注意事項
このSSは「在り方」を書いたカタイ物です。
このSSは筆者独自の考え、考察に基づいて構成されております。
このSSには「死」の概念(?)が多分に書かれています、拒否反応のある方は避けて下さい。
このSSの時間軸は、東方永夜抄のすぐ後、となっております。
「なぁ、霊夢。」
「ん?」
「死ぬ。」
「は?」
「・・・・・ってなんだろうな?」
「はぁ?」
「霊夢は、死んだらどうなると思う?」
「死んだら? 土に為るだけね。」
「・・・・つまらない返答だぜ。」
「怖いって思わないのか?」
「何が?」
「死。」
「別に。」
「なんでだ?」
「質問を質問で返すようだけど。」
「ん?」
「魔理沙は怖い?」
「あぁ、恐いぜ。」
「そう。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何で怖いの?」
「私には大事な物が在りすぎる。」
「そう。」
「あぁ、パチュも、フランも、ついでに咲夜とか、中国とか、アリス・・・は違うか。」
「・・・それは流石に酷いわよ」
「冗談だぜ、アリスだって大事だ。 ・・・勿論、霊夢だって大事だぜ?」
「・・・・・失うのが怖いの?」
「そうだな。 恐いぜ。」
「・・・魔理沙はそういう事は考えない人間だと思ってた。」
「そうか?」
「そうね、貴方は太陽だから。」
「私はただの星だぜ。」
「そう。 じゃあ随分とせっかちな流れ星ね。」
「否定はしないぜ。」
「流れなければ良いのに。」
「そんなのは損なの、だぜ。」
「そうね。」
「そうだぜ。」
「でも、軌跡は消えるものでしょう?」
「・・・まぁな。」
「なら、流れ星も消えるものでしょう。」
「見えなくなっても流れ星は流れ星だぜ。」
「いいえ。 見えなくなったらただの闇夜。」
「・・・・だからそれが恐いんだ。」
「蓬莱の薬でも飲む?」
「それじゃあ流れ星の模型だ。」
「そうね、でも、それ以外には救いの手は無いわ。」
「いや、それは救いの手じゃないな。」
「そう?」
「あぁ、それは・・・・・良くないぜ。」
「白玉楼は・・・・・」
「ん?」
「白玉楼は本物なのか?」
「・・・・・?」
「白玉楼を信じてもいいのか?」
「いいんじゃない?」
「・・・・・本当にそう思ってるのか?」
「・・・・・・」
「妖怪。」
「それは恐るべきモノ。」
「妖怪。」
「それは幻想の具現。」
「妖怪。」
「それは恐れられるモノ。」
「妖怪。」
「それは思われしモノ。」
「ならば幽霊は。」
「・・・それも思われしモノ?」
「そう。 ならば、それはもう違うモノだ。」
「そうね。 でも私達にはわからないわ。」
「でも、元の人間とは違うモノだ。」
「そうね。」
「・・・・・・」
「でも、それを克服したら、貴方はやっぱり模型止まり。」
「そうだな。」
「そんなに模型は嫌?」
「厭だぜ。」
「輝夜や永琳、妹紅を見習ったら?」
「私はただの星だぜ。」
「流れ星ね。」
「流れ星だぜ。」
「でも、模型は模型で楽しそうじゃない?」
「それは、良くないぜ。」
「そうね。」
「香は、部屋で焚くからこそ香なんだ。」
「そうね。」
「幻想郷中に広げたらもう何がなんだか。」
「わからないわね。」
「それは、良くないぜ。」
