Coolier - 新生・東方創想話

姉自慢はほどほどに

2011/02/12 00:43:16
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どうしてこんなことになったんだろう、と私は思わないでもない。


考えてみれば事のはじまりは、些細な喧嘩だったのだ。


それがこの状況に繋がっていくと誰が想像できただろうか。


けれど、私の胸に後悔なんてなかった。


だから私、フランドール=スカーレットはもう一度、この状況のきっかけとなったあの日の出来事に想いを馳せた。


はじまりは、私の友人、古明地こいしのこんな一言だった。


「うちのお姉ちゃんは、ご飯を食べるとき、あ~ん、ってしてくれるよ」


そんな一言が、この状況に至る引き金になるということに、あの時の私は全く気がついていなかったのだ。




















その日、私はこいしの家に遊びに来ていた。

地霊殿。地底にある建物で、古明地さとりさん、つまりこいしのお姉様が家主となっている。
そのリビングで、私とこいしはお喋りをしていた。
今日はさとりさんがいないということで、リビングのソファーを広々と使っていたのだ。
すると、私の対面に座っていたこいしが突然こんなことを言い出した。

「フランのお姉ちゃんって、なんかちょっと怖そうだよね」

僅かに怯えの色を瞳に含ませて、こいしが言った。
自分の姉を悪く言われた気がして、私はちょっとカチンときてしまった。

「こいしのお姉様だって、なんかちょっと冷たそうじゃない」

お返しとばかりにそんな言葉を返すと、こいしもちょっと怒ったように頬を膨らませた。

「む~、お姉ちゃんのこと悪く言わないでよ」
「そっちが先に言ったんでしょ」

なんとなく、喧嘩腰になってしまう。
こいしがさとりさんのことを好きなのはよく知っている。
だけど、私だってお姉様のことが大好きなのだ。
売り言葉に買い言葉という感じで、私達は白熱していった。

「うちのお姉ちゃんの方が、絶対優しいもん!」
「うちのお姉様の方が、絶対優しい!」

お互いに睨み合って、もう引っ込みがつかない感じになっている。
でもさ、譲れない戦いって誰にでもあるよね。
それが私達にとっては、自分の姉についてだったっていうだけの話だ。

「じゃあ聞くけど、こいしのお姉様って、こいしにどんなことをしてくれるの?」

私は先手を打ってそれを聞いた。
こういうのは後手に回ったほうが有利なはずだもんね。
うん、間違ってないはずだ。
でも、次にこいしの口から飛び出た言葉に私は驚愕してしまった。

「うちのお姉ちゃんは、ご飯を食べるとき、あ~ん、ってしてくれるよ」

…………えっ?

「食べさせてってお願いしたら、あ~ん、ってしてくれるもん」

えっ……なに……なにその異次元の話……?

「う、嘘吐かないでよ」
「ほんとだもん!……あ、お姉ちゃん!」

その時、ちょうどさとりさんが帰ってきたらしく、リビングに入ってきた。
本来この部屋で遊んではいけないこともあって、私は慌てて頭を下げて挨拶をした。
するとさとりさんは事も無げに優しく笑って「こんにちは」と言ってくれた。

やっぱり良い人だなぁ、綺麗だし、それでいて可愛くもあるし。
こいしが好きになる理由も良くわかるというものだ。まぁお姉様には負けるけどね。

「ねぇ、お姉ちゃん」
「なんですかこいし?」
「お姉ちゃんはご飯食べるとき、私にあ~んってしてくれるよね」
「ちょ、こ、こいし!?」

さとりさんは、こいしの言葉を聞くと目に見えて動揺していた。
ちらちらと私の方を見てくる辺り、その事実が相当恥ずかしいものなんだろう。

「ね、お姉ちゃんそうだよね?」

こいしはその様子を感じ取っているのかいないのか、質問を続けた。

「いえ、あ、あのこいし……お友達の前でそういうのは……」
「フランの前じゃなきゃ駄目なの!ね、お願いお姉ちゃん……」
「うぅ……え、ええ……確かにこいしの言うとおりです……」
「やったー!ほらねフラン、嘘じゃなかったでしょ?」

さとりさんの反応からして真実かどうかの判断はできていたので、私は軽く頷いておいた。

しかし、このままではまずい……。

私がお姉様にしてもらえるのなんて、プレゼントとかその辺りだ。
この姉妹は、そんなものを遥かに凌駕してしまっている。

くっ、負けを認めろとでも言うのか?

いや待て、それは駄目だ。
吸血鬼は如何なる時もプライド高くあれ、というのはお姉様の教えじゃないか。

だからここは……戦略的撤退っ!!

