真冬の事である。
此処は幻想郷。忘れられしモノ達の理想郷。
その中に存在する霧の湖。その湖畔に彼女は居た。
彼女の名はチルノ。冷気を操る程度の力を持っている。
さて、ここで注意して欲しいのはこの能力の使い道についてである。
彼女自身が妖精にしては非常に強力な力を持つ事もあって誤解されているが、あくまで彼女が扱えるのは冷気だけである。例えどれだけ強くとも暖気は扱えないという事。
とどのつまり――
「さっっっっむいいいぃぃいぃぃい!!!!」
彼女も寒さを感じる、と言う事だ。
「これはヤバイ…ヤバイよ…し、死ぬぅ……!」
彼女はさながら達磨かタヌキかと言うほどに着膨れした姿で自分の家に寝転がっていた。
しかしどれだけ着込もうと彼女の家は所詮かまくらに過ぎない。しんしんと雪は降り積り、今も風が吹き込み幾重にも包まれた彼女の体を冷やし、体温を奪っていく。
「なぜ、なぜあたいがこんな目にぃ……」
シクシクと泣くたび体が更に冷えていく。
正直なところ、今までは冬でもなんて事も無く過ごしていたのだ。自分は冷気を操る妖精。冬に最大の力が使えるのは当然だ、そう疑いもせずに思っていた。
だが数日前――
『アイシクルフォールッ!!』
『おわっと!…当たっちまったか、やれやれ』
魔理沙がスカートを叩いて近寄って来た。湖上空でのスペルカード戦は珍しくチルノの勝利で終わった。
『負けたぜ。それにしても、やっぱり冬の間は強いなぁチルノ』
寒い中、冷たい氷を幾百と撃ち込むチルノの戦法は人間にとっては非常に有効だった。
『へへん。そりゃあそうでしょうよ。何てったってあたいなんだから!』
『そうかい。……それはそうとチルノよ』
『なんだい?何でも聞きな!』
えっへんと胸を張るチルノ。そんな彼女に魔理沙は決定的な言葉を叩きつけた。
『寒くないのか?』
『――へ?』
『だってさ。あくまでお前の力は冷気の操作だろ?温度の操作じゃない。ならそんな恰好で寒くないのかな、と前から思ってたんだ』
今の彼女の格好は夏と変わらずワンピースとシャツ。人間なら一発で風邪を引きかねない姿だ。
『えっと…?つまり、どゆことカナ?』
『だからさ。お前は暖かくすることは出来ない訳だ。その上お前の能力で周りは冷えてるけど、お前自身は割と普通の、人間と変らない感じだからな。そこの所どうなのかと』
さて、話は変わるが皆さんはムカデの足の話を御存知だろうか?
ムカデにどうやって歩いているのか訊ねると、ムカデは歩き方を考えだし、終いには歩けなくなると言う、つまり日常特に考えずに行っている事を考えだすと上手くいかなくなるという話だ。
これをチルノに当て嵌めると、『考えずに寒さを耐える術を持っていた』と言う事になる。
そこに魔理沙がチャチャを入れた。ならば当然――
『………さ…い…』
『は?おい、どうしたチルノ』
急に様子が変わったチルノの顔を覗きこんだ瞬間、
『あぁぁあぁぁぁぁぁあぁあさっむいぃぃぃぃいぃいぃぃ!!!』
その後魔理沙が持ってきた服を全て着込んで自宅に篭りきっているという訳だ。
チルノは今、今までの生の中で最低最悪だった。何せ、寒いなんて思った事がなかったのだ。ストーブで暑くなった部屋から、-30度の冬の日に海に叩きこまれた気分だった。
さて、気分はどうあれ、この寒さから何とかして逃れなくてはならない。
どうすればいいか、と思案し続ける。
「そうだ…家の、な…かに…入れ、ば――」
消え入りそうな意識の中閃く。そんなに考えなくても思いつくだろ、等と言わないで上げて欲しい。なにせ、今まではワンピースとシャツで乗り越えてきていたのだ。
そんなこと思いつく訳が無い。いや、思いつく方がどうかしているのだ。そう言う事にしてあげて欲しい。
