咲夜は赤く長い紅魔館の廊下を走っていた。すれ違う妖精メイドたちが何事だろうと見てくるが、構ってはいられない。お嬢様の部屋へ。
弾む息をころしドアを軽くノックする。
「入ってもいいわよ」
主であるレミリアが応答する。
「失礼します」
ドアを開け、一礼する。眠そうな顔をしたレミリアはベッドの上で座ったまま咲夜をみる。
「あら、咲夜?」
レミリアは少し意外そうな顔をする。
「あなたは確かに読んだけど…。いつものように突然現れてくるかと思ったわ」
全力で走ってきたので息が苦しい。しかし我慢しながら答える。
「すみません…何故か時間を操れなくなったのです」
「え?」
間の抜けた声でレミリアが反応する。それはそうだろう。その個人の能力が使えなくなると言うことはまずないのだから。
「思い当たることはある?」
「そうですね…。お嬢様も知っての通り、昨日は神社の宴会に行ったぐらいしか…」
咲夜は困惑の表情を見せる。
「なら何かあったとしたらそこね」
レミリアはベッドから降りると、咲夜に歩み寄る。
「昨日の宴会のこと思いだしてみて」
「はい。私は昨日宴会に行って…、あれ?あれ?思いだせない?」
宴会に行ったことは確かに覚えている。けれど内容が思いだせない。腕を組み、必死に思いだそうとしても思いだせない。特にお酒を大量に飲まされたと言うことはなさそうだ。二日酔いが全くない。
「昨日のことも覚えてないのね…。しかも私たちは始めの方で別れちゃったからね…。でも、咲夜は始めに霊夢と魔理沙のところに行ったのを見たわよ」
レミリアは少し呆れたように言う。
「すみません…。それよりお嬢様。今日の朝食は何をお召し上がりになりますか?」
自分のことは後でもいい。これ以上レミリアに迷惑をかけるわけにはいかない、と咲夜話しを切り替える。
「そうね…。いつも通りお願い」
レミリアは何か言いたげな風に昨夜を見るが咲夜の気遣いを知ってか知らずか受け入れる。
「わかりました」
深ぶかと礼をし、身をひるがえし厨房に向かった。
調理中も咲夜はなぜこんなことになったのかを考えるが、何分記憶がないもので何も浮かばない。
能力がないと、体の一部から何かが抜け落ちたような感覚があって、自分の体じゃないみたいだ。
出来た料理を持ち、レミリアの元へ向かう。いつもと違うことは、時間が止まっているか、止まっていないか。それだけなのだが、世界は全く変わり、せわしなく動き回る。それに、矢継ぎ早にすれ違った妖精メイドたちが笑顔で挨拶をしてくれるので、それがうれしくて咲夜も笑顔で返す。
こういうのも悪くないのかもしれない。
レミリア、そしてその後にパチュリーに食事を届け、朝の仕事に取り掛かった。
皿洗い、掃除、洗濯…。
紅魔館の景色がめまぐるしく回っていく。ちょっと能力に頼り過ぎかしら。窓の掃除をしながらそんなことを思う。窓の外には冬独特の葉を落とした木達が広がっていた。
葉を失くした木達。今の私に似てる気がする。
バケツを持ちあげ、次の部屋に向かおうとすると、外に門に突っ込んでくる魔理沙の姿が目に入った。
こんな時に…。咲夜は舌打ちでもしたくなるような気持ちで、対処に向かう。
しかし、ついた頃にはすでに、魔理沙は館のドアを潜った後だった。
「何の御用かしら?魔理沙」
咲夜は早々にナイフを構え威嚇する。できることなら弾幕勝負は避けたい。情けないが、今戦ったらとてもじゃないが勝てないだろうという確信があった。
「どうしても読みたい本があってな」
魔理沙もかまえる。どうしてこんな時に限ってやる気なんだ…。いよいよ困ったことになった。
「まりさ~」
そんな声と共に咲夜の脇を影が通る。化と思うと魔理沙に頭から突っ込む。
「おふぅっ、フ、フランか」
吸血鬼であるフランのタックルは、人ひとりに尻餅をつかせる力はゆうにあった。
