※下品注意
※超注意
※心の広い方向け
美鈴の乳は幻想郷一であるという。本当だろうか?
私は魔女であるので、好奇心が旺盛だ。さっそくたしかめに紅魔館の門へと向かった。
「というわけで、乳房を出しなさい。ぽる~んと」
「突然のセクハラは勘弁してください……」
美鈴が情けない顔をする。帽子につけている星型の飾りが、太陽を反射してキラキラと光った。今日もいい天気。湖では氷精が十年一日のように蛙を凍らせたりメダカをビオトープスタイルで飼育したりして遊んでいる。
日射病になりそう。
「だって、本に載っていないんだもの。情報のないおっぱいは現地で見て揉んでたしかめる。基本でしょう」
「パチュリー様はことおっぱいに関する限り、超絶アクティブになるのです。すいません」
「当然よ」
小悪魔が何故だか謝る。私は胸を張る。
「わかったら出しなさい。減るもんでもないでしょう。むしろ、それだけ立派なものもってたら、見せたくってしょうがないんじゃないの? うりうり、正直になれよ」
あれ、おかしいな。私は首をかしげた。
いつもならこのへんで、美鈴が「嫌ですよ!」と叫んで逃げるか、咲夜が時を止めていつの間にか地下室(meet妹様)にブチ込まれているはずなのに、何も動きがない。美鈴は腕を組んで、なにやら考え事をしている。口を開いた。
「わかりました」
「Wow!」
「興奮しないでください。ひとつ、条件があるんです」
美鈴は澄み切った瞳でまっすぐこちらを見つめる。
「パチュリー様も脱いでください。交換条件です。一緒に脱げば、恥ずかしくないですからね」
「んん……えっとぉ……」
どうしよう。予想外に美鈴が知恵をつけてきた。脱ぐのはやぶさかではないが、小悪魔がわくわくした顔をしているし、幻想郷一と言われる乳と比べられるのも気が引ける。
もじもじして前かがみになって両手で胸を隠したり足を摺りあわせたりしていると、エロオーラを感知して白黒ネズミがやってきた。
「どーん!」
と口で言って、ロケットのような勢いでそばの地面に突っ込む。砂煙がはれたあと、三メーターにわたって地面が陥没しているのがわかった。死んでいないので、いつのまにか人間ではなくなってしまっていたのかもしれない。
「ちょいと待ちなおめえさんがた。そういう話なら、恋の魔法使いこと霧雨魔理沙様の出番だぜ」
「そう、魔理沙に……見せるのね」
興奮してきた。
ノーレッジ流サンダーキャストオフ(脱衣)を披露しようとしたところで、さらに突っ込んでくるものがいたので私は冷静に横に避けた。
「どーん!」
口で言って、先程の魔理沙のものよりもさらにでかいクレーターを作る。
避けきれなかった小悪魔が死んだ。でもギャグなので数瞬で生き返った。
「清く正しい射命丸です。はばかりながらこの私が、すべてを記録し、幻想郷じゅうにしらしめましょう。ええジャーナリストとして」
私は言葉を返すことができなかった。避けたつもりが、やはりなんといってもこの私なので体が精神についてこず重症を負っていたからだった。
でもギャグなのですぐ治ったところで、
「どーん!」
「いやもういいからぁぁぁ」
またひとり突っ込んできた。今度もアバラ折れた。もくもく砂煙が晴れると青い服に白と水色の髪の変な帽子の先生が立っていた。
「いけないけーね先生こと、上白沢慧音が乳房の判定を行おう。まかせてくれ」
美鈴が呆れた顔をしていた。
それからも計三十人くらいがどんどん突っ込んできた。ほんと幻想郷はアホの巣窟やと思った。
◆ ◇ ◆
「で、なんでこうなるのよ」
「紅魔館は一蓮托生、家族のようなものでしょう、レミィ」
紅魔館の上空に巨大なアドバルーンがいくつもゆらめいていた。幻想郷全土から見えるような、大規模な宣伝だ。
むろんチラシ配り、文々。新聞への広告、永遠亭月世界テレビ局からの放送、あっきゅんによる人里での口コミなど、事前の入念な準備もかかしていない。
今日は念願の「幻想郷最大おっぱいトーナメントin紅魔館」の当日だ。紅魔館の広大な中庭に設置された天下一武道会みたいな感じの特設ステージと観客席に、いまや幻想郷中のダメ人間どもがところせましと押し寄せていた。
「何で乳さらさなきゃならないのよ」
「紅魔館は一蓮托生、家族のようなものでしょう、レミィ」
「同じこと言った、ってわかるからね私」
レミィは胸を張った。賢くなった。
「まあまあ、まさかほんとうに裸の乳をさらすわけじゃないわ。でもさらせばお金もらえるわよ。本いっぱい買えるわよ。あなたが欲しがってた、カリスマ身体測定セットも買えるわよ。
ダメ? あっそう。
会場が紅魔館だから、イベント名にも紅魔館ってついてるけど、つまるとこ幻想郷じゅうの乳自慢が集まって水着を着ておっぱいたゆんたゆんゆらすっていう、お祭りよ。そういうの好きでしょう」
「まあねえ」
不敵に笑うレミィ。
「乳においても、わが紅魔館が幻想郷一であると証明してやるさ。うちからは美鈴と、あとパチェも出るの?」
「ええ」
いつもの服の下に着込んでいる水着を意識すると、やっぱりちょっと恥ずかしくなった。魔理沙にだけ見せられれば良かったのに。
ぞくぞくと参加選手が楽屋に集合している。主催者である魔理沙が、マイクを持って観客を煽り、祭典の開始を宣言していた。
「ようこそお集まりのみなさん、だぜ。お前らはそろいもそろって、おっぱいと聞いちゃ黙っておれない、大馬鹿野郎どもだ! 荒くれだ! おっぱい益荒男だ! 幻想郷の人口比として女のほうがはるかに多いから、おっぱいなでしこだ! このバーカ! 不況だってのに!
