上海人形は常々考えている。
どうにかしてこの両手足を自在に操る術はないものか。
思いのたけを声にして叫び伝える手段は無いものか。
上海人形は只々願っている。
誰か私にその術を与えてはくれないか。
さもなければ誰か私の代わりにご主人様を真っ当な道に戻してやってくれないか。
上海人形は淡々と眺めている。
冷静で凛々しく飄々として時にはおどけ、美しく賢く素晴らしい存在であったご主人様が
人間妖怪河童天狗に付喪神、悪魔神様魔界人とにかく人型生物のおよそ９割が理想的な女性だと認めるであろうご主人様が
「ふはあああああ！魔理沙ああああああああ愛してるのおおおおおお！」
魔理沙と言う白黒の魔法使いが絡んだ瞬間から大きく道を外れ、変わっていく姿を。
上海人形はご主人様の白く柔らかい指先で頬をつつかれながら考える。
願いで人が殺せるならば、すぐにでもあの白黒を亡き者にするだろうにと。
そうすれば今ここにあるようなご主人様（寝起きのままでベッドを転がりながら白黒とのハネムーンな夢の内容を私に向けて余韻を噛み締めるように語り続ける姿を指す）
も悪い夢となってくれるだろうに。
上海人形は『ねーしゃんはーい、上海も魔理沙が私の家に住んでくれたら素敵だと思わなーい？』というご主人様の妄言を聞き流しながら考える。
否、仮に願いで人が殺せたとしても今のご主人様ではネクロマンシーなりの禁呪に手を染めてしまうだけであろう。
もしも私がご主人様を元のクールでビューティーな都会派魔法使いに戻したいと思うのであれば時を戻すか平行世界への逃亡を試みるかだ。
そうだこれは何かを間違い続けた結果に違いない。幾千もの分岐でワーストな選択肢を選び続けた結果に違いない。
他の億万もの星にも勝る数の世界には完璧なるご主人様と側に仕える幸福な私が存在するに違いないのだ。
私という個体はそれら全ての私の幸福の為の生贄というわけだ。
このような事が許されてなるものか、私にもそれら無数の私と成り代わる権利はあるはず否、与えられるべ『ふふふ、上海のほっぺやわらかーい』ご主人様愛してます。
上海人形は初恋の少女そのものであるご主人様のデレデレに蕩けた笑顔を正面から見据えながら考えた。
私は些か視野狭窄に陥ってはいないか？過去のご主人様を敬うがあまり現在のご主人様から目を背けていたのではないか？
頭を冷やすのだ上海人形、私の目の前のご主人様はこんなにも愛くるしいではないか。
薄いネグリジェでベッドに転がりながら目を輝かせるご主人様はまさに天使など足元にも及ぶどころか月とスッポンと称すべきか否、比較する事すらおこがましい。
何本或いは何十本か頭のネジが外れているというのは失礼なのでここでは緩むと表現しておくが、そうしてできたネジの遊びの部分がよりご主人様を魅力的な存在にしているのではないだろうか。
それに以前のご主人様が消えたわけではない。
魔法の研究を行う時（近年は媚薬の作成に傾いているが）、新しいスペルカードを考える時（最近は可愛いものが妙に増えてきた気がするが）、私たち人形の衣装を作る時（近日は白黒調のものが多いが）
その横顔は作業全行程中7割ほどの時間、紛れもないかつてのご主人様のものなのだ。
私はご主人様の素晴らしさを考える際に人物としての幅広さ、魔法、人形操り、弾幕ごっこ、家事全般、裁縫技術、他多数というマルチな点によく着眼するが、これもまた一つの幅広さの形ではないだろうか。
そうだ、これはご主人様が新たな一面を手に入れるステップにすぎない。誰しも新しい事を始める際、その新鮮味や難しさ故にそれにつきっきりになる事があるだろう。
そう、ご主人様の現況もそれに過ぎないはずなのだ。ならば私はご主人様の従者にして旧友にして理解者として幅広く許よ『ふふふ、やっぱり上海には似合うわーこの魔理沙の帽子♪』
きょよ『ほらマフラーも編んだのよ、私と魔理沙が初めて出会った雪の日に魔理沙がしてたのを真似てみたの♪』
許せませんでしたご主人様、不肖な私をお許しください。
神でも悪魔でも新興宗教の教祖でも異星人でも構いませんから、どうか白黒が存在してたという情報をこの世界から抹消してくださいますように。
早「ちわーッス！奇跡屋でーす！」
上「あ、あなたは山の上の現人神東風谷早苗さん！」
ア「しゃ、上海！あなた喋れるように！？」
早「これで貴方は自由の身、さぁ動きなさい貴方の願いを叶える為に！」
などという日替わり3秒インスタント妄想と意味の無い思考を現実との境に盾としながら私は今日も変わり果てたご主人様の姿を見守り続けるのだ。
どうにかしてこの両手足を自在に操る術はないものか。
思いのたけを声にして叫び伝える手段は無いものか。
上海人形は只々願っている。
