よく音の響く空間で、水面に雫を一滴落としたようなイメージの音。日常の空間から、非日常の空間へと手を引くための音。その場の全員を俄に沈黙させる音。
一定の感覚で鳴りながら、神社の奥から廊下を伝う。本殿脇を経て拝殿脇へ。突き当たりを右へ回り、神社正面から殿内へ。ゆっくりとした足取りで。
拝殿の入り口から先に姿を見せたのは、いつもの羽衣ではなく巫女装束に身を包み、太鼓を携えた龍宮の使い、永江衣玖。木戸の脇に立ち止まり、次に来る者を出迎える。
衣擦れの音と共に、彼女は居並ぶ皆の前に姿を現した。
その姿に、皆思わず一様に息を飲む。文が切ったシャッター音だけが、沈黙の中に一度流れる。

腰までかかる蒼髪は首の後ろで一つに束ねられ、前髪には桃の花を模した飾りと、小さな桃色の珠をあしらった冠を装う。身に纏うのは、これまた桃の花と枝を銀色の糸にて刺繍した、巫女服の上に羽織った水干。けれども本来巫女服の赤い色である部分は、深い青に染められている。
透き通るような肌に塗られた白粉と、うっすら唇に引いた紅のせいか、いつもより大人びいて見える。左手に持つのは十個の鈴が揺れる短杖、左手に帯びるは、天界の法具、緋想の剣。

その場に居並ぶ者たちの視線をその一身に集め、今日の、そしてこの物語の主役である非想非非想天の娘、比那名居天子が今、舞台に上がる。

△▼△▼△▼△▼△▼

話は半月ほど前に遡る。

「ねぇ霊夢、このお茶なんだかすっごく薄いように感じるんだけど。」
「あー、もう何回目なのかしら。まあ出るだけありがたいと思いなさいよ。だいたいあんた、手伝いの一つもしないで何もしないでいつも座ってるだけじゃない。働かざるもの食うべからずよ。」
「いえいえ、私には荷が重すぎるわね、それ。君子危うきに近寄らずよ。ま、今度甘茶でも持ってくるわ。」
「はいはい、期待しないで待ってるわ。」
「むー、何よそれ…。」

いつものように博麗神社で霊夢と他愛ない話をしていると、天子が見たことのない人影がやってきた。青いワンピースを着て青白い長髪を風に揺らし、角ばった帽子を被っているその女性は、まず霊夢に向けて語りかける。

「こんにちは、博麗の巫女。随分と久しぶりだが、元気なようで何よりだ。」
「お久しぶりね。あんたがここに来るってことは、嫌な予感しかしないわね。」
「霊夢、この人は?」
「ああ、私から自己紹介させてもらおう。私は上白沢慧音。人里で寺子屋をしながら、人間たちの守護をやっている。」
「私は比那名居天子。天人よ。以後お見知り置きを、上白沢さん。」

初対面のくせにぞんざいな口調だな、と思いながら天子も自己紹介を返す。ぞんざいなのは自分もなのだがそんなこと気にしない。

「これはこれは天人さま。お会いで来て光栄です。あと、私のことは慧音で結構だ。」
「私も天子でいいわ。」

そう言いつつも、目の前にいるのが天子だとわかると慧音の眼光と声に、若干のトゲが混じる。そのことが天子をさらに不快にさせた。
慧音は霊夢の方を向いて言う。

「今日私がここに来たのは、巫女ではなくこの天人に用があるからなんだ。最近博麗神社に入り浸ってるという噂を耳にして、来てみれば本当に居たというわけだ。というわけで、彼女をちょっとお借りしてもよろしいかな?」
「あ?どうぞどうぞ。でもそいつ取扱い注意の超危険人物だから、迂闊に手出しすると危いわよ?」
「やっぱりそうか。まあだからと言って私も大事な用事があるのでね。いいかな?天子。」
「ちょっと!なに二人して勝手なことばっかり言っちゃってるわけ?」

思わず声を荒げる天子。こいつは何かいけ好かない。初対面の挨拶から気に食わなかったが、さらに輪をかけて随分勝手なことを言ってくれる。霊夢の煽りも余計癇に障った。このままでは、腹の虫が治まらない。スペルカードを取り出しながら身を宙に浮かせ、慧音に宣戦布告する。

「あったまきた!慧音!弾幕勝負であんたが私に勝ったら顔貸してやってもいいわ。万が一にもその可能性はないけどね!さぁ、そこに直りなさい。」
「ふん、どうやら評判通りの我儘で自己中なお方だったみたいだな。いいだろう、こんなこともあるだろうとは思っていたさ。」

慧音も臨戦体制に入る。が、慧音が腰を落として飛び立とうとした目の前に、霊夢が割って入った。

「天子。」

お祓い棒で肩をトントンと叩きながら、ぶっきらぼうな表情で天子に話しかける。

「な、何よ霊夢。これからせっかくいいとこだったのに邪魔するつもり?なんなら二人まとめて相手してやるわよ?」
「また神社壊す気か。それに、慧音がこうやって来たってことは、何か大事な用事があるってことよ。仮にあんたが勝ったとして、それが解決されなかったら多分困ったことになると思うわ。」

天子と慧音、どちらとも戦った経験のある霊夢には、二人の実力はよくわかっている。慧音も決して弱いわけではないが、さすがに天子相手では分が悪すぎる。ここは仲裁に入る必要がある、と考えての判断だ。

「さすが博麗の巫女、話がわかる。というわけだ天子、ここは収めてくれないか。」

しかしこれで素直に振り上げた拳を降ろす天子ではない。むしろ火に油を注ぐようなものだ。

「どこまで自分勝手なわけ?ここで引き下がったら私の気持ちはどうすればいいのよ。安心しなさい。苦しまない様に一瞬でカタをつけてあげるから。」
「この…ええい、ままよーー」

「比那名居天子。」

さっきより怒気を含んだ、ドスの効いた霊夢の声。

「な、何よ。まだ何か言いたいことがあるわけ?」
「あんたがどうしてもやるってんなら、今後一切ここには立ち入り禁止にするわ。私の全力をあげて、あんた専用の強力な結界を張ってやるから。」
「えう…。」

天子の顔が一瞬にして曇る。

「どうなの?引くの?やるの?」

天子にとってそれは何よりも堪える宣言。退屈な天界から抜け出して、せっかく暇を潰せる場所と相手を手に入れたというのに、それを失いたくはない。それに、今はすっかり気を許している霊夢という相手に、そうやって拒絶されるのは辛い。ここでやっと、振り上げた拳を降ろすことになる。

「わかったわよ。ただし、あくまでも霊夢に免じて、なんだからね。」
「はいはい、わかればいいのよ。あとは二人で話してちょうだいな。」

悪態をつきながら縁側にドスンッと腰を降ろすと、天子の前に慧音が歩み寄る。

「先程は些か無礼な振舞い、失礼した。実は私も少々気が立っていてね。改めて、用件を聞いてもらえないだろうか。」
「ふんっ、わかればいいのよ。まあいつかこの続きはさせてもらうわ。で、言いたいことがあるなら早く言いなさいよ。」
「うむ、では人里までご足労願おうか。」
「え?…。」
「どうした?」
「ん~、いやちょっと…。」

