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神蝶華~ZIN CHO GE~ 絶望の章

2005/05/10 04:15:13
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 ―最近私は夢を見る。

 ―今とは違う私、今とは違う白玉楼、今とは違ういつか…

 ―全てが輝き、そして優しい光に満ちていた

 ―愛する家族、愛する女性(ひと)…

 ―その全てを

 ―自らの命と共に、失った…

 ―愛する者を守る為、最愛の女性を泣かせた…
 
 ―そして…私は…



         神蝶華~ZIN CHO GE~

              絶望の章


「今日は、妖夢ちゃん。剣術稽古?相変わらず熱心ねぇ♪」

「これは…珍しいお客様の御来訪ですね…御健勝で何よりです、八雲紫殿」

 幽霊桜が絶えず咲き誇り、人間の魂が憩う冥界の楼閣…
 そして、かの妖怪桜の巨木『西行妖』が巣食う場所…
 友を亡くし、再び出会った場所――――白玉楼

 剣術稽古を一通り終え、楼閣に戻る妖夢の後に続き、紫は久々の白玉楼を懐かしむ
 あの時のまま、何一つ変わる事の無い景色に、複雑な想いが込み上がる
 と、その時

「ゆっっかりぃ~~~ん!vvvv」

       ばふむっ  もいもいもいもいもい…

 紫は突然後ろから抱きつかれ、これでもかとばかりに胸を揉まれた
 現行犯は勿論、白玉楼の主にして紫の大親友、幽々子である。
 最近何処で覚えて来るのか、要らぬ知識を大量に仕入れたらしい

「ちょっ…幽々子!再会を喜んでくれるのは嬉しいけど…
 …どさくさに紛れて乳揉まないでくれるかしら?;」

「別に良いじゃないのよ~vゆかりんv減る所かこうすれば
 増える代物なんだからぁvあ~vゆかりんのちちや~らか~いv」

    もいもいもいもいもいもいもいもいもいもい…

 ハートマークを辺りに撒き散らしながら、幽々子は構わず乳揉みを続ける
 既に読者諸兄も御理解(おわか)りであろうが、幽々子は紫にベタボレである
 紫は此処を訪れる度に、こうして幽々子に
 『百合の花咲き乱れる熱いスキンシップ』を喰らうのだ
 実に羨まし…いやいや、はた迷惑なハナシである

「あの…幽々子様、紫殿も何か所用有っての御来訪、
 お早く御用件をお聞きになられませぬと…;」

 これ以上絡ませていると何をしでかすか判った物では無い、
 と判断したのか、妖夢が間に割って入る

「いやいや妖夢、親しき朋友の来訪よ?
 これ位情熱的なスキンシップでもって迎えてあげなくては、失礼というものよ?」

   もいもいもいもいもいもいもいもい…

 幽々子は「ん~vディ・モールト・ベネvなお乳だわv」などとのたまいながら、
 相変わらず胸を揉み続けている。…此処まで来ると、例えセクハラでも英雄モノである

「幽々子…貴女の嘘八百な物言いも相変わらずねぇ…;」

 半分呆れて紫が言う。最近になって、幽々子の嘘ネタは急激に豊富になっている
 恐らく永遠亭の住人、特にてゐから仕入れているに違い無い。

「んもぅ…ゆかりんったら…vそんなつれない事言わないでv
 私と貴女…『甘ぁくとろける様な蜜月の刻v』を過ごした仲じゃないのv」

 幽々子はするりと紫の前に立ち、抱き付く
 お互いかなり胸囲がある為、密着した瞬間、つきたての餅の如く胸がくにゃりと潰れた

「ゆゆ…最近ご無沙汰で、寂しかったんだから…v」

 潤んだ目の上目遣いで幽々子が迫る

「んふふ…v幽々子ったら…v甘えん坊なのも相変わらずなんだから…v
 で・もvそこが可愛くて堪らないわv大切な話があるのだけど…
 ソレが終わったら、うぅんと可愛がってあ・げ・るvv」

 今度はハートマークの乱舞が二倍に増えた。
 辺り一面は既に百合畑、しかも会話の内容は何ともネチョい。
 二人共、妖夢が居るのも御構い無しでいちゃくらやっている。
 …もうお気付きの事だろう、紫もそのケ全開な女性なのである。

「妖夢~、お茶とお茶請けの用意をして来て頂戴
 お茶請けには『何時ものアレ』を出してあげてね~」

 さっきまで艶やかな女の顔だった幽々子が、いつものダレた顔に戻る

(…これが今までハートマークを乱舞させていた女性の顔だろうか…?)

「妖夢、今何か言ったカチラ?」

「いえ、何も…そう言えば『アレ』は先日、幽々子様がお一人で平らげて
 しまわれたのでは…?栗蒸し羊羹を五本まるまるかぶりついt」

  ガッ!!!

