Coolier - 新生・東方創想話

夢はつまり 想い出の後先

2010/11/28 13:34:48
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 上白沢慧音は、たまに幼い頃の悪夢を見る。















「夢はつまり 想い出の後先」



















「……めんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
 私は申し訳なさにひたすら泣きじゃくる。

 ――夢、なのだろうこれは。

 薄ぼんやりと、私はそう考えた。目の前には、戸惑い溜息をつく年上の男性。涙が溢れて、顔が朧にしか見えない。これもまた、いつものことだ。
 稀覯本、だと彼は言っていた。
 嬉しそうに語っていた。様々な文献を参照するに、何かの拍子に歴史に埋もれてしまったとある有名な作家の、幻の作品なのだ、と。
 当時、里の子の誰より本が好きだった私は、それがどうしても読みたかった。けれど、その店の主は誰であろうと、読みかけの本を貸すことはないとも知っていた。
 大人しく待っていれば良かったと思う。そうすれば、次に必ず貸してくれただろうから。
 でも。それでも。どうしても。
 一刻も早く読みたくて、読みたくて、仕方なくて――。ああ、何たる子供の我が侭なのだ。
 思い返すたびに私は自分が憎たらしくて仕方がない。

 ある日香霖堂を訪れたら、たまたま店主が留守で、カウンターには件の本がしおりが挟まれたまま置き去りにされていて。

 ……魔が差した。通りもののように、悪い囁きが私の心を通り抜けてしまった。

 気付いたときには、私はそれを持って走り出していた。盗むつもりなんかなかった。ただ、ほんのちょっとだけ貸して欲しかっただけ。
 カウンターには、ちゃんと手紙も置いた。
 今にして思うと、それでも店内で読もうとしなかったのは店主への罪悪感があったからだろう。子供の論理はメチャクチャだ、せめて香霖堂の近くに居れば良かったのに、遠く離れずにはいられなかった。
 木の陰に隠れて、無我夢中で読んだ。その物語は面白くて、悲しくて、知的で、ドキドキして――ページを捲ることすらもどかしかった。
 時間が経つのを忘れた。夕方、黄昏刻になってようやく――本が読めなくなるほど暗くなって、ようやく私はマズいことに気付いた。
 ふと後ろを振り返ると、妖怪がいた。スペルカードルールが創設されていない時代、妖怪がまだ人間を喰らうことを当然としていた時代。

 悲鳴をあげた、と思う。

 妖怪は嫌らしい笑みを浮かべ、私は本を放り出して逃げ出した。走って、走って、足が千切れるかと思うくらいに走って――もつれて転んだ。倒れた衝撃と苦痛に目が眩み、恐怖が怒濤のように押し寄せる。
 食べられる、食べられる、生きたまま、食べられる……!
「……ぃ、や……!」
 ただただ、眼前の現実から逃避するためだけに目を閉じる。そうして、しばらくじっと……ただ、じっと待っていた。
 やがて、何も起こらないことに気付き、さては痛みも感じずに死ねたのだろうか、などと考えていると、不意に上から声がした。
「――ああ、やれやれ。何とか間に合ったか」
「……ぁ……」
 震えながら、目を開く。香霖堂の主が、困ったように頭を掻きつつ私を見ていた。
「慧音、子供の君がこんな場所でいつまでもうろうろしていちゃいけないよ。送ってあげるから、早く帰りなさい。さっきの妖怪は、もう遠くに行ったから」
「あ、う、うん……」
 私は店主の顔を見て、すぐに思い出した。
 そうだ、本……!
「おい、君!?」
 店主の制止に足を止めることなく、私は放り出した本を求めて一目散に走り出していた。
「ない……ない、ない、ない!」
 半狂乱になりながら、私は私が居たはずの木の根元を探している。土に手を走らせるせいで、指が軋むように痛む。だが、そんな痛みなどどうでもいい。本を、本を探さないと。探して返さないと。
「怒られる、怒られる、怒られる……!」
 怒られて、嫌われてしまう。
「どうしたんだい?」
 心配そうな店主の声に、恐る恐る振り返る。彼は途方に暮れたように、私をじいっと見つめている。
 謝らなきゃいけないのに、喉が詰まったような感覚のせいで声が出ない。
 胸が痛くて苦しい。
 彼を悲しませるのが、怒らせるのがただただ辛い。
「……めんなさい」
「……?」
 店主が不思議そうに首を傾げ、腰を落として私の目線に合わせた。
「ねえ、慧音。一体どうしたんだい?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
 堰を切ったように、私は泣き出していた。泣きながら、途切れ途切れに事情を語ったと思う。

