開幕戦前日--------------季節は春。
レミリアは一人スタジアムのベンチに座っていた。
(キャンプもあっという間に終わって明日からペナントレースが始まる…、開幕戦は絶対に取りたいわね。ならやっぱりフランかしら。)
レミリアの中での評価はフランドールの方がパチュリーよりも高い。身内びいきではなくイニングの問題だ。パチュリーなら6回から継投を考えなくてはいけない。
さすがに開幕戦から綱渡り継投をするわけには行かない。いかにレミリアが控えていて、肩が強いとはいえ全試合登板なんてことはできないのだから。
(問題は打撃陣よね…、5番までで点を取れないと下位打線にはあまり期待ができないし。それでも去年よりはかなりマシになったんだけど。)
5番までの打順で点が入らないと厳しく、さらにフランドールが投げる時以外はレミリア、ルナサにつなぐまでは綱渡り継投を強いられる。
しかしそれでも6回以降で勝ってる試合はかなりの確率でものにできるだろう。もちろんレミリアの奮投によって。
「明日の開幕戦、3点くらいは取ってよ?咲夜、そこにいるんでしょう?」
レミリアが振り返ることなく独り言のようにつぶやく。
「お気づきでしたか、お独りで考え事をなされていたので声をおかけしなかったのですが。」
後ろから咲夜が答える、レミリアは気づいていないとでも思ったのか、と言いたげな表情だ。
「そりゃこの時期は考え事がつきないわよ。明日から始まるペナントレースを無事に乗り切れるか、起用法は本当にこれでいいのか、とかね。」
レミリアはため息をつきながら答える。チームの采配を振るうのはレミリアだ、当事者にしかわからない悩みというものも多いのだろう。
「それに開幕戦の相手はドリームスよ?さらには相手もエースの霊夢でくると思うわ。勝てる試合だ、と言い切れる要素はどこにもないわ。」
「ですが負ける試合、と言い切る要素もどこにもありませんわ。」
咲夜が茶化すように答える。
「当たり前よ、やるからには勝つわ、それにしても貴女全然緊張してないのね。」
レミリアも自身満々に答える、だが咲夜の緊張感の無さに少しあきれてもいるようだ。
「緊張なんてするわけありませんわ。私たちの大将はあのレミリア・スカーレットなんですもの。悪魔の棲む館の当主がついていて何を不安になる必要があるのですか?」
当たり前のように答える。自らの主に心酔しているようだ。
「今まであなたには苦労かけたわね。チーム唯一の3割バッターとして相手チームからもマークされ、守備もショートというハードなポジションを任せてしまったわ。」
申し訳なさそうにレミリアが口を開く。去年までの不甲斐ないチームを思い浮かべているようだ。
「でも、今年はきついだけでなく楽しい思いをさせてあげられそうね。今年もよろしく頼むわよ、”切り込み隊長”。」
「お任せください。その任務、確実に遂行してみせますわ。ただ、私の場合”切り込み隊長”よりも”切り込みメイド長”ですわね。」
咲夜は笑って答える。そして真剣な顔つきでこう付けくわえた。
「あと、あなた様のためならばどんなことでも苦労にはなりませんわ。この身はお嬢様にささげる、と決めたのですから。」
しかしその表情はベンチ内が暗くてレミリアにはよく見えなかったが、思いは伝わったようだ。
「さぁ、楽しいおしゃべりもこれくらいにしてそろそろ明日に備えましょうか。寝不足で調子が出ませんでした。ではお笑いにもならないわ。」
照れ隠しにそう述べたあとレミリアは腰を上げる。咲夜もレミリアについて紅魔館に戻っていく。
----静かなスタジアムは嵐の前の静けさ、という言葉がぴったりだった。
レッツの開幕戦の相手は昨シーズン2位の幻想ドリームス、幽々子が抜けた穴には幻想郷最恐打者、風見幽香が収まっており、攻撃面は以前より強化されたのではないか、とも言われる。だが、幽々子の従者である魂魄妖夢は大好きな主人と離れたことでやや気落ちしているとも見られている。
「さぁ、今日は大事な大事な開幕戦よ!最高の滑り出しをするためにも是非とも勝利を飾りたいわ、うちもエースのフランを立てるけどあっちもおそらくエースの霊夢でくると思うわ。一点が試合をわけると思ってだらしないミスは無しでいきましょう!」
レミリアが試合前のミーティングで檄を飛ばす。選手達も引き締まった表情で臨んでいる。