眠ってしまえば、恐らく春までこの世からサヨナラする事になるだろう。チルノは大急ぎで出発した。取り敢えず何処に行くべきか。
そうだ、紅魔館に向かおう。着膨れしてバランスボールになったチルノは早速紅魔館へ向かった。
門番である紅美鈴は寒さに根を上げる程弱くなかった。彼女はあれでも武を嗜み、かつ極めようとしている。そんな彼女にとって暑さ寒さなど些細なことだった。
だから今日も彼女は門前に立っている。
しかしてこんな真冬、しかも雪の降り続く中やって来る者などいはしない。だから彼女は呆、っと遠方を眺めるばかりだ。寒いのは構わないが、昼ご飯を忘れられている様でお腹がクゥクゥ鳴き出した。早くご飯を食べたいなぁ、等と思っていた矢先。
おおよそ五十メートル前方に何かが浮かんでいた事に気付いた。
それは丸く、直径135センチと言った所いった所。ふよふよと漂いながら、それでも紅魔館へと向かって来ている様だ。
それが敵かそうでないかを見極めるべくジッと睨みつけていたがのだが、
「……?あれは、チルノ、なのかな?」
少しだけある隙間から見える水色の髪、大きな青い眼。その特徴に該当する相手は、美鈴にとってはチルノしかいなかった。
その物体は美鈴の目の前に着陸すると、その隙間をグイと広げて顔だけを出した。
「コンニチワメイリン」
「……こんにちは。どうしたのチルノ?そんなボールみたいな姿になっちゃって」
「ナンデモイイカラナカニイレテ…オネガイ…シヌゥ」
片言でチルノが言う。寒さの余り上手く口が動かないのだ。
その上表情は固まりさながらマネキンの如し。
何があったかまでは解らないが、こんなチルノを見たのは初めてだ。彼女の知るチルノは、いつでも無駄に元気であったのに。
流石にスルーする事も出来ずチルノを館の中へ入れる事にした。
(あ~あ、またお嬢様に怒られるわ。……仕方ないか、どうせ見過ごせないんだし。私ってダメダメだなぁ……ハァ)
すぐにチルノを屋敷に入れて大声で咲夜を呼ぶ。
「さぁ~くやさぁ~ん、きぃ~てくぅださぁ~い!!!」
屋敷中に響く大声。これをすると怒られるのだが、一番手っ取り早い方法なのだ。
案の定、次の瞬間に目の前に咲夜が立っていた。
「だからソレは止めて下さいといつも言っているでしょう?全く、……後ろのソレは何?」
ボール状チルノを指さして言う。
「いやぁ、私も良く分からないんですが、どう見ても死にそうだったので取り敢えず中へ」
言いながらチルノの包装を解いていく。少しずつ露わになるチルノ。
チルノの顔は、先ほどよりはマシなのだが驚くほどに白く唇は青い。死んだらこんな風になるだろう、という見本の様だ。
「さぁ、チルノ。どうしたのか説明して頂戴。何故紅魔館へ来たのか、その理由を」
大分小さくなったチルノに咲夜が問う。暖かい屋内に入った事で体が動くようになってきたチルノは、ジェスチャーを交えつつ説明を始める。
「――と言う訳。だから、この冬だけはココに置いてくれないかな?外に居たら死んじゃうよぉ」
眼一杯に涙を浮かべて訴える。
「……素直に一回死んだ方が良い様な気もするけどね、どうせ復活するのだし。けどま、いいわ。ちょっとお嬢様に聞いてくるわ。ここで待ってなさい」
一瞬で咲夜が消えた。
美鈴とチルノは手を取り合ってブンブンと振る。
「良かったですね、チルノ!」
「うんっ!ありがとー美鈴ー!!」
その内にクルクル回り出した。妙に息の合っている二人であった。
コンコン。ノックの音が響く。
「お嬢様、少々宜しいですか?」
「ん~?何よ、今いい所なのに」
咲夜が主の部屋の扉を開けると、レミリアはだらしなくソファに寝そべりながら漫画を読んでいた。ぺらぺらとめくり続ける。