「こいし、私帰るね。さとりさん、お邪魔しました」
「はい、いつでも遊びに来てくださいね」
「あ、フラン、ちょっと待ってよぉ~」

引き止めようとするこいしを無視して、私は地霊殿を後にした。
一応さとりさんが帰ってきたっていう理由もあるし、まぁそれほど不自然ではないはずだ。

それにしても……

「まさか食事中にあ~んなんて……」

どんな感じなんだろうと、私はその光景を夢想する。




「お姉ちゃんお姉ちゃん」
「どうかしましたか、こいし?」
「あのね、このお魚、食べさせて欲しいな」
「まったく、こいしは相変わらず甘えん坊ですね」
「えへへ♪」
「仕方ありませんね、はい、こいし、あ~ん」
「あ~ん」

パクッ

「もぐもぐ、うん、やっぱりお姉ちゃんに食べさせてもらうのが一番おいしい!」
「私もこいしに食べてもらえると嬉しいですよ」
「じゃあ今度は私が食べさせてあげるね」
「え?」
「はい、あ~ん」
「こ、こいし……」
「お姉ちゃん、あ~ん、だよ?」
「うぅ……あ~ん」

パクッ

「お姉ちゃん、美味しい?」
「はい、こいしに食べさせてもらえてとっても美味しいですよ」
「えへへ、じゃあ次は……」





私はそこで夢想、いや妄想を止めた。

でもこれ、たぶん限りなくリアルに近い妄想だと思うんだよね……。
お姉様、こんなことしてくれるかなぁ。

一抹の不安を抱えながら、私は紅魔館への家路を急いだ。



















そして、その日の夜、紅魔館にて

紅魔館の夕食はちょっと特殊である。
私やお姉様は、いわゆる幹部組という位置にいて、他に咲夜、美鈴、パチュリー、小悪魔がその地位にいる。
幹部組はそれ以外の人達とは別の場所で食事をするのだ。
でも、六人一緒に揃うことは残念ながらあまりない。みんなそれぞれ忙しいのだ。

そして幸いなことに、今日の夕食は私とお姉様だけだった。
咲夜はついさっきまで居たのだけれど、メイドが問題を起こしたらしく、それの対処に向かってしまった。
これはビッグチャンスではないだろうか、あるいは天啓とでも言うべきか。

(よし、ここで決める!)

私は決意して、隣の席にいるお姉様に向き合った。

「あの……お姉様」
「何かしら?」
「あ、あのね……このお肉を」
「ん?お肉がどうかした?まさか、焼けてなかったの?」
「ち、違うの!そうじゃなくて……」

不思議そうに私を見るお姉様。えーい、こうなったら当たって砕けろだ。

「このお肉を、食べさせて欲しいの!」

瞬間、辺りの空気が固まった。

「……あ、ああ、お肉がもっと食べたいのね?」
「ち、違うの違うの。このお肉をお姉様の手で私に食べさせて欲しいの」
「……え、え~と、それはつまり……」
「うん、あ~ん、ってして欲しいの……」

言った、言ってしまった。
は、恥ずかしくてお姉様の顔が見れない。
たぶん顔が赤くなってしまっている。
私は俯いてしまった顔をちょっと上げて、上目遣いにお姉様の方を見た。
お姉様は、私がそうすると「うっ」と一度呻いた。

「……わかったわ」
「えっ!?」
「ほら、フラン。食べさせてあげるからもう少し近づきなさい」
「あ……う、うん」

私は椅子を後ろ手に持って、ちょっとお行儀悪くお姉様に近づいて

「はい、フラン、あ~ん」
「あ、あ~ん」

お姉様が持つフォークの先、そこに刺さっているお肉を口に入れた。

「ん……美味しい。ありがとうお姉様!」
「そんなに喜ばなくても、フランがして欲しければいつでもしてあげるわよ」
「ほんと!?」
「ええ、吸血鬼に二言はないからね」

私はなんだか今すぐにでも踊り出したいような気分がしていた。
簡単に言うとフィーバーだった。
本当に嬉しくて、その日の夕食のことは二度と忘れないだろうなと思った。


でも、これはほんの始まりにすぎなかったのだ。




















次の日、私は再び地霊殿に来ていた。
今日もさとりさんはどこかに出かけているらしいのだが、昨日は私が帰った後、少し怒られてしまったらしく、今日はこいしの部屋に招かれていた。
もちろん、姉トークをするために、である。

「で、うちのお姉様は昨日あ~ん、ってしてくれました」
「そっかぁ、良かったね♪」

こいしは、まるで自分のことのように喜んでくれたのだが、私としてはもうちょっとこう対抗心的なものを出して欲しいというか、なんというか。

「フランのお姉ちゃんは他にどんなことをしてくれるの?」

こいしが興味津々と言って顔で私に聞いてくる。
なんか、昨日の感じとはすっかり違って、自分の姉の自慢ではなく、他の姉妹のことが聞いてみたくてしょうがないって感じだ。まぁもともと私達の付き合いって、お姉様とさとりさんに交流ができたところからはじまったから、ある意味姉妹の話になるのは必然とも言える。