人里、と聞いて露骨に歯切れの悪くなる天子。地上に来るようになってしばらく経つが、天界と真逆の俗世間そのものである人里は、多分に興味を引く対象ではあったものの、だからこそ何となく気恥ずかしい気がして天子にはまだ未踏の地であったのだ。そこにこのような形で赴くとは、思いも寄らぬ展開だった。

(げっ…)

思わず視線を逸らした先に見えたのは、天子のそんな心情を見透かしたのだろうか、鬼の様に恐ろしい霊夢の視線。いや、萃香や勇儀の顔を思い浮かべれば、彼女らの方が余程優しい顔をしている。この期に及んで慧音の申し入れを断れば、どんな行動に出るかわかったものではない。ここは素直に従う他ない。焦りを気取られないように気をつけて、慧音に向き直る。

「わかったわ。じゃ、案内してちょうだい。」
「わかった。では早速。」
「じゃあちょっと行ってくるわ。またね、霊夢。」
「行ってくる、ってあんたの家じゃないんだから。次来るときはちゃんと甘茶持って来なさいよ。」

(期待しないって言ってたじゃない。あ、でもまた来ていいってことよね)

霊夢に見送られ、二人は人里へと向かったのだった。

人里へは博麗神社から西に、歩いて行けば4?50分ほどかかる距離にある。飛んでいけば5分ほど。このときはやたら慧音が飛ばしたのでもっと短時間で到着した。飛行中、お互い無言のまま言葉を交わすことはなかった。降り立ったのは、簡素な木造だが人一人住むには十分な大きさである慧音の自宅。居間に座り、茶を淹れに台所に入った慧音を待ちながら、天子は体に伝わるある違和感を感じ取っていた。

(ん~、なんだろ。やたらあちこち気質が漏れてるような…?)

「お待たせしたな。天人に対して相応しいもてなしなどできないが、この場は勘弁してほしい。」
「別に気にしなくていいわよ。お茶出してもらっただけでも良しとしてあげる。さっきはやたら薄いの飲まされたし。」
「そうか。まああの巫女じゃしょうがないだろうね。では早速、本題に入るとしようか。実はこの一月ほど、里のあちこちである異変が起きていてね。」
「ある異変?異変なら巫女の領分じゃなくて?」
「まあ聞いてほしい。それというのも、二月ほど前から、人里のあちこちで、急に地面が陥没したり、逆に盛り上がったりする現象が多発していてね。今のところわかっているだけで12箇所にもなる。その中には畑に大きな穴が空いて農作業に支障が出る人や、一昨日はとうとう、民家の床下の地面が盛り上がって、床が抜ける事故が起きた。で、いろいろ調べていたら、去年から幻想郷に姿を現すようになった天人が、地震を起こす力を持っていて、博麗神社を壊したこともあるというじゃないか。それで、今回の異変と関係があるんじゃないかと思って、さっきに至る訳なんだが、心当たりはお有りかな?」
「ああ、そういうことだったのね。それでさっきから変な感じがしてるのね。あーそうそう、大正解。関係大有りよ。」

こちらにとっては重大な出来事なのに、まるで他人事のように答えた天子に、つい慧音の頭に血が登る。人里では人格者として知られ尊敬を集める慧音だが、実はあまり気が長い方ではない。だがここはぐっと堪え、天子に相対する。

「ほう、どういったことか、説明してもらおうか。」

お茶を一口ずーっと啜ったあと、天子は答える。

「なかなかいいお茶じゃない。淹れ方も上手だわ。霊夢に教えてあげたいくらいね。」
「おい…。」
「まあそう力まない。まず、去年の夏、確かに私はあの神社を地震で壊したわ。だけどそれとは別に、もっともっと大きい地震を起こそうとしたの。そのために気質を大量に集めたわ。」

慧音は顔を引きつらせ、明らかな敵意を天子に向けながら聞いているが、天子にはそんなものお構いなしだ。

「で、私が地震を起こす手段っていくつかあるんだけど、そのとき使ったのは、断層…っと、ご存知かしら?断層。」
「ああ、知っている。」
「ならいいわ。その断層を使う方法ね。集めた気質をその断層に叩き込んで、いったん歪ませた後伸ばすことによって、大地震を発生させるの。まあ、あのときは神社に要石挿して止めたんだけどね。」
「それはわかったが、それとこれとどんな関係がある?」
「それは今から話すところよ。この幻想郷には一本断層が通っているわ。博麗神社から、この人里を抜けて西に真っ直ぐ。さっき気質を断層に叩き込んだって言ったけど、それは博麗神社の真下になの。で、神社には要石があるから、地震が起きずに溜まった気質が断層を通って神社から近いこの人里で漏れ出して、大地に影響が出てるってわけね。ここに降りてすぐ、あちこちで気質が漏れてる感じがしてたんだけどそのせいだったのね。多分、地面に異常があった場所を地図に表すと一本の線みたいにになるんじゃないかしら。」

天子は全く悪びれた様子もなく、平然と原因について慧音に伝えた。慧音はと言えば、正座したまま肩を怒らせて拳を握り、わなわなと震えている。

「ふざけるな!!全部お前のせいじゃないか!お前の身勝手な行動のせいで、たくさんの人間が困ってるんだ!お前の言うことが本当なら、これからも被害が出続けるってことだろ?冗談じゃない、今すぐ何とかしろ!」

激しい剣幕で怒鳴りつける慧音に対し、天子は思わず笑みをこぼしそうになっていた。はっきり言って人里の異変なんかどうでもいい。それよりさっきは霊夢に水を差されたが、今なら慧音は自分に乗ってくるだろう。いざ、楽しい弾幕勝負。

「よし、じゃあさっきの決着つけるとしましょう。貴方私にが勝ったら何とかしてあげるわ。だから頑張って向かってらっしゃいな。」
「こ…のっ!いいだろう。ボコボコにしてやるから表に出ろ!」

そう言って慧音は自宅を飛び出して、少し離れた広場の上で天子と向かい合い静止する。対する天子はこれからの決闘が楽しみでたまらない。さすがに笑みはこぼさずにいるが。

「五枚!」
「三枚!」
「いくぞっ…この我儘娘!」
「さあいらっしゃい地上の民。遊んであげるからありがたく思うのよ!」

ーーーー

結果は天子の圧勝だった。もともと実力差がある上に、完全に冷静さを欠いていれば慧音が勝てる道理は無い。最後は要石プレスの直撃を喰らい、今は気を失って木の下に倒れている。

「ん…ここは…そうか、お前っ!痛ッ!」
「ほらほら、頭打ってるんだから急に起き上がっちゃダメじゃない。もうちょっと安静にしてないと。」
「くっ、誰のせいだと思ってるんだ。」
「あー、慧音。さっきの話だけど、いいわ。この私が何とかしてあげる。」

