プロローグ その写真に写る太陽は誰が見せるか
号外だよー!!文々。新聞だよー!!これを読まないと貴方に明日はないわー!!
幻想郷に烏天狗の声が響きわたっているお昼時。
霊夢:うるさいわねー……どうせろくでもない記事でしょ。
ぶつぶつと呟きながら掃除を中断するいい口実だと、霊夢は箒を掛けると新聞を持って縁側に座った。
霊夢:………なにこれ。
その号外の内容は―
魔理沙:霊夢ー!この新聞見てくれよ。
霊夢:今見てたところ。
魔理沙:あの天狗。ついに壊れたか?
霊夢:元からでしょ。でもこんなにおかしい記事を書くはずも無いし……
その記事の内容は……
『太陽と月が同時に昇り始めた?!』
と大きな文字で書いてあるが、どうみても普通の夜景を取った写真にしか見えないのである。
魔理沙:大体そんなことおきたんなら私達も見てるってな。
霊夢:どうしたのかしらねー……
文:読んでくれましたー?
ちょうどいいところに文が神社へと降りてくる。
霊夢:ちょっとこれなんなのよ。ただ単に幻想郷にゴミを撒きたいだけ?
文:えぇっ?!なんでそうなるんですか?!
魔理沙:自分で書いた記事も覚えてないのか。ほらよ。
そういって魔理沙は文へと号外を投げ渡す。
文:どうも。うーん……ちゃんと写ってるじゃないですか。
魔理沙・霊夢:……は?
文は記事の写真を指差しながら言う。
だがそこには月しか写ってない。
文:ほら!ここですここ!ちゃんと太陽があるでしょ?
霊夢:ここって言われても……
魔理沙:お前が差してるところ、真っ黒だぜ?
文:もう!なんでそう嘘つくんですか!!
霊夢:嘘じゃないわよ。
文:もういいです!
文は新聞を手に取ったまま空に飛び上がると妖怪の山へと帰っていった。
霊夢:何なのかしらね……
魔理沙:さぁ?どうせ法螺だろ?
霊夢:それもそうね。
そう結論を出し、二人は縁側でお茶をし始める。
・・
輝夜:ねー永琳。これ見てよ。天狗がついに可笑しくなったわよ。
永琳:それは元々です。そういえば号外が来てましたね。
そういって輝夜から号外を渡される。
永琳:……月しか写って無いじゃない。
輝夜:でしょ?何を考えてるんでしょうね。
永琳:天狗が考えることは分かりかねます。
優曇華:師匠ー。頼まれた薬品を持ってきましたー。
奥から薬品を取り出してきた優曇華がやってきた。
永琳:ありがと。優曇華、これどっかに捨ててなさい。
優曇華:号外ですかー……うわー、これはすごいですね。
輝夜:でしょ?ひどいったらありゃしない。
優曇華:? 何いってるんですか。太陽と月がほぼ同時に昇ってきてるんですよ。すごいじゃないですか。
永琳・輝夜:……
優曇華の言葉に二人は顔を見合わせた。
永琳:優曇華。私が悪かったわ。過剰労働させすぎた所為ね。
輝夜:今日は休みなさい。私達の家からおかしな奴は出したくないわ。
優曇華:へ?わ、分かりました……?
そういって優曇華は部屋から出て行った。だが何がなにやら本人はさっぱりだった。
永琳:ハァ……まさかあの子までおかしくなるとは……
輝夜:いくら狂気が操れるからって自分が狂気になったらおしまいね。
二人はお互いもう一度顔を見、そして溜息をついた。
・・
優曇華:どうしたんだろう……私おかしな事言ったかな。
久しぶりの休暇で、突然だった為何もすることがなく竹林をぶらぶらと歩いていた。
妹紅:よ。今日も薬売りに行くところか?
奥から両手をポケットに入れて妹紅が歩いてきた。
優曇華:あ。妹紅さん。いえ、今日は突然の休暇でして……
妹紅:そうか。……おい、お前この号外どう思う?
優曇華:号外ですか?すごい写真だと思うんですが……
妹紅:だよなー。いやさ、この写真の話を慧音にしたらいきなり熱があるんじゃないかとか毒キノコにでもやられたかとか言い出してな。永遠亭に行って来いって言われたところなんだ。
優曇華:どうしたんでしょうね。慧音さんなら素直にすごい写真だなとかいいそうなのに。
妹紅:さっぱりわかんない。
咲夜:あら。珍しいわね。ここで貴方達と会うだなんて。
奥から咲夜と美鈴が現れた。二人とも何やら不可解な顔つきをしていた。
妹紅:もしかして……お前等も永遠亭に行けと言われたのか?
美鈴:なんで分かるんですか?
妹紅:お前等もこの写真に写っていることで何やらあったような感じがしてな、勘だよ勘。
咲夜:そう、貴方達にも見えたのね。どうやらその写真、特定の奴にしか太陽が見えないようよ。
そういって咲夜は妹紅から号外を貸してもらう。
咲夜:まず太陽の位置。美鈴と私は見えるのだけど位置が違うの。私は月に半分隠れているように見える。
美鈴:私は月が右端あるけど左端に太陽が見えるんです。
妹紅:私は真ん中だな。
優曇華:私は月食のように見えます。
咲夜:ね。全員位置がバラバラなのよ。
そういって咲夜は号外を妹紅へと返す。
咲夜:私の勘だとこれは異変かもしれないわね。
妹紅:異変か……私もこの写真が気になっておちおちしてられないな。
美鈴:私も気になって門番している場合じゃないです!