それはともかく、私は微妙にこいしの質問に対する答えに窮していた。
お姉様がそこまで私に優しいことをしてくれるってあんまり例がないんだよなぁ。
さとりさんはそれこそ本当に世話好きって感じだけど、うちのお姉様は基本的にわが子を崖に突き落とすようなタイプだし。
私は困った末にあることを口にした。

「そういえば、お風呂は結構一緒に入るかな」
「お風呂!?」

なんかこいしの目がきらきらと輝き出した。
なんという過剰反応、私はもうなんか若干引き気味だった。

「う、うん。ほら吸血鬼って水に弱いでしょ?」
「うんうん!」
「具体的には、流水がまずいの。つまり溜めてある水とか、湿ったものを体にあてるくらいはある程度平気なわけ」
「それで、それで?」
「お姉様や私のお世話って基本的に館の人がしてくれるんだけど、そういう人達はもちろん吸血鬼じゃないから微妙な水分の加減が難しいんだよね。あの咲夜だって、お姉様のお風呂だけは苦手なんだから」
「なんだか、大変そうなんだね……」
「うん。でも、私とお姉様は同じ吸血鬼だから、そういう微妙な部分が良くわかるんだ。だから、一緒にお風呂入って、背中とかタオルで洗いあったりするの」
「そうなんだー、なんかいいね、姉妹で助け合ってる感じで♪」

こいしは、ちょっと感動したみたいに瞳を濡らしていた。
なんだか、そんな風にされると素直に照れてしまう。私達にとっては、生きていくためにごく当たり前な行為でもあるので、改めて特別視されると、気恥ずかしくなってしまうのだ。

「私もね、お姉ちゃんとたまにお風呂一緒に入るよ」
「そうなの?」
「うん、うちの湯船ってこんなに大きな館なのに、とっても小さいから、お姉ちゃんと体寄せ合って入るんだよ」
「ふ~ん、湯船にねぇ…………えっ、湯船!?」
「そうそう、あっ、もしかして吸血鬼は湯船とかも駄目なの?ごめんね、私……」

いや、そこじゃないよ!
しかも悲しそうな顔をしないでよっ!
あれ?私のほうがおかしいのかな、とか思っちゃうじゃん!
私が絶対正常のはずだ。
湯船に体寄せ合って入る姉妹とか聞いたことないよ……。

別に私も湯船に入ることは出来る。
波とかしぶきをあんまり立てないようにしないといけないから、おっかなびっくりな感じはあるけど、入ることは可能だ。
けれど、お姉様と体をくっつけて入るということはない。
うちの湯船は大きいけど、仮に小さかったとしても、その時は交代で入るということになるだけで、一緒に湯船、なんて発想は全く出てこない。
しかし、こいしはまるでそれが当たり前のことかのように語るではないか。
この差は一体なんなんだろう……。

「ごめん、こいし!急用を思い出したから、私帰るね!」
「あ、湯船のこと怒っちゃった……?」
「ううん、怒ってないよ。でも今日は帰らないといけないから。また絶対遊びにくるね」
「うん!」

そう、また絶対遊びに来る。その言葉は、私が私自身の決意を固めるために必要なものだった。


そして帰り道、私はこいしとさとりさんが一緒のお風呂に入っている姿を妄想する。






「お姉ちゃん、背中流してあげる」
「いいんですか?」
「うん、お姉ちゃん、いつも優しいから。そのお礼だよ」
「こいし……」

ごしごし

「よし、綺麗になったよ!」
「ありがとう。今度はこいしにもしてあげます」
「わーい、やっぱりお姉ちゃん優しいなぁ」
「こら、暴れないでください」
「は~い♪」

ごしごし

「はい、こいしも綺麗になりましたよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「じゃあ湯船に入りましょうか」
「うん!今日はお姉ちゃんの上に乗っちゃうぞー」

ちゃぽん

「お姉ちゃん、重くない?」
「大丈夫ですよ、こいしは軽いですから」
「えへへ~♪お姉ちゃんと一緒~」
「ご機嫌ですね」
「お姉ちゃんは?お姉ちゃんは私と一緒にお風呂入ってご機嫌?」
「ええ、私もこいしと一緒にお風呂に入れてご機嫌ですよ」
「よかったぁ、お姉ちゃんのこと大好き!」





そこで私は妄想を止めた。
まぁ例によってこの妄想もおそらくそれほど間違っていないだろう。
でも体を寄せ合って湯船かぁ。
うちのは広いから、その必然性もないしなぁ。
いや、でもそれを言ったら、食事の時点で必然性なんて皆無だったじゃないか。
そうだ、それと何も変わらない。ただ姉妹の絆を深めるというだけなんだ。
心の中で一人、呟き続けた。




