「遊ぼ~よ~、まりさ~」
言いながら肩を持ち前後に魔理沙を揺らす。少し考える仕草をして、やれやれとため息をつきフランの頭をなでる。
「わかった。それじゃあフランの部屋にでも行くか」
「やった~」
フランは立ち上がり魔理沙を起こす。
「そういうことなら大歓迎です」
咲夜はわざと笑顔を作り魔理沙言う。
どうぞごゆっくり。
連れて行かれる魔理沙を笑顔で見送った。
既に昼は過ぎ、いつもよりはるかに遅い昼食をとる。
疲れのせいか、味が薄く感じられる。自分の能力がいかに大切がを痛いほど思い知らされる。
咲夜は食べかけの食事をよけ、突っ伏す。既に昼ははるかに過ぎているので、厨房には洗い終わった皿としたたる水の音以外何もない。咲夜は目をつむり空想に浸る。私は能力にいつ気づいたか…
確か昔、暗い暗い夜空の下、ひとり静かに歩いてて…。
「疲れてるわね。ほら、紅茶よ」
「あ、ありがとう」
目を開けると、二つの紅い目が咲夜を覗き込んでいた。
「お、お嬢様?」
なによ。そう言うとレミリアは咲夜から離れ、テーブルの反対側に腰掛ける。
「たまには私の紅茶でも飲みなさい」
言うなり自分の紅茶をゆっくりと飲みだす。
「それでは、頂きます」
「私が近づいても気づかないなんて、相当無理してるわね」
紅茶を受け皿に置き、咲夜を指差す。
「今のあなたは普通で普通の人間よ。人間なら人間らしく周りを頼りなさい」
レミリアは、顔をそらし自分のほをかく。
言い方は酷いが、これはお嬢様が心配してかけてくれる言葉なのだ。もっと自分を頼ってほしい。
今、お嬢様はそれが言いたかったのだろう。
「お嬢様、少しお言葉に甘えさせてもらいます」
咲夜は続ける。
「少し魔理沙の所へ行ってもいいですか?」
「いいわよ。ちなみに魔理沙なら図書館にいるわ」
魔理沙の話題を出した瞬間少しレミリアは眉をひそめる。心なしか機嫌も少し悪くなったようだ。
「ありがとうございます」
「他に何かあったら言いなさいよ」
軽くお礼を言い、魔理沙が居ると言われた図書館に足を向けた。
古くなってしまったドアをノックする。
「入っていいぜ」
聞いた通りの魔理沙の声がする。居た。
「何であなたが言うのよ。入っていいわよ」
ゆっくりとドアを開けたつもりだが、ドアのきしむ音がしてしまう。閉める時も乾いた音を響かせる。
それなりの広さのある部屋だが、所狭しと寡黙な本が並んでいるためかとても狭く感じれる。
パチュリーが本を読んで入りのに気遣い、静かに魔理沙に近づく。深ぶかと椅子に座り本をひろげている。膝にはつまらなくなったのか、眠っているフランを乗っけていた。静かに魔理沙にささやく。
「魔理沙、昨日の宴会で何か変わったことはなかったかしら?」
「変わったこと?何だ?昨日のことをもう忘れたのか?」
魔理沙は本から顔を上げる。いつも通りの声量で来るかともっていたが、眠っているフランに気遣ってか声を抑えている。
「ちょっとお酒を飲み過ぎたみたいなの」
こう言う時だけ地味に痛いところを突いてくる魔理沙。咲夜はすぐさま誤魔化すように笑う。
「そうか。変わったことね…。紫から差し入れが合ったこと、ルーミアが闇を作ったまま押し入ってきて大騒ぎ。それに永淋の作った能力をなく…」
「それよっ。詳しく教えてちょうだい」
思わず大声を出してしまった。パチュリー様は何?とけだるそうに見てくる。妹様は…起きてない。
魔理沙は少し驚いたようだが怪しむ様子もなく話しだす。
「あれは私も少し興味を持ったのだけれど、詳細がよくわからなくてな。能力が使えなくなるくらいしか聞いてないぜ」
「そう…」
魔理沙は本を置き、眠っているフランのほをつつく。それでもなおすやすやと眠っているフランを見て薄く笑う。
「私はそろそろ帰らないとな」
慎重にフランを持ちあげ、空になった椅子に再び乗せる。
