むかしむかしと言うどころか割と最近、魂魄妖夢というむすめがおりました。
その娘は齢五十をこえておりましたが、半人半霊という種族の中でいうと非常に多感なお年ごろで、それはもうおしゃれをしたり出かけたりしたいのでした。
おかげで、剣術のたんれんや住み込みでやっている庭の手入れにも熱が入らず、主人である幽々子さまはとうとう見かね、友人である紫さんに相談することにしました。
「それならば」と、紫さんははりきりました。
妖夢の髪はきれいな銀髪で、紫さんとしても一度彼女で遊んで、もとい、おめかしをさせてあげたかったのです。
紫さんは、妖夢に外の世界のふくそうの本を、何さつかあげる事にしました。そして、この中で気に入ったものを買いにいきましょうと言いました。
妖夢は大喜びです。
次の日。紫さんが来ると、妖夢が元気にむかえてくれました。ひとばんじゅう本を読んでいたのか、目の下にはクマが出来てしまっています。
まるで子犬のようにはしゃぐ妖夢を見て、その愛らしさに紫さんは思わず笑ってしまいましたが、遠くのほうで幽々子様が鼻血をたれなしているのを見て、自分もこうなってしまっているのかと気をあらためました。
「さあ、いきましょう。どこに行きたいのかしら?」
妖夢は元気に答えました。
「ファッションセンターしまむらに行きたいです!」
彼女が調べるに、もっともおおくの品物が取りそろえてある洋服屋がしまむらだったのです。
二人はしまむらに向かいました。
そこは、妖夢にとって別世界でした。
色とりどりのお洋服がところせましと並べられ、まるで虹の世界のようです。
たくさんのお洋服が並べられる様は、ファッションセンターの名にはじないものでした。
彼女は考えました。考えて考えて、けれど、最初はふだん着ているものにちかしいものがしっくりするだろうという結論にたどりつきました。
時期はちょうど冬がはじまりそうでしたので、あたたかくしようと、緑色のジャケットに、それにそろえたニットの帽子。
ワンポイントに、かわいらしいピンクのマフラーと手袋をそろえます。
下はショートパンツにしました。でも、ただのショートパンツではありません。
一緒にレギンスがセットになっていてあたたかく、しかも1870円ととてもお得だったのです。
こんなにそろえても5500円。妖夢はこの安さと品ぞろえに感心しました。
そして、すっかりしまむらのとりこになってしまったのです。
帰ってからというもの、妖夢はしまむらの服を好んで着ました。
ほかの服なんて見むきもしません。
幽々子さまがきれいな和服を用意しても、紫さんがきらびやかなドレスを用意しても、妖夢はしまむらにこだわり続けました。
それどころか、二人にしまむらをすすめてきます。
「幽々子様、このファイバーヒートというものはとても断熱性に優れていて着心地もいいのです。一度着てみては如何でしょうか。いえ、一度どころかこれからも、いやいやずっとしまむらでいきましょう。いっそしまむら冥界店を開いてみるのも良いかもしれません」
「ねえ妖夢、人には選択権があるの。白玉楼の主人がそんなカジュアルは服装で良いと思うかしら」
「一向に構いません!」
妖夢は話をぜんぜん聞いてくれません。
らちが開かないので、幽々子さまはいやがる紫さんをつれて来ました。紫さんとしては、めんどうだしねむいしほうり出したい気分でしたが、友人のたのみはことわれません。
しかたなく、紫さんは作戦を考えます。そして、幽々子さまに一週間まってほしいと言いました。
そして一週間がすぎ、妖夢の前に紫さんがあらわれました。
紫さんは言いました。
「竹林の兎が、最近何かお洒落をしているみたいなのだけど、もしかして、妖夢が広めたの?」
妖夢は何のことだかさっぱりです。いいえと首をふると、今度は紫さんが首をかしげました。
「そう、最近の貴女に似ていたから、てっきり妖夢が広めたものだと思っていたけれど、違うのね。でも、似てるから良い話し相手になるかもしれないわね」
わかりあえる相手。妖夢はよろこびました。
なぜなら、しまむらの話をしてもだれも聞いてくれず、閻魔さままでいやな顔をしてにげてしまうのです。
紅白の巫女のところに行っても、だれもしまむらの良さをりかいしてくれません。
なので、話を聞いてくれるだけでも、今の妖夢はうれしいのでした。
妖夢はさっそく出かけました。
めい界をぬけて雲をぬけ、青々としげる竹林へ入ります。
すると、一ぴきのうさぎさんがいました。人がたなので、ようかいです。
「貴女は確か・・・」
「てゐよ、因幡てゐ。暫く見ない間に、剣士さんは随分と変わった格好になったのね」
「しまむらという服屋で買ったんです。可愛いと思いませんか。そうだ、貴女もしまむらに行きませんか。絶対気に入ると思うんですよ。この中綿ジャケットはファイバーヒートって言いまして、暖かい上に軽くて着心地も最高なんですよ!」
「でも、なんかやぼったい」
