Coolier - 新生・東方創想話

虹にかけた夢は叶う。Ⅴ

2010/12/12 23:08:14
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すっごいおくれてしまいました。
相変わらずの短さですが、続き物でございます。

多分にとり視点です。

























――――暗い。
暗い。怖い。寒い。遠い。落ちる。浮かぶ。永遠の繰り返し。

ここはどこだろう。
体中が熱を持ったように熱い。
だけど体を動かそうとしてみても感覚はなくて、ただ、痛いだけ。

暗くて何も見えない中を沈んでは浮かんで沈んでは浮かんで。
その繰り返しがあるだけ。
そんな単調な繰り返しの中に私はいる。
単調なものはすぐに飽きられて、人々から忘れ去られる。
そこに在るのは必要性の有無。
多分今の状況は、人々にとって入らない、不必要なものだと思う。

でも今の私には丁度良かった。
痛みと熱に支配された頭では思考がまとまらない。
0と1だけのこの繰り返しが私の意識をつなぎとめる唯一の世界。

0…即ち沈んでいるとき。
この中には私はいない。
痛みも熱もこの世界もすべてが薄れて消えていく。
自分がどこにいるのかすらわからない。

1はもう正反対だ。
言い換えるなら白と黒。無と有。闇と光。
浮かんでいくほどに私に襲い掛かる痛みや熱はその勢力を増していく。
同時に私はここにいるということを実感できるし、
思考に余裕ができて、今の状況を把握できる。

沈んでいくときはただ、ただ、怖かった。
自分が自分ではなくなってしまうような気がして。
動いているのに感覚がない、動かそうと思っても動かない。
自分の手を見るたびに泣きそうになった。

後ちょっとというところでまた、浮かび上がってくる。
徐々に痛みや熱が這い登ってくるが、このときは怖くなかった。
なぜなら、そこは、暖かいものがあったから。
熱いと暖かい。
体感温度としては度合いの違いだけ。
でも、本当の意味は全く違うものだと私は思う。

熱さはすべてを焼き尽くし、破壊せしめんとする冷酷な刃。
暖かさは人の心にほんのり届く、優しい心、雰囲気。

浮かび上がるたびに感じる暖かさはだんだんと強くなっていって、
それも、私の意識をつなぎとめる鎖となってくれた。




もう、何回繰り返したのかもわからない。
何十回、何百回か。いや、何千回かもしれない。
それでも、浮かび上がってくるたびに強くなる痛みと熱さは、
私がまだここに在るという証拠だった。

その繰り返しにある変化が起きた。
ただ、触れただけ。

私が欲しかった暖かさに。
ほんのちょっと、指先が触れただけ。

目の前がいきなり白に染まり、
後には穏やかな、暖かい光に包まれた部屋に私は目覚めた。





翠の良く澄んだ目が私を優しく包んでいた。
「良かった…気がついて。」

どこかで聞き覚えのある声。
それは、私の脳内に毎晩フラッシュバックして
私の顔をだるんだるんにしていた本人の声だった。

「ぐっ…」
「だっ…大丈夫?」
体を起こそうとすると、私があの闇の中で感じていたあの痛みが襲い掛かってきた。
「うん。へーき。」
これぐらいは言わせてもらいたい。
私がここに寝ているということは、彼女が助けてくれたということなのだろうから。
川に流されてぼろぼろになった河童を見て彼女も焦った筈だし心配してもくれたはずだ。

……多分。
これ以上彼女に心配はかけたくない。
だって、私が初めて友達になりたい。と思えた人なんだから。


だから、ここから私は変わるんだ。
友達とも話せないなんてかっこ悪すぎる。
それに、このチャンスを逃してしまうと一生会えない気がする。

そりゃぁ、どこかで顔をあわせることもあるかもしれないけれど、
こんな風に話ができるのは0、皆無に等しいと思う。

必要なのは一粒の勇気。
過去を顧みずに一歩を踏み出す勇気。

私が知りたいのは一つの単語。
知っていないと一言も交わさずに終わらせる力を持つ。



ここから私は変わる。
もう、逃げてばっかりだなんて嫌だ。
私から彼女の手を取って遊びにいきたい。
話をしたい。食事をしたい。生活をしたい。

あんなじめじめした暗いのももう嫌だ。
もっと明るい場所で生きていきたい。
もっと笑ってすごしたい。


だから踏み出そう、最初の一歩を。
先が下り坂なら転がり落ちていけばいい。
上り坂ならダッシュで駆け上っていけばいい。
越えられない壁なら、よじ登っていけばいい。
断崖絶壁でも、まぁ、まぁ、、何とかなるはずだ。

「助けてくれたのは君?ありがとう。」
「私は河城にとり。君は?」

あれだけ水を飲んでいたのに、喉はカラカラで、手にねっとりと汗をかいていた。
たったこれだけのことを言うのには私は何を思いつめていたんだろう。
とても簡単なことだったじゃないか。
拒否されたらそれまでさ。なんらいつもの生活に支障が出るわけじゃない。

私が言葉を発した後、彼女は何があったのかとてもびっくりした顔でこっちを見た後、
「私…の名前?」
「そう。君の名前」
すると、彼女はとても嬉しそうに微笑んで、
「私は、鍵山…鍵山雛よ」
そういった彼女の笑顔は、とても嬉しそうで、綺麗で、儚くて、可愛かった。

ひな。かぎやま、ひな。ひな。
魔法の言葉だった。
口の中でつぶやくだけでこんな幸せな気持ちになる言葉は他にはないだろう。
何度も何度もつぶやいて、頭の中がお花畑になってしまった私は
いきなりこんなことを言っていた。




「私と、友達になってくれませんか」
いつもどうり短いですがうpします。
読んでくださりありがとうございました。

3週間・・・いや、1ヶ月ですか。
よくもまぁこんなに時間をかけてしまったものだと反省しております。

相変わらずの分量ですけどね。

1週間目はテスト準備期間が駄々かぶり、2週間目もかぶるという痛い2コンボ。
そこに加えてまさかの成績ダウンでPC触るなと命じられまして。
3週間目では部活も重なり。

なんか不幸続きの1ヶ月だったようなきがします。

それでは、本当に御覧下さりありがとうございました。
また、お目にかかりたいと思っています(2シュウカンゴニハ!!
х桜星х
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