ドゴォと物凄い音が入り口から聞こえた。
続いてカランカランカランとドアベルが激しい悲鳴を上げる。
一体何事かと立ち上がると、背の低い青色の少女がのしのしとこちらへ向かって歩いてきた。
「喜びなさい! あたいがわざわざ来てやったわ!」
氷精、チルノである。
出来ればもう少し暑くなった頃に来て欲しいものだ。
「今日はどうしたんだい」
僕は苦笑いをしながら尋ねた。
買い物というのは恐らく期待できないだろうから、魔理沙か霊夢に何か言われたのだろう。
「あんたに聞けば教えてくれるって魔理沙が言ってたんだけど」
予想通りである。
「最強ってどういうこと?」
「……それは僕のほうが聞きたいよ」
どうやら面倒ごとを回されたらしい。
「なんだ、あんたもわからないの」
チルノはとても不満そうな顔をしていた。
「うーん。出来ればちょっと話の最初から教えてくれるとありがたいんだが」
暇だった事だし、付き合ってもいいだろう。
僕は彼女の話を聞いてみる事にした。
「最初ってあたいが最強なところから?」
それはそれで聞きたいところではあるが、答えもなんとなく予想出来るのでいいだろう。
きっと自分がチルノだから最強なのだ……くらいに違いない。
「いや、どうして最強を知りたくなったのかだけで構わないよ」
「なるほど。ほら、あたいって最強じゃない?」
「うん」
とりあず頷いておくことにする。
彼女の言っている事はあながち嘘ではないからだ。
妖精という種族で考えた場合、チルノは間違いなく最強クラスの力を持っている。
彼女が妖精でありながら明確な自我を持っている事自体、妖精としてはかなり高度な事のだ。
「でしょ? やっぱりあたいったら最強ね!」
チルノは満足そうな顔をしていた。
「って事なのよ」
「すまない。もう少し詳しく教えてくれないかい。魔理沙とどんな話をしたのかとか」
今の内容で理解できるのはさとり妖怪くらいだろう。
「うん。でね。魔理沙があたいに言ったのよ。最強最強って言うけど、最強って何なんだって」
なるほど、そのものずばりを魔理沙が聞いたのか。
きっとチルノをからかうつもりでそう言ったのだろう。
「もちろん最強といえばあたいの事なんだけど」
あたいって何? などと聞かれたら困ってしまう。そうなるともう哲学の話だ。
「最強ってすごい強いって事でしょ?」
「まあ、そういう面もあるね」
「そう言ったら魔理沙がいっつも負けてばかりじゃないかって言うの」
「……」
「でも負けてもあたいは最強なの。そうすると最強ってどういうことなのかな?」
「うーん」
チルノに人間や妖怪と妖精の違いを説明するのは難しそうだ。
「で、魔理沙に聞いたの。あたいに聞くって事は答えを知ってるのかって」
魔理沙もそう返されて困ったに違いない。
「そうしたら僕に聞けとでも言ったのかい」
「そう。あいつは詳しいから何でも教えてくれるぜって」
「なるほどね」
パチュリーあたりに回さなかったあたり、一応頼りにされていると思ってもいいのだろうか。
あるいは僕だったら被害も少ないだろうと考えたのか。
「まあ、一応答えることは出来るよ」
最強とはどういう事なのか。
「ほんとに?」
「だが僕では説得力が足りないと思わないかい」
僕は両の手をひらを上向きにして左右に広げ、首を傾げてみせた。
「うん。あんたよわっちそうだもん」
またずけずけと言ってくれるものだ。
「……まあ、そうだろうね」
僕では弾幕ごっこでもチルノに勝てるかどうか疑わしい。
「だから、来週にでもまた来てくれないかな。君が納得出来るような相手を連れてくるよ」
呼ぼうと考えている相手ならば、最強を語るのに十分な説得力があるだろう。
「わかった! 来週ね! 首を洗って待ってなさい!」
