いつものように仕事をこなしていると、ふと図書館の扉が開いてこの屋敷の主人が顔を出す。
幼く小さい体ながらも膨大な魔力を秘めたその人は、レミリア・スカーレット様である。
「小悪魔、パチェは?」
「お出かけになられましたよ? 『私は賢者の石で真理に挑む!』とかなんとか」
「ふーん、パチェも最近アクティブになったわねぇ」
「パチュリー様がオンゲーのモンスターになったようです」
「画面外からロイヤル・フレアね、きっと」
え、何それ怖いです。
それはともかく、まさかこのまま家主を放置するなど愚の骨頂。
そんなわけで、テーブルに案内すると自慢の紅茶とクッキーを用意してレミリアお嬢様の傍に控えます。
まるでメイドですね。
「ま、いいや。小悪魔、ちょっと私の相手をしなさい」
「夜の相手でしたら何時でも」
「自惚れるなよ戯け。そんな台詞は私を骨抜きにしてからいう事ね」
「物理的に?」
「とうとう私も軟体生物の仲間入りか」
「レミリア・タコーレット爆誕ですか。胸熱です」
涙目でぽかぽか叩かれました。なんだか変な想像しちゃったみたい。
そんなアホな話はいいから座れ。ということだったので、ほいほい言葉にしながら隣に座ります。
コホンと一息つくお嬢様。顔がまだ赤いですが、そこは指摘しないのが吉でしょう。
「お前はなんというか、いつもどおりね。その頭の中身をのぞいて見たいわ」
「こぁーっこぁっこぁっこぁ。お言葉ですがお嬢様、私にはブレーキなんて存在しておりません!」
「いや、見りゃわかる」
「まぁ酷い」
自分の分もコポコポ紅茶を注ぐ。最近お気に入りのものですが、コレが中々おいしゅうございます。
今度、提供してくださった阿求さんにはお礼をせねばなりませんね。
「ていうかさ、お前その笑い方なんか変じゃない?」
「そうですか? 子供の頃からこんな感じだったんですが」
「そりゃさぞかし奇怪な子供だったろうね」
失敬な、などと思いましたが、結構事実なんで何も言い返せません。がっでむ。
「それをいうなら、お嬢様の『うー』っていう口癖も正直どうかと」
「口癖じゃないし」
「いや、結構言ってますよ。わりと聞いてる気がします」
「うー」
「ほら、言った」
「うー、うー!」
「れみりゃ?」
「うー!!」
気に入らなかったのかほっぺた抓られました。お嬢様もノリノリだったくせにぃ!
そんなわけで、絶賛ほっぺた引っ張られて口がスライムみたいになってる私を見て満足したのか、お嬢様は満足げにウンウンと頷きました。
「まったく、お馬鹿な小悪魔はこういうマヌケ面が似合うわね」
「こんなときこそ、口癖で高笑いです!」
「うーっ、うっうっうっうっうっ!」
「こぁーっこぁっこぁっこぁっ!」
「うーっ、うっうっうっうっうっうっうっ!!」
「こぁーっこぁっこぁっこぁっこぁっこぁ!!」
「笑いにくい」
「ですよね」
残念ながら没だったようです。いや、確かに笑いにくいですけど。
そんなわけで、ようやく解放された頃には頬っぺたがぷっぷく膨れてリスみたい。
「ヘケ!」
「ハムスター乙」
「ハ○太郎といわないお嬢様に愛を感じます」
「愛は取り戻すものよ。覚えておきなさい」
「世紀末ですね、わかりたくありません」
実際、巫女辺りが結構世紀末な気がするのはどういうことか。
この間も、妹様相手に一撃必殺余裕ですな技をぶちかますのは正直どうかと。
あぁ、いつから幻想郷のスペルカードルールは世紀末なことになってしまったのでしょう。
オラ、ワクワクしてきたぞ!
「お嬢様たちが一撃必殺を覚えるそうです」
「妹がリアルで一撃必殺出来るんだけど」
「きゅっとして」
「どかーん!」
「配管工が入るのは?」
「土管ッ!」
イエーイとあまりの意気投合ぶりに手を打ち合わせる私とお嬢様でした。
「そうそう、妹といえばフランがこの間泣きながら部屋に来たんだけど、何か知らない?」
「あぁ、私がプレゼントしたマトリョシカが原因かも」
「中からまた人形が出てくる奴だっけ?」
「はい。ハニワの形で」
「何故ハニワをチョイスしたし」
「外に出された順から何かボソボソと呟く不気味仕様です。『いあ いあ はすたぁ』と呟きます」
「嫌過ぎる」
残念ながらお気に召されなかったようです。慣れてくると愛着が沸くというのに、ちょっと残念。
しかし、それはそれ。これはこれ。人の好き嫌いは千差万別なのですよ。
自分が好きだからといって、相手がそれを好きだとは限らない。無為な押し付けは苦痛でしかないのです。
今度、ちゃんと別のを用意しましょう。最後にタイラントが飛び出すカワイイ天使型マトリョシカとか。
「にしても、この紅茶はなかなか美味しいわね」
「ふふ、とっておきですから」
「まぁ、咲夜には劣るけどね」
「ノロケですか?」
「いいや、子供自慢だ」
「親馬鹿きましたコレ!」
もう一回頬っぺた引っ張られました。ぐいぐい引っ張ってとっても痛いです。
「らめぇ! それ以上されたらおもちになっちゃうのぉ!!」
「いや、どっちかっていうとおたふくだわ」
「秘儀・福笑い!!」
「気持ち悪ぃ」
さすがお嬢様、台詞に容赦が在りません。
そこに痺れませんし憧れません! あと、ついでに暴力反対です!