そして、その日の夜、紅魔館にて。


私はお姉様と一緒にお風呂に入る約束を取り付けた。
というか、お姉様のほうから誘ってきたのだ。
またしても天啓とばかりに私はお風呂に入る準備をした。
と言っても、一緒にお風呂、ということ自体はいつもやっていることと何も変わらない。
だからここまではそれほど問題ではなかった。


お風呂に入ると、お姉様は先に待っていたらしく、既に洗い場に座っていた。

「お姉様、お待たせ」
「フラン、こっちに来なさい。先に洗ってあげるから」
「は~い」

お姉様の前に行って、背中を見せたまま座る。
すぐに、ごしごし、とお姉様が私の背中を洗う音が聞こえた。
一通り洗い終えると、次は私がお姉様の背中を洗ってあげる。
私は、その背中を見ながらドキドキしていた。
いや、別にお姉様の背中があまりにも綺麗で、とかではない。
そんなことは前から知っている。
問題は、この後私が言わなければならないことだった。

「フラン、もういいわよ?」
「……あ、うん、ごめんね」

どこか呆けたような返事をする私を、お姉様はちょっと疑問に思ったみたいだが、すぐに立ち上がって、湯船の方に歩いていってしまう。
まずい、今言わないとタイミングを失う。

「あの、お姉様!!」
「どうしたの?急に大きな声を出したりして」
「あのね、あのね……」

ここで臆してどうする!
こいしとも約束したじゃないか、絶対にまた来るって!
私は手ぶらで行くつもりなのか!
お姉様との土産話を必ず持っていくと誓ったはずだろう!

私は自分でも良くわからない心の声に後押しされてついにその言葉を放った。

「お、お姉様!今日は体をくっつけてお風呂に入りたいの!!」
「えっ……」
「だ、だめかなぁ?」

私はもう顔を真っ赤にしてしまっていた。
たぶん昨日の夕食の時よりも遥かに赤い。
お姉様になんて言われるかわからなくて、恐々と顔を上げていく。
またも上目遣いで見上げる形となった私に、お姉様は「ううっ」という奇妙なうめき声を上げた後、一瞬胸を押さえて、その後、深呼吸してからこう言った。

「いいわよ……私の側に来なさい」
「ほ、ほんと?ほんとにいいの?」
「ええ、もちろんよ。だからほら、はやくこっちに」

お姉様が手招きするので、私は急いでそっちに向かった。
そのままお姉様の手を握って、二人で慎重に湯船に入る。
ちゃぽん、という微かな音を立てて、私達は湯船に浸かった。
お姉様の肩が私の肩に触れ合っていてドキドキしてしまう。
こんなにお姉様の近くにいるのって何年ぶりだろうか。
幼い頃の思い出が蘇ってきて、ちょっと涙が出そうになる。

「気持ちいいわね……」
「うん、とっても……」

それから私達は、のぼせそうになるまで湯船に浸かっていた……



















次の日、私は約束通り地霊殿に来ていた。

なぜか今日もさとりさんはいないらしかった。
こんなに家をあけてて大丈夫なのかな?
地霊殿にはペット達もいるはずなのだが、その子達も基本的に昼のうちは家にいないことが多いらしかった。
あと、こいしにも放浪癖があるらしいが、なぜか最近は家にいることも多い。
まぁ、家に誰もいないのは困るから、さとりさんに頼まれたりしたのだろう。
素直に言うことを聞くこいしの姿が目に浮かぶようだ。

それはともかく、私は地霊殿に来ると、こいしの部屋でさっそく昨日のことを報告していた。

「というわけで、昨日はお姉ちゃんと並んで湯船に入りました」
「そうなんだ、よかったぁ。吸血鬼は湯船ダメなのかと思ったから……」
「ちゃんと説明できないまま帰っちゃってごめんね」

しかしあの時詳しく説明してしまうとこいしが真顔で、なんで湯船で体を寄せ合わないのか、と聞いてきそうだったので、それができなかったのだ。
私は心の中でそう思いつつ、こいしに謝った。

「ねぇフラン、お姉ちゃんと他にどんなことするの?吸血鬼の特性とかで、姉妹だけの特別な事、みたいなのってある?」
「う~ん、ちょっと待ってね……」

私は考えた。
そんなに吸血鬼が人と変わったことをするわけではないので、すぐには例が思いつかない。
う~ん、吸血鬼……吸血……あっ!

「ある、あるよ、吸血鬼にとって特別なこと」
「どんなの!?」

たまにしか行わない上に、それもまた生きていくのに必要とする自然な行為なので、思い出すのに時間がかかってしまった。

「あのね、私達吸血鬼は血を吸うの」
「それは知ってるけど……」
「あ、ごめんね。えっと、吸血鬼はお互いの血を吸う事が必要なの」
「お互いの血を!?」

こいしは若干怯えたような顔をした。
まぁ普通はそういう反応だよなぁ、と私は久しぶりにこいしのまともな反応を見れた気がして安堵していた。

「なんか、ちょっと素敵だね……」

(ってうおおおおおい!?)