ここ、ドリームスの本拠地博麗結界ドームでは満員の観客が試合が始まるのを待っている。博麗結界ドームは幻想郷には珍しいドーム型球場だ。
ちなみにどのチームも対等に試合ができるよう各球場には日光や雨、月光などの効果は結界によりシャットアウトされている。
八雲紫にかかればどんなご都合主義も実現可能なのだ。なのでドーム球場というだけで他の球場となんら変わりはない。
先攻 紅魔館デビルレッツ スターティングメンバー
1 遊 咲夜 右投左打
2 中 ミスティア 左投左打
3 左 慧音 右投右打
4 三 妹紅 右投右打
5 捕 美鈴 右投右打
6 一 キスメ 右投右打
7 右 妖精メイド 右投右打
8 二 小悪魔 右投両打
9 投 フランドール 右投右打
後攻 幻想ドリームス スターティングメンバー
1 中 魔理沙 左投左打
2 二 にとり 右投右打
3 遊 八雲藍 右投右打
4 左 八雲紫 右投両打
5 一 幽香 右投左打
6 三 妖精 右投右打
7 右 ルナチャイルド左投右打
8 捕 妖精 右投右打
9 投 霊夢 右投両打
両チームのスターティングメンバーと先発が発表され、今--------
「プレイボール!!」
---------シーズンが幕を開けた。
左バッターボックスに咲夜が入る、相対するは霊夢。
初球を見送ってストライク。
(相変わらずスピードの割に伸びがすごいわね、ボールを上からたたきつける感覚でいかないとね。)
霊夢の球は特別速いわけでもなく、絶妙なコントロールがあるわけでもない。
ただ、球が浮き上がるような錯覚を覚えるほどのバックスピンのきいたストレートを投げる。
咲夜も最初はこの球に苦しめられたものだった。だが手品のタネさえわかれば打てない球ではなかった。
2球目もストレートでストライクを取りにきたところを逆らわず打ち返す。
こちらも手品のような流し打ち、フェアラインをきれそうできれない。レフト線にぽとりと落とす流し打ちは咲夜の得意とするところだった。
(上からたたきつけたつもりだったんだけどまだフライ性のあたりになるわね…、また一段と磨きかかったんじゃないかしら?)
続くミスティアはサードゴロ、もともとが強烈なダウンスイングなのでバウンド高めの当たりになったのが幸いして咲夜は二塁へ。
ここで打席には慧音が向かう。
(いきなりのチャンスだな、こういうときこそ繋ぐ意識を大事にせねばな。)
チャンスだからといって大振りになったりしないのが慧音の長所の一つだ。
だが相手もエース、8球粘りはしたもののセカンドフライに打ち取られる。
「すまん妹紅…、せめてランナーを進めるべきだった。」
ベンチに帰る際、妹紅にすれちがいざまに謝罪する。しかし妹紅は笑っていた。
「そんな毎回打てるはずないよ、慧音は気にしすぎなんだ。バッターなんて100回打って30本ヒットなら褒められるんだよ。」
笑いながらそういって妹紅は打席に向かう。同時に相手の守備も左側に寄っていく。
(相変わらずみんな左側に寄っていくなぁ、まぁそこをぶち抜くのが面白いんだけど)
(何よコイツ…、笑いながら打席立つってアブナいやつね。ルナーズにいた時はもっとストイックな表情してたと思うけど。)
霊夢は去年までの妹紅とも違いに不気味さを覚える。初打席から笑って立たれたなら誰でもそう思うだろうが。
そして初球だった。
打球は快音を残してゴロでサード線をやぶる、三塁手もラインを詰めてはいたが打球が速すぎた。
打球はあっという間にフェンスにぶつかる。
その間に咲夜は悠々とホームイン、幸先よくレッツは先制点を挙げた。
(あぁ~、やっぱりあれは最高だな!三塁手が反応できないような打球をライン際にぶっぱなす、これがあるからやめられないや。)
当たりが良すぎてシングルヒットとなるのも妹紅には慣れたこと、一塁ベース上でご機嫌そうだ。
続く元4番、美鈴は三振に倒れ攻撃終了。今度はフランドールがマウンドに向かう。
フランドールは最初にマウンドに来て、スコアボードを見るのが好きだった。
まだ相手チームの欄には何も書かれていない、自分が今からそこに0を並べてやるのだ。そう思うと気持ちが昂ってくるのが自分でもわかる。
(味方も先制してくれたしこの一点は絶対守ってみせる、いつまでも世話の焼ける妹だなんて思わせないわ。)
ドリームスの先頭バッターは魔理沙、足もあるが長打もある最強のリードオフマンだ。ん、リードオフウーマンか?
