:REPLACED:
:REPLACED:
:REPLACED:
:REPLACED:
:REPLACED:
:REPLACED: :REPLACED: 「咲夜これは何かしら?」
「は、お嬢様がお出かけするとのことでしたので、香霖堂で傘を新調致しました」
「それで何でこんな傘なのよ」
こんな風に聞くのにはわけがあった。何故ならこの傘は全く使えない。
ファミコンはあるけどコントローラがない。それくらい私にとっては意味がないものだった。
そう咲夜が差し出したのは透明な"傘"だったのだ。
「これはビニール傘。人の英知の結晶です。お嬢様もこういったスタイリッシュな傘をお使いになるべきですわ」
「いやいやいやいや! 透けてるから! 太陽光直撃だから!」
「……!?」
頼むから、お嬢様頭いいですね。みたいな感じで見つめないでほしい。頭痛がしてくるから。
と言っていても埒があかない。今日は霊夢に会いに行くつもりだったのだ。
こんなところで時間をくっている暇はない。
「もういいわ。いつもの傘持ってきて」
「捨てました、全部」
「なんですと!?」
「傘などいらぬ! といつかの酒の席で言っていたので」
「だれだよそんなこと言ったの!」
「お嬢様です」
言ったか? 言ったような気もする。でも忠実に従うことないじゃない。
これだから最近の若者は困るのよ。言われた事はやるけど、それ以外はやらない。
そんなんじゃダメよ。もっと応用力を持って欲しいわ。
「まったく。どうやって出かければいいのよ……」
「どうやらお困りのようね」
そこへ突然何者かの声が響いた。いやこんなことができるのは幻想郷広しといえど一人しかいない。
「貴様は……八雲紫か」
部屋の真ん中にぽっかりと空いたすきまから、胡散くさいうえに足もくさいという救いようのない妖怪が現れた。
「ごめんあそばせ。あなたの助けになれると思ってね」
「私は他人の手を借りるつもりはないわ」
「ふふ、連れないわねぇ。夜の帝王に相応しい傘を持ってきたっていうのに」
ぴくり。
帝王。そんな言葉に騙されるレミリア・スカーレットではない。
何が帝王だ、私の好きそうな言葉を使って興味を惹こうとは片腹痛い。
ふむ、しかし夜の帝王か、なかなかどうして……ステキじゃないの。
「早速見せてもらえるかしら?」
三行の脳内会議で即断即決。今の世の中、リーダーに求められるのは迅速な決断だ。
紫はにやりと笑みを浮かべ、すきまに手を突っ込み"何か"を取り出した。
「これよ」
紫の手は何かを握っているように、何もない空間を掴んでいる。
そう、そこにまるで傘があるかのように。
私が言葉を失っている間に咲夜が割って入った。
「いったい何のつもりなの。我が主を侮辱しているのかしら」
「やはりメイドごときではこれは見えないかしら」
「なんですって……?」
「これはね……真のカリスマを持つものにしか見えない傘なのよ」
カリスマ……だと……。
「お嬢様。騙されてはいけません」
「あら、見えないの? 紅魔館の主たるあなたなら、真のカリスマくらい持ってるわよねぇ?」
「う……ぐ……」
私を誰だと思っている。
偉大なる夜の帝王レミリア・スカーレットだぞ。
見える、紫がその手に握る傘が、私には見える!
