1
早苗は空を見上げた。
一点の曇りもない空。もしかすると自分がいたところと繋がっているかもしれない空である。
現代社会に未練がまったくないかといえば、答えはノーであるけれども、神奈子や諏訪子を置いて帰るわけにもいかない。
それに自分で選択した道である。帰りたいと言ってしまったら、それは泣き言に過ぎないだろう。べつにここが嫌いなわけでもない。それどころかどんどん好きになっていっている自分がいる。二神は早苗に優しくしてくれるし、最近ではふもとの巫女さんとも仲良くなった。不満はない。
それでも過去に郷愁を感じるのが人間というもの。
今がどんなに満たされていても、なんとなくもっと幸せになれたんじゃないかと想ってしまう。
気持ちが停滞するのを感じて、早苗は箒で石畳をさらった。
カシャリカシャリと枯れた木の葉が良い音を立てる。自分の心もこうやって綺麗になればいいと思っている。
「ふぅ。それにしても山の中にあるから、掃除しても掃除してもたまりますね」
小一時間ほど動いたせいか、少しばかり喉が渇いた。
こんなときは蛇口をひねれば水がでた現代社会が懐かしい。
掃除がひと段落ついたので、早苗は一端神社でお茶でも飲もうと考え踵を返した。
不意に――
「ん?」
枯れた色合いの中にやたら目立つ赤の色が目に入り、早苗の足が止まった。
それは、元の世界ではあまりにもありふれていて存在感がないモノ。
自動販売機だった。
近づいて見てみると、売ってるものも飲料水で、コーラ、ミルク入りの紅茶、レモン、よくわからない栄養ドリンクみたいなもの、スタンダードなコーヒー、甘さマックスなコーヒー、見慣れた商品が並んでいる。あたたかい、つめたいの表示、お金をいれる場所、どこからどう見ても、元の世界の産物であることは明らかである。
「はて?」
早苗はいまだ幻想入りのシステムをよく理解してはいない。
人づてにそういうことがあることは知っていたが、これは単なる偶然の産物なのだろうか。
幻想入りするということは単純に言えば、忘れ去られたモノであることが多いということは聞いていたが、この自動販売機はどこかが壊れた様子もない。さすがに電気が通ってないので中の飲み物は痛んでいるかもしれないが、ほんの数秒ほど前までは元の世界にあったような、そんな雰囲気だった。
ほとんど無意識的に、それに触れる。
手のひらには金属の冷たさが伝わった。
「モノの神隠しでしょうか」
それにしても、神社のすぐ傍に現れたのは奇怪だった。
早苗はすぐさま二神に報告しに行くことにした。
2
「ふぅん。自動販売機が幻想入りしたの」
神奈子はたいした驚きもなく、ゆったりとした声をだした。
炬燵のなかにだらりとした姿勢で座り、せんべいをバリバリ食べながらのものである。
どうやら諏訪子と国民的ゲーム機器を楽しんでいたようだ。神社のなかは河童印の科学力でそれなりに現代的な生活を送っている。神様なのに幻想郷のなかではかなり人間くさい。
「珍しいこともあるもんだね」
諏訪子のほうも同じ調子。
「もうー、お二方とも、もう少し緊張感をもってくださいよ。もしかしたら異変の前触れかもしれないじゃないですか」
「いやただの幻想入りだろ?」と神奈子。
「確率的に幻想入りは起こりうるからね。たいしたことじゃないよ」と諏訪子。
「でも、現代からの侵略かも?」
「はは、三文SFじゃあるまいし、そんなわけがなかろうよ」
「異変は幻想よりの現象だからね。幻想入りする物質は現代のモノでしょ。だったらそれが異変の前触れとは考えにくいね」
「そうなんですか……」
ちょっとがっかりしてしまう早苗である。
「なんだい。早苗はそんなに前の異変が楽しかったのかい」
神奈子は目を細めて聞いた。
前の異変とは、聖輦船のことではなく、非想天則のことである。
「いいんじゃない?」諏訪子はケロケロと笑う。「このごろ流行の女の子はサブカル好きらしいし」
「スーパーロボットはサブカルじゃないです。メジャーです」
「そうかな。十分オタクっぽいと思うんだけど」
「違います。国民的なアニメなんです。王道ですよ! というかオタクだからって日陰者ってイメージはもう古いです」
