「そうですね、そういう質問ですと。綺麗な空気の中で小鳥の囀りを耳にしながらとか良いですね」
指を一本立てて笑顔満開で美鈴が微笑むと、おでこに握り拳がこつんと当たる。続け様に不機嫌そうな顔が下からぐぃっと迫ってきた。両手を腰に当てて、目もしっかり細めてくるのだから、さすが抜かりのないメイド長である。
「人の話を聞いていないようね。誰がピクニックやハイキングの話をしたというの?」
「え? そんな話でしたか?」
「そんな話ではありませんわ」
「じゃあ、どんな話でしたっけ?」
「美鈴……」
じりじりと、咲夜の顔が迫ってくる。それに対し身を引いて逃げようとするも、門を背もたれにしていたという絶望的な状況。すでに胸の直上まで接近した怒り顔に動揺する美鈴は身振り手振りでなんとか状況の改善を試みる。
「い、いや、違いますってば! 確認っ、ね? 確認です。やっぱり聞き間違いがあったら意思疎通に問題が生じてしまうじゃありませんか。私たち紅魔館従者組としての固い絆がそんな些細なことで揺らぐのはあってはならないことっ! となると、ここで一つ内容の再確認を要請します」
背中をぴっちりと門の壁にくっつけて、両手を元気良く上げた。困ったときのお手上げポーズである。
しかし、その空元気で咲夜をどうこうできるはずもなく。
「はい、ペナルティ」
美鈴の額に人差し指の爪を突き立てて、軽い足取りで飛び退いた。
ふわり、と風にあおられたメイド服が揺れるのはとても可愛らしい。なんてことを口走ると次はナイフを抜かれかねないので、美鈴は額を押さえて苦笑することにした。ぺろっと舌を出して
ただ、その最後の行為でナイフを取り出されるという予想外の事態に追い込まれた。
「ほ、ほら、咲夜さん。曇ってきましたよ、夕方には雨になりそうですし今のうちに洗濯物を取り込もうじゃありませんか! お手伝いしますから、ね? ね?」
「いりません、結構です、残念でした」
にっこりと微笑む咲夜の手が掻き消えたと思ったときにはもう遅い。
右手から一本のナイフが放たれた後であり。
とすっ、と、美鈴の顔を掠めて後ろの壁に突き刺さる。レンガを軽々と貫くナイフとか正直ありえないのだが、咲夜だからしかたない。
「戦力外選手はそこで門を暖めてなさい」
「で、では、秘密兵器として待機してますので、御用があれば何なりと♪」
「居眠りしないことだけを祈るわ」
「任せてください! 午前中しっかり眠っ、いや、違います! 寝てません! すっごい守ってました。あなたってばサイキョーな門番ねってあの妖精が認めるぐらいの働き振りでした! ですから、ナイフを取り出すのはやめましょう。うん、空が青いと力が湧いてきますよ~。えい、えいっ、ぉ~」
直後、銀色の閃光が一筋、かすっと足元を襲撃。
美鈴は慌てて飛びのいて両手をぶんぶん振り回す。
「ぉ、ぉぉぉぉおおお~~っ!? 危ない、危ないじゃないですか!」
「その程度避けられるでしょ? 弛んでいるからギリギリになるのよ。大袈裟な事言わないでさっさと業務に励みなさい」
「は、はぁぁ~~い♪」
くるりと背を向けた咲夜に笑顔で手を振り、姿が消えてからふぅっとため息。そうやって視線を落としたときに、当然足元のナイフが目に付いた。茶色の地面で日の光を反射しているのだから目立つなと言う方が無理な話。
「おや?」
そして、そのナイフにはもう一つ、特徴があった。柄の所に紙が巻きつけてあったのである。美鈴はそれを抜き取ると、何気なく広げて。
『雨が降る前に門の裏を覗いて御覧なさい』
どうやら咲夜からの命令のようである。
それならば従わないと不味いだろうと、恐る恐る顔だけを敷地内へと向け。門を内側から眺めてみる。
すると、真っ赤な傘が壁に立てかけてあった。
雨が降るからこれを使いなさいということなのだろう。冷たい態度を見せる割にこれとは、美鈴は鼻の頭を軽く指で擦って傘の柄に手を伸ばして、
「ふむ……これが職場恋愛というわけで」
言い終えるより早くナイフが飛んできたので、美鈴は身を捻りながら指で挟んでとめた。おかげさまで腰からちょっぴり、ぐきっ、という軽い音が響く。
「調子に乗りましたっ! って、なんでまだそこにいるんですか!」
「ナイスキャッチ。洗濯と掃除と食事の準備が終わったから様子を身に来ただけよ」
「う、うわぁぁお」
仲間意識という束縛に、ちょっぴり負けそうになる美鈴なのだった。
その後は大人しく門番作業に戻り、じーっと空を見上げて。
くすり、と笑う。
「雨が降るのを待ちわびる子供の気持ちは、こんなものでしょうかね」
右手に下げた傘を眺めて、今度は少し大きく。あはは、と笑って見せた。
そして、質問の内容を思い出して。