腕を胸の前で組んで、片目だけを慧音の方に向けて言う。子供が悪戯を思いついたときのような表情を浮かべながら。

「一体どういう風の吹きまわしだ?まさかまた良からぬことを考えているんじゃなかろうな。」
「あら、失礼ね。まあいいわ。実は貴方が寝てる間にすっごくいいこと考えついちゃって。それで今すごく機嫌がいいのよ。」
「…なにか納得いかない気もするが、どうするつもりだ?」
「まあ、これまで沈下したり隆起したところについては、今から平らに均してあげるわ。これから起こる分に対しては…とりあえず今は対処療法的なことしかできないから、これまでの分と同じように引っ込んだのは上げて、出たのは平らにするわ。もし建物に被害が出たら、その補修もしましょう。そして…そうね、半月もあれば大丈夫か。半月経ったら、今回の異変を鎮めてあげるわ。ってとこでどうかしら?」

天子は上機嫌で慧音に説明した。本当に、今にも踊り出しそうな雰囲気で。

「そこまでしてもらえるならいいが、信じていいんだろうな?」
「ふん、誰に物を言っているのかしらね。だいたいみんなして、私のことを地震起こすしか能がないみたいに思っちゃって。私の能力は地震を起こすことではなく、大地を操ること。我が比那名居家の本分も、地震を鎮めることこそが真髄なの。そこ大事だから。わかった?」

天子が自ら言ったように、かつて緋想の剣を持って集めた気質によって起こされようとした、幻想郷を崩壊させ得る大地震。それを博麗神社に挿したたった一個の要石によって、半永久的に止めてしまう力。数多の神々や大妖の中で、そんなことが可能な存在がどれだけいることだろうか。それこそが、天子の隠れた誇りである。

「そこまで言うなら信じよう。やっと体も動けるようになったみたいだし、また私と一緒に来てもらおうか。」
「妖怪ってのも貧弱で大変そうね。じゃあま、とっとと行きましょ。」

二人は再び人里へと向かう。慧音の先導で着いたのは、大きな畑の中。サツマイモの蔓を脚で掻き分けて少し進むと、直径3メートル程の穴があった。深さはだいたい5メートルはあろうか。

「はあ、これね。確かに気質がここから漏れたのを感じるわ。」
「で、ちゃんと元に戻せるんだろうな?」
「はいはい、お安い御用。まあちょっと見てなさいな。」

そう言って掌を穴の方に向けて力を込めると、二人の立つ地面が細かく震えだす。と、ゴゴゴゴという地鳴りのような音と共に穴の中から元の地面がせり上がる。慧音が呆気に取られている間に、すっかり畑は元の姿を取り戻していた。穴の形に引きちぎられた芋の蔓だけが、そこに穴があったことを証明している。

「はい、一丁あがり。どう?よく見ててくれたかしら。」

驚きのあまりすっかり呆けている慧音を見て、気を良くした天子が自慢気に語りかける。

「あ、ああ。なんて言うか、もっと手間のかかることかと思っていたよ。こんなにすぐ終わるなんて。いやはや、想像以上の力だ。」
「ふふ、やっとわかってもらえたみたいで嬉しいわ。さ、とっとと次に行きましょう。」

その調子で残りの場所を全て元通りにし終えたころには、陽もだいぶ西に傾いていた。

「あ、慧音。」
「ん、なんだい?」
「地図ある?ここの。」
「ああ、ある…というか、今持っている。」
「ちょうどよかった。じゃあちょっと貸して。」

慧音から地図を受け取って広げる。

「えーっと、あれはココで、畑はココだから…うんうん…やっぱ一直線で…よし…」

と言いながら、何処かから取り出したペンで地図に何やら書き込む。

「一体なにを?」
「まあこれをご覧なさい。大地に異変が起こった場所を書き込んだのよ。ほら、こうやって東から西に向かって、線になってるでしょ。」
「確かに…だとすると、次に危険なのはここら辺か。」
「そうそう。だからそこの人たちには警戒するように言っておくといいわ。それじゃ、暗くなっちゃう前に私は帰るわ。ちゃんと明日も来てあげるからよろしくね。」
「ああ、何事もなければいいが、もしものときはお願いする。それでは。」

人里を後にし、天界の自宅へと向かいながら、天子は今後の計画を頭の中で練っていた。

「んーと、あのときのアレがアレくらいだったから、今回もコレくらいは必要ね…。てことはやっぱりコレはこの程度…。あっちはこっちでなんとかするとして、急ぐのはこっちの方ね…。後は…アレの手配もしなきゃね…。半月なんてあっという間に来ちゃうわ。一日の猶予も許されないわね。」

天界の自宅に帰り着いて、早速出席者のリストと、招待状作りに取り掛かる。

「……と、……、それとこっちは……。わ、すごい面子ねこれ。えーっと、招待状の文面は…これを付け加えておけば多分大丈夫よね。みんな大好きだし。さて、じゃあ今日のうちに仕上げちゃいましょう。」

そうして筆と便箋を取り出し、一枚一枚書き上げていく。その他にもいくつかの作業を終えた後、天子はいつもより遅く眠りについた。

─次の日─

天子の澄んだ声が、まだ誰も目覚めぬ天界に響き渡る。

「萃香!萃香!」
「う…まだ薄暗いじゃないか。なんだいこんな朝っぱらから…。」

有頂天にある桃の木の根元で伊吹瓢を抱えて眠っていた萃香は、突然天子に両肩を掴まれて前後左右にガクガクと揺さぶられ、強引に夢から現に引きずり出された。

「萃香にお願いしたいことがあるんだけど、それより先に、今から衣玖と新聞記者の烏天狗を呼んでほしいの。」
「いやもうちょっと寝かせて。星が綺麗だったから、それを肴に遅くまで飲んでたから…。」

半分閉じた目で萃香が答える。その様子を見れば十人中九人は遠慮するだろうが、萃香にとっては残念ながらその例外が天子である。

「ダメダメ、早く起きて!ほら善は急げっていうでしょ?時は一刻を争うのよ!」
「いや私には今の天子が善どころかすっごく悪者にしか見えないんだけど…。」
「じゃあしょうがない、こんな手段は取りたくなかったけど…。」
「いや要石しまって。」

そう言われ、天子は頭上に両手で振り上げた要石をしぶしぶしまう。

「じゃあお願い!」
「はいはい。」

ニコニコしながら隣に座る天子を恨めしげに見つつ、萃香は能力を発動させて衣玖と文を呼び寄せた。

「はい終了。」
「ちょっと、何も起きてないけど本当に二人とも来るんでしょうね?」
「何か起きるのは二人が来る時だから…それまでもうちょっと寝かせて…。」
「あ、もう!」