 ――ああ、胸が痛い。

 貴重な本だった。まだ途中までしか読んでいないはずの本だった。それを私は自分勝手に持ち出して、自分勝手に放り投げてしまって、そうして永遠に喪失してしまったのだ――。
 だというのに。
 彼は私の頭に手を載せた。声が、微かに聞こえた。
「いいよ、もう。済んだことだ。それより君が無事で良かった」

 ――恥ずかしながらその後のことは、あまりよく覚えていない。
 ――ただ、大きな背中に揺さぶられながら帰って行ったことは、漠然と覚えている。

 そうして、夢から離脱する。
 雀のちゅんちゅんと啼く声に覚醒し、私は頭に手をやって呟く。
「ああ――なんて愚かなのだろう」
 あの時のことも愚かだし、終わってしまったことをもう十年以上悔やみ続けていることも愚かだ。
 あれ以来、私は妙に彼に対して遠慮するようになっていた。
 やむを得ない事情で店に来訪すれば、店主――森近霖之助はいつものように出迎えてくれるのに。どうしても、罪悪感があった。
 謝っても、償いきれない罪が突きつけられているようで仕方がなかった。
 いつしか私はすくすくと育ち、以前のように屈託なく甘えるようなことはできなくなり、入れ替わるように、彼の傍に懐いた子供が現れて。
 そうして、私と彼との間には疎遠になった幼馴染みという関係だけが残った。いつしか彼のことも「――――」ではなく、単純に「店主」と呼ぶようになっていた。

「店主。いるか?」
 それでも、たまにこうして香霖堂に顔を出すときはある。大抵は、寺子屋の授業に使用するためのいい機材がないかの確認だ。ここ、香霖堂は外の世界で幻想となったものが流れ着いてくるのだが、中には貴重な教科書も存在する。
「そりゃ、店主だからいるさ」
「たまに居ないだろう」
 苦笑しつつ、本から顔を上げる森近霖之助――と、古めかしい壷の上でお茶を啜っている霧雨魔理沙がそこにいた。何故か、彼女の表情は普段より不機嫌そうに見えた。
 私は軽く魔理沙に会釈し、霖之助と向かい合う。
「それで。何か用かい?」
「ああ。教科書が何冊か入ってきたと聞いているんだが」
「うん。割と大量にね」
 霖之助が店の一角を指し示す。そこには本が無造作に積み上げられ、塔を作っていた。私は顔をしかめて告げる。
「売り物なんだから、少しは大事に保管してくれ」
「君が来ると思って、適当に載せておいたんだよ」
 平然と答える彼は、既に本に視線を落としていた。いつものことか、と呆れ顔で溜息をついて私は教科書を一冊一冊丹念に確認していった。
 国語の教科書、算数の教科書、理科の教科書……といったものは使えるが、これが例えば数学ⅡAとか書かれていると、私の手には負えない。以前、八雲紫の式が何について書かれているか説明してくれたが、いやはや全くもってちんぷんかんぷんだった。

 化学も手に負えない。どうも、流れ着いてくる教科書の中には十八歳以上の人間が使用する専門的な書まであるようだった。以前、試しに寺子屋の生徒たちに教えてみたがこれまでで最高にウケが悪かった……あの歴史は正直、食べて無かったことにしたい。