「湖のほとりで、星を眺めながらというのも素敵かもしれませんね。お嬢様は本当にお節介なのですから」
楽しそうにつぶやいた。
◇ ◇ ◇
「ということで、レミィ。8割よ」
「ふ~ん、咲夜、紅茶のおかわり。パセリ成分抜きで」
「お嬢様……コーヒーとミルクを混ぜてカフェオレにした後、コーヒーだけを取り除くことはできないのです。つまり、紅茶とパセリも同様です」
「なぜカフェオレの知識がありながらパセリを入れようとするだろうね」
紅魔館の七不思議の一つをつぶやきながら、すーっとレミリアは紅茶のカップを遠ざけた。しかし次の瞬間、すぐ目の前に満タンのカップが戻っているという、世にも奇妙な物語である。
「お嬢様の健康のためです、しかし、よろしいのですか?」
「健康はよろしいが、食欲は最悪よ」
「そうではなく、さきほどの8割の数字のことで」
「美鈴が居眠りして泥棒魔法使いを素通りさせる確率のことだろう? いいじゃないか別に、フランはどう?」
円卓のすぐ右隣へと目配せする。そこに座っていたフランドールは、ブラッディカステラからフォークを離し、当然と言った様子で肘を付く。
「魔理沙が来てくれないと退屈だわ、みんなすぐ壊れちゃうもの」
「ということだよ、メイド長。当主とその妹の意見を聞いて何か思うところは?」
「思うところは多々ありますが口にできるはずもなく」
「それでいい。パチェ、悪かったわね読書中に」
くだらないことで呼び出さないで、という意味合いの言葉を咲夜は予想していた。この館で唯一スカーレット姉妹に横柄な態度を取る事ができるうえ、読書と魔術の研究以外は積極的に動こうとしないのが彼女の特性なのだから。しかし、レミリアとは別の紅茶を飲むパチュリーは何の感情も見せず。
「問題ないわ、こぁが図書館の掃除中だから暇を持て余していたもの」
対面に座るレミリアを見つめてから、さっきまで書きこんでいた紙をテーブルの中央へと置く。
その紙の上にはほぼまっすぐの赤い線が右上がりに走っていた。
横軸と縦軸が配置されていることを見ると、やはり折れ線グラフの部類なのだろう。パチュリーはその始点部分に指を置き、咲夜を見上げる。
「このグラフが何かわかるかしら?」
「見当もつきませんが」
「そう、先ほどの会話の流れで理解できるかと思ったのだけれど」
「いえ、理解できるからこそ、理解できないのです」
「……ああ、なるほど。そういうことね」
レミリアは楽しそうにその光景を見守る。
このグラフの内容が何か、それは先ほどの8割からもわかるとおりである。
つまり、『美鈴が門番として機能しない確率の推移』。
咲夜がわからないと言ったのは、そのグラフの意味ではなく。その開始地点が限りなくゼロに近いということ。
「今はあんなだけど、この館が大騒ぎだった昔はそれなりに活躍していたのよね。弱点といった弱点がないから、それなりの強さしか持たない妖怪や人間では相手にならない。あの子を倒そうとするなら、圧倒的な力でねじ伏せるしかないからね。私やフランドールの敵ではないけれど」
吸血鬼の一味が幻想郷に戦いを挑み敗れたという歴史の中では、美鈴の功績は大きいとレミリアは語る。
だからこその8割なのだ、と。
「それで行動が許されているということでしょうか」
「恩を仇で返しているわけでもないからね、働き分の利息を支払っていると思えばそう感じ取ることもできる。それでも咲夜は納得できないか」
「はい、今の美鈴の動きを見ておりますと、過去の活躍が想像できませんもの」
「なんだわかっているじゃないか」
「何をですか?」
「それでこその8割、ということだよ。メイド長」
「できれば咲夜とお呼びください、お嬢様」
平和な時代だから気を抜き、2割程度の働きで許される。
そういうことなのだろうと結論づけた咲夜はそれ以上何も詮索することなく、紅茶を注ごうとする。
が、減ってない。
「お飲みください」
「断る、まず、お前が飲め」
「人間の血が入ったものを、人間は飲みません」
「だから人間の血と紅茶を混ぜるだけでいいと言っているだろう」
「……それでは紅茶の楽しみが減ってしまいますわ」
「個人の楽しみを優先しないように」
仕方なく一口だけ啜って、難しい顔をしてカップを置く。それだけで味がどれほどか想像が付くだろう。
レミリアは手早く口の周りに残った紅茶をふき取ると、手を組み、顎をその上に乗せる。
「こちらの働きはどうしようもないとして、だ。咲夜。美鈴にもちゃんと質問してきた?」
「ええ、もちろんですわ。お嬢様」
「で、なんと?」
羽を上下させ、興味津々。
美鈴の答えに何を期待しているのかと嫉妬心が刺激されてしまうが、咲夜は命じられたとおり答えを返す。