私は、もう頭を抱えそうになっていた。
こいつ、もうダメだ……はやくなんとか――できそうもない……。
シスコンとかそういうレベルではないのだ。

私は、気を取り直して血の話を進めることにした。

「吸血鬼は、血を必要とする。血は人間のものがベスト。まずこれは基本ね」
「うんうん」
「でも、そういうことを続けていると、ある問題が起きるの」
「問題?」
「吸血鬼は人間の血を吸いすぎると吸血鬼としての血が薄くなってしまうの。そしてその状態が数十年も続けば、死に至ることもある」
「大変じゃん!」
「そう。多くの吸血鬼は、人間に自らの血を入れることで吸血鬼に変えて、そこから血を吸う事でこの問題を解決していたりする」
「へぇ~」

吸血鬼の血は、あんまり美味しくないって言われてるから、みんな嫌々ながら生きていくために仕方なくやっていたりもするらしいが、そこはちょっと良くわからない部分だった。
なぜなら、私はお姉様の血をまずいとは思わないのだ。
むしろ、人間の血よりもよっぽど美味しい。
お姉様に聞いてみたけど、私の血は美味しいって言ってくれた。
だから相性とかの問題もあるんだと思う。

「私とお姉様は、お互いの血を吸う事でこの問題を解決してるわけ」
「血を吸うってどうやって?」
「うん?そりゃこう、首からかぷっと」
「首かぷ!?おおおおおおおお!!!」

何故か、こいしが物凄く嬉しそうな顔で大声を上げた。

「すごいね、なんかそれすごいね!」
「そうかなぁ……正直生きるための自然な行為だから、あんまり実感はないんだけど……」
「すごいよ!なんか、姉妹の絆って感じがするもん!」

私はまた照れていた。
なんといっても、こいしから、こんなお褒めの言葉をいだけたのだ。
もう、当初こいしに対して抱いていた対抗心など、かけらもなくなっていた。
もはや、こいしは私にとって尊敬すべき、でも尊敬しきれない微妙な師匠となっていた。

「私も首かぷしてみようかなぁ」
「いや、それはしない方がいいと思うけど……」
「やっぱりそうかなぁ……普通はキスくらいかなぁ……」
「そうそう普通は…………えっ?」

私の体も思考も完全にフリーズした。
脳みその処理が全く追いついていかない。
何かとても衝撃的な言葉がこいしの口から聞こえた気がするのだが。

「やっぱり首かぷって、ちょっとえっちぃ感じがするもんね……」
「や、ちょ、えっ!?」
「あ、ごめんね!フランにとっては生きるための行為なのに、私ってば……」
「い、いや、待って。それはいいから!こいしはさとりさんとキスしてるの!?」
「え……?あぁ、うん。するよ、お姉ちゃんとキス。フランはしないの?」

普通しないよ!というツッコミをする気力がもう私の中にはなかった。
私はただただ、唖然としてしまって。
そりゃ、こいしはちょっとシスコン過ぎる部分もあるけど、それにしてもキスって……
どう考えても普通の姉妹はそんなことはしないだろう。
食事とか風呂とかはまだしも、キスとなると話は大きく変わってくる。

「姉妹でキスって……普通じゃないのかな?」
「う、うん……一般的にはそうだと思うけど……」
「そっか……やっぱり普通じゃないんだ……」

私はあれ?と思った。
こいしにしては珍しく元気のない声だったから。

それから妙な沈黙が続いた。
何か声をかけるべきか、と私は思ったのだ。
しかし、こいしはなんだか顔を伏せて俯いてしまっていた。
こいしが急にそんな風になってしまったから、私はますますわけがわからなくなってしまう。

「……フランは姉妹でキスするのって……どう思う?」

顔を伏せたまま、こいしは私に尋ねる。
その声は少し震えているように聞こえた。
いや、声だけではなく、体もわずかに震えている。
そんな様子は、私がこいしと出会ってからたぶんはじめて見るもので。
だからこそ私は、自分の心が急速に落ち着いていくのを感じた。

「姉妹でキスしちゃうのって……やっぱりダメなのかなぁ……」

その切ない言葉の響きから、悔しさとか、悲しさみたいなこいしの感情がありありと伝わってくる。
私は、混乱していた頭が落ち着いたこともあって、徐々にこいしが何を言いたいのかを理解しはじめていた。
姉妹でキスをするのが変かどうかという質問。
それは何も、私を限定にした質問ではあるまい。
姉妹でキスということが、世間ではどう思われるのか、それが気になっているのだ。
私だっていきなりそんなことを聞かされて、さすがに驚いてしまった。