「それは対決の時にでもいう言葉だよ」
「うん!」
チルノは大きく頷いて、入ってきた時と同じようにのしのしと玄関へ向かっていく。
「ちなみに、一週間が何日か知っているかい?」
最後に念のため聞いておくと、彼女はとても彼女らしい答えを返してくれた。
「9!」
「まだ来ないな……」
僕は一週間前に立て付けの悪くなったのを直した入り口前に立っていた。
理由は言わずもがな、チルノが思いっきり入り口を開けたせいである。
今日はそれを防ぐためにここで待つことにしたのだ。
もっとも理由はそれだけではないのだが。
「早く来てくれればいいんだが」
チルノがもしも僕との約束を忘れていたとしたら、大変な事になってしまう。
主に僕が。
「おーい」
そんな事を考えていると僕の願いが通じたのか、空から声が聞こえた。
「やあチルノ。待っていたよ」
チルノはゆっくりと滑空し、僕の目の前に着地した。
「ちゃんと来てやったわ! それで、あたいに挑戦したいっていうむぼーな相手はどこ?」
「いやそんな約束をした覚えはないんだが」
「え? あんたが最強の相手を連れて来てくれるんじゃなかったの?」
どうも彼女の中で約束が変わってしまっているようであった。
別にチルノと店の中の相手を戦わせるつもりはない。
むしろ戦われたら困る。
「今日は最強とは何かを話してくれる相手を呼んだんだよ」
「あ! そうだった! 最強って何かわかったの?」
「わかったというか……まあ説得力があるのは間違いないよ」
どんな話をしてくれるかは、僕もわからない。
承諾してくれたから話す気はあるのだろう。きっと。
「取りあえず店の中にいるから、入ろう」
僕は入り口を開け、先にチルノを中へと通した。
後ろ手で扉を閉め、後をついていく。
「こんにちわ、妖精さん」
ローズヒップティーを片手ににこやかに微笑む緑色の髪の少女。
「わわっ! 怖い奴!」
チルノは彼女を見た瞬間、180度回転してすっ飛んだ。
当然のようにぼふりと僕と激突する。
僕はチルノを受け止めながら、にこにこと笑う彼女に尋ねた。
「幽香。チルノと知り合いなのかい」
風見幽香。
彼女は非常に凶悪で友好度最悪と言われ、最強と恐れられている妖怪である。
「ええ。前に向日葵畑でちょっとね」
「ああ、なるほど」
うっかり迷い込んだチルノを幽香が追い払ったというところか。
「え? え? あんたこんな奴と知り合いなの?」
チルノは僕に抱えられたまま目をぱちくりしていた。
「まあ色々あってね」
「そう。私達親友なのよ」
多分違うと思う。
「そーなのか……あたいあんたのこと誤解してた」
チルノはルーミアのような感心の仕方をしていた。
「あんたカエルくらいなのかと思ってたけどそうじゃないのね」
僕の評価は一体どれだけ低かったのだろうか。
「そう? カエルと大差ないわよ」
幽香からすれば同じらしい。
「ややこしくなるから妙な事は言わないでくれ」
苦笑しながら幽香の向かい側のやや高めの椅子にチルノを座らせる。
僕もその隣に腰掛けた。
「まあ、そうね。それで貴方。最強の事を知りたいんだって?」
「え、えっと」
チルノは僕の顔を見てきた。
まだ幽香を警戒というか怖がっているらしい。
「そうだね。最強っていうのはどういうことなのかな」
なので代わりに尋ねる事にした。
幽香ほどの妖怪であれば、最強を語るには十分であろう。
僕が聞いても興味深い話のはずだ。
「そうね。先に言っておくけれど。あくまでこれは意見の一つよ。絶対にそうだなんて事じゃあないわ。それでもいいかしら」
「構わないよ」
「うん」
「そう。じゃあ話しましょう。答えはとてもシンプル。最強っていうのは文字通り最も強いって事よ」
「……いや、うん。そうなんだが」