「そんなモノ何時でも読めるでしょうに…え~、用件を述べます。チルノが冬の間、紅魔館に居候させて欲しいそうで、その如何を問いに来ました」
「あっそう……はぁ?そりゃまた何で?」
心底驚いた様子で言う。そりゃそうだ、何といっても相手は妖精だ。寒さに耐えられなくなる筈が無い。驚くのが当然だ。
「色々理由はありましたが。で、どうします?断りますか?」
「そうねぇ…取り敢えず本人から聞きたいわね。客間で待ってるから連れて来て頂戴」
「了解しました」
一礼をして部屋から去る。
レミリアは本のカバーを栞代わりに挟んで閉じると立ちあがった。
――さて、それらしいカッコを…する必要も無いか。どうせ妖精だし。
そう思ったレミリアはドレスを軽く叩き、さっさと客間へと向かった。
チルノを引き連れて咲夜と美鈴は客間へと向かう。
「それでチルノ?お嬢様の前ではちゃんとした対応をして頂戴。機嫌を損ねるとベッドに篭ってうーうー言うから面倒でしかたないの。OK?」
「お、おー。わかった。出来るだけ頑張る」
その返事に、余り期待は出来ないか、と軽く諦める。
しばらく行くとやや豪華なドアの前に着いた。
咲夜が声を掛ける。
「お嬢様、御連れしました」
「わかったわ。入って頂戴」
いつもの接待時の張りのある声とは違い、あからさまにダルイ感じである。
ドアを開け、美鈴が中に入るように言う。
「ほらほら、チルノ。部屋に入って下さい♪」
彼女に背中を押されるようにしてチルノも部屋に入った。
そこは豪華絢爛。隅々まで掃除が行き届いているため驚くほど綺麗で、そして豪奢なシャンデリアがキラキラと輝き、暖炉の炎が部屋から寒さを払拭していた。
その中央に設えてあるソファに座ったレミリアは、気だるげにチルノに目線を向け、
「それでチルノ?アンタから直接話を聞きたいのだけれど――」
そう問いかけた瞬間。
さて、良く考えて頂きたい。
チルノは今は寒さに弱いが、元々冷たさを顕した存在だ。暑い時は自ら冷気を発し体温を調節している。まぁ端的に言うなら、
この部屋は彼女には暑すぎた。
「あ、あ、あっっつぅぅい!!」
その一言と共に繰り出される冷気、冷気、冷気。
次の瞬間部屋は隅々まで冷え切り、暖炉の炎は消え、部屋は氷漬けになった。ある意味もっと綺麗になったと言えるかもしれない。
「ぎゃああああ!何してくれてんのぉ!アンタぁ!」
気だるげな顔から一転、見た目相応の少女的反応をするレミリア。
「あら、すごいわね。こんなに大きな力を持ってたのね、この子」
「いやはや、中々妖精も舐めたモノじゃないですね~」
全く動じずに感想を述べ合う咲夜と美鈴。レミリアは怒りの矛先は今や何処に向ければ良いのか解らず、全員に対して向けられていた。
「アンタ達も!もうちょっと慌てたりしなさいよぉ!ってか寒っ!私もう部屋に帰る!!」
言うなり全速力で退出する、がドアを閉ざす前に一言。
「アンタ達、ソイツを外に放り出しときなさい!匿ったりしたら承知しないから!!」
その眼に涙が浮かんでいたのは見間違いではないだろう。そして自室のベッドに篭ってうーうー言い出すのも間違いない。
かくして、見事断られるチルノであった。
紅魔館門前。
「御免なさいねチルノ。流石にお嬢様には頭が上がらないの。私もまだ追い出されたくないし」
申し訳なさそうに言う美鈴。軽装の彼女を見ていると、追い出されても問題なく生きていそうな気もするが。
「いんや、私が悪いんだもん。仕方ないよ。部屋を氷漬けにしちゃったし。それよりいいの?こんなに色々貰っちゃって」
私達に出来る事はこの程度、と言いながら暖かな服やホッカイロ等をチルノに渡していた。
そのおかげで、チルノはボールに戻る事も無く暖かさを手に入れる事に成功した。
「いいのよ。その程度ならお嬢様も気付かないわ。遠慮せずに持って行きなさい」
