紅魔館からは少し離れた湖の畔に、二つの人影が対峙している。
しかし、その影が人間のものではない事は誰の目から見ても明らかであった。
二本の脚で大地に立つ姿は人間を模して造られたものに違いないのだが、とにかくそのサイズが巨大なのだ。
空はどこまでも曇り渡り、風はない。
「二人とも準備はいいかしら?」
パチュリー・ノーレッジは手元の通信機に向かって話しかけ、一言二言注意を告げると、自らの手を天高く掲げて叫んだ。
「ロボファイト!!レディィィィィゴーーー!!!」
話は一週間前に遡る。
「あなたに借りた本、すごく面白かったわ」
レミリア・スカーレットは満足げにそう言うと、紅茶に口を付けながら物語の情景を反芻するように目を閉じた。
彼女の後ろには大量の漫画やノベルが積まれており、その大半が巨大なロボットに乗って戦う類のものである。
そこには熱い闘いが、愛が、友情が、そして何より胸を高鳴らせる浪漫があった。
「そう言ってもらえると、こちらも貸した甲斐があったというものです」
対面に座る東風谷早苗が満面の笑みで答える。
退屈そうにしていたレミリアに大量の本を貸したのは彼女であった。
「私もロボットに乗って戦ってみたいねぇ」
「いやぁ、人間が乗って戦えるような人型ロボットは外の世界でもまだ実用化されてませんから」
心から残念そうにそう言った早苗は、私だって一度くらいロボットに乗ってみたいですと続けた。
「あれ?以前あんたの所で大きな動くロボットを造ったって聞いたんだけど?」
「まぁ似たようなものは以前うちで造った事があるんですけど、残念ながらただのハリボテで肝心の中身が・・・」
と、早苗は突然何かを思いついた様子で言葉を止めると、上方に視線を移して少しの間、思案する。
「・・・とりあえず一体だけなら、こちらで用意できるかもしれません」
早苗が面白い悪戯を思いついた子供のような表情でそう告げると、レミリアも身を乗り出して答える。
「なら決まりね。運良くこちらにもいるのよ、月まで行けるロケットを造った優秀なメカニックが」
「まぁそんなわけで、レミィの我儘には本当に毎度毎度苦労させられるわ」
「はぁ・・・」
パチュリーの愚痴を聞きながら、雲居一輪は眼前にそびえ立っているモノを見上げた。
重装甲型ゴーレムロボ「GGG(ジャイアント・ゴーレム・グレート)」、命名レミリア。
ゴーレムとは名ばかりで、再生能力は持っていないし自立もしていない。暇そうにしていたアリスの協力を得て造られた巨大な操り土人形であり、操縦はパチュリーの魔力による遠隔操作である。
複雑な動きは出来ないし挙動は遅いがそこそこ頑丈で、その重量から繰り出されるパンチの威力はなかなかのものである。
一応胸の部分には搭乗者スペースがあり、現在レミリアはそこに乗り込んでいる。
(なんだかなぁ・・・)
一輪は苦笑しながら、GGGと相対するもう一体の巨人を見上げた。
高機動型入道ロボ「雲ダム(うんだむ)」、命名早苗。
中身のない非想天則の中に巨大化した雲山が入って動かしているだけである。操縦―と呼べるかはわからないが―は通信機による一輪の指示。
装甲は何しろハリボテなので薄いが、生身と変わらぬ高い機動力がウリである。
こちらも胸の部分にスペースがあり、早苗が搭乗している。
一週間前、命蓮時を訪ねてきた早苗が突然、一輪と雲山の力を借りたいと言ってきた。
当然、彼女らは全く気乗りしなかったのだが、寺の建設に協力してもらった恩もあるということで、聖に説得されて今に至るわけである。
(まさかこんなバカバカしい戦いに巻き込まれることになるとは・・・)
試合のルールは1対1で闘い、雲ダムの装甲が50パーセント以上(目測)剥がれるか、GGGが破壊されれば決着である。
ちなみにどちらの機体にも通信機が内蔵されており、審判のパチュリー及びお互いの声が聞こえるようになっていた。
「あぁ・・・ロボットに乗って闘えるなんて夢のようだわ」
うっとりとした表情で早苗が呟く。巨大ロボでの対決など、外の世界では考えられない遊びだった。
「私も、こんなにワクワクするのは久しぶりだよ」
対するレミリアも自分の唇をぺろりと舐めて興奮を抑えきれない表情だ。
はっきり言って両機体ともロボ要素は皆無に等しいが、満足気な二人は全く気にした様子もない。