咲夜は気をきかせ、フランが風邪をひかないようにと毛布を持って来て掛ける。
「それじゃあな、フラン、咲夜、パチュリー」
フランに毛布がかけられるのを確認すると、手を振りさっさとドアに向かって歩いて行った。
日がくれてほのかな光が紅魔館から漏れ出す。そんな中咲夜はレミリアの自室にいた。
ベッドの上で足をばたつかせながら本を読んでいるレミリア。
咲夜はそんなレミリアに呼び出され来たのだが、一向に何か言われる気配がない。
そんな中、レミリアが口を開いた。
「咲夜、私に頼みたいことは?」
「え?」
「だから頼みたいことは?」
呼び出されたので、何か頼むためのものだと思っていたが、不意を突いた質問が飛んできた。
レミリアの真意を考えると、昼間の魔理沙のことを思いだす。
「お嬢様、明日お暇を頂けないでしょうか?」
今まで動いていた足がピタリと止まり、咲夜を見た。
「やっぱり何かわかったのね」
「はい。何やら永遠亭の永林が能力を失くさせる薬を作ったとかで…」
「それね。いいわよ。行ってきなさい。昼間は苦手だから私がついて言ってもあまり意味ないから一人で行ってきなさい」
レミリアは吸血鬼だから、と笑う。
「はい、行ってきます」
そんなことないですよと笑い返す。
「ああ、そうだ咲夜。ちょっとこっちに来なさい」
レミリアはベッドをぽんぽんと叩く。咲夜は、何でしょう?と歩み寄る。
「あなたは今日は夕食の準備をしなくてもいいわ。今日は美鈴が作ってくれるらしいの。
なんでも美鈴が作らせて下さい。と申し出たらしい。咲夜は、何か心に響くものを覚える。
ここで、手伝いに行くのは相手に対して失礼だということを咲夜はしっていた。
「それは楽しみですね」
思ったままの素直な感想を言う。
「そうね。その代わり咲夜、あなたはここで私と本を読んでいきなさい」
再びベッドをたたく。失礼なんて言わせないわよ。レミリアの目がそう言っていた。
「わかりましたよ」
苦笑し、ベッドに腰を下ろす。そして、レミリアの話しを聞きながら本を読み、おそらく中華料理になるであろう今夜の夕食を待った。
翌日、咲夜は迷惑をかけないようにするために誰もが寝静まっている早朝に紅魔館を抜け出してきた。
少しずつ陽の光が地面を照らしていく。けれど、朝独特の寒さに身を震わす。
さっさと永遠亭に行って直してもらおうと空を飛ぼうとする。
あれ?いくら飛ぼうとしても飛べない…。本当にただの人間に戻ってしまったらしい。ここで妖怪に会ったりしたら洒落にならない。幸い日は出ている。それを確認すると咲夜は歩を速めた。
早足できたためか、思ったより早く永遠亭のある竹林にたどり着いた。
さっきから続く竹林の沈黙した竹が距離感を狂わせている。そのため少々不安を覚えながら進んでいると…。
「ん?」
ふと足の感覚がなくなる。かと思うとあっという間に落下し、思いっきり腰を打つ。
「痛いわね…。誰の仕業よ…。」
意外と深い。腰をさすりながら上を見ると二つの長い耳を持つ顔が覗きこんでいた。
「ちょっとちょっと、お姉さん。困りますよ。鈴仙をかけるための仕掛けなのに」
咲夜は、目に入った兎を睨みつける。
「あなたね…。困るのはこっちよ。」
兎はそりゃ失礼。とだけ言うとロープを下ろしてくれた。
「どうぞ~」
咲夜は無言で縄をつかみ、上りだす。プツン…。乾いた音と共に再び咲夜は穴の底に落下する。
「痛いわね…」
「ありゃ失礼、これ鈴仙用だ」
「あんたねぇ・・・」
新しいロープが降りてくる。千切れたロープを投げ捨て、改めて降りてきたロープに手をにぎる。
念のため少し引っ張ってみる。プツン…。
またも乾いた音と共に千切れたロープが落ちてくる。
「わざとやってるでしょう…」
咲夜は、ほをひくつかせながら兎…てゐをにらむ。てゐはそろそろ身の危険を感じたのかすぐさま3つ目のロープを降ろす。