「……なるほど見事な傘ね」
「さすがね。これが見えるとは」
「褒美を取らせよう。何でも言うがよい」
「あら、これはあなたが使ってこそ価値があるもの。褒美なんていらないわ」
「殊勝な心がけね。咲夜、行くわよ」
「は、はい。お嬢様」
「お、お嬢様!? 煙! 羽から煙が出てますよ!」
門から飛び立とうとしたところで、血相を変えた美鈴に止められた。
外から入ってくる奴は素通りさせるくせに、中から出ていく主を止めるとはどういう了見だ。
「落ち着きなさい美鈴。お嬢様の羽から出ているのは煙ではないわ」
「はひ? いやどうみても焦げて……」
「真にカリスマを極めしものは、その身にカリスマを纏うことができる。あなたが見ているのは我がカリスマよ!」
「な、なんだってー!?」
可哀そうに。今までカリスマがどういうものか知らなかったのだろう。
私も今日知ったんだけど。
「カリスマって目に見えるものだったんですねぇ……」
「私ほどのカリスマになると自分でも抑えられないのよ。ああ、自分が恐ろしいわ」
「美鈴。私達は出かけてくるから。留守を頼むわよ」
「はい! ネズミ一匹入れませんよ!」
いつになく自信たっぷりの美鈴だった。
なのでちょっとからかってみる。
「ほう。では進入を許したら三日間は咲夜の料理を食べられないと思いなさい」
「え……それはちょっと」
「美鈴。あなたの門番にかけるプライドとはその程度のものだったの?」
「うぅ……わ、わかりました! 三日と言わず、敵の侵入を許したら一週間ご飯抜きで構いません!」
「本当にいいのね?」
「門番に二言はありません!」
「ところで咲夜。先ほど私達は誰にあったかしら?」
「は、八雲紫です」
「場所は」
「お嬢様の部屋でございます」
「侵入されてるわよね」
「はい」
「…………」
美鈴は、にこりと笑って言った。
「えへ♪」
「咲夜、一週間は美鈴のご飯作らなくていいわ」
「ええ!? そ、それはあんまりでは……!」
涙目の美鈴を尻目に、私はクールに去るわ。
「美鈴、お嬢様はあなたの分のご飯を作ってはいけないと言ったのよ」
「え?」
「だから私が作っていなければいいのよ。これ、食べなさい」
そう言って咲夜は、主の後を追いかけるように飛び立った。
「咲夜さん……」
二人を見送った美鈴の手には、モ○プチが握られていた。
「ぜぇ、ぜぇ……博麗神社まであと少しだと言うのに……」
神社へと続く石段を一歩、また一歩と亡者のように踏みしめる。
いつもはひとっ飛びというところなのだが、神社が視界に入ったあたりで、自慢の翼が全てカリスマになってしまったのだ。
「お嬢様。先ほどから顔色が優れませんが、大丈夫ですか。やはり日光が――」
「違う! 昨日寝ないでモ○ハンやってたから寝不足なだけよ!」
「お嬢様……」
「私にはこの夜の帝王の傘がある!」
咲夜には見えていないというそれを天に掲げる。
これがある限り、私が帝王である限り……。
「レミリア・スカーレットは退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」
前進だ。
とにかく前に進め。
あと少しで神社が見えてくる。
会いたかった霊夢がそこにいる。
「お嬢様、あと少しでございます!」
先ほどまでは心配そうな顔をしていた咲夜も、今は一生懸命に私を応援している。
「見えたわ!」
逸る気持ちを抑えながらも――いややっぱり抑えきれない。
気が付いたら大声で彼女の名前を呼んでいた。
「霊夢ー! 会いに来たわよー!」
「ちょ、あんたどうしたの!?」
大声で叫ぶと、やけに慌てた様子で霊夢が駆け寄ってきた。
もう、霊夢ったらそんなに私に会いたかったのかしら☆
感動の抱擁だった。まぶた閉じれば~浮かぶ~景色が~♪
と思わず脳内BGMが流れるくらいに。
「あら?」
が、そこに水を差す奴が現れた。
八雲紫。
こいつ先回りしていやがった!
「あら、あなた傘もささずにどうしたの?」
「何を言っている。ここに貴様にもらった傘が……」
「え、どこにあるのよ?」
紫はばさっと扇子を広げ、口元を隠しているがまさに虚を突かれたという感じだった。
そしてパチンと扇子を閉じて、
「え? うそ……本当に信じてここまで来たの?」
本当に信じて? どういうことだ?
「いやーちょっとからかったつもりだったんだけど。だって普通すぐ気づくでしょ。外に出てちょっと火傷でもしたら面白いかなぁってくらいだったのだけど」
なん……だと……?
