アラームが鳴り響いて、慌しい足音が階段を駆け下りてくる。
居間ではたと立ち止まった、いや、立ち止まることを余儀なくされたその主はうっとうしそうに目を細める。
制服のネクタイを締められ、長い金髪を梳かされる。
「身だしなみ」
「時間ないのよ」
「カバン忘れちゃ駄目よ」
そう忠告する彼女もまた金髪だが、ショートカットで、その背中から尻尾が広がっている。
「は~~い」
気の無い返事をしてドアを開ける。
爽やかな朝の光が飛び込んできた。
学校へ続く道が広がっている。
「行ってきまーす」
「あっ。紫、忘れ物!!」
「????」
「朝ごはん食べてないでしょ!?」
「やだっ、うっかり~~~」
藍の手から発射されたトーストは大きく上方へ曲がり、それを負って背伸びした受け取り手は同様に大きく体勢を崩す。
そして、八雲紫は外れたフェンスごと下方の水路へと落下した。
「あ~~~、授業マジできつかったーーー」
そう言って、伸びをするのは紫の親友、幽々子だった。
「きつかったねーー」
「今日の数学の小テストやばかったねー」
「あたし。このままだと赤点かも~~」
「三角比入ってから、超ヤバイし(笑)」
「ウチ、因数分解で投げた」
「うっわ~~~、もうやめよ。こんな話~~」
とその時、「劣等生は大変だね~」と声が割り込んでくる。
横を振り向くと、神奈子と諏訪子が笑っていた。
「お前らもだろ笑」
「バレたか」
「ねえねえ、何で、紫の制服だけ外にかかってんの?」
「え?」
紫の制服はベランダのポールに朝からかかったままだった。
そして当の彼女は<聖・東方学院>の刺繍入り体操服で一日を過ごしている。
「それに今日の紫、何かドブ臭くない?」
「……まあ、いいじゃん!! それより、今月のk-0読んだ?」
「えーー、まだ。幽々子早くない?」
「私も読みたい!」
「私は立ち読みなんだけど、何か読者投稿ページに隣のクラスの子が載ってたっぽいんだけど」
辺りがシンとなる。
「え? それマジ? どの子?」
「何だっけ、あの、八意……、何とかさん?」
「マジで、あのがり勉が……」
「あれってどうやって載るの……?」
「分かんないけど、スカウトとか」
ベランダに出ていた紫が制服を持って戻ってくる。
「うし、乾いた。とりあえず学校出ようか」
「うん……、続きはサイゼで」
「行こ行こ」
四人が立ち上がった瞬間、ガラっと扉が開いたかと思うと、大股に歩み寄ってきた女性が手近にいた紫の頭の上にビッグ・コンパスを突き立てた。
慧音先生だった。
「お前らはこれから補習だからな」
「「「「やっべ~~~~~☆」」」」
後書きが楽しみでしかたありませんでした。
yuz氏の前では仏の顔も三度までという格言などなんの意味も無いのですね……!
それと、藍母さんでの完走を要求。
止めたげてよぉ!!
萌が好きでいらっしゃられるとのことで、これからも萌が藍藍するような作品を作ってくださることを期待しております。 創想
しかし如何せん何も始まってないので、この萌えをどうすればいいのか困ってしまいます。
続きに期待を込めて。