「綺麗な空気の中で小鳥の囀りを耳にしながら、だそうですわ。なんとも不忠な言い分かと」
「ふーん、あの子らしいじゃないか。それでこそ我が門番だ」
紅茶のカップに指を這わせて、口元を歪める。
イラついているわけではない。瞳を妖しく輝かせて、軽く息を吐く。その仕草は満たされた時に多くみられる行動で、美鈴の答えはレミリアにとってそれだけ価値があったのだろう。
けれど、咲夜はまるっきり理解できないでいた。
「……8割の敵を易々と通し、忠義の薄い答えを返す。それでよろしいので?」
「本当にそう思うのなら、人間というのは悲しいわね」
どういった意味かと咲夜が眉を潜める。
それを感じ取ったのか、レミリアは何気なくナプキンを手にすると、ふわりっと後ろに待機する咲夜に放り投げた。
白い柔らかな布地が浮かび上がり、二人の視線を隠したその瞬間。
レミリアが手元にあった紅茶の受け皿を掴み、躊躇なくその顔へと投げた。視界をナプキンで隠され、見えはないはずの攻撃。
しかし咲夜は飛んできた皿をナプキンで包み込むように掴むと、優雅に一礼して元の位置へと戻す。
「あなたは人間の割には良い瞳を、洞察力を持っている。だからこそ美鈴の次に客を出迎える立場に置いているのだけれど、それが裏目に出ているのかもしれないね」
「何事も相手を確認し、分析するのは必要なことかと」
「見え過ぎて必要な情報を見失うのは、勿体ない。悲劇的だわ」
いきなり攻撃したことを悪びれもせず、咲夜へ向けて無邪気に牙をむける。その仕草だけ見ていれば大人の真似をする悪戯っ子にも見えるのだが、表面だけをみて侮った人間の末路はすべて同じ。
それが咲夜をも魅了する彼女の特性。子供が秘める残虐性こそが、永遠に幼い吸血鬼の本質なのだから。
「よくわからない言い回しのようで」
「無理無理、お姉様は難しい言葉を使いたいだけなんだもの。きっと何も考えていないよ」
「フランも外に出るようになればわかるわよ」
「ふーん」
引き籠るのが悪いという姉のお説教が始まる前に身を引き、残ったデザートを口に含む。面白くなさそうに口を膨らませているが、羽が小刻みに動いているところから判断すると、ブラッディカステラを大層気に入ったらしい。
「ところで、レミィは館の全員を対象としたのでしょう?」
「ん、そんなところだけれど」
「咲夜はどう答えたのかしら?」
「それはもちろん」
すっと、咲夜はわずかにレミリアへと身を寄せた。
それだけでパチュリーはすべてを理解し、手をパタパタと縦に振る。
「やっぱり答えなくていいわ。面白くなさそうだし」
予想通りの答えしか返ってこないのは明白だ。
もちろん、パチュリーの答えもわかりきっているので質問すら投げかけられることはなかった。
「咲夜、片づけて頂戴。そろそろ図書館の掃除も終わる頃だから、続きはパチェのところで楽しむとするわ」
「かしこまりました、お嬢様」
咲夜が物静かに頭を下げた途端、テーブルの上に置かれてあったティーカップやデザートの皿が消え去り、綺麗な白いテーブルクロスだけが残る。
時を止め、台所まで一気に運んだのだろう。
食器と共に咲夜の姿もその場には存在せず……
「……見えない方が幸せという言葉もあるわよ、レミィ」
「もう遅い、だって見えてしまっているじゃない」
ぱちん、と。
レミリアが指を鳴らすと、部屋の隅で控えていた妖精メイドが近寄ってきて。
「わかるわね?」
「はい」
主から小さな紙切れを受け取った妖精メイドは落ち着いた物腰で部屋を出て行ったのだった。
◇ ◇ ◇
美鈴が門を守り、パチュリーと小悪魔が図書館で研究を繰り返し、フランドールは地下で弾幕遊びに明け暮れ、レミリアがそのすべてを纏める。
命が続く限りそんな毎日を支えることが咲夜の使命。
異質でありながらも平穏な毎日を続けていくだけだったというのに……
ある日、一人の女性が館から姿を消した。
人間でも妖精でもない。
永遠に近い寿命を持つはずの妖怪、紅美鈴が。
◇ ◇ ◇
コンコン……
本日何度目になるかわからないノックの音が廊下に響いた。
その部屋の主人が屋敷に居たとしてもほとんど戻らないというのに、咲夜は間を起きもう一度強く叩いてみる。もちろん、返事はない。
『美鈴にちょっとした命令を出したから、しばらく戻らないかもしれないね』
昨晩、主であるレミリアにそう伝えられたのだから。門番は妖精メイドの一人が引き受けているが、屋敷の中の仕事が急増するわけでもない。そもそも妖精メイドに頼る部分などたかが知れているので、影響があるはずもない。
けれど、その日。咲夜はミスをした。