「お嬢様がナチュラルに鬼畜なんですが」
「吸血鬼だからねぇ」
「親戚はチュパカブラに違いありません! ……あ、聞くだけだとなんかイケナイ気分になりそうです」
「チュパの部分が?」
「チュパチュパですね」
「なら、パチェカブラに改名よ!」
「パチュリー様が未確認生物と融合するそうです」
ツボにはまったのか、お嬢様はクスクスと可笑しそうに笑っています。
かくいう私も、うっかり想像してしまってクスクスと笑ってしまっていましたけど。
「今はパチュリー様もいませんから、こんな話題も出来ちゃいますね」
「珍しく出かけてるからねぇ。真理に挑むって、何考えてんだか」
「あはは、賢者の石も持っていってましたからねぇ。まるで鋼○錬金術師――」
そこまで言いかけて、はたと思い出した事実。
そーいえば、あの漫画の真理って結構えげつなかったような気が。
具体的にいうと、人体錬成の時に母親が人の形してなかったりとか他諸々。
……あれ、もしかしてパチェカブラ爆誕フラグ?
お嬢様も同じことに気がついたようで、顔が真っ青になって、私と目があいます。
お互い、考えていたことがわかったのでしょう。二人同時にガタッと立ち上がり――
『パチュリー様(パチェ)が危ない!!?』
大慌てでパチュリー様を探しにいく私とお嬢様でした。
▼
おまけ・その頃のパチュリーさん。
「店主、賢者の石とこの本を交換よ」
「見た目が未成年な人にはお売りできません」
「……なん……だと?」
今日の幻想郷は平和にツッコミ不在です。
幼く小さい体ながらも膨大な魔力を秘めたその人は、レミリア・スカーレット様である。
「小悪魔、パチェは?」
「お出かけになられましたよ? 『私は賢者の石で真理に挑む!』とかなんとか」
「ふーん、パチェも最近アクティブになったわねぇ」
「パチュリー様がオンゲーのモンスターになったようです」
「画面外からロイヤル・フレアね、きっと」
え、何それ怖いです。
それはともかく、まさかこのまま家主を放置するなど愚の骨頂。
そんなわけで、テーブルに案内すると自慢の紅茶とクッキーを用意してレミリアお嬢様の傍に控えます。
まるでメイドですね。
「ま、いいや。小悪魔、ちょっと私の相手をしなさい」
「夜の相手でしたら何時でも」
「自惚れるなよ戯け。そんな台詞は私を骨抜きにしてからいう事ね」
「物理的に?」
「とうとう私も軟体生物の仲間入りか」
「レミリア・タコーレット爆誕ですか。胸熱です」
涙目でぽかぽか叩かれました。なんだか変な想像しちゃったみたい。
そんなアホな話はいいから座れ。ということだったので、ほいほい言葉にしながら隣に座ります。
コホンと一息つくお嬢様。顔がまだ赤いですが、そこは指摘しないのが吉でしょう。
「お前はなんというか、いつもどおりね。その頭の中身をのぞいて見たいわ」
「こぁーっこぁっこぁっこぁ。お言葉ですがお嬢様、私にはブレーキなんて存在しておりません!」
「いや、見りゃわかる」
「まぁ酷い」
自分の分もコポコポ紅茶を注ぐ。最近お気に入りのものですが、コレが中々おいしゅうございます。
今度、提供してくださった阿求さんにはお礼をせねばなりませんね。
「ていうかさ、お前その笑い方なんか変じゃない?」
「そうですか? 子供の頃からこんな感じだったんですが」
「そりゃさぞかし奇怪な子供だったろうね」
失敬な、などと思いましたが、結構事実なんで何も言い返せません。がっでむ。
「それをいうなら、お嬢様の『うー』っていう口癖も正直どうかと」
「口癖じゃないし」
「いや、結構言ってますよ。わりと聞いてる気がします」
「うー」
「ほら、言った」
「うー、うー!」
「れみりゃ?」
「うー!!」
気に入らなかったのかほっぺた抓られました。お嬢様もノリノリだったくせにぃ!