ある種の理不尽さを感じつつ、萃香はつかの間の眠りについた。

─数十分後─

「うむむ、なぜか早起きしてしまって、そうだ散歩にでも行こうと思ったら、なぜか無意識の内にどんどん高いところに登ってしまいました。で、こんなに空の上に広い土地があるということは、ここが噂の天界ですか。巫女や白黒からはあまりいい話を聞いた試しのない場所ではあるのですが…おや?」

萃香に呼び寄せられた文が独り言を呟きながら天界にやって来ていた。その視界に、見たことのある二つの人影が映る。

「あ、本当に来たわ!おーい、こっちよ天狗!」

なんと、あの迷惑な天人がこっちを向いて満面の笑みで手を振っているではないか。それを見て文は思考を巡らせる。

(あの天人の様子、まるで私がここに来るのを待っていたかのような…。ということは、伊吹様とグルになって私を呼んだ、ということで辻褄があいますねぇ。はっきり言って嫌な予感しかしませんが、伊吹様の能力を考えるとここで逃げるのはあまり得策ではない気もするのですが、さてどうしたものか…。)

「ちょっと、なにしかめっ面してるのよ。いい記事のネタがあるんだから早くそこに座りなさいな。」
「あややや、記事のネタですと!」

記事のネタ、と言われれば新聞記者の血が騒ぐ。もちろん不安もないわけではないが。
とはいえとりあえず天子に言われるままに座ることにした。

「ようこそ天界まで。衣玖も来るからもうちょっと待っててね。」
「どうやら何か企んでいらっしゃるみたいですねぇ。」
「なんかその言い方だと私が悪いことするみたいじゃない。まあ確かにある計画を立てたんだけど、今回は前みたいなのとは違うわよ。で、それを実行するためにあなたに協力をしてもらおうと思って。」
「ほほう、それはどういった内容で?」
「それは衣玖が来たらみんなの前で話すわ。あなたに協力してもらう内容もね。」
「ふむ、それではお待ちしている間、知る人が全て貧しいと言う天界の食事を取材させていただいてよろしいでしょうか?」
「なんか失礼な言い方ね、まあ事実ですけど。ていうか、その貧しい食事はここにある桃のことよ。いくらでもあるから好きなだけ食べていいわよ。」
「では早速お一ついただきます。」

文はそう言うと、桃を一つちぎってかじりついた。

「う~ん…、不味くはない。不味くはないのですが、水っぽいですねぇ。少なくとも私はこれを毎日食べるのは苦痛に感じますね。」
「私はそれしか食べるものが無いからもう慣れたけど、こっちに来て最初はあなたの言う通り苦痛で仕方なかったような気がするわね。だから地上に降りるようになってから、食べ物が全部美味しくて逆に困っちゃうのよね。いっぺん贅沢を知っちゃうと、もう貧しい生活はできないみたいな。」
「ふむふむ、それはそれで大変ですねぇ。それにしても、私天人の生活にもちょっと興味が出てまいりました。記事のネタになりそうなので、よろしければ今度取材させてもらってよろしいでしょうか?」
「まあ考えとくわ。その前に今回のことを…と、やっと衣玖が来たわ。」

向こうから衣玖がふわふわと飛んできた。顔には明らかにうんざりした表情を浮かべている。

「やっほー、衣玖。」
「気紛れに飛んでいたらやたらと高いところに向かうと思っていたら、総領娘様の仕業でしたか。萃香様のお力をお借りになったのですね。」
「うふふ、来てくれて嬉しいわ。じゃ、萃香!起きて。」

と、天子は再び萃香の両肩を掴んでガンガン揺らす。

「う~…、なんだもうみんな集まったのか。」
「萃香様、心中お察しいたします。」
「さすがだね。この状況がわかるなんて。」

空気を読んだ衣玖が萃香を慰める。

「はいはい、じゃあ説明するわよ。みんな聞いて。まず、昨日博麗神社にいたらね─」

天子は昨日博麗神社と人里での事の顛末を一部始終説明した。

「─で半月後に何とかするって、慧音と約束した訳なのよ。」
「その事情はわかりましたが、総領娘様はいったいどうなさるおつもりなのですか?」
「うん、今回の大本は、博麗神社の地下に溜まってる気質だから、それを取り除かないといけない。というわけで、別な気質をぶつけて中和させるわ。」
「そんなことができるのですか?というか、気質が原因ということは緋想の剣で吸い取ればいいのでは?」
「それができたら苦労しないわ。地下に入って時間が経ってるから、龍脈と混ざって性質が変わってしまって緋想の剣じゃ吸収できないの。だから中和させる気質もそれに合うように変化させないと駄目ね。まあそんなに難しいことじゃないから大丈夫。で、本題はむしろこれからよ。ただこの間のように気質をあちこちから集めるだけじゃ時間がかかって効率が悪いから、そのために…。」
「そのために…とおっしゃいますと?」
「幻想郷中の力のある神や人妖たちを一か所に集めて、一気に気質をいただくの。もうそのための面子も考えてあるわ。で、せっかくそれだけ集めるんだから、華を添えようと思って。」

天子はここで話をわざわざ区切って勿体つけるようなそぶりを見せる。黙って聞いている三人との温度差は、今の天子には伝わらないだろう。もとより他人の感情に無関心な性格である。

「ここは一つ、神楽奉納の形にしようと思って!」
「えーと、誰が神楽を舞うの?」
「もちろん私よ。」

「「「はぁ??」」」

三人は同じ反応を返す。それも当然のこと。天人である天子が、神社で神楽を舞うことなどまったくもって予想外のことだ。

「失礼ですが総領娘様。」
「何よ、衣玖。」
「できるのですか?それ。」

当然の疑問を衣玖は問いかけた。それを聞いた天子は少し不満げに答える。

「当たり前じゃない。できるからそう言ってるの。まあ、別に意味もなく舞うわけじゃないわ。その状況で神楽を舞うことで、自らの霊力を高めてより儀式の成功率を高めるの。それに、せっかく名のある面々が集まってくれるんだから、華の一つもないとさすがの私でも申し訳ないわ。」

おお、総領娘様にも他人に対し申し訳ないなどという感情が芽生えたのですね、との言葉を、衣玖はぐっと飲み込んだ。

「天子さん天子さん、一つ聞いてよろしいでしょうか?」

ずっと黙って話を聞いていた文が口を開いた。天子はそれに対し一つ首をかしげて続きを促す。

「それで、私たちが呼ばれたのはなんのためでしょうか?」
「そうそう、皆にやってほしいことはね、まず天狗、あなたにはこれを配ってほしいの。」

と言って天子は足元に置いていた手提げ袋から、封筒を一つ取りだした。表には、美しい毛筆の楷書体で『招待状 八坂 神奈子様』と書いてある。それを文に見せた後、また袋に戻し今度は袋ごと文に渡す。

