Coolier - 新生・東方創想話

守護者の忘れることのできない思い出

2011/04/14 20:59:15
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注意
この作品は前作『店主と守護者のなつかしい思い出』の後日談です
またオリジナル設定がたくさんあります。
霖之助さんの昔の名前が公表されていないため
昔の名前も霖之助として使っています。
それでもかまわんという人はどうぞ



香霖堂から里に向かって空を飛びながら帰る。

さすがに香霖堂がある魔法の森から空を飛びながらでも里に着くころにはやっと怒りがおさまりつつあった。

そんなときに霧雨の親父さんが声をかけてきた。

「おや慧音先生買い物の帰りですか?」
「あぁそんなところですね」
「また霖之助の所ですか?まぁ通い妻にならない程度にしてくださいね。そんなことされたら家が商売あがったりなんでね」

はっはっはと霧雨の親父さんが笑いながら冗談を言うが通い妻と言われ若干顔が赤くなるのを自覚する。
まぁ里のみんなから言われればさすがに慣れてくる。

「それはそうと霖之助のやつはどうでしたかまぁあいかわらずでしょうけど」
「えぇあいかわらずですねこういうのもなんですけど親父さんも変わらないですねわたしが香霖堂に行くたびに聞いてくるのも」
「まぁ霖之助は接客以外は優秀でしたしねおかげで当時は楽をさせてもらいましたよ」
「そういえば親父さんはあいつが道具の技術を学んだか知っていますか?」
「いや情けない話しあいつから聞いたことがないんですよ。そういう慧音先生は知っているようで。」
「えぇと言っても本人から聞いたことは一度もないんですけどね」
私は苦笑いをしながら答える。
どうやら霖之助のやつは恩師である霧雨の親父さんにもはなしてないようだ、まったくあいつは本当に素直じゃない。
まぁそういうところも好きではあるんだが
って何を考えているんだ私は。

「慧音先生どうかしましたか?急に顔が真っ赤になっていますが」

さすがにこれ以上勘ぐさられるやっかいなので話を変えることにした。

「いえ大丈夫です御心配に要りません、それはそうとよろしければ少し長い話になりますが話しましょうか?」

「ええよろしければお願いします。なんならそこの茶屋でいいですか?
お礼に奢りますよ」

「すいません、奢ってもらうなんて」
「いいんですよ、あくまでお礼ですから」

茶屋に着き一息ついたので私は親父さんの要望である霖之助の過去の様子を話すことにした。
私はつい先ほどまで話していたのに懐かしいと思うのを感じずにはいられなかった。





霖之助が里から出て行ったのを知ったのは霖之助が出て行った翌日のお昼時だった。
その日の朝は珍しく寝坊してしまい急いで寺子屋に行ったので、家に手紙が届いているのされ気づく余裕がなかったのを今でも覚えている。
寺子屋に着くとまだ教師が来てないのに安堵しながら周囲を見渡すと霖之助が来てないのに気付いたが特に疑問はなかった。
普段霖之介はかなり早く寺子屋に来ているが月に1度程度に休むことが必ずあった。
いつもは無断欠席に厳しい教師がその日は必ず霖之助の出席の確認をしないことから私たち生徒は不思議と思っていたが暗黙の了解があったみたいだった。

霖之助がいない教室はいつもの寺子屋とすこしさみしい気がするのはいつもそうだった。
別に私だけがさみしいわけではなく教室のみんながそう思っていた。
霖之助は教室中心人物というわけではなかったし委員長というわけでもなかったが教室の隅でひっそりしているような奴じゃなかった。
霖之助は昔から頭はよかったし、半妖ということもあり力もあったこともあり、教室のみんなからしたわれていた。