「ごめんねぇ。だって本当に信じるなんて思わないじゃない。あなたのプライドも大したものねぇ」
つまりそういうことか、そういうことなんだな。
私は騙されていた。
最初からクライマックスだったというわけだ。
ふらふらになっている私を、霊夢と咲夜が心配そうに見つめている。
くくく、面白い。
実に面白いじゃないか。
「最高に灰って奴だぁあああああああ!!」
:REPLACED:
:REPLACED: :REPLACED: 「咲夜これは何かしら?」
「は、お嬢様がお出かけするとのことでしたので、香霖堂で傘を新調致しました」
「それで何でこんな傘なのよ」
こんな風に聞くのにはわけがあった。何故ならこの傘は全く使えない。
ファミコンはあるけどコントローラがない。それくらい私にとっては意味がないものだった。
そう咲夜が差し出したのは透明な"傘"だったのだ。
「これはビニール傘。人の英知の結晶です。お嬢様もこういったスタイリッシュな傘をお使いになるべきですわ」
「いやいやいやいや! 透けてるから! 太陽光直撃だから!」
「……!?」
頼むから、お嬢様頭いいですね。みたいな感じで見つめないでほしい。頭痛がしてくるから。
と言っていても埒があかない。今日は霊夢に会いに行くつもりだったのだ。
こんなところで時間をくっている暇はない。
「もういいわ。いつもの傘持ってきて」
「捨てました、全部」
「なんですと!?」
「傘などいらぬ! といつかの酒の席で言っていたので」
「だれだよそんなこと言ったの!」
「お嬢様です」
言ったか? 言ったような気もする。でも忠実に従うことないじゃない。
これだから最近の若者は困るのよ。言われた事はやるけど、それ以外はやらない。
そんなんじゃダメよ。もっと応用力を持って欲しいわ。
「まったく。どうやって出かければいいのよ……」
「どうやらお困りのようね」
そこへ突然何者かの声が響いた。いやこんなことができるのは幻想郷広しといえど一人しかいない。
「貴様は……八雲紫か」
部屋の真ん中にぽっかりと空いたすきまから、胡散くさいうえに足もくさいという救いようのない妖怪が現れた。
「ごめんあそばせ。あなたの助けになれると思ってね」
「私は他人の手を借りるつもりはないわ」
「ふふ、連れないわねぇ。夜の帝王に相応しい傘を持ってきたっていうのに」
ぴくり。
帝王。そんな言葉に騙されるレミリア・スカーレットではない。
何が帝王だ、私の好きそうな言葉を使って興味を惹こうとは片腹痛い。
ふむ、しかし夜の帝王か、なかなかどうして……ステキじゃないの。
「早速見せてもらえるかしら?」
三行の脳内会議で即断即決。今の世の中、リーダーに求められるのは迅速な決断だ。
紫はにやりと笑みを浮かべ、すきまに手を突っ込み"何か"を取り出した。
「これよ」
紫の手は何かを握っているように、何もない空間を掴んでいる。
そう、そこにまるで傘があるかのように。
私が言葉を失っている間に咲夜が割って入った。
「いったい何のつもりなの。我が主を侮辱しているのかしら」
「やはりメイドごときではこれは見えないかしら」
「なんですって……?」
「これはね……真のカリスマを持つものにしか見えない傘なのよ」
カリスマ……だと……。
「お嬢様。騙されてはいけません」
「あら、見えないの? 紅魔館の主たるあなたなら、真のカリスマくらい持ってるわよねぇ?」
「う……ぐ……」
私を誰だと思っている。
偉大なる夜の帝王レミリア・スカーレットだぞ。
見える、紫がその手に握る傘が、私には見える!
「……なるほど見事な傘ね」
「さすがね。これが見えるとは」
「褒美を取らせよう。何でも言うがよい」
「あら、これはあなたが使ってこそ価値があるもの。褒美なんていらないわ」
「殊勝な心がけね。咲夜、行くわよ」
「は、はい。お嬢様」
「お、お嬢様!? 煙! 羽から煙が出てますよ!」
門から飛び立とうとしたところで、血相を変えた美鈴に止められた。
外から入ってくる奴は素通りさせるくせに、中から出ていく主を止めるとはどういう了見だ。
「落ち着きなさい美鈴。お嬢様の羽から出ているのは煙ではないわ」
「はひ? いやどうみても焦げて……」
「真にカリスマを極めしものは、その身にカリスマを纏うことができる。あなたが見ているのは我がカリスマよ!」
「な、なんだってー!?」
可哀そうに。今までカリスマがどういうものか知らなかったのだろう。
私も今日知ったんだけど。
「カリスマって目に見えるものだったんですねぇ……」
「私ほどのカリスマになると自分でも抑えられないのよ。ああ、自分が恐ろしいわ」
「美鈴。私達は出かけてくるから。留守を頼むわよ」
「はい! ネズミ一匹入れませんよ!」
いつになく自信たっぷりの美鈴だった。
なのでちょっとからかってみる。