調味料を失敗し、料理を一つだけ駄目にしたのだ。一度ぐらいなんだと他の者なら笑うかもしれないが、普段の彼女では考えられない行為だ。その原因が何であるのかも頭では理解していた。
「……ありえませんわ」
門を覗くこと朝から十回以上。
この部屋の前に立つこと、二十回以上。
美鈴がどんな命令を受けたのか、主に尋ねようと思うこと、数知れず。
たった一人いなくなってしまっただけで、咲夜の日常は乱されてしまっている。
まだ半日しか経過しない中で、ここまで悶々としなければいけないなどと誰が予想できようか。
「私らしくない」
最後に額を冷たいドアに触れさせて、深くため息。
仕事に戻ろうと体の向きを変える際、ドアノブを支えにして――
「……あら?」
ノブがやけに簡単に回った。
鍵が掛かっていれば途中で止まる構造のはずなのに、カチャリと金属音が響くところまで容易に行き着く。
つまり、部屋を開けっ放しで美鈴はどこかに出掛けたということか。
それが意味するところは、そうそう長く空けるつもりはないという意思表示。それを確認した咲夜はわずかに顔色を明るくして、冷たい感触から手を離そうとして、
「……」
ぴたり、と。その動きが止まる。
胸のつっかえが小さくなったというのに、指先はドアノブの上に乗ったまま。
鈍く輝く円柱状の物体から目が離せない。
そこで咲夜は左、右、と廊下に妖精メイドがいないことを確認し、ドアを一瞬の内に押し開け、
時を止めた。
と、同時にその身を部屋の中へ滑らせ、能力を解除。後ろ手で内側からドアを閉め、ドアに聞き耳を立てる。廊下からは妖精メイドの声や、足音すらなく、まったくの無言。それを数分程度継続し、咲夜はやっと緊張を緩めた。
「そう、掃除。屋敷の掃除をするのは私の務め、同じ従者と言っても例外ではありませんわ。ですからこの行為は決しておかしなことでは……」
そこまで言い掛けて、頭を押さえた。
今、自分がどれほど滑稽な言い訳をしているか理解したのだろう。自ら導き出した行動に頬を薄っすらと染めて、欲望に従うまま部屋をじっくり眺める。
咲夜がここに来たばかりのときは、特に意識せず掃除を行ったこともある部屋だ。勝手はわかっている。ベッドの位置、クローゼットの中にある同じような服、部屋の中で鍛錬ができるように余計なものを床に置かず、女性らしい小物は机の上に集中するという奇妙な光景。
そのすべてが、あの頃と同じ。
「……いつからだったかしら。勝手に入っては駄目と言われたのは。それにしても、こんなに変わらない部屋も珍しいわね」
思わず笑みが零れた。
家捜しをする罪悪感よりも、懐かしさの方が大きくなってしまい。ついには鼻歌までもれる始末。
そして、机の上の小物、ぬいぐるみや花瓶を眺めていたところで、机と壁の間に何かが挟まっているのに気が付いた。
無骨な黒い背表紙から判断して何かの本だろうか。何気なくそれに手を伸ばして手に取ってみると軽く息を吹きかけただけで埃が取れる。何かの拍子で落ちただけで、ずっとそこにあったわけではないのだろう。
なぜならその表紙には、業務日誌という四文字がはっきり並んでいたのだから。
「ふーん」
咲夜は鼻を鳴らしてそれを机に置き、ドアの方へと向かった。
そして続く、カチャリという物音。
何故、鍵を閉めたのかなど、問う方が不自然といったところか。邪魔者が入らないように部屋を密閉することに成功した咲夜は、薄っすらと笑みを浮かべながら椅子を引き、腰を下ろす。
普段は絶対にこんな行動は取らないのだが、
『美鈴はしばらく帰らない』
主の言葉が背を押した。
だから読んでも戻しておけば問題ないだろうと。
悪戯を仕掛けるときの懐かしい胸のときめき。咲夜は期待に高鳴る胸を押さえて、そのページを捲り……
○○年○○月○○日 晴れ
来訪者 たぶん1名
日差しが気持ちよくて、ちょっとだけ居眠り。
咲夜さんに怒られる。
明日は頑張ろう
さらに捲る。
○○年○○月○○日 曇り
来訪者 たぶん2名
お日様が雲に隠れて、ちょうど良い暖かさ。
欠伸を何度かしていたら、いつのまにか咲夜さんの顔が目の前にあった。
また、怒られる。
明日こそは頑張ろう
何このデジャヴュ。
さらに捲っても、捲っても、毎日休むことなく同じ構成の文体が続いていく。
何人やってきたかはまあ、許そう。それが業務に関係しているのだから。けれど、それ以外の文章がほぼ居眠りに関することと、明日がんばるという根拠のない決意でしめられているのが大問題だった。
この期待感をどこへ投げ捨てればいいのかと、咲夜が悩んでいたところで、近い日付のページを見つけた。しかも他のものとは比較できないほど多く書き込まれている。
それはあの日、咲夜が美鈴のところに傘を届けた日のことだった。