咲夜:まともに門番勤まって無いけどね。
優曇華:私も今日は休暇なのでこの異変に首を突っ込もうかと。
少しの間、4人は沈黙し、そして咲夜が口を開けた。
咲夜:それじゃ、私達でこの異変を解決してみましょうか。かなり異端なチームだけど。
優曇華:それじゃまずはこの情報元から当たりましょう。
優曇華の言葉によって皆情報元である文がいる妖怪の山へと急行した。
・・
文:珍しい組み合わせですね。何しに来られたんです?
文は川付近で山の天然水を手で汲み、飲んでいた。
咲夜:あの号外なんだけど、貴方あれどこで写したの?
文:あれですか?やっぱり見えるんじゃないですか、霊夢さん達はもう……
何やら急にほっとした表情になった文を4人は不思議がっていた。
文:あの写真はこの山の外れにあるところから昇ってくる月がきれいに輝いていたので写したんです。
咲夜:山のはずれ?
妹紅:あぁ、あそこか。確か妖怪も足を滅多に踏み入れない場所だよな。
文:そうです。私もあそこに行くことはなかったんですが、なんだか心地よい音色が聞こえたので行ってみたんです。
美鈴:心地よい音色ですか?
優曇華:妖怪も滅多に踏み入れない場所に誰も住むわけ無いし、まさか人間?
妹紅:いやあそこらへんは人間じゃムリだな。道がなく、かなり険しい獣道だ。
優曇華:なるほど。じゃ一体誰が……
4人は黙り込んだ。
それを見ていた文は何かを思い出したのか、頭の中で整理して言った。
文:そういえばあそこらへん、誰かが住んでいるって情報があったような……
そういってネタ帳をぺらぺらとめくりはじめた。
文:あ、ありました。どうやらあそこの山、紫さんが誰かを連れてきて、住まわせたようですね。
咲夜:あのスキマ妖怪が?
優曇華:一体何の為に……
妹紅:おいおい……あそこ一度行ってみたが住めるような環境じゃないぞ……獰猛な獣ばかりだし、それにあそこらへんあまりいい感じはしない。
美鈴:いい感じですか?
妹紅:なんというか……本能的に近づきたくないような感じなんだ。
その山の事を思い出したのか、妹紅が身震いした。
文:妹紅さんがそこまで思われるほどの山、ですか……皆さん、そこに行くんですか?
咲夜:えぇ。この異変、白黒や紅白も駄目でしょうし。山の巫女なんてそんなところムリでしょ?
文:確かに早苗さんはまだこちらに来られたばかりで無理そうですねー……
あまり山の神様達が愛でている巫女の悪口を言うのは立場上いやらしく、言葉をにごらせながらごまかしの苦笑いをして言う。
咲夜:ここに長居しても進まないわね。それじゃ、行きましょうか。
妹紅:そうだな。ありがとな天狗。
文:いえいえ、皆さん注意してくださいね?あの山は誰も今だ踏み入れたことがないような山です。誰が何の目的で、紫さんがどういう意図で何者を住まわせたなんて分からないんです。十分の警戒を。
優曇華:意外とやさしいところがあるんですね。
文:いえ、もし貴方達が帰らなくなったりしたら私がレミリアさんや永琳さん達に帰らぬ者にされかねないので。それに新聞の愛読者がいなくなるのも寂しいですし。
何故か真面目な顔で文は4人に言った。
4人は予想していたがまさか考えていたことをそのまま言われるとは思わなかったらしく、呆れかえっていた。
そして誰もあの新聞の愛読者ではないと心の中で突っ込んでいた。
・・
プロローグ その写真に写る太陽は誰が見せるか 完
まず前述の通りお話が極端に短い。ここ創想話では、短いプロローグと銘打ってあるものはあまり目を向けられない傾向があります。長編になる場合は、これといった理由がない限りは纏めて投稿されたほうが吉です。
つぎに、キャラを喋らせる際名前を書いてから喋らせる形式、いわゆる台本書きと呼ばれる形式。これもあまり好まれない手法です。喋らせる場合はセリフを「」で括る手法が一般的ですね。
細かいことを長々と書きましたが、上記のことを留意して頂ければと思い書かせて頂きました。どうかこれに懲りず、再度投稿頑張って下さい。百点はその時に。
ただ話の形式がとっつきにくいこと、話の内容のわりに文章が広がらない感じがしたりキャラの会話があっさりという印象があって惜しいと思いました
惜しむらくは台本みたいな書き方になっているところですね。
それと地の文の薄さ。そこが改善されれば、もっと伸びると思います。
続編期待してます!期待をこめて80点で
話の広がりはこれからなので何とも言い難いですが、読めば読ませるくらいの面白さはあると思います
台本書きについては個人的には気になりませんが気になる人もいるでしょうね
その点考慮してと個人的に楽しみなのでこれくらいで
…なんですが、やはり台本形式は読みにくいように思います。キャラの書き分けもしっかりしてるし、セリフ部分をそのままカギカッコにするだけで抜群に読みやすくなるのでは。
続編、期待しております!