そんなわけで、絶賛ほっぺた引っ張られて口がスライムみたいになってる私を見て満足したのか、お嬢様は満足げにウンウンと頷きました。
「まったく、お馬鹿な小悪魔はこういうマヌケ面が似合うわね」
「こんなときこそ、口癖で高笑いです!」
「うーっ、うっうっうっうっうっ!」
「こぁーっこぁっこぁっこぁっ!」
「うーっ、うっうっうっうっうっうっうっ!!」
「こぁーっこぁっこぁっこぁっこぁっこぁ!!」
「笑いにくい」
「ですよね」
残念ながら没だったようです。いや、確かに笑いにくいですけど。
そんなわけで、ようやく解放された頃には頬っぺたがぷっぷく膨れてリスみたい。
「ヘケ!」
「ハムスター乙」
「ハ○太郎といわないお嬢様に愛を感じます」
「愛は取り戻すものよ。覚えておきなさい」
「世紀末ですね、わかりたくありません」
実際、巫女辺りが結構世紀末な気がするのはどういうことか。
この間も、妹様相手に一撃必殺余裕ですな技をぶちかますのは正直どうかと。
あぁ、いつから幻想郷のスペルカードルールは世紀末なことになってしまったのでしょう。
オラ、ワクワクしてきたぞ!
「お嬢様たちが一撃必殺を覚えるそうです」
「妹がリアルで一撃必殺出来るんだけど」
「きゅっとして」
「どかーん!」
「配管工が入るのは?」
「土管ッ!」
イエーイとあまりの意気投合ぶりに手を打ち合わせる私とお嬢様でした。
「そうそう、妹といえばフランがこの間泣きながら部屋に来たんだけど、何か知らない?」
「あぁ、私がプレゼントしたマトリョシカが原因かも」
「中からまた人形が出てくる奴だっけ?」
「はい。ハニワの形で」
「何故ハニワをチョイスしたし」
「外に出された順から何かボソボソと呟く不気味仕様です。『いあ いあ はすたぁ』と呟きます」
「嫌過ぎる」
残念ながらお気に召されなかったようです。慣れてくると愛着が沸くというのに、ちょっと残念。
しかし、それはそれ。これはこれ。人の好き嫌いは千差万別なのですよ。
自分が好きだからといって、相手がそれを好きだとは限らない。無為な押し付けは苦痛でしかないのです。
今度、ちゃんと別のを用意しましょう。最後にタイラントが飛び出すカワイイ天使型マトリョシカとか。
「にしても、この紅茶はなかなか美味しいわね」
「ふふ、とっておきですから」
「まぁ、咲夜には劣るけどね」
「ノロケですか?」
「いいや、子供自慢だ」
「親馬鹿きましたコレ!」
もう一回頬っぺた引っ張られました。ぐいぐい引っ張ってとっても痛いです。
「らめぇ! それ以上されたらおもちになっちゃうのぉ!!」
「いや、どっちかっていうとおたふくだわ」
「秘儀・福笑い!!」
「気持ち悪ぃ」
さすがお嬢様、台詞に容赦が在りません。
そこに痺れませんし憧れません! あと、ついでに暴力反対です!
「お嬢様がナチュラルに鬼畜なんですが」
「吸血鬼だからねぇ」
「親戚はチュパカブラに違いありません! ……あ、聞くだけだとなんかイケナイ気分になりそうです」
「チュパの部分が?」
「チュパチュパですね」
「なら、パチェカブラに改名よ!」
「パチュリー様が未確認生物と融合するそうです」
ツボにはまったのか、お嬢様はクスクスと可笑しそうに笑っています。
かくいう私も、うっかり想像してしまってクスクスと笑ってしまっていましたけど。
「今はパチュリー様もいませんから、こんな話題も出来ちゃいますね」
「珍しく出かけてるからねぇ。真理に挑むって、何考えてんだか」
「あはは、賢者の石も持っていってましたからねぇ。まるで鋼○錬金術師――」
そこまで言いかけて、はたと思い出した事実。
そーいえば、あの漫画の真理って結構えげつなかったような気が。
具体的にいうと、人体錬成の時に母親が人の形してなかったりとか他諸々。
……あれ、もしかしてパチェカブラ爆誕フラグ?
お嬢様も同じことに気がついたようで、顔が真っ青になって、私と目があいます。
お互い、考えていたことがわかったのでしょう。二人同時にガタッと立ち上がり――
『パチュリー様(パチェ)が危ない!!?』
大慌てでパチュリー様を探しにいく私とお嬢様でした。
▼
おまけ・その頃のパチュリーさん。
「店主、賢者の石とこの本を交換よ」
「見た目が未成年な人にはお売りできません」
「……なん……だと?」
今日の幻想郷は平和にツッコミ不在です。
親馬鹿なお嬢様が素敵です。そしてこあは何故マトリョシカにこだわるw
完敗です
なんかすごく和む……
パッチェさん……見た目未成年ではお断りな真理って何を読もうとしたの……
なにこいつら可愛い
65535年は眺めてられるわ
気になります。
楽しませていただきました。
これからも笑い続けて下さい
いまさらだが作者さんの読み方は「はくはくとう」でいいんだろうか
パチェリーもボケる側だったのか……