しかしフランドールはストレートだけで三振を奪う。この回をあえなく三者三振に切ってすてる。
マウンドから降りる際にもう一度スコアボードへと目をやる、そこには0が一つ入っていた。それを見て少し笑ってベンチへと戻っていく。
そこからは投手戦の始まりだった。
霊夢が三者凡退に抑えればフランドールも負けじと無得点で切り抜ける。
特に2回からの霊夢は手の出しようがなかった、たまに出塁はすれど2塁ベースを踏む事はできない。
5回が終わって球数は60球にも満たなかった。
逆にフランドールは初回こそ完璧だったが2回からは毎回のようにランナーを許す。それでも自慢のストレートと新兵器カットボールを用いて意地で抑える。
だが、球数は5回を投げ終わって110球に届こうかというところ。もともと制球が良い投手ではないので調子が良くても完投するころには150球前後が常である。
そして6回、霊夢はここもレッツを三者凡退で抑える。
球数が少ないせいか表情に余裕がうかがえる、入れ替わりにマウンドにあがるフランドールは表情こそまだまだいける、という表情だが顔からしたたる汗は初回とはまるで別人だ。
(今日は攻撃がいつもにまして短いから全然休めないわね、それでも勝ってる以上弱音なんて吐けないわ、このイニングも0で抑えてみせる!)
気合いを入れ直しマウンドで構える、初回とまったく変わらない大きな投球フォーム。
しかしストライクが入らない。フランドールの乱調癖が顔をのぞかせはじめた。
この回の先頭バッターの6番に3-1から四球を与えてしまう。
たまらず美鈴がタイムをかけ、マウンド上へ向かう。
「何。美鈴?」
フランドールが邪魔そうに答える、何をうろたえているんだ、今までの私とは違うんだぞ。と目が物語っていた。
「いえ、なんでもありません、その表情なら大丈夫そうですね。私の杞憂でした。」
美鈴は微笑みながらすぐに定位置のホームベースの後ろへ。
(去年までならストライクが入らないって焦ってたのに成長したなぁ、フランドール様も)
ストレートが入らないとみるとすぐさまカットボール中心の配球へ、今年から大幅に制球、球威ともに強化されたカットボールに初見で対応できるわけがなかった。
7番をピッチャーゴロでゲッツーに打ち取ると8番を空振り三振。フランドールが吼えながらマウンドを降りる、スコアボードには6つの0。
だが野手陣がフランドールの力投に答えられない、7回も3番からだったのだが霊夢の前に手が出ない。
「本当にごめんな、一点しか取ってやれなくて」
思わず妹紅がフランドールに謝罪する。妹紅は初回にタイムリーこそ放っているがその後は快音が聞かれない。
「気にしないでいいわよ、去年もこんな展開たくさんあったんだから。それより守備をしっかりしてね。」
フランドールは笑いながら返す。そして7つ目の0を並べるためにマウンドにあがる。
(あと3回…、上位打線に回るこの回が実質勝負の回ね。)
マウンドで足場を馴らしつつそんなことを思う。
先頭バッターの霊夢をセカンドゴロに打ち取り、打線はトップへ。
(フランもそろそろ球数が130球を超えてきてるしなんとかしたいところだぜ、このまま無得点で負けたら霊夢に何を言われるかわかったもんじゃない、飯をおごらされるのはごめんだ。)
魔理沙は苦笑いしながらそんなことを考える。
(とはいったもののどうするか…、去年はあんなカットボール投げてなかったよな、見切るのにはもうちょい時間が欲しいぜ。ということは…やっぱりストレートだな。結局野球もパワーだぜ。)
狙い球を決めてバッターボックスへ。
カウント2-2と追い込んでからの5球目、フランドールのストレートが高めに浮いてしまった。
(こいつだ!)
