前回までのあらすじ
みょんなことから幻想郷版競馬「競妖」に参加することになった魔理沙
なんだかんだで見事デビュー戦を勝利で飾ったのだった。
「残念だが、ここでゲームオーバーだぜ」
今年の冬は長い、3月だというのに外は吹雪だ。
そんなある寒い日、魔理沙は連日のようにヴワル図書館へと来ていた。
本来図書館とは本を借りる場所、しかしこの図書館には持ち出し可能の本は一冊たりともない。
それでも魔理沙は強引に本を借りていく。戻した本など一冊も無いし、そもそもその消息は魔理沙自身にも分からない。
魔理沙が『本の墓場』であることなど図書館の本の間では周知の事実である。
「今日はこの本にするか」
魔理沙はそういうと本を一冊だけ手に取り、静まり返る館内に響くよう大声で叫んだ。
「この本借りてくぜー!」
たちまち館内はマジックライトによって隅々まで照らされ、それと同時に侵入者を捕獲するための罠が活動を開始する。
魔理沙は本をエプロンのポケットにしまいこむと、帽子を被りなおし頭を逃走モードへと切り替えた。
「さぁ、今日も逃げ切ってやるぜ」
そういうと、ふわりと飛び立った。
左右から魔理沙目掛けて放たれるマジックミサイル。それを速度を落とすことなく華麗に抜けていく魔理沙。
「遅いぜ遅いぜ、遅くて眠いぜ」
「今日こそ捕まえてやるぅ」
いつものように小悪魔が魔理沙目掛けて一直線に飛んでくる。
今日はパチュリーに魔力を分けてもらって準備万端。連日のように本を獲って行く魔理沙におしおきをしなければと意気込む。
「今日こそもらった!」魔理沙を射程圏内に捕らえ、手を伸ばす小悪魔。
…しかし魔理沙は捕まらない、それどころかその差をいつの間にか広げられてしまっている。
魔理沙は8割くらいのスピードで蛇行しながら飛んでいるが、小悪魔はそれこそフルスピードで一直線に飛んでいる。
おかしいな?そう思った次の瞬間、小悪魔の目の前が真っ白になった。
マジックミサイルの誤爆、今日の魔理沙追跡劇はあっけなく終了。
(ざんねん わたしの ついせきは ここで おわってしまった!)
「借りてくぜー」
「もってかないでー」
今日もヴワル図書館の知識量が減ってしまった。そう思うとパチュリーはまたも貧血で倒れてしまったのだった。
「さて、本は後で読むとして今日は霊夢のところへ行くか」
そういうと魔理沙は苦労して取ってきたはずの本を押入れ(本の墓場)に叩き込み、霊夢の家に向かった。
先程に比べれば雪も止み、日が差してきているおかげで幾分温かくなってきている。
しかし博麗神社に着くなり魔理沙は違和感を感じた。魔よけの結界でも張ってあるのか?そう思いながらも入り口の戸を開く。
「おーい霊夢、遊びに来たぜー」
しかし家の中は静まり返っている、というか外より寒い。
「勝手に上がるぜ」
家の中に入った魔理沙を待っていたのは、死んだように眠る霊夢だった。
「うおっ、こんなところで行き倒れとは器用なことするやつだな」
マジックミサイルを叩き込み、強引に霊夢を叩き起こす。
「……おはよう魔理沙」
「なーにがおはようだ。もう3時だぜ」
魔理沙はなにか違和感を感じていた。先月遊びに来た時から何かが変わっている。
魔理沙が競妖で勝利を挙げ、霊夢と二人ホクホク顔で家路に着いたあの日から何かが変わっている。
何が変わった?何が違う?