「意外って言えば意外ですね霖之助のやつがいくら昔とはいえ、したわれていたなんて今の霖之助をみると考えられませんね」
「人付き合いは苦手っとか言ってるくせに面倒見だけは良いですからね~」
「まぁ家の魔理沙も世話になっているみたいですしねー
そこが霖之助の魅力の一つなんて考えていませんか?先生?」
「なぁ なにでたらめなこと言ってるんですか私はそんなこと」
「ゴチソウサマです そろそろ続きよろしいですか?」
なんだか気になるが話に戻るとする。


霖之助が居ないまま寺子屋の授業が終わり、家に帰った時に始めて霖之助から気づいた
最初は初めての霖之助からの手紙に心躍ったが、だんだん手紙を読み進めるにつれて顔色が悪くなっていくのを自覚しながらさらに読み進める。
最後まで読んだ時には家から飛び出していた。
走って走ってやっとの思いで里の端までついて警備の人に霖之助の行方を聞いた時に今日は誰も外に出ていないと聞いた時は心底驚いた。
確かに手紙には里から出ていく旨が書かれていたし警備の者に聞いても無駄とも書かれていた。
けれど私はあきられなかった霖之助の普段行きそうなところから里の知り合いに行方を聞いて回った、やっとの思いで手に入った情報は意外にも教師からだった。
教師は最初にすまなそうに謝ってから話し始めた
「すまないが私は霖之助の行方は知らないが霖之助が純粋な人間ではないことには気が付いていた。
あいつはかならず満月になる日だけは寺子屋を休んでいたし何年も見ていればさすがに気がつく」
私が欲しい情報は手に入りそうにないと早々に出ようと行こうとするところを引き止められた。
「まぁ待て霖之助の行方は知らないが行きそうなところは心当たりがある」
その言葉に私の言葉が思わず止まる。
「本当にお前さんは霖之助のことになると目の色が変わるな」
教師にからかわれているのも時間がないので私は早く話してほしいと無言で催促する。
「わかったわかっただからそんなに見つめないでくれ。
あいつが前から道具に興味を持っているのは知っているだろ?昔一度あいつが私に珍しく質問してきたんだよ。
『里にあるあの時計は誰がつくったんですか?』ってね
それに答えたらそいつ急にカッパと妖怪の山に興味を持ったからあいつは妖怪の山に行ったんじゃないか?」
それを聞いて私はすぐに妖怪の山に行くこと決め走り始めようとしたときにまた呼び止められる。
「まぁ待ちなお前さん妖怪の山のことはよく知らないだろ」
それを言われると反論できない自分が悔しかった、なにより妖怪の山の場所は里からでも見えるからわかるからがどんな妖怪が居るかさえ当時の私にはわからなかった。
せいぜい新聞の勧誘に来る天狗ぐらいだろ。
「それに今日はもう遅い明日なったら妖怪の山について教えてやるから今日は帰りなさい。
それにその手紙には必ず帰ってくるとかいてあるんだろ?」
それを言われると流石に帰ることしかできなかった。
この時始めて私が疲れていることにきづきおとなしく帰ったのだった。

「いやぁ慧音先生は昔からお熱だったのはわかりましたが例の手紙は残っているんですか?」
「いやさすがにもう残ってないですよ、博麗大結界ができる前のものですからね」
「となると慧音先生の年r」
ガッと音とともに私は親父さんの顔をつかむ。
「女性の年齢を聞くのは関心しませんねぇ」
「わ、わかりました」
「そんなこと言うなら話すのやめますよ?」
「それは勘弁して下さい、せっかくのネタなのに」
「ネタのために聞いたんですか」
「ええそうです。(違いますよ純粋に霖之助を心配してですよ)」
「親父さん本音漏れてますよ」
「おっとしまった」
本当に話すのをやめようかと悩むが話さないとこの親父さんのことだ、明日には里のみんなに話す上に天狗に売り込みに行くだろう。
本人から聞いた話だと言ったうえで面白おかしく、それはもう新聞の一面を張れるように。