でも、どうせ中身は大したことがないのだろうと、半信半疑で目を落とし。
○○年○○月○○日 晴れのち雨
この世から別れを告げるとき、最後にどういった場面を望むか。
咲夜さんからそう質問された。
ああ、ばれちゃったのかと心配になった。
「え?」
確かにあの日、レミリアは咲夜や小悪魔、美鈴に妖精メイドと言った従者たちにそんな質問をした。もちろん、咲夜は最後までお嬢様の側でと答えたし、小悪魔はパチュリーといたいと答えた。
しかし美鈴は、何か別なことに思い当たったようだ。
それが何なのかと注意深く文字を追い続ける。
でも、お嬢様からの質問だと聞いて、安心した。
いつもの気まぐれなのか、それとも、気づいていらっしゃるのか。
考えてもやっぱりわからない。下手の考え休むに似たり、昔の人の言葉が出てくる。
もし気付かれていたとしても、今更どうしようもないから、まぁ、いいとしよう。
ちょっと力を使い過ぎたかなと思ったけど、ちょっと頑張っただけなんだけどな。
ちょっとだけ、妖力を使って。
ちょっとだけ、居場所を守りたいって思っただけなのに、こんなに体が重くなるなんて思ってなかった。
少し前までは余裕で見切ることができた咲夜さんのナイフも、あんなに速く見えるようになるなんて。
あ、こんなこと言ったら咲夜さんに失礼かな。
うん、訂正訂正。
きっと咲夜さんがそれだけ強くなったってこと。
喜ばないと失礼だ。
なんだろう、これは。
軽い文面なのに、咲夜の頭に警鐘が鳴り始める。
そこで思い出されるのは、ティータイムに交わした何気ない言葉。
『昔はそれなりに活躍していた』
『だからこその8割』
そんなレミリアの言葉を思い出し、さぁっと血の気が引いていくのがわかる。自分は一体美鈴の何を見ていたのだろうと、いや、見えていたのに、どうしてそう考えなかったのかと自分を罵りたくなる。
けれど、文面はまだ続いていて……
あんなに可愛らしかったのに、いつのまにか私より少し小さい程度。
人間って凄いですね、本当に。
でも、三つ編みが乱れているときに直してあげようとすると、余計なお世話って言われちゃうのが悲しい。
昔は「おしえてっ!」って真剣な顔で言ってきたのに。
ああ、日記じゃなくなりそうですねこれ。
たまにはいいかな?
うん、よしとしよう。
それで、なにを書こうとしたのかというと、うん、「最後の場面」ですね。
咲夜さんと、小悪魔さんはあれですね。間違いなく、主と一緒にいるとか即答するに違いない。
うん、絶対。
そうじゃなければ、偽者に違いない。紅魔館の危機だ。
だから、私があんな答えを返したら怒るんだろうなと思ったら、予想通り。
反論と一緒にナイフが飛んできた。
また怒られた。
でも、ふざけているわけじゃないんですよ、咲夜さん。って、何で日記で敬語に……あ、結構上にもある。
ええい、もう、消すの面倒だからこのままいきます。
私は今の紅魔館が好きですからね。
きっと、お人好しの皆さんのことですから、誰が欠けても気にしてしまうのでしょう。気にするなと遺言で残したとしても、そんな器用な人がいるかどうか。
だから、私は、最後を迎えるなら一人がいいかなって。
だって、みんなの泣き顔なんてみたくないですし。
お嬢様「美鈴、どこかいったんだって?」
咲夜さん「どうせすぐ戻ってくるでしょう」
なーんて感じで、居なくなれた最高かな。
そしたらきっと、みんな笑顔でいてくれる。
「美、鈴? 何を……」
そこで咲夜は思い出す。
今、美鈴はどういった状況であるか。
主であるレミリアは命令したと言っていた。
けれど、咲夜の胸を言い知れない不安が駆け巡る。
そんなことはあるはずもない、考えすぎだ。
ちょうどここでページが終わっているから不安になるだけで、次を捲ればきっと美鈴のことだから。
大袈裟に書いてみた。
なんて明るい内容に変わっているに違いない。
そう盲信しようと心に蓋をして、咲夜は震える指を紙に載せ動かした。
大丈夫、大丈夫、ほら、きっと。
そうだ。うん、今度お嬢様に相談してみよう。
私がもし、最期を迎えるときがきたら、静かに館から出してくださ――
「っ!」
ばたんっと、部屋に響き渡るほどの音で日記を閉じる。
死人のように青くなった顔を振り、向かう先はただ一つ。
急がなければ、確かめなければいけない。
この日記の内容が本当だというのなら、時間がない。
能力を使うのも忘れて、咲夜はドアノブを握り締め
「誰を探しているのかしら?」
頬をいきなり冷たい風が撫でた。
視界の隅でカーテンが大きく揺れ、そこにいるはずのない人影を映し出す。日傘を持ち窓から悠々と姿を露にするのは偉大なる小さき主。
咲夜が求めたレミリア本人だった。