家の中のものが無いのは先月から引き続いてのことだし、賽銭箱にわずかな賽銭しか入っていないのもいつもどおり。
20秒後、魔理沙は違いに気がついた。
「おい霊夢、巫女服はどうしたんだ」
そう、今霊夢はパジャマ姿だ。真昼間のパジャマ霊夢なんて今まで見たことが無い。
「……売っちゃった」
なぜか顔を赤らめる霊夢。
「おいおい、巫女服なんて買うやつが何処に居るんだ」
「霖之助さんが高値で買い取ってくれたわ」
「質問を間違えたぜ、なんで巫女服売っちゃったんだ」
「……お金に困って」
「おいおいおい、先月あんなにボロ儲けしたじゃないか」
「……全部負けてなくなりました。お察しくださいっ」
「お察しするぜ」
霊夢との付き合いは長い。普段のんびりしている霊夢だが、いったん燃え出したら燃え尽きるまでトコトン行くのが玉に瑕。
しかし今回は度が過ぎる。一発叱ってやらなくては霊夢が破滅してしまう。
「魔理沙さん、もう一回私にチャンスをください。レースに出てください、お願いします!!」
「おい霊夢、こんなこと繰り返したらロクな人間に…」
そこまで言うと魔理沙はふと先程のやり取りを思い出す。
「巫女服はどうしたんだ?」「霖之助さんに売った」
魔理沙はひらめいた。
博麗神社巫女服なんてマジックアイテムを手に入れるなんてチャンスは早々あるもんじゃない。しかも霊夢の巫女服だ。
前から欲しい欲しいと心の中で思い描いていた品物が香霖堂にある。確実にゲットしなければならない。
譲ってもらって入手、なんて蒐集家として失格である。自分で手に入れてこそ価値が出るのだ。
「いいぜ霊夢、今度はぶっちぎってやるぜ!!!」
両者の思惑は再び一致した。
紅魔館裏庭。ここには紅魔館競妖場がある。
翌日、魔理沙は1ヵ月ぶりに競妖場へ足を踏み入れた。
「あっ、魔理沙だ!」
昨日のマジックミサイルで出来たタンコブをくっつけた小悪魔が駆け寄ってくる。
「今日こそ逃がさないから」
「今日はレースの日だぜ、本取り合戦とは訳が違うぜ」
「へっ、レース?」
小悪魔は少々混乱した表情で聞き返す。
「レースというと、今日の競妖ですか?」
「それ以外ないだろ」
「うわー、凄い人だったんですね魔理沙さん!」
急に態度が変わる小悪魔。
「頑張ってください!応援しますから」
「お、おう」
そういうと小悪魔は魔理沙に握手をしてもらい、スキップで立ち去っていく。悪魔は見かけによらないもんだ。
「さーて、登録登録」
今回が2度目のレースとなる魔理沙。前回霊夢に手続きをしてもらっていたので登録の段取りは分かる。
あらかじめ霊夢に教えてもらったレースを確認し、登録を済ます。
「今日は第7レースに登録したから、少し時間があるな」
その時、丁度霊夢がやってきた。
「今日は黒霊夢だな」
「魔理沙の服、ちょっと小さいんですけど」
「贅沢言うもんじゃないぜ。パジャマで外歩けないだろ」
そう言われると反論できない霊夢。
「さて、今日の作戦を頼むぜ」
そういうと二人はパンフレット(出走表)を眺める。
第7レース・500コインクラス、右回り3200メートル・登録15匹、魔理沙の出走するレースだ。
このパンフレットもマジックアイテムの一種で、出走妖怪のプロフィールから最新オッズ、果てはメイド長予想まで全て分かる代物となっている。
「私の人気は…7番人気っておいしいか?」
「よだれが出そうね」
魔理沙の単勝オッズは15倍、前回よりも当たれば大きい。だが基本的にギャンブルはハイリスクハイリターン。
「でも、それだけ相手も強くなってるってことだよな」
「そんなもんは気合でカバーしなさい」
「気合だけじゃなんともならないもんだぜ」
「四の五の言わない。あなたの蒐集根性はその程度なの?」
「大船に乗った気でいてくれ」
そんな会話を続けながらも二人はパンフレットを読む。
「一番人気……うわ、モコーじゃないの」
「強いのか?」
「名門上白沢厩舎所属、ここ5レース連続2着の強敵よ」
「それは手強そうだな、ところでこのメイド長◎ってのは?」
「えっと…ごめん知らないわこんな名前」
「それならしょうがないな」
そんなこんなで第6レースが終了した。いよいよ魔理沙の出番である。
「いい魔理沙、今回は3200メートルだから最初から全開でいく必要は無いわ。でも貴女は体格が小さいから集団に入ると不利。
先頭か最後方かのどちらかで行きなさいよ」
魔理沙は霊夢に見送られ、スタートゲートへと向かっていった。どうやって霊夢が今日の賭け金を捻出したのかという疑問とともに。
「さて、魔理沙に全額行ってもいいものかしら」
霊夢は悩んだ。前回の魔理沙に賭けた時は確実に勝てるという確信めいたものがあったが今回は違う。