「良くないわね。」
「あぁ。」
「寂しいんだ。」
「何が?」
「置いていくのが、置いていかれるのが。」
「そう。」
「恐いんだ。」
「そう。」
「だって、私は皆が大好きで、それが私の全てなんだから。」
「そうね。」
「霊夢。」
「なに?」
「死んだらどうなるんだ?」
「土に為る。」
「為れないぜ。 嘘だろ?」
「・・・・」
「お前はそんな風に割り切れるヤツじゃない。」
「・・・・」
「そんなヤツが、博麗霊夢な筈が無い。」
「・・・・」
「霊夢が、そんなだったらチルノも大慌てだぜ。」
「・・・・封印。」
「あ?」
「魂はね。」
「・・・魂なんて」
「黙って聞きなさい。」
「・・・・・」
「魂はね。 封印されるの。」
それは大きな 。
それはそれは大きな 。
そこに魂はみんな集まる。
皆が皆、封印される。
全部が全部、集まって。
ぐるぐる回ってぼうぼう燃えて。
やがてカケラが飛び出して。
すぅっとそのまま溶けていく。
そしてそこには新たな私。
さようなら博麗霊夢。
こんにちは博麗霊夢。
さようなら霧雨魔理沙。
こんにちは霧雨魔理沙。
「・・・なんだそりゃ。」
「在り方よ。」
「は?」
「こうして私は私で居られる。」
「そんなのは誤魔化しだぜ。」
「誤魔化しはそんなのでは無いわ。」
「?」
「損なのではないのよ。」
「あ?」
「貴方が死んだら、貴方はどうなるの?」
「・・・わからない。」
「そう。 だから誤魔化しは損なのでは無いわ。」
「損なのでは無い・・・・か。 なるほど。」
「そういう事。」
「中々に面白い説だな。」
「そうかしら? 私はこれが普通よ。」
「普通だぜ?」
「普通だわ。」
「そうか。」
「そうよ。」
「つまりはアレか?」
「アレよ。」
「そんな博麗霊夢は幽霊になっても博麗霊夢か?」
「当然、でも、本当の私は の中。」
「わからないぜ?」
「わかるわよ。」
「・・・・そうか。」
「そうよ。」
「新しい博麗霊夢は、なんなんだ?」
「勿論、博麗霊夢よ。 それと同時に博麗霊夢かも知れないし、霧雨魔理沙かも知れない。」
「そんなのを博麗霊夢と呼んでいいのか?」
「勿論よ。」
「どうして?」
「私がソレを博麗霊夢だと認めるからよ。」
「・・・ははは・・・・こりゃあ一本とられたぜ。」
「ふふ・・・取ったわ。」
「なぁ。」
「何?」
「その生き方、誰に教わったんだ?」
「自分から。」
「いつ?」
「さぁ、死が恐かった時なんてもう覚えて無いわね。」
「・・・・お前は何歳だ。」
「冗談よ、確か6、7歳の頃かしら?」
「へぇ・・・」
「恐くて眠れなかったわ。」
私は、なんでこの世に生まれてきたの?
私は、この世に何を残す事が出来るの?
私は、私が居なくなったら残した物をどうやって見れば良いの?
それが見れないならば、認識できないならば、それは無。
どんな事をしても、最後に残るのは無。
つまり、なにも残らない。
なら、なんで私はこの世に生まれてきたの?
怖い。
いえ、恐い。
私が死んだら皆は悲しんでくれる?
もし、悲しんでくれても、私にはわからないわ。
貴方が死んだら、私は悲しむわ。
でも、それが貴方に何を残せるというの?
貴方にはもう器が無いのに。
人はどうして死ぬの?