「なんかいっぱい入ってますけど、これ全部配るのですか…。」
「私じゃ居場所を知らない連中が多いからね。その点貴方なら顔も広いし、飛ぶのも速いから短時間で配り終えられるもの。もちろんただでとは言わないわ。」
「あややや、もしかして記事のネタって。」
「そう。配ってくれるお礼に、貴方に今回の独占取材権を与えるわ。天人が神楽を舞って、見物人は幻想郷の有力者たちなんて、最高のネタだと思うわ。」
「なるほど、確かに興味深いのです。こうしてネタの方からやってくるなんてほとんど無いことですし、この話、乗りましょう。」
「ありがとう。あ、その袋の中、貴方達のも入ってるから自分の取ってね。」
「なんと、どれどれ…。」

文は自分、萃香、それに衣玖の名前が書かれた封筒を取り出し、二人に手渡した。

「てか天子、この話、昨日思いついたって言ってたよね。」
「ええ、そうだけど?」
「ということは、昨日の夜用意したってこと?」
「そうだけど、それが何か?」
「ふ~ん、そういうことね。」
「なるほど、それで総領娘様。」
「何よ何よ、みんなして私の顔覗き込んでニヤニヤして。言いたいことがあるなら言えばいいじゃない。」
「では、萃香様からどうぞ。」

衣玖から促され、萃香は咳払いを一つ入れて言う。

「天子、目の下にくまができてるよ。」

思いもかけないことを指摘され、天子の顔がみるみる赤く染まる。

「っ~~~~~~~~~~~!」

「ふふ、夜遅くまで一人で書いてたなんて、可愛いところあるじゃない。」
「総領娘様、よほどお気持ちが昂っておられたのですね。」
「これはこれは、写真機を忘れたのが悔やまれますねぇ。」

天子は両手を握りしめ、顔をうつむけてわなわなと震えている。数百年生きてはいるが、心はまだあどけない少女の部分が多く残っている。こうやって外見のことを言わるのは、さぞかし屈辱だっただろう。

「そんなことはどうでもいいの!天狗!あなたはもう早くそれを届けてちょうだい。他の二人には今から話をするから良く聞きなさい!」

精いっぱいの強がりを見せる天子だが、三人はニヤニヤが止まらない。文はその表情のまま、飛び立つ姿勢を取った。

「では、私はこれで失礼します。半月後を楽しみにしていますよ。」
「ふん、ちゃんと配るのよ!えーっと、それで…。」

バツが悪そうな顔で二人を見ながら、拳を握っていた両腕を胸の前で組む。

「衣玖には、神楽のときに太鼓を叩いてもらうわ。」
「太鼓ですか。」
「半月で笛が吹けるようになる?」
「太鼓ですね。」
「そうやって面倒くさそうな顔しないでよ。貴方のそんなところ、本当に見かけによらないわね。半月しかないから、毎日私と練習するわよ。と言っても私も忙しいから、そんなに時間は取れないのだけど。」
「はあ、どうやら私に選択肢は用意されてないようですね。まあ総領娘様の神楽にも多少興味はありますし、お供させていただきましょう。それにしても、総領娘様のお口から毎日忙しい、などと聞けるとは。」
「何か私がすごい暇人のような言い草ね。ま、それも含めて暇つぶしなのよ。せっかくやるからには楽しみましょう。じゃ、次ね。」
「いよいよ私の番ってわけかい。」

すでに萃香はしっかり目を覚ましているようだ。さっきから黙っているときは大抵酒を呑んでいたので、フラフラしてはいるが。

「そうね、貴方には、打ち上げに宴会するからその準備をお願いしたいの。
私が主催するわけだから、今まであったどんな宴会より、これ以上ない豪華なものにしてほしいわ。食事とお酒以外にも必要なものがあったら全部用意するから。かなりの大人数になるから、不備のないようにしてね。」
「なあんだ、そんなことかい。ま、任せてな。」
「あともう一つ、念のため全員確実に来るようにしてほしいの。招待状を送ったとはいえ、必ず来るとは限らないからね。」
「ならば最初から萃香様に全員集めてもらえばよかったのでは?」
「わかってないわね、衣玖。こういうのは形式が大事なのよ。最初からそんなことしたら趣もなにも無いじゃない。私が呼びかけて、皆が来るって形じゃないと納得のいくものにはならないわ。わかる?」
「はあ、まあわかったようなわからないような、ですね。」
「とにかく引き受けたよ、天子。ちゃんとやってやるさ。約束しよう。」
「ありがとう、萃香。お礼にとびきりの古酒をあげるわ。うちの蔵で三百年は寝かせてある秘蔵のやつ。」
「わ、貰えるなら貰うけど、そんなにたいした仕事じゃないよ?」
「何言ってるの。何かしてもらったらお礼するのは当たり前でしよ。とにかく、二人ともそういうことでよろしくね。」
「任せときな。鬼は約束を守るぜ。」
「承知しました、総領娘様。」
「じゃ、私は今から下界に行ってくるから。お昼すぎには帰ってくるから、衣玖はそれくらいにここに居てね。」

そう言って、天子は天界を後にして下界に降りていった。

まず向かったのは、博麗神社。
全く躊躇も遠慮もすることなく、裏庭から戸を開けて霊夢を呼ぶ。

「霊夢!いる?」
「あ、来た!ちょうどよかったわ。」

ちょうどすぐの居間で、霊夢は座って茶を飲んでいた。口ぶりからすると、天子が来るのを待っていたようだ。天子はブーツを脱いで上がりこもうとする。

「霊夢、一つ相談があるんだけど。」
「私もあんたに話があったんだけど、どうせこれのことでしょ。」

霊夢は手元に置いてあった紙をヒラヒラと天子の目の前に突き付けて揺らした。天子の視界に映るのは、昨日自分でしたためたあの招待状。

「あ、もう届けてたんだ。あの天狗いい仕事するじゃない。そういうことなら話は速いわ。霊夢、この日神社使わせて。」
「なんつー事後承諾だか。てか、昨日の今日で全然話が見えないんだけど、あの後慧音と何があったか説明しなさいよ。」
「もう、過程はどうでもいいじゃない。二つ返事で了解してくれたらいいのに。」
「それでいい訳ないでしょうが。あんたはそれでいいかもしれないけど。」
「わかったわよ。こんなことならさっき霊夢も一緒に集めるべきだったわ。」

しぶしぶ天子はさっき天界でしたのと同じように、霊夢にも顛末を説明した。

「というわけよ。ね、いいでしょ?だからここ使わせて。」
「う~ん、まあ別に予定もないし、それで人里の異変が収まるならいいか。宴会もあんたが用意する訳だし、特に断る理由もなさそうね。」
「さすが霊夢ね。じゃ、当日はいろいろ持ちこむから、置き場所を確保しといてね。あと本殿と拝殿の掃除も!」
「それ私がやるの?そこまで面倒見切れないわよ。」
「いいじゃない。ま、ただでとは言わないわ。使用料の名目で、ちゃんとお礼はするから。」
「そう?そこまで言うなら仕方ないわね。喜んで貸してあげるわ。」
「貴方も大概現金な人ね…。ま、一応交渉成立。そういうわけだからよろしくね。じゃ、私は今から人里に行くから。」
「あら、今日は早いのね。いつもはもっと長居するのに。」
「うふふ、今の私は忙しいのよ。」
「あんたの口からそんな言葉が聞けるなんて。じゃあね、天子。」