「モコーさえいなけりゃドカンと賭けるんだけどな」
「おや、霊夢じゃないか。いつもと服が違うから別人に見えたよ」
霊夢に声を掛けて来たのは上白沢慧音、この世界では有名な競走妖怪トレーナーだ。
「あら慧音さん、よりによってモコーをこのレースに出すなんて恨みますよ」
モコー出走の過去5レース、霊夢はすべてモコー一点勝負で外してしまっていたのだった。
「本来ならこのクラスでモタモタする器じゃないんだけどな。まぁ今日はちょっとしたおまじないをしておいたから勝てるだろう」
そういうと慧音は考え込みながらどこかへ行ってしまった。霊夢は「今日も負けろよ」と心の中で突っ込んでおく。
「さて、と。妖券買わなきゃ」
お払い棒までも質に入れ、まさに背水の陣を敷いた霊夢。氷の妖怪以上にいっぱいいっぱいだ。
悩む、悩む、悩んで悩んで悩みぬいた。
意を決して霊夢は勝妖投票券を買う。そこには記されているのは「マリサ」の名前。
霊夢は魔理沙を選んだのだ。
観客席からは反対の直線に設置されたスタートゲートに萃まる競走妖たち。その中に一際派手なのがいる。一番人気モコー・本名藤原妹紅だった。
マリサは6枠、モコーは7枠、つまり妹紅は魔理沙の隣だ。
「今日こそ勝たなきゃ、慧音にしかられるぅ」
スタート前から既に鳳凰を身にまとっている妹紅。熱い。俗に言う『イレ込み』状態だ。
「なんだこの熱いのは、しかも隣のゲートだなんてついてないぜ」
魔理沙は少々驚きつつもゲートに入る。
そして全員がゲートに納まり、スタートの合図を待つ。この間も妹紅は熱くなりっぱなしだ。
「熱いぜ熱いぜ、熱くて死ぬぜ」
「今日は絶対負けられないのよーーー!!!」
スタートの合図とともに妹紅は能力全開、パゼスト・バイ・フェニックス発動だ。
「うわっ、なんだこいつは!」
ゲートが空いたその瞬間、魔理沙はうっかり目をつぶってしまった。
「ぎゃー魔理沙ー!!」観客席で霊夢が悲鳴を上げた。
魔理沙は出遅れてしまい、いきなり10メートルのビハインドを貰ってしまった。
「あんの熱血人間めぇ~」
魔理沙は少しキレつつも霊夢の言葉を思い出し、スピードを抑えて最後方を進む。
今日の妖怪は妹紅を含めて魔理沙より大きい妖怪ばかり。道中でぶつかられたり挟まれたりしたら大怪我につながりかねない。
それに今日は3200メートルの距離がある。最初から全開ではもたないことは前回のレースで経験済みだ。
それに魔理沙も今回は全員まとめて抜き去る自信があった。
実はこの1ヵ月、魔理沙はこっそりと『自主トレ』を積んでいたのだ。
スタートから600メートルの地点で先頭は妹紅、後続もそれに続き最後方の魔理沙までの差は約30メートル。
まだまだ挽回できる距離だ。
しかし妹紅のペースは尋常ではない。2000メートルのレースかと勘違いしてしまいそうなくらいだ。
「しかしモコーのやつ飛ばしすぎだぜ、絶対に失速する」
「おいおいおい、こんなペースで行ったら俺たちも持たないぞ」
「置いて行かれる~」
妖怪たちのささやきを聞きながら、魔理沙は悠然と集団の後ろを付けてゆく。
「まだまだ勝負は始まったばかりだぜ」
1200メートル地点。
妹紅がスタートから超ハイペースで飛ばし続け、そのハイペースのままコーナーに突入したことからレースが動いた
妹紅のスピードに付いて行けず脱落する妖怪が出始めてきたのだ。
実際高速でコーナーを曲がるのは難しい。魔力の調整をしてやらないとあっという間にコースアウトだ。
脱落する妖怪を尻目に妹紅は突き進み、そのスピードは全く衰えない。このまま逃げ切りの可能性もある。
一方、魔理沙は課題と思われたコーナリングを難なくこなす。それどころか余裕すら漂っている。
「伊達にパチュリーのところで曲芸飛行してるわけじゃないぜ」
マジックミサイルと小悪魔を同時にかわすため編み出した曲芸飛行がこんなところで威力を発揮していた。
ヴワル図書館での追いかけっこ。これこそが魔理沙の自主トレだったのだ。
低速でマジックミサイルをかわしていると小悪魔に捕まる、かといって高速で小悪魔から逃げると被弾する。
高速かつ華麗な飛行によって初めてパチュリーの魔の手から逃げ延びることができるのだ。
魔理沙はそのコーナリング技術を生かし、脱落する妖怪たちを次々とかわしてゆく。
だが依然として妹紅はハイスピードで逃げる。すでに魔理沙と妹紅の差は50メートルにまで広がっていた。
ひたすら続くコーナー、逃げる妹紅、脱落する妖怪達、踏ん張る魔理沙。サバイバルレースの様相を呈してきた。
2000メートル地点、ここでコーナーが終わる。