「うーん……後は……これとこれ、かな」
 私はどうにか十冊の教科書を選び出した。カウンターにどさりと置き、彼が金額を計算するのを待つことにする。
「……」
「……おい、店主」
「ん? ああ、どうかしたのかい?」
 いやいや。どうかしたのかいも何も。
「客が商品を差し出しているんだから、さっさと計算してくれないか?」
 この男、目の前に商品が積まれたにも関わらず、自分の本に熱中していて見向きもしていなかった。
「あ、ああ。分かった分かった。ちょっと待ってくれ」
 しかもそう言って、また本に視線を戻した-!?
「あー、慧音。無駄だ、無駄。ここんとこ、その本に熱中していて商売する気が欠片もないぜ。このお茶だって私が煎れたんだ」
 魔理沙の声に、私の眉はますます釣り上がる。
「おいおい、ただでさえ商売っ気なしでは幻想郷一、二を争う店なのにそんなので大丈夫なのか?」
「こういう時、来客が少ないのはありがたいね」
「……なんて奴だ」
 私はがっくりと項垂れた。なるほど、魔理沙が不機嫌になるのも分かる。これでは遊びに来ても面白くはないだろう。
「……」
 そして、霖之助は本の世界に埋没している。端正な横顔に、綺麗な銀の髪。何もかも十年前そのままだ。じっとその顔を見ているだけで、自分が幼い頃に戻った気分さえする。
 幸福と嫌悪、相反する想いに満ちた奇妙な記憶。
 あの亡くした一冊の本、あれがずっとずっと私の心を縛っていて……。
「……あれ?」
 縛っていて……あの本の題名は確か……。
「うん、どうした慧音?」
 私は魔理沙の声に応じることなく、無言で霖之助の読んでいた本をひったくった。
「あ、こら何をする!」
 無視して、取り戻そうとする彼に背中を向けてぐいぐいと押さえつける。そうしながら、震える手で表紙を見た。
 タイトル――合致。
 中身――ぱらぱらとめくり、どうにか記憶に残っていた文章を発見する。わなわなと震える私に、背中から手が回される。
「こら、慧音! 本を返せ!」
「お前等何やってんだー? おい、慧音! 体を香霖に押しつけるなーっ!」
 魔理沙の素っ頓狂な声。知らない、今は構っている暇などない。覚えてる、この表現も覚えている、覚えている、覚えている!
「慧音、一体――」
「お、お前。この、この本……!」
 私は信じがたい気持ちで、私が亡くしたはずの本を霖之助に突きつけた。彼は本をひょいと奪い取り、嘆息して言った。
「この本がどうかしたのかい?」
「だって、この本!」
 霖之助はしばらくまじまじと本を見つめていたが、やがて『ああ』とぽんと手を叩いて言った。
「そうだそうだ。この本、確か君が子供のときに一度失ったんだっけ」
「そ、そう! それで――」
 それで! 私は! 霖之助に一生許されない罪を犯したと――。
 霖之助は嘆息して私の頭に、件の本で軽く叩いた。
「親の仇じゃあるまいし。本を一冊失った程度で、僕が一生許さないとでも思ったのかい? 馬鹿かね、君は」
 物凄い冷めた目つきでそう告げられる。顔がかっと熱くなり、自制心がどこかにすっ飛んだ。
「ど、ど、ど……どれだけこっちがショックだったと思ってる!」
「そんな事言われてもなぁ……現にこうして、また手元に戻ってきたんだし」
 私はがっくりと肩を落とした。いや……どの道、私が本をなくしてしまったのは確かな事実だ。長い間、胸につっかえていたものがぽろりと転がってどこかに消えてしまったのも、確かだった。
 まあ、良かったのか。良かったんだろう。これで良かったのだ。
 奇妙な腹立たしさを一旦棚上げして、私は霖之助に言った。
「と、ともかく早く勘定してくれ」
「分かった、分かったよ」
「まったく――」
 渋々といった表情で彼は本を置き、教科書を一冊一冊確認し始める。魔理沙が奇妙な表情で私を見つめているのが気に掛かっていたが、今は一刻も早くこの場から立ち去りたくて仕方がなかった。
「……よし。大体このくらいでどうだろう」
 彼が提示したのは少し高値でも交渉するのが面倒という、何とも厄介な値段だった。ええい、いつもだったら値下げの交渉をするが、今はわずかなお金を惜しむよりもこの場から一刻も早く立ち去りたい。
「分かった、これでいい」
 ふむ、と彼は満足げに頷くと紐を取り出して教科書をぶら下げて持ち歩けるように縛ってくれた。
「では、毎度ありがとう」
 私は教科書を受け取り、彼から背を向ける。一歩一歩、彼から離れていく。扉に手を掛けて、店から外に出ようとしたその時、私は不意にあの言葉を思い出した。