魔理沙はバットをフルスイング。飛んでいった打球は右中間をまっぷたつに破っていく。
出してはいけないバッターを出してしまった。しかもツーベースで。
しかしフランドールは連打を許さない。にとりをセンターフライに打ち取って二死二塁。
(ここまできて…得点なんか絶対にさせないんだから!)
今日の霊夢からはもう点を取れないだろう、というのは本能的にわかっていた。それほどまでに2回以降の霊夢は圧巻だったのだ。
それでも体の疲れは正直だった。
3番の藍に四球を与えて一、二塁とすると紫にレフト前に運ばれてついに二死満塁。
ここで打席には-----------風見幽香。
フランドールの顔が険しくなる。
今日幽香をまともに抑えた打席は無い。
アウトをとった打席でさえ、野手真正面だったから助かった。という当たりをされている。今の疲れているフランドールなら満塁弾を打たれることもありえる、だがそんなものを打たれてしまえば確実にチームは負けてしまう。そしてフランドールもそんなことはわかっていた。
(ここでこいつ…!なんとかして抑えないと…でもどうやって!?)
マウンド上でフランドールが狼狽えているのがレミリアにはわかった。
レミリアが動く。審判に投手の交代を告げ、グラブ片手にマウンドへ向かう。
もちろん審判に告げた名前は自分、だがその前にやることがあった。
「フラン、お疲れさま。ここまで良く投げたわね。」
レミリアがフランドールを労うように声をかける。だがフランドールは反抗するかのように言い放つ。
「お疲れさま!? よく投げた!? この状況のどこがよ! 私は結局ピンチを招いてお姉様にこの状況を任せるしかできないのよ!?」
その声には自分に対する情けなさ、怒りなども込められていた。今年こそは迷惑をかけない、私こそがレッツのエースだ。と胸を張っていえる投手になるつもりだった。なのに結果はこれだ、という叫びにも聞こえた。
「あなたは先発としての役割はきちんと果たしたわ。それでもこの結果に満足できないならもっと強い投手になりなさい。」
それだけ言うとレミリアは内野陣と円陣を組む。フランドールを振り返ることはしなかった。
フランドールはマウンドから降りてベンチへと向かう。ベンチの手前でマウンド上の姉へと目をやる。
そこには”強い投手とはどんなものかよく見ておきなさい”と背中で語る姉の姿があった。
(あ~あ、まだまだお姉様にはかなわないな。)
そう思いつつベンチへと腰を下ろす。もちろん試合から目を離す事無く。
(あれがレッツの前守護神ね、確かにいい球投げるじゃない。ゾクゾクしてきたわ。)
レミリアの投球練習を見ながら幽香は喜びを覚えていた。
(この状況でレミリアから打てばどんなに気持ちいいかしら…、こちらのベンチとライトスタンドは歓声にあふれ、あっちのベンチとレフトスタンドの落胆した状況…、考えただけでよだれが出そうね。)
(さて、あの風見幽香か、確かに今日の試合を見る以上かなりの実力者であることは間違いないわね。あの自分が一番優れていると言いたげな表情…気に入らないわ。)
レミリアは静かに闘志を燃やしていた。ここで打たれるわけにはいかない、フランドールのためにも。その思いが何よりの原動力となっている。
投球練習も終わり、プレイが宣告される。
サインを交換して初球。
レミリアはおもむろに振りかぶった、通常ランナーがいる場面ならありえないワインドアップモーション。
(二死満塁なら盗塁も何も気にする必要は無い、ただ目の前のバッターを抑えるだけ!)