観戦者の二人がバトルに巻き込まれない場所まで避難すると、辺りには徐々に緊迫した空気が高まる。
緊張したパチュリーがゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
「レミィのGGGと早苗の雲ダム、二人の機体性能はまさに対極・・・この勝負、荒れるわね」
「愚痴ってたわりに一番ノリノリじゃない・・・」
握りしめた拳に汗を滲ませるパチュリーを見て、一輪は溜息をついた。
パチュリーは荒くなった呼吸を整え、通信機に向かって話しかける。
「二人とも準備はいいかしら?ルールはさっき説明した通り。危険を感じたら自己判断ですぐに脱出すること、OK?」
『はい!』
『わかったわ!』
両者の声を受け、パチュリーが大きく息を吸い込む。
「ロボファイト!!レディィィィィゴーーー!!!」
大地を揺るがすとびっきり大きな決闘が幕を開けた。
「先手必勝!いっちょビビらせてやるわ!」
『はいよ』
ズゥン!!レミリアのGGGが一歩を踏み出すと地響きが鳴り、繰り出された豪快な右拳で空気が唸り声を上げる。
「あわわ・・・」
早苗は巻き起こる風を浴びて慌てるが、雲ダムは冷静な動きでその一撃を避け、一度後ろへ後退する。
「どうした、焦りが顔に出てるよ?」
「むむ・・・やりますね。一輪さん、こちらも!」
『はいはい』
負けじと雲ダムが強烈なパンチをお見舞いするも、GGGは頑丈な腕でしっかりと攻撃をガードする。
「貧弱!貧弱ゥ!」
「くっ、堅い・・・ッ!」
「それ、もう一発!」
GGGがさらに拳を振りおろすが、これも雲ダムが紙一重でかわしたため空振りに終わった。
「なんて攻撃なの・・・」
『大丈夫、雲山はこんなパンチ止まって見えると言ってるわ』
その後も二体の巨人は互いに激しい攻防を繰り広げる。二対の巨躯がぶつかり合う衝撃で木々が揺れ、湖は波打つ。
タイプの違う両者の勝負は熾烈を極めたが、しかしどちらも致命打を与える事が出来ないでいた。
GGGから放たれる重い攻撃は当たれば確実に大きなダメージを与えられるだろう、だが軽快な動きで翻弄する雲ダムを捉えるのは至難の業である。
一方の雲ダムも、分厚い装甲と手堅い防御で守られたGGGに決定的なダメージを与えることができない。
(確実にダメージは与えていますがやはり相手の防御が堅い、アレを使うしか・・・)
(鈍重なゴーレムと軽装の入道では機動力が桁違いだわ、何か速度のある攻撃を・・・)
「ロケットパァァァンチ!!」
「ビィィィムキャノン!!」
掛け声と共に雲ダムの腕が飛び出してGGGの肩に直撃する。対するGGGのコックピットから発射された赤い高速の光は、相手の攻撃によって僅かに軌道がずれたため、雲ダムの脇腹の装甲を薄く削って後方に立っていた木々を薙ぎ倒すに終わった。
「あー!ずるいです!!それってただのグングニルですよね!?」
「グングニルじゃないですービームキャノンですー!あんたのロケットパンチだってただの雲山のパンチじゃない!!」
子供のようにギャーギャーと騒ぐ二人を、パチュリーと一輪が呆れた表情で眺めていた。
「レミィ・・・」
「頼むから中身が雲山だって事を忘れないで・・・」
そしてまた一進一退の攻防に戻る2体の巨人。勝負はこのまま長期戦にもつれ込むことが予想されたのだが…
「あの、パチュリー様」
事態は、パチュリーの背後から現れた十六夜咲夜によって急展開を迎える。
『レミィ、報告よ。咲夜に代わるわね』
「了解」
咲夜は最初、通信機の扱いに少し戸惑っている様子だったが「あー、あー」と試しに声を出した後すぐにいつもの平坦な声が聞こえてきた。
『お嬢様、もうすぐおゆはんの準備が出来ます』
「えっ、もうそんな時間?・・・仕方ないわね」
レミリアはふぅと溜息を漏らすと、改めて真剣な表情で早苗の方に向き直る。
「悪いが、どうやらタイムリミットのようだ・・・次の一撃で決めさせてもらうよ!」
「わかりました。では、こちらも全力で迎え撃ちましょう・・・ウイング展開!!」
早苗の掛け声と共に、雲ダムが背中に収納されていた赤い両翼を自分の手で外に引っ張り出した。(※飛べません)
「うおおおお!!かっけええええ!!!」
翼を広げた雲ダムを見て、興奮したレミリアが思わず身を乗り出す。
『大丈夫よレミィ!こちらも一段階上のスーパーモードを搭載しているわ!!』