「そのわりにはガンプラはあまり持ってなかったよね」
「ガンプラはリアル系で、スーパーロボットとは違います。諏訪子さまがそんな簡単な違いも理解していなかったなんて、残念でなりません」
「まあいいけどさ。いまさらあっちの文化のことをどうこう言ったところで……」
「おい、諏訪子」
「あ」
と、諏訪子がかたまった。
そう、わかっている。
今更なことなのだ。今更あちらの世界のことを気にかけてもしかたないところではある。けれどそうやって断ち切れないところがあるのが人間であり、この場合、早苗は人間だった。
さすがに涙は流さなかった。
けれど、抽象的な懐かしいという感情が押し寄せてきて、早苗は下を向いてしまっていた。
「あのさ……、えーっと、さっき言ったとおり幻想入りは確率的な出来事だから、ちょくちょくあっちの世界のがこっちに入ってくると思うよ」
「すみません。こんなことでお二方に心配をかけて。ダメですよね。わたし……」
「いやいや、早苗はよくやってくれてるぞ。なあ諏訪子」
「ああ、そうだよ。早苗は情緒が豊かなのが良いんだからね」
二柱の神さまが必死になってる姿。
ふたりは早苗が傷つくことを恐れている。
一国を統べてきた神さまたちが、たった一人の少女が泣くんじゃないかとあたふたしているのである。
さすがに早苗も落ちこんだままではいられない。
落ちこんでいると思われるだけで負けだ。
「自動販売機撤去したほうがいいですかね?」
早苗はわざと明るく言った。
「べつにかまわないが……」
「早苗。無理してない?」
「いえ、べつに。そういうわけじゃないですよ。使えない自販機なんて邪魔なだけじゃないですか。このままじゃ錆びちゃうだけですし」
「にとりあたりに任せてみるのも一興だろう。うまくすれば自動販売機を幻想郷に普及させることができるかもしれん」
神奈子は幻想郷の一角を担うものとして、その文化的な価値に着目する。
文化の普及などの外向きの仕事は神奈子の領分だ。
「ちょっとまって神奈子。自動販売機は幻想郷には合わないよ」
「鉄がか?」
「違う違う。貨幣だよ。幻想郷には自動販売機を普及させるだけの余力がないんだって」
「電気は河童の水力発電でなんとかなるだろう。人口も少ないし問題ないと思うが」
「だーかーらー。人口が少なくて、市場も未熟。ついでに言えば高度な管理が必要になるのに、いったいどうすんの? 誰がどうやって管理していくの? 中身は何入れるの? メンテナンスは誰がするの? バカなの? 死ぬの?」
「バカ扱いはやめんか……、傷つく。天狗や河童たちにやらせればなんとかなるだろう」
「そもそも買い手が自動販売機の自動化された購買システムについていけると思えないよ」
「ふむ……」
神奈子は考えこんでいるようだ。
諏訪子のほうは最初のほうから論外のようだが。
早苗はわずかに違和感を覚えた。
天狗の速さと河童の技術力を合わせれば、人里に普及させるのも不可能ではないと思えたからだ。市場の未熟さについても、ある程度度外視すればいい。場合によってはタダで配ってもいい。その代わり、人間には信仰を納めてもらえばいい。電気や中にいれるものも難儀するだろうが、それも神のご利益でペイできるのではないか。
と、そこまで考えてさすがに信仰を売買の媒介物にするのはどうかと思った。
反省。
「諏訪子が言うように、自動販売機を普及させるには少しばかり条件が足らないかもしれんな」
神奈子のほうでも結論がでたようだ。
諏訪子は軽くうなずいた。
「そうそう。そんなの導入したら事務方のわたしの仕事が増えるからね」
「それが理由か!」
「あたりまえでしょ。誰が好き好んで書類の山に埋もれなきゃいけないのさ」
「ふん。そういうふうに怠惰なところがあるから、国益を損なうのだ」
「どこかから搾取しにやってくる侵略者がいなきゃ、うまくやっていけてたのにね」
「貴様」
「あの、それで私としてはどうすれば」
なにやら険悪な雰囲気になってきたので、早苗が絶妙のタイミングで割って入った。
「うむ。それについてだが、自動販売機の技術を河童たちが解析するぶんには問題なかろう。それまでは放っておいてかまわんぞ」