(あ、甘茶忘れてた。まあ霊夢も覚えてなかったみたいだし、次持っていけばいいか)

こうして天子は慌ただしく博麗神社を後にし、次は人里にある慧音の家に向かった。

「慧音!慧音!」
「おいおい、そっちは玄関じゃなくて庭じゃないか。」
「空から見たらちょうど縁側に貴方が見えたからね。約束通り来てあげたわよ。」
「ああ、まだあれから新しい被害の報告は入ってないな。人里の人間には、何かあったら私のところに報告に来るように言ってあるからね。」
「あらそう。なら別に急いで来ることもなかったかしら。天界にいても大地の変化があったらわかると便利なんだけど。ところで新聞記者の天狗はここに来たかしら?」
「天狗なら来たよ。そしてこれを置いていった。」

そう言って卓袱台の上から例の招待状を手に取る。

「あの天狗、さすが仕事早いわね。任せて正解だったわ。」
「で、目を通させてもらったんだが、昨日の話と関係がよくわからないので説明してもらえるかな?」

慧音に説明を求められ、天子は面倒に思いながらも話し始める。本日三回目ということで、さすがにかなり煩わしい。

「ん…、掻い摘んで言うと、幻想郷の有力者達に来てもらって一気に気質を集める。集めた気質で神社地下の気質を中和する。神楽は華を添えるのと、私の神格と霊力を高めるため。終わったら宴会。以上。」
「え、ああ、まあわかった。とにかくそれによって、今の異変は収まるんだな?」

あまりに天子の説明が要約されていたためか、慧音は困惑した表情を浮かべている。それを見て、天子はなぜか勝った気になった。

「ええ、完全に収まるわ。それどころか、約束された大地震も起きなくなるわよ。失敗するようなこともないから、安心していいわよ。」
「なら天子、一つ聞かせてもらうけど。」
「いいけど、なに?」
「妹紅も連れて行っていいかな?天子は知らないだろう、妹紅のこと。」
「初めて聞く名前ね。どんな奴なの?」
「竹林に住んでいる私の友達の人間なんだが、ものすごく強いからきっと気質も集まるはずさ。」
「友達…か。ええ、いいわよ。強い人は多ければ多いほどいいもの。えっと、じゃあ私はこれで失礼するわね。」
「ああ、ありがとう。しかしずいぶん慌ただしいじゃないか。」
「ええ、いろいろ忙しいのよ。じゃ、またね。」

バタバタと、まるで逃げるように天子は慧音の家を後にした。妹紅のことを紹介した時に天子が一瞬だけ見せた寂しげな表情が、なぜか慧音には気になった。

─昼過ぎ─

衣玖は、天子に言われた通り朝居た場所に戻ってきていた。一応天子に従ってはいるものの、内心は半信半疑に思っている。天子のことを古くから知る衣玖にとっては、天子がこうして何事かを成そうとすることそのものが信じられないし、ましてや神楽を舞う姿など想像もつかない。とはいえ招待状を出してしまった以上は後戻りもできないだろう。では自分はどう振る舞うべきだろうか…そう考えていたところに、太鼓を抱えた天子がやって来た。太鼓とはいっても、随分と細長い形状をしている。鉢が見当たらないところをみると、手で叩くものであろう。

「お待たせ、衣玖。」
「いえいえ、私もちょうど来たばかりですので。」

本当は半刻ほどここにいたのだが、こんな場合は空気を読むことを忘れない。円滑に事を進めるコツである。

「そう、ならよかったわ。じゃ、早速練習始めるわよ。衣玖、これ叩いてみて。」
「え、私の練習ですか?」
「そうよ、こうやって叩くの。」

天子は軽くスナップを効かせて紐で肩から下げた太鼓を叩いてみる。衣玖の知るどの太鼓とも違う、高くて澄んだ音が天界に響いた。

「綺麗な音ですね…。」

思わず感嘆の台詞が衣玖の口を吐いて出る。

「どう?いい音でしょ。よくわからないけど尻尾がいっぱいあるらしい妖獣の革と、天界の桃の木で作った逸品よ。さ、叩いてみて。」

そう言いながら紐を肩から外し、太鼓を衣玖に渡す。衣玖はそのまま肩にかけ、胸の下に太鼓を構える。

「では…。」

先程の天子の手本のように、手首のスナップで叩いてみる。

『ポスゥン』

まるでさっきと同じ太鼓からとは思えない、間の抜けた音が一つ鳴っただけ。

「あ、あれ?」

口をぽかんと開けた衣玖を見て、天子はケラケラと笑った。

「衣玖、叩くときにちょっとだけ霊気を込めてみて。そうしたらちゃんと音が出るわ。」
「もう、それならそうと最初から言っていただければよろしいのに。」

天子から馬鹿にされたような気がして、衣玖は少し不機嫌になる。だがここは音が出せるようになるのが先決だ。気を取り直して、言われたとおりにほんの少しだけ手に霊気を込めて叩いてみる。

『トーン』

さっきの天子ほどではないが、耳に優しい澄んだ音。

「あ、なるほど…。」
「そうそう、上手いじゃない。その調子なら大丈夫ね。」
「私としては普通の太鼓でよろしいのですけど。」
「今回はこの太鼓じゃないとだめなのよ。普通の太鼓じゃ私に釣り合わないわ。」
「そう、それですよ総領娘様。」

突然何かを思い出したかのように、天子の方に身を乗り出して衣玖は言う。

「ふぇ?」
「総領娘様の神楽を拝見させてくださいませ。」
「え、今?」
「今です。私がこうして太鼓を叩くからには、その対象である総領娘様の神楽を見ておかないことには始まらないと思うのですよ。」

さっきまでの半信半疑を少しでも解消するための確認を衣玖は試みた。もちろん純粋に天子の舞を見たい気持ちもあったが、それ以上に心のモヤモヤをそうすることでぬぐい去りたかったのだ。しかしそれは、気紛れでプライドの高い天子の機嫌を損ねてしまったようだ。

「わかったわよ。にしても、衣玖は私のこと信用してないのバレバレね。本当に空気を読めるんだったら、自分のことももうちょっと上手く隠せないの?」
「いえ、決して信用してないなどということは…。」
「別に誤魔化さなくていいのよ。どうせ最初からわかってたことなんだから。」

他人の感情にはほとほと無関心なくせに、どうしてこんなことには勘がいいのだろう。このお方はほんの少し接しただけで相手の本質を見抜いてしまうことがある。自分とて、他人に対しては無関心ではあるが、誰が相手であろうと同じ扱いしかできない自分とは根本的に違う気がする。自分も漢文とやらを読めばいいのだろうか。否、それは恐らく、龍宮の使いたる性質から離れることのできない自分には絶対に真似できないもの。
二の句を継げず、衣玖は口をパクパクと開け閉めしてしまう。それを見て、天子は楽しげな表情を取り戻した。

