気持ちのいい朝、とは言えない。
私は窓から差し込んでくる爽やかな日差しを受け入れることはできない。
だって吸血鬼なんですもの。
日差しに当れば灰になっちゃう。
「さーくやー、服持ってきてー」
まだ完全にエンジンがかかっていないぼんやりとした感覚の中、我が忠実なメイドの名前を呼ぶ。
そう、彼女は完全で瀟洒なメイド長。
彼女への信頼が揺らぐことなんてあるわけないの。
「おはようございます、お嬢様」
どこからともなく現れるメイドを見て私は満足そうな笑みを浮かべる。
やっぱり朝はこうでなくちゃ。
「御召し替えですね。お手伝いさせて頂きます」
「あら、別に服ぐらい自分で着替えられるわ」
私がそう言うと彼女は非常に残念そうに部屋の隅に退いた。
部屋から出ていくって選択肢はないのかしら?
「何してるの?」
ドアの前で直立不動の姿勢をとっている彼女に疑問を投げかける。
「いえ。お嬢様が無防備なところにもし侵入者でも現れたら大変ですわ」
さすがは完全なメイド、と言ったところかしら。
全てにおいて先を読んで行動しているわ。
納得した私はパジャマのボタンに手を伸ばし、ゆっくりと服を着替え始める。
その間も咲夜は一秒たりとも目を離さない。瞬きすらしない。
我がメイドながら尊敬しちゃうわね。
「ささ、朝食の準備もできてますわ。どうぞこちらに」
いつもの服に着替え終わると私は咲夜と共に食堂部屋へと向かう。
私は眠くて目をこすったりしてるのに咲夜はそんなことはないみたい。
いつ寝てるのかもよく分からないぐらいにホント良くやってくれてるわ。
「お姉さまーさくやー」
そんな彼女の姿に感心していると、後ろの方から聞き慣れた声が聞こえた。
私の妹、フランドール・スカレーットも今起きたところみたい。
「おはようございます、フランお嬢様」
咲夜が挨拶するのを横目に、だらしない妹の姿を見つめる。
髪はボサボサで服もパジャマのまま。まだ顔も洗ってないみたい。
私の髪はいつの間にか咲夜が整えてくれてたみたい。でも顔はまだ洗ってなかったわね。
「お嬢様、申し訳ございませんが先に食堂へ行っといて下さい。私はフランお嬢様の御召し替えを……」
中途半端に空中に浮いているフランと共に咲夜は近くの部屋に入っていった。
仕方なく私は一人で食堂へ向かう。
今少し咲夜の声が興奮ぎみだったのはどうしてかしら?
「あらレミィ、早いじゃない。珍しいわね」
食堂には先客がいた。
彼女は私の親友、パチュリー・ノーなんちゃら。
どこで知り合ったのかは忘れちゃった。
あと紅魔館で何をしているのかも忘れちゃった。
「レミィ、それ絶対親友じゃないと思うわ」
彼女がむすっとしているのはいつものことだ。
このぐらいの冗談は通じる仲だもの。
「そういえばレミィ、咲夜はまだかしら?」
長い紫色の髪に指を絡めながらパチェが言う。
そういえば少し遅いわね。
「さーくやーまだー?」
フランを着替えさせに行った咲夜の名前を呼ぶと、これまたどこからともなく彼女の姿が現れる。
「はい、お待たせしました」
フランと共に現れた咲夜は鼻にティッシュをあてがっていた。
「あら、鼻血?」
そうたずねると彼女は小さく頷いた。
今日は湿度が高いのかしら。
私も気をつけないと。
「すぐにお食事の方、お持ち致します」
そう言い残しまた咲夜は姿を消した。
そして一秒も経たない内に、テーブルに朝ごはんのお皿が現れる。
本当に手品みたいですごいわね。
私の今日の朝ご飯は果物とシリアルと血のジュース。
パチェがシリアルに牛乳を浸してるから私も真似してシリアルの皿に血を注いでみる。
するとパチェが怪訝そうな目で私を見つめてきた。
「朝からあんたは何やってるのよ……」
だって私は吸血鬼だから血はちゃんと飲まなくちゃ。
「朝から生肉うめぇ!」
私の横に座ってるフランは何か赤い大きな塊に喰らいついている。
服にに赤い液体が零れているわ。
「朝からあんた達は何食べてるのよ……」
パチェが呆然と私達を眺める。
