ある日の寺子屋。
「やーい、ぶーた、ぶーた。」
「うるせえ!お前だって乞食じゃないか!」
「おい、こらお前たち、そんなこと言ったらだめじゃないか。いったい何があった…」
「あ、けーねせんせー。」
「先生は何だろう?」
「えーと、か、み、し、ら、さ、わ、け、い、ね、だから、ブツブツ…王様だ!」
「おお!さすがせんせー!」
「ってことは、姫様のおれとけっこんするわけだ!」
「なにー!そんなこと、ぬけぬけとさせるわけにはいかない!」
「ええい、乞食はだまってろ!」
「…ということがあってな、何の事だかわかるか妹紅。」
「うーん、さっぱり。こんど、誰かに聞いてみるよ。」
「ああ、なるほど。なつかしいですねぇ。」
「知っているのか、早苗。」
「小学校の時に流行ったんですよ。いいですか、まず、手を広げてください。そして指をこう動かすんです。
ええと、妹紅さんの場合は、ふ、じ、わ、ら、の、も、こ、う、と。こんな感じですね。」
「小指の先に来たんだが。」
「そして今度は、さっきの道を戻るように指をこう動かしてください。
王様、姫様、豚、乞食、王様、姫様、豚、乞食、と」
「それで?」
「最後が乞食だったんで、妹紅さんは乞食になります。」
「それだけ?」
「ええ、それだけです。」
そして、この、単純な遊びが…
…幻想郷で流行った。
紅魔館
「ふふふ、さすが私、まあ、館の主として、姫様となるのは当然ね。」
「私も姫様だけどね。魔女だけど。」
「ええと、フ、ラ、ン、ド、ー、ル、ス、カ、ー、レ、ッ、ト…」
この時、レミリアに電撃走る。
(フランの名前は12文字、つまり乞食になる。このままでは…小文字を数えないようにしても11文字、豚だ、これではだめだ。そうか!“ー”を数えなければ…!)
この間1分。フランドールが何度か数え間違えをしたのでなんとか間に合った。
「フラン。これは伸ばす部分は数えないのよ。」
「そうなの?えーと、だったら、フ、ラ、ン、ド、ル、ス、カ、レ、ッ、ト…やった、姫様だ!」
(この法則を適用しても私は王様…夜の王として相応しい。それに、フランと私で…フフフ)
(そうなると私が乞食になるんだけどね。)
「ところでパチェ、最近なんか咲夜が私に地味な嫌がらせをよくしてくるんだけど、心当たりある?」
「さあ、彼女の王様にしてくれなかったのを恨んでいるんじゃない?」
パチュリーは門のほうを見ながら言った。
「ええと、…あ、また間違えた。やりなおし…、また間違えた。パチュリー様、指をあと10本ぐらい増やす魔法ないですか?」
「もうあなたは小悪魔で乞食でいいじゃない。」
白玉楼
「ねぇ妖夢。」
「何ですか幽々子様。」
「おやつの団子があなたのほうが多くない?」
「気のせいじゃないですか。」
(以前は『幽々子様はたくさん食べるでしょう。』とかいって9:1ぐらいに分けてくれていたのに…。
これは私が王様であることへの当てつけ?それとも妖夢が乞食てあることへの当てつけ?)