「まぁいいです。かわりに内密にお願いしますよ」
「しょうがないですねわかりました。商人にとってお客との信頼関係が一番重要ですからね」




翌日私は朝一番に教師に話を聞きに行った。
結果から言うと妖怪の山には天狗やカッパの他には八百万の神様が住んでいる所で気軽に行っていい場所ではないこと。
またそこに住む妖怪はみな力強く命がいくつあっても足りないとのことだった。
「それにお前さんが行って亡くなってしまっては意味がないだろう。必ず帰ってくるとも書かれているんだろ?それに親御さんはどうするんだ?
お前は一人っ子だろ唯一の子供が亡くなったとしたら悲しむだろ」
それを言われると私は黙るしかなかった。
翌日から私は情報収集に頑張った
当時は今より紙は貴重で資料探しにはさほど苦労はしなかったけど、欲しい情報は全く手に入らなかった。
霖之助がどうやって情報を手に入れたのか不思議でしょうがなかった。
それからだいたい一カ月ぐらい過ぎた日にひとつの噂が流れ始めた。
『一人の天狗が来ているようだ。』と別に天狗自体はそれほど珍しくない。
新聞の配達や勧誘に取材と理由は様々だが妖怪の山から降りてくるのをよく見る。
だがその天狗の理由が人探しらしかった、しかも何人が協力を持ちかけてもすべて断っているみたいだった。
噂好きの天狗にしては珍しいものだった、協力してくれる者がいるならそこからさらに話題が増えるからである。
私はそんな噂を気にせず調べていたが、噂の天狗が私のところにもやってきたのである。

「すいませんお嬢さん少々お時間よろしいですか?」
「なんでしょうか?」
「おひとつ伺いたいことがあるのですがよろしいですか?」
本当は断って調べたいとも思ったが相手は天狗、内容次第では霖之助の情報が手に入るかもしれないとの希望と、なにより相手があまりに真剣な顔をしていた私は結局受けることにした。
「わかりましたお受けします」
「ありがとうございます。
ではいきなりで、すいませんが妖怪の山に知り合いはおりますか?」
いままで以上に真剣な顔で尋ねてきたので私は正直に答えることにした。
「私自身は妖怪の山に行ったことはありませんが、私と同じ年ぐらいの容姿をした友人が妖怪の山にいる可能性が高いと思ってます」
「そうですかあなたですかやっと見つけました」
そういうと肩の荷物が降りた様に力を抜き、安堵の表情を浮かべていた。
「いやぁまさか天魔様から人探しの命を受けた時は本当に耳を疑いましたね。最近侵入した小僧の見張りとそいつの近況を報告しろ、って言うんですよ。信じられますか?いきなり事情も説明も手がかりも無しですよ。
いやまだそれだけなら良いですよ、あの人の気まぐれは有名ですから。でも見ず知らずの半妖を匿うって言うんですよ、鬼の方々に見つかったらどうするんですか、絶対あの人面倒になったら逃げるくせに」
「えっとぉ、とりあえずどこか座れるとこに行きませんか?
ここだとすごく目立つので」
いきなり里のど真ん中で騒がれてはさすがに目立つものである。
私は天狗の腕をつかみ茶屋に入って行った。



「それでは改めまして、あなたが最近妖怪の山に入ってきた霖之助の」
「えぇ上白沢慧音です」
「そうですかあなたが霖之助の思い人ですか」
「いや、ち、違いますよ、別にあいつとは」
「いや大丈夫ですよ、ちゃんとこっちで調査しているので
どうも幼馴染とかしかも以前朝に起こしに行こうとして家がわからなかったとか他には」