「ほう。では進入を許したら三日間は咲夜の料理を食べられないと思いなさい」
「え……それはちょっと」
「美鈴。あなたの門番にかけるプライドとはその程度のものだったの?」
「うぅ……わ、わかりました! 三日と言わず、敵の侵入を許したら一週間ご飯抜きで構いません!」
「本当にいいのね?」
「門番に二言はありません!」
「ところで咲夜。先ほど私達は誰にあったかしら?」
「は、八雲紫です」
「場所は」
「お嬢様の部屋でございます」
「侵入されてるわよね」
「はい」
「…………」
美鈴は、にこりと笑って言った。
「えへ♪」
「咲夜、一週間は美鈴のご飯作らなくていいわ」
「ええ!? そ、それはあんまりでは……!」
涙目の美鈴を尻目に、私はクールに去るわ。
「美鈴、お嬢様はあなたの分のご飯を作ってはいけないと言ったのよ」
「え?」
「だから私が作っていなければいいのよ。これ、食べなさい」
そう言って咲夜は、主の後を追いかけるように飛び立った。
「咲夜さん……」
二人を見送った美鈴の手には、モ○プチが握られていた。
「ぜぇ、ぜぇ……博麗神社まであと少しだと言うのに……」
神社へと続く石段を一歩、また一歩と亡者のように踏みしめる。
いつもはひとっ飛びというところなのだが、神社が視界に入ったあたりで、自慢の翼が全てカリスマになってしまったのだ。
「お嬢様。先ほどから顔色が優れませんが、大丈夫ですか。やはり日光が――」
「違う! 昨日寝ないでモ○ハンやってたから寝不足なだけよ!」
「お嬢様……」
「私にはこの夜の帝王の傘がある!」
咲夜には見えていないというそれを天に掲げる。
これがある限り、私が帝王である限り……。
「レミリア・スカーレットは退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」
前進だ。
とにかく前に進め。
あと少しで神社が見えてくる。
会いたかった霊夢がそこにいる。
「お嬢様、あと少しでございます!」
先ほどまでは心配そうな顔をしていた咲夜も、今は一生懸命に私を応援している。
「見えたわ!」
逸る気持ちを抑えながらも――いややっぱり抑えきれない。
気が付いたら大声で彼女の名前を呼んでいた。
「霊夢ー! 会いに来たわよー!」
「ちょ、あんたどうしたの!?」
大声で叫ぶと、やけに慌てた様子で霊夢が駆け寄ってきた。
もう、霊夢ったらそんなに私に会いたかったのかしら☆
感動の抱擁だった。まぶた閉じれば~浮かぶ~景色が~♪
と思わず脳内BGMが流れるくらいに。
「あら?」
が、そこに水を差す奴が現れた。
八雲紫。
こいつ先回りしていやがった!
「あら、あなた傘もささずにどうしたの?」
「何を言っている。ここに貴様にもらった傘が……」
「え、どこにあるのよ?」
紫はばさっと扇子を広げ、口元を隠しているがまさに虚を突かれたという感じだった。
そしてパチンと扇子を閉じて、
「え? うそ……本当に信じてここまで来たの?」
本当に信じて? どういうことだ?
「いやーちょっとからかったつもりだったんだけど。だって普通すぐ気づくでしょ。外に出てちょっと火傷でもしたら面白いかなぁってくらいだったのだけど」
なん……だと……?
「ごめんねぇ。だって本当に信じるなんて思わないじゃない。あなたのプライドも大したものねぇ」
つまりそういうことか、そういうことなんだな。
私は騙されていた。
最初からクライマックスだったというわけだ。
ふらふらになっている私を、霊夢と咲夜が心配そうに見つめている。
くくく、面白い。
実に面白いじゃないか。
「最高に灰って奴だぁあああああああ!!」
:REPLACED:
やはりおぜう様こそが真のカリスマ女王
それはおいといて、登場人物の意図が全く見えないのが気になった
最初カリスマがなかったのであとがきを先に見てしまいました(笑)
そしてやはりカリスマ格が違った
IEでは読めるのにFFでは空白じゃん
つまりカリスマ=IEってことでおk?
お嬢様お見事です
でも、こういう新しい発想がどんどん増えればいいなぁと思います。次回作にも期待。
負けだ……完全敗北だ……
カリスマインストールしてみたらちゃんと読めました
純粋に仕掛けを楽しめなかったのがちょっと勿体なかったです。
これぞまさに「Webだからこそ」。面白い発想でした。
躍起になってる人多すぎですね。
発想は面白いのですがSSとしてはどうなんでしょうか?
本当に疑問です。
それにしても本当に裸の王様なレミリアw
おぜう、流石のカリスマじゃー!
躊躇う事無く傘を捨てちゃう咲夜さんとモンプチを片手に崩れ落ちる美鈴
そして気合と思い込みだけで太陽に歯向うお嬢様
誰も彼もが理不尽に愉快でした
日光によって余計な物がそぎ落とされて最後に残ったのが真のカリスマなのですね