死にたくない。
死にたくない。
「へぇ、それで?」
「それでこれ。」
「なるほど。 それでこれか。」
「どう?」
「うん、素敵だ。 それでこそ博麗霊夢だ。」
「そう? ただの臆病者の逃げ道よ。」
「そんな事はない、そこまで達すりゃ見事なもんだ。」
「そう? 褒め言葉として受け取っておくわ。」
「褒め言葉だぜ。」
「・・・・ありがと。」
「これ、広めてもいいか?」
「・・・いいけど、でも皆に笑われるわよ。」
「笑いたいヤツは笑わせとけばいい、ソイツはきっと幸せなんだろうさ。」
「そうね、笑う門には福きたる・・・ね。」
「ルーミアとかなんてきっと福が来まくりだな。」
「・・・まぁ、あの子はあの子で模型だけどね。」
「へぇ? そうだったのか。」
「えぇ。 あの子は闇であり恐怖だから。 宵闇の妖怪は伊達じゃないのよ。」
「うわ、今まで一番弱いから宵闇だと思ってた。」
「アレが健在だったら今頃貴方は に居るわね。」
「うぅむ、ぞっとしないぜ。」
「しないわよ。 信じてくれるでしょ?」
「あぁ、信じるぜ。 全然ぞっとしないぜ。」
「ふふふ。 でもね、ルーミアは最高なのよ。」
「そーなのかー。」
「だって、模型だけど模型である事に気付かないんだもの。」
「う、うらやましい。」
「そうね、さっきまでの魔理沙の理想だもの。」
「さぞかし毎日が楽しいんだろうぜ。」
「楽しいんでしょうね。 あの子は永遠に封印が解けて欲しく無いわ。」
「そうだな、模型は良くないぜ。」
「えぇ、永琳達だってわかってるからああなのよ。」
「なるほどな、どうりで普通だと思ったぜ。」
「ちょっとおかしいけどね。」
「あれは方言だな。」
「そうね、そういう事にしておきましょう。」
「あぁ、すっきりした。」
「それは良かった。 私も嬉しいわ。」
「やっぱ霊夢に聞いてみて正解だった。」
「そうね、永琳達に訊ねようものならくびり殺されるわよ。」
「そうだな。 ・・・・そういや咲夜とかどうなのかな?」
「あの子も私と同じでしょ。 封印されると信じているわ。」
「そうなのか?」
「悪魔に魂を売り渡したらその魂は永遠に悪魔の物。 天国に行けないって言うのは・・・・」
「お約束だな。」
「でしょ? そうでもなきゃレミリアなんかに仕えられるものですか。」
「アイツはアイツで強いんだな。」
「えぇ、弱いのは人間だけだけど、人間はいくらでも強くなれるのよ。 素敵ね。」
「普通だぜ。」
「そうね、普通ね。」
「そういや、これの名前とか無いのか?」
「あるわよ。 勿論。」
「そうだよな。 博麗霊夢の分身だもんな。」
「分身って言うか根幹って言うかだけど・・・・まぁいいわ。」
「で? なんて言うんだ?」
「読んで字の如し。 呼んで字の如し。」
「ほう?」
「夢想封印。」
「・・・ははは。 お馴染みだな。」
「お馴染みよ。」
「博麗霊夢だものな。」
「お馴染みよ。」
「あぁ、そうだ。」
「ん?」
「最後にもう一度、一つだけ聞かせてくれ。」
「何?」
「人間、死んだらどうなるんだ?」
「決まってるでしょ? 土に還るのよ。」
「還るんだな?」
「還るのよ。」
「素敵だぜ。」
「普通じゃないの?」
「素敵だぜ?」
「本当に?」
「・・・・・普通だぜ。」
「そうね、霧雨魔理沙。」
「そうだな、博麗霊夢。」
ただこのテの事で悩むのにはイイ年齢になったので、最近考える事は無かったのですが……霊夢の考えには程々に考えさせられました。久しぶりに。そしてやはり、私は今回も利己的なこじ付けで終わるんでしょう。
私は については、ガイア論チックに地球なのだと考えています。土葬だろうが火葬だろうが鳥葬だろうが海葬だろうが、還るべき場所は一つなわけですから。だから自身に機会が訪れた場合、宙葬だけは遺言遺してでも拒否します。
……と、長々且つ方向が逸れたようなマジレス。静謐な思考の時間をありがとう御座いました。良い話です、こういうのも充分にアリでしょう。
そう私は思います。
彼女の今までの作品中などの台詞などから考えると
「死んだらどうなる?」より「死ぬまでにどれだけやれる?」って感じなので
でもやはりふつうの人間だとこういう方が良いのかな・・・?
霊夢は・・・
どうだろう・・・
でも幻想郷の最後にいるのは彼女の様な気がする
何故か
まあこちら側では命を軽く見るのが流行しているので
向こう側では命について考えているのかも知れません
死については余り考えません
永夜抄EDの人は死ななければならない系統の文が心に響いているので
後空欄に
Z U N
と入れたくなったんですが(爆死)
ともあれ
良文を有り難うございました