私がこの祭典をはじめに企画したとき、そこにはふたつのおっぱいしかなかった。おっぱいだから四つだ。それがあれよあれよと、これだけの数のおっぱいを集められたのは、そう、Loveだと私は思っている。愛は幻想郷を救う。いわんやおっぱいであれば、ちょ、お前らうるさいよ。わかったよ。黙れよ。死ねよ。
わかった、わかったって。あせんなって。本日出場してくれるおっぱいたちは、質の面でもLoveの面でも、これ以上ない幻想郷屈指のボインどもであると私は信じている。
幻想郷はいつか滅びるかもしれない。私を含めて、このうちの誰かが、明日には死んでいるかもしれない。だがそれがなんだろう。おっぱいは永遠だ。さあ、選手紹介だぜ!」
わーわー、と、観客どもが喉も枯れよとばかりに叫ぶ。
一人目の出場者が姿をあらわした。
「まずは一人目、紅魔館のおっぱいこと紅美鈴! 紅魔館に挑む侵入者の八割は、美鈴のおっぱいが揺れるのを見たいだけだと言うぜ。私もご多分にもれず、いつも楽しませてもらっている。続いて二人目!」
やたらと体にぴったりとしたチャイナドレスを着て、美鈴が手を振る。スリットも深くて扇情的だ。下着の線が見えないところをみると、下にはなにも着けていないのかもしれない。開き直ったのか明るい表情をしている。というかお前、やっぱり見せたかったんだろ。
続いて風見幽香が日傘をもってレースクイーンみたいになって出てきた。非常に似合っている。ひまわり柄のワンピースという、ちょっと子どもみたいな水着だが、カットがきついし、彼女が着ると破壊力がダブルスパークな感じだった。89のD。
「ひまわりおっぱい風見幽香! 幻想郷じゅうでまことしやかにささやかれる、幽香最強説! 本日私たちはその伝説を目撃する! しかし、でかいなあ。 次! 西行寺幽々子ォ!」
観客がどよめいた。幽々子は薄水色に桜色のアクセントのビキニという、期待どおりの水着を着ていたが、その上に透ける薄物を羽織っていた。単純に肌を晒すよりも、よけい想像をかきたてる。そういうのもあるのか!
「冥界よりお越しの栄養満点亡霊おっぱい! 死んでるのにあんなに食ってどーすんだと思っていたが、こーすんだな! みんな、わかったよな! 揺らせ! やわらかそうだな! いいな、妖夢いいな! 次だ!」
投げキッスなんかしてサービス満点な幽々子だった。続いて上白沢慧音が堂々とした顔で出てきた。
「いけないおっぱいけーね先生だ! はじめは審査員をやろうとしていたが、どう考えてもお前はこっち側だということで私が説得したんだぜ! ありがとうって言え! うん、こっちこそありがとう。お前らほんと馬鹿で大好きだ。先生はあれだな、おっぱい寺子屋でおっぱい個人授業とかしてんだろうな。じゃあ次ー」
慧音はワンショルダー型の水着で、デザイン的にはプロレスラーみたいに見えるものの、意外と華奢な体躯におっぱいの形のよさがあいまって何故だか品良く見えた。これも人徳、いや乳徳というものだろうか。
つづいてほがらかな笑いとともに星熊勇儀がでかい杯もって出てきた。
「星熊勇儀! 萃香と同じ山の……萃香関係なかった、山のおっぱい四天王、いやさチャンピオンと言っていいだろう! ってお前、それ反則! 反則に近い! でもいいもっとやれ! ここは紅魔館、フェティシズムの館だ!」
「不名誉な呼称をされたように思うんだけど」
「レミィは黙ってて」
勇儀はトチ狂ったのか、胸にはさらし、下はブルマーという出で立ちだった。公式で体操服だけあって容赦なかった。一部の年季の入った変態どもにはとくに大好評だ。
「次ィ! まさかお前が出てくれるとは! 現・妖怪の山代表! 神の乳をおがめ! 信仰おっぱい八坂神奈子!」
神奈子がでてくると、わーわー騒いでいた観客が少しトーンダウンした。それもそのはず、神奈子はガウンを羽織っていたのだった。
「どうした? おっぱいみーせーて、だぜ」
「い、嫌よ! 貞淑な日本女性が、そんなことできない!」
「うるせえー」
どこからともなくぴょいんと諏訪子が飛び出して、神奈子のガウンをはぎとった。
「ああっ」
「オメーはいい乳してんだからよう、みなさんにも見せびらかしてやりな」
「ああ、ああ、嫌……」
