紅魔館、レミリアの部屋。
朝から雨が降っており、吸血鬼である彼女は出歩く事ができない。
そのため今日は部屋に篭り、隙間妖怪を経由して手に入れた漫画を読んで過ごしているのだ。
コンコン
「お嬢様ー?」
「何? 鍵なら開いてるわよ」
そう答えると、門番である美鈴が入ってきた。
「どうしたの?」
「今日は非番でしてね。暇なので遊びにきました。この天気じゃ出かける気にもならないですし」
「咲夜は買い物に行ったけどね」
「買い物ですか。この雨の中大変ですね」
「そうね。雨じゃなければ私もついていけたのに」
以前気まぐれで咲夜の買い物に同行したレミリアは人里に住む人々の暮らしに触れ、それ以来も時々咲夜の買い物に同行するようになったのだ。
「しかし残念ね。私は今とても忙しいの。あなたの相手をする事はできそうにないわね」
「あら。それは本当に残念ですね。それじゃこれは持って帰りましょうか」
「さあさあ美鈴。何も無い部屋だけど、ゆっくり寛いでいってちょうだい」
美鈴が両手に抱えるように持っている物。
それはレミリアが今読んでいる漫画の続きであった。
ざーーーーっ
雨の音が聞こえる中、二人はひたすら漫画を読んでいた。
「ねえ美鈴」
「はいお嬢様」
「こんな奴、いつ出てきたっけ」
レミリアが美鈴に本を見せる。
「ああ、ダイジェストみたいなところでチラッと出てましたよ。たしか」
「そうだっけ?」
「はい」
「ありがと」
「いえいえ」
ざーーーーっ
「お嬢様」
「なあに?」
「物語の序盤から主人公達と一緒にいた仲間が後半で死んじゃう展開はずるいと思いませんか?」
「そうね」
「死んじゃいました」
「そうね」
「命をかけて、巨大な敵を道連れにしました」
「そうね」
「池に大輪の血桜が咲きました」
「そうね」
「ぐすっ」
「私もそこは危なかったわ」
ざーーーーっ
「美鈴」
「なんでしょう」
「寒くない?」
「私は大丈夫です」
「そう」
ざーーーーっ
「お嬢様」
「ん?」
「寒くないですか?」
「私も大丈夫」
「そうですか」
ざーーーーっ
「美鈴美鈴」
「はいはい?」
「そろそろ口寂しくない?」
「たしかに」
「飲み物も欲しいところね」
「そうですね」
「‥‥‥‥」
「私、今日は非番なんですが」
「知ってる。その分、もし世話してくれたら、より感謝されるわよ」
「‥‥あと少しでこの巻終わるんで、待っててください」
「うん、待ってるわ」
ざーーーーっ
「じゃあ何か適当に見繕ってきますね」
「行ってらっさい」
ざーーーーっ
「ただいま戻りました」
「おかえり」
「どうぞ」
「あら、コーヒーゼリーなんて珍しいわね。いただきます」
チュルン ムニュムニュ
「‥‥美鈴、何これ?」
「煮こごりです」
「なんでよ。なんで煮こごりをチョイスするのよ」
「だって、昨日のカレイの煮付けの余りくらいしか無かったんですもの。流石に煮魚持ってくるわけにはいかないじゃないですか」
「う‥‥そう言われると、魚の本体出されるよりはマシな気がしてくるわね」
「でしょう? でも飲み物には相性いいと思いますよ」
「そういえば、霊夢達は漬け物でお茶飲んだりするそうね。って事は、これは日本茶かしら?」
ズズズ
「‥‥美鈴、何これ‥‥」
「魚の煮汁です」
「お前バカじゃないの」
「相性よかったでしょう?」
「相性っていうか、元々同じ物じゃないの」
「お気に召しませんでしたか」
「そもそもこれは飲み物とは呼ばないわよ」
「ちゃんと紅茶とビスケットも用意してありますよ」
「でかした」
「あ、ベッドの上では食べないでくださいね」
「はいはい」
ざーーーーっ
「お嬢様?」
「何かしら」
「どうして私の背中に乗ってるんでしょうか」
「お茶飲んでる間に、美鈴がベッドを占領しちゃうんですもの」
「そうですか」
「そうよ」
ざーーーーっ
「美鈴」
「はいはい」
「重たい?」
「大丈夫ですよ」
「そう?」
「はい」
ぽたっ ぽたっ
雨が止む頃、館に帰った咲夜が主人の部屋で見たものは、上下に重なって寝息を立てる二人の姿だった。
朝から雨が降っており、吸血鬼である彼女は出歩く事ができない。