「無いのならば買って来なさい#若しくは作りなさい#今直ぐに!#
 ……でなきゃ妖夢…貴女と言えど 死 に 誘 う わ よ # 」

「…は…ハイ……(泣)」

 妖夢の胸倉を掴み、鬼気迫る迫力で幽々子が凄む
 普段は何事にも『お気楽極楽ケセラセラ』な幽々子だが、紫の事となると
 鬼神も裸足で逃げ出す程の妖気と覇気を見せる
 これも愛の力と言える……のだろうか?

「あーあー;妖夢ちゃんも可哀想に…;」

「哀れむ必要は無いわゆかりん、これも従者の務めと言うものよ」

 紫は自分も藍に無理な要求をした事も有ったっけ…と思い当たる菱を幾つか見出した

 「(偶には藍と橙にもお休みあげようかしら…)」

 『人の振り見て我が振り直せ』昔の人は巧い事を言ったものである


――――――――――――――暫くして後―――――――――――――――――――

 
 妖夢が全速力で買って来た羊羹を茶請けに、二人はひとしきり昔話に花を咲かせた
 初めて霊夢達に出会った時の事、鬼に萃められた時の事、満月をめぐる戦い…
 その何もかもが、面倒臭くも楽しい思い出になっていた。

「…で、そう言えばあの黒白の妨害には腹が立ったわぁ…確か…」
 
「紫…そろそろ本題に入りたいのだけれども…良いかしら?」

 ふと、幽々子が会話を遮り、紫に切り出した
 既に幽々子は、紫が昔話をしに来ただけではない事を悟っていたのだ

「………そんなに…知りたい?これから私が話すのは…」

「…私の『過去』若しくは『生前』の話をする…のでは、なくて?
 そして、そろそろ西行妖が『私の封印』を破る…という事も…」

「っ……!幽々子…何故…貴女が…そこまで知って…」

 幽々子は己の居住まいを直し、紫に向き合った
 さっきまでとはまるで別人であるかの様な雰囲気を漂わせ、
 幽々子はただただ、静かに紫を見つめている

「…思い…出したのね…昔の記憶を…」

「…西行妖が活性化している所為かしらね…尤も、
 私は『夢』という形で、生前を思い出したのだけど…」

「……幽々子……じゃあ私と貴女が生前出会っている事も…」

「…紫…貴女が再び私の友として接してくれた事…感謝してるわ…」

 紫は縁側へと足を進め、庭園を望んだ
 中心には桜の巨木…
 禍々しい妖気を放ち、封を破る喜びに震える『西行妖』の姿があった
 しかし、巨大な妖気を放っているにも関わらず、霊夢達が来る気配は無かった。
 結界である。
 霊夢や妹紅といった『邪魔者』に気付かれずに復活する為に、西行妖が
 狭い範囲で結界を張っているのだ。

「おのれ…小癪な真似を…!隙間の空間にバラ撒いてくれる!!」

「待って、紫。『そんな体でまともに戦える訳が無いでしょう?』」

「ゆゆ…こ…!何…を…!」

 体が動かない。
 筋肉に力が伝わらず、意識が朦朧とし始める。
 飛行しようにも、能力まで封じる薬らしく、身動き一つ取れない

 …一服盛られたか…

 そう悟った時、紫の体は既に自由を失っていた

「あら…おかしいわね…意識も失う筈なのに…
 八意永琳の薬も、紫の意識を消すまでには至らなかったみたいね…」

「…幽々子様…そろそろ…」

 障子の影から妖夢が現れる
 よく見れば二人共何時もの服装ではない
 全身を純白の着物で包んでいる

「死に…装束…貴女達…まさ…か」

「…主の征く路こそ、我が真理にして覇道…止めて下さるな、紫殿」

 微塵の迷いも感じさせぬ眼光を妖夢は放っている。
 この娘達は…本気だ…!

「駄目っ…!私が…代わりに…」

「無理よ、あの結界は紫では超えられない…入れるのは私だけ…」

 幽々子はゆっくりと庭園に降り立ち、両手の扇を広げる

「…私…ね、春をめぐるあの戦いから、よく夢を見るようになったの」

 ぽつりぽつりと幽々子が話し始めた

「夢の中の私は…死に誘う事を嫌っていたわ…
 まだ妖忌も居て…妖夢もまだ幼かった…可愛かったなぁ…」


 幽々子の頬に一条の雫が伝う
 泣いている。
 決して涙を見せる事の無かった西行寺幽々子が

「ゆゆ…こ…」

「…そして…紫…今と寸分違わぬ、美しい貴女が居た…
 でも…私は…私は自らの命を絶ってしまう…
 人の魂を貪り喰い、肥大し過ぎた西行妖の妖力を
 私の命と肉体で封じる為に……そして…
 今また…私の残された魂で、再び西行妖を封じる…!」

