Coolier - 新生・東方創想話

いい夫婦

2010/11/22 18:12:50
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ビューと冷たい風が吹き付ける
季節は11月の下旬
赤や黄色の色とりどり葉を着けていた木はすでに地面に落ち
わずかに残った葉がさびしく揺れている


「おや?」
白黒の魔法使いこと、霧雨魔理沙が寂れた…
失礼、閑散とした博麗神社に来たのだが
いつもだったら境内を掃除しているはずの紅白こと、博麗霊夢の姿が無かったのだ
風に流されてきたのか、掃除をサボったのか、境内は落ち葉が散乱していた


「母屋の方か」
そう言って神社の母屋に向かう
神社は神の住まうところなので、巫女の生活スペースは別にある
もっとも、自らを神と称する巫女もいるが。
「あいつは風祝だったっけ?まぁどっちでもいいや」
そういいつつ母屋の生活スペースへ向かう
霊夢がいつもお茶を飲んでいる縁側に向かったがそこにも誰もいない
相変わらず冷たい風がビュービューと吹いている
霊夢がいつも座っている場所の後ろのふすまを勢いよく開ける


「うーっす、霊夢いるかー?」
「なによ。寒いじゃないの、速く閉めろ」
「あいあい」

寒いのか霊夢はどてらを着こんでコタツで丸くなっていた
一応、まだ午前中である
年寄りみたいにコタツに入って…まぁ、年中お茶を飲んでる時点で年寄りみたいだが

「あ、そうそう魔理沙」
「ん?」
「素敵なお賽銭箱はあちらよ」
「あとで何か入れておくぜ」
「食べ物入れるなら今よこせ」

霊夢といつも通りの会話をしているとこちらをのぞく影が一つ

「霊夢~お客さん~?」
「泥棒猫よ」
「失礼な、普通の魔法使いだぜ」
「ん~よくわからないけどお茶入れるね~」


そう言い残して台所に向かう影
影の正体は、冬の妖怪レティ・ホワイトロックである
なぜ、この博麗神社にいるのかと言うと
「お待たせ~」
「出やがったな!!寒さの元凶。今日こそお前を…」
「あ゛!?」
「なんでもないです…」
軽くジョークを行っただけなのに霊夢が鬼のような形相で睨んできた
おお怖い怖い。あの、レイムさん、ジョークデスカラ。もうニラマナクテモ…


レティは博麗神社に夏ぐらいから居候している
霊夢は冷房の代わりに連れてきた(拉致)らしいが、本人は寒気、ようは冷たい空気が近くにないと冷気を操る能力を発揮できないらしい
真夏のレティに冷気を操ることは不可能に近く、結果、無駄であった
本来真冬に活動するレティが無理やり真夏に動かされたため(と言っても博麗神社までの移動であるが)、レティはそこでダウン
追い返すつもりだった霊夢もさすがにバツが悪く、そのまま現在の居候に至る


レティは家事全般を担当している。
物覚えがいいのか教わった事はすぐ覚えたらしい。
本人に聞いたら「冬以外はすることがなかったのよ~だから、教わることが新鮮で楽しくてね~」
こき使われていたが、本人が楽しそうだったからいいとしよう
霊夢は咲夜みたいなメイドみたいに身の回りの世話をさせ、自分は楽をするつもりだったらしい


変化は秋口に起きた
いつも通り神社に遊びに行ったら、霊夢がレティに抱きついていた
その時は見なかったふりをしてとんぼ返りしてアリスの家に行った
「ありゃらららいのままみゃにおこここったこおこおkp」
「ここは幻想郷だ、日本語を話せ」
以前自分が言ったセリフをそっくりそのまま返されたが、そのくらい動揺していた
落ち着いてアリスに事情を説明した。霊夢だぜ?あの霊夢
他人に関してあまり興味のなさそうで、色恋なんて無縁だと思っていた霊夢がだぜ?
アリスは「ふーん」と一言だけ。そう言えば、こいつも他人にはあまり興味ないんだっけ
「本人に聞いてみたら?」
「バカ言え、霊夢だぜ?何されるか解ったこっちゃないぜ」
「あんた、霊夢を鬼かなんかかと思ってるの?鬼は割と近くにいたはずだけど」
あの鬼みたいなら、うん、うん。
どこか自分を無理やり納得させるかのように何度かうなずき、腹を括る
さすがに殺しはしないだろう……多分…