「何っ!?じゃあこっちもスーパーモード!!」
レミリアの声により、天高く拳を突き上げたGGGの装甲が金色に輝き始める。(※光るだけです)
「うわあああ!!格好いいですううう!!!」
『もうどうでもいいよ・・・』
早苗が目を輝かせ、一輪が諦めの声を垂れ流した。
熱い火花を散らす早苗とレミリア、互いのテンションが今、決戦を終着点へと押し流す。
「うおおおおおおおおおおお!!!」
「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
二つの巨大な力の衝突によって爆音が鳴り響き、幻想郷の大気が震えた。
激しい闘いによって瓦礫と化した雲ダムとGGGを背に、早苗とレミリアは並んで大の字になって寝転がっていた。
「引き分けか・・・」
「えぇ、そうみたいですね・・・」
結局、二人が放った必殺の一撃によって雲ダムの装甲は大部分が剥がれ落ち、同時に今までのダメージが蓄積していたGGGも瓦解してしまった。
しかし汗と埃にまみれた二人の表情はどこか晴れ晴れとしていて、勝負の結果以上に己の力を出し切った満足感で充実した様子だった。
「レミリアさん、良い勝負でした。私は幻想郷に来てとても幸せです」
「本当に、あなたみたいなのがいるから幻想郷(ここ)は退屈しないのよ」
二人が立ちあがって固い握手を交わしていると、そこへ人間サイズまで小さくなった雲山がやって来た。
「雲山さん、あなたにも感謝しなければなりませんね。おかげで熱いバトルができました」
満ち足りた笑顔でお礼の言葉を述べる早苗と、同様に爽やかな笑顔で頷くレミリアを交互に見て、雲山は最後に二人にも聞こえる声で呟いた。
「あんたら何もしてないじゃん」
しかし、その影が人間のものではない事は誰の目から見ても明らかであった。
二本の脚で大地に立つ姿は人間を模して造られたものに違いないのだが、とにかくそのサイズが巨大なのだ。
空はどこまでも曇り渡り、風はない。
「二人とも準備はいいかしら?」
パチュリー・ノーレッジは手元の通信機に向かって話しかけ、一言二言注意を告げると、自らの手を天高く掲げて叫んだ。
「ロボファイト!!レディィィィィゴーーー!!!」
話は一週間前に遡る。
「あなたに借りた本、すごく面白かったわ」
レミリア・スカーレットは満足げにそう言うと、紅茶に口を付けながら物語の情景を反芻するように目を閉じた。
彼女の後ろには大量の漫画やノベルが積まれており、その大半が巨大なロボットに乗って戦う類のものである。
そこには熱い闘いが、愛が、友情が、そして何より胸を高鳴らせる浪漫があった。
「そう言ってもらえると、こちらも貸した甲斐があったというものです」
対面に座る東風谷早苗が満面の笑みで答える。
退屈そうにしていたレミリアに大量の本を貸したのは彼女であった。
「私もロボットに乗って戦ってみたいねぇ」
「いやぁ、人間が乗って戦えるような人型ロボットは外の世界でもまだ実用化されてませんから」
心から残念そうにそう言った早苗は、私だって一度くらいロボットに乗ってみたいですと続けた。
「あれ?以前あんたの所で大きな動くロボットを造ったって聞いたんだけど?」
「まぁ似たようなものは以前うちで造った事があるんですけど、残念ながらただのハリボテで肝心の中身が・・・」
と、早苗は突然何かを思いついた様子で言葉を止めると、上方に視線を移して少しの間、思案する。
「・・・とりあえず一体だけなら、こちらで用意できるかもしれません」
早苗が面白い悪戯を思いついた子供のような表情でそう告げると、レミリアも身を乗り出して答える。
「なら決まりね。運良くこちらにもいるのよ、月まで行けるロケットを造った優秀なメカニックが」
「まぁそんなわけで、レミィの我儘には本当に毎度毎度苦労させられるわ」
「はぁ・・・」
パチュリーの愚痴を聞きながら、雲居一輪は眼前にそびえ立っているモノを見上げた。
重装甲型ゴーレムロボ「GGG(ジャイアント・ゴーレム・グレート)」、命名レミリア。
ゴーレムとは名ばかりで、再生能力は持っていないし自立もしていない。暇そうにしていたアリスの協力を得て造られた巨大な操り土人形であり、操縦はパチュリーの魔力による遠隔操作である。