「……」
僕は思わずチルノと顔を見合わせてしまった。
これではチルノも納得しないだろう。
「話を続けていいかしら?」
「おっと」
どうやらこれで終わりというわけではないらしい。
「頼むよ」
「じゃあ最も強いってどういう事か……って話なんだけど。ぶっちゃけた話、最強なんていうのはそこいらじゅうにいるのよ」
「えー! そんなハズないでしょ?」
チルノは信じられないという顔をしていた。
「じゃあ貴方に聞くけど」
「う、うん」
「もしこの店の中に店主と貴方しかいなかったとしたら。最強は誰かしら?」
「あたい」
ためらいなく答えられてしまった。
「まあ今は私がいるから違うんだけど」
幽香がにこやかに笑う。
「要はそういう事なのよ」
「え? え?」
チルノはさっぱり分かっていないようだった。
「こんなふうに、最強はたくさんいるの」
「ふむ」
なるほど、幽香の言いたい事がなんとなくわかってきた。
「例えばだ。紅魔館で一番強いのはレミリアだね」
もしかしたらフランドールなのかもしれないが、立場的なものも考えるとやはり彼女だろう。
「あそこの紅い家?うん。そうだね。門番がゆってた」
これは納得してくれたようだ。そうすると話が早い。
「また白玉楼では西行寺幽々子が一番強いだろう」
「誰だか分からないけどそうなの?」
「まあ、うん」
幽香の言わんとしている事はこういう事だと思うのだが、正しいのだろうか。
彼女の顔を見るとにこにこと笑っていた。
「構わないわ。続けて」
どうやら大丈夫のようだ。
「同じように妖怪の山では天狗の長が一番強いと言えるかな」
「あら、最近は神様が越してきたらしいからそっちなんじゃないかしら」
「山全体で考えるとそうかもしれないね」
「うーん?」
チルノは首を傾げていた。
少し難しすぎただろうか。
「とにかく、最強がいっぱいいるって事はわかったかな?」
「うん。なんとなく」
そこは理解してくれたようだ。
「でもどうして最強がいっぱいいるの?」
「それは集団という括りがあるからよ」
「し、集団?」
「そう。貴方が分かりやすいように言うと、紅魔館では門番、メイド、魔女、魔女の使い魔、吸血鬼、吸血鬼の妹……それにメイドの妖精なんかがいるわね」
「うん」
「この中では吸血鬼……レミリアが一番強い。たくさんいる中で一番強いから最強。分かるわね?」
「そうだね。レミリア最強」
幽香はとても簡単に説明してくれた。
「他も同じよ。たくさんいて、その中で一番がある。だから最強はたくさんいるの」
「じゃあ最強と最強が戦ったら?」
「それはもちろん、どちらかが勝ってどちらかが負けになるわね」
「じゃあ最強同士で勝ったほうが本当の最強なんだ!」
チルノはぽんと手を叩いて叫んだ。
「いいえ」
幽香は首を振った。
「違うのかい?」
僕はそういう話だと思っていた。
そうして最強同士で戦っていき、どんどん規模が大きくなり……
最終的には幻想郷で最強というところまで持って行くと思ったのだが。
「じゃあ聞くけれど。チルノと巫女が十回戦って、十回チルノが負けた。けれど十一回目にチルノが勝ったとしましょう。そうしたらチルノが最強になるの?」
「……いや」
それでは最強とは言わない気がする。
「一度勝った負けたなんてその場のものだけに過ぎないわ」
「確かにそうか」
何度も負けている間に相手の弱点が分かったという展開もあるかもしれない。
そうしないためには、それこそ一回の勝負で最強を決めるという大会を開かなくてはいけないだろう。
だがそれはあくまで『大会』という集団の中での最強なのだ。
大会の外に出ればどうなるかは、誰にも分からない。
「最強なんて常に安定するものじゃあないのよ。でも」