「こ、これは本物だよ。本当に。」
咲夜はためしに引っ張ってみる。今度はしっかりとした感触が返ってきた。
ロープを使い、よじ登るとてゐは目の前にいた。
速攻でナイフを構える
「お姉さん、お姉さん。短気は損気だよ」
少し後ずさりしながら咲夜を抑えようとする。
そして何かをひらめいたように言う。
「お姉さん、今日はスペシャルデイでね。落とし穴の数が二倍なんですよ。見る限りお姉さん永遠亭行きでしょう。でも、到達するのは無理だと思いますよ」
結構ずる賢い兎だ…。これを言われたら何もできなくなってしまう。
「良ければ永遠亭まで案内しましょうか?」
咲夜は、思わず歯ぎしりをしたくなる。それでもここでは、頼むしかない…。
「お願いするわ…」
怒りで少し声が震える。
「きっ決まりだね。それともう一つ。今日はもう不幸なことはないと思うよ」
そんな良くわからないことを言って進み始めた。
てゐの通った後を続けて進む。途中何度もてゐが話しかけてきたが、虫の居所が悪く全て無視をすることにした。
それからは、何事もなく永遠亭にたどり着くことができた。
「ししょーーー、お客さんだよ」
玄関でてゐが叫ぶ。少しだけ間があって、奥の方から永林が出てくる。
「なに?あら、紅魔館のメイドさんね」
「それじゃあね~」
てゐはそれだけ言うと再び外にかけ出して言った。
「てゐはせわしないわね。処で何の御用かしら?あ、なかに入る?」
「いえ、いいです。土がたくさんついてしまいましたし…。」
咲夜は自分の服を見て苦笑する。
「てゐ…。また落とし穴たくさん作ってるのね…」
それはそうと咲夜は言う。
「単刀直入に言います。能力を失くす薬の治療をお願いします」
永林は少し驚いた顔をした。
「あなた、あの薬を飲んだの?」
「飲んだのではなく、飲まされたんだと思います」
咲夜は自分から飲むことはまずない。それはわかっていた。
「そう…。ところであなた、記憶失くしてない?」
「一昨日の宴会のことがさっぱり思いだせないくらいです」
「ならよかったわ」
永林は一息つく。
「良くないですよ…。誰に呑まされたのかすらわからないのですから」
「それなら問題ないわ」
思い当たる節があるように永林が答える。
「この前、鴉天狗に…文って言ったっけ。その子にひとつだけ薬を上げたの。あまりにも興味しんしんで迫ってくるものでついあげちゃったの」
好奇心には勝てないのはわかるわ。そこで勝手に納得する永淋。
「その時に薬の説明を書いた紙を渡しちゃったのよ」
咲夜は、まさか、と永淋をみる。どうやらそのまさからしい。
「そこに何らかの直す手段は書いてあったはずよ、でも思いだせないの」
一日に何種類も薬を造り出すからね。と永林は付け加える。咲夜はがっくりと肩を落とす。
「そうですか…。なら鴉天狗を捕まえてみます」
とは言ったものの、あのすばしっこくて、何処にいるかよくわからない文を捕まえる手段が思いつかない。
「ごめんなさいね。あの子が来たらあなたの元に行くように伝えておくわ」
「ありがとうございます。では」
頭を下げて咲夜は永遠亭を後にした。帰りは来た道と同じ落とし穴がない道を通り帰った。
途中、何故かぽっかりと穴をあけた穴を何個か見かけた。
穴に注意しながら進む分、少し時間はかかったが何とか竹林の入り口付近にたどり着くことができた。
「またね~お姉さん」
頭上から声が降ってくる。てゐが竹の上に登っていた。咲夜は少し気になることがあり尋ねる。
「あなた、来る時もう不幸なことはないって言ったわよね」
てゐは、足を振りながら答える。
「言ったよ~」
「出鼻くじかれたんだけど、大丈夫かしら」
「大丈夫だよ。最終的に解決に向かうはずだよ」
てゐは笑いながら答える。不思議と何かうまくいきそうな気がしてきた。
「ありがとう」
