Coolier - 新生・東方創想話

紅魔館な日々。「お茶とお菓子」

2011/06/01 19:42:42
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 紅魔館。湖の横にある館である。
 
 異変の中心になった事もあるが、基本的には平和である。何故なら、館の主であるレミリア・スカーレットが強大な力を持っているからだ。

 そのため、この屋敷を狙うような妖怪は居ないし、もちろん人間も怖がって近づいたりはしない。一部、例外も存在するが・・・


 そんな平和な日々の一部である。




   ◇   ◇   ◇   ◇

   紅魔館な日々。

        「お茶とお菓子」


   ◇   ◇   ◇   ◇





「レミリアーッ、遊びに来たぞー!」

 館の前でチルノが叫ぶ。するとテラスから、

「その”アーッ”って発音は辞めなさい。何故か不愉快なのよ。」

 そう言ってレミリアが飛んでくる。咲夜も一緒だ。

「そんなのどーでもいいじゃない。」
「・・・そうなんだけれどね。そうそう、丁度ティータイムなのよ、一緒にどうかしら?」
「てぃーたいむってなに?」

 唐突な質問に転びそうになる。咲夜もバスケットを落としそうになっている。

「・・・・お茶飲んだり、お菓子食べたりする事よ。」

 咲夜のバスケットを指差す。阿吽の呼吸で、咲夜がバスケットにかかっている布をめくると、

「おぉ・・・」

 中身を見てチルノが驚きの声を上げる。私でさえ、早く食べようと言いたくなる様な豪華さだ。咲夜が少し手の込んだものを作ってみたという事らしいが、きっと我を忘れて作りすぎたのだろう。折角だから、月見でもと提案したのだ。
 匂いに釣られたか、美鈴が歩いてきた。

「私もご一緒して宜しいですか?お腹空いちゃって・・・」

 へへへなんて笑っている。まぁ、咲夜次第だろう。視線を咲夜に向けると頷いて、

「別に構いませんわ。そこで敷物を敷くだけですから、門番としての仕事も出来ますので。」
「だって、美鈴。メイド長のお墨付きよ。」
「やたー!ありがとうございます咲夜さん!」
「はーやーくー。たべよーよー。」

 ちなみに、パチュリーとフランドールは図書館で何やら実験をしている。正確には、実験をしているパチュリーをフランドールが見ているだけだ。なんでも、小悪魔を強化する魔法だとか。つまり、モルモットは小悪魔だ。哀れ。

「チルノ。働かざるもの食うべからずと言うのよ。少し手伝いなさい。」

 敷物を抱えた咲夜が、チルノに声をかける。横にいた私にも、こっそりと言ってくる。

「お嬢様には申し訳ないのですが、チルノと一緒に準備を手伝ってくださいませんか?今後の為にもお願いします。」
「なるほど、情操教育みたいなものね。それくらい別に良いわよ。」

 チルノは、手伝いなんかしたくないと駄々をこねている。

「チルノ、お手伝いをしたら良い事があるわよ?」
「えー・・・いーことってなに?」
「耳を貸しなさい。」

 チルノの耳元で囁く。

「あなたが手伝うと、咲夜がチルノ偉いってなるじゃない?」
「・・・うん、それはとーぜんね。」
「それで、偉いチルノには大きいお菓子をあげちゃっても良いって思うわけよ。」
「はー、なるほど。そうかもしれない。」
「つまり、お手伝いは面倒だけれど、やればちゃんと良い事があるのよ。」
「そっかー、じゃあてつだう。」

 洗脳・・・もとい教育完了。咲夜に親指を立てて見せ、目で会話する。

(流石ですわ、お嬢様)
(任せなさい)


 とりあえず、チルノと一緒に敷物を広げる。

「ちょっと、チルノどこまで引っ張るのよ。」
「え?あー、おもったより小さいねコレ。」
「4人なんだから、これで十分でしょう?」
「ふーん・・・じゃあ、アタイはイスとテーブルつくる!」

 何が、じゃあなのかはさておき、そう言うと、氷で小さいイスとテーブルを作った。器用なことをする。

「あ、可愛いですね、それ。」

 美鈴に褒められたのが、嬉しかったようで、作ったイスに座ってふんぞり返る。どうよ、凄いでしょ。と言わんばかりだ。

「さらに可愛いですねぇ。」

 小さい子供が、おままごとセットでふんぞり返っているようなものだから、可愛いという意見には賛成だ。だけど、若干馬鹿にしてるだろ美鈴。

「なにしているんですか?もう用意できてますよ?」

 咲夜が突っ込みを入れる。

「メイド、みてみて。」

 チルノはそう言うと、足を組んで、組んだ足に肘を置き、手を口に当て、なにやら難しい顔をしながら羽をピコピコ動かした。

「・・・・ぶっ。」

 咲夜が噴出した。何故か美鈴も笑っている。なにか面白いところがあるのだろうか?