神奈子は両手で胸を抱きしめ、なんとか隠そうとしたが、そのツインウェポンはいかようにしても隠しきれなかった。むしろ谷間を強調することになってしまい、感極まった観客たちが「俺のオンバシラがエクスパンデッド!」とかニコニコ動画みたいなこと言いながら旅立っていった。どこに? 知らない。
「さてみなさん、そろそろお腹いっぱい胸おっぱいだと思うが、まだまだこれからだ。天界からやってきたおっぱい刺客! その名は永江衣玖ゥ! せー、のッ」
キャーイクサーン、と、観客全員が心をひとつにして叫んだ、どんがらかっしゃんピシャァン、と、ステージの中央に雷が落ち、永江衣玖がいつものポーズで立っていた。美鈴と同じく、彼女も水着ではなかったが、いつもの服装を大胆にカットして露出度を上げたうえ、ぱっつんぱっつんで静電気で肌にはりついてぴたぴたのその衣装は、たとえようもなくエロかった。
横に霊烏路空がうにゅっとした顔をして立っていた。
「おおっと、お空! 段取り忘れたな! まあいいぜ、期待してない! お前はどこまでも自由、大空はお前のおっぱいだ! 地霊殿より霊烏路うにゅほ! おっぱいうにゅうにゅで私の心もメルトダウンだ!」
お空はなんというか、そのものずばりでかかった。お燐に聞いた話では、Hカップだという。
「なにその聞きなれないアルファベット。Hカップだからきゃーえっちー、とでもいうつもりなの」
「心を読まないでよ。それにしてもあれはすごいわね」
「ええ、すごいわね。なんていうかすごいわね」
「すごいわね」
すごかった。お空はにこにこ、何も考えてないような笑顔をして、ちっとも恥ずかしがっていない。すごくてエロい上に可愛いという奇跡のような人材である。
「でかさならこいつも負けていないぜ。おっぱい水先案内人、三途の川はおっぱいでいっぱいだ! 生まれかわれなくていい、乳見せろ! 小野塚小町!」
いつものへにょり鎌をかついで小町が出てきた。どうするのかと思ったら、それをぶんぶん振り回し、演舞のようなものを見せる。武人として美鈴が興味深そうに見ていた。武人でないわれわれはぶんぶん揺れるおっぱいを食い入るように見つめる。
にやり、と笑うと最後に小町はどすんと鎌をステージに突き立てる。それにともないおっぱいもぶるんと揺れる。いや、素晴らしい。素敵なものを見せていただきました。
「ここからはちいと、難易度が上がるぜ。心臓の弱い奴は気をつけろ! 永遠亭の薬師、月のおっぱい! おっぱいの理はその身のうちにある! 八意永琳だぁ!」
ぬおおおおおー、と、ひときわ高く観客がどよめいた。永遠亭の医者は幻想郷一の名医として広く知られており、またそのおっぱいは施術以上に人々の心を癒すという。現に、なんら体に異常がなくても永琳のおっぱいを求めて竹林をさまよい、てゐの詐欺にあう輩が後をたたない。
が、永琳が姿を現すと、司会観客含めてすべての音が会場から消え去った。
紺色の分厚そうな生地、飾りのかけらもないシンプルなワンピース、胸につけられた「やごころ えいりん」の名札。
スクール水着だった。
「何故……お前、が……?」
魔理沙がやっとこさ、声を絞り出した。永琳はそれにこたえて、一言だけ返した。マイクも何も持っていなかったが、その場にいた全員が彼女の声を聞いたのだった。
「輝夜の無念を、私がはらす」
ウォォォォー、と、観客席の興奮はMAXまで高まった!
「おう、わかったぜ! お前が着ると別物みたいにエロいしな! お次は新顔、命蓮寺から聖白蓮がやってきてくれたぜ!」
いい人オーラをふんだんにふりまいて白蓮が進みでてきた。しかしその水着は、何というか、
「網じゃないの」
「網ね」
私もレミィも思わず唾を飲んだ。
ワンピースと言えば聞こえはいいがその実黒い紐でできた網がアミアミっと体をおおっていた。ちょうど乳首のところと、股間は網が濃くなって黒くなって肌を隠しているが、そのほかの部分については丸見えだ。着衣というのもおこがましい。僧侶なのにこんなにエロくていいんだろうか。
さすがの魔理沙も二連続の核弾頭に「主旨が違ってきたような……」と言ったきりしばし無言となった。
「おおっと、いけない。私がしっかりしなくて、どうするんだ、って話だよな。白蓮! お前さんにはあとで、運営委員から注意があるかもしれない! 覚悟の上での衣装選定だな? よし、わかった。では私は力のかぎり、紹介を進めるぜ!