「あはは、なんて顔してるのかしら。それまるで魚じゃない。あ、本当にもともと魚だったわね。」
「いえいえ、確かにリュウグウノツカイという魚はいますが、私はその魚にまつわる伝承から産み出された妖怪であって、厳密には無関係です。」
「まあいいわ、どうせしなきゃいけないことだし。とりあえずそこに座って。今から舞ってあげるから、よく見ておきなさい。」

天子はそう言って目を閉じた。
両腕を体の横に地面と水平に伸ばし、ゆったりと脚を運ぶ…





三分ほど経って舞いを終える。静かに足を止め、両手を腰の前で合わせ、形式通りの礼をする。

「ま、簡単だけどこんなもんよ。本番はもちろんもっと長いけどね。」
「総領娘様…。」

衣玖は何も言えないでいた。今の感情を表現する言葉はいくら探しても出てこない。それでもなんとか必死で捻り出す。

「…これは本気でやらざるを得ませんね。」
「何よそれ?」
「私のせいで総領娘様に恥をかかせるわけにはいけませんので。」

衣玖は先程までの自分が大きな思い違いをしていたことに気付いた。この比那名居天子という人物は、尊大かつ傲慢極まりなく、自信に満ちている。だがしかし、それに見合うだけの実力を、確かに持っているのだ。ときに彼女の言動に幼さや身勝手さがかいま見えることはあっても、その本質は強者の中の強者であり、ほんの一握りの存在にのみ許される特質だ。直接の関わりは少なかったにせよ、天界に住む衣玖は天子がそれを得てきた過程を知っていた。根拠の無い自信など、天子が持つはずがない。ならば自分は何も疑うことなどなかったはずだ。衣玖は、自分の間違いを恥じてさえいた。
端的に言えば、天子の披露した僅か数分の舞は、それまでに衣玖の心を乱し、捉え、突き動かした。

「やっとやる気になってくれたわね。じゃ、今日は音を出せるようになりましょう。」
「そうですね、それが先決かと。それにしても、一体どこで身につけられたのですか?」
「ま、昔は神社の娘でしたから。」
「なんか納得できません…。」

こうしてこの日は日没まで叩き続け、衣玖はなんとか天子の納得を得ることができたのだった。

一方、天子が書いた招待状は、文によってその日のうちに全ての相手へ送り届けられた。

紅魔館
「咲夜様、新聞記者の烏天狗がこんなものを。」
「招待状?お嬢様と、パチュリー様と、私と貴方宛…差出人は書いてないわね。開けたらわかるかしら。」
「では…へぇ、神社で神楽奉納、って、えええええ!?」
「これはまた意外な人物からね。ひとまず美鈴は持ち場に戻って。私はパチュリー様に伝えてくるわ。お嬢様にもお目覚めになられたらお伝えしなければ。」
「了解!では。」

白玉楼
「幽々子様、射命丸さんから何やら招待状を預かったのですが。」
「あらあら何かしら、珍しいわねえ。誰からなの?」
「それが書いてなくて。開けてみますね。」
「私にも見せてちょうだい。」

「幽々子様、これは一体?」
「彼女の考えることなんて、私にわかるわけないわ。でもどう転ぶにしても、きっと面白いことになるはずよ。うふふ、楽しみじゃない。」

永遠亭
「あ、師匠、姫様と師匠と私とてゐ宛に招待状が来てます。」
「そう、見せて。…………比那名居天子って、優曇華は面識があったわね?」
「はい。去年地震で神社を壊した天人ですね。その人から招待…ですか?」
「ええ。貴方もこれをご覧なさい。」
「はい。…………えーっと、私にはいまいち意味がわからないのですが。確かに理解しがたい言動をとる方なのですけど。」
「そうねぇ、とりあえず輝夜にも相談してみましょうかしら。」

守矢神社
「神奈子様!諏訪子様!」
「なんだい早苗、騒々しいねぇ。」
「あ、神奈子様。さっき射命丸さんがこれを持って来まして。天子さんが神楽奉納するからその招待状です。」
「天子って、この間早苗が桃貰ったっていう天人のことだったかね。」
「そうです。でも神楽だなんて、そんなことする方でしたっけ。」
「なになに…へぇ、宴会もあるのかい。もちろん行くだろ、神奈子、早苗。」

地霊殿
「さとり様~。」
「あらお燐。なになに、へぇ、天狗が招待状を。で、天人が神楽奉納、あとは宴会、と。なるほど。こいしには私が知らせておくわ。お空には…何も言わずに連れて行けばいいでしょう。」
「なんだかよくわかんないですけど、さとり様が行くなら私もお供しますよ。」

命蓮寺
「ご主人!天狗がこんなものを届けに来たよ。」
「ああご苦労様です、ナズーリン。どれ、なになに招待状。…………ひぇ、天人様からだって!ナズーリン、私は聖のところに行きますから皆を集めて下さい。」

「聖、これは…。」
「………なるほど、神社で天人様による神楽奉納とは、俄に理解しにくいですね。しかしそんな催しは滅多に見られるものではないでしょう。もとより天人様にお目にかかる機会すら普段は滅多に無いのですから、仏門に帰依している身としては、誠に幸運と言うべきでしょう。何も迷うことはありません。半月後を楽しみに致しましょう。」

魔法の森
「よおアリス、わざわざ来てやったぜ。」
「あら魔理沙、別に私は来てほしくはないわよ。」
「まあそう言うなって。お前のところには天子からの招待状は届いたかい?」
「ええ、さっき天狗が持ってきたわ。あの地震野郎、何を考えているのかしらね。」
「それは霊夢に聞いたらわかるかもな。にしてもアリス、天子のこと嫌いなのか?」
「苦手ね。大体あのいつも上から目線が気に入らないわ。それに私の人形操作に指図するなんて、一体何がわかってるって言うのよ。」
「はは、まあとにかく私は行くぜ。楽しいことになりそうだからな。」
「ふん、勝手にしなさいよ。」


翌日の朝、天子が訪れたのは天界で一番と評判の仕立て屋。といっても比那名居家は既にここのお得意様であるのだが。そこで巫女装束を注文した。当然そんなものを頼む客は天子が初めてだったので、仕立て屋の主人は大層驚いた。打ち合わせに少々時間がかかったが、天子としては今回は全て最高のものを用意するつもりなのだ。天衣無縫の巫女装束など、二つと無い逸品である。
仕立て屋での用事を終え、その脚で茶屋へ行って甘茶を買い込み、下界へ降りて博麗神社へ。霊夢に茶葉を渡して、本殿直下の地面に挿してある要石を通じ、地下に溜まっている気質の調査。これを読み違えるとうまく中和できないのだ。要石に手を当てて慎重に探り、体に感覚を覚えさせた。
次は人里へ。慧音に会うと地面が陥没したと伝えられたので、そこへ向かい能力を使って元に戻す。そうこうしながら夕方になる前には天界へ戻る。昨日と同じ場所で、衣玖と一緒に、と言うよりも天子の稽古は別に必要無いので、衣玖の稽古をする。音は出るようになったので、今度はそれを天子の舞に合わせて鳴らす。譜面は無いので全て覚えないといけない。衣玖に神楽の心得があれば、天子は太鼓の音に合わせて舞を変えられるらしいのだが今回は当然無理な話。いい加減に叩くだけでは駄目なのだから。
この日も日没まで稽古をして、一日が終わる。

