取材の結果は散々であった。
だがネタにもならないようなネタを、どのようにして形にして届けるか。それはそれで愉しい作業である。わたしは少し高度を下げて、幻想郷をぐるりと誰の眼にも留まらぬ速さで帰路についていた。よくよく考えなくとも完全無欠に無駄な行為だ。
わたしはこの幻想郷に飽きていたのである。
千年の上も生きていて何を今更、というところではあるのだけれど、そんな倦怠じみた気分が宿ってしまったからには、少しでもアレンジを加えることでこのどうにも鬱屈とした気持ちを払拭しなければ、などと考えてしまうのだ。
「まるで人間みたいな考え方ですねぇ」
呟いて、わたしは更に高度を下げた。眼下の木々が、手を伸ばせば届きそうな位置まで。
ふと、思いつき風を一吹き木々をざわめかせる。羽を休めていた鳥たちが一斉に飛び立つ、一羽のカラスがカァと鳴いた。
「鴉が鳴いたら帰りましょう、何てまだ早いんですがね」
まだ陽は高く、あとふたつみっつ、まあ、四つでも五つでもいいがネタを探すには充分に時間はある。
それでも、今日のところは帰ろうと決めていた。こうして無為に終わった日は、得して何も見つからないのだ、という経験則があったからでもある。
ここのところ刊行も不定期に過ぎるし、なにか大きな異変でもあればいいのだけれど、とは思う。それでも、こうして人里をひやかしたり博麗の巫女のところで油を売ったりしつつ、新聞のネタを探すのも悪いことではないのかもしれない。
ますます人間めいてきたなと笑いを一つこぼし、軽く速度を上げる。
「もう少し欲を持った方がいいんでしょうか」
もうひとつ呟いて、それもまた人間のような思考かと考え直す。
ちょうど通り過ぎた向日葵畑を視界の端に、ああ、もう夏かと、また独り言を呟く。こんな花ひとつで感慨を抱いて一人語ちるなど、ますます人間ではないか。
ふと、思いついて旋回、向日葵を写真に収める。もう、ネタはこれでいい。今は家に帰って一風呂浴びて、ビール片手に「幻想郷に夏がきた」という記事を書くのだ、それ以外は考えなくていい。
わたしはにやりと口元を歪めると、さらに速度を上げた。
だがネタにもならないようなネタを、どのようにして形にして届けるか。それはそれで愉しい作業である。わたしは少し高度を下げて、幻想郷をぐるりと誰の眼にも留まらぬ速さで帰路についていた。よくよく考えなくとも完全無欠に無駄な行為だ。
わたしはこの幻想郷に飽きていたのである。
千年の上も生きていて何を今更、というところではあるのだけれど、そんな倦怠じみた気分が宿ってしまったからには、少しでもアレンジを加えることでこのどうにも鬱屈とした気持ちを払拭しなければ、などと考えてしまうのだ。
「まるで人間みたいな考え方ですねぇ」
呟いて、わたしは更に高度を下げた。眼下の木々が、手を伸ばせば届きそうな位置まで。
ふと、思いつき風を一吹き木々をざわめかせる。羽を休めていた鳥たちが一斉に飛び立つ、一羽のカラスがカァと鳴いた。
「鴉が鳴いたら帰りましょう、何てまだ早いんですがね」
まだ陽は高く、あとふたつみっつ、まあ、四つでも五つでもいいがネタを探すには充分に時間はある。
それでも、今日のところは帰ろうと決めていた。こうして無為に終わった日は、得して何も見つからないのだ、という経験則があったからでもある。
ここのところ刊行も不定期に過ぎるし、なにか大きな異変でもあればいいのだけれど、とは思う。それでも、こうして人里をひやかしたり博麗の巫女のところで油を売ったりしつつ、新聞のネタを探すのも悪いことではないのかもしれない。
ますます人間めいてきたなと笑いを一つこぼし、軽く速度を上げる。
「もう少し欲を持った方がいいんでしょうか」
もうひとつ呟いて、それもまた人間のような思考かと考え直す。
ちょうど通り過ぎた向日葵畑を視界の端に、ああ、もう夏かと、また独り言を呟く。こんな花ひとつで感慨を抱いて一人語ちるなど、ますます人間ではないか。
ふと、思いついて旋回、向日葵を写真に収める。もう、ネタはこれでいい。今は家に帰って一風呂浴びて、ビール片手に「幻想郷に夏がきた」という記事を書くのだ、それ以外は考えなくていい。
わたしはにやりと口元を歪めると、さらに速度を上げた。
血生臭く、人と鎬を削っていた頃の方が良かったんじゃないかな、とか思ったりします。
短い文章ですが、感じるものはありました。
ただ、やっぱり短すぎる気がします。
もう少し、ここから色々書いてほしかったかなぁと。