さて残り選手も少なくなってきた! 真打ち登場! 妖怪スキマババアこと、境目に潜むおっぱい! 妖怪のおっぱい! 幻想郷の立ておっぱい、博麗エターナルおっぱい暫定一位! 八雲紫のおっぱいだあ!」
ステージの中央にスキマが出現して、中からにゅるんと八雲紫が出てきた。
フリルがいっぱいついたとても可愛らしい水着だった。十歳くらいの娘とも言えないような子どもが着るような。
八雲藍が飛び出てきて、すぐに片付けてくれた。
魔理沙はごほん、と咳をすると、
「あー、藍からの情報によると、霊夢の奴が、これはこれで、とか言ったらしいぜ。あいつマニアックすぎるよな。
では、ここで特別ゲスト! 何度も言うが、まさかこいつが出てくれるとはな! お前ら心して見ろよ、もう一生機会がないかもしれないからな……禁断の妹おっぱい、フランドール・スカーレット嬢のお出ましだあっ!」
「何ィィィィィィーッ!!!???」
レミィががたがた立ち上がった。ぱっ、っとステージ全体が暗くなり(照明協力:Exルーミア)、強力なスポットライトの光線がふたつみっつステージを這い回り(協力:香霖堂)、最後に照らし出されたのは赤と白の紐水着に身を包んだ妹様だった。
「きゃる~ん☆ フランドールだよ!」
「何してんのよぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~っ!」
「ポーズまで決めてね」
妹様は両腕を頭の後ろを組んで、腋を見せびらかす巫女みたいなポーズをキメていた。三千世界でイチバンだっぜ!とでもいうような輝かんばかりの笑顔で観客にアッピルするのも忘れない。八重歯というか牙が愛らしい。
「妹様、ご立派になられて……」
咲夜がハンカチで目を拭いつつ撮影班(協力:射命丸文)に指示を出していた。
「お前の仕業かぁぁぁぁぁ」
レミィが最大筋力でもってメイドにつかみかかる。咲夜は冷静に時を止めてかわした。
「お嬢様、冷静になってください。さあ妹様の晴れ舞台を祝うのです」
「寝言いってんじゃないわよ! なんで私の妹がおっぱいトーナメントなんて死ぬほど頭の悪い大会に出てんのよ! だいたいおっぱいないじゃない! あんた、自分がえーと……ホニャララだからって、嫌がらせでしょ!」
「お嬢様。見損なってもらっては困ります。はばかりながらこの咲夜、瀟洒な従者の二つ名は伊達ではありません。私にたいしての乳ネタなど、今さらなんか、気恥ずかしいじゃないですか。そんなものに気を取られる咲夜ではありません」
「じゃあ何だってのよ」
「私は紅魔館がもつ唯一最大のメッセージ、そう、紅魔館の存在意義を幻想郷にしらしめたかっただけです」
と言って一息つくと、咲夜は静かに告げた。
「すなわち……洋ロリこそ至高、と」
「そんな存在意義はないわあああああああああ!」
怒りのあまり時を止めてもどうしようもないほどの多段広範囲不夜城レッドで観客にも多大な被害を出しつつ咲夜を仕留めると、レミィはステージに向き直り、フランに向かって叫んだ。
「フラーン! 帰ってきなさーい!」
「お姉さま、怒ってるの? こんなに可愛いのに」
不思議そうな表情で、フランは自分の体をあちこち見回す。ただでさえ紐水着なので、動くとなんていうか、来いよアグネス!って時代の流れに喧嘩を売ってる状態だ。
後ろを向くと、全員が息をのんだ。Tバックだった。
「ぐがああああああ!」
矢も盾もたまらず、ステージに飛び込むレミィ。そのままフランドールをかっさらおうとしたところで幻想郷の各実力者たちにとりおさえられた。さすがに分が悪いか。
「ぐぎぎぎぎぎ」
「おっかしいなあ……咲夜と魔理沙が着せてくれたのに、ダメなのかなあ」
床に抑えつけられながらも芋虫のようにじわりじわり動いていたレミィがぴたりと動きを止める。
「咲夜と……魔理沙が、その水着を着せたって?」
「うん、親切にいろいろ合わせてくれたよ。これだけじゃなくって他のも着たよ。いちいち裸になるのが、ちょっと恥ずかしかったけど。それにいろいろ教えてくれた」
フランドールはんーと、と考えこむと、
「おっぱいのことは、乳房とか、乳首って言うんだってね。私はまだまだだけど、そのうち大きくなるって言ってた。きっとお姉さまより大きくなるって。
それから、今までなんて呼ぶのかしらなかったけど、あそこのことは、おま
『わぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!』
◆ ◇ ◆
私たちは力を合わせて、幻想郷最大の危機を回避した。
ほんとうに危ないところだった。どうなることかと思った。
あれほどの人妖が、心をひとつにして、あの突発事態に対処できたのは、奇跡というほかない。
やっていいことと悪いことの区別はついているのだ。なんぼ幻想郷はすべてを受け入れるのよっつっても。
「なあ」
「あら、この変態」
「そういうな」
焦土のようになったステージでたたずんでいると、魔理沙が声をかけてきた。
「誰のせいだと思ってるのよ。妹様にあんなことするなんて」
「私は機会を逃さないだけだ。短い人生だからな、やれることはやっておきたいんだ。
それより、お前はどんな衣装を着ていたんだ」
む、と私は頬を膨らました。
「ぜんぜん出番が来ないから、忘れられてるのかと思ったわ」
「お前は最後の予定だったんだよ。ある意味一番レアだからな」
「そ、そう?」
「ああ。準備はできてるんだろ。見せてくれよ」
ちょっとだけ考えた。それからスペルカードを取り出すと、
「そんな言い方じゃ、ダメよ」
と言って、私は魔理沙にロイヤルフレアをブチ込んだ。
※超注意
※心の広い方向け
美鈴の乳は幻想郷一であるという。本当だろうか?
