~永遠への邂逅~
「どうぞ、教えてください先生」
「あと… 1日です」
私は宇佐見蓮子、今は久礼病院で、残りわずかな時間を、星を見て過ごしている。
肺がんだ、と宣告されたときはショックだったが、もう89歳の身で、思い残すことはない。
家族は……いなかった。でも、後悔はしていない。
時間を確認する。時計を見るまでもない。目はよくみえるのだ。
「午前3時26分…かな」
今この部屋には二人いる。どうやら、もう一人も起きたらしい。
「こんばんは」
挨拶をする。礼儀だ。だが向こうは返さず、違うことを聞く。
「お元気かしら?」
「この部屋に入った人で、元気な人が、果たしていたかしら?」
「そのとおりね」
聞くと、彼女も私と同じような身の上らしい。
そうこうしていると、彼女は問いかけてきた。
「昔の話をしてもいいかしら?」
私はうなずいた。
「私がもし、人生で一番楽しかった時を聞かれたなら、それは大学生のときね。友達二人で、弱小のサークルをやっていたわ。あの頃は、ありもしないようなことを、熱心に調べてたわね。まあ、実は今でも存在していると思っているけれど。」
「その子は、今どうしているの?」
「わからないのよ」
「なによ、それ」
「そのあと、私は海外に行ってしまい、そして戻ってきたときはもう、所在が分からなかったの」
「それは残念ね…」
「いやにその子のことを聞くわね。どうしたの?」
それはそうだ。私だってオカルトサークルをやっていた。
「いや、大学生のころの私と似てるな、と思っただけよ」
彼女は黙った。過去を回想しているのかもしれない。
しばらくすると不意に彼女が聞いてきた。
「今、何時かしら?」
私は夜空を見て、答えた。
「4時18分よ」
彼女のほうを向き、私は驚いた。何故か、泣いている。
「どうしたのよ、急に」
「うぅっ。ぐすっぐす。うわぁ~~。」
彼女はとても老人とは思えぬ敏捷さで、抱きついてきた。私の眼は彼女の髪の色をとらえた。
その 薄いいろの金髪を。
私は今悟った。彼女は、彼女は!!!
「れんこぉ~~会いたかったよぅ」
「メリー、メリーなの?」
「そう、私は、マエリベリー・ハーンよ」
「私は、宇佐見蓮子よ」
次の日の朝、医者の見た光景は、一人用のベットで二人並び、肩を寄せ合い手をつなぎ、
臨終を迎えている、そんな光景だった。
どこかから微かな声がする。
「……死者が即亡霊になり、幻想入りして、弾幕を使えるようになった。おまけに特別すごくもない能力を持つ人間。そんなみょんな話があることですか」
「でも、実際には起きてしまった」
「はぁ… 紫様に怒られますよ」
「ねぇ、私たちに責任あるのかしら?」
「さすがの私も、断罪することはできないわ」
「ですって。心配しなくてもいいわよ。妖夢。」
「それはよかったです。でも…信じられません」
「とりあえず…どうする?」
「では、あの二人が同意すれば、私の家に住んでもらい、仕事でも手伝ってもらいましょう」
「だいじょうぶかしら、阿礼乙女?」
「ええ、私にまかしておいてください。生きている間は面倒を見ます。あとは家の者が何とかするでしょう。」
「では妖夢、巫女の能力ですごい長生きしてる二人と、職業から種族になった魔法使いと吸血鬼になったメイドに報告してきてね」
「他の人には?」
「後はどうせ天狗が新聞で知らせるでしょう」
ある晴れた日、とある大学生くらいの姿の若い二人の亡霊が幻想入りした。
fin
やっぱり短くて物足りなさを感じてしまいます。
蓮子が、帰国してから所在の分からない友人を探しまわって、それでも見つからなかった
ときの心情や回想などが盛り込まれていたりしたら良かったなと思います。
>>そのとうりね
とおり
それだけに、もっと大事に料理してほしかったと思わざるを得ません。
ただ、二人が気づいた後が軽くなりすぎかも。
二人が幻想郷に来てからの部分も中身を詰めると、もっと良くなると思います。
あと、一つしょうもない遊びを用意しました。主人公たちの入院している病院名は「くれい」病院としました。それをふまえてあの文をよんでみてください。