「わーわーわー」
これ以上言われるとさすがに恥ずかしいので両手を振りながらなんとか会話を止めるように努めるが全く効かない。
薄々感じてはいたがこの人全く話を聞かないようだ。あいかわらず話し続ける天狗の人を私はいろいろ頑張った。
具体的には話かけたり、殴ったりもしたが最終的に口に食べ物を入れてやっと止まった。
「いやぁ~すいませんつい地が出てしまいました」
まったく懲りない顔で謝られる。
「それはもういいのでそろそろ霖之助の近況を教えてください」
「えぇせっかくノッテきたのに~」
「いい加減にしてください、時間かからないって言ってたじゃないですか」
「はははふざけ過ぎたみたいだ、ではそろそろ話すとしましょう。
周りの人もいなくなったみたいだし」
そういわれて始めてわたし達の周りに人が居ないことに気付いた。

「さて本題に入るとしようかこの話はあまり人には聞かれるわけにはいかなくてね」
「もしかしてさっきまでのは演技だったんですか?」
「いや素だよ」
私は本気で殴りたくなってきたが相手は天狗殴っても全く効かないのはさっき既に試しているので殴るのをなんとかとどめた。
「結果から先に言っておこう、彼は無事だ。
現在は我ら天狗の保護のもとにいるうえにカッパに弟子入りしている」
とりあえず霖之助の無事に安堵するがひとつの疑問が生まれてくる。
いったい霖之助はどうやって妖怪の山に入り、カッパに弟子入りしたのだろうか?
「とりあえず先に言っておくが下っ端の僕にはいったいどうやって彼が入ってきたのか?どうして天魔様が保護にすることに決めたか?どうやってカッパに弟子入りしたか?は知らないし今後も知りたくはない」
「では霖之助はいつ戻ってくるか大まかな目安はわかりますか?」
「先ほど言った通り僕は下っ端でね、詳しいことはわからないけど少なくとも10年は帰ってこないと考えていいよ」
「なぜ10年は帰ってこないってことが分かるんですか?」
「詳しい理由は規則で言えないが簡単に言うとカッパの技術力はそれほど身につけるのに時間がかかるってことさ」
「おっと時間が思った以上かかったようだそろそろ戻らないといけないので失礼するよ。
それとお節介かもしれないがどうやら君は彼と長くい過ぎたみたいだ、
妖怪の兆しが出ている、もし君が妖怪となり彼を待つか、それとも人間のまま待つかは君次第だ」
そこまで天狗は言うと茶屋から出て行った。

私は天狗が言っていることがすぐには分からなかった。
私が妖怪になる?どうして?霖之助と一緒にいたいと私が願ったから?
いや確かに私は霖之助と一緒にいたいとは願っているが、私は本当に妖怪になりたいのか?
私はその日、答えが見つからなかった。


私はそれから一週間ぐらい悩み続けた、寺子屋の友達は心配そうに見ていたがさすがに私が妖怪になるなんてことは言えるわけがなく私は大丈夫と言って誤魔化していた。

私は本当に人間が妖怪に本当になるか調べるために稗田家に行くことにした。
当時稗田の阿礼の子は転生中のためいなかったが、当時の当主の人も話が分かる人で事情を話したら資料を簡単に見してくれることになった。
今思うとそんなに簡単に見してくれて大丈夫なのか?と心配になるが当時の私にはありがたかった。
調べてみると今まで何人かは妖怪になった例があることが分かった。
どうやら多くの人間は負の感情と本人が望んでなったらしい。
どのような姿になるかは本人の精神に影響するらしい。
どんな妖怪になるからは仮に傾向を調べても分からないらしい、ある意味博打である。
しかも完全な妖怪になるか半妖になるかも分からないらしい。

だが私自信が心から願わない限り決して妖怪になる事は無いことが分かった。
これだけでも調べたかいがあったと思えた。
あとは私が決断するだけだった。
だが私は決断がすぐにできなかった。
教師に言われた両親のことがあり私は決断できなかった。
しかし決断は早い方がいいのは分かってはいた、なにせ霖之助は半妖で私は人間なのだ。
私は10年も待ったらその間に立派な大人になる。
当時はまだ頭の古い人は裳着で大人の仲間入りと考えている人も少なくはなかった。
私は一人で一週間悩んだが答えが出ずにいたが、結局私はどうしたらいいか両親に正直に話すことにした。