もしかしたらこいしは、誰かに言われたのかもしれない。
姉妹でキスをするのはおかしいと。
そんなことは普通ではないと。
私に尋ねる前に、もっとひどい言い方をされたのかもしれない。
だから、そのことに悩んでしまっている。

「お姉ちゃんのことがね、好きなの……愛してるの……でも、それっておかしいのかな……?」

こいしはベッドに座ったままの姿勢で、膝の上に置いた手をぎゅっと握りこんでいた。
爪が食い込んでしまうんじゃないかというくらいに、拳を固く握っている。
その拳に雫が一つ、また一つと落ちていく。
涙だ、と私はすぐにわかった。

「……辛いよ……すごく……辛いよ……」

こいしは泣いているのだ。
悔しくて、悲しくて、涙が溢れて止まらなくなってしまっているのだ。
拳に次々と涙があたり、粒となって弾ける。
いくつもの涙が、やがて拳からこいしの服へと伝って染み込んでいく。
私はどうしていいかわからずに、でも心の中でこう思っていた。


ああ、とっても綺麗だな、と。


その涙は本当に綺麗なものに見えた。
こいしが心の底から流している涙。
気持ちが痛いほどに伝わってくる涙。
周りに理解されない想いと、だけど止められない姉への想い。
その想いがこもっている涙は、少なくとも私には、とっても澄んでいて、清らかな涙に見えた。

「お姉ちゃんのことを愛してるの……でも……それをおかしいって言われるのはすごく辛い……」

私は自分が勘違いをしていたことと、どれだけバカだったのかを悟った。
対抗心がどうとか、シスコンがどうとか、普通がどうとか、そんなことを考えていた自分が、どれほど愚かだったのかを理解する。
こいしの気持ちは、ほんとうに、ただ純粋に、姉への愛に溢れていたのだ。

(それで私の話を……)

私がお姉様とのことについて話した日から、こいしはやけに私の話を聞きたがった。
私は咄嗟に答えていたが、こいしにとっては必死だったのかもしれない。
私がこいしの気持ちを理解できるのかどうかを。
自分の気持ちを、同じ姉を持つ友人は理解してくれるのかどうか。
不安だったのだ、だから私とお姉様がどの程度の関係なのかを知りたかった。
私がお姉様との話をすると、自分のことのように喜んでくれたのはそのせい。
そして、キスに対して私が反応に困ってしまったから、こんなに寂しそうな姿を見せているのだ。

(ごめんね、こいし。やっとわかったよ……)

こいしのさとりさんへの気持ちは本物なんだ。
それは私なんかが茶化して良いものではなかった。
この子の気持ちをどうしてもっと素直に見てあげられなかったのだろう。
ほんとうは私にだって分かっていたはずなのだ。
姉妹の間に存在する気持ちを。



こいしの、さとりさんへの愛。



さとりさんの、こいしへの愛。



その二つの想いをずっと感じていたはずなのだ。
だけど、姉妹っていう固定概念がどこかでそれを認めることを妨げていた。
そんなことは関係ないというのに。
誰かが誰かを愛するという気持ちは、常識とかそんなもので抑えられる感情ではないというのに。
私はそれを見誤っていたのだ。

「…………おかしく、ないよ」
「……え?」

私の声に反応して顔を上げたこいしは、すっかり涙で顔を濡らしてしまっていた。
それを見て私は改めて思う。
うん、やっぱり綺麗だ、どうしようもなく綺麗だ。
純粋な気持ちが溢れると、人はこんなにも綺麗になるのだ。
だから、私もはっきりとこいしを見て、その綺麗に応えられるように言葉を紡ぐ。

「おかしくなんかないよ。さとりさんを愛してるって事も、姉妹でキスするってことも、何もおかしくなんかない」
「でも……」
「もっと自信満々でいいんだよ!お姉ちゃんを愛してますって、姉妹でキスしますって、もっと堂々としてていいんだよ!」
「そう……かな……」

そうだ、本人が自分の気持ちに自信を持たなくてどうする。
本人が堂々とその気持ちを認めてやらなくて、誰が認めてくれるというのだ。

「みんな驚くとは思うよ。私もそうだった。でもね、こいしの気持ちが本物だってこと、さとりさんへの愛に一点の曇りもないってこと。私には伝わってるよ」
「フラン……」

それは嘘でもなんでもない。
私が見てきた二人の姿を見てずっと私が感じていたこと。
それを今の今まで、理解しようとしていなかっただけだ。

「こいしも、さとりさんも、堂々としていれば、きっとみんなにもそれが伝わる!二人の愛が本物なんだって、きっとわかってくれる!!」

そこに願望がないかと言えば、それは嘘になる。
受け入れてくれない人も中にはいるだろう。
それは認めなくてはいけない。その考えは仕方のないものだと思う。


でも、果たしてその人に、この姉妹の間に存在する愛を否定する権利があるだろうか。
たとえ姉妹で愛し合うことをその人が受け入れられなくても、だからといって二人の愛を否定することは、きっと、できない。
だって二人の愛はあまりにも美しすぎるから。
どんな物よりも、素敵な輝きを持っているから。