 ――君が無事で、良かった。

 振り返った私は反射的にこう言った。
「店主」
「どうかしたかい?」
「……いや、本が戻ってきて良かったな」
「ああ。君も無事だったからね、万事めでたしと十年ぶりにオチがついた訳だ」
 彼はそう言って、笑った。
「はぁ……本当に変わらないな」
「変わらないさ」
「まあ、そこが“おにい”のいいところでもあるんだけどね」
 ほとんど反射的に、そんな言葉が口を突いて出た。
「え?」
 魔理沙がぎょっとした表情で私を見る。
「……あぇ?」
 私は何だか奇怪な声を出してしまう。香霖堂に、微妙な沈黙が満ちた。霖之助も、ぽかんと口を開いている。
「あ、いや。今のは、その、だな」
 油断していた。
 あまりにも懐かしく切ない記憶が蘇っていたせいだろうか、私が彼を店主と呼ぶ原因になった本が間近にあったせいだからだろうか。
 昔の呼び方が、ついつい口を突いて出た。
「おい慧音。今、お前香霖のこと――」
「失礼する!」
 私は教科書を抱き締め、全力疾走で店を飛び出した。


「……ごめんね、ごめんね、ごめんね、お兄。本を、だいじな、だいじな本を、」
 ――いいんだよ、別に。
 どうでも良くはない、結末を知らずに消えた本が恨めしい。でも、元はと言えば自分の責任かもしれない。幼い彼女が、人里から遠く離れたこんな場所までいちいちやってくるのは、危険極まりない。
 いい機会かもしれない。
「もう、危険なことはやめなさい」
「うん……」
「この店に来るのも、ほどほどにね」
「……」
 無言で、慧音はこくんと頷いた。彼女の頭を撫でて、僕は笑う。いい子だ、君は人間だからすぐに立派な大人になるだろう。そうしたら、またこの店に来てくれればいい。その時はいつだって歓迎してあげるから――。

「……お兄、だって」
 何故か魔理沙がやたらとぶすったれている。唇を目一杯突き出したその姿は、まるで啄木鳥のようだ。
「昔の呼び方だよ。彼女だって、昔は子供だったんだから」
「ふん、まあいいや。呼び方は被ってないんだし」
 何が言いたいのか、よく分からないがあまり気にすることでもないか。
「それにしても……私はこの店で慧音と会った記憶がないぜ」
「ああ、そりゃそうだろうね。君が傍若無人にこの店を占拠していると、大抵あの子は隠れて覗いていただけだから」
「ふうん。ヤキモチってやつ?」
「違うよ。あれは単なる遠慮だろう。両親からもキツく叱られただろうしね」
「うちは放任主義で助かったぜ」
「放任してないよ。君が無視しているだけだろう」
 魔理沙はそっぽを向いて、誤魔化した。
 それにしても。慧音の長年に渡る心理的抑圧は、これを以って解放されたのだろうか。まあいいか。あの時の慧音は、魔理沙のようにミニ八卦炉を持っていたりなどしていなかったし、半獣としての力に覚醒してもいなかった。
 だから、ちょうど良いタイミングだったのだ。本を喪失したことで、彼女はこの店から遠ざかり、人里で無事に育った。彼女が健やかに育ったことに、僕の失った本がほんのわずかでも力になったのだとすれば、惜しいけど惜しくはない。
 それにまあ……放置しておけば、二代目魔理沙ならぬ先代魔理沙が生まれていたことだろう。
 良かった良かった。
「……何だよ、私の顔になんかついてるか」
「別に。慧音のような奥ゆかしさが、少しでも君に感染すればいいなぁなどと思った訳ではないよ」
「言ったなこんにゃろう」
 魔理沙は最高にふて腐れた表情を浮かべた。