「中身は飲んじゃだめだよ」
「うむ。幻想入りしてる時点で、どれだけ日が経ってるかわからんからな」
「はい。わかりました」
そんな小さな心配をする神様たちが、心の底からいとおしかった。
3
再び自動販売機の前。
神奈子、諏訪子に言われたとおり、特に触ることもなく放置している。
「お、おどろ……いた」
ひょいと、自動販売機の裏側からあらわれたのは、最近よく来る小傘であった。
びっくりした顔をしている。
「あ、小傘。どうしたんですか?」
「ねえ。これなに? これも人間が創ったモノ?」
「ええそうですよ。自動販売機といって、人と対面することなく中にある飲み物とかを購入できる装置です」
「うわなにそれ不思議。中から飲み物がでてくるなんて超便利でやんす」
「そのキャラ作ってるでしょう?」
「ねえ早苗」
「なんです?」
「やりたい」
「はい?」
「自動購入してみたい」
「なにやら妖しい単語ですが……」
小傘の瞳は好奇心でキラキラと輝いていた。
どうやらモノに対する執着はそこらの妖怪とは桁違いのようだ。よくよく考えれば付喪神は道具の化身なので当たり前なのかもしれない。
「あのですね。この自動販売機を動かすには電気の力が必要なんですよ。だから今は自動購入はできません」
「ふうん。電気ね……雲のなかで時々ビリビリくるやつのことか」
「このごろの道具は電気がないと動かないものばっかりですからね」
「そこのところ、わちきは優秀でやんす。いつでも使える。どこでも使える。今なら大特価198円で買えるよ早苗!」
「お買い得ですね。色さえよければ買ったんですが」
「色のことはいわないって約束でしょ……」
「はいはい」
ともかく電気がなければ動かないのである。
仮ににとりたちから電気をわけてもらうにしても、人間の仕様とは違うだろうし、調整が必要だろう。
小傘は残念そうにしている。
早苗も少しだけ残念だ。中の物は飲めないかもしれないけれど、少しだけ昔の所作を思い出したかったからだ。
まばたき一瞬。
現代社会を想起した。
具体的な風景は雑踏。
早苗が思い浮かべたのは、山でも自然でも食べ物でも便利な機械でもなく、それどころか親しい人の顔ですらなく、ただの人の波だった。
スクランブル交差点で知らない人が無数に行きかうそんな場面。
少し寂しくなるような、そんな感覚。
無性に帰りたくなって――
そのとき、パっと商品を展示している部分が明るく光った。
「は?」
電気の供給がなされていないのに、電気がつく。
まさに怪異。
早苗はおどろきに身を固め、左手で小傘を後ろに押しやるようにして下がらせた。
「ふぇ、なにすんの」
「危ないかもしれませんので」
「べつに敵意とかはなさそうだけど」
「うちの神社ではサーチアンドデストロイが信条ですので」
「なにそれえぐい」
「ともかく。妖怪だとしたら――」早苗は自動販売機を睨みつける。「退治しなくては」
「その必要はないよ」
上空から聞きなれた声が聞こえた。
諏訪子だった。
どうやら早速異変に気づいたらしい。
「あの、諏訪子さま、退治しなくてよいとはどういうことなんですか?」
「その自動販売機はかすかに霊的な力を帯びているが、いまだ稚魚のようなものだ。だから退治することはないと言ったのさ」
「電気がついているってだけで十分に力があると思いますが」
「早苗の隣にいる化け傘に比べたら、おたまじゃくし以下の力だよ。それに電気がついたのは、おそらくあちらの記憶を思い出しているからだろう。怨みが起源ではないと思うよ」
呪いを専攻する神の言葉だけに真実味がある。
「では、つまり?」
「つまり、この自動販売機は偶然こちらに来たというわけではないらしい。幻想郷的な力学に沿ってこちらにやってきたと考えるのが素直だ。おそらくは自動販売機という概念自体が忘却されたか……」
「人々から忘れさられてやってきたということですか」
「そういうことになるな」
「変ですよ!」早苗は自分でも気づかないうちに叫んでいた。
そう――これ以上の怪異はない。
この、あまりにもありふれた存在である自動販売機が、特に壊れているわけでもないのに忘れさられたというのだ。