私は魔女であるので、好奇心が旺盛だ。さっそくたしかめに紅魔館の門へと向かった。
「というわけで、乳房を出しなさい。ぽる~んと」
「突然のセクハラは勘弁してください……」
美鈴が情けない顔をする。帽子につけている星型の飾りが、太陽を反射してキラキラと光った。今日もいい天気。湖では氷精が十年一日のように蛙を凍らせたりメダカをビオトープスタイルで飼育したりして遊んでいる。
日射病になりそう。
「だって、本に載っていないんだもの。情報のないおっぱいは現地で見て揉んでたしかめる。基本でしょう」
「パチュリー様はことおっぱいに関する限り、超絶アクティブになるのです。すいません」
「当然よ」
小悪魔が何故だか謝る。私は胸を張る。
「わかったら出しなさい。減るもんでもないでしょう。むしろ、それだけ立派なものもってたら、見せたくってしょうがないんじゃないの? うりうり、正直になれよ」
あれ、おかしいな。私は首をかしげた。
いつもならこのへんで、美鈴が「嫌ですよ!」と叫んで逃げるか、咲夜が時を止めていつの間にか地下室(meet妹様)にブチ込まれているはずなのに、何も動きがない。美鈴は腕を組んで、なにやら考え事をしている。口を開いた。
「わかりました」
「Wow!」
「興奮しないでください。ひとつ、条件があるんです」
美鈴は澄み切った瞳でまっすぐこちらを見つめる。
「パチュリー様も脱いでください。交換条件です。一緒に脱げば、恥ずかしくないですからね」
「んん……えっとぉ……」
どうしよう。予想外に美鈴が知恵をつけてきた。脱ぐのはやぶさかではないが、小悪魔がわくわくした顔をしているし、幻想郷一と言われる乳と比べられるのも気が引ける。
もじもじして前かがみになって両手で胸を隠したり足を摺りあわせたりしていると、エロオーラを感知して白黒ネズミがやってきた。
「どーん!」
と口で言って、ロケットのような勢いでそばの地面に突っ込む。砂煙がはれたあと、三メーターにわたって地面が陥没しているのがわかった。死んでいないので、いつのまにか人間ではなくなってしまっていたのかもしれない。
「ちょいと待ちなおめえさんがた。そういう話なら、恋の魔法使いこと霧雨魔理沙様の出番だぜ」
「そう、魔理沙に……見せるのね」
興奮してきた。
ノーレッジ流サンダーキャストオフ(脱衣)を披露しようとしたところで、さらに突っ込んでくるものがいたので私は冷静に横に避けた。
「どーん!」
口で言って、先程の魔理沙のものよりもさらにでかいクレーターを作る。
避けきれなかった小悪魔が死んだ。でもギャグなので数瞬で生き返った。
「清く正しい射命丸です。はばかりながらこの私が、すべてを記録し、幻想郷じゅうにしらしめましょう。ええジャーナリストとして」
私は言葉を返すことができなかった。避けたつもりが、やはりなんといってもこの私なので体が精神についてこず重症を負っていたからだった。
でもギャグなのですぐ治ったところで、
「どーん!」
「いやもういいからぁぁぁ」
またひとり突っ込んできた。今度もアバラ折れた。もくもく砂煙が晴れると青い服に白と水色の髪の変な帽子の先生が立っていた。
「いけないけーね先生こと、上白沢慧音が乳房の判定を行おう。まかせてくれ」
美鈴が呆れた顔をしていた。
それからも計三十人くらいがどんどん突っ込んできた。ほんと幻想郷はアホの巣窟やと思った。
◆ ◇ ◆
「で、なんでこうなるのよ」
「紅魔館は一蓮托生、家族のようなものでしょう、レミィ」
紅魔館の上空に巨大なアドバルーンがいくつもゆらめいていた。幻想郷全土から見えるような、大規模な宣伝だ。
むろんチラシ配り、文々。新聞への広告、永遠亭月世界テレビ局からの放送、あっきゅんによる人里での口コミなど、事前の入念な準備もかかしていない。
今日は念願の「幻想郷最大おっぱいトーナメントin紅魔館」の当日だ。紅魔館の広大な中庭に設置された天下一武道会みたいな感じの特設ステージと観客席に、いまや幻想郷中のダメ人間どもがところせましと押し寄せていた。
「何で乳さらさなきゃならないのよ」
「紅魔館は一蓮托生、家族のようなものでしょう、レミィ」
「同じこと言った、ってわかるからね私」
レミィは胸を張った。賢くなった。
「まあまあ、まさかほんとうに裸の乳をさらすわけじゃないわ。でもさらせばお金もらえるわよ。本いっぱい買えるわよ。あなたが欲しがってた、カリスマ身体測定セットも買えるわよ。
ダメ? あっそう。
会場が紅魔館だから、イベント名にも紅魔館ってついてるけど、つまるとこ幻想郷じゅうの乳自慢が集まって水着を着ておっぱいたゆんたゆんゆらすっていう、お祭りよ。そういうの好きでしょう」
「まあねえ」
不敵に笑うレミィ。
「乳においても、わが紅魔館が幻想郷一であると証明してやるさ。うちからは美鈴と、あとパチェも出るの?」
「ええ」
いつもの服の下に着込んでいる水着を意識すると、やっぱりちょっと恥ずかしくなった。魔理沙にだけ見せられれば良かったのに。
ぞくぞくと参加選手が楽屋に集合している。主催者である魔理沙が、マイクを持って観客を煽り、祭典の開始を宣言していた。
「ようこそお集まりのみなさん、だぜ。お前らはそろいもそろって、おっぱいと聞いちゃ黙っておれない、大馬鹿野郎どもだ! 荒くれだ! おっぱい益荒男だ! 幻想郷の人口比として女のほうがはるかに多いから、おっぱいなでしこだ! このバーカ! 不況だってのに!