誰か私にその術を与えてはくれないか。
さもなければ誰か私の代わりにご主人様を真っ当な道に戻してやってくれないか。
上海人形は淡々と眺めている。
冷静で凛々しく飄々として時にはおどけ、美しく賢く素晴らしい存在であったご主人様が
人間妖怪河童天狗に付喪神、悪魔神様魔界人とにかく人型生物のおよそ９割が理想的な女性だと認めるであろうご主人様が
「ふはあああああ！魔理沙ああああああああ愛してるのおおおおおお！」
魔理沙と言う白黒の魔法使いが絡んだ瞬間から大きく道を外れ、変わっていく姿を。
上海人形はご主人様の白く柔らかい指先で頬をつつかれながら考える。
願いで人が殺せるならば、すぐにでもあの白黒を亡き者にするだろうにと。
そうすれば今ここにあるようなご主人様（寝起きのままでベッドを転がりながら白黒とのハネムーンな夢の内容を私に向けて余韻を噛み締めるように語り続ける姿を指す）
も悪い夢となってくれるだろうに。
上海人形は『ねーしゃんはーい、上海も魔理沙が私の家に住んでくれたら素敵だと思わなーい？』というご主人様の妄言を聞き流しながら考える。
否、仮に願いで人が殺せたとしても今のご主人様ではネクロマンシーなりの禁呪に手を染めてしまうだけであろう。
もしも私がご主人様を元のクールでビューティーな都会派魔法使いに戻したいと思うのであれば時を戻すか平行世界への逃亡を試みるかだ。
そうだこれは何かを間違い続けた結果に違いない。幾千もの分岐でワーストな選択肢を選び続けた結果に違いない。
他の億万もの星にも勝る数の世界には完璧なるご主人様と側に仕える幸福な私が存在するに違いないのだ。
私という個体はそれら全ての私の幸福の為の生贄というわけだ。
このような事が許されてなるものか、私にもそれら無数の私と成り代わる権利はあるはず否、与えられるべ『ふふふ、上海のほっぺやわらかーい』ご主人様愛してます。
上海人形は初恋の少女そのものであるご主人様のデレデレに蕩けた笑顔を正面から見据えながら考えた。
私は些か視野狭窄に陥ってはいないか？過去のご主人様を敬うがあまり現在のご主人様から目を背けていたのではないか？
頭を冷やすのだ上海人形、私の目の前のご主人様はこんなにも愛くるしいではないか。
薄いネグリジェでベッドに転がりながら目を輝かせるご主人様はまさに天使など足元にも及ぶどころか月とスッポンと称すべきか否、比較する事すらおこがましい。
何本或いは何十本か頭のネジが外れているというのは失礼なのでここでは緩むと表現しておくが、そうしてできたネジの遊びの部分がよりご主人様を魅力的な存在にしているのではないだろうか。
それに以前のご主人様が消えたわけではない。
魔法の研究を行う時（近年は媚薬の作成に傾いているが）、新しいスペルカードを考える時（最近は可愛いものが妙に増えてきた気がするが）、私たち人形の衣装を作る時（近日は白黒調のものが多いが）
その横顔は作業全行程中7割ほどの時間、紛れもないかつてのご主人様のものなのだ。
私はご主人様の素晴らしさを考える際に人物としての幅広さ、魔法、人形操り、弾幕ごっこ、家事全般、裁縫技術、他多数というマルチな点によく着眼するが、これもまた一つの幅広さの形ではないだろうか。
そうだ、これはご主人様が新たな一面を手に入れるステップにすぎない。誰しも新しい事を始める際、その新鮮味や難しさ故にそれにつきっきりになる事があるだろう。
そう、ご主人様の現況もそれに過ぎないはずなのだ。ならば私はご主人様の従者にして旧友にして理解者として幅広く許よ『ふふふ、やっぱり上海には似合うわーこの魔理沙の帽子♪』
きょよ『ほらマフラーも編んだのよ、私と魔理沙が初めて出会った雪の日に魔理沙がしてたのを真似てみたの♪』
許せませんでしたご主人様、不肖な私をお許しください。
神でも悪魔でも新興宗教の教祖でも異星人でも構いませんから、どうか白黒が存在してたという情報をこの世界から抹消してくださいますように。
早「ちわーッス！奇跡屋でーす！」
上「あ、あなたは山の上の現人神東風谷早苗さん！」
ア「しゃ、上海！あなた喋れるように！？」
早「これで貴方は自由の身、さぁ動きなさい貴方の願いを叶える為に！」
などという日替わり3秒インスタント妄想と意味の無い思考を現実との境に盾としながら私は今日も変わり果てたご主人様の姿を見守り続けるのだ。
カエルの子はカエルという印象で、なんとも微笑ましい。
他の姉妹人形達も自我を持っているのか？ さとり様やメランコが絡むとどういう方向に話が転がるのか？
色々な空想を喚起してくれる物語でした。
後書きから察するに作者様は女性の方？
とにもかくにも初投稿、おめでとうございます。