「慧音そのこと本当なのか?」
「天狗さんの話が本当ならそうらしいの」
「あなた今まで人間が妖怪になった例を調べてみましょう」
「いやその必要はない、慧音の性格ならもう調べているはずだ。そうだろ慧音?」
「うん、稗田家の資料を見してもらったけど今まで人間が妖怪になった例はあったの」
「そうか」
父親のため息とともにしばらく重い空気が部屋を覆い尽くす。
どれくらい時間がたっただろうか分からなかった、ただ時計の音がやけに大きく聞こえた。

「慧音お前の人生だ、私たちは慧音がどちらの人生を選んでも慧音をおいて亡くなってしまう。
慧音私たちは慧音の将来の幸せが一番大事なことなんだ、だから私たちのことを深く考えなくていいんだぞ」
「私もお父さんの言うとおり慧音が好きなように選びなさい、今後誰と一緒に居たいか、
これからどんなふうに生きていきたいか」
「慧音お前はまだ若い、慧音がなりたいような大人に成長できる。
だから慧音がしたいように決めなさい。
なりたい自分になりなさい。
たとえ慧音が妖怪になったとしても私たちはずっと慧音の味方だ」


私は両親の言葉が嬉しかった、それと同時に私は決断する勇気がもてた。
もう亡くなってしまったが今でも両親には感謝している。
この言葉がなかったら私は妖怪になり、里のみんなと共に生き、霖之助と共に生きていくことを決意しなかったと思っている。



「いい親御さんですね」
「えぇ自慢の両親です」
「それで先生は今の半獣になって霖之助が10年後に帰ってきて一軒落着っていくんですね」
「親父さんあいつがそのままで終わると思いますか?」
「まさか妖怪の山で女のトラブルってやつですか?」
「そこでイキイキしないで下さい。
まぁ否定できないのが悲しい所ですが」
はぁ~とおもいっきりため息を吐く。
あいつは普段は鋭いくせに恋愛のこと、特に異性になるときゅうに鈍くなるのは毎度のことだがいい加減にしてほしいものだ。
いったい里の娘たちが犠牲になったことやら。
・・・思い出してきたら頭が痛くなってきた。
「なんか深刻な悩みみたいですが話の続きいいですか?」
「聞くまで諦めないですよね?」
「もちろんです」




あれは霖之助が里から出て行って7年たったある日のことだ。
いきなり私の家に7年前にあった以来の天狗がやってきたのである。
「すいません霖之助はいますか?」
「いえいませんがどうしましたか?」
「ちっ山に居ないとなるとここしかないと思ったんだが」
「あのぉ霖之助の身になにかあったんですか?」
「いや霖之助の自体は無事ですが我々の監視から逃げてしまいまして」
「いやいやこの前24時間で監視すると言ってたじゃないですか」
「どうも監視役の交換する時を狙って逃げたみたいなんですよ」
「でも貴方達天狗なら問題ないでしょ?」
「あまり大きな声で言えないんですが、つい先日できた『博麗大結界』から外の世界に行った可能性が出てきているんですよ」
はぁと理解できずにおもわず答える。
「・・・えぇ!!」
「しー声が大きいですよ」
「す すいません。
で、本当に結界から抜け出したんですか?」
「実のところ確証はないんですよ。
霖之助が去年に師匠のカッパから免許皆伝されたのは知ってますか?」
「いえ霖之助の近況は全く情報が入ってきてないんですよ」
「えっそれはほんとなんですか?」
「嘘をついて何の得があるというのですか?」
「いやそういうわけではなく霖之助が月に一度ぐらいの頻度で里に降りてきているのは知っていますか?」
「いや初耳ですけど」
「「・・・」」
なんともいえない空気が流れる。
「あんにゃろうさてはだいぶ前から計画してたな」
「えっといったいどういうことですか?」
「霖之助がカッパに弟子入りしたのは前に話しましたよね?」
「はいその時に10年は帰ってこないとも聞きました」