私がこの祭典をはじめに企画したとき、そこにはふたつのおっぱいしかなかった。おっぱいだから四つだ。それがあれよあれよと、これだけの数のおっぱいを集められたのは、そう、Loveだと私は思っている。愛は幻想郷を救う。いわんやおっぱいであれば、ちょ、お前らうるさいよ。わかったよ。黙れよ。死ねよ。
わかった、わかったって。あせんなって。本日出場してくれるおっぱいたちは、質の面でもLoveの面でも、これ以上ない幻想郷屈指のボインどもであると私は信じている。
幻想郷はいつか滅びるかもしれない。私を含めて、このうちの誰かが、明日には死んでいるかもしれない。だがそれがなんだろう。おっぱいは永遠だ。さあ、選手紹介だぜ!」
わーわー、と、観客どもが喉も枯れよとばかりに叫ぶ。
一人目の出場者が姿をあらわした。
「まずは一人目、紅魔館のおっぱいこと紅美鈴! 紅魔館に挑む侵入者の八割は、美鈴のおっぱいが揺れるのを見たいだけだと言うぜ。私もご多分にもれず、いつも楽しませてもらっている。続いて二人目!」
やたらと体にぴったりとしたチャイナドレスを着て、美鈴が手を振る。スリットも深くて扇情的だ。下着の線が見えないところをみると、下にはなにも着けていないのかもしれない。開き直ったのか明るい表情をしている。というかお前、やっぱり見せたかったんだろ。
続いて風見幽香が日傘をもってレースクイーンみたいになって出てきた。非常に似合っている。ひまわり柄のワンピースという、ちょっと子どもみたいな水着だが、カットがきついし、彼女が着ると破壊力がダブルスパークな感じだった。89のD。
「ひまわりおっぱい風見幽香! 幻想郷じゅうでまことしやかにささやかれる、幽香最強説! 本日私たちはその伝説を目撃する! しかし、でかいなあ。 次! 西行寺幽々子ォ!」
観客がどよめいた。幽々子は薄水色に桜色のアクセントのビキニという、期待どおりの水着を着ていたが、その上に透ける薄物を羽織っていた。単純に肌を晒すよりも、よけい想像をかきたてる。そういうのもあるのか!
「冥界よりお越しの栄養満点亡霊おっぱい! 死んでるのにあんなに食ってどーすんだと思っていたが、こーすんだな! みんな、わかったよな! 揺らせ! やわらかそうだな! いいな、妖夢いいな! 次だ!」
投げキッスなんかしてサービス満点な幽々子だった。続いて上白沢慧音が堂々とした顔で出てきた。
「いけないおっぱいけーね先生だ! はじめは審査員をやろうとしていたが、どう考えてもお前はこっち側だということで私が説得したんだぜ! ありがとうって言え! うん、こっちこそありがとう。お前らほんと馬鹿で大好きだ。先生はあれだな、おっぱい寺子屋でおっぱい個人授業とかしてんだろうな。じゃあ次ー」
慧音はワンショルダー型の水着で、デザイン的にはプロレスラーみたいに見えるものの、意外と華奢な体躯におっぱいの形のよさがあいまって何故だか品良く見えた。これも人徳、いや乳徳というものだろうか。
つづいてほがらかな笑いとともに星熊勇儀がでかい杯もって出てきた。
「星熊勇儀! 萃香と同じ山の……萃香関係なかった、山のおっぱい四天王、いやさチャンピオンと言っていいだろう! ってお前、それ反則! 反則に近い! でもいいもっとやれ! ここは紅魔館、フェティシズムの館だ!」
「不名誉な呼称をされたように思うんだけど」
「レミィは黙ってて」
勇儀はトチ狂ったのか、胸にはさらし、下はブルマーという出で立ちだった。公式で体操服だけあって容赦なかった。一部の年季の入った変態どもにはとくに大好評だ。
「次ィ! まさかお前が出てくれるとは! 現・妖怪の山代表! 神の乳をおがめ! 信仰おっぱい八坂神奈子!」
神奈子がでてくると、わーわー騒いでいた観客が少しトーンダウンした。それもそのはず、神奈子はガウンを羽織っていたのだった。
「どうした? おっぱいみーせーて、だぜ」
「い、嫌よ! 貞淑な日本女性が、そんなことできない!」
「うるせえー」
どこからともなくぴょいんと諏訪子が飛び出して、神奈子のガウンをはぎとった。
「ああっ」
「オメーはいい乳してんだからよう、みなさんにも見せびらかしてやりな」
「ああ、ああ、嫌……」