紅魔館競妖場は直線が1200メートルもあり、勝負はいつもここからだ。
依然ハイペースで飛ばす妹紅、魔理沙も既に5番手にまで上がってきている。その差は40メートル。
すでに後方の妖怪たちはスタミナ切れを起こして脱落した。敵は前方のヤツらのみ、魔理沙は箒を握る手に力を込める。
前回は何も分からず飛ばしてスタミナ切れ。しかし今回は体力も魔力も十分に残っている、ここからがレース本番だ。
「遅いぜ遅いぜ、遅くて邪魔だぜ!」
魔理沙はついに本気を出し、全速力で3匹まとめて引っこ抜く、残るは妹紅のみ。
しかしこの妹紅がしぶとい、というか依然としてフェニックスモコー状態なのだ。竹林の人間は化け物か。
既にこの状態で2400メートルを進んでいる妹紅、表情には苦悶の色が浮かんでいるのだがスピードは落ちない。
「何かおかしい。いくら妹紅が不死身でもスタミナと魔力には限界があるはずよ」
霊夢は慧音の『おまじない』がドーピングなのではないかと疑った。しかし今それを確かめる手段は無い。
今霊夢に出来ることは、魔理沙の勝利と自己の救済を願うことだけだった。
「ああ、がんばってくださいまりしゃさま」
依然続く妹紅の激走、それでも全速力の魔理沙が速い。徐々に差が詰まる両者。
しかし魔理沙は呟く「このままじゃ負けるぜ」
2800メートル地点での差は約15メートル、直線に入って25メートルしか詰めれていないのだ。
魔理沙が勝つためにはこのままではいけない。もっと強大なスピードが必要だ。
妹紅がパゼスト・バイ・フェニックスを持っているように魔理沙にもとっておきの『切り札』があるのだが、魔理沙はそれを使うべきか悩んだ。
「今の私が『切り札』を使えるのは精々5秒、200メートル程度ってところだが」
これを使うと3日は寝込む禁断の業。
それでも自分が負ければ霊夢が破滅することは分かったことだ。霊夢のためにも負けられない。
魔理沙は覚悟を決め、『切り札』を使う態勢をとる。
「残り200メートルで、行くぜ」
「!?」
3000メートル地点を越えるまさにその時、妹紅のパゼスト・バイ・フェニックスが解除された。
「し、しまった。最後まで持ちこたえられなかった!」
スタミナと魔力切れのために妹紅のスピードがガクンと落ちる。この好機を魔理沙は見逃さない。
「チャンスだ、切り札なんていらないぜ!」
妹紅の減速を見て取ると、魔理沙は『切り札』をしまい込み限界まで加速した。その差は見る見るうちに縮まっていく。
「ま、また負けてしまうの!?」
「残念だが、ここでゲームオーバーだぜ」
この時点で魔理沙の勝ちは誰の目にも明らかとなった。
「もらったァァァァァァァァァ!!!」
握り締めた拳を天空へと突き上げる霊夢、魔理沙は残り50メートル地点で妹紅を見事抜き去ったのだった。
そして魔理沙は見事2度目の勝利を挙げる。二着の妹紅につけた差は20メートル、完勝である。
勝ちタイムは1分34秒5、なんと500コインクラスのレコードタイムとなった。
この2戦連続のレコード勝ちによって、マリサの名は競妖の世界で少しだけ知れ渡ることになる。
「賞金ゲットだぜ!」
「配当金ゲットォォォォォォ!!!」
片やお立ち台、片や払い戻し窓口の前でガッツポーズを取る魔理沙と霊夢。二人は今宵も勝者となったのだ。
控え室に戻った魔理沙は慧音に出会う。
「負けたよ魔理沙、まさか妹紅が負けるなんてな」
「当然だぜ」
「次は負けないからな」
慧音は力尽きて動けない妹紅を引きずってその場を後にする。
「妹紅、今回も暴走して負けたあなたには『おまじない』が必要のようだ」
「け、慧音やめてそれだけは!!!」
裏の方でいやな悲鳴が聞こえたが、魔理沙はなにも聞かなかったことにした。
魔理沙は賞金袋を握り締め、ニヤリと笑う。
「これで巫女服が買えるぜ」
「いやー、魔理沙のおかげで生き延びたわぁ」
「これに懲りたらもう大博打はやめることだぜ」
博麗神社に着くなり霊夢はパジャマに着替える。
「今日は疲れたから、寝ます」
「寝ろ寝ろ、寝て反省しろ」
「あ、そういえば今日の勝ちで魔理沙はまたクラスが上がったわよ」
「クラスが上がるとどうなるんだ?」
「賞金が増えるわよ。現に今日の賞金は前回よりも多かったでしょ?」
「まだ数えてないぜ」
「まぁいいや、私は首を吊らなくても良くなったからおやすみ」
「服は?」
「明日作る」
「ったく、いつまでも子供だな」
魔理沙は霊夢が寝たのを見届けると、香霖堂へ飛んでいった。
『霊夢の巫女服』以前から是非手に入れたいと思っていた一品をゲットするために。
「おい香霖!買い物に来た……ぜ・・」
「やあ魔理沙、お元気そうで何よりだ」
