「霊夢さん! 何故結婚しない!」
随分堂々とした変質者だなぁ、と霊夢は思った。
ゆかれいむの総本山たる博麗神社において、あやれいむを叫ぶ女は皆、変質者なのだ。
無論、逃げない変質者はよく訓練された変質者であり、問答無用で撃ってよい。今決めた。
「はいはい夢想封印」
「わっ、やめて!」
スペルカードの直撃に耐えた、タフな女こと射命丸文。
地底温泉の件で共闘して以来、霊夢に付きまとって愛情を妥協しない。
(人間の友達が欲しいのかしら。天狗だものね、何事にも興味津々。つまり、好奇心のせいだわ)
霊夢がキスしたせいである。
「籍を入れましょう」
「まず冷静になってよ」
罪な女、博麗霊夢は異変が解決する度に宴会で脱いでチューして酔いが冷めるとクールに戻るという、複雑な一面を持っている。
主に人間関係が複雑になるのだが、霊夢自身は単純な思考回路の持ち主なのでハーレムの輪は広がるばかりだ。
今日も隅っこで紫様がみてる。萃香、魔理沙、アリスといったオマケ付き。
「子供は男の子と女の子がそれぞれ四人ずつでいいですよね」
「多くない!?」
茂みの奥でハンカチを噛みしめているハーレム構成員達の存在に気付かない限り、文の命は保障できない。
「霊夢さーん。私、あの日が忘れられないんですよー」
「どの日よ」
「昨日です」
昨日も酔った勢いで文を押し倒した霊夢は、本当に悪い人である。
噛み千切られるハンカチの増加量が、彼女のプレイガールっぷりを物語っている。
「じゃあさっそく式場に行きましょう」
「じゃあって何よ。聞いてよ、私の話」
天狗は頭の回転が速い。だが理性の働きは鈍い。そのため、話題がポンポンと飛躍して、気が付けば嫁にされているという嬉しい大惨事がよく起きる。
この間も、椛とにとりと早苗が結婚したばかりである。ついうっかり妻を二人持ってしまった椛の幸せそうな顔も、文のやる気に火をつけた要因の一つだったりする。
「羨ましいんですよー。私もそろそろ身を固めたいんですよー。霊夢さんってばー」
「あーもう、うるさい。私は忙しいの!」
霊夢のスケジュールは午後三時から翌朝まで空いているのがデフォ、と知れ渡っているので一発で嘘だとバレた。
「もう逃げられませんよ。ふふ」
「嫌な笑い方ね」
「今思い出したんですけど、私は妖怪。力ずくで貴方をものにすればいいんです」
今まで自分の種族を忘れていたらしい。
「腕力の差を恨んでください」
「いよいよ本性を出したわね……!」
皆の霊夢が危ない。
茂みの奥にいる紫達は飛び出して救出するべきシチュエーションだ。
しかし、いけない事される霊夢も見てみたいぞ、と魔理沙が呟いた結果、全員一致で静観の姿勢に入った。
「離してよ! 本当に怒るわよ!」
「もう怒ってるじゃないですか」
「泣くわよ!」
「泣き顔!? ぜひ見たい!」
「駄目だこいつ……」
霊夢が手篭めにされるのか。
不健全な期待の元に皆が見守る中、
「大体あんた、もう椛の妻でしょうが」
「……え?」
天狗社会の大雑把な婚姻制度が裏目に出た。
何を隠そう、文は先日、椛の三人目の妻になったばかりであった。本人も知らないうちに入籍されていたのである。
椛は言う。「ごめん、はたてと間違えた。でも可愛いからいいや」と。
「そんな……私には既に、守るべき家庭が有ったんですね」
「そうよ。帰りなさいよ」
「……そうします」
とぼとぼと帰路に着く文。
頑張れ文。椛との関係を清算してから再アプローチだ。
ところでハーレム構成員の中にレミリアがいないぞ!
作者さんの愛をぶつけられた気がします。
そのため、話題がポンポンと飛躍して、気が付けば嫁にされているという嬉しい大惨事がよく起きる。
この部分で既に腹筋崩壊余裕でしたw
テンポがいい文章ですねえ。
しかし霊夢も人が悪いですなww
おもしろい
面白かったです。
重婚がダメだとか、霊夢と椛がすごいハーレム状態だとか、そういう表面的なもんじゃなくて。
もっと、根本的ななにかがおかしい。
あなた天才だわw
年頃になったならー 慎みなさいー♪