それは、早苗が元いた場所からすれば、およそ考えられない異変だった。
「おちついて。早苗」
「だって――、日本から自動販売機がなくなるなんて考えられません。いったいどんなことがあったら数年でそんなことが起こるんですか」
「大丈夫だよ早苗。べつに日本が滅ぶとかそういう話ではないし、すべての自動販売機が無くなったわけでもないと思う。そもそも、幻想郷は現実世界の写し身のようなものだ。であれば、外の世界が滅びれば自動的に幻想郷も滅びるのが必然。しかし、私たちは生きている。だから外の世界も滅びてはいない」
「でも」
「もしかすると倉庫の奥深くに眠っていた自販機が偶然こちらにきたのかもしれないし、可能性はいくらでも考えられるからね。そんなに深刻に考える必要はないよ」
「倉庫の奥深くに眠っているなら、中には何も入ってないはずですよね」
「あ、早苗」
早苗はすぐさま神社のほうへとってかえし、外の世界から持ちこんだ硬貨を持ってきた。
「ほら。小傘。いまから自動購入しますよ」
「早苗、どうしたの?」
小傘は少し心配顔。諏訪子も苦い顔をしている。
「ここに百円硬貨を入れて、ほらちょうどこのコーヒーとかなら百円で買えますからね」
バシっと叩くようにしてボタンを押し、中からコーヒー缶をとりだした。裏側の消費期限を見てみると、まだ大丈夫そうだ。小傘のほうへ放ってやる。小傘は慌てながらもキャッチした。
早苗の顔はほとんど泣きそうになっている。
小傘がタブの開け方がわからずにいたので、無言のまま、開けてやった。
「ふぇ。あまーい」
小傘の気の抜けた一言。
早苗の表情は晴れない。
「あ……、早苗も飲む?」
「私はいいですよ」
「どうしたの?」
小傘は諏訪子のほうへ質問した。早苗は思いつめた顔をしていて、聞きにくかったのだ。
諏訪子は淡々と述べる。
「自動販売機っていうのは、早苗が元いた場所じゃありふれていたんだよ。生活に密着しているかと言われるとそういうわけでもないんだけどね、便利さを求めるのが風潮だったから、とりあえず都会では百メートルおきに設置されていたかな」
「そんなに!? 人間ってわちきを驚かすのがうまくて嫉妬しちゃう」
「そんなありふれたものが、偶発的で確率的な幻想入りではなく、幻想的な幻想入りをするというのは、かなりの……そう、変革があったと見るべきだと思う。意識的なものか物理的なものかはわからないけど」
変革。
それは言葉としてはずいぶんとオブラートに包んだものだった。
「日本人がいまさら自販機なしの生活を良しとするわけないじゃないですか」
「自動販売機なんて古い流通だと思ったのかもしれない。ネット通販が流行しているようだしね。だから、自販機なんていらないという意識が幻想入りさせたのかもしれない」
「早苗が何を怖がってるのかよくわからないんだけど」
小傘は理解できないのか、緊迫感のまるでない声だった。
「元いた場所が健やかであって欲しいだけですよ」
「でも、壊れないモノってないんだよ?」
「……っ、それは、そうですけど。嫌じゃないですか」
「人間なんてすぐ心移りするしね。いらなくなるのも早いんだよ。早苗はいったいどっちが変わることが怖いの?」
「え?」
「意識? それともこの道具がなくなるってこと自体?」
「鋭い質問だな。茄子みたいな色してるくせに」
「色のことは言わないで!」
諏訪子は容赦がなかった。
4
精神的な豊かさと物理的な豊かさのどちらを取るべきだろうか、といわれれば、多くの人は精神的豊かさを選択すると思う。
言葉の美辞麗句としてではなく、幸せという抽象的概念は物質ではまかないきれないことを知っているからだ。
しかし、衣食足りて礼節を知るという言葉があるように、最低限度の物理的豊かさが無ければ、精神の豊かさもありえない。
だから、両者は切り離せない。そこに難しさがある。
「でも、それでも――、それでもやはり精神ですかね。よくよく考えてみれば、自動販売機ってとても素敵だとおもいませんか?」
「対面しないのに? 人とのつながりを重視するなら逆じゃないの」
