注意! CAUTION! この作品は東方プロジェクトの二次創作小説です。
原作の設定、表現と大幅に違う場面が多数含まれます。
苦手な方は戻るをくりっくしてください
なお この作品は 外の世界から 『序』 の続きとなっています。
『外の世界から』(起)
今日は香霖堂落成以来の輝かしい日になるはずだ、僕は確信していた。
今日訪れた無縁塚、そこで見つけた品は驚くべき物だった。
能力で品の名称、用途を読み取る
『商売繁盛ネックレス¥120000 、マルチ商法の一貫として売ることで利益を上げる』
僕の予想が正しければこの首飾り、売ることによって他の客を店に呼び込むことができるらしい。極めつけは商売繁盛と印、刻印された文字が僕の目の前で存在感を放っている。
以前目にした書籍、『マルチ商法に注意!!』にマルチ商法という概念を事細かく書いてあったのだ。
これさえあれば、普段目に付かない僕の店も一躍人気店へと駆け上がることができるだろう。
おそらくは魔法の術式があるのだろう、客を自動的に呼び込むなんてどんな術式がされているのだろうか? 考えるだけでも心が躍る。
しかし店の売り上げはもちろんのこと僕の店を大々的に公表できるのは良いことではないだろうか?
拾った品、他の物には
『コピー機、紙面の情報を読み取り、他の紙面にに複写することが可能』
これもすごい、おそらく外の世界でわざわざ書き写す事が億劫だった人々がこれを作ったのだろう。
寺子屋の慧音には受けがいいかもしれない、これがあれば生徒に配る紙や教材の負担が減らせるだろう。
さらにある
『5mm弾、専用の口径に装填して使用 あたると痛い』
これはよくわからないが、おそらくは『弾』と呼称するからには弾幕に使える物かもしれない、麗夢の封魔針ににたものだろうか?
包装された箱を空けてみるとドングリのような物が400個ぐらい詰められている。チェーンで一つ一つつながっていて首飾りのようだ。
どうやらこの品は他の専用の口径とやらがないと今すぐ使うのは無理らしい。とりあえず拾っておく。
いずれも外の世界の品だ、エレキを使い動かす物があるので早苗やにとりを呼んで使い方を押しえてもらった方がいいかもしれない。
後は書籍を数点拾った。
中でも僕の興味を引いたのは外の世界の漫画だった。
今日、僕が拾った漫画本の中にある一冊、どうやら妖怪と人間の血を引いた主人公が活躍する話のようだ、店に戻ったら読むとしよう。
香霖堂は里から離れた森の近くに建っている古道具屋だ。そこで僕は先ほど拾った品を目立つ所に置いて拾った書籍に目を通し始めた。
早苗は元々は外の世界の人、ときたまに故郷を想ってか店に訪れることがある、やはり外の世界が恋しくなるときがあるのかもしれない。
そのときに商品の詳細を説明してくれるよう頼んでみようと今後の予定を考え始めた。にとりも外の技術を調べに香霖堂に足を運ぶことがあるから、動かし方を調べてもらえたり、場合に寄っては動かない商品を修理してくれたりも期待できる。
午前中は店内の掃除をしていた。
午前を少し過ぎる頃になると霊夢が店に顔を出した。
いまのところ霊夢は冷たいお茶をすすってゆったりとくつろいでいる。
あまり自分の家の様にくつろがれても困るのだが、一応は店の体裁をとっているのだから商品を手に取ってみたりなどしてほしい。
「・・・ん?」
彼女は僕のひろってきた漫画本をまじまじと見つめている。
気になるのだろうか?
僕はなんとはなしに漫画本を掲げて見せて「気になるかい?」というと「ぜんぜん」とかえされた。
「そんなにまじまし見て、ぜんぜんはないだろう」
「そうね、普段本の虫だった『こーりんさん』が漫画をみてるのはきになるかもね?」
「・・・・なぁ霊夢?」
「どうかした?」
「いや、変だなと思ってね」
「なにがよ?」
「なにがって、霊夢が魔理沙みたいに香霖(こーりん)なんて呼ぶからさ」
彼女は普段僕を呼ぶのは『霖之助さん』、幻想境の少女達に気まぐれなど驚くほどのものでもないが少し気になった。
「何をいってるのかしら? 私は前からこの呼び方じゃない」
「? うん?」
僕の知る限り昨日の晩までは『霖之助さん』とよばれていたが。
もしかすると彼女の中ではたった今始めたことでも以前からの習慣になり得るのかもしれない。
今度は何を思いついたのやら。
しばらくこの思いつきにつきやってあげることにしようか。
おずおずと僕に寄ってきて。僕の頭に顔を寄せて
「ねぇ、こーりんさん」
舌足らずな、まるで子供のような、甘えた声を囁いた。 後ろに回って手に肩をかけてきた。 突然の豹変にどきりとする。
「そのお話、どんな話かしら? 霖之助さんが気になった話私も気になるわ?」
「気になったのなら後で貸そうじゃないか、僕が読み終わったら貸してあげるよ」
少し驚いたが、平静を装う。
「貸してくれるの?」
「そうとも」
ついでに「買い取ってくれるとなおうれしい」と付け加えた。
「また後にしようかしらね」
がくっと肩の力が抜けた、今日の霊夢はいつにもまして可笑しい。
「読みたいんじゃなかったのか?」
「もう少したってから、こーりんさんの評価でどうするか決めるわ」
「こーりんさんね・・・やれやれ」
「ごきげんよう霖之助さん」
「いらっしゃいませ、商品はそこら辺に、買う気がないなら出口は後ろだ」
「ご親切にどうも」
「君は普段ドアを使わないから気づかないと思ってね」
僕の膝のすぐ上にスキマから頭だけ出している幻想境の賢者、八雲 紫。
正直、驚くのでやめてほしい。
「驚いているようにはみえませんわ」
「だとすると僕の腹芸もたいしたものになったかもね」
「あら、霖之助さんが絵本だなんて。 珍しいこと」
「漫画本だよ、 外の世界の一種の娯楽品だ。 僕だってたまには活字以外の物をながめていたくなるんだ」
僕が漫画を読んでいるのがそんなに珍しいろうか?