複雑な動きは出来ないし挙動は遅いがそこそこ頑丈で、その重量から繰り出されるパンチの威力はなかなかのものである。
一応胸の部分には搭乗者スペースがあり、現在レミリアはそこに乗り込んでいる。
(なんだかなぁ・・・)
一輪は苦笑しながら、GGGと相対するもう一体の巨人を見上げた。
高機動型入道ロボ「雲ダム(うんだむ)」、命名早苗。
中身のない非想天則の中に巨大化した雲山が入って動かしているだけである。操縦―と呼べるかはわからないが―は通信機による一輪の指示。
装甲は何しろハリボテなので薄いが、生身と変わらぬ高い機動力がウリである。
こちらも胸の部分にスペースがあり、早苗が搭乗している。
一週間前、命蓮時を訪ねてきた早苗が突然、一輪と雲山の力を借りたいと言ってきた。
当然、彼女らは全く気乗りしなかったのだが、寺の建設に協力してもらった恩もあるということで、聖に説得されて今に至るわけである。
(まさかこんなバカバカしい戦いに巻き込まれることになるとは・・・)
試合のルールは1対1で闘い、雲ダムの装甲が50パーセント以上(目測)剥がれるか、GGGが破壊されれば決着である。
ちなみにどちらの機体にも通信機が内蔵されており、審判のパチュリー及びお互いの声が聞こえるようになっていた。
「あぁ・・・ロボットに乗って闘えるなんて夢のようだわ」
うっとりとした表情で早苗が呟く。巨大ロボでの対決など、外の世界では考えられない遊びだった。
「私も、こんなにワクワクするのは久しぶりだよ」
対するレミリアも自分の唇をぺろりと舐めて興奮を抑えきれない表情だ。
はっきり言って両機体ともロボ要素は皆無に等しいが、満足気な二人は全く気にした様子もない。
観戦者の二人がバトルに巻き込まれない場所まで避難すると、辺りには徐々に緊迫した空気が高まる。
緊張したパチュリーがゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
「レミィのGGGと早苗の雲ダム、二人の機体性能はまさに対極・・・この勝負、荒れるわね」
「愚痴ってたわりに一番ノリノリじゃない・・・」
握りしめた拳に汗を滲ませるパチュリーを見て、一輪は溜息をついた。
パチュリーは荒くなった呼吸を整え、通信機に向かって話しかける。
「二人とも準備はいいかしら?ルールはさっき説明した通り。危険を感じたら自己判断ですぐに脱出すること、OK?」
『はい!』
『わかったわ!』
両者の声を受け、パチュリーが大きく息を吸い込む。
「ロボファイト!!レディィィィィゴーーー!!!」
大地を揺るがすとびっきり大きな決闘が幕を開けた。
「先手必勝!いっちょビビらせてやるわ!」
『はいよ』
ズゥン!!レミリアのGGGが一歩を踏み出すと地響きが鳴り、繰り出された豪快な右拳で空気が唸り声を上げる。
「あわわ・・・」
早苗は巻き起こる風を浴びて慌てるが、雲ダムは冷静な動きでその一撃を避け、一度後ろへ後退する。
「どうした、焦りが顔に出てるよ?」
「むむ・・・やりますね。一輪さん、こちらも!」
『はいはい』
負けじと雲ダムが強烈なパンチをお見舞いするも、GGGは頑丈な腕でしっかりと攻撃をガードする。
「貧弱!貧弱ゥ!」
「くっ、堅い・・・ッ!」
「それ、もう一発!」
GGGがさらに拳を振りおろすが、これも雲ダムが紙一重でかわしたため空振りに終わった。
「なんて攻撃なの・・・」
『大丈夫、雲山はこんなパンチ止まって見えると言ってるわ』
その後も二体の巨人は互いに激しい攻防を繰り広げる。二対の巨躯がぶつかり合う衝撃で木々が揺れ、湖は波打つ。
タイプの違う両者の勝負は熾烈を極めたが、しかしどちらも致命打を与える事が出来ないでいた。
GGGから放たれる重い攻撃は当たれば確実に大きなダメージを与えられるだろう、だが軽快な動きで翻弄する雲ダムを捉えるのは至難の業である。
一方の雲ダムも、分厚い装甲と手堅い防御で守られたGGGに決定的なダメージを与えることができない。
(確実にダメージは与えていますがやはり相手の防御が堅い、アレを使うしか・・・)
(鈍重なゴーレムと軽装の入道では機動力が桁違いだわ、何か速度のある攻撃を・・・)
「ロケットパァァァンチ!!」
「ビィィィムキャノン!!」