神奈子は両手で胸を抱きしめ、なんとか隠そうとしたが、そのツインウェポンはいかようにしても隠しきれなかった。むしろ谷間を強調することになってしまい、感極まった観客たちが「俺のオンバシラがエクスパンデッド!」とかニコニコ動画みたいなこと言いながら旅立っていった。どこに? 知らない。
「さてみなさん、そろそろお腹いっぱい胸おっぱいだと思うが、まだまだこれからだ。天界からやってきたおっぱい刺客! その名は永江衣玖ゥ! せー、のッ」
キャーイクサーン、と、観客全員が心をひとつにして叫んだ、どんがらかっしゃんピシャァン、と、ステージの中央に雷が落ち、永江衣玖がいつものポーズで立っていた。美鈴と同じく、彼女も水着ではなかったが、いつもの服装を大胆にカットして露出度を上げたうえ、ぱっつんぱっつんで静電気で肌にはりついてぴたぴたのその衣装は、たとえようもなくエロかった。
横に霊烏路空がうにゅっとした顔をして立っていた。
「おおっと、お空! 段取り忘れたな! まあいいぜ、期待してない! お前はどこまでも自由、大空はお前のおっぱいだ! 地霊殿より霊烏路うにゅほ! おっぱいうにゅうにゅで私の心もメルトダウンだ!」
お空はなんというか、そのものずばりでかかった。お燐に聞いた話では、Hカップだという。
「なにその聞きなれないアルファベット。Hカップだからきゃーえっちー、とでもいうつもりなの」
「心を読まないでよ。それにしてもあれはすごいわね」
「ええ、すごいわね。なんていうかすごいわね」
「すごいわね」
すごかった。お空はにこにこ、何も考えてないような笑顔をして、ちっとも恥ずかしがっていない。すごくてエロい上に可愛いという奇跡のような人材である。
「でかさならこいつも負けていないぜ。おっぱい水先案内人、三途の川はおっぱいでいっぱいだ! 生まれかわれなくていい、乳見せろ! 小野塚小町!」
いつものへにょり鎌をかついで小町が出てきた。どうするのかと思ったら、それをぶんぶん振り回し、演舞のようなものを見せる。武人として美鈴が興味深そうに見ていた。武人でないわれわれはぶんぶん揺れるおっぱいを食い入るように見つめる。
にやり、と笑うと最後に小町はどすんと鎌をステージに突き立てる。それにともないおっぱいもぶるんと揺れる。いや、素晴らしい。素敵なものを見せていただきました。
「ここからはちいと、難易度が上がるぜ。心臓の弱い奴は気をつけろ! 永遠亭の薬師、月のおっぱい! おっぱいの理はその身のうちにある! 八意永琳だぁ!」
ぬおおおおおー、と、ひときわ高く観客がどよめいた。永遠亭の医者は幻想郷一の名医として広く知られており、またそのおっぱいは施術以上に人々の心を癒すという。現に、なんら体に異常がなくても永琳のおっぱいを求めて竹林をさまよい、てゐの詐欺にあう輩が後をたたない。
が、永琳が姿を現すと、司会観客含めてすべての音が会場から消え去った。
紺色の分厚そうな生地、飾りのかけらもないシンプルなワンピース、胸につけられた「やごころ えいりん」の名札。
スクール水着だった。
「何故……お前、が……?」
魔理沙がやっとこさ、声を絞り出した。永琳はそれにこたえて、一言だけ返した。マイクも何も持っていなかったが、その場にいた全員が彼女の声を聞いたのだった。
「輝夜の無念を、私がはらす」
ウォォォォー、と、観客席の興奮はMAXまで高まった!
「おう、わかったぜ! お前が着ると別物みたいにエロいしな! お次は新顔、命蓮寺から聖白蓮がやってきてくれたぜ!」
いい人オーラをふんだんにふりまいて白蓮が進みでてきた。しかしその水着は、何というか、
「網じゃないの」
「網ね」
私もレミィも思わず唾を飲んだ。
ワンピースと言えば聞こえはいいがその実黒い紐でできた網がアミアミっと体をおおっていた。ちょうど乳首のところと、股間は網が濃くなって黒くなって肌を隠しているが、そのほかの部分については丸見えだ。着衣というのもおこがましい。僧侶なのにこんなにエロくていいんだろうか。
さすがの魔理沙も二連続の核弾頭に「主旨が違ってきたような……」と言ったきりしばし無言となった。
「おおっと、いけない。私がしっかりしなくて、どうするんだ、って話だよな。白蓮! お前さんにはあとで、運営委員から注意があるかもしれない! 覚悟の上での衣装選定だな? よし、わかった。では私は力のかぎり、紹介を進めるぜ!