「レミリアのマネ。にてるでしょ?」
「やるわね、確かにお嬢様そのままですわ。」
「そっくりでしたねぇ、特に羽が動くところなんかは、特徴掴んでますねぇ。」

 あれが私?いやいや・・・カリスマ溢れるこの私が、あんな不思議なポーズするわけが無い。

「・・・そんなポーズ取らないわよ?」
「「え?」」
「な、何よ?なんで全員で”え?”って言うのよ・・・。」

 なぜか、言って良いのか悪いのか、みたいな顔をする。ぐぬぬ。咲夜がおずおずと耳打ちしてきた。

「お嬢様が、えー・・・良からぬ事というか、悪巧みと言うか・・・そんな考え事をしている時は、良くあのポーズを取っています。」
「嘘・・・。本当に?」
「えぇ、そして、何か閃いた時は翼がピコピコ動いてます。周知の事実になっていますよ。」

 ショック。もの凄くショック。そんな、犬の尻尾じゃ無いんだから・・・。
 試しに、この世界を支配したと想像してみる。そして、フランがお姉さま凄いと称えてくれる・・・無理やりテンションを上げて、自分の影を見ると翼がピコピコしていた。oh...

「なんか、ショックだわ。何かこう・・・分かりやすいヤツみたいじゃない。」
「感情が何かに表れることは、普通ですよお嬢様。それより、ほらお茶会ですよ。」

 半ばヤケクソ気味ではあるが、切り替える咲夜。

「わーい、これたべていいんだよね?」

 そう言ってバスケットから、チルノがアップルパイを取り出す。

「えぇ、良いわよ。お嬢様、ハーブティーです、どうぞ。」

 紅茶を差し出してくるので受け取る。良い香りだ、何のハーブだろう?

「これも美味しいですよ。」
「ほんとだー。これなんていうの?」
「ビスケットみたいですけど、なんでしょうねぇ?」

 チルノと美鈴はマイペースに口を動かしている。喋るか食べるかどっちかにしなさいと、咲夜がたしなめる。二人で声をそろえて、はーいと言うが、条件反射で出ましたって感じの返事だ。


 それからお茶を飲みつつ、妖精事情なんかをチルノから聞いていたが、ふと何を思ったのか、

「レミリアってどんくらいつよいの?」

 チルノが唐突に質問をしてきた。そもそも強いか弱いかなんて、本人に聞くようなものじゃ無いと思うのだが。

「ズバリ聞くわね・・・・美鈴はどう思う?」

 となりで、口を膨らませる美鈴に話を振ってみる。

「ふぇ?私ですか?・・・そうですねぇ、ルール無視ならそれこそ最凶クラス・・・だと思いますけど、咲夜さんはどう思います?」
「美鈴と同じ考えよ。今の弾幕勝負は、本来のお嬢様の土俵ではないもの。」

 お世辞ではなく、ちゃんと評価をする二人。レミリアも妥当な評価だなと思う。身体能力は総合的にバランスよく、10点満点でなら、全ての項目で8~9点くらいの採点になるはず。弾幕はあくまでもおまけ、補助なのだ。吸血鬼の戦いは、どちらかといえば肉弾戦の趣が強い。
 逆に最強の巫女、霊夢は純粋な肉弾戦など出来ないだろう。肉弾戦にさせない技量はあるかも知れないが、なってしまえば人間に勝ち目は無い。妖精なんかは弾幕戦タイプになる、というよりそれしか無い。

「良く考えると、接近戦が得意なのって誰か居たかしら?」

 レミリアは皆に聞いてみる。

「アタイ、だんまくきんしは、ぜーったいむりだよ?だいちゃんとかもきっとだめ。」
「私は当然、接近格闘が土俵ですねぇ・・・。他だと妖夢さん・・・小町さん・・・とかですかね?」
「私はもちろん弾幕ですわ。殴り合いだと・・・霊夢んとこの小鬼・・・というか、鬼は基本そうですね。」