翌日、霊夢に聞いてみた。
「ああ、あれ。うん、まぁ…」
顔を少し紅くし、視線を逸らし、言葉を探す霊夢の姿が違和感すぎる
なんか、背筋がゾゾゾとする
「…抱き心地良さそうだからやってみただけよ」
持っていた湯のみを落としそうになった
霊夢の口からまさかそんな言葉が出ようとは…
絶句していると霊夢がどこか言い訳をするかのように
「いや、レティってさ…なんか、ふかふかしてそうじゃない?うん、だからやってみただけ」
「…で、どうだったんだ?」
我ながら、とんでもないことを聞いていた気がする。
「うーん。悪くはないわね」
「そうか…」
「……」
「……」
しばし無言
変な空気が周りを支配する


「霊夢~掃除終わったわよ~」
空気を読んでかどうかは知らないがレティが後ろから出て来た
うん。確かにふかふかはしてそうだが…
「あ、うん。ありがとう。休んでていいわよ」
「は~い」
「じゃ、私は帰るぜ」
「ん、そう」
これ以上会話が続けられる自信がなかった
霊夢が、あの霊夢があんなことするのか!?言うか!?


頭の中がグルグルとした
恋色の魔法使いと言いながら、幼馴染の恋に自分がついていけなかった
無我夢中で飛びまわり、アリスの家に突撃していた
「アリスアリスアリス!たたたたたたたいへ」
「上海」
「シャンハーイ」
突っ込んだ途端、上海に一撃を喰らった
この日以降、霊夢とレティの距離が縮まった感じがする
と言うか、霊夢本人は否定していたが、傍から見たらカップルである


そして今
カップルの度合いはますます上がっている
むしろ、カップルと言うか…
「おまえらさぁ……」
「ん?」
「なに?」
我ながら、なぜこんなことを言うのか解らないが、誰かが言わないと行けない気がした

「おまえらもう、夫婦みたいだな」
霊夢は口に含みかけていたお茶を盛大に噴き出した
げほげほと咽る霊夢の背中をさするレティ
うん。こりゃ夫婦だ
「まま、魔理沙!な、何いい言ってるの!レティはそんなんじゃああああ」
否定はしているが、ものすごい解りやすい同様の仕方だ
顔も真っ赤だ。

「じゃぁなんだ?」
「うぐぐぐ…」
言葉が見つからないようだ。こぶしを握りしめ黙り込む
「だから、その、レティはその」
「この場合どっちがお嫁さんかしら~?」
「れれれレティ!!」
案外レティは乗り気だった。
霊夢の方は顔を真っ赤にしてバタバタとしている
もう少しおちょくってみるか
「レティじゃあね?ほら、お嫁は『家に嫁ぐ』って言うし。今もこうして博麗神社に嫁いでるし」
「だだだ黙りなさい!!」
座布団が飛んできた。弾幕じゃなくて
「新たな夫婦誕生と聞いて!」
「帰れ!!天狗!!!」
最速で飛び込んできた文だったが、夢想封印で「あや~」という言葉を残しあっけなく飛ばされていった
「おまえも帰れ!!」
「そうだな、夫婦の時間を邪魔しちゃいけないもんな!」
「――――っ」
これ以上言うと私も夢想封印されそうだったのでそそくさと退散することにした
出てくる直前に見た霊夢の顔は相変わらず真っ赤だった
さて、これからどこに行こうか

魔理沙が去った後、落ち着くべく息を整える
私とレティが夫婦?何をバカな…
「霊夢~」
「な、なに?うわ!?」
呼吸を整えてるときに後ろからレティに抱きつかれた
いつもは私の方が抱きつくのに
「私のこと、嫌い~」
「え?いや、嫌いじゃないわよ」
「じゃ~好き~」
返答に言葉が詰まる。正直な話、私は好きと言う感覚が解らない
嫌いと言う感情は解る。レミリアとか異変を起こす奴だ
レティといる時のこの、ドキドキしたりする感情。これが好きと言う感情なのか
解らない
でも、レティと一緒にいると安心する
一緒にいたい、こうして抱きついていたい
心臓がドキドキしてるのに、安心する
「……好き、なのかな」
「はっきりしてよ~」
レティはそう言ってさらに抱きしめてくる
むっ、ちょっと苦しい

