「ぜぇー…はー……ぜぇ、はあ」
「……」
勝った。
輝夜に勝った。
お互い、夜風に剥き出しの骨を曝し、光弾で焼き切れた衣服をぶら下げ、内臓や皮膚から溢れた血で濡れている。違いは、呼吸の有無、意識の有無、再生の有無。
輝夜は今、再生の限界を迎えて、一時的に死んでいる。それを見ている私自身もかなりギリギリの状態だが、私は生きている。
"生きている"。
勝利への喜びと、何とも言えぬ生への悦びに酔って数秒。輝夜の息の根を止めたその体勢を崩し、尻餅をつくように地面へ座り込んだ。
同時に、輝夜を掴んでいた手を離す。その身体はまるで生卵のように、ぐしゃりと歪な音をたてて崩れた。
「はは……様あ見ろ」
尽きない命を削りあって一興、相手の死に様を見てまた一興。蓬莱人として永く生きる私達にとって、退屈は死よりも恐ろしく、生(せい)の実感はどんな宝石よりも価値があるものだ。
お互い、それらを提供・補填しあっているから、私は生きていられる。逆に言えば、私はそれが無ければ生きていけない。
……輝夜はどうだろう?
この果ての無い殺し合いを、どう捉えて、何を思って行っているのだろうか。
もし奴が、「永遠と須臾(しゅゆ)を操る」能力を使って私と殺し合いをしたら。私は一秒もせずに、再生の限界を迎えてしまうだろう。
それが無いということは、殺す事自体が目的ではないということ。だけど、私のように「生きる為の殺し合い」として捉えているかは判らない。奴には、永遠を共にするであろう従者がいる。
蓬莱人としての私達が持つ、唯一にして最大の違い。気が狂う程の時を独りで生きるか、二人で生きるか。その違いは言うまでもない。
もしかしたら、奴の永遠を消化するのに、私は必ずしも必要な存在では無いのかもしれない。私がいなくとも、生きていけるのかもしれない。
いや、生きていけるだろう。
こんな、倫理的に狂った遊びをしなくても良いのだ。生きられるのだ。
輝夜は暇つぶしの為で、私は生きる為。
真に殺し合いを、輝夜を必要としているのは私の方だけ。
昔は輝夜への憎しみで生かされ、今は輝夜との殺し合いで生かされる。結局、私は一方的に輝夜を頼り、縋りつく事で生きて来られたのだ。この関係はきっと、どちらかが飽きるまで……それこそ未来永劫続くだろう。
輝夜こそが全ての元凶なのにね。
……嗚呼、なんて皮肉だろう!
「……くくっ、くははっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
手刀で身体を貫いて、炎で内臓を焼いて、身体中に爆符を付けて……。
久方ぶりに、私は、私を殺す事にした。
どうせ、死ねないのだろうけど。
「アはハはハはははハハハはハハはハはハはははハハはハはハははハはハはははハハはハはハははハはハははハハはハ」
声が途切れる事はない。まるで壊れた人形のよう。
もっともっと嗤ってやる。この滑稽な人生を。愚かな私を。いつまでも。
「……」
勝った。
輝夜に勝った。
お互い、夜風に剥き出しの骨を曝し、光弾で焼き切れた衣服をぶら下げ、内臓や皮膚から溢れた血で濡れている。違いは、呼吸の有無、意識の有無、再生の有無。
輝夜は今、再生の限界を迎えて、一時的に死んでいる。それを見ている私自身もかなりギリギリの状態だが、私は生きている。
"生きている"。
勝利への喜びと、何とも言えぬ生への悦びに酔って数秒。輝夜の息の根を止めたその体勢を崩し、尻餅をつくように地面へ座り込んだ。
同時に、輝夜を掴んでいた手を離す。その身体はまるで生卵のように、ぐしゃりと歪な音をたてて崩れた。
「はは……様あ見ろ」
尽きない命を削りあって一興、相手の死に様を見てまた一興。蓬莱人として永く生きる私達にとって、退屈は死よりも恐ろしく、生(せい)の実感はどんな宝石よりも価値があるものだ。
お互い、それらを提供・補填しあっているから、私は生きていられる。逆に言えば、私はそれが無ければ生きていけない。
……輝夜はどうだろう?
この果ての無い殺し合いを、どう捉えて、何を思って行っているのだろうか。
もし奴が、「永遠と須臾(しゅゆ)を操る」能力を使って私と殺し合いをしたら。私は一秒もせずに、再生の限界を迎えてしまうだろう。
それが無いということは、殺す事自体が目的ではないということ。だけど、私のように「生きる為の殺し合い」として捉えているかは判らない。奴には、永遠を共にするであろう従者がいる。
蓬莱人としての私達が持つ、唯一にして最大の違い。気が狂う程の時を独りで生きるか、二人で生きるか。その違いは言うまでもない。
もしかしたら、奴の永遠を消化するのに、私は必ずしも必要な存在では無いのかもしれない。私がいなくとも、生きていけるのかもしれない。
いや、生きていけるだろう。
こんな、倫理的に狂った遊びをしなくても良いのだ。生きられるのだ。
輝夜は暇つぶしの為で、私は生きる為。
真に殺し合いを、輝夜を必要としているのは私の方だけ。
昔は輝夜への憎しみで生かされ、今は輝夜との殺し合いで生かされる。結局、私は一方的に輝夜を頼り、縋りつく事で生きて来られたのだ。この関係はきっと、どちらかが飽きるまで……それこそ未来永劫続くだろう。
輝夜こそが全ての元凶なのにね。
……嗚呼、なんて皮肉だろう!
「……くくっ、くははっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
手刀で身体を貫いて、炎で内臓を焼いて、身体中に爆符を付けて……。
久方ぶりに、私は、私を殺す事にした。
どうせ、死ねないのだろうけど。
「アはハはハはははハハハはハハはハはハはははハハはハはハははハはハはははハハはハはハははハはハははハハはハ」
声が途切れる事はない。まるで壊れた人形のよう。
もっともっと嗤ってやる。この滑稽な人生を。愚かな私を。いつまでも。
評価・コメントありがとうございます。
完全に私の実力不足です…。
物語をふくらませていける様、精進致します。