魔理沙の時が止まり、幸福が音を立てて崩れ落ちた。
「うわああああああぁぁぁん、こーりんの変態!!!!」
「おいおい、これじゃ僕が犯罪者みたいじゃないか」
そういう霖之助の体には、しっかりと巫女服が身に付けられていたのだ。
巫女服を手に入れることが出来なくなった魔理沙は、泣きながら自分の家へと飛びかえったのだった。
みょんなことから幻想郷版競馬「競妖」に参加することになった魔理沙
なんだかんだで見事デビュー戦を勝利で飾ったのだった。
「残念だが、ここでゲームオーバーだぜ」
今年の冬は長い、3月だというのに外は吹雪だ。
そんなある寒い日、魔理沙は連日のようにヴワル図書館へと来ていた。
本来図書館とは本を借りる場所、しかしこの図書館には持ち出し可能の本は一冊たりともない。
それでも魔理沙は強引に本を借りていく。戻した本など一冊も無いし、そもそもその消息は魔理沙自身にも分からない。
魔理沙が『本の墓場』であることなど図書館の本の間では周知の事実である。
「今日はこの本にするか」
魔理沙はそういうと本を一冊だけ手に取り、静まり返る館内に響くよう大声で叫んだ。
「この本借りてくぜー!」
たちまち館内はマジックライトによって隅々まで照らされ、それと同時に侵入者を捕獲するための罠が活動を開始する。
魔理沙は本をエプロンのポケットにしまいこむと、帽子を被りなおし頭を逃走モードへと切り替えた。
「さぁ、今日も逃げ切ってやるぜ」
そういうと、ふわりと飛び立った。
左右から魔理沙目掛けて放たれるマジックミサイル。それを速度を落とすことなく華麗に抜けていく魔理沙。
「遅いぜ遅いぜ、遅くて眠いぜ」
「今日こそ捕まえてやるぅ」
いつものように小悪魔が魔理沙目掛けて一直線に飛んでくる。
今日はパチュリーに魔力を分けてもらって準備万端。連日のように本を獲って行く魔理沙におしおきをしなければと意気込む。
「今日こそもらった!」魔理沙を射程圏内に捕らえ、手を伸ばす小悪魔。
…しかし魔理沙は捕まらない、それどころかその差をいつの間にか広げられてしまっている。
魔理沙は8割くらいのスピードで蛇行しながら飛んでいるが、小悪魔はそれこそフルスピードで一直線に飛んでいる。
おかしいな?そう思った次の瞬間、小悪魔の目の前が真っ白になった。
マジックミサイルの誤爆、今日の魔理沙追跡劇はあっけなく終了。
(ざんねん わたしの ついせきは ここで おわってしまった!)
「借りてくぜー」
「もってかないでー」
今日もヴワル図書館の知識量が減ってしまった。そう思うとパチュリーはまたも貧血で倒れてしまったのだった。
「さて、本は後で読むとして今日は霊夢のところへ行くか」
そういうと魔理沙は苦労して取ってきたはずの本を押入れ(本の墓場)に叩き込み、霊夢の家に向かった。
先程に比べれば雪も止み、日が差してきているおかげで幾分温かくなってきている。
しかし博麗神社に着くなり魔理沙は違和感を感じた。魔よけの結界でも張ってあるのか?そう思いながらも入り口の戸を開く。
「おーい霊夢、遊びに来たぜー」
しかし家の中は静まり返っている、というか外より寒い。
「勝手に上がるぜ」
家の中に入った魔理沙を待っていたのは、死んだように眠る霊夢だった。
「うおっ、こんなところで行き倒れとは器用なことするやつだな」
マジックミサイルを叩き込み、強引に霊夢を叩き起こす。
「……おはよう魔理沙」
「なーにがおはようだ。もう3時だぜ」
魔理沙はなにか違和感を感じていた。先月遊びに来た時から何かが変わっている。
魔理沙が競妖で勝利を挙げ、霊夢と二人ホクホク顔で家路に着いたあの日から何かが変わっている。
何が変わった?何が違う?
家の中のものが無いのは先月から引き続いてのことだし、賽銭箱にわずかな賽銭しか入っていないのもいつもどおり。
20秒後、魔理沙は違いに気がついた。
「おい霊夢、巫女服はどうしたんだ」
そう、今霊夢はパジャマ姿だ。真昼間のパジャマ霊夢なんて今まで見たことが無い。
「……売っちゃった」
なぜか顔を赤らめる霊夢。
「おいおい、巫女服なんて買うやつが何処に居るんだ」
「霖之助さんが高値で買い取ってくれたわ」
「質問を間違えたぜ、なんで巫女服売っちゃったんだ」
「……お金に困って」
「おいおいおい、先月あんなにボロ儲けしたじゃないか」
「……全部負けてなくなりました。お察しくださいっ」
「お察しするぜ」
霊夢との付き合いは長い。普段のんびりしている霊夢だが、いったん燃え出したら燃え尽きるまでトコトン行くのが玉に瑕。
しかし今回は度が過ぎる。一発叱ってやらなくては霊夢が破滅してしまう。