だから、それを否定する奴は、私が絶対に許さない。

「だからね、私は言える。こいしは何もおかしくないって」
「フラン……うぅ……ぐすっ……」

こいしの瞳からさっきよりも多くの涙がこぼれていく。
私はそんなこいしに近づいて、そっとその顔を胸に抱きしめた。
その途端、こいしは声をあげてわんわん泣き始めてしまった。
服が濡れてしまうのも構わず、私はこいしの顔をさらに強く抱きしめる。
なぜか、私の瞳からも涙が溢れてくる。


その日、陽が暮れるまで、私達は涙が枯れてしまうんじゃないかというほど泣いた。




















「うぅ……ごめんね、フラン。私、服ぐちゃぐちゃにしちゃって……」
「大丈夫だよ、このくらい。それに、洗うの私じゃないしね」

そんな冗談を交えて、私達は泣き腫らした顔のまま、少しだけ笑った。

「ほんとにごめん……私、なんだか急に止まらなくなっちゃって」
「ううん、こいしの気持ち、聞けて良かったよ」

なんだか、ちょっとさとりさんがうらやましかった。
だってこんなにも、さとりさんはこいしから愛されている。
もちろん、さとりさんだって同じくらいこいしを愛しているのだろう。
だから私はきっと、さとりさんではなく、この姉妹がうらやましいのだと思う。

「ねぇ……フランはレミリアさんのこと、どう思ってるの?」
「お姉様のこと?」
「うん、聞かせて欲しいな」

こいしの期待するような瞳を見て、私は困ってしまった。
すぐには答えられず、自分の感情について考えてみる。
私はお姉様のこと、どう思ってるんだろう。
そんなの簡単、大好きに決まってる。
でも、ほんとうにそれだけなのかな?
この気持ちは本当に妹が姉を好きってことと同じなのかな。
そうだと認めてしまって、私は本当にいいのかな……。
こいしになんと言うべきか、悩んだ。
そして結局、こう答えるしかなかった。

「私には…………わからないや…………」
「そっか……」

少しだけがっかりしたような声のこいしだったが、すぐににこっと笑ってくれた。
なんだかその笑顔を受け止めきれない。
こいしは私に何を期待していたのだろう。
あの瞳にどんな意味をこめていたのだろう。
私に、どんな答えを返して欲しかったのだろうか。


私はそれがわからないまま、地霊殿を後にした。



















そして、その日の夜、紅魔館にて。


お姉様からお互いの血を吸うことを提案された私は、お姉様のベッドの上に寝ていた。
そこで、私は色々なことを考えていた。

それは主に、こいしのことであり、さとりさんのことであり、そしてお姉様のことだ。

少しして、お姉様がやってくると、私は一度体を起こした。

「ねぇ……お姉様?」
「どうしたの?久しぶりで緊張してる?」

お姉様は私のすぐ隣に腰を降ろして、私の頭を撫でてくれた。

「違うの……ひとつ、聞かせて欲しいの」

地霊殿の部屋で聞いた、こいしの言葉が思い出される。
あの時のこいしの涙が私の脳裏に蘇る。

「お姉様は姉妹で愛し合うこと、おかしいと思う?」

唐突にそんなことを聞いた私のことを、お姉さまは不思議そうな顔で見ている。
やっぱり、おかしいって言うのかな。
なんだか、それを想像すると心がきゅって締め付けられるみたいですごく辛い。
そして、私の疑問に答えるべく、お姉様が口を開いて

「全然おかしくないと思うわよ」

と、優しく、静かに、私に向かって微笑みながら答えた。
私はそのお姉様の姿を見て、どきっ胸が高鳴った。
その理由は、よく分からなかった。
けれど、お姉様が、姉妹で愛し合うことはおかしくないって言ってくれたこと。
それは本当に嬉しかった。
だから私はもうひとつだけ、疑問を口にする。

「姉妹でキスをするのは……おかしいかかな?」
「いいえ、すごく素敵なことだと思うわよ」

今度は迷うことなく、お姉様は私の疑問に答えた。
それがどうしようもなく嬉しくて、私はお姉様の服をぎゅっと掴んで、その胸に顔を埋めた。
お姉様の香りがいっぱいに広がる。
どうしてこんなに胸が高鳴るんだろう。
お姉様の温もりがどうしてこんなに恋しいんだろう。