「でも?」
「紅魔館の最強がレミリアである事はそう簡単には揺るがないと思うわ。それは何故だと思う?」
「うーん。他のみんなが最強だと思ってるから?」
チルノがそう言うと、幽香はにこりと笑った。
「その通りよ。紅魔館の他の皆が、レミリアが一番強いと思っていて、尚且つレミリアに実力があるから最強なの」
「当たった! やっぱりあたい最強!」
大きくバンザイをしているチルノ。
「実力があるというところが重要だね」
周りがいくら強い強いと言っていても、本人の実力が伴わなくてはどうしようもないだろう。
「実力云々も長期的な目で見ればどうかと思うけれどね」
「うん?」
「まあそれは後に話すとして。つまりそういう事なの。本人の強さがあって、ある程度の数がその事実を認めている事。それが大事」
「ふむ。どんなに強くても誰にも知らなければ、それは最強かどうか誰にも伝わらないということか」
「そう。誰にも知られない最強なんて何の意味もないわ。井の中の蛙よ」
「カエルが強いわけないよ!」
そんな事を言っているとそろそろ山の神様がケンカをしかけてきそうなので止めて欲しい。
「さて、私が何が言いたいのか分かってきたかしら」
「ううん?」
再び首を傾げるチルノ。
「一人では最強になれない。これは分かるわね?」
「うん。それはわかった」
「最強。最も強い。最もって事は、たくさんの中で一番って意味よ」
「そうだね」
「だから答えは簡単よ。貴方が最強を名乗りたいのであれば、友達を作りなさい。たくさん」
「友達? 大ちゃんみたいに?」
「ええ。友達は強くても強くなくてもいいわ。その友達たちに、知って貰いなさい。貴方が強いということを」
幽香はちらりと僕の方を見た。
「巫女や魔法使いも友達が多かったわよね?」
「霊夢と魔理沙かい? そうだね。今は天界から地底から……それこそたくさんいるんじゃないかな」
僕の知っている限りでもその数は相当なものだ。
「もしも貴方が一人で戦い、挫けそうになった時。友達の事を考えなさい。力になるわ」
「うん」
「その場に友達がいて、声をかけてくれたなら尚更よ。覚えておきなさい。一人では大したことなんて出来ないの。でも、仲間がいれば頑張れる」
「わかる。あたいも大ちゃんに頑張れって言われるとすっごい頑張れる!」
チルノは目をきらきらと輝かせていた。
周りの応援というのは、自分が思っている以上に強い力を与えてくれるものだ。
人間でも勿論だが、感情に重みを置く妖怪や妖精には尚更重要なのである。
「そんな友達をたくさん作りなさい。貴方の強さを認めてくれる人たちが増えれば増えるほど、貴方は最強であると言えるでしょう」
「わかった! あたい友達たくさん作る!」
「貴方なら出来ると思うわ。きっと」
幽香はにこやかに微笑んだ。
「ありがとう! 怖い奴だと思ったけどあんたいい奴だった!」
チルノが幽香に向かってさっと手を差し出す。
「風見幽香よ」
幽香はぎゅっとその手を握り返す。
「ありがとう幽香! あたい早速頑張って友達作ってくる!」
「ええ。頑張って」
チルノは元気よく入り口に走っていったが、途中でくるりと振り返った。
「あたいと幽香も友達?」
「ええ。そうね」
「ありがとう!」
チルノはにっこりと笑い、再び走りだした。
そしてドゴォという物凄い音が入り口から聞こえる。
続いてカランカランカランとドアベルが激しい悲鳴を上げた。
「……はぁ」
入り口はまた立て付けを直さなければいけないようだ。
「行っちゃったわねえ」
幽香が入り口のほうを眺めながら呟いた。
「少し意外だったな。君がああいう事を言うなんて」
「友達の事? まあ私に友人はほとんどいないけど。本当の事は言っているつもりよ」