 そうなのだ、種族で割り振るなら、幻想郷で肉体派なのは、種族で言うなら「吸血鬼」や「鬼」、他だと肉食系動物タイプの妖怪。人型で武術を扱うタイプ。こんな所だろう。他の種族は、弾幕のほうが得意な場合が多い。何より、良く分からない種族も多いのだ。スキマ妖怪(笑)が良い例である。
 もちろん、ある程度知性がある妖怪に限っての話だ。獣にちょっと毛の生えた程度じゃ、ルールを理解できないので弾幕戦にならない。

「広義的に考えたら、咲夜って相当肉体派なんじゃないかと、私は思うわ。」
「あ、お嬢様。それ禁句ですよ。」

 咲夜を見ると・・・あ、拗ねてる。無表情だが、無機質な無表情のときは拗ねているのだ。最近発見したが、本人は悟られていないと思っているようだ。しかし、数年間毎日顔を合わせる訳なのだから、ある程度は何を考えているか、くらい分かる。

 ともかく、咲夜自身は認めたくないだろうが、文句無しの肉体派である。ナイフを投げる、飛ばしたナイフを回収する。そこに、霊的・魔力的なものは一切無い。弾を飛ばすというか、”投げて”いるのだから、単純な物理攻撃という事で肉体派なのだ。

「すごい根性ですよね。人間とは思えないくらいです。」

 美鈴がフォローになっていないフォローをする。むしろ、余計に傷を抉りそうだ。

「ところで、お嬢様の場合って、私や妖夢さんとは違いますよね。鬼の人たちもそうですけど、生まれ持った力で戦うじゃないですか?。早さ、力はありますけど”技”は無いですよね。」

 美鈴が接近戦能力について、客観的視点からの感想を言うが、流石にプライドがある。

「・・・それでも負けないわよ。試してみる?」
「いえいえ、滅相もありません・・・と言いたい所ですが、チルノちゃんにお姉さんが凄いことを教えて差し上げましょう。」
「そんな事言って・・・貴女、大丈夫なの?」

 咲夜も流石に無理だと思っているようだ。チルノは目を輝かせている。

「ただし、条件があります。お嬢様の本気の攻撃を受けたら、死んじゃいますからね。だから、力は込めず、速さのみでお願いします。それと、一回だけのコンタクト。つまり一本先取でお願いします。体力勝負も話になりませんからね。」

 少し考えてみる、力を抑えるのは当然だが、当てた者勝ちの勝負で速さ制限無しときた。美鈴の提案で、自分にはデメリットしか無い。だが、問題はない。恥をかかせてやる。

「なかなか、面白い趣向じゃない。良いわよ、受けてたつわ。」




 もぐもぐもぐもぐ・・・チルノの口を動かす音だけが響く。緊張感が無くなるから静かにしなさいと、チルノに注意する咲夜。チルノと咲夜から少しはなれて、二人は対峙している。二人の間は30メートルくらい。

「私が勝ったら・・・一生名前を門番にしてあげるわ。」
「もの凄く嫌なんですが・・・じゃあ、私が勝ったら咲夜さん下さい。」
「駄目よ。」
「咲夜さん本人から拒否が・・・仕方がない。咲夜さんのベッドで寝ても良いという権利で手を打ちます。」
「嫌よ。」
「・・・私はどうしたら・・・」
「普通にお願いすればいいじゃない。お嬢様も、そう来たか、みたいな顔しないで下さい。」
「・・・じゃあ、お嬢様が保管している。咲夜さんグッズ見せてくださいよ。いつでも、好きなときに見れる権利。それで我慢します。」
「うっ、あれを知っていたのね・・・仕方がないわね。良いわよ、私に勝ったらグッズ閲覧可能許可を与えようじゃないの。」

「あれ?メイド?どうしたの?」
「貴女は、純粋無垢で良いわね。チルノ良く聞きなさい。あれが汚れた大人と言うやつよ。」
「・・・どうゆうこと?」
「たまに暴走するの、辞めて頂きたいですわ。」
「なんか、たいへんだね?」
「そうなのよ。大変なのよ。」