「ねぇ、お姉様……」

私は胸に埋めていた顔を上げると、お姉様の顔を見上げた。
目の前にはお姉様の顔。
胸の高鳴りはどんどん強くなっていく。
けれど、私は勇気を振り絞って、こう言った。

「キス……してもいい?」

お姉様は、ただじっと、私のことを見つめていた。
その瞳からは、答えを察することはできなくて。
私の心はもう不安で一杯だった。

「ええ……私もフランとキスがしたい……」

その不安を吹き飛ばす、お姉様の言葉。
頬を紅潮させて、瞳を潤ませたお姉様が、私のことを見つめている。
どうしてだろう、なんだかもう止まれそうにない。
私達はお互いの瞳に吸い寄せられるように顔を近づけていく。



ほんとうに、どうしてこんなことになったのか、私にもわからない。


はじまりは、お互いの姉を自慢するだけの些細な喧嘩。


そこからこんな状況になるなんて、きっと誰も想像できないだろう。






こいしの質問の答えも未だに見つけられていない。


この胸の高鳴りがなんなのか、私はまだ、それを表す言葉を見つけていないのだ。


だけど、お姉様とキスがしたいという私の想いは本物だから。


だから今は、この想いが叶うことを、素直に喜ぼうと思う。


私はそっと目を閉じて、ゆっくりと近づくお姉様の唇に、自分の唇を重ねた。
どうもこんにちは、ビーンと申します。

今回の話は自分の前作『こいしとさとりの想起迷宮』の流れを部分的に汲んでいなくもないのですが、注意書きするほどでもないので、あとがきに書くだけに留めました(宣伝)

こいしやフランはかわいいと思います。まぁ私の書く彼女達は狂気さがほとんどないので、こんなの違う!って方も多いとは思うのですが……
ともかく、読んでくださった方に面白いと思っていただけたら何よりです。

意見・指摘・感想などありましたら、遠慮なくお願いします。
ビーン
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コメント



0.3040簡易評価
3.100奇声を発する程度の能力削除
ふぉぉおおお!!甘くて素敵でした!!
5.80名前が無い程度の能力削除
イチャは大変結構なのですが
姉妹愛ではなく本気の恋愛感情?なのは流石にちょっと面食らいましたね
7.100名前が無い程度の能力削除
姉妹ちゅっちゅ
8.100名前が無い程度の能力削除
好きなんだからしょうがない
11.100名前が無い程度の能力削除
これは純粋な百合というやつですね
12.80名前が無い程度の能力削除
砂糖吐いた。うむ、中々どうして……。
てっきり姉の褒め合いからバトルの流れになるかと思っていたのですが、純粋な百合とは。あっぱれ。
ただ、ちょっと甘すぎたかも。もうちょいビターな感じも欲しかった。
よいお話をありがとうございましたー。
13.80名前が無い程度の能力削除
悶えて転がって片付けてた部屋がごっちゃになったぞ、どうしてくれる。
14.100名前が無い程度の能力削除
さとこいだと思ったらレミフラメインだった。
どっちの姉妹も甘くて素敵でした。
姉妹愛でも恋愛感情でも、愛しているなら仕方ないですね。
19.100名前が無い程度の能力削除
口の中に角砂糖がぁぁぁぁぁ!?
27.100名前が無い程度の能力削除
人間の血で薄まった吸血鬼の血を吸っても意味がないがこまけぇことはいいんだよ!
なんという俺得の小説なんだ
28.70名前が無い程度の能力削除
なんか久々にお姉さま好き好きなフランちゃん見た気がする
30.100名前が無い程度の能力削除
素敵
31.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
36.100名前が無い程度の能力削除
高度に発達した姉妹愛は百合と見分けがつかないともいいますし、全く問題ないですね。
40.90flax削除
布団の上でゴロゴロの刑!
41.100名前が無い程度の能力削除
ぐはぁ

久々に死ねた。
46.90とーなす削除
おおう、甘い……。
どっちの姉妹もいちゃいちゃぶりが半端ない。
51.100名前が無い程度の能力削除
いいじゃない、真実の愛
さとこいレミフラには全く違和感ないよ
52.100名前が無い程度の能力削除
これがレミフラの破壊力か…
53.80幻想削除
私の顔がニヤニヤ顔でひどいことになりました。
でも最後は穏やかになりました。
64.90名前が無い程度の能力削除
もしかしてレミリアとさとりはフランとこいしみたいな話をしていたのかな? いつもさとりが家にいないってことは。
71.100名前が無い程度の能力削除
高血糖を知るものよ来たれ!(喀糖
74.100名前が無い程度の能力削除
甘い……甘すぎるよ……!
87.100名前が無い程度の能力削除
百合好きの自分にとって大好物な作品でした。
とても甘い話をありがとう
88.100名前が無い程度の能力削除
ガシャーン!
深夜にパソコンが乗っかっている炬燵をひっくり返し俺は叫んだ
「もうお前ら結婚しちぇえよ!!!」