「レティは……」
「ん?」
「レティはどうなの?」
「私?」
このことを聞いた時、何だか不安になった
レティはどう思ってるのだろうか。もし、嫌いだったら…
「好きよ。大好き。そう、本当にお嫁さんになってもいいわ」
「―――っ」
言葉が出なかった。顔が熱くなる
そして、どこか安心した
「最初は問答無用に弾幕ぶつけてきて何だこいつはって思ったけどね」
「あんたがけしかけて来たんでしょ」
「真夏に無理やり連れてこれて、死ぬかと思った」
「ひどいいい方ね」
「でもね、一緒に暮らしてて一杯いろんなこと教えてくれた。いろんなことを見れた。冬以外にも楽しいことがあるって教えてくれた。」
「……」
「そして何より……」
「何より……」
レティは一息をつく
「霊夢と一緒にいたい」
「レティ」
「霊夢といろんなことを見たり聞いたりしたい。そして霊夢のいろんなこと、知りたい」
「私のこと?」
「家事のこととかは教えてくれたけど、霊夢のことあんまり知らないんだよ。もっともっと知りたいし、私のことももっと知って欲しいんだよ」

確信した。これで確信した
私はくるりと振り返りレティを見つめる
「レティ、あなたのことが好きよ」
「本当?」
「うん。私もレティと一緒にいたい。もっとレティのこと知りたい」
そう言ってレティの胸に飛び込む。こいつ、胸でけぇな
「霊夢」
「なによ」
「好き」
「言わなくても解ってる」
「大好き」
「解ってるってば」
レティがぎゅっと抱きしめてくる。私も抱き返す
多分、こういうのを幸せって言うんだろうな

「ねぇ、霊夢」
「うん?」
「キスしよ」
「……へ?」
今、何て言った?ききききキス!?
顔を上げるとレティの顔が近づいてくる
「ちょ、ちょっと待って!こ、心の準備が」
「む~最初簡単に抱きついてきたのに~?」
「いや、それとこれとはイロイロチガクテデスネ」
顔を離そうとしたが、手でがっちり固定されてる
レティの顔が直前で止まる
「キスするときは目をつぶるのが礼儀らしいわよ」
「そそそ、そうなのかー」
なんか低級妖怪の言葉使った気がするが、気にしないで

柔らかい唇が触れる
もっと、幸せになれた気がした
「てなことがあってだなぁ」
「ふーん。で、なんでそれを私に」
「ん?なんとなく。霊夢がレティにゾッコンだから話し相手がいなくてなぁ。お前は人形にしか話してなさそうだったし」
「上海、蓬莱」
「シャンハーイ」
「ホーラーイ」
「いや、冗談です。今私、八卦炉もってないk」
今日も鈍い音が響くアリス邸であった


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いい夫婦の日記念
これ夫婦か?
トム猫
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コメント



0.1450簡易評価
8.100奇声を発する程度の能力削除
立派な夫婦だと思います
10.100名前が無い程度の能力削除
甘過ぎて死んでしまいそうだ
13.100名前が無い程度の能力削除
最高だ
レティさんかわいい
14.100がま口削除
ぐふっ……体中の血がいちご牛乳になったみたいだ。
とりあえず、末永くお幸せに。
15.100名前が無い程度の能力削除
やばいもだえしぬやばい
甘々でよかったです!
17.100名前が無い程度の能力削除
問題無い
18.100名前が無い程度の能力削除
霊夢は甘やかすに限りますな。ご馳走様でした。
23.30名前が無い程度の能力削除
何故タグに魔理沙が無いし。
そんで何故句点が付いてないし。

失礼だがこの点数だし。
31.100名前が無い程度の能力削除
どっからどうみても夫婦です 本当にありがとうございました
33.100名前が無い程度の能力削除
ラヴィ!