「魔理沙さん、もう一回私にチャンスをください。レースに出てください、お願いします!!」
「おい霊夢、こんなこと繰り返したらロクな人間に…」
そこまで言うと魔理沙はふと先程のやり取りを思い出す。
「巫女服はどうしたんだ?」「霖之助さんに売った」
魔理沙はひらめいた。
博麗神社巫女服なんてマジックアイテムを手に入れるなんてチャンスは早々あるもんじゃない。しかも霊夢の巫女服だ。
前から欲しい欲しいと心の中で思い描いていた品物が香霖堂にある。確実にゲットしなければならない。
譲ってもらって入手、なんて蒐集家として失格である。自分で手に入れてこそ価値が出るのだ。
「いいぜ霊夢、今度はぶっちぎってやるぜ!!!」
両者の思惑は再び一致した。
紅魔館裏庭。ここには紅魔館競妖場がある。
翌日、魔理沙は1ヵ月ぶりに競妖場へ足を踏み入れた。
「あっ、魔理沙だ!」
昨日のマジックミサイルで出来たタンコブをくっつけた小悪魔が駆け寄ってくる。
「今日こそ逃がさないから」
「今日はレースの日だぜ、本取り合戦とは訳が違うぜ」
「へっ、レース?」
小悪魔は少々混乱した表情で聞き返す。
「レースというと、今日の競妖ですか?」
「それ以外ないだろ」
「うわー、凄い人だったんですね魔理沙さん!」
急に態度が変わる小悪魔。
「頑張ってください!応援しますから」
「お、おう」
そういうと小悪魔は魔理沙に握手をしてもらい、スキップで立ち去っていく。悪魔は見かけによらないもんだ。
「さーて、登録登録」
今回が2度目のレースとなる魔理沙。前回霊夢に手続きをしてもらっていたので登録の段取りは分かる。
あらかじめ霊夢に教えてもらったレースを確認し、登録を済ます。
「今日は第7レースに登録したから、少し時間があるな」
その時、丁度霊夢がやってきた。
「今日は黒霊夢だな」
「魔理沙の服、ちょっと小さいんですけど」
「贅沢言うもんじゃないぜ。パジャマで外歩けないだろ」
そう言われると反論できない霊夢。
「さて、今日の作戦を頼むぜ」
そういうと二人はパンフレット(出走表)を眺める。
第7レース・500コインクラス、右回り3200メートル・登録15匹、魔理沙の出走するレースだ。
このパンフレットもマジックアイテムの一種で、出走妖怪のプロフィールから最新オッズ、果てはメイド長予想まで全て分かる代物となっている。
「私の人気は…7番人気っておいしいか?」
「よだれが出そうね」
魔理沙の単勝オッズは15倍、前回よりも当たれば大きい。だが基本的にギャンブルはハイリスクハイリターン。
「でも、それだけ相手も強くなってるってことだよな」
「そんなもんは気合でカバーしなさい」
「気合だけじゃなんともならないもんだぜ」
「四の五の言わない。あなたの蒐集根性はその程度なの?」
「大船に乗った気でいてくれ」
そんな会話を続けながらも二人はパンフレットを読む。
「一番人気……うわ、モコーじゃないの」
「強いのか?」
「名門上白沢厩舎所属、ここ5レース連続2着の強敵よ」
「それは手強そうだな、ところでこのメイド長◎ってのは?」
「えっと…ごめん知らないわこんな名前」
「それならしょうがないな」
そんなこんなで第6レースが終了した。いよいよ魔理沙の出番である。
「いい魔理沙、今回は3200メートルだから最初から全開でいく必要は無いわ。でも貴女は体格が小さいから集団に入ると不利。
先頭か最後方かのどちらかで行きなさいよ」
魔理沙は霊夢に見送られ、スタートゲートへと向かっていった。どうやって霊夢が今日の賭け金を捻出したのかという疑問とともに。
「さて、魔理沙に全額行ってもいいものかしら」
霊夢は悩んだ。前回の魔理沙に賭けた時は確実に勝てるという確信めいたものがあったが今回は違う。
「モコーさえいなけりゃドカンと賭けるんだけどな」
「おや、霊夢じゃないか。いつもと服が違うから別人に見えたよ」
霊夢に声を掛けて来たのは上白沢慧音、この世界では有名な競走妖怪トレーナーだ。
「あら慧音さん、よりによってモコーをこのレースに出すなんて恨みますよ」
モコー出走の過去5レース、霊夢はすべてモコー一点勝負で外してしまっていたのだった。
「本来ならこのクラスでモタモタする器じゃないんだけどな。まぁ今日はちょっとしたおまじないをしておいたから勝てるだろう」
そういうと慧音は考え込みながらどこかへ行ってしまった。霊夢は「今日も負けろよ」と心の中で突っ込んでおく。
「さて、と。妖券買わなきゃ」
お払い棒までも質に入れ、まさに背水の陣を敷いた霊夢。氷の妖怪以上にいっぱいいっぱいだ。
悩む、悩む、悩んで悩んで悩みぬいた。
意を決して霊夢は勝妖投票券を買う。そこには記されているのは「マリサ」の名前。