八雲家
「ふふ、貴方が王様ねぇ。」
「紫様が姫様ですか。ふふ。」
ニヤニヤしている二人であった。
「ええと、ち、ぇ、ん…」
何かにハッと気づく二人、アイコンタクトをかわす。
「橙、あなたに話があります。」
「ひゃ!何ですか紫様。」
「あなたに八雲の名を与えます。」
「おめでとう、橙。」
「え、そんな、私はまだ…」
「そんなことはないわ。なにも八雲の名を持つものが完璧である必要はないのよ。八雲の名に恥じないよう、努力して自分を磨いていくこと、これが大切なの。」
「結界の仕事とかはこれからぼちぼち教えていくから、心配しなくていいぞ。」
「は、はい!私、頑張ります!」
再びニヤニヤする二人であった。
「それじゃ、藍。姫様達のために食事の用意をしてくれないかしら。」
「はいはい、私だって王様なんですけどね。」
永遠亭
「鈴仙が王様ね~。」
「あなただって、王様じゃない。」
「でも、本名だったら乞食だよね。」
「そ、そんなことはいいじゃない。でも、そうしたら師匠は乞食じゃなくて何になるんだろう…。」
「あだ名でも乞食だよね。」
「う、うるさいわね!」
「もこー!王様の私にかかってきなさーい!」
さけぶ輝夜の横で、永琳は考えていた。
(てゐに対して、『あなたは乞食ね、古事記なだけに。』って言いたいけど、どうしたらいいのだろうか…。)
無縁塚
(四季様は何になるのだろう…。単純にいくと豚だが、本名なら王様、む、なんだか悔しい。あたいは豚だし。)
「こーまーち、なーにーしーてーるーんーでーすーかぁ!」
「きゃん!」
妖怪の山
(文が乞食なのを笑ってやりたかったが、私が豚だから言えない…)
(文が乞食だから噛み付いてやろうとを持ったけど、私も乞食だから言えない…)
「よっしゃ王様きたぁー!これで文が乞食であることをこけにできるわ!今までほたてほたて言ってきた恨みを晴らさせてもらうわ!」
「『なんと!守屋神社は皆姫様じゃないですか!これはいい!これをネタにして布教しましょう!まず恰好を姫様にしてイメージを持ってもらい…』
って早苗が動き出したのが、神奈子が神社から逃げ出した原因。わかった?乞食の新聞記者さん。」
「うわうぜぇ。」
「あら静葉さん。今日は妹さんと一緒じゃないのかしら?」
「『神様姫様ーズに入ってくる!』とか言ってどっかいっちゃった。あなたは入らなくてもいいの?か・ぎ・や・ま・ひ・な でしょう?」
「…いや、いいわ。」
旧都
…では流行らなかった。誰だって、桶をぶつけられたくないし、病気になりたくないし、緑色の目をした怪物に追いかけられたくはない。
なにより、鬼が暴走するのが怖かった。
地霊殿
(ここは、名前を持っているヤツが少ないし、持っている人はあたいを除いて皆豚、あたいも乞食だからなぁ。)
「おりん!すごい発見だよ!」
「どうした、お空。」
「ここに住んでいる人、みーんな豚だよ、すごいでしょ!」
「え!?あたいは乞食だよ。」
「えー。お、り、ん、で豚じゃん!」
「…。」
太陽の畑
二人の少女が向かい合って立っている。
「あなたは姫様よね。」
「それを言うためにわざわざ天界から来たの?」
「私は豚じゃない。」
「で?」
「『ああ、姫様、この卑しい天子豚にお仕置きを!』っていう妄想をきっと誰かがしていると思うのよね。」
「…。」
「それじゃ、私は王様のところへ帰るとするわ。」
「…何しに来たのかしら。」
命蓮寺
とある部屋。
「ナズーリン、これは大変な戦いになりそうね。」
「ああ、そうだな、ぬえ。この寺は大半が豚、乞食が占める。」
「私は早くこの気まずさを打開したい。どうすればいいの。」
「私にもわからない…。とにかく2対5では不利だ。仲間を集めないと。」
「うらめしやー!」
「「仲間だ!」」
「え、なに?どゆこと?」
別の部屋にて。
(待てよ、私は船長、つまり海の女、だから海の豚、海豚、イルカ、これなら…許せる!)
香霖堂
「いつまでここにいるんだ、霊夢。」
「だって、神社にいると、萃香や紫がニヤニヤしながら『うらやましい?うらやましい?』とか言ってくるんだもの。嫌になっちゃう。」
「僕だって王様だよ。」
「いいのよ、霖之助さんは。それをネタにからかったりしないから。」
「ところで、最近魔理沙を見ないのだが。」
「そうね、神社にもあまり来ないし。」
「1か月も来なかったことなんて、今までなかったんだがなぁ。」
「この王様鈍いわねーホント。」
「ん、何か言ったか。」
「いや、何も~。」
アリス邸
「なぁ、王様さんよ、ある夫婦を離婚させる魔法とかないか。」
「そんなものあるわけないじゃない。というかまてこら魔理沙、私の本名をなんだと思っているのよ!私は姫様よ!」
魔理沙の母の旧姓は田中であった。
誤字報告
>>か・ぐ・や・ま・ひ・な
かぎやま ですよ
イルカナイスです。
イルカはナイスジョークでした。確かに許せる。
王様と姫様の関係は、普通親娘ではないか
……あ、そのまんまだな