咲夜が言う。流石完全で瀟洒なメイド。客人に対する気遣いも完璧だ。主とはえらい違いである。
チルノは満面の笑みで、
「ありがとう!春になったらお礼を言いに来るわね!!」
そう言って飛び立つ。ふよふよと漂った後、何処へともなく飛び去った。
「美鈴。あの子何処かに泊まれるでしょうかね?」
「どうですかねぇ。少なくとも暖房完備の場所はウチの二の舞になるだけでしょうけどね」
「頑張れとしか言えない訳ね、私達には」
チルノは博麗神社へと向かう事にした。
そもそも妖精である彼女を受け入れてくれる場所など始めから限られていたのだ。
基本的に人間の所へは行けない。
冥界の存在など死の概念の違う妖精は全く知らない。
一旦永遠亭を目指したのだが、とうとう辿りつけなかった。
なので結局、博麗神社くらいしか行ける場所が無かった。
博麗神社に辿りつくと、そこには不機嫌そうな霊夢が立っていた。
ソレはさながら般若か仁王か。悪鬼羅刹も逃げだす様な表情。
恐らく賽銭箱の中身でも見たのだろう。明らかにプッツンしている。今、幻想郷中で最も近づきたくない人物となっていた。
流石のチルノでも近づくべきでない事ぐらいは察したので、気付かれないように立ち去ろうとした。
しかしその瞬間。チルノの真上の木の枝が震えた。
枝が震える→積もっていた雪が落ちる→下のチルノに降り注ぐ。
服の隙間から突入してくる大量の雪達。
「ぐおおおおおおおおおおお!!」
たまらずラスボスが負けた時の様な野太い声で大絶叫。それに応じて更に雪が落ちてくる。
「ああああああああ!れ、れいむぅーーー!助けてくれーーー!!!」
しかしその声に条件反射的に対応した霊夢の口から聞こえた言葉は、
「そこかぁぁっ!我が怒りを喰らうがいい!!」
期待とは裏腹で、かつ夢想封印付。
その光景は雪景色と相まって、壮絶に綺麗だった、と後にチルノは語った。
眼が覚めるとそこは、
「知らない天井だ…」
「何バカみたいな事言ってんのよ」
軽くポンっと頭を叩かれ、ようやく眼が覚めた。
体を起して見回してみれば、今自分は布団に寝かされていた。すぐ傍に霊夢が座っている。
「全く、どうしたのよ。冬には元気なあんたが雪の下で死にかかってるなんて。冗談かいたずらか、って思ったけどどうもそうじゃないみたいだしね」
「うぅん……うにゃ。色々あってさ。…ここは?」
「私の家の中よ。悪かったわね、急に攻撃しちゃって」
片手をスイと上げる程度の謝罪であった。
「別にいいよ。意味無く攻撃するのなんかいつも通りじゃんか。それより何であんなに怒ってたの?」
どうして?と小首をかしげる。
霊夢は顔を逸らしながら苦笑いを浮かべる。
「いやねぇ?いつもの妖精三人組がちょいちょい神棚の物を取って言ってる事に気付いてね。まぁソレだけなら多少痛めつけるだけで済ませたんだけど、今日は私の晩御飯を持っていったのよ。流石の私もキレちゃったから十日は私の傍に寄れないようにしようと思ってたんだけど……」
つまりチルノは勘違いの上のとばっちりを喰らったという訳だ。いつもなら怒りだすチルノだが、今はそんな元気は無かった。
「…そう、災難だったね。あいつらは私が今度懲らしめておくよ」
「あら、有難いわね。期待しないで待ってるわ」
そうだ、と霊夢は続ける。
「代わりに何かしてあげるわ。あんまり難しいことは無理だけど」
「何でも?何でもって言った?」
「ええ。さぁ何か有るかしら?」
チルノの中に淡い期待が生まれる。しかし、それでも相手は霊夢だ。すぐに口は開かない。頭を必死で働かせる。
けれど結局普通に聞くのだった。
「……それはさ、冬の間此処に置いて欲しいってのもアリなのかな?」