そんな日々を繰り返し、特に大きな問題もなくあっという間に半月が過ぎ去った。本番を明日に控え、天子と衣玖は最後の稽古を終えたところだ。

「いよいよ明日ね。衣玖ももう十分上達したわ。明日も練習通りにやれば大丈夫よ。」
「私も柄になく必死でしたからね。まあ、しかしー」
「しかし、なに?」
「こういうのも、なかなか楽しいものなのですね。」
「なによそれ。」

衣玖の笑顔につられて天子も笑顔になる。

「まあ、確かに私も退屈しなかったわね。去年自分で異変起こしたときとはまた違った楽しさがあったわ。あれと違って、今回はいろいろ行ったり来たりしたからかしらね。」
「一言言わせてもらえれば、今回の件も去年から連なる総領娘様の壮大な自作自演ですけどね。」
「ちょっと、この雰囲気でそんなこと言うかな。そりゃまあ、否定はしないけどさ。」

そう言って、衣玖と二人でクスッと笑いあった。石に腰掛けて座る二人の頬を、柔らかい風が撫でていく。少し冷んやりしていて、上気した肌に心地いい。天子は一つ深呼吸して、大きく息を吐き出した。
そうして目をやった視線の先で、霧が発生したかと思うとみるみるうちに実体化し、人の形をとる。萃香の登場だ。

「やあやあ、明日が本番ってことで、首尾を伝えにきたよ。」
「やっと来てくれたわね。あまり顔見せないから心配したわよ。で、準備はもう万端なの?」
「心配御無用さ。任せとけって言ったでしよ?鬼は嘘をつかないよ。全員来るようにしておいたのと、宴会の用意もばっちりさ。」
「ということは、全部これで大丈夫ってことね。後は明日を迎えるだけ、か。」
「そういや、そっちはどうなの?踊りとか。」
「それは私が全力で保証致します。」

いつになく言葉に力を込めて衣玖が強調した。天子と萃香は思わず苦笑いしてしまう。

「それじゃ、明日の成功を祈って乾杯といきますか。」
「いや、あんたの酒じゃ微醉を通り越して二日酔いになりかねないから。」
「総領娘様、ちょうどここにいいものが。」

どこから取り出したのか、衣玖は両手に酒瓶と盃を二つ持っていた。

「あらあら、用意のいいこと。じゃあま、一杯いただくとしますか。」
「なら私が音頭とらせてもらおうかね。今までの準備と、明日の成功に、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
こちらでは初投稿になります。
とりあえず諸処の都合により前後半に分けさせていただきました。
キャラ愛だけで書き始めてしまったので書きながら自分の文才のなさに辟易していましたが、なんとか頑張って完結させたいと思います。
ご指摘や苦情等ございましたら慎んで拝聴いたしますのでよろしくお願いします。

6/25タイトル修正しました。お恥ずかしい。
GH3
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コメント



0.350簡易評価
3.70ラビィ・ソー削除
太鼓の描写がおもしろかったです。
慧音の自宅の下りも緊張感あってよかった。
後編に期待してます。
5.90玖爾削除
手堅い書き方で、安定した文章でした。
このまま崩さなければ、直に持ち味というか、強い武器に出来ると思います。
で、ここからはごく個人的な好みの話になるので、てきとーに聞き流してください。
中盤からならともかく、序盤(例えば、衣玖の服装の描写)からこの密度で書き詰めてあると、話に入りづらいように感じます。
書き始めは話の流れを重視して、描写も中・終盤に比べて軽めに入ると読み安さ、親しみやすさが上がるかもしれません。

以上、長々と好き勝手言わせて頂きましたが、ともかく初投稿乙でした。後編もぜひ頑張ってください。
7.80名前が無い程度の能力削除
技術的な事はなんにも言えませんが面白かったです。後編を期待して待っときます。
8.90名前が無い程度の能力削除
うん
11.80名前が無い程度の能力削除
神楽や天子の生活等の、原作で詳細にされていない設定が緻密に描写されている点は
気品もあり、たいへん楽しめました。
全体に多少長めの傾向にある台詞まわしも、作者さんの良い個性になっているように
思います。
ただ難点としては、序盤から中盤の慧音との絡みに顕著なのですが、登場人物の心情
の変化が読んでて伝わり辛い上に、展開があまりにも急すぎるため、読んでいて急に
怒り出したり唐突に納得したりと、まるで情緒不安定なように見受けられる部分が目
に付きました。
投稿する前に、一度冷静になって推敲をすれば、このような不自然な部分は簡単に改
善されるものと思います。
テーマの選び方も興味深く、文体も落ちついていて魅力的に感じられましたので、今
後の活躍を期待させていただきます。
12.無評価GH3削除
まず、読んでいただいた全ての方に心から感謝いたします。

>>ラビィ・ソー様
コメントありがとうございました。後半も頑張ります。

>>玖爾様
確かにおっしゃる通りだと思いました。
主題にかかわる部分とそれ意外で表現に区別をつければ、
自分自身冗長だと感じた部分が改善されたのかもしれません。

>>7様>>8様
面白い、と思っていただけたら何よりも嬉しいです。
書きたいことの大部分は後半にあります。

>>11様
仰られることは大変よくわかりました。
自分でわかってるだけで、表現できていないと痛感した次第です。
なまじ自分の中に理解があるばかりに推敲しても認識できなかった
部分でありますので、その点は以後特に気をつける必要があると思いました。
13.90名前が無い程度の能力削除
技術云々については何も言えませんが面白かったです
続きを楽しみにしてます
14.100名前が無い程度の能力削除
天子とその周りのキャラ達との会話が人間くさくて良いですねぇ。
天子好きな自分にとって、天子が活発に交流する話は大好きです。
しかもこれが初投稿・・・とはとても思えないほど描写が丁寧です。
後編も楽しみにしてます。
16.100名前が無い程度の能力削除
天子と他のキャラのやり取りがとても楽しかったです。
個々のキャラの個性が出ており、またキャラへの思い入れを感じました。
17.90名前が無い程度の能力削除
これはよいものだ
19.無評価GH3削除
コメント返信遅くなって申し訳ありません。遅すぎかもしれませんが…。
>>13様
ありがとうございました。後半ももうお読みになっていただけたでしょうか?

>>14様
これからも天子の話を書いていこうと思っています。
描写は正直くどくなってしまったかもと反省していましたが、そう言っていただけてありがたいです。

>>16様
天子への思い入れが強すぎるくらいありますので、これからいろいろ活躍させたいです。

>>17様
ありがとうございます。後半もお楽しみいただけたら幸いです。