フランドールのように大きなモーションではない、しかし荘厳なフォームだ。
天を掴めそうなワインドアップ、あくまでゆったりと投球動作を続ける。
投げる前に一瞬だけ左手を前に突き出し右手は後ろでテイクバック、その姿はまさに「不夜城レッド」、そこから放たれたボールはうなりをあげて飛んでいく。
「ストライク!」
審判が高らかにコールをする。
(いいわ!やっぱりこうでなくちゃ、相手の最高のボールを完全に打ち砕く!これこそ野球の醍醐味よ!)
幽香は今の球を見てますますボルテージが上がっていく。あの球を完璧に捉える、もうこれしか頭の中は無いようだ。
二球目は外角に外れるスライダー、幽香はこれを平然と見逃しレミリアへと顔を向ける。
小細工なんてやめてかかってきなさい。そう言っている顔だった。
(ふん、変化球に興味は無いって顔ね。そんなにストレートがお望みならくれてやるわ。 私の「グングニル」を!)
1ー1から投じた球は幽香の注文通りストレート。これに幽香はフルスイングで答える、だが打球はバックネットへのファールボール。これでカウントは1ー2、レミリアが追い込んだ。
そうだ、その球だ。という幽香の顔と、そのスイングでこそこの球に挑む価値がある。というレミリアの顔。
お互いに顔を見合わせニヤリと笑う。今が心底楽しい、お互いに思っている事は同じだった。
(でも楽しい時間ももう終わりね、次で終わりよ。)
レミリアが振りかぶって投球動作を開始、同時に幽香も構えを集中する。
そしてレミリアが投げた球は先ほどとまったく同じ、うなりをあげるストレート。
に見えた。
ホームベース手前でボールは急降下、レミリアがキャンプから磨きをかけていた縦に落ちるスライダーだ。
幽香は完全にストレートと勘違いしてバットを振っていた----当たるわけが無い。
バットは豪快に空を切る、その球を美鈴は捕球できなかったがなんとか体でボールを止めて幽香にタッチ。
(何が…起こったの?確かに完璧に捉えたはずなのに…)
さすがの幽香も何が起こったのかわからない、といった表情だ。
レミリアはそんな幽香を尻目にマウンドを降りる、フランドールと同じようにスコアボードに並んだ0を眺めながら。
「レミリア!この借りはかならず返すわよ!」
我に返った幽香はレミリアに叫ぶ。
そんな幽香を振り返ることなく右手をヒラヒラとして応える。
まるで やれるものならやってみろ と言わんばかりに。
結局この回の攻防が勝負の分かれ目となった。
8回をレミリアが危なげなく三者凡退にすると9回は新守護神、ルナサにリレー。バックの守備にも助けられたが3人で試合を終わらせた。
(ふぅ…、なんとか初セーブは無事にあげられた、今日失敗してたら、なんて考えたくもないよ。)
内心ヒヤヒヤしながらルナサはマウンドを降りる。その表情は 抑えて当たり前だ と言っているのだが。
ともかく、レッツは開幕戦に勝利、考えられる中で最高の結果を残した。
「みんなお疲れさま!開幕戦のエース対決で接戦をものにできたのは大きいわ!」
レミリアが試合後のミーティングでご機嫌に選手たちを労う。
「ただ相手がエースの霊夢で調子良さそうだったとはいえ1点は寂しいわね。明日は期待してるわよ?」
結果はともかく内容は反省すべき点も多い、結局霊夢に完投されてしまっている。
2回からは完全に霊夢ペースで投げられてしまっていた。同点に追いつかれたりしていれば良くて引き分け、試合の流れでは負けててもおかしくない試合だった。
「はい、明日は打ってみせます!」
そう答えたのは美鈴、今日はノーヒットで終わってしまっただけに明日はなんとかしてやろうという気持ちが強いようだ。
次の試合はレッツはパチュリー、ドリームスは妖夢の両先発でプレイボール。
パチュリーは打たせてとるピッチングで5回1失点でマウンドを降りる、5回終わって75球、パチュリーにはここが限界だった。
(なんとか6回まで投げたかったのだけど…、まぁ点差もあるし大丈夫かしら?)