 そんなやり取りつゆ知らず、二人はプライドをかけてにらみ合う。どうでもいいプライドではあるが・・・

「行くわよっ!」

 そう言うやいなや、一瞬で間合いを詰めるレミリア。コンマ2秒で、もう手の届く距離だ。

(他愛ない)

 決着をつける為の”平手”を構えて、美鈴の腹めがけて振る。ダメージを与えなくて良い勝負だから、横をすり抜けるように駆け抜けつつ、腹をベシッとやって勝利。これがレミリアの考えた方法だった。
 だが、手を振った直後に視界がひっくり返り、世界が回る。何が起こったか分からない。理解するまもなく足が地に着いていた。

「私の勝ちですね。ふふふ。」

 目の前には美鈴の勝ち誇った顔がある。

「・・・何をしたの?」
「蟷螂拳って知っていますか?」
「・・・確かカマキリの動きから発想を得てってやつよね?」
「はい、そうです。それと私の太極拳を合わせて、受け流して投げたんです。もちろん、地面に叩き付けないように投げましたよ?スピードそのままで地面に激突すれば、流石に危ないですから。」
「・・・・何をされたか全然分からなかったわ。」
「まぁ、今回は力を抜いてましたしね・・・力を込められたら、流しきれませんよ。でも、これが技の力です。」
「・・・驚いたわ。美鈴の”技”を甘く見て油断しちゃってたわ。でも、負けは負けだし。良いわよ、咲夜グッズ見たくなったら、いつでも声をかけて頂戴。」
「はいっ、そうさせてもらいます。」



「お疲れ様です、お嬢様。残念でしたね?」
「咲夜・・・門番に負けてしまったわ・・・。あ、お茶もらえる?」

 悔しそうなレミリアだが、負けを認めないというのもプライドに反する。複雑なのだ。

「おかえり、めーりん。どうやったの?」
「どうですかー、お姉さんは結構強いのですよっ。」

 大金星の美鈴は、チルノとハイタッチを決める。

「アタイもやってみたい。」
「蟷螂拳の投げ技で簡単なのがありますけど・・・絶対に使わないと約束できます?」
「え?おぼえてもつかったらダメなの?」

 つまんなーい、と不満そうなチルノを美鈴が嗜める。

「武術ですから、危ないんですよ。」
「えー・・・。」
「じゃあ、その技を今からやりますから、体験してください。」

 そう言うと、チルノに向けて手を突き出す。勿論、避けられる程度の速度で出す。チルノは仰け反る形で避けたのだが、避けたはずの手が自分を押してきたと思ったときには、後ろ向きに倒れ、後頭部を軽く打ってしまった。

「これが初歩的な投げというか、倒すと言うか・・・まぁそうゆう技です。」
「いたい・・・あたまがクラクラする・・・。」
「これでも相当優しくやりました。危ないって分かって頂けましたか?」

 美鈴がした行動は、相手を仰け反らし、手に意識を向けさせておいて足をかけて転ばせる。単純だが、足に意識がいっていないので、達人クラスから技をかけられると、手で軽く押されただけなのに、と首をひねることになるのだ。

「んー・・・そうだね。だいちゃんケガしちゃったらこまるし、いいや。」
「その方が良いですよ。怪我をさせるための方法なんか、知らないほうが良いんですよ。」

 その様子を眺めていた咲夜が一言。

「偉そうな美鈴は、なんか嫌ですね。」
「・・・そ、そうかしら?」

 どうも釈然としないものを感じているようだ。何故かは知らない、知りたくない。咲夜は自覚の無い天然で、その思考が良く分からないときがある。美鈴もそれで二重に苦労すると言っていたが、実際のところどうなのだろう。