霊夢と紫は顔を見合わせて鼻をならすようにくすくすと笑いあっている。ご婦人笑いとでも言うべき笑い方だろうか?
店に来る前に打ち合わせでもしたのか?
妙な態度が気にくわない、いらいらしてしまい
「それよりお客様、ツケの方がたまっわておりますが、ついでに当店は冷やかしの方もなるべく遠慮していただきたいのだがね」
ときつい口調でいっていまった。
「ああ、ツケね」
霊夢はそれを意に介さずといった感じで復唱。
ポンと手をうった。
「実はね、こーりんさん。 神社の倉で良い物があるのよ」
「へぇ、それはすごい」
「あげるわ」
「・・・・なんだって?」
「あげるわ、とても貴重なものだから。きっと気に入ると思うの。それでツケを無かったことにしていい?」
「・・・・驚天動地だね、さっきからどんな風の吹き回しだい?」
「なんのことかしら? 私は博麗の巫女、道理を破る様なことなんてしないわ。彼岸に旗でも橋でも建てたいとおもえばなんでもする」
「一応、聞いておくけど。 それでツケが全部消えてしまうくらい貴重なのかい?」
「さあ? けど、きっと気に入るはずよ、霖之助・・・こーりんさんの一番貴重な品物に見合うくらいはあると思う」
僕の貴重な品というと、魔理沙が以前拾ってきた草薙の剣とかあのぐらいだろうか? 博麗の神社にはそんな貴重品があったのだろうか?
僕は視線で紫に「いいのかな?」と送ると「どうぞ」と微笑みで返ってきた。
「ちなみにそれで食費もチャラにしてくれるのかしら?」
「食費って・・・ああ、いつも君等が食い散らかしていく奴のことかい? あのぐらい別にいいさ 友達への奢り代ってところでね」
「ふぅん」
妙に含みのある返事をして霊夢は「私はそろそろ戻るわね、こーりんさん!」
と普段とは違う活気というか元気な後ろ姿で店を出て行った。
「またのおこしを」
「そろそろ、そこから出たらどうだい」
「あら」
紫がふわりと飛翔して近くの椅子に腰掛けた。
「相変わらず、がらくたばかりねぇ」
あたりを見回してにやけ顔でため息をつかれる。
当然自慢の商品を馬鹿にされては店の名前に傷が付く、僕はセールストークで商品の紹介を始める、商品の売り込みはとても大切なことだ。
今日入荷した商品の説明を始めた。
紫は終始引きつった表情でセールストークに聞き入っていた。
「そうそう、霖之助さん 私、今日は貴方とうんとお話したくてやってきましたの」
「悪いけど、悪事や謀事の片棒は僕には荷が重い。 もし異変に関することならなおさらだね」
「あらら、私 以前から霖之助さんには才能があると思っていましたのに」
「それは買いかぶりさ、僕は霊夢や魔理沙みたいな真似はできないよ」
僕は彼女たちみたいに強くない、こうして森の隅で彼女らの助けになればそれで十分だ。
「魔理沙は八卦炉の調整、霊夢にはたまに服の新調。 ときたまやってくる妖怪達にニーズにあった商品を提供、お客様の問題や悩みを解決するのが店員の仕事さ」
「つまらない人ねえ」
つまらないとは何だ、これでも裸一貫で立ち上げたに等しい仕事だ。 愛着もある。
僕の生業 『香霖堂』 ふと不思議な感覚が僕を支配した。
店の名前は霧雨の旦那が付けた物だったか? そういえば僕はいつから香霖なんて呼ばれるようになったのだろう?
僕が道具屋に見習いになったときか? 香霖堂を立ち上げたときだったか?
それとも もっと前だったか?