「自動販売機って無人なんです。だから、逆に見も知らない人に対する信頼が無ければ成り立たないんですよ。いや別に背後に誰かを思い描いているわけではないのです。たぶん、社会に対する漠然とした信頼があるのだと思います」
「小人閑居して不善を為す、か……」諏訪子はずっと遠くを見ていた。「確かに日本人は人一倍、公って感覚に敏感だと思うよ」
「だからもしもですね。自動販売機を壊す人が多くなって、もう採算が取れないから置けないってことになっていたら、哀しいんです」
「ふうん。人間は長い目で見ればだんだん優しくなっているように思うけど」
「小傘は優しい妖怪ですね」
「照れるぜ」
ほんとに照れていた。
ともあれ――。
「そんな哀しいことが無かったら良いのですが、現実的にはそうなった可能性が高いと、そういうわけなんです」
「物理的な可能性もあるんでしょ。要するに、自販機程度すら置けないような状況になってるって場合」
「それはそれで哀しいですよ。やっぱり。物理的な豊かさだって欲しいです。便利なのがいいに決まってます」
「古き良き時代とかいうくせに」
「人間はわがままなんです」
「わがまますぎて捨てられるこっちの身にもなってよ」
「捨ててもまた拾うこともあるじゃないですか」
「拾ってくれるの!?」
「そんな、子犬みたいな瞳ですりよってこないでください。堕ちそうになってしまいますから」
「むー。残念だが、今日のところは勘弁しておこう。あと、早苗の心配だけど、この子に聞いてみればわかるんじゃない?」
小傘が指し示したのは、もちろん自動販売機のことである。
「小傘はこの子?の言葉がわかるんですか」
「まあ同じ道具のよしみで」
というわけで、聞いてみたところ。
外の世界ではいろいろと大変なことが起こっているらしかった。
概要で言えば、国がちょっぴり傾いたレベル。
電気が足りず、余剰の力がないので、自動販売機は日本からほとんど姿を消したらしかった。
けれど、良いことも。
早苗が一番危惧していた日本人としての精神が変わったわけではないらしい。
そのうち、立て直したら、また便利なものが好きな人間たちが自動販売機を設置しないわけがないだろうし、なんとかやっていけるだろうとのこと。
自動販売機に慰められたのはさすがに人生初めての出来事だった。
「あ、当たり」
「え?」
諏訪子の言葉に視線を落とすと、画面中央で大きな『当たり』の文字。例のもう一本というやつだ。さっきのが当たっていたのだろう。
思わず力んで、奇跡の力を行使してしまったのか。
それとも、自動販売機がちょっとだけ融通を利かせてくれたのかはわからない。
早苗は迷わず甘さマックスなコーヒーを選んだ。だって好きなんだからしょうがない。
久しぶりの味はやっぱり超甘かった。
いろいろ思うところある昨今ですが、淡々とした雰囲気に和まされますね。
小傘が可愛い。
クーラーに比べれば余裕で我慢出来るが、東京であれが止まったら雰囲気変わりそうだな
小傘とどんな会話を交わしたのだろう。
4台もあったのに、一遍に…
もう自分は全然使わないね。
外国だとすぐに壊されちゃって、日本のように道端にたくさん自販機がある国は珍しいそうですね。
良いお話をありがとうございました。
道の入り組んだ都会なんかでは誰も来ない裏道にひっそりと自販機が置いてあったりする。
埃を被ってたり、クモの巣が張ってたりしてて、電気は点滅してるけどちゃんと買えるんだよね。
でも決まって都会の大通りに置かれている100円自販機よりも高いから誰も買わないし、そのうち誰も来なくなる。
そういう自販機には案外幻想入りするものもあるかもしれない。
しかし、このSSの雰囲気は和む。
そういうものを成り立たせている諸々を実感させてくれるお話でした。
ってところで、あー、もしやそういうこと? と(間違ってるかもですが)
まぁ、日本人ならきっと立ち直れるでしょう
淡々とした雰囲気が好きです
諏訪子さんやたらリアリストでワラタw
自動販売機と話す小傘ちゃんや、早苗さんに配慮する二柱の神もいい感じでした。
ミネラルウォーターは常に売り切れてるけど。
関東がそんな状況になってるとは思わなかった。
早くもとに戻って欲しいな。
さらに小傘ちゃんで新たな考えを得られました