「確かにね。強さを知っている人が多ければ、それだけ最強として名を挙げられる可能性も上がるわけだ」
「昔の神様なんか本当に強いのかどうか怪しいものよ。でも、強い存在として語り継がれていれば、そうなのかなって気分になるでしょ」
「なるほど」
例え本当に最強ではなかったとしても、長い年月が経ってしまっていれば本当かどうか確かめる事は出来ない。
もしこの先チルノが最強であると皆が語り継いでいけば、チルノは最強だったという事になるかもしれないのだ。
実力云々というのが長期的な目ではどうか……というのは、その事を現していたのか。
「想いは強さよ。最強と信じられれば本当に最強になれる」
「語られる事によっての最強か。卵が先か、鶏が先かみたいな話だ」
「だからこそ最強なんてその時その場で常に変わるものよ」
「全くその通りだな」
実際に戦ったとしても、そうなるだろう。
その日勝ったとしても、翌日には負けているかもしれないのだ。
「あと、一つ貴方誤解してるみたいだけど」
「うん?」
「私、友人は少ないけど友達は多いのよ?」
「む……」
それは何か違うのだろうか。
人と妖怪ということなのか。
「だって友達をいじめるほうが楽しいもの」
「……はは」
僕は苦笑いしか出来なかった。
「ま、今の話は考えておきなさい。さて、約束はちゃんと守って貰うわよ」
「……ああ、うん」
僕は幽香と約束を交わしていた。
チルノに最強を語ってくれる代わりに、僕がある事をする約束を。
「お手柔らかに頼むよ」
「安心なさい。優しくしてあげるわ」
幽香は艶やかに笑いながら僕の頬を撫でた。
「……っ」
汗が頬を伝う。
「はぁ、はぁ」
僕はゆっくりと腰に力を入れ、無理矢理に突き動かしていた。
最初は久々ということもあって気持良かったが、今はもう苦痛でしかなかった。
「……」
「ダメよ、もっと頑張りなさい」
動きを止めようとすると、幽香の叱責が飛んでくる。
「うっ……くっ」
腰がもう限界だ。
これ以上はもう……
僕は最後の力を振り絞り、勢い良くそれを突っ込んだ。
「そう。いいわよ。もっともっと」
「……いや、ちょっと、勘弁してくれ。腰が……」
肩で息をしながら懇願する。
「早いわねえ。まだニ回戦なのに」
幽香は不満そうにため息を付いた。
「……はぁ、はぁ……はぁ」
僕は大きく息をしながら幽香に言った。
「畑を作るのは聞いていたけれど、二つもとは、聞いてない、ぞ」
それを聞いた幽香はとてもとても嬉しそうに笑った。
「あら、二つだとも言ってないわよ」
「……勘弁してくれ」
僕は使っていた鋤を地面に置いて座り込んだ。
「だらしないわねえ」
幽香が寝転んでいたハンモックからひょいと飛び降りる。
「僕は君ほど強くないんだよ」
「そうねぇ」
「……ああ、そうだ」
休むついでに、僕はあの時の事を話すことにした。
「友人は少ないけれど友達は多いって意味がわかったよ」
「あら、なぁに?」
「友人が少ないというのは確かだろう」
そう。幽香は人間と接することは滅多にない。
友好度最悪と言われているのは伊達ではないのだ。
「だが人ではなく……妖怪でもなく。君は恐らく幻想郷で最もそれと多く接している」
幽香は何と一番多く接しているだろうか。
答えは簡単だ。
「この幻想郷には一体どれだけの植物が、花が存在しているだろうか」
種として数えただけでも、この日本にはおよそ2万種類もの植物があるそうだ。
それらが森に林に、幻想郷じゅうに生息しているのだ。
「ええ。お友達がとっても多いでしょう?」
四季のフラワーマスター、風見幽香。
「幽香、君はとても強い。そして友達もとても多い。その強さは花が、植物がある限り語られ続けるだろう」