霊夢は魔理沙を選んだのだ。
観客席からは反対の直線に設置されたスタートゲートに萃まる競走妖たち。その中に一際派手なのがいる。一番人気モコー・本名藤原妹紅だった。
マリサは6枠、モコーは7枠、つまり妹紅は魔理沙の隣だ。
「今日こそ勝たなきゃ、慧音にしかられるぅ」
スタート前から既に鳳凰を身にまとっている妹紅。熱い。俗に言う『イレ込み』状態だ。
「なんだこの熱いのは、しかも隣のゲートだなんてついてないぜ」
魔理沙は少々驚きつつもゲートに入る。
そして全員がゲートに納まり、スタートの合図を待つ。この間も妹紅は熱くなりっぱなしだ。
「熱いぜ熱いぜ、熱くて死ぬぜ」
「今日は絶対負けられないのよーーー!!!」
スタートの合図とともに妹紅は能力全開、パゼスト・バイ・フェニックス発動だ。
「うわっ、なんだこいつは!」
ゲートが空いたその瞬間、魔理沙はうっかり目をつぶってしまった。
「ぎゃー魔理沙ー!!」観客席で霊夢が悲鳴を上げた。
魔理沙は出遅れてしまい、いきなり10メートルのビハインドを貰ってしまった。
「あんの熱血人間めぇ~」
魔理沙は少しキレつつも霊夢の言葉を思い出し、スピードを抑えて最後方を進む。
今日の妖怪は妹紅を含めて魔理沙より大きい妖怪ばかり。道中でぶつかられたり挟まれたりしたら大怪我につながりかねない。
それに今日は3200メートルの距離がある。最初から全開ではもたないことは前回のレースで経験済みだ。
それに魔理沙も今回は全員まとめて抜き去る自信があった。
実はこの1ヵ月、魔理沙はこっそりと『自主トレ』を積んでいたのだ。
スタートから600メートルの地点で先頭は妹紅、後続もそれに続き最後方の魔理沙までの差は約30メートル。
まだまだ挽回できる距離だ。
しかし妹紅のペースは尋常ではない。2000メートルのレースかと勘違いしてしまいそうなくらいだ。
「しかしモコーのやつ飛ばしすぎだぜ、絶対に失速する」
「おいおいおい、こんなペースで行ったら俺たちも持たないぞ」
「置いて行かれる~」
妖怪たちのささやきを聞きながら、魔理沙は悠然と集団の後ろを付けてゆく。
「まだまだ勝負は始まったばかりだぜ」
1200メートル地点。
妹紅がスタートから超ハイペースで飛ばし続け、そのハイペースのままコーナーに突入したことからレースが動いた
妹紅のスピードに付いて行けず脱落する妖怪が出始めてきたのだ。
実際高速でコーナーを曲がるのは難しい。魔力の調整をしてやらないとあっという間にコースアウトだ。
脱落する妖怪を尻目に妹紅は突き進み、そのスピードは全く衰えない。このまま逃げ切りの可能性もある。
一方、魔理沙は課題と思われたコーナリングを難なくこなす。それどころか余裕すら漂っている。
「伊達にパチュリーのところで曲芸飛行してるわけじゃないぜ」
マジックミサイルと小悪魔を同時にかわすため編み出した曲芸飛行がこんなところで威力を発揮していた。
ヴワル図書館での追いかけっこ。これこそが魔理沙の自主トレだったのだ。
低速でマジックミサイルをかわしていると小悪魔に捕まる、かといって高速で小悪魔から逃げると被弾する。
高速かつ華麗な飛行によって初めてパチュリーの魔の手から逃げ延びることができるのだ。
魔理沙はそのコーナリング技術を生かし、脱落する妖怪たちを次々とかわしてゆく。
だが依然として妹紅はハイスピードで逃げる。すでに魔理沙と妹紅の差は50メートルにまで広がっていた。
ひたすら続くコーナー、逃げる妹紅、脱落する妖怪達、踏ん張る魔理沙。サバイバルレースの様相を呈してきた。
2000メートル地点、ここでコーナーが終わる。
紅魔館競妖場は直線が1200メートルもあり、勝負はいつもここからだ。
依然ハイペースで飛ばす妹紅、魔理沙も既に5番手にまで上がってきている。その差は40メートル。
すでに後方の妖怪たちはスタミナ切れを起こして脱落した。敵は前方のヤツらのみ、魔理沙は箒を握る手に力を込める。
前回は何も分からず飛ばしてスタミナ切れ。しかし今回は体力も魔力も十分に残っている、ここからがレース本番だ。
「遅いぜ遅いぜ、遅くて邪魔だぜ!」
魔理沙はついに本気を出し、全速力で3匹まとめて引っこ抜く、残るは妹紅のみ。
しかしこの妹紅がしぶとい、というか依然としてフェニックスモコー状態なのだ。竹林の人間は化け物か。
既にこの状態で2400メートルを進んでいる妹紅、表情には苦悶の色が浮かんでいるのだがスピードは落ちない。
「何かおかしい。いくら妹紅が不死身でもスタミナと魔力には限界があるはずよ」
霊夢は慧音の『おまじない』がドーピングなのではないかと疑った。しかし今それを確かめる手段は無い。