そのため今日は部屋に篭り、隙間妖怪を経由して手に入れた漫画を読んで過ごしているのだ。
コンコン
「お嬢様ー?」
「何? 鍵なら開いてるわよ」
そう答えると、門番である美鈴が入ってきた。
「どうしたの?」
「今日は非番でしてね。暇なので遊びにきました。この天気じゃ出かける気にもならないですし」
「咲夜は買い物に行ったけどね」
「買い物ですか。この雨の中大変ですね」
「そうね。雨じゃなければ私もついていけたのに」
以前気まぐれで咲夜の買い物に同行したレミリアは人里に住む人々の暮らしに触れ、それ以来も時々咲夜の買い物に同行するようになったのだ。
「しかし残念ね。私は今とても忙しいの。あなたの相手をする事はできそうにないわね」
「あら。それは本当に残念ですね。それじゃこれは持って帰りましょうか」
「さあさあ美鈴。何も無い部屋だけど、ゆっくり寛いでいってちょうだい」
美鈴が両手に抱えるように持っている物。
それはレミリアが今読んでいる漫画の続きであった。
ざーーーーっ
雨の音が聞こえる中、二人はひたすら漫画を読んでいた。
「ねえ美鈴」
「はいお嬢様」
「こんな奴、いつ出てきたっけ」
レミリアが美鈴に本を見せる。
「ああ、ダイジェストみたいなところでチラッと出てましたよ。たしか」
「そうだっけ?」
「はい」
「ありがと」
「いえいえ」
ざーーーーっ
「お嬢様」
「なあに?」
「物語の序盤から主人公達と一緒にいた仲間が後半で死んじゃう展開はずるいと思いませんか?」
「そうね」
「死んじゃいました」
「そうね」
「命をかけて、巨大な敵を道連れにしました」
「そうね」
「池に大輪の血桜が咲きました」
「そうね」
「ぐすっ」
「私もそこは危なかったわ」
ざーーーーっ
「美鈴」
「なんでしょう」
「寒くない?」
「私は大丈夫です」
「そう」
ざーーーーっ
「お嬢様」
「ん?」
「寒くないですか?」
「私も大丈夫」
「そうですか」
ざーーーーっ
「美鈴美鈴」
「はいはい?」
「そろそろ口寂しくない?」
「たしかに」
「飲み物も欲しいところね」
「そうですね」
「‥‥‥‥」
「私、今日は非番なんですが」
「知ってる。その分、もし世話してくれたら、より感謝されるわよ」
「‥‥あと少しでこの巻終わるんで、待っててください」
「うん、待ってるわ」
ざーーーーっ
「じゃあ何か適当に見繕ってきますね」
「行ってらっさい」
ざーーーーっ
「ただいま戻りました」
「おかえり」
「どうぞ」
「あら、コーヒーゼリーなんて珍しいわね。いただきます」
チュルン ムニュムニュ
「‥‥美鈴、何これ?」
「煮こごりです」
「なんでよ。なんで煮こごりをチョイスするのよ」
「だって、昨日のカレイの煮付けの余りくらいしか無かったんですもの。流石に煮魚持ってくるわけにはいかないじゃないですか」
「う‥‥そう言われると、魚の本体出されるよりはマシな気がしてくるわね」
「でしょう? でも飲み物には相性いいと思いますよ」
「そういえば、霊夢達は漬け物でお茶飲んだりするそうね。って事は、これは日本茶かしら?」
ズズズ
「‥‥美鈴、何これ‥‥」
「魚の煮汁です」
「お前バカじゃないの」
「相性よかったでしょう?」
「相性っていうか、元々同じ物じゃないの」
「お気に召しませんでしたか」
「そもそもこれは飲み物とは呼ばないわよ」
「ちゃんと紅茶とビスケットも用意してありますよ」
「でかした」
「あ、ベッドの上では食べないでくださいね」
「はいはい」
ざーーーーっ
「お嬢様?」
「何かしら」
「どうして私の背中に乗ってるんでしょうか」
「お茶飲んでる間に、美鈴がベッドを占領しちゃうんですもの」
「そうですか」
「そうよ」
ざーーーーっ
「美鈴」
「はいはい」
「重たい?」
「大丈夫ですよ」
「そう?」
「はい」
ぽたっ ぽたっ
雨が止む頃、館に帰った咲夜が主人の部屋で見たものは、上下に重なって寝息を立てる二人の姿だった。
なにこの可愛い2人。
素晴らしかったです。
じっさまも最高の漢
ブリッツェンさんの作品はどれも好きですが、今作はちょっと合わなかったです。
素晴らしい主従関係、めーレミはやっぱり良いですね。
あのマンガは面白かった