もしも植物の声を人々が聞くことが出来たならば、間違いなく彼女が最強であると話してくれるに違いない。
「まあ、そうね。少なくともお花たちと……」
僕を正面に見据え、本当に嬉しそうに笑う。
「貴方は、そう思ってくれてるんじゃない?」
「僕が?」
「だってそうでしょう? 最強の話をする為に、わざわざ私を訪ねてくれたんだから」
「……まあ、そうだね」
最強という言葉を聞いて真っ先に思いついたのは彼女だった。
彼女は単純に強さが分かりやすいのだ。
そして僕の頼みを受けてくれるかは半信半疑ではあったのだが……何となく受け入れてくれる気もしたのだ。
「ありがとう」
幽香はにこやかに笑いながら僕に手を差し出した。
そう。こんな笑顔を出来る彼女が、悪い奴であるはずがない。
「はは」
僕も笑って彼女の手を握り返した。
「んじゃあ、張り切って二回戦の続きと……」
幽香は遙か先まで広がる平野を見回して、にぃと口端を歪ませた。
「三回戦と行きましょうか」
「……そうだね」
彼女が真に最強の妖怪であるかどうかは分からないが。
少なくとも僕と彼女の力関係において、彼女が最強であるという事が変わることは無さそうである。
幽香は物知りお姉さん、チルノは元気な小学生、当然霖之助はケッタイなマスコット役だ。
チルノがとても良いですね。
発する台詞はとても簡潔なのに、彼女のちょっとおバカで憎めない思考回路が余すことなく表現されていて
ほのぼのしい心持ちになりました。
幽香先生はとてもドS。
三回戦、もしかしたらそれ以上のラウンドをこなした霖之助にとって、
翌日の太陽は、きっとヒマワリよりも尚濃い黄色に見えることでしょう。
SPⅡさんの霖之助さんはあったかくてとってもホッとするよ。
なんか元気をもらった感じ。これで今日からまたがんばれる様な
気がするよ。アリガトウ! お嬢様
SPⅡさんのお兄さんキャラ来ましたわ!これで私の心は折れなくて
澄みます!サイキョーですわ!! 冥途蝶
イケメンのにおいがする・・
幽香さんもうそのくらいにしてあげて・・ 超門番
しかし畑を一人で耕させるとは…畑の規模にもよりますがさすが幽香
それと霖之助さん、あんまり妖精に優しいと半人前の庭師が泣いちゃいますよ?
が、ついには妖精から精霊に進化したチルノはそれを聞いて身悶えるのだった。
主に黒歴史的意味でwww
・・・なんというか、すぐに誰々の方が強いと主張したがる
少年ジャンプ信者の方々に読んで欲しいと思ってしまう。
強いだけでなく、「強さ」の意味も知っている。
その彼女からこんな話を聞かされればとは納得しますね。
チルノかわいい
面白い配役でした。
…ある!
花映塚的な意味で。
よい作品でした。
霖之助と紫の組み合わせだと、もっと謎めいた言葉になりそうですし、萃香や勇義だと言葉で説明するのは難しそう。
幽香の強さや自信は、こういった柔軟な考え方にもあるのかな…と思いました。
また深読みですが、SPIIさんの作品を読んでいると、霖之助もただのお人好しではなく、妖怪としての時間の流れを上手く消化していくために、幽香の言う友達を作ろうとしているのかもしれないと思えます。
これもあっさりと読める日常風景かもしれませんね、面白かったです。
男女の絡みを書きたいならば別作品を扱えばいかがでしょうか。
なにかこう月姫の二次創作が東方キャラに名前を置き換えられてそのまま出された感が否めません。
細かい技術については文句なしにハイレベルです。
しかし東方の二次創作として楽しめたかと言われれば今ひとつでした。
既製品の冷たさというかベテランの無感動な流れ作業というか…極端に外しているとか雑ということはないんですが。
…本当に最強の意味を理解したチルノをみてみたい。
合気道すげぇ