「霖之助は一人のカッパに弟子入りした時から毎日毎日頑張っていたんですよ。
そりゃ我々も驚くくらいに。ですがそれを見かねて師匠であるカッパと天魔様のはからいで月に一日から二日程度の休みを与えたんです」
「ちょっと待って下さいいくらなんでも妖怪基準だとしても、もう少し休暇を与えてもいいんじゃないですか」
「君は知らないかもしれないが別に妖怪基準では珍しいことじゃないんだよ、なにより本人が望んだことだ。
僕に言われても困る前にも言ったが下っ端なんでね」
苦笑いをうかべながら天狗の彼は答えてくれた
「本題に戻ってもいいかな?」
「あっすいませんお願いします」
「それから彼は休みを貰うことになったんだが当初は休まないで勉強していたんだ。
ただここ2・3年前から人里に下りるって手紙をおいてどこかに行っていたんだ。
さすがに我々も休日までも監視するわけにはいかないからね。
今思うとこの頃から計画し始めたんだろうね」
私は嫌な予感がしていたでも聞かずにはいられなかった。
「えっともしかしてその計画って」
「ああ結界ができた今はこう言った方がいいか『外の世界に行く』計画だよ」
私の当たってほしくない予感が最悪の形で当たってしまった。
それからの後のことはあまり憶えてなかった。
天狗の人がなんか言っていた程度の記憶しか残っていなかった。
ただ唯一憶えていたのは
『外の世界に行く方法は全くと言っていいほどない自由に行き来できるのは妖怪の賢者ぐらいだろうね

『彼は結界ができる直前に出て行ったみたいだ』
このふたつだけだった。











「えっとぉなんかすいませんでした軽い気持ちで聞いてしまって」
「いえ大丈夫ですよ持ち掛けたのは私ですし」
「そう言ってもらえると助かります。
でそのあとはどうなったんですか?」
「どんだけ話好きなんですか親父さん」
「いやいや誰だってここまで聞いたら気になりますって」
「いいですけどもうこれで最後ですよ」




霖之助が帰ってきたのは里から出て行って30年後だった。
その間一切の連絡もなく何度も不安になった。
その30年の間にいろんなことがあった、私は寺子屋の教師になり、今では親友と呼べる藤原 妹紅にもあった、そして・・・私の両親が亡くなった。
両親が亡くなった時は当時の霖之助を知っているみんなが探すのに協力してくれたが結局見つからなかった。

そんななか霖之助が帰ってきたのは暑い夏の日だった。
里の警備の者が私のところに走って来ながら霖之助が帰ってきたのを教えてくれた。
私は最初聞いた時は耳を疑った決して諦めたことはなかったけどもしかしたらとおもう日も少なくはなかった。
だがそれ以上に嬉しかったなにより約束を守って戻ってきてくれたという思いが大きかった。

私は里の警備の者と一緒に里の入り口に行くと霖之助がいた。
見た目は十代半ばから後半といったところで髪は黒髪ではなく鈍い銀色といったところだったがそれ以上に気になる事が目の前にあった。
隣に博麗の巫女がいた、霖之助の腕を組んで。
当の霖之助は私を見て驚いた表情を浮かべていた。
「君が本当に慧音なのかい?」
「ああ私がお前の里から出ていくきっかけを作った上白沢 慧音さんだ。
久しぶりの再会で色々言いたいことがあるがそれより先に答えろ。
隣にいる女は誰だ?」
「あら私?」
「そうお前だ、お前は霖之助のなんなんだ」
「私は博麗の巫女よ。
会うのは初めてじゃないと思ってたんだけど違ったかしら?」
「いやお前が博麗の巫女だってことは知っているし、お前とは一度あったことがある、
私が聞いているのはそうじゃなくてなんでお前が霖之助と腕を組んでいるんだと聞いてるんだ」
「あらそれを聞くのはヤボってやつじゃない?
昨日ア・ツ・イ夜を過ごした内容を聞きたいの?」
「えっそれって」
「ええそうよ」
「り、霖之助のバカー」
「えっちょっと待て慧音話を」
ドカッ音ともに霖之助が気絶する。
「あらあら予想通りからかいがあるわね」
「もしかしてからかったんですか?」
「そりゃそうよ里に買い物に行けばいろんな情報が手に入るもの。
それよりいいの?彼昨日私とちょっと戦ったから結構ボロボロのはずよ」
「えっあっおい霖之助大丈夫か返事をしろ」
「いや気絶してたら返事できないだろ」