掛け声と共に雲ダムの腕が飛び出してGGGの肩に直撃する。対するGGGのコックピットから発射された赤い高速の光は、相手の攻撃によって僅かに軌道がずれたため、雲ダムの脇腹の装甲を薄く削って後方に立っていた木々を薙ぎ倒すに終わった。
「あー!ずるいです!!それってただのグングニルですよね!?」
「グングニルじゃないですービームキャノンですー!あんたのロケットパンチだってただの雲山のパンチじゃない!!」
子供のようにギャーギャーと騒ぐ二人を、パチュリーと一輪が呆れた表情で眺めていた。
「レミィ・・・」
「頼むから中身が雲山だって事を忘れないで・・・」
そしてまた一進一退の攻防に戻る2体の巨人。勝負はこのまま長期戦にもつれ込むことが予想されたのだが…
「あの、パチュリー様」
事態は、パチュリーの背後から現れた十六夜咲夜によって急展開を迎える。
『レミィ、報告よ。咲夜に代わるわね』
「了解」
咲夜は最初、通信機の扱いに少し戸惑っている様子だったが「あー、あー」と試しに声を出した後すぐにいつもの平坦な声が聞こえてきた。
『お嬢様、もうすぐおゆはんの準備が出来ます』
「えっ、もうそんな時間?・・・仕方ないわね」
レミリアはふぅと溜息を漏らすと、改めて真剣な表情で早苗の方に向き直る。
「悪いが、どうやらタイムリミットのようだ・・・次の一撃で決めさせてもらうよ!」
「わかりました。では、こちらも全力で迎え撃ちましょう・・・ウイング展開!!」
早苗の掛け声と共に、雲ダムが背中に収納されていた赤い両翼を自分の手で外に引っ張り出した。(※飛べません)
「うおおおお!!かっけええええ!!!」
翼を広げた雲ダムを見て、興奮したレミリアが思わず身を乗り出す。
『大丈夫よレミィ!こちらも一段階上のスーパーモードを搭載しているわ!!』
「何っ!?じゃあこっちもスーパーモード!!」
レミリアの声により、天高く拳を突き上げたGGGの装甲が金色に輝き始める。(※光るだけです)
「うわあああ!!格好いいですううう!!!」
『もうどうでもいいよ・・・』
早苗が目を輝かせ、一輪が諦めの声を垂れ流した。
熱い火花を散らす早苗とレミリア、互いのテンションが今、決戦を終着点へと押し流す。
「うおおおおおおおおおおお!!!」
「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
二つの巨大な力の衝突によって爆音が鳴り響き、幻想郷の大気が震えた。
激しい闘いによって瓦礫と化した雲ダムとGGGを背に、早苗とレミリアは並んで大の字になって寝転がっていた。
「引き分けか・・・」
「えぇ、そうみたいですね・・・」
結局、二人が放った必殺の一撃によって雲ダムの装甲は大部分が剥がれ落ち、同時に今までのダメージが蓄積していたGGGも瓦解してしまった。
しかし汗と埃にまみれた二人の表情はどこか晴れ晴れとしていて、勝負の結果以上に己の力を出し切った満足感で充実した様子だった。
「レミリアさん、良い勝負でした。私は幻想郷に来てとても幸せです」
「本当に、あなたみたいなのがいるから幻想郷(ここ)は退屈しないのよ」
二人が立ちあがって固い握手を交わしていると、そこへ人間サイズまで小さくなった雲山がやって来た。
「雲山さん、あなたにも感謝しなければなりませんね。おかげで熱いバトルができました」
満ち足りた笑顔でお礼の言葉を述べる早苗と、同様に爽やかな笑顔で頷くレミリアを交互に見て、雲山は最後に二人にも聞こえる声で呟いた。
「あんたら何もしてないじゃん」
なんて素敵な幻想郷。
おぜうの絶叫と完全シンクロw
かっけえ…アンタかっけえよ!!
しかもおもしろい!!
面白かったですw
>グングニルじゃないですービームキャノンですー!
おぜうさまかわいいよおぜうさま
おぜうさまもすっかり虜になっていますねー。
こういう活き活きしている早苗さん大好きです、もっと広めちゃってくださいw
あとパチュリー
>「ロボファイト!!レディィィィィゴーーー!!!」
お前喘息はどうしたwww
なんだかんだでノリノリなぱちゅりーと雲山がくすりときましたw
GGGのGを一個UNDAMに分けてもらうことにより…。
なんか雲山がばらばらになってターンXみたいになるの想像してましたw
光るだけじゃなくハードネスかけてやれよパッチェさん
翼じゃなくアイビーム撃たせてやれよ一輪さん