来た時の怒りが消え去っていた。これも不思議なものだ。
「あいよ~それじゃまたね~」
咲夜は歩きだす。振り返るとてゐが手を振っていたので、咲夜も手を振り返した。
鈴仙もてゐがああいう感じだから一緒に入れるのかな。そんなことを思いながら竹林を後にした。
咲夜は、一本道を歩きながら昼食のサンドウィッチを食べていた。
これから一体どこに行ったものか…。文の出現しそうな場所はどこだろう。
咲夜はハンカチで口元をぬぐう。やはり、霊夢のところか。
取材やら何やらでよく行っているらしい。
そうと決まると咲夜は、神社へ足を向けた。
神社の長い階段を上る。青い冬空の元、冬の柔らかい日が照っていた。そこに朝ほどの寒さはなかった。階段を登りきると、いつもと同じようにお茶を飲んでいる霊夢が目に入った。咲夜は歩み寄る。
霊夢は気付いているのか、そうでないのか、それでもただお茶を手にぼぅっと空を見上げていた。
「こんにちは、霊夢」
咲夜は霊夢に歩み寄る。霊夢はゆっくり顔を下げると、どこか抜けた表情のまま咲夜を見る。
「咲夜か。一人なんて珍しいじゃない。どうしたの?」
どうでもよさそうに言う。あまりの脱力っぷりに咲夜は思わず苦笑いをする。
咲夜は霊夢の隣に座る。
「そうね。今日はここに来ること自体が目的ね」
「もしかしてお賽銭っ」
ぱっと霊夢の表情が切り替わる。
「残念だけど違うの。少し文を捕まえたくてね」
「何だ…。なら別のとこでして頂戴」
霊夢は再び脱力する。
「そうもいかないのよ。ここが一番くる確率高そうだから」
霊夢はめんどくさそうな表情を隠そうともせず言う。
「いやよ。絶対うるさくなるから」
「そう言わずに…」
咲夜は最後の手段を使うことにした。
「後から捕まったらお賽銭入れとくから。それに霊夢には迷惑かけないわ」
霊夢はすぐさま食らいつく。
「始めからそう言えばいいのよ。文を捕まえる理由については聞かないし、協力も惜しまないわ」
交渉成立ね。満面の笑みで咲夜に言う。霊夢らしいと思わず咲夜は笑う。
「なに?」
「いやいや、何でもありませんわ」
霊夢は少し腑に落ちないような顔をするが、そんなことどうでもいいと、すぐに切り替える。
「咲夜は押し入れにふすまを開けた状態のままは入りなさい。そうしたら出る時に音は出ないわ。
そして私は文が来たら私の隣あたりに座らせるからそこを後ろから捕まえなさい」
こう言う時は恐ろしく協力的な上、すぐさま作戦を思いつく。こういうところは、すごいと、素直に感心出来る。
「来なかった場合でも、手伝ったんだから賽銭入れときなさいよ」
「わかってるわよ」
こういうところも抜け目がない。
「それじゃあさっさと入っちゃいなさい」
「そうするわ」
霊夢に言われ、立ち上がり押し入れに向かう。咲夜は押し入れの下の方を選ぶ。程よい暗さの中、咲夜は少し身を小さくして座る。外をのぞき見ると霊夢はさっきと変わらない姿勢で座っていた。
暗闇のせいか空想の波に呑まれる。
暗い暗い夜空の下、一人静かに歩いてて、お嬢様に出会った。
そしてお嬢様は、私に興味を持ち一言だけ言ってくれた。
「私の元に来ない?」
子供で、一人きりだった私はその言葉がうれしくて当然ついて行った。
そしてお嬢様が…。
「あなたの運命から少し能力を先取りしたわ」
それから、私は空を飛べるようになったし、時間も操れるようになった。
そうだ。この能力もお嬢様にもらったもの絶対に元に戻さなければ。
「霊夢さん、こんにちは、そろそろこんばんはかな」
風の音と共に文が現れる。咲夜は気配を消す。外はすでに少しずつ暗くなり始めていた。
文の声に霊夢は全く反応しない。全く同じ姿勢を取り続けていた。
「霊夢さん?」
反応しない。文は諦めたようにため息をつく。
「しょうがないですね…口を聞いてくれるまで待ちますよ。取材のためですから」