「え、いやでも━━━━━━」
「そのニットとジャケットとか、なんか定番過ぎるのよ。その手袋だって別に要らないと思うし。その点わたしは違うわよ。この赤いダウンジャケットだけ」
そういえば。と、妖夢は気付きました。このうさぎは、どうして外の世界の服を着ているのか。
てゐはくるくると、ジャケットを見せびらかすように回ります。
「コーディネイトっていうのはコンセプトが大事なの。まあ、わたしは何でも似合っちゃうけど。でもこのダウンは綺麗でしょ? ユニクロって所で買ったんだけれどね」
「ユニ・・・・クロ・・・?」
妖夢はその名前におぼえがありました。紫さんからもらったカタログ、その中にあった服屋の一つです。
売りは、ほうふな品ぞろえと安さ。しまむらととてもにています。
妖夢はがてんがいきました。
「貴様、ユニクロの手の者かぁぁぁあああああ!!!!」
妖夢がとつぜんさけんだので、うさぎさんはとてもおどろきました。何せ、妖夢は刀をぬきはなっていて、今にも切りかかりそうだったからです。
切られてはかなわんと、ユニクロうさぎはあわてます。
「いやちょっと待って、わたしには何がどうなってんだか」
「黙れユニクロの刺客め。この魂魄妖夢、しまむらの為ならば切れぬものなど!」
ふだんならば「あんまりない」と言うかのじょですが、この時ばかりは何でも切れる気がしました。妖夢のしまむらへの愛が、すべてを可能としたのです。
一方、てゐは妖夢のただならぬ気配にこんらん気味でしたが、ユニクロをきらっている事としまむらが好きなことはわかりました。
なので、切られないようにじまんの口げんかに持ちこみます。
「え、しまむらって刃物振り回す野蛮人が着る物なの? ちょっとそれ怖いんだけど」
「・・・・・え」
「やめてよね、わたしはこの通り丸腰なのよ? そのわたしを切るなんてどういう神経してるのよ。そんなヤツが着る服なんて程度が知れるわね。大体なにそのファイバーヒートとか、意味分かんない。ユニクロにだってヒートテックっていうのがあるし、こっちの方が言いやすいに決まってるじゃないの。それをわざわざ言い直してファイバー何とかなんて?パクリよねパクリ」
「パ・・・パクリなんかじゃ・・・」
「え な に 聞 こ え な い ん で す け ど ? そもそも田舎臭いのよしまむらってー。名前からしてー。田舎くさいんじゃ、そのやぼったいのも仕方ないわよねー、田舎臭いものねー、きっと店内は田んぼみたいな匂いがするのかしらね。それに比べるのもなんだけど、ほら、このジャケットのスタイリッシュなこと。これぞ都会派って感じ?」
「ギギギギギ...」
「あれ? 何? 切っちゃうの? 切れないわよねー。切ったら私が言ったことを肯定しちゃうんだものねー。まあ田舎侍は、さっさと冥界に帰って主人の無駄にでかい胸でも揉みしだいたらいいんじゃないかしらね」
「うわあああああああああああああああああ!」
妖夢はたえきれず、にげ出しました。
しまむらがばかにされたこと、自分の行動で、こんなにもくやしい思いをした事。ことばというぼうりょくで完全にたたきのめされた事。くやしくてくやしくて、その場からすぐにでもはなれてしまいたかったのです。
なみだが止まりませんでした。はな水でいきも出来ません。おえつが止まらなくて、それもくやしくて、また泣いてしまいます。
だからおうちに帰ると、泣きながら妖夢は幽々子さまにだきつきました。
おっぱいをもみました。もみしだきました。てゐの言った通りもみしだいて、むねの谷間でなみだをふきました。
きょぜつする幽々子さまの声がつややかになってきましたが、妖夢は気にしません。なぜだかふとももをもじもじしていますが、それも気にしません。
紫さんが録画していても、妖夢のおじいさんが盗撮していても気にしません。
けれど、妖夢ももむ手がつかれたようです。ぐったりした幽々子さまから手をはなすと、刀をぬきはって庭にある大きなさくらの木のねもとをほりました。
ほっていくと死体が出てきたので、手あつくくようしました。
天に上っていく幽々子さまの顔は、とてもおだやかでした。
めでたしめでたし。
しまむらみょんの狂信的な感じが出ていて良かったです。
おもしろかったです
でもオチが酷いのでこの点数でw
だがそれがいい
お気に入りの作品になりそうだ
自分は服に疎いんですが、世の中にはこういう方法の楽しみ方もあるんですねえ……。
まあ、皆女の子だもんなあ。そりゃ、好きなブランドだってあってもおかしくないか。
ってか、最後がひわいすぎるw
つかなぜ供養したwww
そして最後何故エロ展開
ちょっと待ちなさいおじいさんw
GEORGE魔理沙はないみたいですね
さすがです。終始笑いっぱなしで最後の部分はサイコーでした。
しまむら、ユニクロも幻想卿入りしないで~
実際に妖夢が広告したらしまむらの売り上げは倍以上になるんじゃない
少なくとも私は買います。