「興味を持つことは大切、けれど相手の秘密を覗くのは良い趣味とは言えないな」
「……お嬢様、お話がございます」
一歩一歩、至らぬ従者を責めながら傘を畳み、ベッドの方へと歩む。
しかし咲夜は謝罪よりも先に求めた。
彼女が見つけてしまった真実を。
けれどレミリアは何食わぬ顔でベッドに腰を下ろし、傘を後ろに置く。うっすらと笑みを浮かべて咲夜を見上げる姿は、どこか面白がっているようにも見えた。
そのせいだろうか、咲夜の声のトーンが二つほど跳ね上がったのは。
「美鈴をどこにやったのですか!」
「ふーん、何を慌てているのかはしらないが。私はお使いに出しただけ。それに文句でもあるというの?」
「本当に、それだけですか?」
「それ以上に何があるというのかしら?」
一歩程度しか離れていない距離で主を見下ろす。
それをレミリアは咎めず、咲夜も直そうとしない。
手を強く握り締めた咲夜は真剣な眼差しをぶつけ続け、レミリアは平然とそれを受け止める。それがどれだけ続いただろうか。
「ふふ……、あの日記を見つけたのね」
先に我慢できなくなったレミリアは、腕を組み、片腕を顎に当て、クスクスと笑い。羽から蝙蝠を生み出すと、机に置きっぱなしになった日記を手元に運ばせた。
咲夜は一度だけ、頷き主の言葉を待つ。
何かあればすぐ動く、まるでその気概は戦闘直前と等しいくらい。
「美鈴は過去の吸血鬼事変の際、能力を酷使し予想以上に弱ってしまった。それは紛れもない事実、咲夜があの子の動きを見て疑惑を持ってしまうほどにね。あれでも昔は湖の周辺では恐れられる妖怪だったのだけれど」
「私は美鈴の居場所が知りたいのです! もう過ぎ去ってしまったことなどっ」
「そうよ、だから今から説明してあげようというのにゆっくり話くらい付き合いなさいな」
「……」
無言で立ち尽くしていた咲夜は、小さく「失礼します」とつぶやくとレミリアの横に並び。
「あら?」
直後、どすんっとレミリアが跳ねるほどの強さでベッドに腰を下ろす。
膝の上に手を置き、やはり無言で主の顔を覗き込んだ。
あまりの態度に目をパチパチさせていたレミリアだったが、あからさま過ぎる態度にお腹を抱えて大笑い。
目尻に涙を浮かべながら、手の平を縦に揺らす。
「はぁ~、はぁ~、まったく私の従者はこういう奴ばかりなのかしらね。ふふ、まあいいわ。お望みどおり話を続けましょう、できる限り手短にね」
レミリアは咲夜に日記を手渡し、体を反らせてベッドに両手をついた。天井を見上げて瞳を閉じ、口元を緩めた。
「あの子はね、全然変わらない。一言目にはすみませんで、二言目には次は上手くやるってね。私の予想以上の働きをしたときも、意に沿わない働きをしたときも、いつも後ろ頭や頬っぺたを掻いてる。
だからかしら、あの子の体に異変が起きたときも私は何も言わなかった。どうせ平気ですとしか言わないだろうからね。これが人間なら無理やりにでも休ませるのだけれど、妖怪というのは精神に依存する部分があるでしょう? だから平気だと言うのなら、私も平気な美鈴として扱ってきた。いつも朝から夜までずっと門で過ごして、部屋に戻るときは数日に一回程度。だから居眠りくらい許してあげていたし、本当に危険な来客のとき以外はサボっていても別に問題ないと思ってね、毎日立たせていた」
「……」
口を挟まず、じっと話に耳を傾け続ける。
ベッドの上の置物になりつつある咲夜に、レミリアはチラリと視線を向けて、
「ねえ、咲夜?」
何故か目を細める。
しかも不思議そうに。
「なんでしょう?」
その態度の変化にやっと咲夜も口を開く。
「もしかして、まだ気づいていないのかしら?」
「何を、でございましょう?」
「その日記は、しっかり毎日書き込まれていたわよね?」
「はい、そうです」
「美鈴って、部屋に戻らないときはどれくらい戻らない?」
「……私がここで生活するようになってからは、霧の異変の際でしょうか。本来なら睡眠をほとんど必要としないと美鈴も自分でそう言ってきましたので、門で二週間ほど泊り込みを……っ!」
気付いた。
レミリアが言いたかったことに、やっと思い当たった。
書けるはずがないのだ。
何日も門で見張ることもある美鈴に、毎日部屋に戻って日記を書くなどという習慣があるはずがない。
ならば、膝に乗っているこの物体は一体なんだというのか。
咲夜は素早く視線を膝の上に落とし、かたつむりが這うような速度で裏表紙を捲る。
すると、そこには可愛らしい字でこうあった。
『作:小悪魔』
ぱたん、と。とりあえず、日記帳を閉じる。
荒くなった息を整えてもう一度。
『作:小悪魔』
縦と横の向きを変えても。
頭の中で英語に変換し、もう一度日本語に組み替えても。
レミリアに開いてもらっても。