別に今に始まったことでもないのに。
30分程で朝ごはんを完食した私達はそれぞれ別れ、自分達の好きなことをして一日を過ごす。
パチェは図書館で本の整理と読書。フランは外へ出かけていったから、私の傍にいるのは咲夜一人。
「そういえば咲夜、今日は何の日だか覚えてるわよね?」
ベランダで紅茶をすすりながら問う。
実は今日はこの紅魔館でパーティーをする日。
冬の寒い夜にみんなで集まってなんかしようってどっかの魔法使いが提案したのが元で、一番大きい家を持つ私が主催者になったの。
「もちろんですお嬢様。準備は万端ですわ」
相変わらず完璧だわ。
でも私のメイドなんだからこのぐらいは覚えてて当然よね。
「庭で肉とか野菜を焼いて食べる、バーなんとかというのをご提案されましたよね?」
あの魔法使いの提案で、今回は私の家の庭で人間達が好むバービークアトロとかいうのをやることになったらしく、咲夜には数日前からそのための食材を揃えてもらった。
普段はめんどくさがり屋な霊夢も今日はうちに来てくれるみたい。
「ではお天気がいいので私は洗濯物を干してきます」
失礼します、と言って消えた咲夜は庭に現れ、長い棒に洗濯物を干し始める。
それはいいのだけど私の下着や服に顔を埋めて何をしているのかしら。
「さくやー何してるのー」
ベランダから呼びかけると咲夜がまた隣に現れ、こう言った。
「お嬢様の服にほつれなどがないか調べていたんです。しっかり確かめないと分からないんですよね、ああいうのって」
「あらそう、邪魔してごめんね」
咲夜の働きっぷりに感心した私はまた庭を眺める作業に戻る。
そうしていつの間にか私は眠りに落ちていた。
私は窓から差し込んでくる爽やかな日差しを受け入れることはできない。
だって吸血鬼なんですもの。
日差しに当れば灰になっちゃう。
「さーくやー、服持ってきてー」
まだ完全にエンジンがかかっていないぼんやりとした感覚の中、我が忠実なメイドの名前を呼ぶ。
そう、彼女は完全で瀟洒なメイド長。
彼女への信頼が揺らぐことなんてあるわけないの。
「おはようございます、お嬢様」
どこからともなく現れるメイドを見て私は満足そうな笑みを浮かべる。
やっぱり朝はこうでなくちゃ。
「御召し替えですね。お手伝いさせて頂きます」
「あら、別に服ぐらい自分で着替えられるわ」
私がそう言うと彼女は非常に残念そうに部屋の隅に退いた。
部屋から出ていくって選択肢はないのかしら?
「何してるの?」
ドアの前で直立不動の姿勢をとっている彼女に疑問を投げかける。
「いえ。お嬢様が無防備なところにもし侵入者でも現れたら大変ですわ」
さすがは完全なメイド、と言ったところかしら。
全てにおいて先を読んで行動しているわ。
納得した私はパジャマのボタンに手を伸ばし、ゆっくりと服を着替え始める。
その間も咲夜は一秒たりとも目を離さない。瞬きすらしない。
我がメイドながら尊敬しちゃうわね。
「ささ、朝食の準備もできてますわ。どうぞこちらに」
いつもの服に着替え終わると私は咲夜と共に食堂部屋へと向かう。
私は眠くて目をこすったりしてるのに咲夜はそんなことはないみたい。
いつ寝てるのかもよく分からないぐらいにホント良くやってくれてるわ。
「お姉さまーさくやー」
そんな彼女の姿に感心していると、後ろの方から聞き慣れた声が聞こえた。
私の妹、フランドール・スカレーットも今起きたところみたい。
「おはようございます、フランお嬢様」
咲夜が挨拶するのを横目に、だらしない妹の姿を見つめる。
髪はボサボサで服もパジャマのまま。まだ顔も洗ってないみたい。
私の髪はいつの間にか咲夜が整えてくれてたみたい。でも顔はまだ洗ってなかったわね。
「お嬢様、申し訳ございませんが先に食堂へ行っといて下さい。私はフランお嬢様の御召し替えを……」
中途半端に空中に浮いているフランと共に咲夜は近くの部屋に入っていった。
仕方なく私は一人で食堂へ向かう。
今少し咲夜の声が興奮ぎみだったのはどうしてかしら?