「成程。あんたが寒がるなんて思いもしなかったわ。確かに冷たくするしか出来ないものね」
一通り今までの経緯を説明する。
「そうなの。だから屋内に居ないと死にそうでさ。紅魔館に行ったんだけど、余り暖かいのもだめみたいで、もうあたいには当てが無くて…」
「ふんふん。別にいいわよ」
あっさりと許可が下りた。余りにアッサリだったので、チルノは信用できなかった。
「本当に?冬の間だよ?良いの?」
「良いって言ってるじゃない。何よ、断ると思ってたの?この私が」
「うん」
がっくりと肩を落とす霊夢。目の前でお前は非道だと言われた様なものだから、仕方ないか。
「ホントに良いの?だって暖かく出来ないんだよ?」
「アンタね、そもそもこの部屋、暖かくないでしょう」
霊夢の言う通り、部屋の中は少し冷えていた。外に比べればましだが、暖房の一切効いていない様だった。
「ホントだ…。何で、寒くないの霊夢?」
「アンタが入れなさそうな部屋は私の寝室位なもんよ。そこ以外は大体こんな程度の暖かさよ。――神社何かに住んでるとね、寒さには慣れるもんよ?」
だから機にしないで泊ってきなさい、という彼女をよくよく見れば、そんな温度の中いつもの巫女服にマフラーという格好だった。正気の沙汰とは思えない。
「――うん、わかった。じゃあ遠慮なく泊るね。宜しく、霊夢」
こうして寝床は確保したチルノだが、もう一つ悩みを抱えていた。
「ねぇ霊夢。どうしたら前みたいに冬でも平気でいられるのかな…思い出せなかったら、また来年も来て、良い?」
若干泣きそうな顔のチルノ。それとは正反対に問題ないという様に手をパタパタと振って霊夢が言う。
「別にまたウチに来てもいいけどさ。多分大丈夫だと思うわよ?」
「えぇ~?何でそう思うの?」
「それは来年の冬になれば解るわよ」
そうしてチルノは冬を過ごした。
初めて服を着込んだ冬はやや動き辛く、あまり外にも出かった。
霊夢の手伝いや、そのついでに三妖精を叩きのめしたりもした。考えて見れば今までとやってる事はそう変わらないかもしれない。
そう、結局いつもと大した差のない冬。
その内に春が訪れ霊夢の元を去り、夏になり、秋になり、そして冬がやって来た。
その冬チルノは―――。
元気にシャツとワンピースと姿で飛びまわっていた。
そう、例え自分はどうやって歩いていたかなんて、ある程度時間が経ってしまえば考えなくてもまた出来るようになってしまうのだ。
考えていた事自体を忘れてしまうのだから。
ましてチルノは妖精である。
自然の象徴であり、子供っぽい生き方、生活をする。自分を煩わせていた事柄でも、気にしなくてもよくなれば、自然と忘れて思い出さなくなる。一年も期間があれば尚更である。
結局彼女は、これまでと同じ様に冬を過ごす術を取り戻したのだった。
「マイナスK!!」
「くっ…避けきれなかったか…」
あれから一年が経ち、今日も今日とて弾幕ごっこをしていた。相手であるアリスは珍しく被弾してしまった。
「貴方の勝ちね。流石に冬の間は強いわね」
「へへん!当り前さ!なんてったって最強の妖精であるあたいだからね!」
「はいはい、そうですね…時に、チルノ」
「なんだい?何でも聞きな!」
そう言って胸を張る。と同時にデジャブが襲いかかって来た。
――あれ?前にもこんな会話をした様な…相手は誰だったっけ?
そう考えている内にアリスが口を開く。
「貴方寒くないの?」
チルノ可愛いです
冬は寒いがまわりの皆は暖かいですね
誤字かもしれませんが、たまに「あたい」じゃなくて「私」って言ってるところが好感持てました
公式でどっちでもいいみたいですし
それにしても、あんまり最強最強言わない子供らしいチルノは可愛いです
チルノらしくて、可愛かったです
魔法使いは余計な事言うなあw