「お嬢様。ちょっと厨房に行ってきますわ。」
「ん?何か忘れ物?」
「いえ、そろそろ頃合なのです。」

 そう言うと歩いて紅魔館に向かう。最近、あまり時間を止めていないように思う。今度、理由でも聞いてみよう。

「戻りました。」

 戻ってくる時は、時間を止めたようだ。基準が分からない。

「チルノ、美鈴。あなたたちも食べるでしょう?」

 そう言うと、持っていたトレーの蓋を取った。そこにあったのは、

「ガトーショコラでしたっけ?」
「美鈴、正解よ。」
「でも咲夜、なんか冷め切っていないんじゃないの?」
「チョコレートのケーキ?」
「まぁ、そんなところよ。」

 チルノは鼻でスンスン匂いを嗅いでいる。犬か。しかし、冷め切る前に持ってきてどうするのだろうか。チルノに頼めば冷やせるだろうが、氷漬けになるだけだ。

「”ホット”ガトーショコラですわ。アツアツでは無い程度の温度で、美味しいですよ。」

 咲夜がケーキを切り分け、皿に載せたものを配る。皆が同時にフォークを動かし、口に運ぶ。
 すると、なんという事でしょう。皆の表情が生き生きとしてきたのです。

「・・・おぉ。咲夜さん。おぉ・・・咲夜さん。」
「暖かいケーキって新鮮で良いわね。チョコが所々で融けていて、それがまた美味しいわ。」
「おいしーっ!」

 二者の意見は美味しい。美鈴は何か危ない気もするが、味に関しては美味しいという事なのだろう。その答えに満足したのか、咲夜も食べる事にしたようだ。






「さて、そろそろ終わりましょうか。チルノ、貴女はどうする?」
「アタイはそろそろかえる。だいちゃんにおみやげもあるし。」

 手に持った箱を掲げる。大妖精にも食べさせてあげたい、そう言ったチルノに、咲夜がケーキを包んだのだ。

「そんなに振ったらバラバラになっちゃうわよ?」
「あっ、そーだった。じゃ、かえるよ。また、てぃー・・・てぃー・・・たいむ?やるときは、さそってねー。」

 そう言い残して去っていくチルノ、何が楽しいかクルクル回りながら飛んでいる。ケーキがボロボロになる事は、もう忘れているようだ。チルノらしいが、大妖精はいつも大変だろう。今回は、ボロボロになった何かを食べることになるわけなのだから。

「思い付きだったけれど、外でお茶というのも悪くないわね。」

 地面に座るのは慣れないけれど、広い空間でお茶をするのは存外悪くない。

「そうですね、ちょっと厨房まで離れてしまいますが。」

 実にメイドらしい言い分だ。しかし、表情はまんざらでは無い感じがする。

「美鈴は、今からどうするの?」
「そうですねぇ、食べたばかりでなんですけど・・・寝ることにします。明日は、早めに起きて準備しないといけないので。」
「準備?」
「魔理沙さんが、明日来るハズなんですよ。行動パターンの統計的に。」

 美鈴が身振り手振りで説明する。

「一定パターンで来る泥棒ってのも面白いわね。」
「パチュリー様も大変ですわね。」

 あぁ、それで小悪魔強化魔法なのか。図書館からは、活気に満ちた気配がある。フランは少し魔法に興味があるようだし、放って置こう。

「退屈だけれど、こんな毎日も良いわね。」
「は・・・そうですね。」

 言葉に詰まったのが気になるが、本当にそう思う。





 きっと、咲夜はらしくないと思ったのだ。吸血鬼が安寧を求める・・・






 それだっていいじゃない?







 幻想郷なのだから。
紅魔館シリーズ4作目。

シリーズというか、テーマが紅魔館なだけです。単品でも問題ありませんが、個人個人のつながりは統一されていますので、なんでこんなに仲が良いの?って方は他の「紅魔館な日々。」を見てください。

今回は1作目と同じくやまおちいみ無い、やおい作品です。
あえて心理描写を減らしているので、きっとこんな事を考えているんだろうなって妄想の燃料にしてくれると嬉しいです(?)

作中のホットガトーショコラ。レンジでチンしてもOKなんで、ガトーショコラ買ってきてチンしてみてください。熱さはお好みで。美味しいですよ。

紅魔館な日々。シリーズ

追伸。何故か再編集が効かなくて、何度かやり直していたんです。いやはや、申し訳ない。メモの右端折り返し機能があると改行がおかしくなるみたいです。
追伸2。若干の加筆、修正を加えました。仕事の合間にチマチマ書いていたんで、忙しくなった時が良く見えましたwSS書いてる場合じゃないくらい慌しいぜ、月初だからw
まなみ
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コメント



0.1230簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
一部改行がおかしいところが見られました。
仕様だったらすみません。
それとも私が携帯で見ているから・・・ですかね?


それはともかく、内容が良かったです。
22.80名前が無い程度の能力削除
良いと思います。
30.100名前が無い程度の能力削除
良いっすね。
31.100名前が無い程度の能力削除
良き