はじめにこのあだ名を付けだしたのが霧雨の旦那だった気がする。 どんな経緯だったか・・・。
「貴方はこの仕事以外の生業をしている自分って想像したことおあり?」
「・・・・うーん」
正直、全くない。
「貴方は今までの人生に運命や必然、そういったものを感じたことがあるかしら、今までに歩むべき道を間違えたと感じたことは?」
「ないね ―――――そもそも人生に必然なんてないのじゃないかな」
その選択をして、その上でその選択肢を間違えがなかったものになるように努力する。
だから、ご都合主義の『必然』とか、女の子が好むような『運命の出会い』なんてものもない。
僕の人生は努力で成り立っている。
「実は私、必然や運命ってあると思ってますの」
「ほう、―――――幻想境の賢者でもそんな浪漫主義があったとは」
「いいえ、現実にしかと映る事象の論理的な延長上として、必然や運命の出会いは存在します」
「そうなのかい?」
「ええ」
紫は「間違いなく」と付け加える。 その顔には柔和な表情が浮かんでいる。
日も次第に傾いてあたりは薄暗くなっていた。
明かりに照らされている彼女の顔は神秘的な美しさを内蔵しているようにおもえた。
今日はなんだか変な夜だな。
いままでもおかしな夜は幾度となくあったが、今日は特におかしな気がした。
「今日、貴方と話していてその気持ちが強まりました」
「それは、なにより」
何を言って良いのかわからず気の利いた事一ついえなくなっていた、今日は本当に変な日だ。
「ですから、私は今私のすべき事をしようと思います」
紫はスキマを通っていつの間にか僕の背後に立っていた。
そして
「えいっ♪」
「うおっ!?」
僕の躯をそこに引きずり込んだ。
気が付くとそこは緑生い茂る森の中、蟋蟀が鈴々と鳴いている。
地面の感触と夜風が気持ちいい。
むくりと体を起こしてあたりを見渡す。
「うふふ♪」
逆さまの顔を僕の目の前で吊っている紫を発見した。
「まったく、一体なんのつもりだ?」
「必然への序章・・・・というところかしら?」
「訳を話してくれるかい?」
「駄目」
これが紫のするべき事なのか? 一見すると友人を一人森にさらって放置する悪行、いたずらにしかみえないが。
「じゃあ、帰ってもいいか?」
「そうね、折を見て迎えに来ます」
僕はあたりを見渡した。遠くに赤い建物が見える、あれは紅魔館か。だとするとやや時間はかかるが歩いて帰ることはできる。
「歩いて帰れる、心配ご無用。だがその穴を使って送ってくれると幸いだ」
「・・・・あなたはここで私たちの『必然』を満たしてもらいます」
一体なんだというのか?
「禅問答は苦手でね」
「時間はたんとありますから、苦手を克服なさって。 私は十分と感じたら遠くない内に迎えに来ますわ」
「それはどうも、腹が減ったから朝になったら久しぶりに里でご飯でも食べて帰るよ。 君へのおみやげにしてあげようか」
「たのしみですわ」
紫は申し訳なさそうにわらって
「では頑張ってくださいね 『こーりん』さん・・・」
彼女は狭間に消えていった。
「あ、これ忘れ物ですわ」
狭間からどさどさと荷物が落ちてきた。
里の売買に使われる硬貨、マジックアイテム数点。
僕の宝物の宝剣。 包まれた米と饅頭。
「それと、言っておきますが、私まだまだ耄碌(もうろく)しておりませんわ♪」
そして消えた。
「全くなんだというんだ・・・」
最後の台詞もかなり意味不明だった。
流石に舌打ちしながら渋々荷物を拾い、剣を腰にさす。
なんの恨みがあってこんな仕打ちをするのか。
「さてと」
僕は彼女のように空を飛ぶことはできないから歩くしかない。 店までかなりあるだろう、里の霧雨の旦那に顔を出してみるか。
たまには人里で散歩するのもいいかもしれない。
草をかき分けて森の入り口に来た。
案外この位置は里に近い、早く帰れるかもしれない。
そう考えていたらまたしても彼女のスキマが現れた。
せわしない人だ。
「また忘れ物か? それとも送ってくれる気になってくれたかい?」
嘲るような口調で言ってやった、流石にこの気まぐれにつきあっていたら腹が立ってきたからだ。
今度は彼女は顔だけひょっこり出すのではなく。姿をあらわにして僕と距離をとって向かい合った。
「・・・?」
いやに真剣な表情だ、自慢の日傘を剣のように僕に向ける。
目を細めてまるで僕が敵であるかのように双眸を光らせる。
彼女は僕には理解しがたい異邦の言葉のように告げた。
「貴方、 ・・・・一体、何者なの?」
「は?」
どうやら彼女は年のあまり、痴呆が始まっていたらしい。
すべて誤字なんですね?
修正しました
orz
「―――――」←コレですよね。
>>ふと不思議にな感覚が僕を支配した。
「不思議な」 にが余計ですね。
>「そのお話、どんな話かしら? 霖之助さんが気になった話私も気になるわ?」
――この部分ですが――が見受けられましたが、これは誤字ではないという風にとらえればよいのでしょうか。
スペルミス、恥ずかしいですね。orz
と表現のミスなども修正させてもらいました。
本当に助かります。
最後まで見てくださった方々達のコメントを見るととてもうれしいです。
気付いたことなど、これからも指摘していただけると幸いです。
では