そう言い、文は霊夢の隣に腰掛ける。霊夢はそれでも反応しない。けれど霊夢の狙った通りの状況が出来上がった。咲夜は押し入れから抜け出し、気配を出さないように背後から近づく。文は全く動かない霊夢に興味しんしんのようで、後ろから地下ずいてくる咲夜に全く気付かない。
咲夜は、距離を詰めると一気にたたみかける。
「捕まえたわ」
すぐさま後ろから文を拘束し、首にナイフを突き立てる。
「こんなものね」
ようやく霊夢が動き出す。
「ありがとう、霊夢」
文は咲夜に拘束されてもがいている。
「さて、文…。あなたに飲まされた能力を失くす薬の治療法を言いなさい」
その言葉を言った瞬間文が動かなくなる。
「能力を失くす?」
霊夢は少し興味を持ったようで咲夜に問いかける。
「能力を失くす?」
霊夢は少し興味を持ったようで問いかける。
「ええ、今その薬のせいで、能力がなくなっているのよ」
「ふ~ん」
別段大きな反応はなく、それなら文の自業自得ね。ともう冷めているであろうお茶を飲みだした。
「五十四時間たてば能力は治ります…」
文がようやく口を開く。声は小さく、顔を近づけている咲夜が聞きとるのがやっとだった。それを聞いた咲夜は拘束を解放する。文はゆらりと立ち上がり、咲夜の方を向く。
「記憶は…。戻らないんです」
文は握っていた手に力を込め、下を向く。
「いいのよ。宴会のことだけだし…。」
「よくありませんっ」
思いがけず文が強い声で言う。
「一時の恥ずかしさだけで、記憶がなくなると言うことを知りながら飲ませたんです」
文は一泊置く。咲夜と霊夢は思わず文を見いってしまった。
「新聞記者は、記憶を届けるのが役目…。記憶を失くさせるなんて…新聞記者として失格ですよ…」
文が耐えきれなくなり地面に雫を落とす。そこまで新聞記者としてのプライドを持って…。それに、何か別のものも感じる。咲夜は膝を立て、文の顔を強引にあげさせる。涙にぬれていた。何処までも責任を感じているような目だった。
「実はね、文。今回のことは私はそれほど悪く思ってないわ。それは、少しは苦労はしたわ。でもね、そんな苦労が合ったからこそ周りの人や能力の大切さを改めて感じれたの」
慰めで言っているのではない、そんな自分自身に驚く。それでも、文はどこか引っかかるように言う。
「でも、記憶が…」
咲夜はほほ笑む。
「そんなの大丈夫よ。宴会のことなんて。あなたの新聞で記憶を届けてくれればいいわ」
「咲夜さん…」
文は涙を拭う。そして、拭った後にはいつもの文の表情が戻っていた。
「わかりました。それでは、早速作ってきます」
言うなり文はすぐさま羽をのばし、風と共に飛んで行った。飛んで行った夜は、1秒と待たずに夜の暗闇に消えて行った。
「一件落着のようね」
今までの一連の出来事を見てきた霊夢が言う。
「そうね。それでは、わたしもこれで帰らせていただきますわ」
そう言い残し、咲夜は神社を後にした。
翌日
昨日はいろいろなことがあり、体の節々が痛む。
咲夜は、そんな体を気遣いながらベッドから起き上がる。能力は確認せずとも戻っているのがわかった。
体の違和感がなくなっていた。日差しが眩しい。ふと窓を見ると、窓の外に何かがくっついている。
窓を開け、とってみる。文々。新聞、しかも特別号だそうだ。咲夜は少
し笑みを浮かべて新聞をひろげ、そして見出しを読んでみる。
私、射名丸 文は、十六夜 咲夜に_______。
でも、おもしろかったですよ~。
自分もあまり上手い作品は書けてないのでアドバイスできません。
ごめんなさい。
あと、誤字のお知らせです。
・あまりの脱力っぷりに昨夜は思わず苦笑いをする。
・霊夢らしいと思わず昨夜は笑う。
昨夜じゃなくて咲夜ですよ。
・来んか気のことは私はそれほど悪く思ってないわ。
来んか気ってなに?