さて残り選手も少なくなってきた! 真打ち登場! 妖怪スキマババアこと、境目に潜むおっぱい! 妖怪のおっぱい! 幻想郷の立ておっぱい、博麗エターナルおっぱい暫定一位! 八雲紫のおっぱいだあ!」
ステージの中央にスキマが出現して、中からにゅるんと八雲紫が出てきた。
フリルがいっぱいついたとても可愛らしい水着だった。十歳くらいの娘とも言えないような子どもが着るような。
八雲藍が飛び出てきて、すぐに片付けてくれた。
魔理沙はごほん、と咳をすると、
「あー、藍からの情報によると、霊夢の奴が、これはこれで、とか言ったらしいぜ。あいつマニアックすぎるよな。
では、ここで特別ゲスト! 何度も言うが、まさかこいつが出てくれるとはな! お前ら心して見ろよ、もう一生機会がないかもしれないからな……禁断の妹おっぱい、フランドール・スカーレット嬢のお出ましだあっ!」
「何ィィィィィィーッ!!!???」
レミィががたがた立ち上がった。ぱっ、っとステージ全体が暗くなり(照明協力:Exルーミア)、強力なスポットライトの光線がふたつみっつステージを這い回り(協力:香霖堂)、最後に照らし出されたのは赤と白の紐水着に身を包んだ妹様だった。
「きゃる~ん☆ フランドールだよ!」
「何してんのよぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~っ!」
「ポーズまで決めてね」
妹様は両腕を頭の後ろを組んで、腋を見せびらかす巫女みたいなポーズをキメていた。三千世界でイチバンだっぜ!とでもいうような輝かんばかりの笑顔で観客にアッピルするのも忘れない。八重歯というか牙が愛らしい。
「妹様、ご立派になられて……」
咲夜がハンカチで目を拭いつつ撮影班(協力:射命丸文)に指示を出していた。
「お前の仕業かぁぁぁぁぁ」
レミィが最大筋力でもってメイドにつかみかかる。咲夜は冷静に時を止めてかわした。
「お嬢様、冷静になってください。さあ妹様の晴れ舞台を祝うのです」
「寝言いってんじゃないわよ! なんで私の妹がおっぱいトーナメントなんて死ぬほど頭の悪い大会に出てんのよ! だいたいおっぱいないじゃない! あんた、自分がえーと……ホニャララだからって、嫌がらせでしょ!」
「お嬢様。見損なってもらっては困ります。はばかりながらこの咲夜、瀟洒な従者の二つ名は伊達ではありません。私にたいしての乳ネタなど、今さらなんか、気恥ずかしいじゃないですか。そんなものに気を取られる咲夜ではありません」
「じゃあ何だってのよ」
「私は紅魔館がもつ唯一最大のメッセージ、そう、紅魔館の存在意義を幻想郷にしらしめたかっただけです」
と言って一息つくと、咲夜は静かに告げた。
「すなわち……洋ロリこそ至高、と」
「そんな存在意義はないわあああああああああ!」
怒りのあまり時を止めてもどうしようもないほどの多段広範囲不夜城レッドで観客にも多大な被害を出しつつ咲夜を仕留めると、レミィはステージに向き直り、フランに向かって叫んだ。
「フラーン! 帰ってきなさーい!」
「お姉さま、怒ってるの? こんなに可愛いのに」
不思議そうな表情で、フランは自分の体をあちこち見回す。ただでさえ紐水着なので、動くとなんていうか、来いよアグネス!って時代の流れに喧嘩を売ってる状態だ。
後ろを向くと、全員が息をのんだ。Tバックだった。
「ぐがああああああ!」
矢も盾もたまらず、ステージに飛び込むレミィ。そのままフランドールをかっさらおうとしたところで幻想郷の各実力者たちにとりおさえられた。さすがに分が悪いか。
「ぐぎぎぎぎぎ」
「おっかしいなあ……咲夜と魔理沙が着せてくれたのに、ダメなのかなあ」
床に抑えつけられながらも芋虫のようにじわりじわり動いていたレミィがぴたりと動きを止める。
「咲夜と……魔理沙が、その水着を着せたって?」
「うん、親切にいろいろ合わせてくれたよ。これだけじゃなくって他のも着たよ。いちいち裸になるのが、ちょっと恥ずかしかったけど。それにいろいろ教えてくれた」
フランドールはんーと、と考えこむと、
「おっぱいのことは、乳房とか、乳首って言うんだってね。私はまだまだだけど、そのうち大きくなるって言ってた。きっとお姉さまより大きくなるって。
それから、今までなんて呼ぶのかしらなかったけど、あそこのことは、おま
『わぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!』
◆ ◇ ◆
私たちは力を合わせて、幻想郷最大の危機を回避した。
ほんとうに危ないところだった。どうなることかと思った。
あれほどの人妖が、心をひとつにして、あの突発事態に対処できたのは、奇跡というほかない。
やっていいことと悪いことの区別はついているのだ。なんぼ幻想郷はすべてを受け入れるのよっつっても。
「なあ」
「あら、この変態」
「そういうな」
焦土のようになったステージでたたずんでいると、魔理沙が声をかけてきた。
「誰のせいだと思ってるのよ。妹様にあんなことするなんて」
「私は機会を逃さないだけだ。短い人生だからな、やれることはやっておきたいんだ。
それより、お前はどんな衣装を着ていたんだ」
む、と私は頬を膨らました。
「ぜんぜん出番が来ないから、忘れられてるのかと思ったわ」
「お前は最後の予定だったんだよ。ある意味一番レアだからな」
「そ、そう?」
「ああ。準備はできてるんだろ。見せてくれよ」
ちょっとだけ考えた。それからスペルカードを取り出すと、
「そんな言い方じゃ、ダメよ」
と言って、私は魔理沙にロイヤルフレアをブチ込んだ。
ありふれたおっぱいネタ、それもよくある大会形式を採用してるわりには特に目新しいところがない。残念。
いいものを読ませて頂いた、ありがとう。
みつを
・特にひねりがない
・ただのネタの羅列
・とりあえず紅魔館を舞台にしとく
まあテンプレだねって感じかなあ
こういう誰でも書けるようなものに一手間二手間加えられればいいんだけど
腿も首筋もくびれも二の腕も足首も良いけど、やっぱりおっぱい良いよね
良いおっぱいをご馳走さまでしたおっぱい!
だが嫌いじゃない
いや、まさかねぇ…
ロマンが溢れてると思います!
後半のカオスさは異常
>苦情、規約違反などありましたら、速攻で消させていただきます(汗)
>あと「東方夜●話のほうがいいよ」とかも
この二行なくしてもっと堂々としてたほうが潔いんじゃないかな
もあと1プッシュ欲しかったですかもしれませぬw