中継ぎ陣の不安要素はパチュリーが一番わかっている、早くにマウンドを降りる自分も悪いのだが昨シーズン何回勝ち星が飛んでいったかわからない。
他球団に比べ4~5回は多く勝ち星が中継ぎにより吹き飛んでいたのだ。
一方の妖夢は件の噂は本当なのではないか、と言われても仕方ないピッチング。毎イニングのように失点を重ね5回6失点でマウンドを降りる、美鈴は昨日の宣言通り2本のタイムリーを放ち3打点を挙げる活躍を見せていた。
(私はまだまだ未熟です。幽々子様がいないだけでピッチングを乱してこんな投球内容では…)
マウンドを降りる妖夢は小柄な体がさらに小さく見えた。
しかし6,7,8回と妖精メイドの中継ぎ陣で3回を2失点。
(5点差あったから今日はメイドだけでいきたかったんだけどね…。)
レミリアは審判にピッチャー、ルナサの名を告げる。
3点差あればさすがにルナサも緊張は薄かった。持ち前の制球と落ちる変化球で1回を2奪三振と内野ゴロに抑えてゲームセット。開幕2連勝を飾る。
(いつも3点あればいいのにな、まぁそうも言ってられないわね。)
3試合目は一方的な試合展開となった。
先発の妖精メイドが3回5失点の大炎上。その後もでてくるリリーフが打ち込まれ終わってみれば12対3。
あわよくば開幕カードから3タテできるかも、と思っていたレミリアだったが儚い夢であった。
(そんなに甘くないわよね~、それでもこのカードは勝ち越しで終えられたし良い滑り出しができたわね。)
こんなときもある、レミリアは自分に言い聞かせてチームにも檄を飛ばす。
「今日は残念だったけど、試合はまだまだ続くわ!まずはカード勝ち越しできたことに喜びましょう。その後は今日のゲームの反省会ね。それが終わったら気持ちを切り替えてまた次の試合へ備えるわよ!」
---------------ペナントレースは始まったばかりだ---------
次も楽しみにしてます。
長打ばっかり打つ1番ってのも凄いな……
……今思ったけど幻想郷はピッチャーでも平気でホームランとか打てそうで怖い。(フランとか)
毎回楽しみに見てます!次も頑張ってください!
しかしなんというか、抑えに不安を感じるのは私だけ?w
左利きで右投げもありえないわけじゃないけど
なにはともあれ最近野球熱が高まっている私には今一番楽しみなシリーズです
続きが楽しみです
憎いとこに打って盗塁でかきまわしてくるみたいな、本塁打数は少し多く感じた。
藍はキャッチャーででてくるかと思ってた、リードうまそうだしあとはあのもふもふしっぽでブロック。
いろいろ想像を掻き立てられておもしろいです。続きを楽しみにしてます。
レミリアvs幽香が熱かったです!!
次も期待しています。
他球団はどんなチームなのか今から楽しみです。
まだ打撃の方面に不安が残るけどそれは美鈴・永夜EX組がなんとかしてくれるって信じてる
今回も楽しかったよ
ドリームスメンバーもかなりのチートクラスですねえ…。
レッツ側はフランの頑張りにレミリアの新兵器、やはり目が離せません。
次回にも期待大、ですね。
とはいえ、この投稿ペースの短さには嬉しい反面、大丈夫かと心配にもなります。
ゆっくりでいいので投稿ペースは無理せずに。
ぜひシーズン終了まで書ききっていただけると嬉しいです。
それにしてもドリームスのクリーンナップの威圧感よ