そして、宴会のときに文が何したのか教えろ~
例えばてゐとのやりとりですが、ギャグなのかシリアスなのか分からないせいと言いますか、空気感がよく分からないせいで、咲夜が不自然にマジギレしているように見えます。
能力を失っておとなげがなくなっているという演出なのかもしれませんが、なんというかやっぱりなんか不自然です。少なくとも僕は、咲夜ははいはいお疲れ様ですね、な感じの涼しい表情をとるのになぁと思いました。ぷりぷり怒るなら怒るで、もっとギャグっぽく処理して欲しかったです。
他にもそういう不自然な場所が多々あり、慢性的な描写不足や多量の誤字と相まって、とんでもなく「読んでてめんどくさいSS」になっていると感じました。
三人称なのか一人称なのだかごっちゃになっているのもそれに拍車をかけています。元々人称の境界はよく分からない物で、三人称が一人称っぽくなることなんて良くあることではあるのですが……すみませんがこの作品は不自然が過ぎました。
あとは、オチのあっけなさでしょうか。
どうも、完成が間近になると焦る悪癖があるように見えます。邪推でしたらすみません。
誤字脱字もその影響でしょうか。
次は、ゆっくりと一作、この話くらいの欠乏の度合いの奴を、できたらSSに詳しい知り合いに見せてじっくりと推敲検証しながら作り上げることを勧めます。
あるいはSSやってる知り合いがいなければ、既存のSSと照らし合わせじっくりと練り上げるのもいいかもしれません。好きな作家さんがいればそのSSを、いなければ、いなければ、うーん……こう言っておいてなんですが、実は僕は悲劇のほうが好きなので、僕の好きな作家さんも悲劇に偏っていて、晴れ空さんにおすすめできそうな方がいないのです。すみません。頑張って見付け出して下さい。
えーっとそして、まともなSSとして評価を貰えたように思えたら(そこは空気で判断してください)、その作品の完成度を毎回目標にしてみるべきでしょう。
ゴタゴタ言いましたが、前回の問題点は解消されていっているように思います。
咲夜の能力を失ったことによる苦悩。
描写こそ足りてませんでしたが、テーマ自体は使い古されているとは言え嫌いではないので読めました。
まだ、「ちょっと寝てれば治ってた」という真相が肩透かし感に繋がっており、またそれがギャグとして昇華されてないのでちぐはぐな印象を受けたりしましたし
先程も言いましたがオチが綺麗にまとまっていない感じがあり、綺麗に回復しきっていないように思いました。
ですが少なくとも、前作の半端ない肩透かし感よりは良くなっていると感じます。
語感についても、わりかしにすんなり読めました。
要点をまとめて列挙しておきます。
・展開と言動がちぐはぐで変。ギャグに昇華させられていない。
・慢性的な描写不足。そして人称も含め訳が分からない。
・誤字脱字だらけ。きちんとした作品にしてから投稿しよう。
・以上の三つの点を知り合いと相談、あるいは既存のSSと照らし合わせ、練り上げる。きちんと、誤字を限界まで減らした、一つの作品にする。
・どうしてもそれらの方法の効果が感じられないあるいはそれらの方法を取れないなら、少し苦行になるけれど、文章の模写という手もある。既存の文章を、語彙や文の形、文章の呼吸などを意識しながら書き写す。どうせ模写するなら市販の小説を勧めるが、好きな作家が創想話にいるのであればその作品も悪くないと思う。
以上です。
30点入れておきます。
本文中のミスが多ければ多いほど作者自身の言葉が薄くなります。
・最初の方で咲夜が昨夜になってます
・最初、咲夜が能力が使えなくなったからレミリアの所に走っていった時のレミリアの台詞で、 呼んでが読んでになってます
・「能力を失くす?」
霊夢は少し興味を持ったようで咲夜に問いかける。
の所が繰り返されてます。
まずは、しっかり読み返しをして、友達などに見せておかしい所がないかを確認すれば、間違いも減ると思いますよ。
いや、まぁ私も人の事言えませんけど。
後は…真面目な所とギャグな所をしっかり分けると読みやすくなると思います。
それと、前のコメントにもありましたが、オチがあっけない。
簡単に解決方が見つかったけど、文がいなきゃ駄目なのかと思ってすぐ、もう文が捕まって。
で、文が泣き出して、でもそれもあっけなく解決(?)して、しかも結局文が咲夜と何をして、どうして記憶が消えるような薬を飲ませたのか、という所も曖昧でイマイチ理解できませんでした。
まぁ1番言いたいのをまとめると、『まとめすぎ』ですかねぇ
もうちょい、文の気持ちとか四苦八苦する咲夜を書いた方が良かったかなと思います。
でも、テーマは好きですので、沢山学んで見直しして、頑張って下さい。
って…
この作品、投稿されてから結構経ってましたねw
まぁ、誤字などが気になりますし、気がついた時にでも直してほしいので感想のせておきますね