「という訳だ!」
「あっはっは。良かったじゃないか」
「良くない! いや、良かったけど良くない!」
 自分で言っておいてなんだが、訳が分からない。我が親友である藤原妹紅は、ぐいと酒を一飲みして笑い出した。
「長年の因縁が解消されるなんて、滅多にあるもんじゃなし。そういうのは、大事にしておいた方がいいと思うよ?」
「……まあ、そうだけど」
 長い間、ずっとずっと胸に巣食っていた罪悪感。檻の中に閉じ込められた鉄鼠のようだったそれは、今はすっかり消え失せていた。
 私も注がれた酒をこくんと飲んで、呟いた。
「――これで」
「うん?」
「これで、私はちゃんと店主に会いに行けるかな?」
 妹紅ははぁ、と溜息をついて私の頭をがしがしと撫でた。いたいいたい。
「やーめーろーよーう」
「馬鹿だなぁ、慧音は。大人になれば、いつだって好きなときに好きなだけ会いに行けただろうに」
 そう、なのだろう。
 本当はいつだって好きなときに、自由に会いに行けたはずだった。でも、心に引っかかっていたものが許してくれなかった。
「いつだって会いに行けただろうし、大好きなお兄さんは何があったって自分を許してくれるだろうから。……だからこそ、会いに行けなくなった」
 そうして、しみじみと彼女は呟く。
「本当、慧音は――真面目で、律儀で、乙女だよなぁ」
 私の顔は羞恥やら照れやらで赤く染まる。その顔を見て、妹紅はますます笑って酒を呷る。


 ――その日の晩、いつものように夢を見た。


 いつものように、あの妖怪に追いかけられて、いつものように助けられ、いつものように頭を撫でられる。
 けれど、今日に限っては夢の続きがあった。泣きじゃくっていた私は、恐る恐る目の前の店主の顔を直視する。
「……泣かないでくれ。君が泣くと、僕が悲しい」
 店主は、霖之助は、お兄は、そう言って――笑っていた。

 目が覚めると、妙に爽快な気分だった。布団から起き上がりながら、今日の予定を考える。昨日購入した教科書を子供たちに配り、今日はその内容を活かした授業を行う。それから、夕方までには全部終わるから夕食の買い物に……。
 ああ、そうだ。せっかくだから、香霖堂に立ち寄ってみよう。昨日の今日だが、構うものか。どうせ霖之助のことだ、食べなくても生きていけるからなんて理由で夕食もロクに食べていないだろう。

「んぅぅっ……」
 うん、と背伸びして朝の清涼な空気を吸い込む。ああ、何と清々しい気分だ。
 さあ、今日も一日がんばろう!


 ――で、夕食の材料を山と抱えて香霖堂に行ったら同じく材料を山と抱えた霧雨魔理沙と出くわした。
 ――一緒に作ればいいものを、味噌汁を赤味噌にするのか白味噌にするかで対立。弾幕ごっこで勝負をつけることになり、見事に敗北した。


「それで不貞寝してるのかお前さんは」
「私は貝になりたい」
 頑張れ私。明日がある、明日があるさ。
「魔理沙、料理というのはそんなに全身がボロボロになるものなのか?」
「ああ、ごくごく稀に……いや、当分はこんな感じだろうぜ。譲る気はまったくないが」
「……なんのこっちゃ?」

 めでたくもあり、めでたくもなし。


 初投稿です。本作は、pixivにて会帆様が描かれたイラストにインスピレーションをいただきました。

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=2904248

 会帆様、ご承諾いただき本当にありがとうございました。
 このイラストに感じた強烈な衝撃が、少しでも伝われば幸いです。
たなかなつ
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コメント



0.3000簡易評価
8.100奇声を発する程度の能力削除
頑張れ慧音明日があるさ!
絵も見てみようかな
19.50名前が無い程度の能力削除
この設定だと、年齢と成長速度に矛盾が生じるんじゃ?
28.100でかメガネ削除
とても面白かったです。
幼馴染設定は矢張り良いものだ。魔理沙との関係もまた良し。
この設定で続きの話や、昔の話も見てみたいです。
これからも頑張ってください。
37.100名前が無い程度の能力削除
やはり慧霖はいいものだ…
39.80名前が無い程度の能力削除
少年時代、好きな曲です
45.100名前が無い程度の能力削除
>「……あぇ?」

不覚にも超癒された。
48.70幻想削除
最後の一緒の一がおかしくなってますよ。
ほんわかしました。
53.100名前が無い程度の能力削除
慧霖はいいものだ
56.100名前が無い程度の能力削除
次回作にも期待します。
57.無評価たなかなつ削除
皆さん、ありがとうございます。次回も頑張りたいかと思います。