逆立ちして眺めてみても。
『作:小悪魔』
ふぅっと、軽く息を吐き壁に掛けた足を元に戻して、レミリアの隣にもう一度座り。レミリアに、にこりと微笑み掛け……
「いっそ殺してください……」
耳まで真っ赤にしてベッドに潜り込み、枕で後頭部を防御する。
レミリア直伝のカリスマガードも取り入れた鉄壁体勢だ。
「まあまあ、いいじゃないか。私は人の部屋に入って日記を読む不届きものを成敗できて満足。貴方はそれなりの罰を受けて秘密を覗くという大罪を犯したものの末路を知った。それ以上の何を望む? 美鈴の無事を実感できたからよかっただろう?」
「……そうなんですけど、なんだか私が失う部分の方が多くありませんか?」
「だって罰だもの」
「むぅ……」
もそもそとベッドから抜け出し、不満げに唇を突き出す。
そんな珍しい仕草にまた笑いそうになるが、レミリアは傘を咲夜に放り投げて戻しておくようにと命令した。
この場から逃げる口実を与えられた咲夜は、自分が手の平で踊らされていることを実感し、降参と告げるかのように深々と頭を下げた。
「失礼いたしました」
「これをバネに日常業務に励みなさいな」
扉を開け、肩を落として出て行く。
逃げる背中が消えるまでレミリアはドアを見つめ、ばたんっと閉まる音を聞いてから美鈴のベッドの上で大の字になった。
「……まったく、うちの従者どもは」
咎める言葉のはずなのに、レミリアはとても幸せそうで――
「ねえ? 美鈴? 気を消すのはもうやめたらどう?」
「……いつからお気づきで?」
「咲夜が腰を落としたとき、ちょっとだけ悲鳴あげたでしょ?」
「あはは、今日くらいは部屋でゆっくりしようと思ったんですが、ついつい鍵をかけ忘れまして、ところでお嬢様?」
「何?」
「いつ私の手帳の中身を見たんですか? あの日記って、それを写しただけとか?」
「さあ、運命とは残酷なものだからね」
「あはは、なんと便利な能力で……」
レミリアの真下、本来なら何もないはずの空間から苦笑いしながらこっそり顔を出す。
それでもレミリアは体を起こさず、ベッドに寝転んだまま天井を見つめ続けた。
「お使いのほうは、片付いた?」
「はい、ちゃんと行ってきました。後で直接部屋までもって行けば良いでしょうか?」
「そうして頂戴。くれぐれも咲夜に見つからないよう」
後もう少し時間が経てば日も傾き、レミリアの時間になる。
それまではどうしても眠気が先に立つのだろうか、咲夜の前では我慢していた欠伸を思う存分楽しんだ。
四肢を突っ張り、目に涙が浮かぶほど。
「では、戻るとするよ。泥棒対策は万全にね」
「それでは、私も門へ戻りますね」
起き上がった美鈴に手を振られながら、後ろで手を組みてくてくと歩く。
しかしドアノブに手を伸ばす動きを止めて、くるりと美鈴を振り返った。
「あ、そうそう。忘れていた。もう一度ちゃんと答えを聞きたいと思っていたんだ」
「門番をもうちょっとがんばれってことですか?」
「いいや、そんなつまらないことではないさ」
「では、一体……」
美鈴が手を振る体勢で固まり、戸惑っているうちに部屋の中の空気が変わる。
レミリアが羽を広げた瞬間、それまで暖和だった空間がかき消され、空気が一気に張り詰めた。
それを肌で感じ取り、目を細めて。
レミリアは深々と美鈴に頭を下げる。
「私はお前の力を食い物にして、幻想郷での居場所を得た。妹や友のためとはいえ、貴方に無理をさせたのは事実。それを今、謝罪しよう」
スカートを掴み、流れるような動きで頭を下げる。
それは威厳ある当主としての、最大限の礼儀。
並の妖怪ならこの気当てだけで、逃げ腰になってもおかしくはない。
けれど、この美鈴は呆気に取られた様子で。
「えーっと、何かしましたっけ?」
まったくもって、ありえないことだが。
場違いに首を傾げるのだ、この紅美鈴というやつは。
ぽりぽりと、鼻の頭を指で掻きながら。
「……はは、そうでなくてはらしくない。だから貴方にもう一度聞こう。今の私と咲夜のやり取りを見て、率直な意見が聞きたい」
どんなときでも大丈夫と簡単に口にするような、おかしな妖怪。
彼女に問う。
本心ではどうありたいのかと。
「貴方は、どんな終わり方を望む?」
それでも美鈴は驚くこともなく。
「綺麗な空気の中で小鳥の囀りを耳にしながら」
あのときと同じことを、いや――
「門を背にしていられたらと思います」
少しだけ違う言葉をレミリアに向けた。
◇ ◇ ◇
美鈴のお使いメモ
もって夏まで 永遠亭より
いやいや、その時が来ても美鈴本人はもう割り切っているのだろうけれど……
絶望とは違う、でもなんだかやりきれない感じですねぃ
良いお話しでした
妖怪?