「じゃあこの話はこれぐらいで失礼します」
「いやいや慧音先生つづきは?つづきは?」
「さっき言ったじゃないですか『これで最後です』って。それじゃあ親父さん御馳走さまです」



「それに言える訳ないじゃないですかいくら混乱していたからってキ・キスしたなんて」














これより下はオマケです。
本当に見るの?
→YES 下へ
→NO ブラウザバック


オマケ1
幼少の霖之助から慧音への手紙

私は先ほどまで霧雨さんとの話に少しだけ嘘をついた。
実を言うと霖之助から始めて貰った手紙は今でも大切に残っている。
今では内容を知っているのは私と霖之助だけの秘密にしたいからだ。
やはり

『まずはこんな形で別れの言葉とさせて貰うことを許して欲しい。
君がこの手紙を読んでいる時には僕はこの里からいなくなっているだろう。
もしかしたら君は僕が半妖である事がばれたのが原因だと思っているかもしれないが、そんなちっぽけなことが原因だと思ってはいない。ただこの里から出ていく予定が早まっただけだと思っている。
以前から僕は多くの本に出てくるみたこともないような道具に興味を持っていた。
そのためにずいぶん前から里から出る計画はあったし警備の目を出し抜く方法も見つけた。
だがそれ以上に道具を造ってみたいとも思っている。そのためには多くのことを学ばないといけない、だからこそこの機会に僕はこの里から離れようと思っている。
最後になるが僕は必ずこの里に帰ってくる。そして君に渡したいものがある。
だから僕が帰ってくるまで待っていて欲しい

             森近 霖之助』
「まさか30年待って渡されたのがこの変な帽子とは笑わせる」
それでもかぶりつづける私もどうかとおもうが・な
大変お待たせしました、前作の後日談です。
実はこの作品にはテーマとして『あり得そうであり得ない』を掲げてみました。
これから執筆を続けるかは迷っていますが今後の予定として
前作を加筆訂正して某所にもupする予定です。

最後になりましたが読んで頂いた皆さんとコメントをしてくれた皆さんに感謝します。
!!
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コメント



0.590簡易評価
4.80名前が無い程度の能力削除
少し誤字(?)がありました。
何らかの意図があってあえてその文字を使っていたらすみません。
『いやその必要はない、慧音の正確ならもう調べて~』
性格?

今では親友と呼べる藤原 妹子にもあった
藤原 妹紅では?


とりあえず、私的には楽しめました!
霧雨の親父さんのキャラがいいですね!
5.80名前が無い程度の能力削除
何箇所か霖之「介」になってますね
8.無評価!!削除
>>5-6
報告ありがとうございます訂正させてもらいました。

筆者として一番間違えてはいけないことをしてしまったことを読んでいただいた方々
私と同じ天狗の皆さんに心から謝罪します。
申し訳ございませんでした。
9.60愚迂多良童子削除
会話が連続するところがちょっと読みづらいです。
 
誤字報告
>>勘ぐされる
 勘ぐられると

>>「なんかすいません、奢ってもらうなんて。」
     すみません
あと、台詞の最後は句点は要りませんよ。
12.無評価!!削除
>>愚迂多良童子さん
報告ありがとうございます。
これからもご指導お願いします