「ずいぶん寒くなったわよねー。昨日までは秋だったのに。」
「そうねー。」
二人の両手に吐く息が白く曇る。その息はやがて、湯気のようにすっと消えていくのを見た村紗はまた、白い息を両手に吐き出した。
自分も同じように手をすり合わせては、両手に息を吐きかける。今日はすごく寒くて、厚着してるだけじゃ足りないんじゃないかと思うほどに寒かった。
深夜なんて、屋根にあたるぱらぱらとした音で目が覚めたのだ。外にあられが降っているのに気づいた時には、やけに寒いなと思いもしたが、朝になったら雪が積もってるだなんて。
まぁ、そのおかげでぬえが仕切りに雪玉を投げつけてきては、「一輪のハゲ」とか言ってくるので雲山で二倍返しにしてもらったのだが。
「こうも寒いと半そでの私には少しきついわねー。うぅ、長そで着てくればよかったかも。」
「少し、じゃなくてかなりでしょ。」
体を丸めて震える様子を見せる村紗に苦笑いしながら、雪玉を投げつけて遊んでいるぬえと星を見つめる。こんなに寒いのに二人ともよく遊んでいられるなぁと少し羨しく思えたが、実は二人とも寒いのを我慢して遊んでいるようだった。遊ぶのをやめればいいのに。
ちなみに鼠はそんな主人を放置して、寺の中にあるこたつで丸まっていた。鼠曰く、「鼠は寒いと死んでしまうんだ。間抜けなご主人と一緒にしないで欲しい。」とのこと。猫科の星よりも、鼠が外に出たほうがいいんじゃないかと思ったけど。
というか、その生意気な口を叩く鼠を無理にでも外にほっぽり出してやろうかと考えたが、本当に死んでしまっては困るので止めた。処理が大変だしね。そう思考に暮れていたらいつの間にか目の前に星がいてびっくりした。すごく寒そうに体を震わせている。
「うー、寒いです一輪ー。なんとかして下さいー。」
「いや、私でも流石にどうしようもないというか・・・・・。」
「じゃあ、一輪であたたまりますー。」
「え?私であたたまるってどういう意味・・・・・ひゃっ!?」
星の言っていたことがよく分からなくてしどろもどろしていたら、いきなり星が抱きついてきた。びっくりして、つい素っ頓狂な声を出してしまったと後悔する。
ちなみに村紗は星が私に抱きついてきた時点で石のようにかちんこちんに固まってしまった。
「はふぅ、一輪はあったかいですねー。もしかしたら寺の中にいるよりも一輪に抱きついていたほうがあったかいのかもしれませんねー。」
「ちょ、離れてちょうだ・・・・・ひゃうっ!?星、どこ触って・・・・・!」
「んー?ここですか?ここがいいんですかー?」
「本当に離れて、ひぁんっ!?そこばっかり触らないで星・・・・・っ!」
「じゃあこことかですか?」
「んやぁっ!おねがいだから触らないでってばぁ・・・・・っ、ひぅ!?」
抱きついてきた星はあれやこれやといって、私の色んな箇所を弄り始めた。私からすればくすぐったいだけなのだが、傍から見れば昼間から何をやってるんだと言われそうな雰囲気だった。
そうやって星が私をくすぐり続けて遊んでいたら、ぬえが不満そうな顔をしてこっちにやってきた。
「ちょっとぉ、ずるいわよ!二人だけ楽しそうなことして!私も交ぜなさいよ!」
そうしてぬえも参戦してきた。ぬえもが星の真似をしてくすぐってきて、もう何が何だかよくわからなくなってきた。
もしこの場に鼠が居たならば、きっと「ざまあ」といってくるだろう。そのことを考えただけでもむかつくけれど。
息も絶え絶えになって頬が紅潮してきた頃、村紗がやっと動き始めた。
「む、むらさ・・・・・たすけ、て」
村紗にこの状況を打破してもらおうと助けを求める。・・・・・が、私のそんな望みは儚くも散り、村紗はこの状況を見てすごくむらむらしてしまったようだった。
「星。」
「何ですか?」
「交ぜてもらってもいい?」
「どうぞどうぞー。」
すごく卑猥な手の動きをしながら村紗が参戦した。村紗の手つきは星やぬえと比べものにならないほど激しくて、私の急所ばかりを責めてくる。もはや声も出ないほど鳴かされてしまって、呼吸しにくかった。
ていうか、何でこんなことになったんだろう。最初は平和だったのになぁ。もう何もかもがどうでもよくなってきた頃に姐さんがやってきた。姐さんはこの状況を見て少しだけ俯いてしまったが、次の瞬間すごく笑顔だった。
「ね、ねえさ「入れて♪」」
姐さんなら常識人だから助けてもらえるだろうと、密かに期待していたら見事に二秒で裏切られた。姐さん、私の貴方への評価が五ランクくらいがた落ちしました。つまり村紗よりももっと下、最下位です。もうほんとどーでもいいや。
その日、鼠以外の全員が風邪を引いた。私は度を過ぎた快楽を得続けてしまったせいで、風邪が治った頃には精神年齢が五歳くらいに低下した。
いいですね、この平和な感じ。ただ、ナズも寂しがって結局来混ざって風邪を引く、とかだと自分的にはさらに良かったりしましたが(笑)
要は、この一輪が可愛いというわけだ。