うおお…これは…
彼女たちの気遣いがどこまでも悲しいですねぇ
タイトルの意味と、そう遠くない未来に訪れる結末を思うと切ない気持ちになります。
続きが気になる所ですが、作者様としてはこれで完結なのでしょうかね。
登場人物のキャラクターがしっかりしていたのでスラスラ読めました
続きがあるのか気になります
誤字? きっと、お人好しの皆さんのことですから、誰が掛けても気にしてしまう 誰が欠けても でしょうか?
美鈴は確かにそういう最後を望み、何時までも同じような態度でいるのでしょうな。
続きは無いんですか!?
紅魔館のみんなの話が好きだ。楽しかった話、笑った話、泣いた話、辛い話。
人の数だけの物語がある
その中でも、彼女の心は、綺麗だ
咲夜さんの愛の力でなんとかならないものか……
…いや、無粋か。
冒頭の台詞から惹きつけられ、二転三転し、最後に冒頭の台詞をもう一度、という構成がとても巧いと思いました。
人(妖怪)が死ぬ話は、下手すると陳腐な作品になってしまうのに、この作品はすごい、盛り上げ方が上手い。最後の美鈴の台詞で、思わずじーんとしました。
いい話をありがとうございます。
完璧過ぎるほどの絆故に。
咲夜さんよりも先に、美鈴が逝ってしまうのですね。
先生……続きが、読みたいです……っ。
続きが気になる……
そのとき咲夜さんはどんな風に思うんだろうな…
後々まで覚えていそうな良いお話でした。
久々に最後の一行にやられた。美鈴の答えにも胸を締め付けられる思いがします。
素晴らしく予想を裏切ってくれる六文字が最高でした。
でも誤字なんてどうでもいいというくらいに引き込まれました
美鈴のお使いメモのせいで目から汗が出てきたよ
最初しか読んでませんが非常に不愉快です
だのに夏に聴く風鈴の音色のように清々しい気持ちになってしまう読後感。
『作:小悪魔』の時点で「あっ、これ小悪魔じゃないな」と察したのですが、その後の流れで感動モードに雪崩れ込みました。
くそう、まさかあんな場所から美鈴が出てきてしかもお遣いの内容が……内容がぁ……。
短さがそのまま切なさになって胸を締めつけられました。
優しい門番に穏やかな夏が訪れますように。
最後の時まで安らかな彼女を願います
作品を読み終えたあと改めてタイトルの本当の意味に気づかされて、言葉にできないほどの、そう、まさに感無量でした。
どんなときも常と変わらず門番であろうと生きる美鈴にブワッときた。
死というものを直接表現していないからかわかりませんが最後のお使いメモがぐっと刺さりました
けど、もう春か。
続きがなくても余韻のある終わり方で良かったと思うのですが、続きあるようなのでこれから見てきます
美鈴の答えが少し変わっただけで報われた気がするので、これからどうなるのかというよりは過去にどんなことがあったのか気になりますね
ちくしょうとつぶやくしかありませんでした。
作:小悪魔 で安心したからその分さらにグッときました。
出会えてよかった作品と言いたい。
今回のでその意味が良くわかったよ>>pysさん感謝
最初のあたりのシリアスと持ってきかた違うなと思ってたら……。
続きもあるようですので後で読ませてもらいます。
二転三転が、最大限活かされてもう、満腹。
風鈴の鳴る頃には、もう、咲夜さんは知ってるんでしょうかね。