「あらレミィ、早いじゃない。珍しいわね」
食堂には先客がいた。
彼女は私の親友、パチュリー・ノーなんちゃら。
どこで知り合ったのかは忘れちゃった。
あと紅魔館で何をしているのかも忘れちゃった。
「レミィ、それ絶対親友じゃないと思うわ」
彼女がむすっとしているのはいつものことだ。
このぐらいの冗談は通じる仲だもの。
「そういえばレミィ、咲夜はまだかしら?」
長い紫色の髪に指を絡めながらパチェが言う。
そういえば少し遅いわね。
「さーくやーまだー?」
フランを着替えさせに行った咲夜の名前を呼ぶと、これまたどこからともなく彼女の姿が現れる。
「はい、お待たせしました」
フランと共に現れた咲夜は鼻にティッシュをあてがっていた。
「あら、鼻血?」
そうたずねると彼女は小さく頷いた。
今日は湿度が高いのかしら。
私も気をつけないと。
「すぐにお食事の方、お持ち致します」
そう言い残しまた咲夜は姿を消した。
そして一秒も経たない内に、テーブルに朝ごはんのお皿が現れる。
本当に手品みたいですごいわね。
私の今日の朝ご飯は果物とシリアルと血のジュース。
パチェがシリアルに牛乳を浸してるから私も真似してシリアルの皿に血を注いでみる。
するとパチェが怪訝そうな目で私を見つめてきた。
「朝からあんたは何やってるのよ……」
だって私は吸血鬼だから血はちゃんと飲まなくちゃ。
「朝から生肉うめぇ!」
私の横に座ってるフランは何か赤い大きな塊に喰らいついている。
服にに赤い液体が零れているわ。
「朝からあんた達は何食べてるのよ……」
パチェが呆然と私達を眺める。
別に今に始まったことでもないのに。
30分程で朝ごはんを完食した私達はそれぞれ別れ、自分達の好きなことをして一日を過ごす。
パチェは図書館で本の整理と読書。フランは外へ出かけていったから、私の傍にいるのは咲夜一人。
「そういえば咲夜、今日は何の日だか覚えてるわよね?」
ベランダで紅茶をすすりながら問う。
実は今日はこの紅魔館でパーティーをする日。
冬の寒い夜にみんなで集まってなんかしようってどっかの魔法使いが提案したのが元で、一番大きい家を持つ私が主催者になったの。
「もちろんですお嬢様。準備は万端ですわ」
相変わらず完璧だわ。
でも私のメイドなんだからこのぐらいは覚えてて当然よね。
「庭で肉とか野菜を焼いて食べる、バーなんとかというのをご提案されましたよね?」
あの魔法使いの提案で、今回は私の家の庭で人間達が好むバービークアトロとかいうのをやることになったらしく、咲夜には数日前からそのための食材を揃えてもらった。
普段はめんどくさがり屋な霊夢も今日はうちに来てくれるみたい。
「ではお天気がいいので私は洗濯物を干してきます」
失礼します、と言って消えた咲夜は庭に現れ、長い棒に洗濯物を干し始める。
それはいいのだけど私の下着や服に顔を埋めて何をしているのかしら。
「さくやー何してるのー」
ベランダから呼びかけると咲夜がまた隣に現れ、こう言った。
「お嬢様の服にほつれなどがないか調べていたんです。しっかり確かめないと分からないんですよね、ああいうのって」
「あらそう、邪魔してごめんね」
咲夜の働きっぷりに感心した私はまた庭を眺める作業に戻る。
そうしていつの間にか私は眠りに落ちていた。
これだけじゃ評価のしようが無いです
一つの完成された作品を投稿する方が評価も貰えますし読者もついて来ます。
ですのでこの程度の長さであれば、まとめてしまう方がよろしいかと。
作品に対してはHENTAIな咲夜さんにレミが気付いてないという事が
これから面白くなりそうなので今回はこの点数で。
次回は一話完結作品を投稿してみてはいかがでしょうか。
本文においてはパチュリーの登場シーンで気になった個所がありました。
レミリアの台詞ではなく地の文で述べられている事に対してパチュリーが突っ込みをしているのですが、この他には似たような場面が無いので妙に浮いた感じになっています。
こういうメタな笑い自体は悪くないのですが、使い方に気をつけないと読者置いてきぼりになってしまうので注意が必要です。