「駄目ッ!幽々子…!行かせないッ…!!」

 全身に妖力を集中し、無理矢理に体を動かす
 畳を蹴り、一瞬にして幽々子の背後に迫る
 もう嫌だ、二度とあんな思いはしたくない、もう二度と…

    ガクンッ

 体が己の思惑に反して急停止する
 妖夢だ

「は…離して妖夢!!はなしてェェ!!お願い!!お願いだからぁ!!私っ!!私はもう…」

「征かせてあげて下さい!!今此処で止めてしまっては…ッ…貴女の家族も…
 この幻想郷の生命全てが!奴に喰われてしまいます!!だから…だがら゛…
 ごの゛ま゛ま゛…っぐ……!!」

 涙に塗れ、嗚咽を漏らしながらも、妖夢は必死に紫を捕らえ、離そうとしない

「何処かの誰かが言っていたわ、紫…
 『何かを得る為には、何かの犠牲が無ければならない』と」

「そんなもの糞っ喰らえよ!!!何が犠牲よ!!
 貴女が犠牲になる必要が何処にあるのよォ!!」

 紫は吼えた、愛する者を逝かせぬ為に
 二度も、同じ親友…否、愛する女性を失わぬ様に
 幽々子はそんな紫に、一度振り返り、困った様な顔をした後…

 笑った

「紫…貴女は死に逝く私の為に泣いてくれた…私の手を握って、
 涙を流しながら…私の為に…精一杯笑って、私の最期を看取ってくれた…
 だから、今度は私の番…貴女の為に、そして、貴女の友と、家族の為に…」

「嫌!!嫌ぁぁ!幽々子!幽々子ォ!!止めてェェ!!!」

     ザザザザザザザザザザ…

 幽々子の接近を感知したのか、西行妖が啼き始める

「諦めなさい、西行妖、もうお前は魂を喰らう事は出来ない」

 幽々子の背中に巨大な扇が展開し、それは瞬時に蝶の羽と化した

「終りにしましょう、西行妖。お前はもう十分に魂を喰らったでしょうに…」

 西行妖の枝が伸び、幽々子を捕らえようと迫る
 しかし、枝は虚しく空を切るだけで、幽々子には当たらない
 
「これが見える?お前を封じる為だけに作り上げたスペルカードよ…」

 懐から幽々子がスペルカードを取り出し、妖力を集中する
 幽々子の纏った妖力の壁に遮られ、枝槍も弾幕も無効化されて行く
 
『ムゥウウオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!西行寺ィィィィ!!!』

 断末魔の悲鳴の如く、再び西行妖が吼えた
 それと同時に、幽々子の体が光の粒子となって散ってゆく

「幽々子ォォォォォォォ!!!!!駄目ェェェェェェェ!!!!」

「…御免ね…紫…私はもう一度貴女を、泣かせてしまうわ…ね…」


 終 焉 『  神  蝶  華  』


 スペルカードの宣誓と共に、視界が光の奔流に飲まれて行く
 光の奔流は庭園を飲み込み、白玉楼全体を包み込んだ
 紫と妖夢は何かに護られているかの様に、光に飲まれる事無く押し出されて行く
 白玉楼の外へ、外へ…

 愛する女性を、奔流の中心に残したまま…


「う゛あ゛あ゛ああああああああああぁぁぁぁ!!!!!ゆゆこォォォォォォ!!!!」



 その紫の絶叫は、

 幽々子に決して、届く事は無かった…


…不破龍馬です…
読みやすく読みやすくと思って書いていたら
流れがダダモレな話になってしまったとです
しかも変に読み難いとです
まだまだ精進が足りません…
…龍馬です…
紫×@とです
俺は百合モノが大好きです
だから桜じゃなくて百合の花が咲くSSになってしまったとです…
…まだまだ精進が足りません…
…龍馬です…
 …龍馬です…
  …龍馬です…
…何か…だんだん暗い話になってきちゃったなぁ…;
 アルェー?ヌンディダルー?(;´―Д―`)
不破龍馬
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コメント



0.360簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
どうしてそうなったのか分からないならば一度自分で読み直してみるのをお勧めする
12.無評価名前が無い程度の能力削除
もっとちゃんと緩急があって読み易ければ、良い作品なんですが、残念。
なんと言っても急ぎ過ぎてる感があります、読み辛いのはどうしてでしょう?
恐らく、ブツブツと文が途切れてるのがいけないのかも。 繋がれずに躓いてしまいます。
ネタ等はとても良い感じかと。 急いでるけど。
問題は通常の情景描写と流れ、だと思います。
あと、決め所はここぞという所で使わないと破壊力がありません。
見せ場は短いからこそパンチ力があり、もし長くしたければ物語自体を長くする良いかと。
長々と失礼しました。 どうか頑張って下さい。 今後に期待してます。(勝手)
14.無評価名前が無い程度の能力削除
感情の表現は感嘆詞や疑問詞はよいのですが。安易にvや;や#や(泣)には頼らず文章のみで行った方が、よいと思います。
24.60名前が無い程度の能力削除
全体としては言うほど悪くはなかったのですが、再三言われてる通り前半と後半のジョイントが酷すぎますね。もっと間をとった方が映えると思います。