今霊夢に出来ることは、魔理沙の勝利と自己の救済を願うことだけだった。
「ああ、がんばってくださいまりしゃさま」
依然続く妹紅の激走、それでも全速力の魔理沙が速い。徐々に差が詰まる両者。
しかし魔理沙は呟く「このままじゃ負けるぜ」
2800メートル地点での差は約15メートル、直線に入って25メートルしか詰めれていないのだ。
魔理沙が勝つためにはこのままではいけない。もっと強大なスピードが必要だ。
妹紅がパゼスト・バイ・フェニックスを持っているように魔理沙にもとっておきの『切り札』があるのだが、魔理沙はそれを使うべきか悩んだ。
「今の私が『切り札』を使えるのは精々5秒、200メートル程度ってところだが」
これを使うと3日は寝込む禁断の業。
それでも自分が負ければ霊夢が破滅することは分かったことだ。霊夢のためにも負けられない。
魔理沙は覚悟を決め、『切り札』を使う態勢をとる。
「残り200メートルで、行くぜ」
「!?」
3000メートル地点を越えるまさにその時、妹紅のパゼスト・バイ・フェニックスが解除された。
「し、しまった。最後まで持ちこたえられなかった!」
スタミナと魔力切れのために妹紅のスピードがガクンと落ちる。この好機を魔理沙は見逃さない。
「チャンスだ、切り札なんていらないぜ!」
妹紅の減速を見て取ると、魔理沙は『切り札』をしまい込み限界まで加速した。その差は見る見るうちに縮まっていく。
「ま、また負けてしまうの!?」
「残念だが、ここでゲームオーバーだぜ」
この時点で魔理沙の勝ちは誰の目にも明らかとなった。
「もらったァァァァァァァァァ!!!」
握り締めた拳を天空へと突き上げる霊夢、魔理沙は残り50メートル地点で妹紅を見事抜き去ったのだった。
そして魔理沙は見事2度目の勝利を挙げる。二着の妹紅につけた差は20メートル、完勝である。
勝ちタイムは1分34秒5、なんと500コインクラスのレコードタイムとなった。
この2戦連続のレコード勝ちによって、マリサの名は競妖の世界で少しだけ知れ渡ることになる。
「賞金ゲットだぜ!」
「配当金ゲットォォォォォォ!!!」
片やお立ち台、片や払い戻し窓口の前でガッツポーズを取る魔理沙と霊夢。二人は今宵も勝者となったのだ。
控え室に戻った魔理沙は慧音に出会う。
「負けたよ魔理沙、まさか妹紅が負けるなんてな」
「当然だぜ」
「次は負けないからな」
慧音は力尽きて動けない妹紅を引きずってその場を後にする。
「妹紅、今回も暴走して負けたあなたには『おまじない』が必要のようだ」
「け、慧音やめてそれだけは!!!」
裏の方でいやな悲鳴が聞こえたが、魔理沙はなにも聞かなかったことにした。
魔理沙は賞金袋を握り締め、ニヤリと笑う。
「これで巫女服が買えるぜ」
「いやー、魔理沙のおかげで生き延びたわぁ」
「これに懲りたらもう大博打はやめることだぜ」
博麗神社に着くなり霊夢はパジャマに着替える。
「今日は疲れたから、寝ます」
「寝ろ寝ろ、寝て反省しろ」
「あ、そういえば今日の勝ちで魔理沙はまたクラスが上がったわよ」
「クラスが上がるとどうなるんだ?」
「賞金が増えるわよ。現に今日の賞金は前回よりも多かったでしょ?」
「まだ数えてないぜ」
「まぁいいや、私は首を吊らなくても良くなったからおやすみ」
「服は?」
「明日作る」
「ったく、いつまでも子供だな」
魔理沙は霊夢が寝たのを見届けると、香霖堂へ飛んでいった。
『霊夢の巫女服』以前から是非手に入れたいと思っていた一品をゲットするために。
「おい香霖!買い物に来た……ぜ・・」
「やあ魔理沙、お元気そうで何よりだ」
魔理沙の時が止まり、幸福が音を立てて崩れ落ちた。
「うわああああああぁぁぁん、こーりんの変態!!!!」
「おいおい、これじゃ僕が犯罪者みたいじゃないか」
そういう霖之助の体には、しっかりと巫女服が身に付けられていたのだ。
巫女服を手に入れることが出来なくなった魔理沙は、泣きながら自分の家へと飛びかえったのだった。
……うわそういう意味だったのk(caved!!!!)
意外とミーハー?な小悪魔。
坊ちゃん嬢ちゃんは見ちゃいけないよ、な関係のもこたんとけい姉。
予想を裏切らないオチを提供してくれたこーりん。
前作を上回る疾走感、満喫させていただきましたッ! 次回も楽しみです♪
……「譲ってもらって入手、なんて蒐集家として失格」……
強奪するのは合格なんだねぇ。それが魔理沙のスタンダード。
魔理沙もこーりんもw
キタコレwww
あのクソゲーはやる気になれんwww
あまりに切実すぎるだろおい……
あ、さわしみだいほん落ちた